JP2016155712A - グラフェン/SiC複合材料の製造方法 - Google Patents

グラフェン/SiC複合材料の製造方法 Download PDF

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【課題】1層又は2層以上のグラフェンとSiC基板との間にバッファ層が存在しないグラフェン/SiC複合材料を、有利に製造することが出来る方法を提供すること。【解決手段】SiC単結晶基板上に、炭素原子のみから構成され、それら炭素原子のうちの一部がSiC単結晶基板のSi原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈するバッファ層が形成されてなる複合体を、真空下、加熱し、その後に急冷することにより、SiC単結晶基板上に一層又は二層以上のグラフェンが積層形成されてなるグラフェン/SiC複合材料を製造した。【選択図】図2

Description

本発明は、グラフェン/SiC複合材料の製造方法に関するものである。
炭素原子が最密充填された六員環構造を呈する、炭素の単一原子層であるグラフェン(グラファイトシート)は、その内部において、電子が質量ゼロの相対論的粒子として振る舞い、極めて高い電子移動度を示すことが知られている。また、グラフェンは、既知の物質の中で最高の融点を有し、熱伝導度においても優れているところから、最初の報告(非特許文献1参照)以来、研究者達の間で盛んに研究が進められている。このような状況の下、近年、グラフェンに関して種々の報告が為されている。
例えば、非特許文献2においては、最大で200000cm2 /Vsecを超える電子移動度がグラフェンにて測定された旨を報告している。なお、そのような高い電子移動度は、Si(シリコン)の約100倍、カーボンナノチューブの5倍以上に相当するものである。また、非特許文献3においては、2層のグラフェンとSiC基板との間に0.26eVのバンドギャップが存在することが報告されており、トランジスタやその他の電子機器への応用が提案されている。
ところで、上述の如き優れた特性を有するグラフェンを基板上に形成せしめる手法の一つとして、SiC基板を(超)高真空下において加熱し、Si原子を昇華させて、残存するC(炭素)原子の自己組織化によってSiC基板上にグラフェンを形成する手法(以下、SiC熱分解法という)が、従来より広く知られている。
また、上述の如き従来のSiC熱分解法に従って、SiC基板上にグラフェンを形成すると、SiC基板と、C(炭素)原子の自己組織化によって生じた1層又は2層以上のグラフェンとの間に、グラフェンと同様に炭素原子のみから構成され、それら炭素原子のうちの一部がSiC基板のSi(ケイ素)原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈する層、所謂、バッファ層が形成されることが知られている。かかるバッファ層は、電気的に中性であるものの、SiC基板上にバッファ層を介して1層又は2層以上のグラフェンが積層形成されてなるグラフェン/SiC複合材料にあっては、バッファ層におけるフォノン(格子振動)の影響により、材料全体としてのキャリア移動度が大きく低下することが知られている。
ここで、SiC基板とバッファ層との間に形成されている共有結合を切断する手法としては、従来より、SiC基板とバッファ層との間に水素原子、酸素原子や金属原子等を挿入する手法が知られており、それらの中でも、水素原子を挿入する手法(水素インターカレーション)が広く知られている(非特許文献4及び非特許文献5参照)。
しかしながら、SiC基板とバッファ層との間の共有結合を水素インターカレーションによって切断して得られるグラフェン/SiC複合材料にあっては、挿入された水素原子が、時間の経過と共に、或いは加熱によって、脱離してしまい、安定性に欠けるという問題がある。また、現状においては、水素原子を始めとする何れの原子についても、SiC基板とバッファ層との間に形成されている全ての共有結合を切断するのに十分なインターカレーションを実施することは、非常に困難である。
特開2008-120660号公報
