以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
図1は、電池パック100の一例を示す構成図である。電池パック100は、負荷接続端子5,6に接続される不図示の外部負荷に電力を供給可能な二次電池200と、二次電池200を保護する保護装置110とを内蔵して備える。電池パック100は、外部負荷に内蔵されてもよいし、外付けされてもよい。外部負荷の具体例として、携帯可能な携帯端末装置などが挙げられる。携帯端末装置の具体例として、携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ゲーム機、テレビ、音楽や映像のプレーヤー、カメラなどの電子機器が挙げられる。
二次電池200は、負荷接続端子5,6に接続される不図示の充電器によって充電可能である。二次電池200の具体例として、リチウムイオン電池やリチウムポリマ電池などが挙げられる。
保護装置110は、負荷接続端子5と、負荷接続端子6と、セル接続端子3,4とを備え、セル接続端子3,4に接続された二次電池200を過電流等から保護する電池保護装置の一例である。セル接続端子3は、負荷接続端子5に電源経路8を介して繋がる。セル接続端子4は、負荷接続端子6に電源経路7を介して繋がる。セル接続端子3は、二次電池200の正極に接続される。セル接続端子4は、二次電池200の負極に接続される。
保護装置110は、トランジスタ11,12を備える。トランジスタ11は、二次電池200の充電経路を遮断可能な充電経路遮断部の一例であり、トランジスタ12は、二次電池200の放電経路を遮断可能な放電経路遮断部の一例である。図示の場合、トランジスタ11は、二次電池200の充電電流が流れる電源経路7を遮断でき、トランジスタ12は、二次電池200の放電電流が流れる電源経路7を遮断できる。トランジスタ11,12は、電源経路7の導通/遮断を切り替え可能なスイッチング素子であり、電源経路7に直列に挿入される。
トランジスタ11,12は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。トランジスタ11は、トランジスタ11の寄生ダイオードの順方向が二次電池200の放電方向に一致するように電源経路7に挿入される。トランジスタ12は、トランジスタ12の寄生ダイオードの順方向が二次電池200の充電方向に一致するように電源経路7に挿入される。トランジスタ11,12のドレイン−ソース間にダイオードが追加されてもよい。
保護装置110は、キャパシタ10,13を備えてもよい。キャパシタ10は、トランジスタ11とトランジスタ12との直列回路に並列に接続される。キャパシタ13は、負荷接続端子5に接続される一端と、負荷接続端子6に接続される他端とを有する。キャパシタ10又はキャパシタ13を備えることで、電圧変動や外来ノイズに対する耐量を向上させることができる。
保護装置110は、保護回路120を備える。保護回路120は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)を備えずに、二次電池200を保護する電池保護回路の一例であり、例えば、二次電池200から給電されて二次電池200を保護する集積回路である。CPUが無いため、当然、保護回路120は、保護回路120自身のCPUの処理結果に基づいて二次電池200を保護する機能を有してない。また、CPUが無いため、保護回路120は、二次電池200の残量検知機能を有してない。
保護回路120は、例えば、電源端子91と、グランド端子92と、充電制御端子93と、放電制御端子94と、電流検出端子95とを備える。
電源端子91は、抵抗1を介して、セル接続端子3又は電源経路8に接続される正極側電源端子であり、VDD端子と呼ばれることがある。電源端子91は、例えば、電源経路8に一端が接続される抵抗1の他端と、電源経路7に一端が接続されるキャパシタ2の他端との接続点に接続される。キャパシタ2の一端は、セル接続端子4とトランジスタ12との間の電源経路7に接続される。
グランド端子92は、セル接続端子4とトランジスタ12との間の電源経路7に接続される負側電源端子であり、VSS端子と呼ばれることがある。
充電制御端子93は、二次電池200の充電を禁止する信号を出力する端子であり、COUT端子と呼ばれることがある。充電制御端子93は、トランジスタ11の制御電極(例えばMOSFETの場合、ゲート)に接続される。
放電制御端子94は、二次電池200の放電を禁止する信号を出力する端子であり、DOUT端子と呼ばれることがある。放電制御端子94は、トランジスタ12の制御電極(例えば、MOSFETの場合、ゲート)に接続される。
電流検出端子95は、二次電池200に流れる電流に応じた検出電圧が入力される端子であり、V−端子と呼ばれることがある。電流検出端子95は、負荷接続端子6とトランジスタ11との間の電源経路7に抵抗9を介して接続される。
保護回路120は、例えば、メモリ60と、保護動作回路98とを備える。メモリ60は、保護回路120の保護特性を定める特性データを書き込み可能な不揮発性メモリの一例である。メモリ60の具体例として、OTPROM(One Time Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)などが挙げられる。保護動作回路98は、メモリ60から読み出される特性データに基づいて、二次電池200の保護動作を行う保護動作回路の一例である。
したがって、メモリ60に書き込まれる特性データが変われば、二次電池の保護動作を変えることができるので、複数の異なる保護特性に共通の回路構成で対応できる。例えば、二次電池200の種類や保護回路120が搭載される製品の種類が異なっても、保護動作回路98の共通化ができる。
また、保護回路120は、特性データを書き込み可能なメモリ60を備えるので、例えば、保護特性をカスタマイズするために、ICチップのメタル配線変更やフューズのレーザートリミングが不要になる。その結果、開発や製造のリードタイムやコストの低減が可能である。
保護回路120は、メモリ60に特性データを書き込むため、データ端子96と、クロック端子97と、読み書き制御回路80とを備える。
