JP2016155019A - 粒子線治療装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒子線の照射準備期間及び照射期間を含めた治療時間中にX線照射による患部撮像を行う粒子線治療装置において、高精度に粒子線の線量管理を行うことができる粒子線治療装置を提供する。【解決手段】粒子線を発生させる粒子線発生装置と、治療室内に設置され、標的に対して粒子線を照射する照射野形成装置と、粒子線発生装置と照射野形成装置とを連絡する粒子線輸送系6と、治療室内に設置され、X線を照射して標的の位置を撮像するX線撮像装置と、照射野形成装置内かつ粒子線が通過する位置に設置された線量計測器8と、治療時間中にX線が照射されるとき、線量計測器8の計測結果からX線の計測結果を除外するように制御する制御装置400を備える粒子線治療装置。【選択図】 図1

Description

本発明は、患者の患部に粒子線を照射する粒子線治療装置に係わり、特に粒子線の照射準備期間及び照射期間を含めた治療時間においてX線照射を利用して標的を撮像する粒子線治療装置に関する。
粒子線治療装置において患部位置を確認することは、患部形状に合わせた線量分布を形成するために重要である。
特に、呼吸などの体の動きに伴って移動する患部に対して線量分布精度を向上させるために、胸部の動きを計測することで呼吸に同期させて粒子線を照射する方法がある。
また、特許文献1には、治療に際して予めCT装置を用いて治療計画用CT画像を撮像し、そのCT画像を利用して粒子線を照射すべき領域を決定する技術が記載されている。
特開2011−217902号公報
患部位置の計測に関しては、治療時間に患部位置をリアルタイムに撮像できると、患部位置の確認をより正確に実施することが可能となる。
しかしながら、治療時間中にX線撮像装置を利用して患部位置を確認しようとすると、照射されたX線が患者の体等で散乱してしまい、それによって粒子線の線量管理に誤差が生じる可能性があることが本発明者らによって見出された。
具体的には下記の様にして誤差が生じうる。
治療時間中に照射されたX線は患者の体等で散乱される。このとき散乱されたX線は、散乱の方向によっては照射野形成装置に設置された線量計測器に入射する。しかし、線量計測器は散乱X線と患部に照射される粒子線とを区別できないため、散乱X線の入射を粒子線の入射として計測する。
このため、粒子線の線量計測を正しく実施することが困難となり、粒子線の線量管理精度と線量分布精度を高く維持することが困難になるとの問題が生じる可能性があることが明らかとなった。
特に、患部を複数のスポットに分割して、スポットごとに粒子線を照射するスポットスキャニングにおいては、散乱X線の影響が大きくなるため、上述の問題により大きな関心を払う必要がある。
本発明は、粒子線の照射準備期間及び照射期間を含めた治療時間中にX線照射による患部撮像を行う粒子線治療装置において、高精度に粒子線の線量管理を行うことができる粒子線治療装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、粒子線治療装置であって、粒子線を発生させる粒子線発生装置と、治療室内に設置され、標的に対して前記粒子線を照射するための照射野形成装置であって、前記粒子線が通過する位置に線量計測器が設置された照射野形成装置と、前記粒子線発生装置と前記照射野形成装置とを連絡する粒子線輸送系と、前記治療室内に設置され、X線を照射して前記標的の位置を撮像するX線撮像装置と、前記線量計測器の計測結果から前記X線撮像装置由来の散乱X線の計測結果を除外する制御を行う制御装置とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、治療時間中にX線が照射される際に、照射野形成装置内の粒子線が通過する位置に設置された線量計測器の計測結果からX線の計測結果を除外するように制御されるため、散乱X線と粒子線とを区別することができ、粒子線の線量計測を正しく実施することができる。したがって、粒子線の線量管理を高い精度で行うことができる。
本発明の一実施形態である粒子線治療装置の概略構成を示す図である。 本発明の一実施形態である粒子線治療装置を構成する治療室内の概略構成を示す図である。 粒子線治療装置による粒子線照射の際に、粒子線の次スポット進行をX線照射の一定時間前に停止する場合の、X線照射、粒子線照射のタイミングと、X線撮像制御部が出力する信号のタイミングとを示す図である。 本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の一例の概略図である。 本発明の一実施形態である粒子線治療装置の概略の他の例を示す構成図である。 本発明の一実施形態における粒子線治療装置において、粒子線照射を実施するか否かを決定する条件の一例を示す図である。 本発明の一実施形態である粒子線治療装置の概略の他の例を示す構成図である。 本発明の一実施形態における粒子線治療装置において、粒子線照射を実施するか否かを決定する条件の一例を示す図である。 本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。 粒子線治療装置による粒子線照射の際に、X線照射開始と同時に粒子線照射を停止する場合の、X線照射、粒子線照射のタイミングと、X線撮像制御部および照射制御部が出力する信号のタイミングとを示す図である。 本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。 本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。 本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を用いて説明する。
なお、本実施例の粒子線治療装置は、患部をスポットと呼ばれる微小な立体領域に分割して、それらのスポットに対して線量を好適に集中させることができるディスクリートスポットスキャニング法を利用するものとする。また、粒子線とは陽子線、中性子線、炭素線等を含むものとする。
更に、粒子線治療では患部に対して所望の線量分布が形成されるように、異なるエネルギーをもつ粒子線の照射を実施することがある。このような治療を実施するためには、一端照射を中断して、その間に粒子線発生装置を用いて異なるエネルギーをもつ粒子線を生成する必要がある。粒子線治療において、このような異なるエネルギーをもつ粒子線を生成している時間も治療に要する時間として扱われる。そこで、以降の説明においては、粒子線を照射している時間と照射する粒子線を準備している時間を合わせて治療時間とする。
