JP2007181808A - 霧発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 香料、医薬品、殺菌剤などの化学物質を霧に含有させて放出するための超音波式霧発生装置に関する。特に、霧化効率が高く、清掃メンテナンスが容易で、化学物質の切り替えが容易な装置に関する。
【解決手段】 超音波振動子と、当該振動子の振動面を満たす超音波伝播媒体(Liq1)と、霧化対象液体(Liq2)を入れるための超音波通過膜Bを持つ小形液体容器(20)と、超音波をLiq1および膜Bを介してLiq2に導くための小形液体容器保持機構とからなり、膜Bは下に凸のアーチ型を成し、応力を当該膜の横方向に分散すると共に液体を溜めるように構成される。Liq1の界面に超音波通過膜Aを設け、前記膜Bのアーチ部を膜Aに押しつけるように構成できる。Liq1の容器には、媒体変形調整機構を設けてもよい。20に一方向液体通過機構を設けてもよい。超音波は集束してLiq2に照射できる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、香料、医薬品、殺菌剤、殺虫剤、消臭剤、洗剤など生活の中で使用する化学物質を霧に含有させて放出するための超音波を利用した霧発生装置に関する。特に、霧化効率が高く、清掃メンテナンスが容易で、化学物質の切り替えが容易な装置構成に関する。
本発明の主な応用例である香料含有霧を放出する装置を例に、従来技術とその問題点を説明する。ストレスが多い現代、癒しを与える商品として、超音波式霧発生装置を用いた芳香器が注目されている。様々な香りを切り替えて提示できれば、魅力的な商品となる。
一般に、霧発生装置に使用する超音波振動子には、圧電効果や磁気ひずみ効果のある素子が使用されるが、素子構造は、片持ち支持構造、即ち、振動子の一方の先端部を固定し他方の先端部を液体に接触させ高速で振動させるものと、円盤型振動子のように当該素子の周囲を支持し厚さ方向に振動させて使用するものがある。
前者の片持ち支持構造の例として、特公平7−112491の芳香発生器には、小さなスポンジのような液体保持材に液体を蓄え、当該振動端を液体保持材に接触させて霧を発生させる構造が開示されている。様々な香料液体を保持した複数の液体保持材を用意し、当該振動端に接触させれば、様々な香りを発生させることができる。
しかし、片持ち支持構造の場合、高周波振動させることは難しいため、発生する霧の粒子径は大きく不均一になりやすい。粒子径の大きな霧は、気化せずに装置周辺に飛散して汚染の原因となる問題がある。
また、当該接触部は小さいので単位時間当たりの霧化量が小さい、振動子先端と液体保持部の接触機構部に高い精度が要求されるため製造が難しい、機構部が劣化しやすいなどの問題もある。このため、家庭用として商品化された例は少ない。
一方、円盤型超音波振動子を液体溜の中に入れ、超音波で当該液体を高速に振動させて霧を発生させる装置は、例えば、特開2003−245580の超音波霧化装置、実登3100873の加湿器などに開示されている。当該振動子は1メガヘルツを超える高周波で振動させることが可能なため霧の粒子径を極めて小さくできる。芳香発生装置への応用を考えると香料が気化しやすいため嗅覚特性の良い装置となる。
しかし、高周波駆動する円盤型超音波振動子は、振動面に液体が存在しなくなると、超音波が当該素子の表面で反射し、超音波振動子自体が発熱して高温になる問題がある。
圧電素子の場合、素子が所定の温度を超えると、圧電分極特性が劣化する、あるいは、素子そのものが割れて破壊する。材料によっても異なるが、素子温度が80度程度以上で分極が劣化し、150度程度以上で破壊することがある。磁気ひずみ効果を利用する素子でも同様の問題がある。
従って、高周波駆動する超音波振動子は、振動面の上に常に十分な液体が存在するようにして使用するのが一般的である。換言すると、少量の液体を高い周波数の超音波で霧化させる霧発生装置は、超音波振動子が破壊するリスクがあるため、従来、家庭用品の分野ではあまり製品化されていない。
家庭用として現在製品化されている超音波式霧発生装置は、通常、水または1種類の香料含有液体を霧化するものが多い。また、超音波振動子の上に十分な霧化対象液体を供給した状態で霧化する方式がほとんどである。
しかし、1種類の香りを長時間放出しても、人には嗅覚順応特性があるため、短時間で香りを感じなくなり、高価な香料は無駄になりやすい。生理的な影響の強い香料を用いた場合は、健康上望ましくない問題がある。
前記少量の液体を霧化させると共に、超音波振動子が破壊するリスクを少なくすることを目的として、例えば、特開平3−65264、特許第3547132号には、振動面を超音波伝播媒体で満たし、当該超音波伝播媒体に接するように超音波通過膜付き液体容器を用いる方法が提案されている。
当該液体容器に香料含有液体を入れ霧化し、また、液体容器を取り替えることによって霧の種類を変更することができる。
しかし、従来開示文献には以下のような問題点があった。
(1)超音波伝播媒体と液体容器の超音波通過膜、または、霧化対象液体との間に音響インピーダンスが異なる物質が入ると、界面において超音波の反射が起きるため、霧化効率が大きく低下する問題がある。具体的には、液体容器の超音波通過膜が平面の場合、超音波伝播媒体と超音波通過膜との間には、駆動中に気泡、または、空気層が発生しやすく、霧化効率が低下することがある
(2)超音波通過膜付き液体容器の底は平板のものが多く、少量の液体を溜める構造にはなっていない。従って、液体容器に入れた霧化対象液体を使い切って、次に、別の霧化対象液体を注入して霧の種類を変えると言う使用方法には適さない
(3)液体容器に霧化対象液体として蒸留水や天然水を供給し続け、長時間当該水を霧化したい場合がある。しかし、従来の文献には、液体容器の脱着が容易で、かつ、液体容器に適量の霧化対象液体を供給し続ける機構の開示はない
(4)超音波振動子から発生するエネルギーの一部は、熱に変換されるため、超音波伝播媒体や霧化対象液体は温められる。特に、夏場は気温が高いため、超音波振動子の駆動によって当該媒体や液体は高温になることが多い。空気中の細菌が混入すると繁殖しやすく、腐敗する、または、カビが発生し易い。このような液体を霧化した場合、癒しどころか健康上も悪い。こまめに洗浄する必要があるが、構造上、洗浄が面倒なものが多く、メンテナンス性が悪いと言う問題がある
