JP6570007B2 - 圧力センサ、手術用器具および手術用装置 - Google Patents
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Description
(本発明の一態様)
本発明の一態様は、
加圧を検知する圧力センサであって、
被検出箇所に装着される装着部分を有して構成され、
前記装着部分は、領域分割されて感圧領域と非感圧領域とを備えており、
前記感圧領域は、加圧により電気的特性が変化する感圧部材を用いて加圧検知を行うように構成されており、
前記非感圧領域は、当該非感圧領域を挟んで隣り合う前記感圧領域同士を連結するとともに、各領域の並び方向に伸縮性を有して構成されている
圧力センサである。
(本発明の他の一態様)
本発明の他の一態様は、
被術者の体内に挿入する挿入部を有した手術用器具であって、
上記一態様に記載の圧力センサを備えるとともに、
前記挿入部に前記被検出箇所が配されており、当該被検出箇所に前記装着部分が装着されている
手術用器具である。
(本発明のさらに他の一態様)
本発明のさらに他の一態様は、
上記他の一態様に記載の手術用器具と、
前記手術用器具に装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える手術用装置である。
先ず、内視鏡スコープおよび内視鏡装置について、大腸内を撮像するように構成されたものを例に挙げて説明する。
図1は、内視鏡スコープおよび内視鏡装置の概略構成例を模式的に示す説明図である。
本実施形態で説明する内視鏡装置1は、内視鏡スコープ2と、制御本体部3と、モニタ部4と、を備えて構成されている。
内視鏡スコープ2は、被術者(内視鏡検査の被検者)の体内に挿入される挿入部10と、挿入部10の屈曲操作等を術者(内視鏡スコープ2の操作者)が行うための操作部20と、を備えている。また、内視鏡スコープ2の挿入部10には、詳細を後述するように、圧力センサ30が装着されている。
制御本体部3は、例えばCPU、RAM、ROM等を組み合わせて構成されたコンピュータ装置からなるもので、予めインストールされている所定プログラムを実行することで、内視鏡スコープ2を含む内視鏡装置1全体の動作制御を行うものである。具体的には、制御本体部3は、内視鏡スコープ2の先端部11の投光部から光を照射するように動作指示を与えたり、その先端部11の撮像素子で得られた画像信号を受け取って必要な画像処理や記録処理等を行ったりする。
モニタ部4は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置からなるもので、主として内視鏡スコープ2で取得された画像を術者(内視鏡スコープの操作者)に対して表示出力するものである。
ここで、以上のような構成の内視鏡装置1の使用態様について簡単に説明する。
このような屈曲極点に代表される湾曲部12の屈曲箇所の腸壁等との接触は、場合によっては腸管穿孔に繋がる可能性があり、その発生を未然に回避すべきである。しかしながら、湾曲部12の屈曲箇所は、挿入部10の先端部11で撮像可能な領域範囲から外れており、術者の手に伝わる感触のみによって腸壁等との接触の有無を判断することが非常に困難である。
次に、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着される圧力センサ30の一具体例について説明する。
圧力センサ30は、腸壁等の体内組織との接触による加圧を検知するものである。加圧検知は、圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体からなる感圧部材を利用して行う。つまり、圧力センサ30は、感圧部材の電気的特性の変化を利用して、加圧による圧力値の大きさを電気信号として取り出すように構成されている。このような構成で加圧検知を行えば、センサ大型化を抑制しつつ簡素な構成で必要十分な感度や分解能等が得られるようになり、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着する上で非常に好適なものとなる。
図2は、湾曲部の屈曲態様の一具体例を示す説明図である。
内視鏡スコープ2の挿入部10では、湾曲部12が操作部20の操作に応じて屈曲する。このとき、挿入部10を被覆する外皮が柔軟性を有していることから、屈曲箇所の内側部分には、図2(a)に示すように、外皮の皺10aが発生することが経験的に知られている。
特に、近年では、図2(b)に示すように、湾曲部12が屈曲する際の最小曲率が小さくなる傾向にある。そのため、屈曲箇所の内側部分における外皮の皺10aの発生が、より一層顕著なものとなる。具体的には、皺10aの発生が多くなり、そのサイズも大きいものとなる。