データ端子96及びクロック端子97は、特性データの書き込みに使用される入力端子である。データ端子96は、メモリ60に書き込まれる特性データを搬送する特性データ信号DATを入力可能な端子であり、クロック端子97は、クロック信号CLを入力可能な端子である。
読み書き制御回路80は、特性データ信号DATとクロック信号CLとに基づいて、メモリ60に記憶させる特性データの書き込みを制御する。また、読み書き制御回路80は、メモリ60に書き込まれた特性データの読み出しを制御する。
保護回路120は、データ端子96と、クロック端子97と、読み書き制御回路80とを備えることにより、例えば、保護回路120のモールドパッケージ後の出荷前検査で、特性データをメモリ60に書き込むことができる。そして、パッケージングしてから特性データをメモリ60に書き込むことができるので、パッケージングによって生ずる保護特性の変動を抑制することができる。
また、保護装置110は、メモリ60に特性データを書き込むため、データ入力端子14と、クロック入力端子15とを備えてもよい。データ入力端子14及びクロック入力端子15は、特性データの書き込みに使用される入力端子である。データ入力端子14は、特性データ信号DATを入力可能な端子であり、データ端子96に保護回路120の外側から接続される。クロック入力端子15は、クロック信号CLを入力可能な端子であり、クロック端子97に保護回路120の外側から接続される。
保護装置110は、データ入力端子14とクロック入力端子15とを備えるので、例えば、保護回路120とトランジスタ11,12とが基板に実装された後の保護装置110の出荷前検査で、特性データをメモリ60に書き込むことができる。そして、基板実装してから特性データをメモリ60に書き込むことができるので、基板実装によって生ずる保護特性の変動を抑制することができる。
保護動作回路98は、二次電池200の電流又は電圧の異常を検出する異常検出回路21と、異常検出回路21による異常検出結果に基づいてトランジスタ11,12のオンオフを制御する論理回路44とを備える。異常検出回路21は、例えば、過充電検出回路22と、過放電検出回路27と、放電過電流検出回路32と、充電過電流検出回路35と、短絡検出回路38とを備える。
保護動作回路98は、例えば、二次電池200を過充電から保護する動作(過充電保護動作)を行う。例えば、過充電検出回路22は、電源端子91とグランド端子92との間の電圧を抵抗23,24により検出することによって、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を監視する。過充電検出回路22は、メモリ60から読み出される閾値電圧データに応じて設定される過充電検出電圧Vdet1以上のセル電圧を検知することにより、二次電池200の過充電が検出されたとして、過充電検出信号を出力する。過充電検出電圧Vdet1以上のセル電圧の検知及び過充電検出信号の出力は、基準電圧26及び比較器25によって行われる。
過充電検出信号を検知した論理回路44は、メモリ60から読み出される遅延時間データに応じて設定される過充電検出遅延時間tVdet1の経過を待って、トランジスタ11をオフさせるローレベルの制御信号を充電制御端子93から出力する過充電保護動作を実行する。トランジスタ11がオフされることにより、トランジスタ12のオンオフ状態にかかわらず、二次電池200が過充電されることを防止することができる。論理回路44は、トランジスタ46をオフし且つトランジスタ47をオンすることによって、トランジスタ11をオフさせる。
一方、過充電検出回路22は、メモリ60から読み出される閾値電圧データに応じて設定される過充電復帰電圧Vrel1以下のセル電圧を検知することにより、二次電池200が過充電状態から通常状態に復帰したとして、過充電復帰信号を出力する(「過充電検出信号の出力を停止する」としてもよい)。過充電復帰電圧Vrel1は、過充電検出電圧Vdet1よりも低い。
過充電復帰信号を検知した論理回路44は(あるいは、過充電検出信号の出力の停止を検知した論理回路44は)、トランジスタ11をオンさせるハイレベルの制御信号を充電制御端子93から出力する。トランジスタ11のオンにより、過充電保護動作が終了する。論理回路44は、トランジスタ46をオンし且つトランジスタ47をオフすることによって、トランジスタ11をオンさせる。
保護動作回路98は、例えば、二次電池200を過放電から保護する動作(過放電保護動作)を行う。例えば、過放電検出回路27は、電源端子91とグランド端子92との間の電圧を抵抗28,29により検出することによって、二次電池200の電池電圧(セル電圧)を監視する。過放電検出回路27は、メモリ60から読み出される閾値電圧データに応じて設定される過放電検出電圧Vdet2以下のセル電圧を検知することにより、二次電池200の過放電が検出されたとして、過放電検出信号を出力する。過放電検出電圧Vdet2以下のセル電圧の検知及び過放電検出信号の出力は、基準電圧31及び比較器30によって行われる。
過放電検出信号を検知した論理回路44は、メモリ60から読み出される遅延時間データに応じて設定される過放電検出遅延時間tVdet2の経過を待って、トランジスタ12をオフさせるローレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する過放電保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオンオフ状態にかかわらず、二次電池200が過放電されることを防止することができる。論理回路44は、トランジスタ48をオフし且つトランジスタ49をオンすることによって、トランジスタ12をオフさせる。
一方、過放電検出回路27は、メモリ60から読み出される閾値電圧データに応じて設定される過放電復帰電圧Vrel2以上のセル電圧を検知することにより、二次電池200が過放電状態から通常状態に復帰したとして、過放電復帰信号を出力する(「過放電検出信号の出力を停止する」としてもよい)。過放電復帰電圧Vrel2は、過放電検出電圧Vdet2よりも高い。