具体的には、液体容器の取り外しが難しい、または、複雑な場合が多い。また、超音波伝播媒体には水などの液体を用いる場合が多いが、装置を傾けると当該液体がこぼれることがある。超音波伝播媒体を取り除いて超音波振動子が収められた容器を洗浄する場合において、振動子は通常当該容器の底に取り付けられているため、洗浄が面倒と言う問題がある。刷毛などの道具を用いて、狭いところに取り付けられた振動子を丁寧に洗浄しなければならない。メンテナンス性が悪いと言うことは、この種の商品としては致命的である。
以上説明したように、従来の生活の中で使用される多くの超音波式霧発生装置は、そもそも香りの切り替えを意図した構造にはなっていない。仮に、香料含有液体を霧化するように応用した場合であっても、霧化効率が低下する、当該液体を使い切ることが難しい、洗浄が面倒でメンテナンス性が悪いなどの問題がある。
特公平7−112491 特開2003−245580 実登3100873 特開平3−65264 特許第3547132号
本発明の霧発生装置が解決しようとする主な課題は、香料、医薬品、殺菌剤、殺虫剤、消臭剤、洗剤など生活の中で使用する化学物質を霧に含有して放出する目的に適した霧発生装置を実現することである。具体的には、以下の通りである。
(1)超音波伝播媒体から霧化対象液体への超音波エネルギーの減衰を防止し、霧化効率を高める。
(2)小形液体容器の少量の霧化対象液体を使い切る構造にする。これによって、化学物質の切り替えを容易にする
(3)小形液体容器を脱着容易にしたままで、当該小形液体容器へ適量液体を供給する機構を実現する。これによって、化学物質含有液体、または、特別な水を長時間、安定に霧化できるようにする
(4)超音波伝播媒体の腐食や劣化を防止する。また、霧化対象液体を入れる小形液体容器を脱着容易にする。これによって、清掃を容易にし、メンテナンス性を良くする。また、化学物質の切り替えを容易にする
<手段1>
本発明に係わる請求項1に記載の霧発生装置は、例えば、図1、図2、図3、図4に対応付けて説明すると、超音波振動子(40)と、当該振動子の振動面を満たす超音波伝播媒体(Liq1)と、霧化対象液体(Liq2)を入れるための超音波通過膜B(23)を持つ小形液体容器(20)と、超音波をLiq1および当該膜Bを介してLiq2に導くための小形液体容器保持機構(203)とからなり、当該膜Bは、下に凸のアーチ型を成し、応力を膜の横方向に分散すると共に液体を溜めるように構成されたことを特徴とする。
前記手段1において、Liq1には、水(W)、アルコール、油、液状樹脂、シリコン樹脂などが適用できる。熱伝導率の高いものが望ましい。
また、Liq2には、水(W)、香料含有水(Wa)、液体医薬品、酒類、アルコール、殺菌作用のある液体、消臭作用のある液体、液体殺虫剤、その他の化学物質含有液体が適用できる。
<手段2>
本発明に係わる請求項2に記載の霧発生装置は、例えば、図1、図2に対応付けて説明すると、前記手段1において、前記Liq1の界面には、軟質素材薄膜からなる超音波通過膜A(24)が設けられ、前記超音波通過膜B(23)は、硬質素材薄膜によってアーチ型に構成され、前記小形液体容器保持機構(203)は、当該アーチ部を当該膜Aに押しつけるように構成されることを特徴とする。
前記手段1、または、手段2において、超音波通過膜B(23)の硬質素材薄膜には、ステンレス、チタン合金、ガラス、貴金属合金、樹脂などが利用できる。また、Liq1の界面に設けた超音波通過膜A(24)の軟質素材薄膜には、シリコンゴム、塩化ビニール、軟質アクリル、その他の樹脂が利用できる。超音波通過膜は、超音波の集束照射によって高温になる場合があるため、熱伝導率の高いものが望ましい。
<手段3>
本発明に係わる請求項3に記載の霧発生装置は、例えば、図1、図2、図3に対応付けて説明すると、前記手段1において、前記Liq1を入れる容器(19)には、当該Liq1の界面がアーチ型に変形するための超音波伝播媒体変形調整機構(205)が設けられることを特徴とする。
<手段4>
本発明に係わる請求項4に記載の霧発生装置は、例えば、図3に対応付けて説明すると、前記手段1において、前記Liq1はゲル状物質(GL)で構成され、前記超音波通過膜B(23)は硬質素材薄膜によってアーチ型に構成され、前記小形液体容器保持機構(203)は、当該アーチ部を当該ゲル状物質に押しつけるように構成されることを特徴とする。
<手段5>
本発明に係わる請求項5に記載の霧発生装置は、例えば、図4に対応付けて説明すると、超音波振動子(40)と、当該振動子の振動面を満たす超音波伝播媒体(Liq1)と、霧化対象液体(Liq2)を入れるための超音波通過膜B(23)を持つ小形液体容器(20)と、超音波をLiq1および当該膜Bを介してLiq2に導くための小形液体容器保持機構(203)とからなり、当該Liq1の界面には、硬質素材薄膜によってアーチ型に構成された超音波通過膜A(24H)が設けられることを特徴とする。
前記手段5において、前記超音波通過膜B(23)は硬質素材薄膜によってアーチ型に構成され、小形液体容器保持機構(203)は、当該アーチ部を前記超音波通過膜A(24H)のアーチ部に略重なるように保持できる。また、前記1と2との間には液体を充填することができる。
<手段6>
本発明に係わる請求項6に記載の霧発生装置は、例えば、図1(C)、図4に対応付けて説明すると、超音波振動子(40)と、当該振動子の振動面を満たす超音波伝播媒体(Liq1)と、霧化対象液体(Liq2)を入れるための超音波通過膜B(23)を持つ小形液体容器(20)と、超音波をLiq1および当該膜Bを介してLiq2に導くための小形液体容器保持機構(203)とからなり、当該小形液体容器には、外部から内部に一方向に液体を通過させる機構(201、または、22)が設けられ、外部に設けた液体容器(10)から当該機構を通して霧化対象液体が供給されることを特徴とする。
<手段7>
本発明に係わる請求項7に記載の霧発生装置は、例えば、図2から図4に対応付けて説明すると、前記手段1から手段6において、超音波振動子(40)から放出された超音波は、超音波集束反射機構(25)によって、霧化対象液体(Liq2)の端部に集束されることを特徴とする。
超音波集束反射機構には、凹面鏡レンズ、筒型のレンズなどが使用できる。超音波は、超音波通過膜AまたはBを通過し、Liq2を霧化するが、当該膜部では超音波の集束が小さく、Liq2の端部で集束するように、当該レンズは急激に集束するように設計する(図2(D)参照)。
<手段1から手段3に係る効果>
第1の効果について説明する。超音波伝播媒体(Liq1)を介して霧化対象液体(Liq2)を霧化する装置では、当該媒体と当該液体との間に空気層を作らないことが重要である。本発明では、図1、図2に示すように、前記超音波通過膜Bが下に凸のアーチ型を成し応力を当該膜の横方向に分散するように構成されているため、当該膜B(23)を軟質素材薄膜からなる超音波通過膜A(24)にしっかりと押し付けることができる。これにより、前記空気層は存在しない。従って、超音波の伝播効率は低下することなく、安定した霧化が実現できる
