JP2016153117A - アロマディフューザー - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波振動子の駆動電力の閾値以下という小さい駆動電力であっても必要量の霧を発生させることができ、香料成分を空間へ効率よく揮散させることのできる超音波振動を利用したアロマディフューザーを提供する。
【解決手段】容器1の底部に更にくぼみ部2を設け、該くぼみ部の底に超音波振動子3を設置し、該くぼみ部を覆う状態でその中心に開口部5を有する座金状部材4を配置するか、又は該くぼみ部のほぼ中心が開口した位置となるように開口部を有する容器底板で該くぼみ部を覆い、さらに前記座金状部材又は容器底板の開口部の直径(d)と超音波振動子の直径(D)の比率(d/D)を0.33〜0.45の範囲とするとともに、超音波振動子を1〜3ワットの範囲の電力で駆動させることを特徴とするアロマディフューザーである。
【選択図】図1
【解決手段】容器1の底部に更にくぼみ部2を設け、該くぼみ部の底に超音波振動子3を設置し、該くぼみ部を覆う状態でその中心に開口部5を有する座金状部材4を配置するか、又は該くぼみ部のほぼ中心が開口した位置となるように開口部を有する容器底板で該くぼみ部を覆い、さらに前記座金状部材又は容器底板の開口部の直径(d)と超音波振動子の直径(D)の比率(d/D)を0.33〜0.45の範囲とするとともに、超音波振動子を1〜3ワットの範囲の電力で駆動させることを特徴とするアロマディフューザーである。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波振動を利用して容器内の液体を霧化することによって、液体中に含まれる香料成分を空間に揮散させるアロマディフューザーに関する。
従来から、水などの液体を霧化して加湿器や吸入器などに使用するために超音波振動を利用する超音波霧化装置が知られている。この超音波霧化装置は、容器内の液体中に超音波振動子を設置して、この超音波振動子に高周波の電圧を加えて超音波振動を発生させ、この超音波の振動エネルギーが液面に伝わり、液面の一部が隆起した液隆起部を形成させて、ここから微細な霧化粒子を発生させる装置である。
この超音波振動を利用した霧の発生原理は、液体に超音波振動を与え、液面や液内部に周波数固有のキャピラリ波(毛細表面波)やキャビテーション(空洞現象)を発生させることにより液面に無数の毛細表面波をつくり、霧状の微細な水滴を発生させるものであると考えられている。
このような従来の超音波霧化装置における霧化は、液中に放出される超音波振動の指向性に任せて行われているため超音波振動エネルギーの全てが霧化に有効に使用されるものではなく、また、液体の毛細表面波も自然発生的に生じるものであるから、液面に形成された液隆起部から発生する霧化粒子はいわば偶然の産物として得られるようなものであり、霧化効率が悪いものとなっている。さらに、液中に放出された超音波振動が液面で反射し、かかる反射波の超音波振動が超音波振動子に達することにより、超音波振動子より生じる振動波と干渉し、その結果、超音波振動子による超音波振動の発生を阻害して霧化効率が悪くなる場合がある。
これらのことは、言い換えれば、従来の超音波霧化装置にあっては、所定の霧化量を得るために、霧化に貢献しない無駄な超音波振動分を含んだ形で超音波振動を発生させるように超音波振動子を動作させなければならず、そのために大きな駆動電力が必要となるということを意味するものであり、電力が無駄に消費されているという問題があった。
このような従来の超音波霧化装置について、より効率よく液体の霧を発生させるためにすでに種々の提案がなされている。例えば、容器底部に設置した超音波振動子の振動面に対向する側の液体中に液面に向けて筒体を配設し、超音波振動をこの筒体内を通過させ、反射させて液面の方向に集中させることによって液面から効率よく霧を発生させるという、超音波振動エネルギーを有効利用して安定な霧化量を実現した超音波霧化装置が提案されている(特許文献1参照)。また、容器底部に設置した超音波振動子の液体に露出した面の上部に通孔を有する板状物を配置し、この通孔を通して液体の霧化に有効な超音波成分を通過させることによって霧化効率を改善した超音波霧化装置が提案されている(特許文献2参照)。
電子情報通信学会論文誌 A Vol.J80-A、No.10、pp.1614-1620、1997年10月、
日本機械学会講演論文集、No.114-1(11.3関西支部第86期定時総会講演会)
一般的に加湿器や吸入器などに使用するための超音波霧化装置はできるだけ多くの加湿成分である霧を効率よく発生させることが求められており、上述したような種々の工夫が試みられている。このような超音波霧化装置では超音波振動子を駆動させる電力に閾値があり、液体として水を使用する場合には、最低でも5ワット以上の電力で超音波振動子を駆動させる必要があり、これ以下の電力では液面から目視で確認できる霧を発生させることはできない。
本発明は、香料成分を揮散させるアロマディフューザーへの利用を目的とするものであって、上記のような超音波振動子の駆動電力の閾値以下という小さい駆動電力であっても必要量の霧を発生させることができ、香料成分を空間へ効率よく揮散させることのできる超音波振動を利用したアロマディフューザーを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、一般的な加湿等を目的とした超音波霧化装置では利用できないような小さい駆動電力を使用した場合であっても、装置の形状特性を適切に選択することによって液面に特殊な形状の液柱が形成され、一定量の霧を発生させることができることを見出し本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とする発明である。