このような皺10aの発生は、湾曲部12の屈曲に起因するセンサ誤検出を招く要因となり得る。例えば、皺10aの発生によりその皺10aが圧力センサ30を加圧してしまうと、腸壁等の体内組織との接触ではないにも拘らず(すなわち、検知すべき加圧ではないにも拘らず)、そのことを圧力センサ30が検知してしまう。
以上のことを鑑み、ここで例に挙げて説明する圧力センサ30は、以下に述べるように構成されている。
図3〜6は、圧力センサの一具体例の構成要素を模式的に示す説明図である。
装着部分31は、加圧を検知するための圧力感応部(ただし不図示)を備えつつ、挿入部10の被検出箇所に装着されるように構成された部分であり、さらに詳しくは、挿入部10の被検出箇所の外周を全周にわたって囲う環状に形成された部分である。なお、ここでいう「環状」とは、圧力感応部が全周にわたって連続している必要はなく、圧力感応部以外の構成部品も含めて装着部分31が環状であれば、圧力感応部が周方向に分断されているような構成も含む。以下、環状に形成された装着部分31のことを単に「環状部分」という。
以下、これらの各態様について、具体的に説明する。
上記(イ)の態様の場合、環状部分31の内周(図3中における寸法A参照)は、湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該湾曲部12の非屈曲時の外周の大きさ(図3中における寸法B参照)に対して所定の屈曲変化想定量を加味した大きさに形成される。「屈曲変化想定量」とは、湾曲部12が屈曲したときに生じることが想定される当該湾曲部12の外径変化量であり、シミュレーション計算や実験結果(実測値)等に基づいて内視鏡スコープ2毎(機種毎、型式毎等)に予め設定し得る量である。
上記(ロ)の態様の場合、図5に示すように、湾曲部12には、変形抑制部材14が装着されているものとする。変形抑制部材14は、湾曲部12が屈曲したときに外皮に皺10a等が寄って外径変化が生じるのを抑制するために当該湾曲部12の屈曲箇所の外周に装着される部材である。具体的には、変形抑制部材14は、例えば、挿入部10の外皮の変形を抑制できる程度に伸縮性が抑えられた材料からなるテープ状部材を、湾曲部12の屈曲箇所の外周に巻き回して構成することが考えられる。ただし、これに限定されることはなく、湾曲部12が屈曲したときの外径変化を抑制し得るものであれば、他の部材によって構成されたものであってもよい。
上記(ハ)の態様の場合、湾曲部12には、上記(ロ)の態様の場合における変形抑制部材14と同様の機能の果たす回避機構が、当該湾曲部12を被覆する外皮の内側に設けられているものとする。かかる回避機構は、湾曲部12が屈曲したときに外皮に皺10a等が寄って外径変化が生じるのを抑制し得るものであればよく、その具体的な構成が特に限定されるものではない。
しかも、環状部分31は、湾曲部12の屈曲状態と非屈曲状態のいずれの場合においても、内周が湾曲部12の外皮の外周にほぼ合致した装着状態にて外部からの加圧検知を行うことになる。したがって、湾曲部12の屈曲状態のみならず、湾曲部12の非屈曲状態においても、外部からの加圧検知の検出精度向上が図れるようになる。
ところで、上記(イ)〜(ハ)のいずれの態様の場合においても、環状部分31は、当該環状部分31が備える圧力感応部により外部からの加圧検知を行う。ここで、圧力感応部の構成例について詳細に説明する。
図例のように、環状部分31は、第1電極311と感圧部材312と第2電極313とが順に積層されてなる積層体を備えている。積層体は、フィルム部材314によって覆われている。つまり、環状部分31は、フィルム部材314によって覆われた積層体を円環状に配することによって構成されている。このとき、積層体は、その積層方向が円環の周方向とほぼ直交するように(すなわち円環の径方向に沿うように)するように配置される。
感圧部材312において変化する「電気的特性」としては、具体的には電気抵抗、静電容量、電圧等が挙げられるが、ここでは電気抵抗が変化するように感圧部材312が構成されている場合を例に挙げる。つまり、感圧部材312を構成する弾性体は、圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気抵抗が変化する感圧式導電性ゴムからなるものである。このような感圧式導電性ゴムの材料自体については、例えば導電材を含む感圧エストラマのような公知技術を利用して形成されたものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
ここで、上述した構成の環状部分31の製造手順を説明する。
図7は、圧力センサの一具体例の構成要素の製造手順を示す説明図である。
