以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る圧力センサー及びこの圧力センサーを備えた内視鏡スコープを説明する。ただし、以下に示す各実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための圧力センサー及びこの圧力センサーを備えた内視鏡スコープを例示するものであって、本発明をこれらのものに特定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に適宜に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
[圧力センサー付き内視鏡システムの概略構成]
まず、図1を参照して、各実施形態に共通する圧力センサー付き内視鏡システム10及び内視鏡スコープ11の概略構成について、大腸内を撮像する場合を例にとって説明する。なお、図1Aは各実施形態に共通する圧力センサー付き内視鏡システムを示す図であり、図1Bは図1Aの内視鏡スコープを先端側から見た図である。
圧力センサー付き内視鏡システム10は、内視鏡スコープ11と、信号処理部12と、モニター13とを備えている。内視鏡スコープ11は、体内に挿入される挿入部14と、挿入部14の先端15を湾曲させる等の操作に用いる操作部16とを備えている。モニター13は、内視鏡スコープ11により取得された画像データを表示するとともに、スピーカーによって警報を発生するものである。また、内視鏡スコープ11の挿入部14の先端15の側面には圧力センサー20が設けられている。この圧力センサー20は、実施形態毎に構成が相違しているが、それらの詳細な構成については後述する。
挿入部14の先端15には、図1Bに示したように、投光部17、画像取得部18及び鉗子口19が設けられている。投光部17から照射された光は大腸壁で反射され、この反射光を画像取得部18で受光することにより、大腸内画像が取得される。投光部17としては、周知のライトガイド又は発光ダイオード(LED)ないしレーザダイオード(LD)を用いることができる。ライトガイドは、挿入部14中を操作部16側から先端15までに渉って配置されており、操作部16側に配置された光源(図示省略)から照射された光を、ライトガイドを通して先端15から出射させる。また、LEDないしLDは、挿入部14中に設けられた信号線を介して投光部17に配置されたLEDないしLDを操作部16側で電気的に操作することにより発光させるものである。
画像取得部18は、CCD等の撮像素子を有しており、大腸壁からの反射光を対物レンズで集光し、この光を対物レンズの結像位置に配置された撮像素子によって受光し、画像信号を得るものである。画像取得部18で得られた画像信号は、挿入部14中に設けられた信号線を介して信号処理部12に送信され、内視鏡プロセッサ12aで画像信号に変換した後、必要に応じて画像合成ユニット12cを経て、モニター13に表示されるようになっている。なお、参照符号12dは、圧力検知部12bに設けられている圧力センサー20の校正データ入力端子である。
医師が内視鏡スコープ11を操作して、挿入部14を患者の大腸内に挿入すると、大腸内画像がモニター13に表示される。それと同時に、一応医師の手に伝わる感触によって、挿入部14の先端15が大腸壁に当たっているかを判断することができる。しかし、この判断は、内視鏡スコープ11を操作する医師の力量によってばらつきが生じ、場合によっては腸管穿孔を生じる可能性がある。そこで、各実施形態の圧力センサー付き内視鏡システム10では、内視鏡スコープ11の挿入部14の先端15の外側面に圧力センサー20を設けている。
この圧力センサー20の出力は、挿入部14の外周側を経て信号処理部12に入力され、圧力検知部12bによって信号処理されて圧力値に対応する画像信号に変換され、画像合成ユニット12cによって大腸画像と重畳させてモニター13に表示するとともに、必要に応じてスピーカー13eによって警報を発するようになされている。これにより、内視鏡スコープ11を操作する医師は、モニター13の画像を視認することにより、あるいは警報音の有無を認識することにより、挿入部14の先端15が大腸壁に当たっているかどうかを判断できるようになっている。
ここでは、モニター13の四辺の外周側に4箇所の圧力表示領域13a〜13dを設け、この圧力表示領域13a〜13dに圧力センサー20によって検出された圧力を別々に表示し、さらにスピーカー13eによって警報音を発させる例を示した。なお、圧力センサー20の出力の表示は、単に数値で示すよりも、加わっている圧力に応じて色を変えたり、音の高低を変えたりすると、操作している医師が圧力値を認識し易くなる。
例えば、色で表示する場合は、検出されている圧力値が大腸壁を穿孔させる虞がない低い値である場合には青色で表示し、圧力値がある程度高くなった場合には黄色で表示し、さらに、圧力値が大幅に高くなって大腸壁の穿孔の可能性がある状態となった場合には赤色で表示する等、検出された圧力値に応じた色で表示するようにすることができる。また、音の高低を変える場合は、例えば検出されている圧力が低い場合は低音とし、圧力が高くなるに従って高音となるようにすることにより、操作している医師が圧力値を認識し易くなる。
ここで、図2A〜図2Cを参照して、各実施形態の内視鏡スコープ11の挿入部14の先端15の側面に取り付けられる圧力センサー20で用いられている異方導電性布21の具体的構成について説明する。なお、図2Aは異方導電性布の平面図であり、図2Bは図2AのIIB部分の拡大図であり、図2Cは図2BのIIC−IIC線に沿った断面図である。
異方導電性布21は、例えば微細繊維の織物からなる非導電性布部22に、平面視で直線状かつ平行に、互いに離間して配置された複数の微細径の導電性糸23を有している。この導電性糸23は、図2B及び図2Cに示したように、非導電性布部22に織り込むことないし縫い込むことにより固定されている。