第2の効果について説明する。超音波は、図1、図2に示すように、超音波伝播媒体(Liq1)を伝播し、超音波通過膜B(23)に向かって進行する。この際、Liq1は超音波によって押し上げられる。本発明の膜Bは、下に凸のアーチ型を成し応力を当該膜の横方向に分散するように構成されているため、前記超音波によって押し上げられる力を受けても膜面は安定している。従って、霧化効率を落とすことなく、霧化対象液体を最後まで完全に消費することができる
なお、超音波通過膜が従来のように平面型の場合、下からの圧力を受けると当該膜面は不安定になりやすい。その結果、超音波伝播媒体と当該膜との間に気泡が入りエネルギー伝播効率が悪くることがある。従来の超音波通過膜の構造では、霧化効率を落とすことなく、霧化対象液体を最後まで完全に消費することは難しい。従って、本発明とは異なり、通常は、一定量の液体を残して駆動を停止する場合が多い。
また、本発明では、仮に、超音波伝播媒体(Liq1)と超音波通過膜B(23)との間に気泡が発生する場合でも、気泡(BL)は膜Bの曲面に沿って周囲に移動するため、当該界面に空気層ができて霧化効率が下ることはない。霧化は長時間安定している
第3の効果について説明する。超音波伝播媒体(Liq1)を入れる容器(19)には、当該媒体の界面がアーチ型に変形するための超音波伝播媒体変形調整機構(205)が設けられているため、超音波通過膜A(24)と超音波通過膜B(23)との密着特性は良好で、超音波通過の損失が少ない。つまり、霧化効率が良い
第4の効果について説明する。下に凸のアーチ面は、少量の霧化対象液体を保持でき、当該液体は使い切ることができる。使い切ってから次の霧化対象液体を注入することによって、霧に混入する化学物質をクリアに切り替えることができる
また、小形液体容器は、簡単に脱着可能なので、当該容器を取り替えることで霧に含有する化学物質を切り替えることができる。
第5の効果について説明する。超音波伝播媒体(Liq1)は、超音波通過膜A(24)で密封することができる(図2参照)。外気を遮断できるため、超音波伝播媒体は腐食や劣化が少ない。従って、当該媒体は取り替える必要がない、または、取り替え期間は大幅に長くできる
小形液体容器(20)は取り外しが簡単なので、当該容器の洗浄は容易である。また、当該容器を取り外した状態で、超音波通過膜Aが表面に現れるため(図2(C)参照)、小形液体容器保持機構(203)、および、超音波通過膜Aの表面の清掃は容易である。つまり、メンテナンス性は極めて良い
<手段4に係る効果>
図3に示すように、超音波通過膜B(23)が下に凸のアーチ型を成し応力を当該膜の横方向に分散するように構成されているため、当該膜Bをゲル状の超音波伝播媒体(GL)にしっかり押し付けることができる。これにより、当該媒体と当該膜Bの間には、空気層は存在しない。従って、超音波の伝播損失は少なく、安定した霧化が実現できる
また、超音波伝播媒体変形調整機構(205)が設けられているため、ゲル状超音波伝播媒体の界面は容易にアーチ型に変形する。Liq1と超音波通過膜B(23)との密着特性は良好で、超音波の伝播損失は少ない。つまり、霧化特性が良い。
<手段5に係る効果>
図4に示すように、超音波伝播媒体(Liq1)の界面には、アーチ型硬質素材薄膜の超音波通過膜A(24H)が設けられているため、超音波によって当該媒体が押し上げられる場合でも、当該媒体は同図波線(MV)のように流れるため、当該膜Aは安定している。従って、膜Aの上の超音波伝播媒体(Liq3)、その上の超音波通過膜B(23)、および、霧化対象液体(Lig2)に超音波を効率よく伝播させることができる。気泡も生じにくい
また、気泡が生じた場合でも、気泡(BL)は同図のように、周囲に移動しやすいため、超音波通過損失が少ない。
図5に示すように、Liq1は密閉容器の中にあるため劣化が少ない。分解して清掃の際、小形液体容器(20)を取り外すと、超音波通過膜A(24H)が現れるため、表面をふき取るなど清掃は容易である
<手段6に係る効果>
図1(C)、図4に示すように、前記小形液体容器(20)には、外部から内部に一方向に液体を通過させる機構(201)が設けられているため、当該容器を保持機構(203)に装着するだけで、水(W)は20に流入し霧化に適した所定の水位になる。20に香料を滴下すると香料含有水Liq2(Wa)となる。当該液体は逆流することがないため、20の外部が汚染されることはない。
小形液体容器(20)の取り外しは、単に持ち上げるだけでよく、極めて容易である。清掃や、霧化する化学物質を切り替える場合に有効である
因みに、図1(A)のように、20の中にノズルで液体を供給する場合は、液体容器(10)を持ち上げる、または、ノズル(101)を回転させてから、20を取り外す必要があり、一方向液体通過機構を用いる場合と比べて面倒である。
また、図4(B)に示すように、一方向液体通過機構にろ過膜、半透膜(22)を用いると、汚れや不要なイオンを取り除き、常に清浄な水を小形液体容器(20)に流入させ霧化できる。健康に良い霧を放出できる。
図4において、前記Liq2の水位が所定の位置に設定される効果は、超音波集束反射機構(25)を用いて、液体端部に超音波を照射する場合に特に大きい。つまり、液体端部が超音波集束反射機構の焦点から大幅にずれると霧化特性が悪くなるが、本発明の場合では、当該焦点位置に液体端部が来るように調整できるため、液体を極めて効率よく霧化することができる
<手段7に係る効果>
図2から図4に示すように、超音波は、超音波集束反射機構(25)によって、霧化対象液体(Liq2)の端部に集束させることができる。これによって、小形液体容器に少量の液体を入れて使い切ることができる。使い切ってから、次の液体を注入することで、化学物質を切り替える用途に適している。当該超音波反射機構と超音波通過膜との組み合わせによる効果を更に詳細に述べる。
一般に、超音波を集束することによって、超音波エネルギー密度は高くなるため、超音波が通過する膜付近は、下からの押し上げ力や、発熱の影響を大きく受ける。特に、小形液体容器(20)の液体残量が少なくなった場合にこの影響が大きい。従来の平面膜、または、弱い軟質膜では、振動によって気泡ができる、または、高熱で穴が空くことがある。