以上の手順で製造される環状部分31は、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所に装着される。挿入部10の被検出箇所としては、既に説明したように、湾曲部12(特に、その屈曲極点)が挙げられるが、湾曲部12以外の先端部11または軟性部13を被検出箇所に含んでもよい。
挿入部10の被検出箇所に圧力センサ30の環状部分31が装着された内視鏡スコープ2は、その被検出箇所に対する外部から加圧を検知することができる。しかも、環状部分31の内周が湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成されているため、挿入部10の被検出箇所を湾曲部12とした場合であっても、湾曲部12の屈曲に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できる。さらには、環状部分31における第1電極311が周方向に延びるリング状に形成されており、その第1電極311を全周にわたって被覆するように感圧部材312が配されていることから、湾曲部12がどの方向に屈曲した場合であっても、湾曲部12に対する外圧が加われば、そのことを検知することができる。一方、環状部分31における第2電極313についても、柔軟性に富む異方導電性布313aを利用して構成されていることから、屈曲する湾曲部12に装着する上で非常に好適なものとなる。また、異方導電性布313aが薄いものであることから、必要十分な感度や分解能等を実現しつつ、環状部分31の大型化(厚肉化)等を抑制することができる。
次に、内視鏡スコープ2の挿入部10に装着される圧力センサ30の他の具体例について説明する。ただし、ここでは、上述した一具体例との相違点についてのみ説明し、当該一具体例と同様の点については説明を省略する。
圧力センサ30は、印加圧力に応じて電気抵抗値が変化する感圧部材312を利用して加圧検知を行うように構成されている。そして、その感圧部材312は、上述した一具体例においては、第1電極311を被覆するように環状部分31の全周(すなわち被検出箇所の周方向の全域)にわたって連続する一体構造により配置されている。
一方、圧力センサ30が装着される内視鏡スコープ2の挿入部10には、その挿入部10を被覆する外皮が柔軟性を有しており、外部から局所的な加圧があると加圧箇所に凹状の変形が生じるように構成されたものがある。
このような変形が生じ得る挿入部10に一体構造の感圧部材312が配置された環状部分31を装着した場合には、感圧部材312が周方向に連続して構成されているため、外部からの負荷が作用していない箇所においても圧力センサ30が反応を示してしまうおそれがある。
ここでは、図8(a)に示すように、挿入部10の外周を囲うように配された第1電極311および感圧部材312を、仮想的に領域I〜領域IVに分けて考える。第1電極311および感圧部材312を直線状に展開すると、図8(b)に示すようになる。
このような第1電極311および感圧部材312に対して、例えば、図8(c)に示すように、領域IIに外部からの強い圧力が局所的に作用した場合には、その加圧の影響が領域IIと連続する他の領域である領域Iおよび領域IIIにも及んでしまうおそれがある。つまり、各領域I〜IIIが連続していると、外部からの圧力が作用していない領域I,IIIにおいても反力が生じてしまい、その影響で領域I,IIIでも感圧部材312の電気抵抗値変化を検出するといったセンサ誤動作が起こり得る。
このような被装着箇所の変形に対しては、感圧部材312が周方向に連続して配置されていると、その変形に感圧部材312が追従することができず、その変形の影響でセンサ誤動作が生じてしまうことがあり得る。
以上のことを鑑み、ここで例に挙げて説明する圧力センサ30は、以下に述べるように構成されている。
図9は、圧力センサの他の具体例の構成要素を模式的に示す説明図である。
感圧領域35は、加圧による変形量に応じて電気抵抗値が変化する感圧部材312を用いて加圧検知を行うように構成された領域である。つまり、感圧領域35では、当該領域内の全域にわたって第1電極311、感圧部材312および第2電極313の積層体が配されて構成されている。ただし、感圧領域35を構成する感圧部材312は、隣り合う感圧領域35における感圧部材312とは連続しておらず、各感圧領域35の間で分断されている。
非感圧領域36は、当該非感圧領域36を挟んで隣り合う感圧領域35同士を連結する領域である。ただし、非感圧領域36には、感圧領域35とは異なり、感圧部材312が配されていない。つまり、非感圧領域36は、環状部分31の周方向に沿って延びる第1電極311は存在するが、少なくとも感圧部材312が配されていないことから、加圧検知を行う機能を有していない。