(実施例1)
本発明の粒子線治療装置の実施例1を、図1乃至図4を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態である粒子線治療装置の概略構成を示す図、図2は本発明の一実施形態である粒子線治療装置を構成する治療室内の概略構成を示す図、図3は粒子線治療装置による粒子線照射の際に、粒子線の次スポット進行をX線照射一定時間前に停止する場合の、X線照射、粒子線照射のタイミングと、X線撮像制御部が出力する信号のタイミングとを示す図、図4は本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の一例の概略図である。
図1に示すように、粒子線治療装置100は、粒子線発生装置101、粒子線輸送系6、治療室105、制御装置400を概略備えている。
粒子線発生装置101は、イオン源、ライナック等の前段加速器1、加速器であるシンクロトロン2とから概略構成される。
粒子線治療を行う場合には、まずイオン源で生成された荷電粒子が前段加速器1に供給される。前段加速器1はこれらの荷電粒子を加速した後、シンクロトロン2に供給する。前段加速器1から荷電粒子を受け取ったシンクロトロン2は、荷電粒子を所定のエネルギーまで更に加速させて荷電粒子ビーム(粒子線)を生成する。また、シンクロトロン2は周回する粒子線を取り出すために、粒子線の安定限界を変更する高周波四極電磁石や、高周波を印加して粒子線のベータトロン振動振幅を増大させるRFキッカー4を備える。
なお加速器としてシンクロトロン2を例に挙げたが、シンクロトロン2に代わり、例えばサイクロトロン等のような前段加速器1を必要としない加速器を用いてもよい。
粒子線輸送系6は、粒子線経路、四極電磁石、偏向電磁石3、高速ステアラー5を概略有している。この粒子線輸送系6が構成する粒子線経路は、粒子線発生装置101と後述する治療室に備えられた照射野形成装置102とを連絡している。粒子線発生装置101で生成された粒子線は、この粒子線輸送系6を介して治療室に輸送される。
治療室105には、図2に示すように、標的に対して粒子線を照射する照射野形成装置102、患部位置を確認するためのX線撮像装置103、患者を照射に適した位置に移動させるためのカウチ(ベッド)104が設置されている。
また、治療室105は、モーター等を利用して回転させることができるガントリーと一体的に設けることもある。その様なガントリーに対して照射野形成装置102と粒子線輸送系6の一部とを設置すると、ガントリーを回転させることで任意の方向から患者の治療を実施することが可能となり、一方向からは照射困難な患部に対しても効果的な治療を実施することができる。
図1に戻って、照射野形成装置102には、二つの走査電磁石7と線量計測器8とが設置されている。
粒子線輸送系6を介して運ばれてきた粒子線は、これらの走査電磁石7の間と線量計測器8とを通過して照射される。照射される粒子線は、治療の計画に沿って励磁された走査電磁石7間を通過する際に、その電磁力によって進路を曲げられ、患部形状に適した照射野を形成するようにx,y方向へ走査される。
線量計測器8は、より患者に近い位置での照射線量を計測するために走査電磁石7と患者の間に設置されており、自身を通過する粒子線の線量を計測する。この計測値を利用して線量管理が実施される。
X線撮像装置103は、パルス照射が可能な撮像用のX線を発生させるX線発生装置9a,9bおよび発生したX線を検出するX線受像機11a,11bを有している。
X線発生装置9a,9bは、X線撮像制御部405によって照射タイミングを制御される。それぞれの機器は、図1に示すように、二軸方向から撮像を実施できるように設置される。すなわちX線発生装置9aとX線受像機11aとが、患者が設置される領域を挟んで対面するように配置され、またX線受像機11aが照射野形成装置102側に設置されている。そしてX線発生装置9bとX線受像機11bとは、先の一対のX線発生装置9aとX線受像機11bと同様に、患者が設置される領域を挟んで対面するように配置され、またX線受像機11bが照射野形成装置102側に設置される。このときX線発生装置9aとX線受像機11aとを結ぶ線分と、X線発生装置9bとX線受像機11bとを結ぶ線分とは、患者が設置される領域にて交差するように設置される。
なお、このX線撮像装置103については、一軸方向から撮像を行う配置であってもよいし、X線発生装置とX線受像機の配置を逆転させて配置してもよい。
制御装置400は、上述した粒子線発生装置101、粒子線輸送系6、回転ガントリー、照射野形成装置102、X線撮像装置103等を構成する機器を制御する。
制御装置400は、図1に示すように、中央制御部401をはじめとした各制御部や、粒子線発生装置101、粒子線輸送系6、回転ガントリー、照射野形成装置102、X線撮像装置103等とそれぞれ信号の授受を行うよう構成されている。制御装置400内には、各制御部としての中央制御部401、加速器制御部402、輸送系制御部403、照射制御部404、X線撮像制御部405、カウチ制御部406、ガントリー制御部407の他に、各種パラメータを記憶する記憶部409および各種パラメータを入力するための入力部等が備えられている。
本実施例の制御装置400は、中央制御部401によってインターロック等の制御を実施する。また、加速器制御部402によって粒子線発生装置101の各装置を制御し、輸送系制御部403によって粒子線輸送系6の各装置を制御する。更に、照射制御部404によって照射野形成装置102を制御し、X線撮像制御部405によってX線撮像装置103を制御する。カウチ制御部406によってカウチ104の各装置を制御し、ガントリー制御部407によって回転ガントリーを制御する。
また、制御装置400では、X線撮像制御部405において粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングとを分離する制御を行う。
更に、制御装置400は、照射制御部404において線量計測器8の計測結果から散乱X線の寄与を取り除く演算処理を行う。
次に、図3を参照して、制御装置400のX線撮像制御部405における制御の詳細について以下説明する。