しかし、本発明の超音波通過膜B(図2、図3の23参照)、または、超音波通過膜A(図4の24H)は、硬質素材薄膜で、下に凸のアーチ型を成し応力を当該膜の横方向に分散するように構成されているため、前記超音波による押し上げ力を受けても膜面は安定している。また、金属などを利用することによって熱の影響も回避できる。つまり、超音波通過膜の材質と構造を前記のように特化することによって、超音波集束反射機構(25)を用いた場合において、霧化効率を落とすことなく、液体を最後まで完全に消費できると言う効果を奏する
図1は、本発明の第1の実施例で、超音波通過膜Aに軟質素材薄膜24を用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、様々な化学物質含有液体を霧化して放出する霧発生装置である。
図1(A)は装置の縦断面を横から見た図で、05は液体霧化手段、06は下部筐体、04は上部筐体、40は超音波振動子、41は当該振動子取り付け部、19は振動面40Fを満たすように超音波伝播媒体Liq1を入れる容器、205は超音波伝播媒体変形調整機構、10は小形液体容器20へ霧化対象液体Liq2を供給する液体容器、203は20を脱着可能に実装する小形液体容器保持機構である。図1(B)は液体容器10の液体注入ノズルの回転動作機構を示したものである。
Liq1には水Wを用い、Liq2には水Wに香料aを含有した香料含有水Waを用いている。Liq1には、水の他、アルコール、油、液状樹脂、シリコン樹脂などが適用できる。熱伝導率の高いものが望ましい。Liq2には、香料含有水の他、液体医薬品、酒類、アルコール、殺菌作用のある液体、消臭効果のある液体、液体殺虫剤、その他の化学物質含有液体が適用できる。
超音波通過膜Aである軟質素材薄膜24には、シリコンゴム、塩化ビニール、軟質アクリル、その他の樹脂で製造した薄膜が利用できる。素材としては、音響インピーダンスが超音波伝播媒体に近いものが望ましいが、異なっていても薄膜であって、超音波通過の際、減衰量が小さいものであればよい。また、超音波を集束して通過させる際、高温になる場合があるため、熱伝導率の高いものが望ましい。厚さは、0.5mm以下の薄いものが望ましい。
超音波通過膜Bである硬質素材薄膜23には、ステンレス、チタン合金、ガラス、貴金属合金、樹脂などで製造した薄膜が利用できる。厚さは、0.2mm以下の薄いものが望ましい。
小形液体容器20を保持機構203の上に乗せると、超音波通過膜A(軟質素材薄膜24)は、アーチ型超音波通過膜B(硬質素材薄膜23)によって押し付けられ、23と同様のアーチ型に変形し密着する。空気層は存在しにくく超音波は効率よく通過する。
205は、前記膜A(24)の変形によってLiq1の一部が変形して移動するバッファ空間である。当該空間があることで、膜Aの変形が容易に実現する。205は空気室であるが、減圧、または、加圧することが可能である。加圧すると、前記押し付ける抵抗は大きくなり、密着度は高くなる。減圧すると、押し付け力は弱くなるが、軽い小形液体容器20でも密着しやすくなる。同図には示していない気圧調整弁を設けてもよい。
液体霧化動作について説明する。図1(A)において、超音波振動子40は強誘電体セラミックスを用いた圧電板素子で、1メガヘルツ以上、望ましくは2〜3メガヘルツの高い周波数で駆動される。高い周波数にするほど霧の粒子は小さくなるため、香り発生装置などには適している。しかし、周波数を高くする場合、振動子の厚さを薄くする製造技術が課題となる。製造可能であれば、当然3メガヘルツを超える駆動周波数の振動子を利用することができる。
40の振動面40Fから出た超音波USは、超音波伝播媒体Liq1(W)、超音波通過膜A(24)、超音波通過膜B(23)を通過し、霧化対象液体Liq2(Wa)に至る。Liq2は超音波によって押し出され、液柱AK1を生じる。超音波は、当該液柱の上部に至るが、液柱は重力により所定の高さに制限されるため、超音波は液柱端部において反射を繰り返し、液体を激しく振動する。この振動によって表面張力は低下し、液体Waは霧maになって放出される。同時に滴状液体AK2も放出される。
26は、液柱ガイド筒である。下端が液中にあり、先端が細くなっている。先端を細くすることによって、超音波は当該ガイド管内で集束されるため、霧化効率は上昇する。また、下端が液中にあるため、落下した滴状液体AK2によって20内に生じる波の影響は、当該ガイド筒内には影響せず、従って、霧化の安定化に効果がある。なお、Liq2の液面が大きく揺れると霧化は安定しない。26は液柱が発生する付近の液面の揺れを防止する効果がある。
Liq1の中に気泡BLが発生する場合があるが、当該気泡は、膜A(24)がアーチ型を成しているため、同図矢印のように膜面に沿って周囲に移動しやすい。従って、超音波の通過部に気泡が集まって霧化効率を低下すると言う問題は生じにくい。
次に、霧の放出について説明する。70は気流発生手段、71は送風羽、72はモータ、Airは空気通過穴である。一点鎖線Fgの経路で気流が生じている。化学物質含有霧ma当該気流によって外部に放出される。
粒子の大きな滴状液体AK2は、飛散液体防止機構49に衝突し落下する。50は飛散液体回収機構である。上部に空気通過穴が設けられ、下部は滴状液体を20に戻すガイドを構成している。
滴状液体の多くは、AK3のように50の壁を伝って1滴ずつ20の液体溜め部に落下する。このとき、20内では、水滴音が響く。Sbは、振動センサ、または、音響センサで、当該水滴音を検出する。この信号は、音響信号発生装置Audioによって、変換処理され、心地よい響きとして同図には示していない拡声器により提示される。
当該Audioによる処理には、前記センサ信号の周波数スペクトルを計算し、低音、中音、高音をそれぞれ強調または抑制して再構成することなどが含まれる。また、エコーを発生させることも可能である。このような周波数特性変換を香りの種類に応じて行なうことができる。また、当該処理の中には、液体の動きを検出して音を発生させるための起動処理(トリガ処理)も含まれる。
爽やかな香りとして知られるレモン、グレープフルーツ、ライムなどの柑橘系の香りには、高い周波数成分を多くして軽快でリズミカルな水滴音にし、重厚な香りとして知られるローズ、イランイランなど花系の香りには、低音の周波数成分を多くして低く落ち着いた水滴音にするなど変化を持たせることが可能である。
前記Audioは、更に高度な音響処理も可能で、前記水滴音または振動音から人が不愉快に感じる雑音成分を除去する、音の高さや大きさに揺らぎをつける、当該水滴音または振動音をトリガとして心地よいと感じる音を合成するなどが可能である。また、前記液体の動き検出結果をもとに生成されたトリガ信号に基づいて、別な音源からの音や音楽を発生させることができる。