過放電復帰信号を検知した論理回路44は(あるいは、過放電検出信号の出力の停止を検知した論理回路44は)、後述の復帰遅延時間設定回路150により設定される過放電復帰遅延時間tVrel2の経過を待って、トランジスタ12をオンさせるハイレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する。トランジスタ12のオンにより、過放電保護動作が終了する。論理回路44は、トランジスタ48をオンし且つトランジスタ49をオフすることによって、トランジスタ12をオンさせる。
保護動作回路98は、例えば、二次電池200を放電過電流から保護する動作(放電過電流保護動作)を行う。例えば、放電過電流検出回路32は、電流検出端子95とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、負荷接続端子6とセル接続端子4との間の電圧P−を監視する。放電過電流検出回路32は、メモリ60から読み出される閾値電圧データに応じて設定される放電過電流検出電圧Vdet3以上の電圧P−を検知することにより、負荷接続端子6に流れる異常電流として放電過電流が検出されたとして、放電過電流検出信号を出力する。放電過電流検出電圧Vdet3以上の電圧P−の検知及び放電過電流検出信号の出力は、基準電圧34及び比較器33によって行われる。
放電過電流検出信号を検知した論理回路44は、メモリ60から読み出される遅延時間データに応じて設定される放電過電流検出遅延時間tVdet3の経過を待って、トランジスタ12をオフさせるローレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する放電過電流保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオンオフ状態にかかわらず、二次電池200を放電する方向に過電流が流れることを防止することができる。
ここで、トランジスタ12が少なくともオンしている状態で、二次電池200を放電する放電電流が流れることにより電圧P−が上昇するのは、トランジスタ12のオン抵抗による電圧上昇が生ずるからである。
保護動作回路98は、例えば、二次電池200を充電過電流から保護する動作(充電過電流保護動作)を行う。例えば、充電過電流検出回路35は、電流検出端子95とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、負荷接続端子6とセル接続端子4との間の電圧P−を監視する。充電過電流検出回路35は、メモリ60から読み出される閾値電圧データに応じて設定される充電過電流検出電圧Vdet4以下の電圧P−を検知することにより、負荷接続端子6に流れる異常電流として充電過電流が検出されたとして、充電過電流検出信号を出力する。充電過電流検出電圧Vdet4以下の電圧P−の検知及び充電過電流検出信号の出力は、基準電圧37及び比較器36によって行われる。
充電過電流検出信号を検知した論理回路44は、メモリ60から読み出される遅延時間データに応じて設定される充電過電流検出遅延時間tVdet4の経過を待って、トランジスタ11をオフさせるローレベルの制御信号を充電制御端子93から出力する充電過電流保護動作を実行する。トランジスタ11がオフされることにより、トランジスタ12のオンオフ状態にかかわらず、二次電池200を充電する方向に過電流が流れることを防止することができる。
ここで、トランジスタ11が少なくともオンしている状態で、二次電池200を充電する充電電流が流れることにより電圧P−が低下するのは、トランジスタ11のオン抵抗による電圧低下が生ずるからである。
保護動作回路98は、例えば、二次電池200を短絡電流から保護する動作(短絡保護動作)を行う。例えば、短絡検出回路38は、電流検出端子95とグランド端子92との間の電圧を検出することによって、負荷接続端子6とセル接続端子4との間の電圧P−を監視する。短絡検出回路38は、メモリ60から読み出される閾値電圧データに応じて設定される短絡検出電圧Vshort以上の電圧P−を検知することにより、負荷接続端子5と負荷接続端子6との間の短絡が検出されたとして、短絡検出信号を出力する。短絡検出電圧Vshort以上の電圧P−の検知及び短絡検出信号の出力は、基準電圧40及び比較器39によって行われる。
短絡検出信号は、遅延回路41に入力されてから短絡検出遅延時間tshortの経過後に遅延回路41から出力される。短絡検出遅延時間tshortは、メモリ60から読み出される遅延時間データに応じて設定される時間である。
遅延回路41を介して短絡検出信号を検知した論理回路44は、トランジスタ12をオフさせるローレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する短絡保護動作を実行する。トランジスタ12がオフされることにより、トランジスタ11のオンオフ状態にかかわらず、二次電池200を放電する方向に短絡電流が流れることを防止することができる。
保護動作回路98は、保護回路120の動作モードを、通常動作モードから過放電保護モードを経由してスタンバイモードに切り替え、スタンバイモードから過放電保護モードを経由して通常動作モードに切り替える機能を備えてもよい。
論理回路44は、通常動作モードにおいて、トランジスタ11をオンさせるハイレベルの制御信号を充電制御端子93から出力し、且つ、トランジスタ12をオンさせるハイレベルの制御信号を放電制御端子94から出力する。また、論理回路44は、通常動作モードにおいて、トランジスタ50とトランジスタ53の両方をオフさせる。
過放電保護モードは、上述の過放電保護動作が行われるモードである。論理回路44は、過放電保護モードにおいて、トランジスタ12をオフさせる制御信号を放電制御端子94から出力するとともに、トランジスタ50をオンさせトランジスタ53をオフさせる。トランジスタ50のオンにより、電流検出端子95は抵抗51を介して電源端子91の電源電圧にプルアップされる。電流検出端子95が電源端子91の電源電圧にプルアップされることにより、負荷接続端子5と負荷接続端子6との間の電圧がほぼ零ボルトになる。よって、負荷接続端子5,6に接続される不図示の負荷の動作を停止させることができ、二次電池200から当該負荷に流れる放電電流を抑制することができる。