K.S.Novoselov 、外7名、「Electric Field Effect in Atomically Thin Carbon Films 」、Science 、(米国)、2004年10月22日、第306巻、第5696号、p.666-669 S.V.Morozov 、外6名、「Giant Intrinsic Carrier Mobilities in Graphene and Its Bilayer」、Physical Review Letters 、(米国)、2008年1月11日、第100巻、第1号、016602(article number) S.Y.Zhou、外8名、「Substrate-induced bandgap opening in epitaxial graphene 」、Nature Materials、(英国)、2007年9月、第6巻、p.770-775 C.Riedl 、他4名、「Quasi-Free-Standing Epitaxial Graphene on SiC Obtained by Hydrogen Intercalation」、Physical Review Letters 、(米国)、2009年12月11日、第103巻、第24号、246804(article number) F.Speck 、他4名、「The quasi-free-standing nature of graphene on H-saturated SiC(0001)」 、Applied Physics Letters 、(米国)、2011年9月22日、第99巻、第12号、122106(article number)
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、1層又は2層以上のグラフェンとSiC基板との間にバッファ層が存在しないグラフェン/SiC複合材料を、有利に製造することが出来る方法を提供することにある。
そして、本発明は、かかる課題を解決するために、SiC単結晶基板上に、炭素原子のみから構成され、該炭素原子のうちの一部が該SiC単結晶基板のSi原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈するバッファ層が形成されてなる複合体を、真空下、加熱し、その後に急冷することを特徴とするグラフェン/SiC複合材料の製造方法を、その要旨とするものである。
また、本発明は、SiC単結晶基板上に、炭素原子のみから構成され、該炭素原子のうちの一部が該SiC単結晶基板のSi原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈するバッファ層を介して、一層又は二層以上のグラフェンが積層形成されてなる複合体を、真空下、加熱し、その後に急冷することを特徴とするグラフェン/SiC複合材料の製造方法をも、その要旨とするものである。
このように、本発明に従うグラフェン/SiC複合材料の製造方法においては、SiC単結晶基板上に、炭素原子のみから構成され、かかる炭素原子のうちの一部がSiC単結晶基板のSi原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈するバッファ層が、真空下において、加熱され、その後に急冷せしめられるところから、バッファ層とSiC単結晶基板との熱膨張率の差に起因して、それら両者間の共有結合が効果的に切断される。即ち、本発明の如き加熱操作及び急冷操作によって、バッファ層がグラフェンへと変換されるのであり、バッファ層フリーのグラフェン/SiC複合材料、換言すれば、一層又は二層以上のグラフェンが自立しているグラフェン/SiC複合材料が、有利に得られることとなるのである。
実施例における、バッファ層におけるラマン散乱スペクトルを示すグラフである。 実施例における、バッファ層よりグラフェンに変換した層のラマン散乱スペクトルを示すグラフである。 実施例における、得られたグラフェン/SiC複合材料のキャリア移動度と温度との関係を示すグラフである。 実施例における、加熱処理の温度と、キャリア移動度及びシートキャリア濃度との関係を示すグラフである。
ところで、本発明の製造方法に従って、グラフェン/SiC複合材料を製造するに際しては、先ず、SiC単結晶基板上にバッファ層が形成されてなる複合体、又は、SiC単結晶基板上に、バッファ層と1層又は2層以上のグラフェンとが、基板側より順に積層形成されてなる複合体(以下、これら複合体を、単に複合体と総称する場合がある)が、準備されることとなる。