(1)容器内の香料成分を含む液体に超音波振動を与えて液面に液柱を形成させ前記液体を霧化するとともに香料成分を揮散させるアロマディフューザーにおいて、前記容器の底部に更にくぼみ部を設け、該くぼみ部の底に超音波振動子を設置し、該くぼみ部を覆う状態でその中心に開口部を有する座金状部材を配置するか、又は該くぼみ部のほぼ中心が開口した位置となるように開口部を有する容器底板で該くぼみ部を覆い、さらに前記座金状部材又は容器底板の開口部の直径(d)と超音波振動子の直径(D)の比率(d/D)を0.33〜0.45の範囲とするとともに、超音波振動子を1〜3ワットの範囲の電力で駆動させることを特徴とするアロマディフューザー。
(1)容器内の香料成分を含む液体に超音波振動を与えて液面に液柱を形成させ前記液体を霧化するとともに香料成分を揮散させるアロマディフューザーにおいて、前記容器の底部に更にくぼみ部を設け、該くぼみ部の底に超音波振動子を設置し、該くぼみ部を覆う状態でその中心に開口部を有する座金状部材を配置するか、又は該くぼみ部のほぼ中心が開口した位置となるように開口部を有する容器底板で該くぼみ部を覆い、さらに前記座金状部材又は容器底板の開口部の直径(d)と超音波振動子の直径(D)の比率(d/D)を0.33〜0.45の範囲とするとともに、超音波振動子を1〜3ワットの範囲の電力で駆動させることを特徴とするアロマディフューザー。
(2)前記くぼみ部の深さ(h1)が、前記超音波振動子によって発生する超音波の波長(λ)の2〜12倍の範囲にあることを特徴とする、前記(1)に記載のアロマディフューザー。
(3)容器内の液の水深(h2)が、超音波振動子の直径(D)に対する比率(h2/D)で0.3〜0.9の範囲にあることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のアロマディフューザー。
本発明のアロマディフューザーでは、容器の底部のくぼみ部に設置した超音波振動子によって発生した超音波振動が、くぼみ部の上部を覆う座金状部材又は開口部を有する容器底板とくぼみ部の壁で形成される空間内で反射を繰り返し、その結果増強された超音波振動がくぼみ部の上部の座金状部材の開口部又は開口部を有する容器底板の開口部から放出される。このため超音波振動子の駆動電力が1〜3ワットという小さいものであっても、この増強された超音波振動が液面付近に集中し、液面に円錐状の液隆起部と球状の液滴が連続して重なった状態の数珠状の液柱を形成する。液面の上部にこの球状の液滴が数珠状に連なった液柱が形成されることによって、この数珠状の液滴の周囲に微細な液滴からなる雲状の霧が発生し、ここで発生した霧によって液中に含まれている香料成分を効果的に空気中に揮散させることができる。
液面にこのような液隆起部と液柱を発生させる液体内部においては、座金状部材の開口部又は容器底板の開口部から放出された超音波振動によって容器の底部から液面に向かう強い液体の流れ(音響流と呼ばれる)が発生しており、この液体の流れによって液隆起部と液柱が形成される。球状の液滴が数珠状に連なった液柱は、その表面がキャピラリ波やキャビテーションなどによる液の表面張力のせん断が起こっており、ここから微細な液滴が霧状となって放出される。
また、座金状部材又は開口部を有する容器底板をくぼみ部の上部で超音波振動子を覆うように設けているため、液面で反射された反射波がこれらの部材で遮断されてくぼみ部内部に到達することが少なくなり、反射波が超音波振動子に達して干渉し新たな超音波振動の発生を阻害することを防ぐことができる。
以下に、本発明について図面を用いて更に詳しく説明する。
図1は、本発明のアロマディフューザーの動作状態の一例を示す説明図である。図1に示すような本発明の第1の態様では、水などの液体を収容する容器1の底部に、容器の底部よりも更に凹んだ状態のくぼみ部2が設けられており、このくぼみ部2の底に超音波振動子3が設置されている。この超音波振動子3の上部には、くぼみ部2に上から蓋をするような状態で座金状部材4が配置されており、この座金状部材4はその中心に開口部5を有している。また、図2に示すような本発明の第2の態様では、容器1の底板6がくぼみ部2を上から覆う状態で取り付けられており、くぼみ部2のほぼ中心の位置に開口部7が設けられている。
図1は、本発明のアロマディフューザーの動作状態の一例を示す説明図である。図1に示すような本発明の第1の態様では、水などの液体を収容する容器1の底部に、容器の底部よりも更に凹んだ状態のくぼみ部2が設けられており、このくぼみ部2の底に超音波振動子3が設置されている。この超音波振動子3の上部には、くぼみ部2に上から蓋をするような状態で座金状部材4が配置されており、この座金状部材4はその中心に開口部5を有している。また、図2に示すような本発明の第2の態様では、容器1の底板6がくぼみ部2を上から覆う状態で取り付けられており、くぼみ部2のほぼ中心の位置に開口部7が設けられている。
具体的には、例えば、液体を収容する容器1の底部に、図1に示すように、水漏れ防止用としてリング状のゴムパッキン8などを介して超音波振動子3を取り付ける。このゴムパッキン8などにより容器1の底部と超音波振動子3の上面との間にくぼみ部2の空間が形成される。くぼみ部2の大きさは超音波振動子3が収容され、固定できる程度に超音波振動子3よりやや小さいものでよい。一般的に超音波振動子3は円盤状の形状であるので、くぼみ部もかかる超音波振動子の形状に合わせて容器1の底部より更に下方へ円柱状に凹んで形成すれば良く、その直径が超音波振動子3のそれよりやや小さいものでよい。