X線撮像制御部405は、患部位置を継続的に撮像するために、図3(A)に示すように、一定の時間間隔でパルス的にX線照射(パルス照射)を実行するようにX線発生装置9a,9bに対して信号を出力する。また、X線撮像制御部405は、X線の照射が終了した後から次のX線が照射される一定時間(次スポット進行停止時間)前までの間、照射制御部404に対してスポット進行許可信号を出力する。図3(C)に示すように、照射制御部404は、このスポット進行許可信号が入力されている間は、図3(B)に示すように、粒子線の照射を実施するとともに、照射中のスポットからその次に照射される予定のスポットへと粒子線の照射位置が更新されるよう、輸送系制御部403および加速器制御部402を制御する。そしてスポット進行許可信号の入力が途切れた際には、照射制御部404は、輸送系制御部403および加速器制御部402に対してスポット進行停止信号を出力する。このスポット進行停止信号を受け取った輸送系制御部403は照射中のスポットからその次に照射される予定のスポットへと粒子線の照射位置が更新されないように、粒子線輸送系6に設置されている高速ステアラー5に対して励磁信号を送信する。また、スポット進行停止信号を受け取った加速器制御部402はRFキッカー4に対して停止信号を出力する。
以上の様に制御装置400は、X線撮像制御部405から送信されるパルス前信号を受け取り、照射野形成装置102への粒子線輸送を遮断することによって、粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングとを分離する制御を行う。
次に、図4を用いて、照射制御部404の構成と制御の詳細を説明する。
照射制御部404は、図4に示すように、線量計測器8の計測結果から散乱X線の寄与を取り除く線量管理システム408を有している。
この線量管理システム408は、粒子線やX線を計測して電気信号を出力する線量計測器8、線量計測器8からの信号を積算する積算カウンタ13、粒子線が照射されていない期間中にのみ線量計測器8からの信号を積算する減算用積算カウンタ15、積算カウンタ13から出力された積算値Aと減算用積算カウンタ15から出力された積算値Bに基づいてA−αBの演算を行う減算用演算部16、計画された線量が照射されたかを判定する線量満了判定部14とによって概略構成されている。積算カウンタ13、減算用積算カウンタ15、減算用演算部16での演算結果は、記憶部409にて記憶される。
なお、減算用演算部16で用いられる定数αとは、粒子線非照射時にA−αB=0とするための係数であって、粒子線治療装置を稼動させる前に算定される。このαは、本実施例では1となる。
線量管理システム408が実施する計算処理について、X線が照射されている(粒子線照射は停止)場合と、粒子線が照射されている(X線照射は停止)場合とに分けて以下説明する。
まずX線発生装置9a,9bを利用して患部位置を撮像するためにパルス照射が実施されている場合を説明する。
X線発生装置9a,9bからX線が照射されている間、照射されたX線は人体またはその他の要因によって様々な方向に向かって散乱する。照射野形成装置102に配置された線量計測器8は、粒子線照射の実施・停止を問わず稼動しているため、散乱されて入射してくるX線を粒子線輸送系6によって輸送された粒子線と区別することなく計測する。線量計測器8が計測した粒子線やX線は電気信号に変換され、この信号を受け取った積算カウンタ13と減算用積算カウンタ15は、信号を積算する。積算カウンタ13の積算値をA、減算用積算カウンタ15の積算値をBとすると、積算カウンタ13と減算用積算カウンタ15からの積算値A,Bはそれぞれ減算用演算部(減算部)16に出力され、この減算用演算部16においてA−αBの演算が行われる。減算用演算部16での演算結果は、照射線量が計画値に達したかを判定する線量満了判定部14に出力されて、所定の線量が照射されたか否かの線量管理が実施される。
次に、X線のパルス照射が停止され、粒子線の照射が実施されている場合について説明する。
粒子線は照射される際に線量計測器8を通過するため、この通過する粒子線を線量計測器8は計測する。線量計測器8は計測した粒子線に応じて電気信号を出力し、積算カウンタ13と減算用積算カウンタ15の両方がこの信号を受け取る。このとき積算カウンタ13は信号を積算するが、減算用積算カウンタ15はX線照射が実施されている間のみ動作するため信号の積算は行われず、減算用積算カウンタ15の積算値Bは0となる。各積算カウンタ13,15の積算値A,Bは減算用演算部16に出力され、A−αBの演算(B=0として)が実施され、X線のパルス照射時と同様の演算が実施される。
このように、本実施例の線量管理システム408は、減算用積算カウンタ15を利用して散乱X線由来の計測値を取得している。従って、散乱X線由来の積算値を線量計測器8の積算値から差し引くことができ、実際の粒子線の照射量に基づく測定値を取得することができる。
なお減算用積算カウンタ15は、X線照射が実施されているときのみ作動するよう構成したが、この作動の制御にあたっては、高速ステアラー5の励磁に応じて出力される信号を利用している。これは、粒子線の照射停止時間が、粒子線輸送系6に設置された高速ステアラー5が励磁されている時間と等しく、その期間にX線照射が実施されるため、高速ステアラー5の励磁状況を示す信号を利用すると、X線照射時の信号の積算を選択的に実施することができるためである。
本実施例の粒子線治療装置によれば、以下に示すような効果を得ることができる。
まず、制御装置400のX線撮像制御部405によって粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングとが分離されるよう制御されるため、線量計測器8は両方の照射を同時に計測するような期間がなくなり、それによって、散乱X線のカウントによる線量の誤計測を回避することができる。また、X線照射の一定時間前に粒子線の次スポット進行を停止するため、粒子線を高速で遮断するための高速遮断機構が不要であり、機器の簡素化が可能である。
更に、制御装置400の照射制御部404に設けられた線量管理システム408によって、散乱X線由来の積算値を線量計測器8の積算値から差し引いて粒子線の照射に基づく測定値を取得することができるため、粒子線の線量管理をより正確に実施することができる。
加えて、本実施例の粒子線治療装置では、治療時間に患者が身動きするなどして一時的に照射を中断し、その後に治療を再開するような場合であっても、高精度な線量管理を継続することができる。