以上のように、環状部分31が感圧領域35と非感圧領域36とに領域分割された構成では、各感圧領域35が分断されて連続していないことから、それぞれの感圧領域35が独立して動作することが可能である。例えば、図9(b)に示すように、領域IIの感圧領域35に対して外部からの強い圧力が局所的に作用した場合には、その感圧領域35が他の感圧領域35の影響を受けることなく独立して加圧検知を行う。そして、その感圧領域35と隣り合う領域I,IIIの感圧領域35に対して、局所的な加圧の影響が及んでしまうこともない。つまり、各感圧領域35の独立性が担保されるので、局所的な加圧を適切に検出し得るようになり、その局所的な加圧箇所の隣接箇所や対極箇所等でのセンサ誤動作を防止できるようになる。
ここで、感圧領域35と非感圧領域36とに領域分割された環状部分31の製造手順を説明する。ここでは、領域分割が十二分割である場合を例に挙げる。
図10〜図12は、圧力センサの他の具体例の構成要素の製造手順を示す説明図である。
ただし、感圧部材312については、全体の軸方向長さを十二分割した長さのものを、その分割数に応じた個数(すなわち十二個)用意する。そして、用意した感圧部材312のそれぞれが軸方向に沿って並ぶように一列に配置する。
また、第1電極311については、伸縮性を付与する連結形状であるループ状部311aが、複数箇所(例えば三箇所)に設けられている。このループ状部311aは、感圧部材312で被覆されず露出したままとなる。つまり、第1電極311におけるループ状部311a以外の部分が感圧部材312で被覆される。ループ状部311aは、各感圧部材312の間にそれぞれ配置してもよいが、センサ構成の複雑化や非感圧領域36の増大等を抑制するため、図例のように三つの感圧部材312置きに配置することが考えられる。なお、ループ状部311aは、伸縮性を付与し得るものであれば、V字状、U字状、またはこれらに準ずる結線形状のものであってもよい。
このとき、ループ状部311aについては、伸縮性が阻害されないように、異方導電性布313aによって覆われないようにする。つまり、異方導電性布313aは、ループ状部311aの箇所で分断されたものとなる。異方導電性布313aの分断は、異方導電性布313aの折り畳み後に切断することによって行ってもよいし、分断後のサイズの異方導電性布313aを予め用意することで行ってもよい。
また、隣り合う感圧部材312同士の間については、各感圧領域35の独立性が阻害されないように、異方導電性布313aに切り込み313dを入れることが好ましい。
このとき、異方導電性布313aには、感圧部材312が配置されていない箇所(例えば感圧部材312同士の間)を通る導電性糸313cを信号線32と導通させないために、その導電性糸313cを含む一部領域を切除して切欠き部313eを形成する。切欠き部313eを形成しておけば、例えば感圧部材312が配置されていない箇所を通る導電性糸313cが解れて第1電極311との接触が生じても、電気的短絡が生じてしまうことがない。
例えば、図12に示すように、異方導電性布313aは、ループ状部311aによる伸縮性が阻害されなければ、非感圧領域36において完全に分断されたものではなく、ループ状部311aに対応して一部箇所のみが切除された構成のものであってもよい。
また、異方導電性布313aは、切欠き部313eが形成されておらずに、感圧部材312が配置されていない箇所を通る導電性糸313cが当該異方導電性布313aから引き抜かれたもの、すなわち導電性糸313cが配されていない領域313fを有して構成されたものであってもよい。
このように、導電性糸313cが感圧領域35に対応する位置のみに配置されていれば、非感圧領域36に対応する位置や、連続配置された感圧領域35と感圧領域35との間に相当する位置等には、第2電極313が存在しないことになる。したがって、環状部分31を周方向に領域分割する場合であっても、電気的短絡等が発生するおそれを排除することができ、電気的短絡等の発生に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。
以上の手順で製造される環状部分31は、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所に装着される。挿入部10の被検出箇所としては、湾曲部12(特に、その屈曲極点)、先端部11または軟性部13の少なくとも一つが挙げられる。つまり、上述した一具体例に場合とは異なり、被検出箇所が湾曲部12を含まないこともあり得る。ただし、ここで説明する他の具体例の圧力センサ30も湾曲部12に装着して非常に有用である点は、上述した一具体例に場合と同様である。