また、論理回路44は、過放電保護モードにおいて電流検出端子95とグランド端子92との間の電圧を検出することにより、負荷接続端子6とセル接続端子4との間の電圧P−の検知することによって、負荷接続端子5,6への充電器の接続有無を判定できる。
論理回路44は、過放電保護モードにおいてスタンバイ閾値電圧Vstbよりも高い電圧P−が検知された場合、充電器は接続されていないと判定し、保護回路120の動作モードを過放電保護モードからスタンバイモードに切り替える。一方、論理回路44は、過放電保護モードにおいてスタンバイ閾値電圧Vstbよりも低い電圧P−が検出された場合、充電器は接続されていると判定し、保護回路120の動作モードを過電流保護モードからスタンバイモードに切り替えない。スタンバイ閾値電圧Vstbは、例えば、(VDD−0.9)又は1/2×VDDに設定される。VDDは、電源端子91の入力電圧を表す。
保護回路120の動作モードが過放電保護モードからスタンバイモードに遷移することにより、過放電状態の二次電池200が保護回路120の消費電流により更に放電されることを防止することができる。
例えば、充電器が接続されていない状態で過放電が検出されると、過放電検出とほぼ同時に電流検出端子95が電源端子91の電源電圧にプルアップされ、保護回路120の動作モードはスタンバイモードに切り替わる。充電器がスタンバイモードで接続されると、保護回路120の動作モードは過放電保護モードに切り替わり、二次電池200が充電器により充電される。そして、過放電復帰電圧Vrel2以上のセル電圧が過放電検出回路27により検知された場合、論理回路44は、トランジスタ12をオンさせる制御信号を放電制御端子94から出力し、且つ、トランジスタ50をオンからオフに切り替える。つまり、保護回路120の動作モードは通常動作モードに切り替わる。
また、放電過電流検出信号又は短絡検出信号を検知した論理回路44は、トランジスタ12をオフさせるローレベルの制御信号を放電制御端子94から出力するとともに、トランジスタ50をオフさせトランジスタ53をオンさせてもよい。トランジスタ53のオンにより、電流検出端子95は抵抗52を介してグランド端子92のグランド電圧にプルダウンされる。しかし、放電過電流又は短絡電流が発生するほどの負荷が負荷接続端子5,6に接続されているので、電圧P−は負荷接続端子5の電圧に引き上げられる。
そして、放電過電流又は短絡電流が発生するほどの負荷が負荷接続端子5,6から取り外される等によって放電過電流又は短絡電流の流れが解消すると、電圧P−はトランジスタ53のオンによりグランド端子92のグランド電圧に引き下げられる。これにより、論理回路44は、放電過電流保護動作又は短絡保護動作の実行を解除する。つまり、トランジスタ53が設けられることにより、放電過電流保護動作又は短絡保護動作からの自動復帰が可能となる。
上述の過充電検出電圧Vdet1又は過充電復帰電圧Vrel1は、過充電保護動作の要否判定に使用される閾値電圧の一例である。過充電検出電圧Vdet1又は過充電復帰電圧Vrel1の設定用の閾値電圧データは、メモリ60に予め書き込まれる特性データの一例であり、読み書き制御回路80によってメモリ60から過充電検出回路22に読み出される。過放電検出電圧Vdet2、過放電復帰電圧Vrel2、放電過電流検出電圧Vdet3、充電過電流検出電圧Vdet4、短絡検出電圧Vshort、スタンバイ閾値電圧Vstbの設定用の閾値電圧データについても同様である。
したがって、過充電検出電圧Vdet1の設定用にメモリ60に書き込まれる閾値電圧データの内容を変えることによって、過充電検出電圧Vdet1を当該内容に応じた保護電圧値に変更することができる。例えば、過充電検出回路22又は読み書き制御回路80は、メモリ60から読み出される過充電検出電圧Vdet1の閾値電圧データに基づいて、抵抗23の抵抗値、抵抗24の抵抗値、基準電圧26の電圧値の少なくとも一つを変更することにより、過充電検出電圧Vdet1を過充電検出電圧Vdet1の閾値電圧データによって決まる電圧値に設定する閾値電圧設定回路を有する。過充電復帰電圧Vrel1、過放電検出電圧Vdet2、過放電復帰電圧Vrel2、放電過電流検出電圧Vdet3、充電過電流検出電圧Vdet4、短絡検出電圧Vshort、スタンバイ閾値電圧Vstbについても同様である。
上述の過充電検出遅延時間tVdet1は、メモリ60から読み出される遅延時間データに基づいて、発振器43とカウンタ42によって生成される。過充電検出遅延時間tVdet1は、過充電検出電圧Vdet1以上のセル電圧が過充電検出回路22によって検出されてから過充電保護動作が実行されるまでの時間である。過充電検出遅延時間tVdet1の設定用の遅延時間データは、メモリ60に書き込まれる特性データの一例であり、読み書き制御回路80によってメモリ60から論理回路44又はカウンタ42に読み出される。過放電検出遅延時間tVdet2、放電過電流検出遅延時間tVdet3、充電過電流検出遅延時間tVdet4、短絡検出遅延時間tshortの設定用の遅延時間データについても同様である。
なお、短絡検出遅延時間tshortの設定用の遅延時間データは、読み書き制御回路80によってメモリ60から遅延回路41に読み出されてもよい。
したがって、過充電検出遅延時間tVdet1の設定用にメモリ60に書き込まれる遅延時間データの内容を変えることによって、過充電検出遅延時間tVdet1を当該内容に応じた時間に変更することができる。例えば、論理回路44又はカウンタ42は、メモリ60から読み出される過充電検出遅延時間tVdet1の遅延時間データに基づいて、カウンタ42により生成される遅延時間を変更することにより、過充電検出遅延時間tVdet1を過充電検出遅延時間tVdet1の遅延時間データによって決まる値に設定する遅延時間設定回路を有する。過放電検出遅延時間tVdet2、放電過電流検出遅延時間tVdet3、充電過電流検出遅延時間tVdet4、短絡検出遅延時間tshortについても同様である。