なお、この明細書における「平面視」とは、異方導電性布21を平坦面に載置して、異方導電性布21の表面に対して垂直方向から視認することを意味し、「側面視」とは、異方導電性布21を平坦面に載置して、異方導電性布21に対して導電性糸23の延在方向に対して垂直な側面から視認することを意味する。同じく「平面視で直線状かつ平行」とは、異方導電性布21を平面視した場合に、複数の導電性糸23のそれぞれが直線状にかつ平行に見えることを意味し、この導電性糸23は非導電性布部22に織り込むことないし縫い込むことにより固定されているので、図2Bの破線部分に示されているように、一部が非導電性布部22によって覆われた状態となっていても、図2Cに示されているように側面視で波状に見える状態となっていてもよい。
この非導電性布部22は、例えば繊維径約25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製であり、厚さが約50μmの織物からなる。この非導電性布部22は、非常に柔軟性に富んでいる。非導電性布部22としては、一般的な布状のものだけでなく、包帯や目の粗いメッシュ状の布なども使用し得る。非導電性布部22を構成する微細繊維は、PET以外にも非導電性のものであれば種類を問わずに使用し得る。また、導電性糸23は、銀糸、金糸、ステンレススチール糸、炭素繊維、カーボンナノファイバー、銀めっきナイロン糸等の、径が小さく、導電性を有し、柔軟なものであれば使用し得る。非導電性布部22を構成する微細繊維及び導電性糸23の径は、数μm〜数十μm範囲のものが好ましい。導電性糸23間の間隔は、特に臨界的限度はないが、小型の圧力センサー20を得るには約0.5〜1.0mm程度とすればよい。
[実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー]
実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aを図3〜図5を参照しながら説明する。なお、図3Aは線状に形成した圧力感応部の平面図であり、図3Bは図3AのIIIB−IIIB線に沿った断面図である。図4A〜図4Cは実施形態1の圧力センサーの製造工程を説明する図である。図5Aは実施形態1の円筒形圧力センサーの外観図であり、図5Bは図5AのVB−VB線に沿った拡大断面図であり、図5Cは図5AのVC−VC線に沿った拡大断面図である。
先ず、図3に示したような構成を有する線状の第1電極25と、第1電極25の周囲を覆う、加圧されることにより電気的特性が変化する感圧部材26とからなる線状の圧力感応部27を作製する。ここでは、感圧部材26は第1電極25の周囲を全周にわたって被覆しており、第1電極25と感圧部材26とは同心的に配置されている。圧力感応部27の長さは、市販の内視鏡スコープの先端外周長とほぼ同程度とされる。第1電極25は、銀線、金線、ステンレススチール線等、径が約100〜500μm程度の導電性金属線材を使用することが好ましい。
線状の圧力感応部27は、チューブ状に形成された感圧部材26の中空孔に第1電極25となる導電性金属線材を挿入することにより作製することができるが、通常の絶縁単線の製造方法と同様にして長尺状の圧力感応部27を作製した後に切断することにより作製してもよい。なお、感圧部材26としては、抵抗変化として測定するための感圧抵抗体あるいは容量変化として測定するための誘電体を使用し得るが、ここでは測定の容易性の点から感圧抵抗体を使用している。
次いで、所定サイズの異方導電性布21を用意し、異方導電性布21の複数の導電性糸23が第1電極25と実質的に直交するように、かつ、圧力感応部27の感圧部材26の表面に当接するように、異方導電性布21を圧力感応部27の外表面に巻き付ける。ここでは、圧力感応部27の感圧部材26の表面全体が異方導電性布21で覆われるようにしている。圧力感応部27の表面に異方導電性布21を巻き付けたものが図4Aに示されている。
なお、この明細書における「実質的に直交」とは、正確に直交していれば最も望ましいが、必ずしも正確に直交していなくても90度に近い角度で交差していれば良いことを意味する。これらの複数の導電性糸23がそれぞれ実施形態1の圧力センサー20Aにおける第2電極を形成する。そして、図4Bに示したように、第1電極25の一方側の端部に第1リード線28を、複数の第2電極にそれぞれ第2リード線29を接続する。なお、第1リード線28としてはリッツ線やエナメル線等の表面が絶縁された導電線が用いられている。
次いで、図4Bに示したように、第1電極25に対して第1リード線28を、複数の導電性糸23のそれぞれに対して第2リード線29を接続する。ここでは、第1リード線28及び複数の第2リード線29として、周知のリッツ線やエナメル線等の表面が絶縁された金属線を用いている。その後、複数の第2リード線29の内の半数を第1リード線28側(図4Bにおける左側)に纏まるように折り曲げ、残りの半数を第1リード線28とは反対側に纏まるように折り曲げる。
この際、折り曲げられた第1リード線28及び複数の第2リード線29の位置が安定するようにするため、粘着テープ(図示省略)を配置し、折り曲げられた第1リード線28及び複数の第2リード線29を粘着テープによって固定するようにしてもよい。また、第1リード線28及び複数の第2リード線29としては、表面が絶縁された金属線に換えてフレキシブルプリント配線基板や異方導電性布を用いてもよい。
次いで、図4Cに示したように、圧力感応部27の表面に異方導電性布21が巻き付けられたもの、折り曲げられている第1リード線28及び複数の第2リード線29の両面を、第1リード線28及び複数の第2リード線29のそれぞれの先端部が露出するようにして、防水部材30によって被覆する。この防水部材30としては、防水フィルムや防水塗料を用いることができる。防水フィルムとしては、周知のものからアレルギー性が少ないものを適宜に選択して使用し得るが、内面側に粘着剤が塗布されているものやヒートシール性フィルムからなるものを使用すると、被覆が容易となる。なお、防水塗料を用いる場合には、天然ゴムラテックスやポリウレタン系塗料等を使用することができるが、アレルギー性を考慮するとポリウレタン系塗料が好ましい。
その後、図4Cに示されている防水部材30によって被覆された部材を円環状に成形し、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリブタジエン等の、剛性が内視鏡スコープの剛性と同じか小さく、圧力感応部27の剛性よりも大きいプラスチック材からなる円筒状フード31の先端側の外周囲を覆うように巻き付け、図4Cにおける左右両端側に位置する第1リード線28及び複数の第2リード線29が1箇所に纏まるようにする。この円筒状フード31の厚さは、0.1mm〜0.5mm程度のもので十分である。なお、円筒状フード31と防水部材30との接触面は、接着剤Gを介在させて両者を強固に固定する。また、それぞれの部材間の剛性関係の詳細については、後述する。