ここで、本発明におけるバッファ層とは、炭素原子のみから構成されており、それら炭素原子のうちの一部が、より具体的にはそれら炭素原子のうちの1/3のものが、SiC単結晶基板のSi原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈するものを意味するものであり、擬似的グラフェン層等と称される場合もある。このようなバッファ層を介して、SiC単結晶基板上に1層又は2層以上のグラフェンが積層形成されてなるグラフェン/SiC複合材料にあっては、バッファ層と、SiC単結晶基板のSi面との相互作用が強いことに起因して、材料内でのキャリア移動が低減され、電子デバイスとして利用することが困難となる恐れがある。本発明によれば、そのようなバッファ層をグラフェンへと効果的に変換し、電子デバイス等として利用可能なグラフェン/SiC複合材料を有利に製造することが可能である。
本発明にて用いられるSiC単結晶基板としては、電子デバイス用として一般に市販されているSiC単結晶基板であれば、如何なるものであっても使用することが可能である。それらの中でも、表面がSi(シリコン)面(0001)とされているSiC単結晶基板が、特に有利に用いられる。電子デバイス用のSiC単結晶基板は、例えば「SiCエピタキシャルウェハー」等と称されて、市販されている。また、Si等の基板上に単結晶SiCが形成されてなる基板を用いることも可能である。
なお、SiCには、立方晶(3C−SiC)、六方晶(2H−SiC、4H−SiC及び6H−SiC等)、及び菱面晶(15R−SiC等)に大別される各種の結晶多形が存在することが知られているが、本発明においては、好ましくは、結晶構造が4H−SiC又は6H−SiCであるSiC単結晶基板が用いられる。
上述の如きSiC単結晶基板を用いて、SiC単結晶基板上にバッファ層が形成されてなる複合体、又は、SiC単結晶基板上に、バッファ層と1層又は2層以上のグラフェンとが、基板側より順に積層形成されてなる複合体を製造する際の手法としては、従来より公知の各種手法が、何れも採用可能である。例えば、SiC単結晶基板を、高真空〜低真空下、或いは、低真空圧力〜大気圧のハロゲンガス雰囲気下、1300〜1700℃で、数分〜数時間程度、加熱せしめることにより、目的とする複合体を得ることが出来る。
そして、本発明に従うグラフェン/SiC複合材料の製造方法にあっては、上述の如くして準備された複合体を、真空下、加熱し、その後に急冷せしめるところに、大きな技術的特徴が存するのである。
すなわち、SiC単結晶基板の熱膨張率は、通常、3〜5×10-6(1/K)程度であり、バッファ層の熱膨張率は、グラフェンと同様の構造を呈することから−1〜1.5×10-6(1/K)程度であるところ、そのようなSiC単結晶基板及びバッファ層を有する複合体を、真空下、加熱し、その後直ちに急冷せしめると、SiC単結晶基板とバッファ層との間に形成されている共有結合が、加熱及び急冷によって効果的に切断されることとなる。そして、かかる共有結合の切断によって、バッファ層は1層のグラフェンへと有利に変換されることとなるのであり、以て、バッファ層フリーのグラフェン/SiC複合材料が有利に得られることとなるのである。
本発明において、バッファ層を有する複合体の加熱及び急冷条件は、バッファ層とSiC単結晶基板との間の共有結合が効果的に切断され得るように、例えば、加熱等が施される複合体の大きさ、グラフェンの有無や層数、加熱手法や急冷手法等に応じて、適宜に決定されることとなる。例えば、真空加熱炉を用いて加熱し、加熱後の複合体を液体窒素内に浸漬せしめて急冷する場合、加熱温度としては400〜1000℃程度、加熱時間としては1分〜数時間程度の条件が、採用されることとなる。なお、本発明者等が知得したところによれば、複合体の加熱条件を適宜、設定することによって、最終的に得られるグラフェン/SiC複合材料における、半導体としてのキャリアタイプを、効果的に制御することが可能である。
尤も、本発明の製造方法を実施するに際して、複合体の加熱は、真空加熱炉を使用することに限定されるものではなく、また、加熱された複合体の急冷手法としても、液体窒素中への浸漬に限定されるものではない。要するに、複合体における、バッファ層とSiC単結晶基板との間に存在する共有結合が、十分に切断され得るような加熱手段及び急冷手段であれば、いかなる手段であっても採用可能である。
以上の如き、本発明に従って製造されたグラフェン/SiC複合材料にあっては、グラフェンとSiC単結晶基板との間にバッファ層が存在しないところから、全体として優れたキャリア移動度を示すこととなる。また、バッファ層を有するグラフェン/SiC複合材料と比較して、キャリア移動度の温度依存性が低いものとなる。そのような優れた特性を有していることから、本発明に従って製造されたグラフェン/SiC複合材料は、新規なトランジスタや電子デバイスの創製に大きく寄与することが、期待されるものである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の外にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