更に、図1に示すように、このくぼみ部2の上部に、くぼみ部2を覆って上から蓋をする状態でその中心に開口部5を有する座金状部材4を配置するか、又は、図2に示すように、容器1の底板6でくぼみ部を覆うがくぼみ部のほぼ中心の位置に開口部7が来るように容器を構成し、くぼみ部2と座金状部材4又は開口部を有する容器底板6とで囲われた空間を形成する。超音波振動子3によって発生した超音波振動は、この囲われた空間の中でくぼみ部2の壁と座金状部材4又は開口部7を有する容器底板6で繰り返して反射されて、超音波エネルギーが増強される。この増強された超音波エネルギーが座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7を通って容器1本体の液体の中に放出される。
一般的に超音波振動を利用して液体を霧化する場合に、目視で確認できるような液体の霧を発生させるためには超音波振動子の駆動電力の下限に閾値があり、この値を下まわるような電力を用いた場合には霧を発生させることができない。液体が水の場合にはこの超音波振動子のこのような駆動電力の下限は約5ワットであり、一定の霧を発生させるためには少なくとも5ワット以上の電力で超音波振動子を駆動させる必要がある。本発明のアロマディフューザーでは、この超音波振動子3の駆動電力として、かかる霧の生成のための閾値を下回る小さい駆動電力を使用する。具体的には、室内用の小型のアロマディフューザーを想定した場合に、使用する超音波振動子はその直径が15〜20mm程度のものであり、かかる超音波振動子を1〜3ワットという非常に小さい駆動電力で作動させる。
一般的な超音波振動を利用する霧化装置では、その駆動電力の閾値を下まわる1〜3ワットという小さい駆動電力で作動させた場合には、図4にしめすように液面に小さな液の盛り上がりが形成される程度であって、目視で観察できる霧は全く発生しない。本発明のアロマディフューザーでは、驚くべきことに、かかる低出力条件であっても、くぼみ部2の上部を覆うように座金状部材4を設置するか、又はくぼみ部2の上部を覆うように開口部を有する容器底板6を設置し、座金状部材4又は容器底板6の開口部の直径(d)とくぼみ部2の底に設置した超音波振動子3の直径(D)との比率(d/D)を0.33〜0.45というごく限られた範囲に設定することによって、更には、くぼみ部2の深さ(h1)を超音波振動子3によって発生する超音波の波長(λ)の2〜12倍という範囲に設定することによって、図1及び図5に示すように、液面に円錐状の液隆起部10と球状の液滴が連続して重なった数珠状の液柱11が形成され、数珠状の液柱11の周囲に極めて微細な液滴の霧12を発生させることができたものである。そしてこのようにして形成された液柱11の周囲から、霧状の液滴12とともに液中に含まれる香料成分が空気中に効率よく放出され、大気中に揮散される。
液面上にこのような円錐状の液隆起部10と球状の液滴が連続した数珠状の液柱11からなる特殊な形状のものが形成されることは、超音波振動子3を1〜3ワットという小さい駆動電力で作動させることと、座金状部材4又は容器底板6の開口部の直径(d)と超音波振動子3の直径(D)との比率(d/D)を0.33〜0.45というごく限られた範囲に設定することによって、更には、くぼみ部2の深さ(h1)を超音波振動子3によって発生する超音波の波長(λ)の2〜12倍という範囲に設定することによって、この微妙な条件のバランスを満たした場合にはじめて見いだされたものである。超音波振動子3を1ワット未満の電力で駆動した場合には、液面に円錐状の隆起部は形成されるが、数珠状の液柱は形成されず、まったく霧の発生が見られない。また、超音波振動子3を3ワットを超える電力で駆動した場合には、液柱11の形状の乱れが激しくなり、数珠状の液柱は形成されない。
更に、座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7の直径(d)は、上述したような小さい駆動電力で超音波振動子を作動させた場合に数珠状の液柱を形成させるために、超音波振動子の直径(D)との比率(d/D)が0.33〜0.45の範囲とするが、座金状部材4又は容器底板6の開口部をこのような条件にすることによって液面で反射されて戻ってくる反射波が超音波振動子3に達して新たな超音波振動と干渉することを防ぐという効果もある。
なお、容器の底部のくぼみ部に設置した超音波振動子によって発生した超音波振動が、くぼみ部の上部を覆う座金状部材又は開口部を有する容器底板とくぼみ部の壁で形成される空間内で反射することにより発生する反射波と、同じく超音波振動子によって発生した超音波振動が液面で反射して発生する反射波の違いは次の通りである。すなわち、前者は座金状部材や容器底板、くぼみ部の壁などの硬い面にぶつかって反射するため、波の性質として固定端反射となり、反射波の位相が互いに振幅を増幅し、エネルギーを強め合う作用をもたらす。一方、後者は水面という柔らかい面にぶつかって反射するため、波の性質としては自由端反射となり、超音波振動子から発生した波の位相と座金上部材や壁面からの反射波の位相が振幅を減衰させ、エネルギーを弱め合う作用をもたらす。