これにより、第1電極25は実質的に円環状となり、第1電極25及び感圧部材26からなる圧力感応部27も実質的に円環状となり、図5A及び図5Bに示した構成を有する実施形態1の内視鏡スコープ用の圧力センサー20Aが得られる。この圧力センサー20Aにおける第1リード線28及び複数の第2リード線29の積層状態は、図5Cに示したとおりとなっている。実施形態1の圧力センサー20Aにおいては、円筒状部分の厚さ、すなわち、円筒状フード31の内周面側から圧力感応部27の異方導電性布21で被覆された箇所の外周面までの距離LをL=0.8〜1.5mm程度となるようにすることができる。
なお、圧力センサー20Aにおける円筒状フード31の内径は、用いる内視鏡スコープの先端外周の径と同じか僅かに小さくなるようにするとよい。また、圧力センサー20Aの長さは、内視鏡スコープの挿入部の先端側の径によっても変化するが、1〜3cm程度となるようにすればよい。このような構成とすると、圧力センサー20Aの円筒状フード31の弾性を利用し、フードキャップ型の圧力センサーとして内視鏡スコープの先端外周側に容易にかつ強固に取付けることができるようになる。
このようにして得られた実施形態1の内視鏡スコープ用の圧力センサー20Aは、第1電極25として細径のものを使用することができ、しかも、この圧力センサー20Aは、厚さが薄いために市販の内視鏡スコープの先端部外周にそのまま取り付けても外径の増大化は小さく、従来の内視鏡スコープと同様に取り扱うことができるようになる。
また、実施形態1の圧力センサー20Aにおいては、第2電極を構成する複数の導電性糸23のそれぞれが圧力センサー20Aの検知用電極を構成しているので、複数の導電性糸23ないし複数の第2リード線29をそのまま外部に導出すれば高精細に圧力分布を測定することができ、複数の導電性糸23ないし複数の第2リード線29をそれぞれ複数本毎に短絡することによってその短絡した領域における平均圧力を測定できるようになる。
なお、実施形態1の圧力センサー20Aにおいては、第2電極として異方導電性布からなるものを用いた例を示したが、これに限らず、周知の細径の導線を複数、個別に直接感圧部材の表面に巻き付けてもよいし、フレキシブルプリント配線基板を用いることにより、配線パターンが直接感圧部材26の表面と接触するようにすることも可能である。しかしながら、異方導電性布はフレキシブルプリント配線基板等に比較すると非常に柔軟性に富むため、異方導電性布を用いると第2電極を構成する複数の導電性糸のそれぞれを感圧部材との間に隙間が生じないようにして第1電極と密接に対向させることができるので、小型、薄型でありながら高感度な内視鏡スコープ用の圧力センサーが得られる。加えて、異方導電性布は導電性糸が安定な状態で固定されているため、細径の導線を複数、個別に直接感圧部材の表面に巻き付ける場合よりも製造が容易となる。
[実施形態1の圧力センサー付き内視鏡スコープ]
実施形態1の圧力センサー20Aと内視鏡スコープとを一体化した圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aを図6〜図8を用いて説明する。なお、図6Aは実施形態1の圧力センサーを設けた内視鏡スコープを先端側から見た平面図であり、図6Bは図6AのVIB方向から見た側面図である。図7A〜図7Cは、それぞれ内視鏡スコープの先端に取り付けた圧力センサーの位置を変えた場合の図6AのVII−VII線に沿った部分の拡大断面図である。図8A〜図8Cは、実施形態1の圧力センサーに対して、それぞれ順に前方から、斜め前方から及び側方向から荷重が印加された場合の力の加わる方向を示す図である。また、図6〜図8においては、図1〜図5に記載のものと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。
この圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aは、実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aを内視鏡スコープの挿入部14先端15の外周側に取り付けたものである。この圧力センサー20Aは、圧力センサー20Aの内径を内視鏡スコープの挿入部14先端15の外径と同じか僅かに小さくされた、いわゆるフードキャップ型となっている。これにより、圧力センサー20Aを内視鏡スコープの挿入部14の先端15に強固に取付けることができ、また、内視鏡スコープを再使用する際には容易に取り外すことができるようになる。
なお、この圧力センサー20Aは、図7に示したように、圧力センサー20Aの先端部を内視鏡スコープの挿入部14の先端15から所定距離h1だけ前方に突き出るように取り付ける(図7A参照)ことも、内視鏡スコープの挿入部14の先端15と同じ位置となるように取り付ける(図7B参照)ことも、さらには内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも所定距離h2だけ後方に位置するように取り付ける(図7C参照)こともできる。これらの図7A〜図7Cに示したいずれの場合でも、前方からの圧力だけでなく、側方からの圧力も検知することができる。
実施形態1の圧力センサー20Aにおいては、円筒状フード31は、剛性が内視鏡スコープの挿入部14の剛性と同じか小さく、圧力センサー20Aの圧力感応部27の剛性よりも大きい部材が選択されている。したがって、図7Aに示したように、圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも所定距離h1だけ前方に突出していると、圧力感応部27の前方からの荷重に対しては圧力検知感度が良好となるが、圧力感応部27の側面から荷重が印加される場合には円筒状フード31が内面側にたわむために側方からの圧力検知感度が低下することがある。