例えば、粒子線治療において患者の身動き等によって患部が大きく移動する場合を考える。このような事態が生じた場合、照射は中断される。そして照射の再開にあたっては、X線撮像を利用して患者の位置を再度設定する必要がある。このとき線量計測器8が位置設定のために照射されるX線の散乱成分を誤って計測すると、照射中断の前後で線量管理に誤差が生じる可能性が考えられる。しかし、本実施例によると粒子線照射とX線照射のタイミングを分離して計測し、さらに粒子線由来の線量測定値を取得することができるため、そのような誤差は生じず、照射の中断があったとしても高精度な線量管理を継続することができる。
なお、輸送系制御部403が高速ステアラー5に励磁信号を送信するタイミングを、X線撮像制御部405からのパルス前信号を受信したタイミングとしたが、制御装置400に粒子線の照射を停止させるタイミングを記憶させておき、粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングとを分離させてもよい。
また、減算用積算カウンタ15を作動させる信号は、粒子線の出射が停止されている状態を知ることができる信号であればよい。したがって、例えば、シンクロトロン2に設置されたビーム出射に関係するRFキッカー4の停止信号や高速四極電磁石の励磁停止信号を利用してもよい。
(実施例2)
次に、本発明の粒子線治療装置の第2の実施例について、図5および図6を参照して説明する。図5は本発明の一実施形態である粒子線治療装置の概略の他の例を示す構成図、図6は本発明の一実施形態における粒子線治療装置において、粒子線照射を実施するか否かを決定する条件の一例を示す図である。
図5に示す実施例2の粒子線治療装置100Gは、図1に示す実施例1の粒子線治療装置100の制御装置400に備えられる中央制御部401が中央制御部401Gに置き換えられた制御装置400Gを備えている構成となっている。
具体的には、本実施例の粒子線治療装置100Gの制御装置400Gにおける中央制御部401Gは、実施例1の中央制御部401が実施する制御機能に加え、治療時間内に複数回繰り返されているスポットの出射から停止するまでの予測時間を演算し、この予測時間に基づいて粒子線の照射を制御するよう構成されている。
本実施例について、実施例1と同様の構成・機能については説明を省略し、相違部分について詳細に説明する。
中央制御部401Gは、スポットの照射を開始する際に、そのスポットの出射から停止するまでの予測時間tを演算する。次いで、中央制御部401Gは、先に演算した予測時間tを基にして、そのスポットの照射が完了するまでに粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングが重なるか否かを判定する。
例えば、図6に示すように、粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングが重ならないと判定される(B1)(B2)のスポット群αや(B1)のスポットβ1では、粒子線を照射するよう加速器制御部402および輸送系制御部403を制御する。これに対し(B2)に示すスポットβ2では、粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングが重なると判定されるため、粒子線を照射しないよう加速器制御部402および輸送系制御部403を制御する。
ここで、スポット毎の粒子線照射量は、様々な値を取り、スポット内の平均ビーム電流はある範囲で変動する。この組み合わせによってスポット照射時間は決まる。このため、本実施例では、最も大きな粒子線照射量と最も低いスポット内の平均ビーム電流が組み合わさった場合であっても粒子線と撮像用X線照射を分離できるよう、余裕を持って次スポットへの進行停止時間を設定している。
なお、最も大きな粒子線照射量と最も低いスポット内の平均ビーム電流の組み合わせ以外の場合は、余計な次スポットへの進行停止時間が存在してしまう。そこで、最も大きな粒子線照射量と最も低いスポット内の平均ビーム電流が組み合わさった場合よりも少なく次スポットへの進行停止時間を設定してもよい。このように設定しても、ほとんどのタイミングで粒子線と撮像用X線照射とを分離することができる。
何れの場合でも、実施例1が奏する効果を、より少ない治療時間の延長で得ることができる。
なお予測時間を演算するためには、スポット内の平均ビーム電流を求める必要がある。平均ビーム電流を求める方法には、例えば、モデルに基づいてあらかじめ算出した値を用いる方法、照射済みスポットのビーム電流の計測値を用いる方法などがある。
(実施例3)
次に、本発明の粒子線治療装置の第3の実施例について、図7および図8を参照して説明する。図7は本発明の一実施形態である粒子線治療装置の概略の他の例を示す構成図、図8は本発明の一実施形態における粒子線治療装置において、粒子線照射を実施するか否かを決定する条件の一例を示す図である。
図7に示す本実施例の粒子線治療装置100Hは、実施例1の粒子線治療装置100の制御装置400に備えられた中央制御部401が、中央制御部401Hに置き換えられた制御装置400Hを有している。
具体的には、本実施例の粒子線治療装置100Hの制御装置400Hにおける中央制御部401Hは、実施例1の中央制御部401の実施する制御機能に加え、治療時間内に複数回繰り返されているスポットの各々の出射から停止するまでの時間を計測しながら、この計測している時間の計測値を用いて粒子線の照射を制御する。
本実施例について、実施例1と同様の構成・機能については説明を省略し、相違部分について詳細に説明する。
中央制御部401Hは、スポットの進行の際に、各々のスポットにおいて、出射開始から照射停止するまでの時間を計測しながら、その計測値とあらかじめ記憶部409に記憶された判定時間とを比較する。この判定時間は、次スポットへの進行停止時間よりも小さく設定する。
そして、図8(B)に示すスポット群αのような判定時間と比べて計測時間が短い場合は、特別な制御を新たに加えることなくスポット進行を継続する。
これに対し、図8(B)に示すスポットβのように、判定時間と比べて計測時間が長くなることが確定する場合は、即時に粒子線発生装置101から取り出す粒子線電流を増加する制御を行う。例えば、イオン源から粒子線を再度生成しシンクロトロン2を周回する粒子線を増やす、または周回する粒子線を取り出すためのRFキッカー4の出力を増やす、更には両者を合わせた制御をする、等を実施するために、加速器制御部402および輸送系制御部403に信号を出力する。