即ち、本発明のアロマディフューザーでは、くぼみ部と座金状部材又は開口部を有する容器底板で囲われた空間内で超音波振動を増強させるものであって、従来の超音波霧化装置に比べて小さい超音波振動子の駆動電力で液体に効率よく超音波振動を与え、液面において球状の液滴が連続して重なった状態の数珠状の液柱という特殊な形状の液体の柱状物を形成する。また、座金状部材又は開口部を有する容器底板によって液面からの反射波が超音波振動子に到達することが防止されるため、超音波振動によるエネルギーを減衰することなく効率よく霧化させることができる。これらの理由により、従来の超音波霧化装置では5ワットを超える駆動電力を用いる必要があったが、本発明では1〜3ワットという比較的小さい駆動電力で超音波振動子を駆動させ、必要量の霧を発生させることができるものであり、小型でコンパクトなアロマディフューザーとすることができる。
本発明で用いる座金状部材4は、図1および図3に示すようにその中心部に開口部5を有する板状の部材であり、形状はくぼみ部2全体を覆う形状であれば特に限定されないが、例えばくぼみ部2の形状が円柱状の場合、くぼみ部2の直径よりやや大きい外径に形成されたドーナツ状に形成すればよい。更には、本発明の霧化装置の別の目的のために必要とされる部材、例えば容器の蓋などと一体的に成形されて得られた部材であっても、この中の座金に相当する部分が、くぼみ部2全体を覆う板状の形状のものであって、そのほぼ中心に開口部を有するものであれば、ここでいう座金状部材4として使用することができる。
本発明のアロマディフューザーでは、図2に示すように、前記座金状部材4に代えて容器1の底板6に開口部7を設けたものを用いることができる。即ち、超音波振動子3が設置されたくぼみ部2を液体が収容される容器1の底板6で覆うと同時に、この底板6のくぼみ部2のほぼ中心に相当する位置に座金状部材4と同様の開口部7を設けて容器1を構成したものを用いることもできる。
また、座金状部材4は、くぼみ部2を覆う状態で配置するが、必ずしも容器1に直接固定する必要はなく、隙間の空いた状態や容器1の底からやや浮き上がった状態となるように座金状部材4を支持する部材を介して間接的に容器1に固定してもよい。座金状部材4の材質は、金属製のもの特にステンレス製のものが好ましいが、セラミック製や合成樹脂製のものであっても使用することができる。
また、前記くぼみ部2の深さも好ましい範囲がある。水漏れ防止用ゴムパッキンの設置という意味では1mm以上あることが好ましいが、超音波振動により液面に前述の特殊な形状の液柱を形成させるためには、くぼみ部2の深さ(h1)が超音波振動子によって発生する超音波の波長(λ)の2〜12倍の範囲であることが好ましく、4〜7倍の範囲にあることが更に好ましい。例えば、1.7MHzの振動を与える超音波振動子の場合、水温20℃の水中での超音波の波長λが0.87mmであるので、この場合のくぼみ部の深さ(h1)は1.7〜10.4mmとすることがより好ましく、3.5〜6.1mmとすることが更に好ましい。
本発明のアロマディフューザーでは、後述するように、容器のくぼみ部に設置された超音波振動子3から放出された超音波振動が、液の中を音響流となって液面に向って伝播し、液面において図1、図5に示すような液の円錐状の隆起部10とこの液隆起部10の頂部から球状の液滴が連続して重なった状態の数珠状の液柱11が形成される。
超音波振動子3は公知の超音波振動子を用いることができるが、例えば、圧電セラミックスの上下面を電極で挟んで平板状に成形された圧電型超音波振動子を用いることができる。本発明のアロマディフューザーは小型で小電力で駆動するものであるので、超音波振動子3としては直径が15〜20mm程度のものを用いて、1〜3ワットという小さい駆動電力で超音波振動子3を作動させる。超音波振動子3には発振回路9が接続されており、この発振回路9から超音波振動子3に高周波電圧を印加することにより、容器1内の液体に対して超音波振動子3の振動面の垂直方向に超音波振動が発振される。
また、この超音波振動子3は、すでに述べたように容器1の底部に設けたくぼみ部2の底部に、超音波エネルギーがくぼみ部2で増強されるように振動面を液面に向けて、かつ、その上部に覆って配置されている座金状部材4又は容器底板6の下面と平行になるように設置することが望ましい。超音波振動子3の振動面が座金状部材4又は容器底板6の下面と平行に設置されると超音波エネルギーが効率よく増強される。
容器1を満たす水などの液体については、効率の良い霧化を達成するためには好ましい容器内の水深がある。水深が大きすぎると、超音波振動子から放射された超音波振動が液面に向かっていく途中で減衰し、逆に水深が小さすぎると、液体の流れが限定され、十分な大きさの液柱が形成されなくなる。このような点から容器1内の水深(h2)には好ましい範囲があり、容器内の水深(h2)が超音波振動子3の直径(D)に対して30〜90%の範囲であることが好ましく、40〜70%の範囲にあることが更に好ましい。
なお、公知の先行技術として、先に特許文献2として引用した特開平4−250864号公報に記載された発明(以下、「特許文献2の発明」という)がある。これは超音波振動を利用した液体の霧化器に関する発明であり、本発明と同様に容器の底部にくぼみ部を設けて超音波振動子を設置し、その上に通孔又は切欠きを有する板状物を設けた構成が記載されている。
しかし、この特許文献2の発明はできるだけ多くの霧を生成させることを目的とした加湿器に関するものであって、そのために上記のような構成を採用したものである。そのため具体的に実施例で見てみると、板状物の通孔が10mm又は12mmで、超音波振動子の直径が20mm、周波数2.4MHzで、AC24V又はDC24Vを使用している。このような超音波振動子は電流が0.4A程度であるので、発振回路に供給される電力は10W程度となる。回路自体に消費される電力を3Wと見積もると、超音波振動子に供給される電力は7W程度となる。このような条件で超音波振動子を作動させた霧化器では、液面に発生する液柱が激しく乱れて霧の生成とともに多くの液の飛沫が発生し、生成した霧をこの液の飛沫が吸収してしまう恐れがある。そのため特許文献2の発明では、液柱を包む状態で霧化筒17を設置し、生成した霧を早く系外に搬送することを必要としているものである。