逆に、図7Cに示したように、圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも所定距離h2だけ後方に位置していると、圧力感応部27の前方からの荷重は、物理的に先に内視鏡スコープの挿入部14の先端15に加わるため、前面からの圧力検知感度が低下する。しかしながら、圧力感応部の側方から荷重が印加される場合には、円筒状フード31及び内視鏡スコープの挿入部14の剛性が大きいため、荷重が円筒状フード31及び内視鏡スコープの挿入部14によって受け止められるため、圧力検知感度が良好となる。
なお、図7Bに示した圧力センサー20Aの先端部が内視鏡スコープの挿入部14の先端15と同じ位置となるように取り付けた場合には、側方からの圧力感度は図7Cに示したものと同様に良好であるが、内視鏡スコープの挿入部14の先端の存在のため、前方からの圧力検出感度は図7Aに示したものよりも低下する。したがって、内視鏡スコープの挿入部14に圧力センサー20Aを取り付けた場合、検出感度に各図番によって表示すると、前方からの圧力検出感度は図7A>図7B>図7Cとなり、側方からの圧力検出感度は図7A<図7B=図7Cとなる。
ここで、圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも前方に所定距離hだけ突出している場合における前方、斜め前方及び側方からの荷重の伝達形態を図8を用いて説明する。ただし、ここでは所定距離h=0.45〜5.0mmとしており、内視鏡スコープの挿入部14の先端15の位置が圧力感応部27の中心位置をほぼ同一位置となされている場合について、説明する。
前方から圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端に荷重Fが印加される場合、圧力感応部27の剛性が低いために圧力感応部27は下方に向かって変形しようとする。しかしながら、圧力感応部27の内面側は、異方導電性布21及び防水部材30を介して円筒状フード31の外面側に固定されているため、圧力感応部27と円筒状フード31の間には圧力感応部27が円筒状フード31から剥離する方向の力fが加わる。これにより、前方から圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端に加わった荷重Fは、圧力感応部27部分で方向が円筒状フード31側に曲げられ、図8Aに参照符号A1で示した部分で受け止められる状態となる。
また、図8Bに示したように、圧力センサー20Aの圧力感応部27に斜め前方から荷重が印加される場合、この荷重は、真っ直ぐ円筒状フード31に伝わり、円筒状フード31の内面側には剛性が大きい内視鏡スコープの挿入部14が位置しているため、図8Bに示したA2の位置で受け止められる。
さらに、図8Cに示したように、圧力センサー20Aの圧力感応部27に側方から荷重が印加される場合、この荷重は、真っ直ぐ円筒状フード31に伝わり、図8Cの参照符号A3で示した部分で受け止められる。この場合、円筒状フード31の上側の一部は、内面側に内視鏡スコープの挿入部14が位置していないため、圧力感応部27が内面側にたわむことがあり、この部分の側方からの圧力検出感度が低下する。それに対し、円筒状フード31の下側の一部には内面側に内視鏡スコープの挿入部14が位置しているため、この部分の側方からの圧力検出感度は良好となる。そのため、図8Cに示した状態のものでは、図7Cに示した圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも後方に位置している場合と比較すると、前方からの圧力検出感度は良好であるが、側方からの圧力検出感度は低下する。
したがって、圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端を内視鏡スコープの挿入部14の先端15からの突出距離hを適宜に調整すると、前方及び側方の圧力感度をほぼ同等とすることができるようになる。なお、圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端を内視鏡スコープの挿入部14の先端15からの突出距離hを一定に維持すると、前方からの圧力検出感度と側方からの圧力検出感度が相違する場合が生じる。これらのいずれの場合においても、予め前方からの圧力検出感度と側方からの圧力検出感度を測定して、例えばUSBメモリ等の記憶手段に校正データを記憶させ、例えば図1Aに示した信号処理部12の圧力検知部12bに設けられている校正データ入力端子12dより供給して補正することにより、正確な検出圧力を表示することができるようにすればよい。
なお、実施形態1の圧力センサー20Aにおいては、第1リード線28及び複数の第2リード線29は、束ねられて圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aの挿入部14の外側面に沿って、内視鏡スコープの操作部(図1A参照)側まで延在されている。この束ねられた第1リード線28及び複数の第2リード線29の固定は、両面テープ、接着剤ないし粘着剤を利用して行うことができる。
このような構成を備える圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aによれば、圧力センサー20Aが小型、薄型化されているため、圧力センサー20Aが設けられた状態でも内視鏡スコープの挿入部14の先端15側における外径の増大化が小さく、従来の市販の内視鏡スコープと同等の体腔内への挿入性及び操作性を備えている。しかも、圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aを体腔内へ挿入して操作する際、圧力センサー20Aに加わった圧力とその位置、すなわち体腔に加わった圧力とその内視鏡スコープ側から見た位置を高感度かつ高精細に検知できるので、操作者はそれに合わせて内視鏡スコープを操作することができ、体腔穿孔のおそれを大きく低減することができるようになる。
なお、上記の圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aでは、第1リード線28及び複数の第2リード線をそれぞれ束ねたものを用いた例を示したが、第1リード線28及び複数の第2リード線29ともに細いため、そのままでは絡み易い。そのため、第1リード線28及び複数の第2リード線29を生体安全性の確認がとれているチューブ内を通すことによって外部に露出しないようにしたり、撚り線として取り扱うことが好ましい。