本実施例では、スポットの計測時間が設定時間以上に長くなると粒子線電流を増加させる制御を行うため、スポットの照射時間を短く保ったままスポットを進行できる。このため、次スポットへの進行停止時間と比べてより短いスポット照射時間でスポットを進行し続けられ、粒子線と撮像用X線照射を分離のための処理により時間的余裕を持たせられる。すなわち、実施例1が奏する効果をより高い信頼性で得られる。
(実施例4)
次に、本発明の粒子線治療装置の第4の実施例について、図9を参照して説明する。図9は本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。
本実施例の粒子線治療装置は、実施例1の粒子線治療装置100において、制御装置400に備えられた照射制御部404の線量管理システム408が、線量管理システム408Aに置き換えられた構成を有する。
具体的には、図9に示すように、本実施例の制御装置400Aの照射制御部404Aにおける線量管理システム408Aは、図1に示す実施例1の線量管理システム408に設けられた減算用積算カウンタ15および減算用演算部16が設けられていない構成となっている。この線量管理システム408Aは、制御装置400Aに設けられた照射制御部404A内に設けられている。本実施例について、実施例1と同様の構成・機能については説明を省略し、相違部分について詳細に説明する。
本実施例においても、制御装置400Aは、X線撮像制御部405において粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングとを分離する制御を行う。
本実施例の線量管理システム408Aは、図9に示すように、線量計測器8からの信号を積算する積算カウンタ13Aと、計画された線量が照射されたかを判定する線量満了判定部14とから概略構成されている。積算カウンタ13Aは、線量満了判定部14と直結している。
積算カウンタ13Aは、粒子線を照射している期間にのみ線量計測器8からの信号を積算するよう構成されている。
本実施例の線量管理システム408Aの計算処理について、X線が照射されている場合と粒子線が照射されている場合とに分けて説明する。
まずX線発生装置9より患部位置を撮像するためにパルス照射が実施される場合を説明する。
線量計測器8は粒子線照射の実行停止を問わず稼動しているため、散乱されて入射してくるX線が計測される。このとき計測された散乱X線に応じて電気信号が線量計測器8から積算カウンタ13Aに対して出力されるが、積算カウンタ13Aは停止しているため信号は積算されない。そのため、線量満了判定部14に積算信号Aとして0が出力される。
これに対し、X線のパルス照射が停止され粒子線の照射が実施されている場合は、粒子線の計測に応じて線量計測器8から出力される電気信号を積算カウンタ13Aが積算する。積算カウンタ13Aの積算値Aは線量満了判定部14に出力され、線量満了判定部14において照射線量が計画値に達したかが判定される。
以上説明したように、本実施例の線量管理システム408Aは、粒子線の照射期間のみ積算カウンタ13Aが線量計測器8から出力された信号を積算するため、粒子線由来の測定値を取得することができる。
粒子線照射が実施されている間のみ積算カウンタ13Aを動作させるためには、高速ステアラー5が励磁している間に出力する信号を、積算カウンタ13Aのオフ信号として用いる。
本実施例によると、実施例1が奏する効果に加えて、減算用積算カウンタ15や減算用演算部16などが不要のため、線量管理システムの機器構成を簡素化することができる。
(実施例5)
次に、本発明の粒子線治療装置の第5の実施例について、図10を参照して説明する。図10は粒子線治療装置による粒子線照射の際に、X線照射開始と同時に粒子線照射を停止する場合の、X線照射、粒子線照射のタイミングと、X線撮像制御部および照射制御部が出力する信号のタイミングとを示す図である。
本実施例の粒子線治療装置は、実施例1の粒子線治療装置100において、制御装置400が置き換えられた構成を有する。
実施例1の制御装置400では、X線照射を開始する一定時間前に粒子線の照射を停止させるように制御している。これに対し本実施例の制御装置では、この一定時間を設けることなくX線照射と粒子線照射とを分離するように制御する。つまり、本実施例の粒子線治療装置は実施例1の粒子線治療装置100と同じ構成を有するが、両者は制御装置による制御方法が異なる。
本実施例の制御装置による制御について、実施例1の制御装置400と異なる制御となる点について説明する。なお、実施例1との共通事項については説明を省略する。
本実施例において、制御装置のX線撮像制御部405は、図10(A),(B),(C)に示すように、X線の照射が終了した後から次のX線が照射されるまでの間、照射制御部404に対してスポット進行許可信号を出力する。照射制御部404は、このスポット進行許可信号が入力される間は、粒子線の照射を継続するよう、輸送系制御部403および加速器制御部402を制御する。そしてスポット進行許可信号の入力が途切れた際には、図10(D)に示すように、照射制御部404は、輸送系制御部403および加速器制御部402に対してスポット進行停止信号を出力する。このスポット進行停止信号を受け取った輸送系制御部403は粒子線の照射を停止するために粒子線輸送系6に設置されている高速ステアラー5に対して励磁信号を送信する。また、スポット進行停止信号を受け取った加速器制御部402はRFキッカー4に対して停止信号を出力する。
このように、本実施例の粒子線治療装置は、X線のパルス照射が開始される時点で、粒子線の照射を打ち切っているため、粒子線照射とX線照射を分離することができる。
本実施例の線量管理システムの基本的な構成および動作は実施例1と同様である。実施例1との相違点は、減算用積算カウンタ15を作動させるために、X線照射の開始信号を利用している点にある。なお、本実施例においても高速ステアラー5を励磁している間に出力させる信号を、減算用積算カウンタ15の作動に利用することもできる。
本実施例は実施例1と同様の効果を奏することに加えて、粒子線と撮像用X線照射を分離する方ために一定時間の余裕を設けなくともよいため、治療時間の延長を最小限に留めることができる。
(実施例6)
次に、本発明の粒子線治療装置の第6の実施例について説明する。
本実施例の粒子線治療装置は、実施例4の粒子線治療装置において、制御装置400Aが置き換えられた構成を有する。