カウンタ42は、例えば、複数のフリップフロップが直列に接続された回路を有し、メモリ60から読み出した遅延時間データに基づいて各フリップフロップの出力点が選択されることによって、複数の異なる遅延時間を生成することができる。カウンタ42は、発振器43からのクロックに従って動作する。
なお、遅延回路41は、メモリ60から読み出される短絡検出遅延時間tshortの遅延時間データに基づいて、遅延回路41内の一次遅れ回路の時定数を変更することにより、短絡検出遅延時間tshortを短絡検出遅延時間tshortの遅延時間データによって決まる値に設定する遅延時間設定回路を有してもよい。
保護動作回路98は、メモリ60から読み出されるオプション選択データに基づいて、二次電池200の保護動作を行ってもよい。二次電池200の保護動作のオプション機能を定めるオプション選択データは、メモリ60に書き込まれる特性データの一例である。オプション選択データは、読み書き制御回路80によってメモリ60から論理回路44に読み出される。
したがって、論理回路44は、所定のオプション機能を選択するか否かを、メモリ60から読み出されるオプション選択データの内容に基づいて、決定することができる。例えば、論理回路44は、充電許否選択回路45を有効にするか無効にするかを、メモリ60から読み出されるオプション選択データの内容に基づいて、決定することができる。
充電許否選択回路45は、セル電圧が所定値よりも低い二次電池200に対しての充電(「0V充電」と呼ばれることがある)の許否を選択するオプション回路の一例である。充電許否選択回路45は、トランジスタ11をオフすることによって、二次電池200に対する充電を禁止し、トランジスタ11をオンすることによって、二次電池200に対する充電を許可する。
なお、保護動作回路98の論理回路44は、メモリ60から読み出されるオプション選択データに基づいて、充電許否選択回路45の充電許否選択機能以外の他のオプション機能を選択するか否かを決定してもよい。例えば、論理回路44は、メモリ60から読み出されるオプション選択データに基づいて、パルス充電対応機能を有効にするか無効にするかを決定してもよい。
保護回路120は、レギュレータを備える。レギュレータ99は、電源端子91に入力される入力電圧VDDをレギュレートして定電圧VREGを出力する回路である。
図2は、メモリ60の一例を示す構成図である。メモリ60は、書き込み電圧が供給される複数の書き込み回路64と、定電圧VREGが供給される複数の読み出し回路65と、NORゲート(ノアゲート)73と、シフトレジスタ66とを有する。シフトレジスタ66は、複数のフリップフロップ(FF)74が直列に接続された順序回路を有する。図2では、一つの書き込み回路64と一つの読み出し回路65とが一点鎖線で囲まれている。
複数の書き込み回路64は、それぞれ、スイッチ68と、メモリ素子69と、スイッチ70とが直列に接続される回路を有する。スイッチ68は、書き込み電圧の供給経路とメモリ素子69との間に配置され、スイッチ70は、シフトレジスタ66のフリップフロップ74の出力部とメモリ素子69との間に配置される。例えば、スイッチ68は、PチャネルMOSFETであり、メモリ素子69は、OTP(One Time Programmable)素子であり、スイッチ70は、NチャネルMOSFETである。
複数の読み出し回路65は、それぞれ、センスラッチ回路67と、スイッチ71と、定電流源72とを有する。例えば、センスラッチ回路67は、フリップフロップであり、スイッチ71は、NチャネルMOSFETである。
読み書き制御回路80は、特性データを搬送する特性データ信号DATを、特性データ内部信号DATAに変換し、外部からのクロック信号CLを、クロック内部信号CLKに変換する。また、読み書き制御回路80は、特性データ信号DATとクロック信号CLとに基づいて、特性データをメモリ素子69に書き込むことを指令するライト信号(WRITE)を生成する。また、読み書き制御回路80は、入力電圧VDDが所定の起動電圧を超えた時に、メモリ素子69から特性データを読み出すことを指令するリード信号(READ)を生成する。
次に、図2の構成での書き込み動作の一例を、図3を参照して説明する。図3は、図1,2の構成での書き込み動作の一例を示すタイミングチャートである。
初期状態では、READとWRITEのレベルがいずれもローレベルである(READ=WRITE=L)。この場合、スイッチ68のゲート電位AAは、ハイレベルであるため、スイッチ68はオフする。シフトレジスタ66の各フリップフロップ74の出力電位BBは、ハイレベルであるため、スイッチ70はオフする。したがって、初期状態では、メモリ素子69の状態は、特性データが書き込まれていない未書き込み状態である。
書き込み動作が行われる場合、入力電圧VDDは、通常の動作電圧(例えば3.6V)から書き込み電圧(例えば9V)に上昇する。入力電圧VDDが書き込み電圧に上昇すると、過充電が過充電検出回路22によって検出される。これにより、充電制御端子93からトランジスタ11のゲートに対して出力される制御信号は、トランジスタ11をオンさせるハイレベルからトランジスタ11をオフさせるローレベルに変化する。一方、放電制御端子94からトランジスタ12のゲートに対して出力される制御信号は、ハイレベルのままである。
特性データ内部信号DATAとクロック内部信号CLKとが、読み書き制御回路80からシフトレジスタ66に入力されると、各フリップフロップ74は、入力される特性データ内部信号DATAに応じて、ローレベルを出力する。
メモリ素子69への特性データの書き込み許可期間では、READのレベルがローレベル(READ=L)であり、WRITEのレベルがハイレベル(WRITE=H)であるため、スイッチ68のゲート電位AAは、ローレベルである。書き込み許可期間では、スイッチ68はオン、スイッチ71はオフ、スイッチ70はオンする。
書き込み許可期間においてシフトレジスタ66の出力電位Bがローレベルである場合、メモリ素子69に書き込み電圧が印加され、オフ状態のメモリ素子69に電流が流れる。これにより、電子がメモリ素子69の浮遊ゲートにトラップされ、メモリ素子69がオン状態となる(特性データがメモリ素子69に書き込まれる)。