第1リード線及び複数の第2リード線としては、図9Aに示したように、平面視で直線状かつ平行に、互いに離間して複数の導電性糸33が織り込まれた異方導電性布34を用いることができ(変形例1)、さらには、図9Bに示したように、細線状の絶縁性部材35の表面に異方導電性布36を複数の導電性糸37が細線状の絶縁性部材35に沿うように巻き付けられた細径ケーブル38からなるものを用いることもできる(変形例2)。
なお、図9A及び図9Bはそれぞれ変形例1及び2の図5Cに対応する部分の拡大断面図である。これらの異方導電性布34及び36における導電性糸33及び37は、それぞれリッツ線やエナメル線等の表面が絶縁された金属線からなるものを用いる。これらの異方導電性布34ないし細径ケーブル38は、両面テープ、接着剤ないし粘着剤によって内視鏡スコープの挿入部の外表面に安定した状態で固定することができる。また、図9A及び図9Bに示した異方導電性布34及び36の外周を防水部材で被覆してもよい。
[実施形態2の内視鏡スコープ用圧力センサー]
実施形態2の内視鏡スコープ用圧力センサー20Bを、図3、図10及び図11を用いて製造工程順に説明する。なお、図10A及び図10Cは実施形態2の圧力センサーの製造工程を説明する図である。図11Aは実施形態2の圧力センサーの外観図であり、図11Bは図11AのXIB−XIB線に沿った拡大断面図である。なお、図10及び図11においては、実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。
先ず、図3に示したような構成を有する線状の第1電極25と、第1電極25の周囲を覆う、加圧されることにより電気的特性が変化する感圧部材26とからなる線状の圧力感応部27を用意する。次いで、所定サイズの異方導電性布21を用意し、異方導電性布21の複数の導電性糸23が第1電極25と直交するように、圧力感応部27を異方導電性布21のほぼ中央部に載置する。その後、線状の圧力感応部27の両側に位置する異方導電性布21のうちの一方側を圧力感応部27が中心となるようにして折り返し、複数の導電性糸23のそれぞれが隣接する導電性糸23と短絡しないようにして他方側の異方導電性布21と重ねる。これにより、異方導電性布21は、図10Aに示したように、圧力感応部27を一方側の端部に挟んで折り畳まれた状態となる。
このうち、複数の導電性糸23のそれぞれが本発明の第2電極を構成する。なお、圧力感応部27を一方側の端部に挟んで折り畳まれた状態の異方導電性布21の間には、構造を安定化するために、両面テープ、接着剤ないし粘着剤を設けてもよい。
次いで、図10Bに示したように、第1電極25に対して第1リード線28を、複数の導電性糸23のそれぞれに対して第2リード線29を接続する。ここでは、第1リード線28及び複数の第2リード線29として、周知のリッツ線やエナメル線等の表面が絶縁された金属線を用いている。その後、複数の第2リード線29の内の半数を第1リード線28側(図10Bにおける左側)に纏まるように折り曲げ、残りの半数を第1リード線28とは反対側に纏まるように折り曲げる。
この際、折り曲げられた第1リード線28及び複数の第2リード線29の位置が安定するようにするため、粘着テープ(図示省略)を配置し、折り曲げられた第1リード線28及び複数の第2リード線29を粘着テープによって固定するようにしてもよい。また、第1リード線28及び複数の第2リード線29としては、表面が絶縁された金属線に換えてフレキシブルプリント配線基板や異方導電性布を用いてもよい。
次いで、図10Cに示したように、圧力感応部27を一方側の端部に挟んで折り畳まれた状態とされた異方導電性布21、折り曲げられている第1リード線28及び複数の第2リード線29の両面を、第1リード線28及び複数の第2リード線29のそれぞれの先端部が露出するようにして、防水部材30によって被覆する。その後、図10Cに示されている防水部材30によって被覆された部材を円筒状に成形し、剛性が内視鏡スコープの剛性と同じか小さく、圧力感応部27の剛性よりも大きいプラスチック材からなる円筒状フード31の先端側の外周囲を覆うように巻き付け、図10Cにおける左右両端側に位置する第1リード線28及び複数の第2リード線29が1箇所に纏まるようにする。これらの防水部材30及び円筒状フード31としては、実験例1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aで用いたのと同様のものを使用し得る。
また、実施形態2の圧力センサー20Bにおいては、図10Cに示されている防水部材30によって被覆された部材を円筒状フード31の周囲を覆うように巻き付けているが、異方導電性布21の剛性が円筒上フード31の剛性よりも小さいため、図11Bに示したように、断面形状として、内面側Sが平坦面となり、圧力感応部27の異方導電性布21で被覆された箇所が外面側に突出するように成形される。
その後、折り返された二重円筒形状の異方導電性布21の外面側を、圧力感応部27の異方導電性布21で被覆された箇所を除いて、被覆部材32で被覆する。この被覆部材32も、剛性が内視鏡スコープの剛性と同じか小さく、圧力感応部27の剛性よりも大きいプラスチック材からなるものが好ましが、所定厚さの円筒状に形成された部材を嵌合させることによって作製しても、熱収縮性チューブや絶縁テープを所定厚さとなるように巻き付けて作製してもよい。被覆部材32として形成された部材を嵌合せる場合には、被覆部材32と異方導電性布21との間に接着剤を介在させるとよい。
これにより、第1電極25は実質的に円環状となり、第1電極25及び感圧部材26からなる圧力感応部27も実質的に円環状となり、さらに異方導電性布21は折り返された二重円筒形状を形成し、図11A及び図11Bに示した構成を有する実施形態2の内視鏡スコープ用圧力センサー20Bが得られる。