すなわち、実施例4の制御装置400Aは、X線照射を開始する一定時間前に粒子線の照射を停止させるように制御したが、本実施例の制御装置は実施例5の制御装置と同様に一定時間を設けることなくX線照射と粒子線照射とを分離するように制御する。つまり、本実施形態の粒子線治療装置は、実施例4の粒子線治療装置と同じ構成を有するが、両者は制御装置による制御方法が異なる。
本実施例の線量管理システムは、図9に示す実施例4の線量管理システム408Aと同じ構成を有している。本実施例の線量管理システムが実施例4の線量管理システム408Aと相違する点は、X線照射の開始信号を積算カウンタ13の作動を停止する信号として利用する点にある。
本実施例によると、治療時間の延長を最小限に留めることが可能であると共に、減算用積算カウンタ15や減算用演算部16などが不要のため、線量管理システムの機器構成が簡素化できる。
(実施例1−6のまとめ)
以上、説明した実施例1から実施例6の粒子線治療装置は、粒子線の照射タイミングとX線のパルス照射のタイミングとを制御装置を利用して分離することや、線量計測器8の計測値から散乱X線由来の計測値を差し引くことで粒子線由来の計測値を算出する線量管理システムを有する点が特徴である。このような特徴を有することによって、粒子線と散乱X線の計測タイミングが分離されて計測期間の重なりをなくすことができる。また、線量計測器8の計測値から粒子線由来の計測値を取得することができる。
その結果、粒子線の高い線量管理精度と線量分布精度とを実現しつつ、X線のパルス照射を利用して患部位置をリアルタイムに確認することができる。
特に、ディスクリートスポットスキャニング法などの微小な領域単位で線量管理をすることが必要な照射方法を採用している粒子線治療装置においては、X線撮像装置由来の計測誤差を解消できる本発明の実施例1−6は大きな貢献を果たす。
なお、各実施例の粒子線治療装置はディスクリートスポットスキャニング法を利用するものとしたが、照射制御装置および線量管理システムは、これに限定されず、ラスタースキャニング法や散乱体を利用したワブラー照射法等を利用する粒子線治療装置にも適用できる。粒子線の照射タイミングとX線のパルス照射のタイミングとを、粒子線の照射位置の更新を一定時間のマージンを設けて停止させるか、または粒子線を強制的に照射停止させることによって分離させているため、粒子線の照射法は、スポットスキャニングに限定されなくとも同様の効果を奏する。
ところで、高精度な線量管理精度と線量分布精度とを実現しつつ、X線を利用して治療時間に患部位置をリアルタイムに確認できる粒子線治療装置として、上記の各実施例と異なる特徴を備える下記の実施例なども考えられる。それらの実施例について、以下説明する。
(実施例7)
次に、本発明の粒子線治療装置の第7の実施例について、図11を参照して説明する。図11は本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。
図11に示すように、本実施例の粒子線治療装置の制御装置400Dのうち、照射制御部404Dの線量管理システム408Dは、図4に示す粒子線治療装置100の制御装置400のうちの照射制御部404の線量管理システム408に示す構成に加えて、散乱X線の計測を行う散乱X線用線量計測器(第2線量計測器)17と、その計測値を積算する散乱X線用積算カウンタ18とを備えている。
本実施例の粒子線治療装置における粒子線の線量計測は、散乱X線用線量計測器17で計測された散乱X線由来の積算値を、線量計測器8から得られた積算値から差し引くことで実施される。
具体的には、線量計測器8から出力される信号が積算カウンタ13にて積算されるとともに、散乱X線用線量計測器17から出力される信号が散乱X線用積算カウンタ18にて積算される。積算カウンタ13の積算値Aと散乱X線用積算カウンタ18の積算値Bは、それぞれA−αBの演算処理がなされる減算用演算部16に出力される。この減算用演算部16におけるA−αBの演算結果は、照射線量が計画値に達したかを判定する線量満了判定部14に出力される。
本実施例は、散乱X線を測定する散乱X線用線量計測器17と、その信号を積算する散乱X線用積算カウンタ18とを有していることにより、粒子線と撮像用のX線の照射タイミングを分離する必要がない。従って、粒子線の照射制御や線量管理システム等を簡素化することができる。
また、粒子線の照射方法は先に挙げたラスタースキャニング等であってもよく、X線の照射についてもパルス照射に限定されなくともよい。
(実施例8)
次に、本発明の粒子線治療装置の第8の実施例について、図12を参照して説明する。図12は本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。
実施例8は、実施例7に示した散乱X線用線量計測器17と、その信号を積算する散乱X線用積算カウンタ18とからなる構成を、線量計測器8で計測される散乱X線を模擬した信号を減算用演算部16に対して出力する散乱X線模擬装置19に置き換えたものである。
本実施例の粒子線治療装置の制御装置400Gのうち照射制御部404Gにおける線量管理システム408Gでは、図12に示すように、線量計測器8から出力される信号の積算値から散乱X線模擬装置19から出力される信号の積算値を差し引くことによって粒子線の線量計測が実施される。
散乱X線模擬装置19の使用にあたっては、治療前に予め撮像用のX線を照射して、散乱X線量を計測するバックグラウンド測定を行う。散乱X線模擬装置19は、このバックグラウンド測定の結果に基づき、X線の照射と連動して散乱X線の模擬信号を出力する。例えば、X線照射期間のみ、散乱X線模擬装置19は減算用演算部16に対して模擬信号を出力する。
本実施例によると、散乱X線を計測するために散乱X線用線量計測器17および散乱X線用積算カウンタ18からなる構成を設けることなく実施例7と同様の効果を得ることができる。
(実施例9)
次に、本発明の粒子線治療装置の第9の実施例について、図13を参照して説明する。図13は本発明の一実施形態における粒子線治療装置を構成する照射野形成装置、X線撮像装置及び制御装置の構成の他の一例の概略図である。
本実施例は、実施例1にて説明した線量管理システムに実施例8で説明した散乱X線模擬装置を組み込んだ構成となっている。
図13に示すように、本実施例の粒子線治療装置は、減算用積算カウンタ15と散乱X線模擬装置19とが入力切換器20を介して減算用演算部16に接続されたものである。