感圧領域35と非感圧領域36とに領域分割された環状部分31が装着された内視鏡スコープ2は、感圧領域35が配された箇所において、被検出箇所に対する外部から加圧を検知することができる。このとき、環状部分31では、領域分割されており、各感圧領域35が分断されて連続していないことから、それぞれの感圧領域35が独立して動作することが可能である。したがって、各感圧領域35の独立性が担保されるので、局所的な加圧を適切に検出し得るようになり、その局所的な加圧箇所の隣接箇所や対極箇所等でのセンサ誤動作を防止できる。
また、環状部分31では、非感圧領域36が伸縮性を有しているので、外部からの局所的な加圧により加圧箇所が凹むように挿入部10の被装着箇所が変形したり、屈曲により挿入部10の被装着箇所が変形した場合であっても、その変形に環状部分31が追従し得るようになり、その変形の影響が感圧領域35に及んでしまうことがない。したがって、挿入部10の被検出箇所が変形しても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制できるようになる。
本実施形態で説明した圧力センサ30、内視鏡スコープ2および内視鏡装置1によれば、以下に述べるいずれか一つまたは複数の効果が得られる。
しかも、本実施形態においては、湾曲部12への装着のために、圧力センサ30が湾曲部12の周囲に装着される環状部分31を有して構成されるとともに、その記環状部分31の内周が湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成されている。このように、環状部分31が湾曲部12の屈曲箇所に対応する大きさに形成されていれば、湾曲部12が屈曲する場合であってもセンサ誤検出等が生じるのを抑制でき、検出精度の向上を図ることが可能となる。
しかも、非感圧領域36が周方向に伸縮性を有しているので、圧力センサ30は、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所が変形しても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。
以上に、本発明の実施形態について具体例を挙げて説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では、感圧部材312を構成する弾性体が感圧式導電性ゴムからなり、その感圧部材312における電気抵抗の変化を利用して圧力センサ30が加圧検知を行う場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、圧力センサ30は、圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化するように構成されており、その電気的特性の変化を利用して加圧検知を行うものであればよい。ここでいう「電気的特性」が変化する圧力センサには、上述した実施形態で説明した電気抵抗が変化するものの他に、例えば、静電容量式の圧力センサや、圧力の大きさに応じた電圧を発生させる圧電素子等が含まれる。
また、感圧部材312を含む積層体についても、上述した実施形態では、チューブ状の感圧部材312によって第1電極311が被覆されるように構成される場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはなく、単に第1電極311と第2電極313との間に感圧部材312が介在しているだけのものであってもよい。少なくとも第1電極311と感圧部材312と第2電極313とが順に積層された積層体を備えていれば、圧力センサ30が加圧検知を行うことが可能だからである。
さらに、積層体を構成する第2電極313についても、必ずしも異方導電性布313aによって形成されたものである必要はなく、第1電極311と交差する方向に延びるものであれば、例えば導電性金属線材からなる線状電極を並べて構成されたものであってもよい。
また、上述した実施形態では、第1電極311が一方向(湾曲部12の外周の周方向)のみに延びてリング状を構成する場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、第1電極311は、周方向以外の方向(例えば軸方向)に沿って延びる部分を有していても、全体としてリング状を構成するものであればよい。
図13は、第1電極の変形例を模式的に示す説明図である。
図例の第1電極311は、湾曲部12の軸方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、これら複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成している。そして、各直線部分は、感圧部材312によって被覆されている。このように、第1電極311は、湾曲部12の軸方向に延びる直線部分を有したものであっても、全体としてリング状を構成していれば、湾曲部12での加圧検出を行うことが可能である。しかも、第1電極311の直線部分が感圧部材312によって被覆されていれば、軸方向への検出領域の増大が図れる。