この圧力センサー20Bにおける第1リード線28及び複数の第2リード線29の積層状態は、実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aの場合と同様である。また、実施形態2の圧力センサー20Bにおいても、円筒状部分の厚さ、すなわち、円筒状フード31の内周面側から圧力感応部27の異方導電性布21で被覆された箇所の外周面までの距離L、円筒状フード31の内径及び圧力センサー20Bの長さは、実施形態1の圧力センサー20Aと同様の大きさとすることができる。
得られた実施形態2の内視鏡スコープ用圧力センサー20Bは、実質的に実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aと同様の作用効果を奏することができ、しかも、円環状の圧力感応部27を折返されて二重円筒形状とされた異方導電性布の折り返された位置の内面側に配置するのみで作製できるため、円環状の圧力感応部の表面に異方導電性布を巻付ける必要がある実施形態1の圧力センサー20Aに比較すると、製造が容易となる。
なお、実施形態2の圧力センサー20Bにおいては、実施形態1の圧力センサー20Aと同様に、第2電極としての異方導電性布に換えて、周知の細径の導線を複数、個別に直接感圧部材の表面に巻き付けてもよいし、フレキシブルプリント配線基板を用いることにより、配線パターンが直接感圧部材26の表面と接触するようにすることも可能である。この場合も、異方導電性布が柔軟性に優れているという特性から、細径の導線を複数用いた場合やフレキシブルプリント配線基板を用いた場合よりも、圧力センサーとして優れた特性が得られ、また、製造が容易となるという優れた効果が奏されるようになる。
[実施形態2の圧力センサー付き内視鏡スコープ]
実施形態2の内視鏡スコープ用圧力センサー20Bと内視鏡スコープとを一体化した圧力センサー付き内視鏡スコープ11Bを図12〜図14を用いて説明する。なお、図12Aは実施形態2の圧力センサーを設けた内視鏡スコープを先端側から見た平面図であり、図12Bは図12AのXIIB方向から見た側面図である。図13A〜図13Cは、それぞれ内視鏡スコープの先端に取り付けた実施形態2の圧力センサーの位置を変えた場合の図12AのXIII−XIII線に沿った部分の拡大断面図である。図14A〜図14Cは、実施形態2の圧力センサーに対して、それぞれ順に、前方から、斜め前方から及び側方から荷重が印加された場合の力の加わる方向を示す図である。また、図12〜図14においては、図3、図10及び図11に記載のものと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。
この圧力センサー付き内視鏡スコープ11Bは、実施形態2の圧力センサー20Bを内視鏡スコープの挿入部14先端15の外周側に取付け及び取り外し可能に取り付けたものである。この圧力センサー20Bは、圧力センサー20Bの内径を内視鏡スコープの挿入部14先端15の外径と同じか僅かに小さくするとともに、内視鏡スコープの挿入部14先端15に取り付けることができるフードキャップ型となっている。これにより、圧力センサー20Bを内視鏡スコープの挿入部14の先端15に強固に取付けることができ、また、内視鏡スコープを再使用する際には容易に取り外すことができるようになる。
なお、この圧力センサー20Bは、図13に示したように、圧力センサー20Bの先端部を内視鏡スコープの挿入部14の先端15から所定距離h1だけ前方に突き出るように取り付ける(図13A参照)ことも、内視鏡スコープの挿入部14の先端15と同じ位置となるように取り付ける(図13B参照)ことも、さらには内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも所定距離h2だけ後方に位置するように取り付ける(図13C参照)こともできる。これらの図13A〜図13Cに示したいずれの場合でも、前方からの圧力だけでなく、側方からの圧力も検知することができる。
実施形態2の圧力センサー付き内視鏡スコープ11Bにおいても、円筒状フード31は、内視鏡スコープの挿入部14の剛性と同じかそれよりも小さく、円環状の圧力感応部27の剛性よりも大きい部材が選択されている。したがって、図13Aに示したように、円筒状の圧力センサー20Bの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも所定距離h1だけ前方に突出していると、圧力感応部27の前方からの荷重に対しては圧力検知感度が良好となるが、圧力感応部27の側面から荷重が印加される場合には円筒状フード31が内面側にたわむために側方からの圧力検知感度が低下することがある。
逆に、図13Cに示したように、圧力センサー20Bの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも所定距離h2だけ後方に位置していると、圧力感応部27の前方からの荷重は、物理的に先に内視鏡スコープの挿入部14の先端15に加わるため、前面からの圧力検知感度が低下する。しかしながら、圧力感応部の側方から荷重が印加される場合には、円筒状フード31及び内視鏡スコープの挿入部14の剛性が大きいため、荷重が円筒状フード31及び内視鏡スコープの挿入部14によって受け止められるため、圧力検知感度が良好となる。
なお、図13Bに示した圧力センサー20Bの先端部が内視鏡スコープの挿入部14の先端15と同じ位置となるように取り付けた場合には、側方からの圧力感度は図13Cに示したものと同様に良好であるが、内視鏡スコープの挿入部14の先端の存在のため、前方からの圧力検出感度は図13Aに示したものよりも低下する。したがって、内視鏡スコープの挿入部14に圧力センサー20Bを取り付けた場合、検出感度に各図番によって表示すると、前方からの圧力検出感度は図13A>図13B>図13Cとなり、側方からの圧力検出感度は図13A<図13B=図13Cとなる。
ここで、実施形態2の圧力センサー20Bの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも前方に所定距離hだけ突出している場合における前方、斜め前方及び側方からの荷重の伝わり方を図14を用いて説明する。ただし、ここでは所定距離h=0.45〜5.0mmとしており、内視鏡スコープの挿入部14の先端15の位置が圧力感応部27の中心位置をほぼ同一位置となされている場合について、説明する。