本実施例の制御装置400Fの照射制御部404Fにおける線量管理システム408Fが備える入力切換器20は、粒子線の照射状況に応じて、減算用演算部16へ出力する信号の取得元を切り替える。すなわち、粒子線を照射している期間に関しては、入力切換器20は、散乱X線模擬装置19より入力する積算値b2と減算用積算カウンタ15より入力する積算値b1のうち、散乱X線模擬装置19から出力される積算値b2を減算用演算部16に出力値Bとして出力する。これに対し、高速ステアラー5が励磁されていることを示す信号が出力されている期間、すなわち粒子線を照射していない期間に関しては、入力切換器20は、減算用積算カウンタ15から入力した積算値b1を減算用演算部16に出力値Bとして出力する。そして、減算用演算部16では、実施例1等と同様に、A−αBの演算処理が実施され、この演算結果が線量満了判定部14に出力される。
本実施例において粒子線の線量計測は次のように実施される。減算用積算カウンタ15から積算値b1が、散乱X線模擬装置19からは積算値b2が入力切換器20に入力される。そして、粒子線の照射状況に応じて積算値b1,b2のどちらかの入力値が、出力値Bとして減算用演算部16に出力され、減算用演算部16にて演算処理が行われる。
本実施例によると、粒子線とX線の照射タイミングを分離する必要はかならずしもない。また、制御システムが簡素化でき、治療時間が延長することが無くなる。また線量計測器8を利用して散乱X線を計測するため、線量管理精度は実施例8よりもさらに向上する。
(その他)
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。
例えば、実施例1等において、制御装置400におけるX線撮像制御部405での粒子線の照射タイミングとX線の照射タイミングとを分離する制御と、照射制御部404における線量計測器8の計測結果から散乱X線の寄与を取り除く演算処理とは、それぞれ単独で実行されていてもよい。
また、実施例9において、減算用積算カウンタ15の代わりに、実施例7に示した散乱X線用線量計測器17と散乱X線用積算カウンタ18とからなる構成を設けることができる。この場合、粒子線を照射している期間は、入力切換器20は、散乱X線模擬装置19より入力する積算値と散乱X線用積算カウンタ18より入力する積算値のうち、散乱X線模擬装置19から出力される積算値を減算用演算部16に出力する。これに対し、粒子線を照射していない期間は、散乱X線用積算カウンタ18から入力した積算値を減算用演算部16に出力するようにするものとすることができる。
更に、制御装置400の各制御部が並列に接続され、関係する制御部に信号を直接出力する構成について説明したが、制御装置の構成はこれに限られず、例えば中央制御部が各制御部を統括して制御するように構成することもできる。
1…前段加速器、
2…シンクロトロン、
3…偏向電磁石、
4…RFキッカー、
5…高速ステアラー、
6…粒子線輸送系、
7…走査電磁石、
8…線量計測器、
9a,9b…X線発生装置、
11a,11b…X線受像機、
13,13A…積算カウンタ、
14…線量満了判定部、
15…減算用積算カウンタ、
16…減算用演算部(減算部)、
17…散乱X線用線量計測器(第2線量計測器)、
18…散乱X線用積算カウンタ、
19…散乱X線模擬装置、
20…入力切換器、
100,100G,100H…粒子線治療装置、
101…粒子線発生装置、
102…照射野形成装置、
103…X線撮像装置、
104…カウチ(ベッド)、
105…治療室、
400,400A,400D,400E,400F,400G,400H…制御装置、
401,401G,401H…中央制御部、
402…加速器制御部、
403…輸送系制御部、
404,404A,404D,404E,404F…照射制御部、
405…X線撮像制御部、
406…カウチ制御部、
407…ガントリー制御部、
408,408A,408D,408E,408F…線量管理システム、
409…記憶部。

Claims (15)

  1. 粒子線治療装置であって、
    粒子線を発生させる粒子線発生装置と、
    治療室内に設置され、標的に対して前記粒子線を照射するための照射野形成装置であって、前記粒子線が通過する位置に線量計測器が設置された照射野形成装置と、
    前記粒子線発生装置と前記照射野形成装置とを連絡する粒子線輸送系と、
    前記治療室内に設置され、X線を照射して前記標的の位置を撮像するX線撮像装置と、
    前記線量計測器の計測結果から前記X線撮像装置由来の散乱X線の計測結果を除外する制御を行う制御装置とを備えた
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 請求項1に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、前記線量計測器の計測結果から前記散乱X線の計測結果を減算することで前記散乱X線の計測結果を除外する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  3. 請求項2に記載の粒子線治療装置において、
    前記粒子線治療装置は、前記標的を複数の照射領域に分割して形成されたスポット毎に前記粒子線を照射する粒子線治療装置であって、
    前記制御装置は、前記X線撮像装置によるX線の照射前に前記粒子線の照射を停止させるとともに前記X線撮像装置によるX線の照射完了後に前記粒子線の照射を再開させ、前記線量計測器から出力された信号の積算値から前記粒子線の照射が停止している期間に前記線量計測器から出力された信号の積算値を減算することで前記X線撮像装置由来の散乱X線の計測結果を除外する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  4. 請求項3に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、
    前記X線照射前に前記粒子線の照射を停止させるとともに前記X線の照射完了後に前記粒子線の照射を再開させるよう制御する照射制御部と、
    前記線量計測器から出力された信号を積算する積算カウンタと、
    前記粒子線の照射が停止している間、前記線量計測器から出力された信号を積算する減算用積算カウンタと、
    前記積算カウンタの積算値から前記減算用積算カウンタの積算値を減算する減算部と、
    前記減算部の演算結果を基にして、計画された線量が照射されたか否かを判定する線量満了判定部とを有した