また、第1電極311が軸方向に延びる直線部分を有している場合には、その直線部分を感圧領域35に配置し、直線部分を繋ぎ合わせる部分を非感圧領域36に配置することが考えられる。このようにすれば、第1電極311が直線部分を有していても、その直線部分を繋ぎ合わせる部分をループ状部311aと同様に機能させることで、非感圧領域36が周方向に伸縮性を有するように構成することが実現可能となる。
また、上述した実施形態では、感圧領域35と非感圧領域36への領域分割を行う場合に、その領域分割を一方向(挿入部10の外周の周方向)のみに沿って行う場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。つまり、領域分割は、複数の方向(すなわち二次元方向)に行ってもよい。
図14は、領域分割の変形例を模式的に示す説明図である。
図例の場合、非導電性繊維の織物313bに一定間隔で導電性糸313cが配された異方導電性布313aに対して、その導電性糸313cの延在方向と略直交する方向に延びるように一定間隔で第1電極311が配されている。そして、第1電極311と第2電極313として機能する導電性糸313cとが交差する箇所では、第1電極311が感圧部材312によって被覆されている。また、感圧部材312による第1電極311の被覆は部分的なものであり、隣り合って配置された感圧部材312同士の間は第1電極311が被覆されておらず、被覆されていない第1電極311に対して伸縮性を付与する連結形状であるループ状部311aが設けられている。
なお、ここでは、第1電極311の延在方向についてのみ伸縮性を付与する場合を例に挙げたが、第2電極313として機能する導電性糸313cについても、非感圧領域36において伸縮性を付与するように、ループ状、V字状、U字状、これらに準ずる結線形状等ループ状部311aのような結線形状等としてもよい。このようにすれば、二次元方向への変形にも追従し得るようになる。
また、上述した実施形態では、内視鏡スコープ2の挿入部10における被検出箇所として、特に湾曲部12を例に挙げている。湾曲部12へのセンサ装着を行う場合には、湾曲部12が操作部20の操作に応じて屈曲することから、上述した実施形態で説明したように、被検出箇所に装着される装着部分31を環状に形成することが好ましい。
ただし、上述した実施形態で説明した装着部分31は、湾曲部12以外の箇所に装着されるものであってもよい。その場合、装着部分31は、被検出箇所が屈曲しない箇所であれば、必ずしも環状に形成されている必要はなく、例えば平面状に形成されていてもよい。
装着部分31が平面状に形成されていれば、その装着部分31は、平面状の被検出箇所(例えば、内視鏡スコープ2の挿入部10における先端部の一部分)に対して容易に装着することができる。しかも、その装着部分31が感圧領域35と非感圧領域36に領域分割されていれば、被検出箇所が変形し得る場合であっても、その変形に追従し得るようになり、被検出箇所の変形に起因するセンサ誤検出等が生じるのを抑制することができる。
また、上述した実施形態では、大腸内を撮像する内視鏡スコープ2への適用を例に挙げたが、被術者の体内に挿入されて用いられるものであれば適用可能であり、本発明が大腸内視鏡検査の用途に限定されることはない。
特に、感圧領域35と非感圧領域36への領域分割がされた構成の圧力センサ30については、被術者の体内に挿入する挿入部を有したものであれば、内視鏡スコープ2以外の手術用器具に適用することが考えられる。このような手術用器具としては、内視鏡スコープ2の他に、硬性鏡、鉗子等がある。さらに、手術用器具については、術者が手に持って操作するのみならず、例えばロボット手術システムに用いられるもののように、術者が間接的の操作するものであってもよい。
これと同様に、制御本体部3およびモニタ部4を含む内視鏡装置1についても、内視鏡スコープ2以外の手術用器具を備えた手術用装置であっても構わない。
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、
先端部と、操作部の操作に応じて屈曲する湾曲部と、軟性部とが連なるように構成された内視鏡スコープの挿入部に装着されて用いられる圧力センサであって、
前記湾曲部の周囲に装着される環状部分を有して構成されるとともに、前記環状部分の内周が前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさに形成される圧力センサが提供される。
好ましくは、付記1に記載の圧力センサにおいて、
前記湾曲部の屈曲極点の周囲に装着されるとともに、前記環状部分の内周が前記屈曲極点に対応する大きさに形成される。