次に、本発明の超音波霧化装置の動作を説明する。
容器1の底部に形成されたくぼみ部2の底に設置された超音波振動子3に高周波電圧を印加すると、超音波振動子3から超音波振動が発振され、くぼみ部2の液体の中を上向きに放射され伝播していく。図1に示すような本発明の第1の態様の場合には、この超音波振動は上部を覆っている座金状部材4やくぼみ部2の壁面で繰り返し反射される。図2に示すような本発明の第2の態様の場合には、くぼみ部2の上部を覆っている容器1の底板6やくぼみ部2の壁面で繰り返し反射される。更に、これに発振中の超音波振動子3から発生する超音波振動が加わって、くぼみ部2の中を伝播する超音波エネルギーが増強される。この増強された超音波エネルギーが座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7から容器1本体の液体中に放出される。このとき、液面で反射した超音波振動の反射波は、座金状部材4又は容器底板6に遮られてくぼみ部2内に侵入することがなく、そのため超音波振動子3から発生する超音波振動に悪い影響を及ぼすことがなく、よって、液面の反射波による超音波エネルギーの減衰が生じることがない。座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7から放出された超音波振動によって開口部の上部に液面に向けて液の流れのある音響流が発生し、液面を盛り上げる流れとなって、液面に図1及び図5に示すような液の円錐状の隆起部10とこの液隆起部の頂部から球状の液滴が連続して重なった状態の数珠状の液柱11が形成される。
容器1の底部に形成されたくぼみ部2の底に設置された超音波振動子3に高周波電圧を印加すると、超音波振動子3から超音波振動が発振され、くぼみ部2の液体の中を上向きに放射され伝播していく。図1に示すような本発明の第1の態様の場合には、この超音波振動は上部を覆っている座金状部材4やくぼみ部2の壁面で繰り返し反射される。図2に示すような本発明の第2の態様の場合には、くぼみ部2の上部を覆っている容器1の底板6やくぼみ部2の壁面で繰り返し反射される。更に、これに発振中の超音波振動子3から発生する超音波振動が加わって、くぼみ部2の中を伝播する超音波エネルギーが増強される。この増強された超音波エネルギーが座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7から容器1本体の液体中に放出される。このとき、液面で反射した超音波振動の反射波は、座金状部材4又は容器底板6に遮られてくぼみ部2内に侵入することがなく、そのため超音波振動子3から発生する超音波振動に悪い影響を及ぼすことがなく、よって、液面の反射波による超音波エネルギーの減衰が生じることがない。座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7から放出された超音波振動によって開口部の上部に液面に向けて液の流れのある音響流が発生し、液面を盛り上げる流れとなって、液面に図1及び図5に示すような液の円錐状の隆起部10とこの液隆起部の頂部から球状の液滴が連続して重なった状態の数珠状の液柱11が形成される。
ここでいう「音響流」とは、次のようなものである。流体中を伝播する超音波は物体に音響放射圧として力を作用させることができ、この音響放射圧の差が駆動力となって液体を超音波の伝搬方向に押し流すことにより生ずるものである。即ち、音響流の伝搬過程で波動エネルギーの一部が液体を動かすエネルギーに変換される結果として生じるものであって、流れの駆動力は超音波の伝搬経路に沿って分布し、遠方までビーム状となって存在している(非特許文献1、2参照)。本発明の霧化装置の場合には、くぼみ部3の内部で増強された超音波エネルギーが座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7から放出されて、ここで液面に向う強い音響流が発生し、液面に液隆起部10及び数珠状の液柱11を形成するものと考えられる。
この液面の液隆起部10及び数珠状の液柱11は、超音波振動によってその内部とその表面にキャピラリ波やキャビテーションが生じていて、表面張力の剪断が生じている。このため容器内の液隆起部10及び液柱11付近の液体は非常に微細化されやすい状態となっており、その結果、液隆起部10及び液柱11の表面からは微細な霧状の液滴が効率よく大気中に放出される。
以上のように、本発明のアロマディフューザーでは、くぼみ部2の底部に超音波振動子3を設置して、1〜3ワットという小さい駆動電力で超音波振動子3を駆動させ、このくぼみ部2と座金状部材4又は開口部を有する容器底板6によって超音波エネルギーを増強させ、この増強された超音波エネルギーを座金状部材4の開口部5又は容器底板6の開口部7から液中に放出する。そのため容器1内の液体に従来のものに比較して強い超音波振動を与えるとともに、液面に向かう大きな音響流を発生させ、液面に大きな液隆起部10及び数珠状の液柱11を形成させることができたものである。また、座金状部材4又は容器底板6をくぼみ部2の上部を覆うように設けることより、液面からの反射波が超音波振動子3に達して干渉し、超音波エネルギーが減衰することを防ぐことができたものである。