心地よいと感じる音としては、水滴の音、水琴窟の音、雨の音、潮騒の音、小川の音、風の音、木立の揺れる音などである。また、香りの種類によってこれらの音色を変化させることができる。香りのイメージと音のイメージが合致するように編集すると、嗅覚刺激と聴覚刺激の感覚統合作用が生じ癒し効果は大きくなる。
例えば、マリン系の香りと潮騒の音を合体すると、海辺の避暑地で潮騒を聞きながらくつろぐイメージが得られ、森林系の香りと木立の揺れる音、小川の音を合体させると、ひっそりした山奥で静かな風の音を聞きながらくつろぐイメージを醸し出すことができる。
次に、清掃のための分解方法について説明する。上部筐体04を持ち上げて外し、50と27が一体になった構成物を外し、次に、図1(B)に示すように、液体容器10の液体注入ノズル101を上に回転して外すと、20を外すことができる。ここで、RVは液体開閉弁兼ノズル回転機構である。当該RVを設けることによって、重い液体容器10を外さなくてもノズルを20内から外すことができる。
小形液体容器20を外すと、203と膜A(24)が表面に現れる。この部分の汚れは、紙、綿などで軽くふき取ることができる。
Liq1は19と24によって密封されているので、劣化することが少ない。通常の使用においては、取り替える必要はない。以上のように、内部の清掃は容易で、メンテナンス性は良い。
図1(C)は、図1(A)の実施例において、小形液体容器20への液体供給手段を改良したものである。20には、外部から内部に一方向に液体を通過させる機構201(栓型)が設けられている。液体容器10には水Wが蓄積されており、当該水はノズル102から液体溜め21に注がれている。21の一部は小形液体容器保持機構203を形成している。21の水位は、開閉弁103が開いている状態では、ノズル102の先端の位置で決まる。
21の中に20を入れると、一方向液体通過機構201の栓は、水圧により開き、水Wは液体通過穴202から入り、所定の水位にまで満たされる。同図では、21の水位と同程度まで満たされた状態を示している。また、20は自重により保持機構203まで沈み固定される。この際、23は24を押し付けるため、両者は同図のように密着する。超音波はこの領域を低損失で通過する。
20に水が入った状態で、化学物質注入手段60より、化学物質(香料a)を注入すると、20内の霧化対象液体Liq2は、香料含有液体Waになる。201は逆止弁を形成しているため、20内のWaが21へ流れ出ることはない。Waを霧化すると、香料含有霧maが発生する。
20内の液体が消費され水位が下ると、10より水が補給される。香料は徐々に薄められ、やがて水の霧となる。通常は、加湿器として霧を楽しみ、時々香りを楽しみたい利用者には最適である。香りが薄くなった場合、60から香料を追加すれば再び香りが提示される。また、別な香料を注入し、香りを切り替えることもできる。
同図の201は、回転錘を用いた逆止弁を示しているが、容器20に一方向に液体を通過させる機構であれば、別な機構を用いても良いのは当然である。例えば、液体一方向通過膜を20の一部に設けても良い。後に詳細を述べる。また、同図では、20の水位と21の水位を同程度にしているが、水圧制御機構を用いて、20の水位を21の水位より低く設定することも可能である。
清掃の際は、ノズルの開閉弁103を閉じて、20を持ち上げるだけで簡単に取り外しできる。20の清掃は極めて簡単である。液体溜め21の清掃に関しては、20を外した後、21にはわずかに水が残っている状態なので、紙などでふき取れば簡単に清掃ができる。重たい液体容器10を取り外す必要がないため使い易い。10には、蒸留水、または、天然水を大量に蓄積しておくことができる。容器の中に空気が入らないようにしておけば、水が劣化することは少ない。
図2は、本発明の第2の実施例で、超音波通過膜Aに軟質素材薄膜24を用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、当該容器の液体に超音波を集束して照射する霧発生装置である。
図2(A)は、装置の縦断面を横から見た図、図2(B)は、小形液体容器20を取り外した様子である。同図(B)の超音波通過膜A(24)の上に20を乗せると、膜B(23)には圧力Prが加わるが、23はアーチ型の硬質素材薄膜であるため変形せず、両者は密着して同図(A)の状態になる。
205は、図1の場合と同様で、23に均一な圧力Prを与えるための超音波伝播媒体変形調整機構である。この機構によって23はより薄い膜を用いることができる。薄い膜でも膜の変形は少ないため24に密着させることができる。
霧化動作に関して、図1の実施例と比較して異なる点を中心に説明する。図2(A)において、Liq1を入れる容器19内には、凹面鏡レンズからなる超音波集束反射機構25が設けられている。振動子40から出た超音波USは25で反射し、当該レンズの焦点Foc付近に集束する。
20の中に注入手段01から液体Waを入れ、超音波によって押し出される液体端部が前記Foc近くになるように当該液体の量を設定すると、AK1C付近で局所的に飛散する。
当該局所的な飛散部を23の窪み部分に設定すると、少量の液体を霧化し、使い切ることができる。使い切ってから、次の液体を注入することで、化学物質を切り替える用途に適している。
Focを23の直ぐ上の窪み部分に設定すると、膜A、膜Bを通過する超音波のエネルギー密度は高くなるため、超音波が通過する膜付近は、下からの押し上げ力や、発熱の影響を大きく受ける。
しかし、本発明では、膜B(図2、図3の23参照)は硬質素材薄膜で、下に凸のアーチ型を成し応力を当該膜の横方向に分散するように構成されているため、前記超音波による押し上げ力を受けても膜面は安定している。また、金属などを利用することによって熱の影響も回避できる。
また、仮に、Liq1の中に気泡BLが発生する場合であっても、膜A(24)がアーチ型を成しているため、当該気泡は、同図矢印のように膜面に沿って周囲に移動しやすい。この作用は、図1の実施例と同様である。
図2(D)は、望ましい超音波集束を説明する図である。251、252は凹面鏡レンズであるが、251が低集束、252が高集束である。251の場合の超音波エネルギー密度は、超音波通過膜23の近傍と液体Liq2の端部で差は小さく、共に高い。この場合は、23への超音波の衝撃は大きく、液体が少なくなると、膜の一部が高温になりやすい。膜劣化の原因になる。