さらに好ましくは、付記1または2に記載の圧力センサにおいて、
前記湾曲部の周方向に沿って延びるリング状の第1電極と、
圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体からなる感圧部材と、
前記第1電極の延在方向とは交差する方向に延びる線状の第2電極と、
が順に積層されてなる積層体を備え、
前記積層体が前記環状部分を構成する。
さらに好ましくは、付記3に記載の圧力センサにおいて、
所定の間隔で配列された複数の導電性糸を有する異方導電性布を備え、
前記異方導電性布における前記導電性糸が前記第2電極を構成する。
さらに好ましくは、付記1から4のいずれか一態様に記載の圧力センサにおいて、
前記環状部分の内周は、前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該湾曲部の非屈曲時の外周の大きさに対して所定の屈曲変化想定量を加味した大きさに形成される。
さらに好ましくは、付記5に記載の圧力センサにおいて、
一端が前記湾曲部のセンサ装着位置よりも前記先端部の側で前記挿入部の外周に取り付けられ、他端が前記湾曲部のセンサ装着位置にて前記環状部分の外周に取り付けられ、前記一端から前記他端に向けて拡がるテーパ形状に形成された第1ガイド部を備える。
さらに好ましくは、付記5または6に記載の圧力センサにおいて、
一端が前記湾曲部のセンサ装着位置にて前記環状部分の外周に取り付けられ、他端が前記湾曲部のセンサ装着位置よりも前記軟性部の側で前記挿入部の外周に取り付けられ、前記一端から前記他端に向けて窄まる逆テーパ形状に形成された第2ガイド部を備える。
さらに好ましくは、付記1から4のいずれか一態様に記載の圧力センサにおいて、
前記環状部分の内周は、前記湾曲部の屈曲箇所に対応する大きさとして、当該屈曲箇所に装着されている変形抑制部材の外周に相当する大きさに形成される。
さらに好ましくは、付記3に記載の圧力センサにおいて、
前記第1電極は、前記湾曲部の軸方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、前記複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成している。
本発明の他の態様によれば、
付記1から9のいずれか一態様に記載の圧力センサが前記湾曲部の周囲に装着されてなる内視鏡スコープが提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
付記10に記載の内視鏡スコープと、
前記内視鏡スコープに装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える内視鏡装置が提供される。
本発明のさらに他の態様によれば、
加圧を検知する圧力センサであって、
被検出箇所に装着される装着部分を有して構成され、
前記装着部分は、領域分割されて感圧領域と非感圧領域とを備えており、
前記感圧領域は、加圧により電気的特性が変化する感圧部材を用いて加圧検知を行うように構成されており、
前記非感圧領域は、当該非感圧領域を挟んで隣り合う前記感圧領域同士を連結するとともに、各領域の並び方向に伸縮性を有して構成されている
圧力センサが提供される。
好ましくは、付記12に記載の圧力センサにおいて、
前記装着部分は、環状に形成されているとともに、周方向に領域分割されて前記感圧領域と前記非感圧領域とを備えており、
前記非感圧領域は、周方向に伸縮性を有して構成されている。
さらに好ましくは、付記12または13に記載の圧力センサにおいて、
一方向に延びる第1電極と、
圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体と、
前記一方向と交差する方向に延びる第2電極と、
が順に積層されてなる積層体を備え、
前記弾性体が前記感圧部材を構成し、
前記積層体が前記感圧領域を構成する。
さらに好ましくは、付記14に記載の圧力センサにおいて、
前記第1電極は、前記感圧領域と前記非感圧領域とを通じて延びるリング状に構成されるとともに、前記非感圧領域の部分では前記挿入部の周方向への伸縮性を付与する連結形状に形成される。
さらに好ましくは、付記14または15に記載の圧力センサにおいて、
所定の間隔で配列された複数の導電性糸を有する異方導電性布を備え、
前記異方導電性布における前記導電性糸が前記第2電極を構成する。
さらに好ましくは、付記16に記載の圧力センサにおいて、
前記異方導電性布は、前記第2電極を構成する前記導電性糸が前記感圧領域に対応する位置のみに配置されたものである。
さらに好ましくは、付記15に記載の圧力センサにおいて、