本発明のアロマディフューザーは、上記のような構成とすることによって、駆動電源として市販の乾電池を使用することが可能となり、その大きさも大幅に小型化することが可能となった。例えば、従来のものでは直径100mm×高さ150mm、重さが350g程度のものであったものが、本発明のアロマディフューザーは、直径65mm程度、高さ110mm程度で、重さが200g程度とすることが可能となった。そのため本発明のアロマディフューザーは、極めて容易に、かつ手軽に移動や持ち運びができる。
本発明のアロマディフューザーは、水とともにさまざまな香料や精油(エッセンシャルオイル)、芳香成分を加えたものを容器の中に入れて使用する、室内用の芳香揮散器である。使用する者の好みに応じて様々な種類の香料成分を加えて気軽に香りを楽しむことができる。小型で持ち運びも容易であるので、室内のいろいろの場所で使用することができ、例えば居間でくつろぐ際に使用したり、就寝時に枕元にもってきて使用することなどが考えられる。
本発明のアロマディフューザーに使用する精油(エッセンシャルオイル)としては、例えば、ラベンダー、ひのき、スイートオレンジ、ベルガモット、レモングラス、レモン、ユーカリ、ローズマリー、イランイラン、ゼラニウム、ティートリー、グレープフルーツなどから採取した精油を使用することができる。使う人の好みや使用目的、その場の雰囲気などに合わせてこれらの精油の中から適切なものを選択し、アロマディフューザーの中の水に数滴添加すればよい。超音波の振動によって発生する霧とともに香りが空間に揮散するので、精油本来の香りを楽しむことができる。
次に、実施例によって本発明を説明する。
(イ)実験装置:
以下の実験においては、図1に示す構造からなり次のような各部材の仕様からなる装置を用いた。
・容器:透明アクリル樹脂製の角形容器
容器の内側寸法:高さ100mm×幅100mm×奥行100mm、
くぼみ部内径:13mm
くぼみ部深さ:3.7〜5.1mm、
・超音波振動子:圧電型超音波振動子、共振周波数1.7MHz、
直径16mm×厚さ0.2mmの円盤状、
・座金状部材:外径21mm×内径13mm×厚さ1.5mm(図3参照)
開口部直径:5.4〜6.6mm、
材質:ステンレス
・霧化する液体:水道水
・駆動電源:直流6Vの安定化電源であって、発振回路の消費分を差し引いて、
超音波振動子での実効電力として1W又は2Wとした。
(イ)実験装置:
以下の実験においては、図1に示す構造からなり次のような各部材の仕様からなる装置を用いた。
・容器:透明アクリル樹脂製の角形容器
容器の内側寸法:高さ100mm×幅100mm×奥行100mm、
くぼみ部内径:13mm
くぼみ部深さ:3.7〜5.1mm、
・超音波振動子:圧電型超音波振動子、共振周波数1.7MHz、
直径16mm×厚さ0.2mmの円盤状、
・座金状部材:外径21mm×内径13mm×厚さ1.5mm(図3参照)
開口部直径:5.4〜6.6mm、
材質:ステンレス
・霧化する液体:水道水
・駆動電源:直流6Vの安定化電源であって、発振回路の消費分を差し引いて、
超音波振動子での実効電力として1W又は2Wとした。
(ロ)霧化量の測定方法:
上記の実験装置に所定量の水道水を入れて、座金状部材を所定の位置に設置し、この全体を電子天秤に乗せる。電源スイッチを入れて霧化を開始し、電子天秤によって5秒間隔で全体の重量の変化を測定する。この結果から、霧化開始からある時点での1分間の重量の減少量から1分間霧化量を算出し、これを換算して1時間当たりの霧化量(ml/hr)を求めた。
上記の実験装置に所定量の水道水を入れて、座金状部材を所定の位置に設置し、この全体を電子天秤に乗せる。電源スイッチを入れて霧化を開始し、電子天秤によって5秒間隔で全体の重量の変化を測定する。この結果から、霧化開始からある時点での1分間の重量の減少量から1分間霧化量を算出し、これを換算して1時間当たりの霧化量(ml/hr)を求めた。
(ハ)香料成分の揮散性能の評価方法:
大きさが約畳6畳の部屋に、上記(イ)の実験装置を設置し、パネラー3名があらかじめ香りがしないことを確認した後、部屋を退出した。実験装置に所定量の水道水を入れ、更に香料(エッセンシャルオイル・スイートオレンジ)を容器内の水面に1滴(0.5ml)垂らし、電源スイッチを入れて霧化を開始した。霧化を開始して5分経過後に、3名のパネラーが部屋に入室し、室内の香りの有無を多数決で判定した。判定結果は、次のように表示する。
○:3名全員が一致して香りありと判定した。
△:3名のうち1〜2名が香りありと判定した。
×:3名全員が一致して香りなしと判定した。
大きさが約畳6畳の部屋に、上記(イ)の実験装置を設置し、パネラー3名があらかじめ香りがしないことを確認した後、部屋を退出した。実験装置に所定量の水道水を入れ、更に香料(エッセンシャルオイル・スイートオレンジ)を容器内の水面に1滴(0.5ml)垂らし、電源スイッチを入れて霧化を開始した。霧化を開始して5分経過後に、3名のパネラーが部屋に入室し、室内の香りの有無を多数決で判定した。判定結果は、次のように表示する。
○:3名全員が一致して香りありと判定した。
△:3名のうち1〜2名が香りありと判定した。
×:3名全員が一致して香りなしと判定した。
実施例1:液隆起部と液柱の観察
本発明のアロマディフューザーの効果を確認するために、くぼみ部内に超音波振動子を設置し、くぼみ部の上に孔径6.0mmの座金状部材を配置した上記の実験装置を用いて、水深が10mmとなるように水道水を容器の底から10mmの位置まで注水し、実効電力が1ワット又は2ワットとなる条件で超音波振動子を作動させ、液隆起部と液柱の形成状態を観察した。更に、同じ装置を用いて実効電力が7ワットとなる条件で超音波振動子を作動させ、液隆起部と液柱の形成状態を観察した。これらの場合と座金状部材を使用しない場合の観察結果を表1に示し、併せて液隆起部と液柱の様子を写真撮影し、その外観の状態を図4〜図7に示す。