これに対し、書き込み許可期間においてシフトレジスタ66の出力電位Bがハイレベルである場合、スイッチ68,70はオンしているが、メモリ素子69のドレイン−ソース間の電圧はほぼ零ボルトであるため、電流はメモリ素子69には流れない。つまり、メモリ素子69のオフ状態が維持される(特性データがメモリ素子69に書き込まれない)。
読み書き制御回路80は、WRITEのレベルをローレベルに切り替えることにより、スイッチ70をオフさせる。これにより、書き込み許可期間が終了する。
次に、図2の構成での読み出し動作の一例を説明する。
読み出し動作が行われる場合、入力電圧VDDは、通常の動作電圧(例えば3.6V)である。読み書き制御回路80は、READのレベルをハイレベルに切り替えることにより、スイッチ68のゲート電位AAを、ローレベルにする。つまり、メモリ素子69からの特性データの読み出し許可期間では、スイッチ68はオン、スイッチ71はオン、スイッチ70はオフする。
読み出し許可期間において特性データがメモリ素子69に書き込まれていない場合、センスラッチ回路67は、ローレベルのメモリ出力電位DDをラッチする。読み出し期間において特性データがメモリ素子69に書き込まれている場合、センスラッチ回路67は、ハイレベルのメモリ出力電位DDをラッチする。
読み書き制御回路80は、READのレベルをローレベルに切り替えることにより、ゲート電位AAをハイレベルに切り替え、スイッチ68をオフさせる。これにより、読み出し許可期間が終了する。
なお、読み書き制御回路80は、信号READTがアクティブレベル(本実施形態では、ハイレベル)の期間を、読み出し許可期間とする。信号READTについては後述する。
図4は、保護回路120において、過放電復帰に主に関係する回路の一例を示す構成図である。保護回路120は、過放電検出回路27と、論理回路44と、カウンタ42と、発振器43と、復帰電圧設定回路130とを備える。
過放電検出回路27は、二次電池200の電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高いか否かを検出する検出回路の一例である。過放電検出回路27は、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも低い場合、ローレベルの信号ODVCを比較器30から出力し、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高い場合、ハイレベルの信号ODVC(過放電復帰信号)を比較器30から出力する。
論理回路44は、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも低いと過放電検出回路27により検出される場合、二次電池200の放電を禁止するハイレベルの信号Nを出力する。一方、論理回路44は、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高いと過放電検出回路27により検出される場合、二次電池200の放電禁止を解除するローレベルの信号Nを出力する。論理回路44は、例えば、インバータ171と、遅延時間設定回路180と、NAND(論理積の否定)ゲート173と、NOR(論理和の否定)ゲート174,176,177と、XNOR(排他的論理和の否定)ゲート175とを有する。
信号Nは、図1に示されるトランジスタ48,49のゲートに入力される。ハイレベルの信号Nによって、トランジスタ48はオフし且つトランジスタ49はオンするので、トランジスタ12はオフする。トランジスタ12のオフにより、二次電池200の放電が禁止される。一方、ローレベルの信号Nによって、トランジスタ48はオンし且つトランジスタ49はオフするので、トランジスタ12はオンする。トランジスタ12のオンにより、二次電池200の放電禁止が解除される。
図4において、カウンタ42は、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高いと過放電検出回路27により検出されてからの経過時間をカウントする回路である。電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高いと過放電検出回路27により検出されると、XNORゲート175から出力されるリセット信号RSTは、ハイレベルからローレベルに切り替わる。発振器43は、リセット信号RSTがハイレベルからローレベルに切り替わると、カウンタ42に対してクロックの出力を開始する。
カウンタ42は、例えば、インバータ141,142と、複数のフリップフロップ(FF)が直列に接続される回路とを有する。カウンタ42は、信号Dを出力するFF143と、信号Eを出力するFF144と、信号Fを出力するFF145と、信号Gを出力するFF146と、信号Hを出力するFF147と、信号Iを出力するFFと、信号Jを出力するFFと、信号Kを出力するFFと、信号Lを出力するFFとを直列に有する。なお、信号I,J,K,Lをそれぞれ出力するFFも、FF147の後段に順番に直列に接続される。FFの直列接続数は、任意である。
本実施形態のカウンタ42から出力される信号D,E,F,G,H,I,J,K,Lは、パルスの周期が互いに異なる信号であり、それぞれ、0.25ms、0.5ms、1ms、2ms、4ms、8ms、16ms、32ms、64msの周期を有する。
遅延時間設定回路180は、メモリ60から読み出される過放電検出遅延時間tVdet2の遅延時間データに応じて、カウンタ42により生成される遅延時間をデコーダ181により選択し、その選択した遅延時間に過放電検出遅延時間tVdet2を設定する回路である。過放電検出遅延時間tVdet2は、電池電圧が過放電検出電圧Vdet2よりも低いと過放電検出回路27により検出されてから、二次電池200の放電が禁止されるまでの時間である。論理回路44は、電池電圧が過放電検出電圧Vdet2よりも低いと過放電検出回路27により検出される場合、過放電検出遅延時間tVdet2の経過を待って、二次電池200の放電を禁止するハイレベルの信号Nを出力する。