前記第1電極は、前記挿入部の軸方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、前記複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成し、
前記直線部分が前記感圧領域に配置され、
前記直線部分を繋ぎ合わせる部分が前記非感圧領域に配置される。
さらに好ましくは、付記12に記載の圧力センサにおいて、
前記装着部分は、平面状に形成されている。
本発明のさらに他の態様によれば、
被術者の体内に挿入する挿入部を有した手術用器具であって、
付記12から19のいずれか一態様に記載の圧力センサを備えるとともに、
前記挿入部に前記被検出箇所が配されており、当該被検出箇所に前記装着部分が装着されている
手術用器具が提供される。
好ましくは、付記20に記載の手術用器具において、
前記手術用器具は、前記挿入部が屈曲するように構成された内視鏡スコープである。
好ましくは、付記21に記載の手術用器具において、
前記内視鏡スコープにおける前記挿入部は、先端部と、操作部の操作に応じて屈曲する湾曲部と、軟性部とが連なるように構成されており、
前記圧力センサは、前記先端部、前記湾曲部、前記軟性部のいずれかの箇所、またはこれらの複数箇所に装着される。
本発明のさらに他の態様によれば、
付記20から22のいずれか一態様に記載の手術用器具と、
前記手術用器具に装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える手術用装置が提供される。
Claims (12)
- 挿入部を有した手術用器具に装着されて用いる圧力センサであって、
前記挿入部の被検出箇所に装着される装着部分を有して構成され、
前記装着部分は、領域分割されて感圧領域と非感圧領域とを備えており、
前記感圧領域は、加圧により電気的特性が変化する感圧部材を用いて加圧検知を行うように構成されており、
前記非感圧領域は、当該非感圧領域を挟んで隣り合う前記感圧領域同士を連結するとともに、当該非感圧領域が一方向への伸縮を吸収する緩みを有した連結形状に形成されており、前記連結形状により各領域の並び方向に伸縮性を有して構成されている
圧力センサ。 - 前記装着部分は、環状に形成されているとともに、周方向に領域分割されて前記感圧領域と前記非感圧領域とを備えており、
前記非感圧領域は、周方向に伸縮性を有して構成されている
請求項1に記載の圧力センサ。 - 前記一方向に延びる第1電極と、
圧力を受けることで生じた変形量に応じて電気的特性が変化する弾性体と、
前記一方向と交差する方向に延びる第2電極と、
が順に積層されてなる積層体を備え、
前記弾性体が前記感圧部材を構成し、
前記積層体が前記感圧領域を構成する
請求項1または2に記載の圧力センサ。 - 前記第1電極は、前記感圧領域と前記非感圧領域とを通じて延びるリング状に構成されるとともに、前記非感圧領域の部分では前記挿入部の周方向への伸縮性を付与する連結形状に形成される請求項3に記載の圧力センサ。
- 所定の間隔で配列された複数の導電性糸を有する異方導電性布を備え、
前記異方導電性布における前記導電性糸が前記第2電極を構成する
請求項3または4に記載の圧力センサ。 - 前記異方導電性布は、前記第2電極を構成する前記導電性糸が前記感圧領域に対応する位置のみに配置されたものである請求項5に記載の圧力センサ。
- 前記第1電極は、長尺状の前記挿入部の長手方向に沿って延びる複数の直線部分を有するとともに、前記複数の直線部分を繋ぎ合わせることで全体としてリング状を構成し、
前記直線部分が前記感圧領域に配置され、
前記直線部分を繋ぎ合わせる部分が前記非感圧領域に配置される
請求項4に記載の圧力センサ。 - 前記装着部分は、平面状に形成されている
請求項1に記載の圧力センサ。 - 被術者の体内に挿入する挿入部を有した手術用器具であって、
請求項1から8のいずれか1項に記載の圧力センサを備えるとともに、
前記挿入部に前記被検出箇所が配されており、当該被検出箇所に前記装着部分が装着されている
手術用器具。 - 前記手術用器具は、前記挿入部が屈曲するように構成された内視鏡スコープである
請求項9に記載の手術用器具。 - 前記内視鏡スコープにおける前記挿入部は、先端部と、操作部の操作に応じて屈曲する湾曲部と、軟性部とが連なるように構成されており、
前記圧力センサは、前記先端部、前記湾曲部、前記軟性部のいずれかの箇所、またはこれらの複数箇所に装着される
請求項10に記載の手術用器具。 - 請求項9から11のいずれか1項に記載の手術用器具と、
前記手術用器具に装着された前記圧力センサからの検出信号を取得して処理する制御部と、
前記制御部による信号処理結果を出力する信号出力部と、
を備える手術用装置。
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