本発明のアロマディフューザーの効果を確認するために、くぼみ部内に超音波振動子を設置し、くぼみ部の上に孔径6.0mmの座金状部材を配置した上記の実験装置を用いて、水深が10mmとなるように水道水を容器の底から10mmの位置まで注水し、実効電力が1ワット又は2ワットとなる条件で超音波振動子を作動させ、液隆起部と液柱の形成状態を観察した。更に、同じ装置を用いて実効電力が7ワットとなる条件で超音波振動子を作動させ、液隆起部と液柱の形成状態を観察した。これらの場合と座金状部材を使用しない場合の観察結果を表1に示し、併せて液隆起部と液柱の様子を写真撮影し、その外観の状態を図4〜図7に示す。
表1及び図4〜図6に示すように、同じ水量(水深10mm)で同一条件の超音波振動であっても、座金状部材を使用しない場合には小さな山状の液隆起部が形成するに過ぎず、霧の発生もみられない(図4)。座金状部材を使用した場合であって、駆動電力が1.0W及び2.0Wの場合には、座金状部材の口径が6.0mmと6.6mmのいずれの場合にも円錐状の液隆起部の頂部から球状の液滴が連続して重なった状態の数珠状の長い柱状の液柱が形成された(図5、図6)。さらに、この数珠状の液柱の周囲に極めて微細な液滴からなる雲状の霧が発生している。一方、座金状部材を使用した場合でも駆動電力が7.0Wの場合には、液の表面から霧が爆発的に発生すると同時に多数の微細な液滴が放射状に飛び散っている(図7)。このため液滴が空中に浮遊している霧を吸収し、霧の量を減少させている。
次に、この同じ実験装置を用いて、座金状部材なしの場合と、座金状部材の口径が5.4mm、6.0mm及び6.6mmの場合について、経時的な液隆起部と液柱の形成状態を観察し、それぞれの液面からの高さを測定した。その結果を図8に示す。
図8に示すように、座金状部材なしの場合には、山状の盛り上がりの高さは3mm程度となり、その後時間が経過してもほぼこの程度の高さが維持される。一方、座金状部材ありの場合には、経時的には、高さが2.2mmまでは同じような山状の盛り上がりが形成されるが、その隆起部の頂部に数珠状の長い柱状の液柱が形成され、10〜15mm程度まで直線的に成長する。その後、上端部が液柱から離れて液滴となって上昇し、飛散するため、液柱の高さは変動しているが、10〜15mmの高さで数珠状の液柱が維持されている。
図8に示すように、座金状部材なしの場合には、山状の盛り上がりの高さは3mm程度となり、その後時間が経過してもほぼこの程度の高さが維持される。一方、座金状部材ありの場合には、経時的には、高さが2.2mmまでは同じような山状の盛り上がりが形成されるが、その隆起部の頂部に数珠状の長い柱状の液柱が形成され、10〜15mm程度まで直線的に成長する。その後、上端部が液柱から離れて液滴となって上昇し、飛散するため、液柱の高さは変動しているが、10〜15mmの高さで数珠状の液柱が維持されている。
更に、この実験装置を用いて、座金状部材の口径6.0mmとし、駆動電力を1.0Wで超音波振動子を駆動させた場合の液柱の挙動と霧の発生状況の細部を、高速度撮影によって観察した。高速度撮影は、ハイスピード・マイクロスコープ・ユニット(KEYENCE製VW-9000、カメラユニットVW-300C、高解像度マイクロズームVW35)を用いた。撮影は、シャッター速度1/25000としフレームレイトは高速(6000FPS)で行った。得られた画像の一部を時間経過とともに図9に示す。
これらの写真からわかるように、液の隆起部の上部から連続的に球を重ねたような数珠状の液柱が形成されている(図9、左端)。各写真の下の数値はスタートからの相対時間を示す。数珠状の液柱が毎秒1.5mの速度で上昇しつつ、液柱のほぼ中間の数珠のくびれ部分から霧状の雲が爆発的に発生し、次いでその下のくびれから次の雲が発生している(図9、0.17ms〜0.67ms)。
実施例2:霧化量の測定と香料揮散性能の評価
上記(イ)に述べた実験装置を用いて、種々の開口径の座金状部材を用いた場合と、超音波振動子の駆動電力を2Wから7Wに変えた場合について、それぞれの霧化量を測定し、香料揮散性能を評価した。なお、この場合も水深が10mmとなるように水道水を容器の底から10mmの位置まで注水した。くぼみ部の深さは4.65mmとした。
上記(イ)に述べた実験装置を用いて、種々の開口径の座金状部材を用いた場合と、超音波振動子の駆動電力を2Wから7Wに変えた場合について、それぞれの霧化量を測定し、香料揮散性能を評価した。なお、この場合も水深が10mmとなるように水道水を容器の底から10mmの位置まで注水した。くぼみ部の深さは4.65mmとした。
表2に示す種々の開口径(d)の座金状部材を用いた場合と超音波振動子の駆動電力を2Wから7Wに変えた場合、及び座金状部材を使用しない場合について、まず、超音波振動子を駆動させて霧化を開始し、それぞれの場合について上記(ロ)に記載した方法で霧化開始1分後の霧化量を測定した。次に、それぞれの場合について、上記(ハ)に記載した方法によって香料成分の揮散性能の評価を行った。これらの結果を表2に示す。
本発明のアロマディフューザーに相当する座金状部材の開口径(d)が5.4〜6.6mm(d/D=0.337〜0.413)の場合には、14〜18(ml/hr)という少ない霧化量であっても、3人のパネラー全員が一致して香りを確認することができ、良好な香料の揮散性能を示したが、d/Dがこの範囲を外れる場合には、霧化量が減少するだけでなく香料の揮散性能も低下した。また、駆動電力が7Wという大きな電力を使用した場合には、大きな霧化量を得ることはできるが、表面から多くの液滴粒子の飛散があり、これが周囲の霧と揮散した香料を吸収するためか、必ずしも良好な香料の揮散性能が得られなかった。