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  5. 請求項4に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、前記X線照射終了後から次のX線が照射される一定時間前の間に前記照射制御部に対して信号を出力するX線撮像制御部を更に有し、
    前記照射制御部は、前記X線撮像制御部から前記信号が途絶えた際は、前記信号の受信時に前記粒子線照射が行われているスポット位置から次のスポット位置への更新を停止するよう制御する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  6. 請求項4に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、前記X線照射終了後から次のX線が照射されるまでの間に前記照射制御部に対して信号を出力するX線撮像制御部を更に有し、
    前記照射制御部は、前記X線撮像制御部から前記信号が途絶えた際は、粒子線照射を即時に停止するよう制御する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  7. 請求項3に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、スポットに粒子線を照射する前に粒子線を照射するのに要する予測時間を予め演算し、この予測時間を基にして、前記X線撮像装置によるX線の照射前に前記X線を照射する前にスポット照射が完了するか否かを判定し、完了すると判定されるときは次スポットの照射を実施し、完了しないと判定されるときは次スポットの照射を実施しないよう制御する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  8. 請求項3に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、スポットに粒子線を照射する際に粒子線の照射開始からの時間を計測しながら、この計測時間があらかじめ設定された判定時間を超えるか否かを判定し、前記計測時間が前記判定時間を超えると判定されたときは前記粒子線の電荷量を増加させるよう前記粒子線発生装置を制御する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  9. 請求項1に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、前記粒子線の照射タイミングと前記X線撮像装置によるX線の照射タイミングとを時間的に分離するよう制御することによって前記散乱X線の計測結果を除外する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  10. 請求項9に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、前記粒子線が照射されている期間のみ前記線量計測器から出力された信号を積算する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  11. 請求項2に記載の粒子線治療装置において、
    前記治療室内の、前記粒子線通過線上とは異なる位置に設置された第2線量計測器を更に備え、
    前記制御装置は、前記線量計測器から出力された信号の積算値から、前記第2線量計測器から出力された信号の積算値を減算することで前記散乱X線の計測結果を除外する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  12. 請求項11に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、
    前記線量計測器から出力された信号を積算する積算カウンタと、
    前記第2線量計測器から出力された信号を積算する減算用積算カウンタと、
    前記積算カウンタの積算値から前記減算用積算カウンタの積算値を減算する減算部と、
    前記減算部の演算結果を基にして、計画された線量が照射されたか否かを判定する線量満了判定部とを有した
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  13. 請求項2に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、前記線量計測器から出力される信号の積算値から前記線量計測器で計測される前記X線撮像装置由来の散乱X線の信号の模擬値の積算値を減算することで前記散乱X線の計測結果を除外する
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  14. 請求項13に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、
    前記線量計測器から出力された信号を積算する積算カウンタと、
    前記X線撮像装置からX線が照射されている間、前記線量計測器で計測される前記X線撮像装置由来の散乱X線の信号の模擬値の積算値を出力するX線模擬装置と、
    前記積算カウンタが出力する積算値から前記X線模擬装置が出力する積算値を減算する減算部とを有した
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  15. 請求項2に記載の粒子線治療装置において、
    前記制御装置は、
    前記線量計測器から出力された信号を積算する積算カウンタと、
    前記粒子線の照射が停止している間、前記線量計測器から出力された信号を積算する減算用積算カウンタと、
    前記X線撮像装置からX線が照射されている間、前記線量計測器で計測される前記X線撮像装置由来の散乱X線の信号の模擬値の積算値を出力するX線模擬装置と、
    前記減算用積算カウンタの出力する積算値と前記X線模擬装置が出力する積算値とを入力し、前記粒子線が照射されている間は前記X線模擬装置が出力する積算値を、前記粒子線が照射されていない間は減算用積算カウンタが出力する積算値を出力する入力切換部と、
    前記積算カウンタが出力する積算値から前記入力切換部が出力する積算値を減算する減算部とを有した
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
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