一方、252の場合、23の近傍の超音波は十分に集束されていないので、エネルギー密度は251の場合より高くない。従って、膜へのエネルギー集中が少なく劣化しにくい。Liq2の端部では超音波が集束されるので、効率よく霧化が起きる。このように、膜部では超音波の集束が小さく、Liq2の端部で集束するように、凹面鏡レンズを設計することが望ましい。
次に、霧放出動作について説明する。AK1Cにおいて液体は局所的に飛散し、大量の霧ma、および、滴状液体AK2を発生する。また、同時に指向性の強い超音波を空中に散乱する。
27は超音波反射筒で、当該散乱超音波を導き入れ進行波を作る。超音波は、筒内に実線矢印で示すように、上に向かって反射しながら進行する。従って、筒内に生じた霧は当該進行波によって搬送される。
また、滴状液体AK2の一部は、当該進行波によって激しく振動し霧化が促進される。つまり、当該反射筒27の中で大量の霧が作られ、進行波によって搬送され、霧放出筒80から放出される。80は27の回りに回転可能で、霧の放出方向を変化させることができる。気流、および、霧の放出経路を一点鎖線Fgで示す。
本実施例では、進行波のみで霧を放出することができるが、放出を加速させるために、加熱手段を用いることができる。HT2は27を外側から加熱する装置である。図2(C)には、筒27に巻きつけるようにして実装した当該加熱装置の様子を示す。筒を熱すると内部に上昇気流が発生するため、霧は搬送されて筒から放出された後でも上昇を続ける。
ここで、加熱手段の上部の気流温度は、香料を適切に気化するためと、霧を視覚的に美しく上昇させるために、30度から50度の範囲にすることが望ましい。
以上のように、超音波反射筒27、および、加熱手段HT2を用いて、霧を搬送するため、気流発生装置を省略できる。霧の動きは、ゆっくり立ち上り線香の煙を想起させるため、癒し効果がある。なお、目的に応じて羽根車などの気流発生手段を用いることができるのは当然である。
当該筒27の中で霧化しなかった滴状液体AK2は落下して20内に回収される。小形液体容器の少量の液体が局所的に霧化され、霧化しなかった液体が小形液体容器に戻るため、液体飛散範囲は従来の霧発生装置に比べて極めて限定的である。従って、清掃や化学物質の切り替えは容易である。
また、小形液体容器20と超音波反射筒27は、同図のように一体化できるため、カートリッジ式にし、各々別の香料を入れて利用することができる。気分に合わせてカートリッジを取り替えれば様々な香りを楽しむことができる。
ここで、カートリッジを取り替える際、20の香料に合わせて駆動方法を変更する場合がある。例えば、霧化量を変える、霧化の時間を変えるなどである。また、香りに合わせて、その香りに合致した映像や音を提示したい場合がある。
このような目的のために、20に集積記憶回路を装着することができる。図2(A)の02はICメモリである。03は、下部筐体に取り付けられた給電兼記憶情報を読み取る装置である。02には、前記のように超音波振動子、加熱手段などの駆動情報、映像、音楽などの雰囲気演出情報を記憶しておくことができる。前記カートリッジを下部筐体に装着するだけで、これらの情報は03によって読み取られ、最適な条件で霧化され、映像や音楽が提示される。演出効果は高い。
図3は、本発明の第3の実施例で、超音波伝播媒体Liq1にゲル状物質GLを用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、当該容器の液体に超音波を集束して照射する霧発生装置である。
図3(A)は、装置の縦断面を横から見た図、図3(B)は、20を取り外した様子である。同図(B)のゲル状物質GLの上に20を乗せると、膜B(23)には圧力Prが加わるが、23はアーチ型の硬質素材薄膜であるため、当該膜は変形せず、両者は密着して同図(A)の状態になる。
205は、図1、図2の場合と同様の超音波伝播媒体変形調整機構である。ゲル状物質の変形量は、液体の場合に比べて少ないが、効果は同様である。
図4は、本発明の第4の実施例で、超音波通過膜Aに硬質素材薄膜24Hを用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、24Hと23の間に超音波伝播媒体Liq3を充填し、容器20の液体Liq2に超音波を集束して照射する霧発生装置である。装置の縦断面を横から見た図である。図5は、当該実施例の部品構成を示す分解図である。図2の実施例に比べて異なる点を中心に説明する。
図5において、下部筐体06の容器19内には、超音波伝播媒体Liq1(オイルOL)が、空間205を残して満たされている。装置の組み立て方を説明する。20の縁を保持機構203に掛けるようにして設置し、曲線型の超音波反射筒29が取り付けられた気圧発生用ケース28を20の上に設置する。液体容器10を06の上に設置し、上部筐体04を被せる。この状態が図4(A)に対応する。
同図において、液体開閉弁103を開けると、ノズル102より、水Wが液体溜め21に注入され、ノズル先端まで水Wで満たされる。水圧で一方向液体通過機構201の栓が開き、20に水Wが流れ込む。29の上部より60内の香料aが滴下されると、20の霧化対象液体Liq2は、香料含有液体Waになる。23と24Hとの間には、水Wが介在し超音波伝播媒体Liq3として作用する。
図4(B)は、20の他の実施例である。同図において、22は、膜型の一方向液体通過機構である。当該膜を通して水Wが矢印Flowのように流入する。香料aを注入することによりWaとなる。22の一方向性機能の実現は、水圧を利用する、Liq3(W)とLiq2(Wa)の分子量の違い、濃度、逆浸透圧を利用するなどで可能である。また、超音波通過膜23に前記22の機能を持たせてもよい。その場合、22は省略できる。
具体例として、逆浸透膜を用いる例を説明する。逆浸透膜(または、半透膜)は、一定の大きさの分子、イオンのみを通過させる膜である。当該膜で水と化学物質含有水を仕切ると、化学物質の分子量が水よりも大きい場合、化学物質は膜を通過できないが、水は通過できる。例えば、海水の淡水化などに用いられる酢酸セルロースなどは、水は通過するが、次亜塩素酸などの薬品は通過しない。因みに、水の分子の大きさは、0.38nm程度であり、塩類や、香料の分子量は、これより相当に大きいため分離が可能である。特に、天然香料は有機物のものが多く、分子量は水より遥かに大きいため分離は容易である。
従って、前記22に酢酸セルロース系の膜を用いた小形液体容器20を容器21に沈めると、水Wは、21から20に流入する。ここで、殺菌作用のある次亜塩素酸化合物bを20の中に滴下すると、液体Liq2は、次亜塩素酸含有水Wbになる。次亜塩素酸が21に流れ出すことはない。Liq2を霧化すると、周辺の空気は殺菌される。Liq2が消費されると、水位が下るため、21の水圧は、20より高くなり、水は21より再び20に流入する。