なお、以下の実施例において、SiC単結晶基板としては、特に示す場合を除いて、米国CREE社製の4H−SiC単結晶基板(表面:Si面)を用いた。SiC単結晶基板は、以下の各操作を実施する前に、予めフッ酸内に所定時間、浸漬せしめて、その表面に存在する自然酸化皮膜の除去を行なった。
−実施例1−
SiC単結晶基板を、大気圧下でアルゴンガス雰囲気とされた加熱炉内に載置し、1550℃で5分間、加熱した。SiC単結晶基板を室温まで冷却した後、その表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、SiC単結晶基板上に層状のもの(以下、α層という)が形成されていることが認められた。かかるα層が表面に形成されたSiC単結晶基板について、ラマン分光装置(Renishaw社製、製品名:in Via Reflex )を用いてラマン散乱スペクトルを測定した。その測定結果と、予め、加熱前のSiC単結晶基板について測定したラマン散乱スペクトルより、α層のラマン散乱スペクトルを算出した。その結果を、図1に示す。
図1より明らかなように、α層のラマン散乱スペクトルにあっては、ブロードなD−band及びG−bandが現われている一方で、2D−bandが現われていないところから、α層がバッファ層であることが認められた。
以上のようにして、表面にバッファ層が形成されたSiC単結晶基板を、真空下(4〜5×10-3Pa)、900℃で30分間、加熱した。かかる加熱終了後、直ちに、SiC単結晶基板を液体窒素内に浸漬せしめた。液体窒素内からSiC単結晶基板を取り出し、その表面のα層(バッファ層)のラマン散乱スペクトルを、上記と同様の手法に従って測定し、算出した。その結果を、図2に示す。
図2より明らかなように、加熱及び急冷後のα層(バッファ層)のラマン散乱スペクトルにあっては、シャープなD−band及びG−bandが現われていると共に、2687.71cm-1にピークを有し、半値全幅が42.1cm-1である2D−bandも現われているところから、バッファ層たるα層が、SiC単結晶基板との間の共有結合が効果的に切断せしめられて、グラフェンに変換し、グラフェン/SiC複合材料が得られたことが認められる。
得られたグラフェン/SiC複合材料より、5mm×5mmの大きさのものを切り出し、その4角に電極を設けたものを試料として用いて、直流四端子van der Pauw法によるキャリア移動度の温度依存性を測定した。かかる測定は、ホール効果測定装置(株式会社東陽テクニカ製、製品名:ResiTest8300)を用いて、行なった。その結果を、図3に示す。
バッファ層が存在するグラフェン/SiC複合材料においては、通常、温度が高いほど移動度が低くなる傾向が見られるところ、図3からも明らかなように、本発明に従って製造されたグラフェン/SiC複合材料は、温度依存性が低いことが認められた。この結果も、バッファ層たるα層が、SiC単結晶基板との間の共有結合が効果的に切断せしめられて、グラフェンに変換し、グラフェン/SiC複合材料が得られたことを示している。
−実施例2−
SiC単結晶基板を、大気圧下でアルゴンガス雰囲気とされた加熱炉内に載置し、1560℃で5分間、加熱した。室温まで冷却した後、その表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、SiC単結晶基板上に、層状のものが2層(基板側よりβ1層、β2層という)、形成されていることが認められた。それら2層が表面に形成されたSiC単結晶基板について、ラマン分光装置(Renishaw社製、製品名:in Via Reflex )を用いてラマン散乱スペクトルを測定した。その測定結果と、予め、加熱前のSiC単結晶基板について測定したラマン散乱スペクトルより、β1層及びβ2層のラマン散乱スペクトルを算出したところ、SiC単結晶基板の直上に存在するβ1層はバッファ層であり、かかるβ1層上に存在するβ2層はグラフェンであることが、認められた。