実施例3:くぼみ部の深さの影響
座金状部材で蓋をされたくぼみ部の空間内で超音波エネルギーが増強されるが、その際にくぼみ部の深さ(h1)も影響すると考えられるので、実施例1と同様の方法によって、種々のくぼみ部の深さで超音波振動子を作動させた場合の液隆起部の高さ(H1)と飛沫部の高さ(H2)及び霧化量を測定した。なお、この場合も水深は10mmとし、座金状部材の開口部直径は6.0mmのものを用いた。その結果を表3に示す。
座金状部材で蓋をされたくぼみ部の空間内で超音波エネルギーが増強されるが、その際にくぼみ部の深さ(h1)も影響すると考えられるので、実施例1と同様の方法によって、種々のくぼみ部の深さで超音波振動子を作動させた場合の液隆起部の高さ(H1)と飛沫部の高さ(H2)及び霧化量を測定した。なお、この場合も水深は10mmとし、座金状部材の開口部直径は6.0mmのものを用いた。その結果を表3に示す。
表3に示すように、ここに示すようなくぼみ部の深さのもの、即ち、超音波の波長λとの比率(h1/λ)で4.0〜6.0という条件を満たすものは、いずれも良好な液隆起部と液柱を形成するため、大きな霧化量を達成することができると考えられる。
実施例4:容器の水深の影響
次に、容器内の水深の影響を見るために、実施例1と同様の方法によって、注入する水量を変えて容器の底から測った水深(h2)をいろいろと変えて超音波振動子を作動させた場合の液隆起部の高さ(H1)と飛沫部の高さ(H2)及び霧化量を測定した。なお、この場合も座金状部材の開口部直径は6.0mmのものを用いた。その結果を表4に示す。
次に、容器内の水深の影響を見るために、実施例1と同様の方法によって、注入する水量を変えて容器の底から測った水深(h2)をいろいろと変えて超音波振動子を作動させた場合の液隆起部の高さ(H1)と飛沫部の高さ(H2)及び霧化量を測定した。なお、この場合も座金状部材の開口部直径は6.0mmのものを用いた。その結果を表4に示す。
表4の結果から、本発明の超音波霧化装置では、容器内の水深(h2)が超音波振動子の直径(D)に対して30〜90%の範囲で良好な霧化が達成され、40〜70%の範囲で特に良好な霧化が行われることが分かった。また。霧化が進行し容器内の液量が減少して水深が小さくなっても、ある程度の範囲までは同程度の霧化量を得ることが可能である。
本発明によれば、1〜3ワットという小さい駆動電力で超音波振動子を駆動させ、特殊な数珠状の形状の液柱を形成させることで、香料成分を効果的に空間に揮散させることが可能となった。小型で移動や携帯が容易な香料揮散装置とすることができ、持ち運びや移動が容易な家庭用や室内用のアロマディフューザーとして有用である。
1.容器
2.くぼみ部
3.超音波振動子
4.座金状部材
5.座金状部材の開口部
6.容器底板
7.容器底板の開口部
8.ゴムパッキン
9.発振回路
10.液隆起部
11.液柱
12.発生した霧
2.くぼみ部
3.超音波振動子
4.座金状部材
5.座金状部材の開口部
6.容器底板
7.容器底板の開口部
8.ゴムパッキン
9.発振回路
10.液隆起部
11.液柱
12.発生した霧
Claims (3)
- 容器内の香料成分を含む液体に超音波振動を与えて液面に液柱を形成させ前記液体を霧化するとともに香料成分を揮散させるアロマディフューザーにおいて、前記容器の底部に更にくぼみ部を設け、該くぼみ部の底に超音波振動子を設置し、該くぼみ部を覆う状態でその中心に開口部を有する座金状部材を配置するか、又は該くぼみ部のほぼ中心が開口した位置となるように開口部を有する容器底板で該くぼみ部を覆い、さらに前記座金状部材又は容器底板の開口部の直径(d)と超音波振動子の直径(D)の比率(d/D)を0.33〜0.45の範囲とするとともに、超音波振動子を1〜3ワットの範囲の電力で駆動させることを特徴とするアロマディフューザー。
- 前記くぼみ部の深さ(h1)が、前記超音波振動子によって発生する超音波の波長(λ)の2〜12倍の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のアロマディフューザー。
- 容器内の液の水深(h2)が、超音波振動子の直径(D)に対する比率(h2/D)で0.3〜0.9の範囲にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアロマディフューザー。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015029144 | 2015-02-18 | ||
JP2015029144 | 2015-02-18 |
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JP (1) | JP2016153117A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023204191A1 (ja) * | 2022-04-18 | 2023-10-26 | ナノミストテクノロジーズ株式会社 | 超音波霧化装置 |
-
2015
- 2015-04-30 JP JP2015092864A patent/JP2016153117A/ja active Pending
Cited By (1)
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