膜の材質としては、酢酸セルロース系、芳香族ポリアミド系、ポリビニールアルコール系、ポリスルホン系などが可能である。構造としては、強度を増すため網と重ね合わせる、ロール状に巻くなどが可能である。
また、逆浸透膜(または、半透膜)を用いる他の利点は、21の水を20に流入させて霧化する場合、21の水に細菌が混入している場合も考えられるが、当該 膜が細菌を通過させない程度の多孔質膜の場合、21の水Wはろ過されて20に流入するため、20内の水には細菌はなく、健康的な霧を放出できる。
また、一方向液体通過機構には、栓型201と膜型22を組み合わせた機構も可能である。栓の一部を半透膜で構成してもよい。
霧化動作に関しては、図2の実施例と同様である。図4(A)の破線矢印MVは集束された超音波によって生じるオイルの流れである。23、24Hが下に凸のアーチ型を成しているため、膜面は安定しており、気泡BLも膜面には生じにくい。霧化は安定している。
発生した霧maは、超音波反射筒29内に生じる進行波と、気流発生手段70によって搬送され、29上部より放出される。気流は一点鎖線Fgのように、下部筐体06の空気穴Airから入り、気圧発生用ケース28を経て、29の下部から上部に抜ける。29は曲線をなしているため、霧化されなかった滴状液体AK2は壁に衝突し、落下しやすい。
同実施例も他と同様、28、20を単に持ち上げて分解できるため、清掃しやすくメンテナンス性がよい。
図1から図4の実施例において、同図には示していないが、小型液体容器を複数用い、超音波振動子40に移動機構を設け、当該40を移動させることによって、任意の小形液体容器の液体に超音波を選択的に照射し霧化させてもよい。香りを高速に切り替えることができる。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階において、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することが可能である。また、上記実施形態は、種々の段階の発明が含まれており、適宜な組み合わせにより実施してもよい。更に、上記各実施例の構成要素は、その目的を踏まえて適宜省略する、又は、周知慣用技術で補うことができる。
(1)高機能芳香発生装置;少量の香料含有水を効率よく霧化できるため、無駄が少ない。このため、高級自然香料(天然香料)を使用できる。質の高い香り空間を経済的に作ることができる。また、小形液体容器20に少量の香料含有水を入れ、使い切ってから、別の香料含有水を入れる制御によって、香りを切り替えることができる。また、小形液体容器の取替えは簡単なので、カートリッジ式にして、様々な香を切り替えて楽しむことができる。更に、霧の放出にあわせて音響を発生させる、あるいは、照明色を変化させれば、癒し効果は高くなる。
当該芳香発生装置は、ストレス解消や苦痛緩和の要求が高い病院の待合室、ホテルの客室、集中力を高めたい子供の勉強部屋、汗臭さを解消したいスポーツ練習場、安らかな眠りを誘発させたい寝室、特別な顧客にサービスする航空会社、銀行などのロビー、会議室などに最適である。また、パチンコ店など空気の汚れた場所で爽快感を演出する際にも効果的である。
また、小形に構成できるため、煙の替わりに霧を放出する電子香炉として使用できる。火を使わないので安全で、嗅覚特性も優れている。装置の外側を木工彫刻、磁器彫刻で装飾を施すと、高級な電子式香炉になる。
(2)感染症予防空気清浄装置;天然香料には免疫力を高め、ウイルスを撃退する作用のあるものがある。これらを霧として放出することにより、感染症予防として利用できる。例えば、風邪の予防には、ヒノキ、レモン、ハーブ系の香りが効果的である。花粉症にはユーカリ、ペパーミントなどが効果的である。次亜塩素酸ナトリウムは殺菌作用あるので、水に溶かし噴霧することで感染症予防になる。病院や老人ホームなど身体的弱者の生活空間に適している。また、霧化の際に大量のマイナスイオンが発生するので森林浴と同様なリフレッシュ効果がある。エアコンやファンヒータに連動させることも可能である。
(3)香り発生トイレ;本装置をトイレの便器に連動させることもできる。使用者が便器に接近した際、これを検出して香りを発生する。本発明は高速に香りを発生、または、切り替えることができるので、便器を使用中のみ爽やかな香りを発生させることができる。また、匂いを分解する薬品を入れておき消臭のために霧発生動作を行い、その後に、使用者毎に好みの香りを発生するように制御してもよい。
(4)香り発生時計;複数の香りを時刻に対応させ、時報として利用できる。例えば、朝は、ベルガモット、レモン、ペパーミント、コーヒーなど爽やかな目覚めの良い香り、昼間は、グレープフルーツ、シダーウッドなど集中力を高めるリフレッシュな香り、夜は、ラベンダー、ローズウッド、スイートオレンジなどのリラックスな香りを放出できる。
(5)自動車の運転支援装置;運転中に疲労を感じた場合には、リフレッシュ作用のある柑橘系の香料を提示し、渋滞などで、いらいら感が増した場合には、リラックス作用のあるラベンダーなどを提示できる。居眠りを検出する装置と組み合わせ、注意喚起する香りを提示して警告するなど、安全運転支援の芳香器として利用できる。
(6)医薬品等摂取装置;小型液体容器20に霧化対象液体として医薬品を入れ、霧化または気化して肺から吸収させることができる。錠剤を胃から吸収できない、点滴が向かない患者などに適している。また、即効性があることを利用して、医薬品の代わりに、酒類を用いることもできる。
(7)殺虫剤噴霧装置;小型液体容器20に殺虫剤を入れて噴霧し、虫除け装置として利用できる。また、複数の小形液体容器に殺虫剤、香料、蒸留水などを入れ、これらを切り替えて霧化することができる。殺虫剤のみを使用し長時間気化させた場合、薬剤が体質に合わないなど健康上の影響を気にする人もいるが、殺虫剤と香料を切り替えて使用すると、必要最小限の殺虫剤で済むとともに、香によって気分転換が図れて快適である。
(8)雰囲気演出装置;霧の拡散する方向や濃度、霧に混入する香りの種類や濃度を制御して、視覚的、嗅覚的な雰囲気を演出することができる。舞台演出装置、店舗入り口での誘客する装置、公園で癒しを演出する装置などに利用できる。また、霧に映像や音楽などを連動させることによって演出効果を高めることができる。臨場感の高い映画、通信販売での商品紹介などにも利用できる。
(9)食器洗い機への応用;小形液体容器20に液体洗剤を入れ、霧状にして食器周辺に拡散することで、複雑な形状の食器も細部まで綺麗に洗浄することができる。