前方から圧力センサー20Bの圧力感応部27の先端に荷重Fが印加される場合、二重円筒形状の異方導電性布21の剛性が低いために圧力感応部27は下方に向かって変形しようとする。しかしながら、圧力感応部27の内面側は、異方導電性布21及び防水部材30を介して円筒状フード31の外面側に固定されているため、圧力感応部27と円筒状フード31の間には圧力感応部27が円筒状フード31から剥離する方向の力fが加わる。これにより、前方から圧力センサー20Bの圧力感応部27の先端に加わった荷重Fは、圧力感応部27部分で方向が円筒状フード31側に曲げられ、図14Aに参照符号A1で示した部分で受け止められる状態となる。
また、図14Bに示したように、圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端に斜め前方から荷重Fが印加される場合、この荷重は、真っ直ぐ円筒状フード31に伝わり、円筒状フード31の内面側には剛性が大きい内視鏡スコープの挿入部14が位置しているため、図14Bに示したA2の位置で受け止められる。さらに、図14Cに示したように、円筒状の圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端に側方から荷重が印加される場合、この荷重は真っ直ぐ円筒状フード31に伝わり、図14Cの参照符号A3で示した部分で受け止められる状態となる。
この場合、円筒状フード31の上側の一部には内面側に内視鏡スコープの挿入部14が位置していないため、この部分の側方からの圧力検出感度が低下する。それに対し、円筒状フード31の下側の一部には内面側に剛性が大きい内視鏡スコープの挿入部14が位置しているため、この部分の側方からの圧力検出感度は良好となる。そのため、図14Cに示した実施形態2の圧力センサー20Bを用いれば、図13Cに示した圧力センサー20Bの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも後方に位置している場合と比較すると、前方からの圧力検出感度は良好であるが、側方からの圧力検出感度は低下する。
一方、実施形態2の圧力センサー20Bにおいては、円筒状フード31は、剛性が内視鏡スコープの挿入部14の剛性と同じか小さく、圧力センサー20Aの圧力感応部27の剛性よりも大きい部材が選択されている。したがって、図13Aに示したように、圧力センサー20Aの圧力感応部27の先端が内視鏡スコープの挿入部14の先端15よりも所定距離h1だけ前方に突出していると、圧力感応部27の前方からの荷重に対しては圧力検知感度が良好となるが、圧力感応部27の側面から荷重が印加される場合には円筒状フード31が内面側にたわむために側方からの圧力検知感度が低下することがある。
実施形態2の圧力センサー20Bにおいても、圧力感応部27の先端を内視鏡スコープの挿入部14の先端15からの突出距離hを適宜に調整すると、前方及び側方の圧力感度をほぼ同等とすることができるようになる。また、圧力センサー20Bの圧力感応部27の先端を内視鏡スコープの挿入部14の先端15からの突出距離hを一定に維持すると、前方からの圧力検出感度と側方からの圧力検出感度が相違する場合が生じる。しかしながら、上記のどちらの場合であっても、個々の圧力センサー毎に校正用データを求めておけば、信号処理によって正確な圧力を得ることができる。
なお、実施形態2の圧力センサー20Bにおいても、第1リード線28及び複数の第2リード線29の配置は、実施形態1のは、束ねられて圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aの挿入部14の外側面に沿って、内視鏡スコープの操作部(図1A参照)側まで延在されている。この束ねられた第1リード線28及び複数の第2リード線29の固定は、両面テープ、接着剤ないし粘着剤を利用して行うことができる。
[実施形態3内視鏡スコープ用圧力センサー及び圧力センサー付き内視鏡スコープ]
実施形態3の内視鏡スコープ用圧力センサー20C及び圧力センサー付き内視鏡スコープ11Cを図15を用いて説明する。なお、図15Aは実施形態3の圧力センサーの図11Bに対応する部分の拡大断面図であり、図15Bは実施形態2の圧力センサーを設けた内視鏡スコープの図13Aに対応する部分の拡大断面図である。また、図15A及び図15Bにおいては、実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20A及び圧力センサー付き内視鏡スコープ11Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
実施形態3の内視鏡スコープ用圧力センサー20Cは、実施形態1の圧力センサー20Aにおいて、円筒状フード31の内面側に円環状の突条31aを形成したものである。この円環状の突条31aは、位置決め用として機能し、図15Bに示したように、圧力センサー20Cを内視鏡スコープの挿入部14の先端側に取り付けると、円環状の突条31aが内視鏡スコープの挿入部14の先端15に係止される。そのため、実施形態3の圧力センサー付き内視鏡スコープ11Cによれば、圧力センサー20Cの先端が常に予め定めた所定距離hだけ内視鏡スコープの挿入部14の先端15側から突出するようにできる。なお、円環状の突条31aに換えて円環状に複数の突起や突条が形成されているものとしてもよい。
[実施形態4の内視鏡スコープ用圧力センサー]
実施形態4の内視鏡スコープ用圧力センサー20Dを図16Aを用いて説明する。なお、図16Aは実施形態4の圧力センサーの図11Bに対応する部分の拡大断面図である。また、図16Aにおいては、実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
実施形態4の圧力センサー20Dは、実施形態1の圧力センサー20Aにおいて、被覆部材32の厚さを厚くして、被覆部材32の外周面が圧力感応部27の異方導電性布21で被覆された箇所の外周面よりも内側の位置となる厚さに形成された状態としたものである。すなわち、図16Aに示したように、円筒状フード31の内周面側から圧力感応部27の異方導電性布21で被覆された箇所の外周面までの距離をL1、円筒状フード31の内周面側から被覆部材32の外周面までの距離をL2とすると、L1>L2となるようにされている。