遅延時間設定回路180は、例えば、信号I,J,K,Lが入力されるデコーダ181と、デコーダ181及びインバータ171の各出力が入力されるNANDゲート172とを有する。デコーダ181は、リセット信号RSTがハイレベルからローレベルに切り替わってから過放電検出遅延時間tVdet2の経過を待って、NANDゲート172に入力される信号ODVDLYをハイレベルからローレベルに切り替える。
NANDゲート173は、NANDゲート172の出力と信号SHTLVとが入力される。シャットダウン信号SHTLVは、電池電圧が過放電検出電圧Vdet2よりも低いと過放電検出回路27により検出されているとき、充電器が負荷接続端子5,6(図1参照)に接続されていない状態で二次電池200の自己放電を避けるための回路をシャットダウンする信号である。シャットダウン信号SHTVLがローレベルのとき、二次電池200の自己放電を避けるための回路はシャットダウンされる。
論理回路44は、復帰遅延時間設定回路150を有する。復帰遅延時間設定回路150は、カウンタ42の出力に基づいて、過放電復帰遅延時間tVrel2を設定する回路である。過放電復帰遅延時間tVrel2は、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高いと過放電検出回路27により検出されてから、二次電池200の放電禁止が解除されるまでの時間である。論理回路44は、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高いと過放電検出回路27により検出される場合、過放電復帰遅延時間tVrel2の経過を待って、二次電池200の放電禁止を解除するローレベルの信号Nを出力できる。復帰遅延時間設定回路150は、例えば、信号Eと信号Hとが入力されるNANDゲート151を有する。NANDゲート151は、信号ODVTを出力する。信号ODVTは、NORゲート176に入力される。
論理回路44は、読み出し許可期間設定回路160を有する。読み出し許可期間設定回路160は、カウンタ42の出力に基づいて、読み出し許可期間READPを設定する回路である。読み出し許可期間READPは、メモリ60から所定の電圧値VodvBの読み出しを許可する期間である。電圧値VodvBについては後述する。読み出し許可期間設定回路160は、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高いと過放電検出回路27により検出されてからの過放電復帰遅延時間tVrel2が経過する時よりも前に、読み出し許可期間READPを設定する。
読み出し許可期間設定回路160は、リセット信号RSTと信号G,Fとに基づいて、読み出し許可期間READPにハイレベルの信号READTを出力し、読み出し許可期間READP以外の期間にローレベルの信号READTを出力する。信号READTは、読み書き制御回路80に入力される。読み出し許可期間設定回路160は、例えば、インバータ161,163と、NANDゲート162とを有する。
復帰電圧設定回路130は、過放電復帰遅延時間tVrel2が経過する時よりも前に、過放電復帰電圧Vrel2を、メモリ60から読み出される電圧値VodvBに設定する回路である。
図5は、過放電復帰動作の一例を示すタイミングチャートである。電圧値VodvAは、メモリ60の読み込み前に過放電復帰電圧Vrel2に設定される初期値であり、電圧値VodvBは、メモリ60から読み込まれた後に過放電復帰電圧Vrel2に設定される値である。
期間T1での二次電池200の電池状態は、入力電圧VDDが電圧値VodvAよりも低い過放電状態である。期間T1では、COUT端子のレベルはハイレベル、DOUT端子のレベルはローレベルであるので、二次電池200の放電は禁止され、保護回路120の動作は停止する。保護回路120の動作の停止により、保護回路120の消費電流が抑えられる。
入力電圧VDDが電圧値VodvAよりも高いと過放電検出回路27により検出されると、信号ODVCは、ローレベルからハイレベルに切り替わり、リセット信号RSTは、ハイレベルからローレベルに切り替わる。リセット信号RSTがローレベルになると、発振器43は動作を開始し、カウンタ42は、入力電圧VDDが電圧値VodvAよりも高いと過放電検出回路27により検出された時からの経過時間のカウントを開始する。本実施形態のカウンタ42は、パルスの周期が互いに異なる信号D,E,F,G,Hを出力し、信号D,E,F,G,Hは、それぞれ、0.25ms、0.5ms、1ms、2ms、4msの周期を有する。
入力電圧VDDが電圧値VodvAよりも高いと過放電検出回路27により検出された時からの経過時間が所定時間(本実施形態では、3ms)に達する時、信号READTがローレベルからハイレベルに切り替わる。
期間T3は、上述の読み出し許可期間READPを表す。信号READTがハイレベルの場合、WRITEはローレベルで、READはハイレベルとなる。これにより、メモリ60から電圧値VodvBの読み出しが開始する。復帰電圧設定回路130は、電圧値VodvBの読み出しの完了後、過放電復帰電圧Vrel2に設定される値を電圧値VodvAから電圧値VodvBに切り替える。
期間T3では、過放電復帰電圧Vrel2以外の他の各閾値電圧(例えば、放電過電流検出電圧Vdet3など)の設定用の閾値電圧データも、メモリ60から読み出され、各閾値電圧は、対応する閾値電圧データによって決まる電圧値に設定される。同様に、期間T3では、各遅延時間(例えば、放電過電流検出遅延時間tVdet3など)の設定用の閾値データも、メモリ60から読み出され、各遅延時間は、対応する遅延時間データによって決まる値に設定される。
期間T3において、過放電復帰電圧Vrel2が電圧値VodvAから電圧値VodvBに切り替わると、入力電圧VDDはVodvBよりも低くなるため、過放電検出回路27は、信号ODVCをハイレベルからローレベルに切り替える。つまり、過放電復帰遅延時間tVrel2が経過する前に(入力電圧VDDが電圧値VodvAよりも高いと過放電検出回路27により検出された時から時間T2の経過時に)、過放電復帰動作は停止する。
期間T4で、再び、二次電池200の電池状態は、過放電状態になる。期間T4での過放電状態は、入力電圧VDDが電圧値VodvBよりも低い状態である。