(10)冷蔵庫への応用;食品の鮮度を保つように、庫内に霧を放出して湿度を適度に制御できる。殺菌作用、または、消臭のある液体を噴霧してもよい。
(11)その他;匂い付き擬似煙を放出する玩具、匂いを発生するゲーム機器、匂いで危険を知らせる防災警報装置、匂いを発生するロボット、匂いで有害動物を追い払う有害動物撃退装置、アルコールなどを気化させ燃焼させて炎の色や匂いを楽しむ燃焼装置、霧を利用して結晶膜を生成する薄膜形成装置などへの応用などが可能である。
本発明の第1の実施例で、超音波通過膜Aに軟質素材薄膜24を用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、様々な化学物質含有液体を霧化して放出する霧発生装置である。 本発明の第2の実施例で、超音波通過膜Aに軟質素材薄膜24を用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、当該容器の液体に超音波を集束して照射する霧発生装置である。 本発明の第3の実施例で、超音波伝播媒体Liq1にゲル状物質GLを用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、当該容器の液体に超音波を集束して照射する霧発生装置である。 本発明の第4の実施例で、超音波通過膜Aに硬質素材薄膜24Hを用い、小形液体容器20の超音波通過膜Bに硬質素材薄膜23を用い、24Hと23の間に超音波伝播媒体Liq3を充填し、容器20の液体に超音波を集束して照射する霧発生装置である。 前記第4の実施例の部品構成を示す分解図である。
符号の説明
01・・・・小型液体容器20への液体注入手段
02・・・・集積記憶回路
03・・・・集積記憶回路への給電兼信号送受回路
04・・・・上部筐体
05・・・・液体霧化手段
06・・・・下部筐体
10・・・・液体容器
101・・・液体注入ノズル(回転式)
102・・・液体注入ノズル(固定式)
103・・・液体開閉弁
19・・・・超音波振動子の振動面を満たすように超音波伝播媒体Liq1を入れる容器
20・・・・超音波通過膜B付き小型液体容器
201・・・一方向液体通過機構(栓型)
202・・・液体通過穴
203・・・小型液体容器を脱着可能に実装する小形液体容器保持機構の一部
205・・・超音波伝播媒体変形調整機構
21・・・・Liq3を入れる液体溜
22・・・・一方向液体通過機構(膜型)
23・・・・小形液体容器20に設けた超音波通過膜B(硬質素材薄膜)
24・・・・超音波伝播媒体Liq1の界面に設けた超音波通過膜A(軟質素材薄膜)
24H・・・超音波伝播媒体Liq1の界面に設けた超音波通過膜A(硬質素材薄膜)
25・・・・超音波集束反射機構(超音波凹面鏡レンズ)
251・・・凹面鏡レンズ(低集束)
252・・・凹面鏡レンズ(高集束)
26・・・・液柱ガイド筒
27・・・・超音波反射筒
28・・・・・気圧発生用ケース
29・・・・超音波反射筒(曲線筒)
40・・・・超音波振動子
40F・・・振動面
41・・・・超音波振動子取り付け部
49・・・・液体飛散防止機構
50・・・・飛散液体回収機構
60・・・・化学物質(香料a)注入手段
70・・・・気流発生手段(送風羽式)
71・・・・送風羽
72・・・・モータ
80・・・・霧放出筒
a・・・・・化学物質(香料)
Air・・・空気通過穴
AK1・・・柱状飛散液体(液柱)
AK1C・・液体飛散部
AK2・・・滴状飛散液体
AK3・・・壁面を垂れる液体
Audio・音響信号発生装置
BL・・・・気泡
Fg・・・・霧または気体の放出経路
Flow・・液体通過膜を通過する流れ
Foc・・・超音波集束反射機構の焦点
GL・・・・ゲル状物質
HT2・・・加熱手段(筒外側加熱式)
Liq1・・超音波伝播媒体
Liq2・・霧化対象液体
Liq3・・超音波伝播媒体
ma・・・・化学物質(香料a)を含有する霧
MV・・・・液体の流れ
OL・・・・オイル
Pr・・・・圧力
RV・・・・液体開閉弁兼ノズル回転機構
Sb・・・・振動センサ、または、音響センサ
US・・・・超音波
W・・・・・水
Wa・・・・化学物質(香料a)を含有する液体

Claims (7)

  1. 超音波振動子と、当該振動子の振動面を満たす超音波伝播媒体(Liq1)と、霧化対象液体(Liq2)を入れるための超音波通過膜Bを持つ小形液体容器と、超音波をLiq1および当該膜Bを介してLiq2に導くための小形液体容器保持機構とからなり、
    当該膜Bは、下に凸のアーチ型を成し、応力を膜の横方向に分散すると共に液体を溜めるように構成されたことを特徴とする霧発生装置
  2. 請求項1において、前記Liq1の界面には、軟質素材薄膜からなる超音波通過膜Aが設けられ、前記超音波通過膜Bは、硬質素材薄膜によってアーチ型に構成され、前記小形液体容器保持機構は、当該アーチ部を当該膜Aに押しつけるように構成されることを特徴とする霧発生装置
  3. 請求項1において、前記Liq1を入れる容器には、当該Liq1の界面がアーチ型に変形するための超音波伝播媒体変形調整機構が設けられることを特徴とする霧発生装置
  4. 請求項1において、前記Liq1はゲル状物質(GL)で構成され、前記超音波通過膜Bは硬質素材薄膜によってアーチ型に構成され、前記小形液体容器保持機構は、当該アーチ部を当該ゲル状物質に押しつけるように構成されることを特徴とする霧発生装置
  5. 超音波振動子と、当該振動子の振動面を満たす超音波伝播媒体(Liq1)と、霧化対象液体(Liq2)を入れるための超音波通過膜Bを持つ小形液体容器と、超音波をLiq1および当該膜Bを介してLiq2に導くための小形液体容器保持機構とからなり、
    当該Liq1の界面には、硬質素材薄膜によってアーチ型に構成された超音波通過膜Aが設けられることを特徴とする霧発生装置
  6. 超音波振動子と、当該振動子の振動面を満たす超音波伝播媒体(Liq1)と、霧化対象液体(Liq2)を入れるための超音波通過膜Bを持つ小形液体容器と、超音波をLiq1および当該膜Bを介してLiq2に導くための小形液体容器保持機構とからなり、
    当該小形液体容器には、外部から内部に一方向に液体を通過させる機構が設けられ、外部に設けた液体容器から当該機構を通して霧化対象液体が供給されることを特徴とする霧発生装置
  7. 請求項1から請求項6において、超音波振動子から放出された超音波は、超音波集束反射機構によって、霧化対象液体(Liq2)の端部に集束されることを特徴とする霧発生装置
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