このような構成を備えている実施形態4の圧力センサー20Dによれば、円環状の圧力感応部27に前方から荷重が印加された場合には、被覆部材32側でも受け止められる形となるので、被覆部材32の厚さが薄い実施形態1の圧力センサー20Aの場合よりも前方からの圧力検知感度が向上する。ただし、側方から荷重が印加された場合には、被覆部材32に直接荷重が印加されることがあるので、側方からの圧力検出感度が低下する場合もある。そのため、被覆部材32の厚さは、前方からの圧力検出感度及び側方からの圧力検出感度を考慮の上、実験的に最適な条件を見出すことが望ましい。
なお、実施形態4の内視鏡スコープ用圧力センサー20Dにおいても、内視鏡スコープの先端側から突出する状態で取り付ける際の位置決め用として、実施形態3の内視鏡スコープ用圧力センサーの場合と同様に、円筒状フード31の内面側に円環状の突条ないし円環状に複数の突起を形成してもよい。
[実施形態5の内視鏡スコープ用圧力センサー]
実施形態5の内視鏡スコープ用圧力センサー20Eを図16Bを用い、実施形態2の内視鏡スコープ用圧力センサー20Bの製造工程を示す図10及び図11をも参照しながら説明する。なお、図16Bは、実施形態5の圧力センサー20Eにおける図11Bに対応する部分の拡大断面図である。また、図16Bにおいては、実施形態2の圧力センサー20Bと同一の構成部分には同一の参照符号を付与して説明する。
実施形態5の内視鏡スコープ用圧力センサー20Eを製造するには、まず、第1電極25と、所定サイズの異方導電性布21及びこの異方導電性布21の一方側の表面に重なるように配置された加圧されることにより電気的特性が変化する感圧部材26とを用意する。次いで、異方導電性布21の複数の導電性糸23が第1電極25と実質的に直交するように、第1電極25を感圧部材26のほぼ中央部に載置する。その後、第1電極25の両側に位置する感圧部材26及び異方導電性布21の一方側を第1電極25が中心となるようにして同時に折り返し、他方側の感圧部材26と重ねる。これにより、感圧部材26及び異方導電性布21は、第1電極25を一方側の端部に挟んで折り畳まれた状態となる。
この場合も、複数の導電性糸23のそれぞれが本発明の第2電極を構成し、第1電極25と感圧部材26とが接触している部分が本発明の圧力感応部27を構成する。また、第1電極25を一方側の端部に挟んで折り畳まれた状態の感圧部材26間及び第1電極25とは離間した位置の感圧部材26と異方導電性布21との間には、構造を安定化するために、両面テープ、接着剤ないし粘着剤を設けてもよい。
次いで、図10Bに示したのと同様にして、第1電極25に対して第1リード線28を、複数の導電性糸23のそれぞれに対して第2リード線29を接続し、複数の第2リード線29の内の半数を第1リード線28側(図10Bにおける左側)に纏まるように折り曲げ、残りの半数を第1リード線28とは反対側に纏まるように折り曲げる。
次いで、図10Cに示したのと同様に、圧力感応部27を一方側の端部に挟んで折り畳まれた状態とされた異方導電性布21、折り曲げられている第1リード線28及び複数の第2リード線29の両面を、第1リード線28及び複数の第2リード線29のそれぞれの先端部が露出するようにして、防水部材30によって被覆する。
次いで、防水部材30によって被覆された部材を、円筒状に成形し、圧力感応部27よりも剛性が大きいプラスチック材からなる円筒状フード31の周囲を覆うように巻き付け、図10Cにおける左右両端側に位置する第1リード線28及び複数の第2リード線29が1箇所に纏まるようにする。なお、円筒状フード31と防水部材30との接触面は、接着剤を介在させて両者を強固に固定する。
その後、折り返された二重円筒形状の異方導電性布21の外面側を、圧力感応部27の異方導電性布21で被覆された箇所を除いて、被覆部材32で被覆する。これにより、第1電極25ないし圧力感応部27は実質的に円環状となり、感圧部材26及び異方導電性布21は折り返された二重円筒形状を形成し、図11Aに示したのと実質的に同様の構成を有し、図11Bに示したのと実質的に同様の断面形状を有する実施形態5の内視鏡スコープ用圧力センサー20Eが得られる。
このような構成を備える実施形態5の圧力センサー20E及びこの圧力センサーを設けた内視鏡スコープ(図示省略)によれば、実施形態2の圧力センサー20B及びこれを用いた圧力センサー付き内視鏡スコープ11Bと実質的に同様の作用効果を奏することができる。なお、実施形態5の圧力センサー20Eにおいても、内視鏡スコープの先端側から突出する状態で取り付ける際の位置決め用として、実施形態3の圧力センサー20Cの場合と同様に、円筒状フード31の内面側に円環状の突条ないし円環状に複数の突起を形成してもよい。
[実施形態6〜8の内視鏡スコープ用圧力センサー]
実施形態6〜8の円筒形の圧力センサー20F〜20Hを図17を用いて、実施形態1、2及び5の円筒形圧力センサー20A、20B及び20Eのそれぞれの拡大断面図である図5B、図11B及び図16Bをも参照しながら説明する。なお、図17A〜図17Cは、それぞれ実施形態6〜8の圧力センサーの図11Bに対応する部分の拡大断面図である。また、図17A及び図17Bにおいては、実施形態1、2及び5の円筒形圧力センサー20A、20B及び20Eと同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略する。
実施形態1、2及び5の円筒形圧力センサー20A、20B及び20Eは、圧力感応部27となる部分を防水部材30で被覆した後に円筒状フード31ないし被覆部材32を設けていたが、実施形態6〜8の円筒形の圧力センサー20F〜20Hは圧力感応部27となる部分にそのまま円筒状フード31ないし被覆部材32を設け、その後に外面全体を防水部材30で被覆したものである。この防水部材30としては、シート状のものよりも防水塗料を用いる方が製造が容易となる。このような構成の実施形態6〜8の円筒形の圧力センサー20E及び20Fにおいても、実施形態1の内視鏡スコープ用圧力センサー20Aと実質的に同様の作用効果を奏することができる。
なお、実施形態6〜8の内視鏡スコープ用圧力センサーの構成は、図示省略したが、実施形態3及び4の内視鏡スコープ用圧力センサー20C及び20Dに対しても適用可能である。