以上のようにして、β1層(バッファ層)及びβ2層(グラフェン)が基板側より順に形成されたSiC単結晶基板を、真空下(4〜5×10-3Pa)、900℃で30分間、加熱した。かかる加熱終了後、直ちに、SiC単結晶基板を液体窒素内に浸漬せしめた。液体窒素内からSiC単結晶基板を取り出し、バッファ層であるβ1層のラマン散乱スペクトルを、上記と同様の手法に従って測定し、算出した。その結果において、シャープなD−band及びG−bandが現われており、また、2655.6cm-1にピークを有し、半値全幅が40.8cm-1である2D−bandも現われているところから、バッファ層たるβ1層が、SiC単結晶基板との間の共有結合が効果的に切断せしめられて、グラフェンに変換したことが認められた。また、β1層(バッファ層)及びβ2層(グラフェン)が形成された領域についてのラマン散乱スペクトルを、加熱及び急冷の前後について、上記と同様の手法に従って測定し、算出した。その結果において、2D−bandのピーク波数が2718.7cm-1から2661cm-1へと短波数側に変化していた。これは、グラフェンが1層から2層に変化したことを示しており、加熱及び急冷によって、β1層がバッファ層からグラフェンに変換したことを示している。
−実施例3〜5−
SiC単結晶基板として、米国CREE社製の6H−SiC単結晶基板(表面:Si面、オンアクシス)を準備した。酸化皮膜が除去されてSi面が露出しているSiC単結晶基板を、加熱炉内に載置し、酸素雰囲気下(酸素濃度:99.9%以上)、1000℃で2時間、基板を加熱することにより、SiC単結晶基板の表面に、所定厚さのSiO2 層(アモルファス層)を形成した。このSiO2 層が形成されたSiC単結晶基板を、真空ポンプが接続された加熱炉内に載置し、炉を密閉した後、真空ポンプを作動させて炉内の排気をを開始すると共に、炉の過熱を開始した。そして、真空下(真空度:1×10-4torr)、1500℃で30分間、SiC単結晶基板を加熱した。加熱後の基板を原子間力顕微鏡(AFM)及びラマン分光装置で確認したところ、SiC単結晶基板の直上にはバッファ層が形成されており、かかるバッファ層上には、10層のグラフェンが形成されていることが確認された。
以上のようにして得られた、表面にバッファ層及び10層のグラフェンが形成されたSiC単結晶基板を用いて、その加熱温度を、実施例3については700℃、実施例4については800℃、実施例5については1000℃とした以外は、実施例1と同様の手法に従って、バッファ層が形成されたSiC単結晶基板に対して、加熱処理及び急冷処理を施した。得られた各複合材料より、5mm×5mmの大きさのものを切り出し、その4角に電極を設けたものを試料として用いて、直流四端子van der Pauw法によるキャリア移動度及びシートキャリア濃度の測定を行なった。かかる測定は、ホール効果測定装置(株式会社東陽テクニカ製、製品名:ResiTest8300)を用いて、行なった。その測定結果を、SiC単結晶基板の加熱温度に対応させたグラフとして、図4に示す。なお、図4における「initial 」とは、加熱前の、表面にバッファ層及び10層のグラフェンが形成されたSiC単結晶基板についての測定結果を示すものである。
図4のグラフより明らかなように、ここで用いた加熱手法及び急冷手法の場合にあっては、800℃以上の温度にて加熱し、急冷することにより、材料全体のキャリア移動度が増加することが認められた。また、initial 、及び、700℃の加熱・急冷によって得られた複合材料は、n型伝導を示したのに対して、800℃の加熱・急冷によって得られた複合材料、及び、1000℃の加熱・急冷によって得られた複合材料は、p型伝導であることが認められたのである。

Claims (2)

  1. SiC単結晶基板上に、炭素原子のみから構成され、該炭素原子のうちの一部が該SiC単結晶基板のSi原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈するバッファ層が形成されてなる複合体を、真空下、加熱し、その後に急冷することを特徴とするグラフェン/SiC複合材料の製造方法。
  2. SiC単結晶基板上に、炭素原子のみから構成され、該炭素原子のうちの一部が該SiC単結晶基板のSi原子との間で共有結合を形成している、グラフェンと同一構造を呈するバッファ層を介して、一層又は二層以上のグラフェンが積層形成されてなる複合体を、真空下、加熱し、その後に急冷することを特徴とするグラフェン/SiC複合材料の製造方法。
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