過放電検出回路27は、電圧値VodvBよりも高い入力電圧VDDを検知すると、時間T2と同様に、信号ODVCは、ローレベルからハイレベルに切り替わり、リセット信号RSTは、ハイレベルからローレベルに切り替わる。リセット信号RSTがローレベルになると、発振器43は動作を再開し、カウンタ42は、入力電圧VDDが電圧値VodvBよりも高いと過放電検出回路27により検出された時からの経過時間のカウントを再開する。
入力電圧VDDが電圧値VodvBよりも高いと過放電検出回路27により検出された時からの経過時間が所定時間(本実施形態では、3ms)に達する時、信号READTがローレベルからハイレベルに切り替わる。
期間T6は、上述の読み出し許可期間READPを表す。信号READTがハイレベルの場合、WRITEはローレベルで、READはハイレベルとなる。これにより、メモリ60から電圧値VodvBの読み出しが開始する。しかし、過放電復帰電圧Vrel2は期間T3で復帰電圧設定回路130により既に電圧値VodvBに設定済みであるので、過放電復帰電圧Vrel2は、電圧値VodvBのままである。過放電復帰電圧Vrel2以外の各閾値電圧や各遅延時間についても同様である。
期間T6の終了タイミングでは、入力電圧VDDは電圧値VodvBよりも高くなっているので、過放電検出回路27から出力される信号ODVCのレベルは、ハイレベルのままである。したがって、入力電圧VDDが電圧値VodvBよりも高いと過放電検出回路27により検出された時からの経過時間T5は、過放電復帰遅延時間tVrel2に達する。
経過時間T5が過放電復帰遅延時間tVrel2に達すると、論理回路44から出力される信号Nの期間T7以降のレベルは、ハイレベルからローレベルに切り替わる。信号Nがローレベルになることによって、DOUT端子のレベルはハイレベルに切り替わり、リセット信号RSTはハイレベルに戻り、発振器43及びカウンタ42は停止する。これにより、過放電復帰動作は完了する。
このように、復帰電圧設定回路130は、電池電圧がVodvAよりも高いと過放電検出回路27により検出されてからVodvBに達するまでに、過放電復帰電圧Vrel2をVodvAからメモリ60から読み出されるVodvBに切り替える。これにより、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2よりも高い状態で、メモリ60から電圧値VodvBを読み込むことができるので、電池電圧が過放電復帰電圧Vrel2に達するまでの消費電流を抑制することができる。
図6は、過放電復帰動作の一例を示すタイミングチャートである。読み出し許可期間READPでの保護回路120の消費電流IDDは、メモリ60からの特性データの読み出し動作により、定常時の保護回路120の消費電流IDDよりも大きい。したがって、読み出し時の消費電流IDDが抵抗1(図1参照)に流れることによって、入力電圧VDDが低下し、過放電復帰動作が停止するおそれがある(図6参照)。過放電復帰動作が停止すると、メモリ60からの読み出しが中断されることにより消費電流IDDは減るので、入力電圧VDDは電池電圧まで持ち上がる。したがって、過放電復帰動作の停止が図6のように繰り返される可能性がある。また、メモリ60からの読み出しが中断されることにより、メモリ60から読み出された特性データが異常である可能性がある。
そこで、保護回路120は、入力電圧VDDが読み出し許可期間READPで低下しても、過放電検出回路27から出力される信号ODVCを無視することによって、メモリ60からの特性データの読み出しが解除されることを禁止する禁止回路を備える。
図7は、保護回路120において、過放電復帰に主に関係する回路の一例を示す構成図である。図4と同一の構成についてはその説明を省略する。論理回路44は、入力電圧VDDが読み出し許可期間READPで低下しても、過放電検出回路27から出力される信号ODVCを無視することによって、メモリ60からの特性データの読み出しが解除されることを禁止する禁止回路170を備える。禁止回路170は、NORゲート178,179を有する。
初期状態を過放電状態(信号Nがハイレベル、信号NBがローレベル)とする。カウンタ42の信号F,Gは、いずれもローレベルであり、リセット信号RSTはハイレベルであるので、信号Pはハイレベルである。
信号Pがハイレベルであるので、NORゲート178の出力レベルは、ローレベルである。一方、過放電検出回路27の信号ODVCの出力レベルは、ローレベルである。したがって、NORゲート179から出力される信号Sのレベルは、ハイレベルである。
入力電圧VDDが過放電復帰電圧Vrel2よりも高くなると、信号ODVCのレベルは、ローレベルからハイレベルに切り替わる(図8参照)。この際、リセット信号RSTはハイレベルからローレベルに切り替わるが、信号Pはハイレベルのままである。信号F,Gがいずれもハイレベルになると(つまり、メモリ60からの特性データの読み出しが開始すると)、読み出し時の消費電流IDDと抵抗1により、入力電圧VDDは過放電復帰電圧Vrel2よりも低下する。これにより、信号ODVCのレベルは、ローレベルになる。
一方、信号Pがハイレベルからローレベルに切り替わり、信号NBがローレベルであるので、NORゲート178の出力はハイレベルである。NORゲート178の出力がハイレベルであるので、信号ODVCがローレベルになっても、信号Sはハイレベルである。したがって、メモリ60からの特性データの読み出しが解除されることが禁止され、過放電復帰動作が継続する。
したがって、読み出し時の消費電流IDDの低下により、入力電圧VDDが過放電復帰電圧Vrel2よりも低下しても、特性データをメモリ60から安定的に読み出すことができる。
以上、電池保護回路、電池保護装置及び電池パックを実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
例えば、電池保護回路又は電池保護装置は、電池パック以外の他の使用形態で使用されてもよい。例えば、電池保護回路又は電池保護装置は、電池パックに内蔵されずに、対象製品に取り付けられてもよい。
また、特性データをメモリに書き込むための書き込み方式は、上述のような二線式に限られず、二線式以外(例えば、一線式又は三線式)でもよい。