JP2016152185A - 絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストに耐熱性を向上させることが可能である、ポリ塩化ビニル樹脂の絶縁層を有する絶縁電線を提供する。【解決手段】導体2の周囲がポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層3で被覆されている絶縁電線1であって、前記絶縁層3の周囲に、バインダー樹脂を含み、ポリテトラフルオロエチレンが溶媒に分散された分散液を塗工して、厚みが、5〜200μmの範囲内であるポリテトラフルオロエチレンを含む薄膜層4を形成して絶縁電線1を構成した。【選択図】図1
Description
本発明は絶縁電線に係り、特に自動車、電機・電子機器等に好適に使用される絶縁電線に関するものである。
自動車、電気・電子機器に使用される部材や絶縁材料には、機械特性、難燃性、耐熱性、耐寒性等の種々の特性が要求される。従来、ポリ塩化ビニル樹脂は、その加工性、価格等を生かして、絶縁電線の絶縁材料として広く用いられてきた。
例えばポリ塩化ビニル樹脂を用いた絶縁電線(以下、塩ビ電線ということもある)として、特許文献1に見られるように、ポリ塩化ビニル樹脂に、可塑剤、無機フィラー、酸化防止剤等を混合した組成物を用いて絶縁層を形成した塩ビ電線が公知である。
上記従来の塩ビ電線は、可塑剤、フィラー、酸化防止剤等を配合してなるので、低コストでハンドリング性にも優れているという利点を有する。
しかしながら、塩素原子を含んでいるので、比較的低温でも塩素―炭素の結合が解離し、塩素ガスを発生する可能性がある。塩素ガスが発生するとポリマー構造が変化して、絶縁層の弾性率、伸び、強度等の機械的特性の変化が起こり易くなり、絶縁電線の耐熱性が低下するという問題があった。
本発明の解決しようとする課題は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層を有する絶縁電線において、比較的低コストに耐熱性を向上させることが可能な絶縁電線を提供することである。
本発明に係る絶縁電線は、導体の周囲がポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層で被覆されている絶縁電線であって、前記絶縁層の周囲にポリテトラフルオロエチレンを含む薄膜層が形成されていることを要旨とするものである。
本発明の絶縁電線において、前記薄膜層の厚みが、5〜200μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の絶縁電線において、前記薄膜層が、バインダー樹脂を含むことが好ましい。
本発明の絶縁電線において、前記薄膜層が、ポリテトラフルオロエチレンが溶媒に分散された分散液の塗工により形成されたものであることが好ましい。
本発明の絶縁電線において、前記絶縁層が、塩化ビニル樹脂用安定剤を含有しないことが好ましい。
本発明に係る絶縁電線は、導体の周囲がポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層で被覆されている絶縁電線であって、前記絶縁層の周囲にポリテトラフルオロエチレンを含む薄膜層が形成されていることにより、ポリ塩化ビニル樹脂の絶縁層を有する絶縁電線の耐熱性を向上させることが可能である。
またポリテトラフルオロエチレンを含む薄膜層を設けることにより、絶縁層は従来の塩ビ電線のポリ塩化ビニル樹脂を利用することが可能であり、フッ素樹脂系の絶縁層を有する絶縁電線と比較して、ポリテトラフルオロエチレンを含む薄膜層は絶縁層よりも厚みを薄く形成することができるので、高価なフッ素樹脂のコストを低減することができる。
本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明の絶縁電線の一例を示す一部切欠き斜視図であり、図2は図1のB−B線断面図である。図1及び図2に示すように、絶縁電線1は、導体2と、該導体2の周囲を被覆する絶縁層3とを有している。絶縁層3は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む層である。更に絶縁層3の周囲に、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEということもある)を含む薄膜層4が形成されている。
絶縁電線1は、絶縁層3の表面を被覆している薄膜層4が、該薄膜層4に含まれるPTFEにより、絶縁層3のポリ塩化ビニル樹脂の耐熱性を向上させている。
薄膜層4の厚みは、絶縁層3の厚みよりも薄く形成されている。薄膜層4の厚みは、通常、1〜1000μm程度であり、絶縁層3の厚み、電線の線径等によって適宜決定することができる。
好ましい薄膜層4の厚みは、5〜200μmの範囲内である。更に好ましい薄膜層4の厚みは、5〜100μmの範囲内である。PTFEを含む薄膜層4の厚みが厚くなりすぎると、電線のコストが上昇する恐れがある。またPTFEを含む薄膜層4が厚くなると、絶縁層3のポリ塩化ビニル樹脂の機械的特性に与える薄膜層4の影響が大きくなり、塩ビ電線としての所望の機械的特性が得られなくなる恐れがある。
薄膜層4の形成は、PTFEの粒子が溶媒に分散された分散液(ディスパージョン)の塗工(コーティング)により形成することが好ましい。PTFEを含む薄膜層の場合、デイスパージョンのコーティングにより、PTFEを含むフッ素樹脂層を薄く形成することが容易である。
ポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層3の耐熱性を上げるために、PTFE以外のフッ素樹脂(例えば、FEP、PFA等)を押出し成形により、絶縁層3の表面にフッ素樹脂層を形成することが考えられる。しかし、FEP、PFA等を押出し成形してフッ素樹脂層を形成しようとすると、薄膜に形成することは困難である。押出し法ではフッ素樹脂層が厚く形成されてしまう。その結果、フッ素樹脂は高価であるから、絶縁電線のコストが上昇してしまう。
薄膜層4の形成をPTFEを含む分散液の塗工により行うことで、薄膜層4を容易に形成することが可能である。またPTFEとしては、低温焼成可能な材料を用いることにより、下層の絶縁層3の塩化ビニル樹脂に熱的ダメージを与えるのを回避することが可能である。
薄膜層4は、例えば、PTFEを溶媒中に分散させたディスパージョン(組成物)を用いて、絶縁層3の表面に塗工することで形成することができる。上記PTFEは、懸濁重合品と乳化重合品がある。PTFEのディスパージョンは、一般に乳化重合によるPTFEに界面活性剤を加えて分散させた分散物を濃縮したものが用いられる。上記溶媒としては、例えば、水、プロプレングリコール、トルエン、アセトン、MEK、ブチルセロソルブ等が挙げられる。
薄膜層4には、バインダー樹脂を含むことが好ましい。上記バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。薄膜層は、焼成温度が高すぎると、絶縁層のポリ塩化ビニル樹脂が、薄膜層形成時の熱により悪影響を受ける恐れがある。そのため、バインダー樹脂は、低温で焼成することが可能なものを用いることが好ましい。具体的には、薄膜層の組成物の焼成温度が80〜130℃で、1時間程度で成膜可能な組成物を選択するのが好ましい。
薄膜層4の中のバインダー樹脂の配合量は、PTFE100質量部に対し、5〜50質量部の範囲内であるのが好ましい。バインダー樹脂が5質量部未満では、下地との密着力が低く剥がれる恐れがあり、50質量部を超えると表面のPTFEが少なく電線特性が向上しない恐れがある。
上記薄膜層4の組成物に、バインダー樹脂を添加して、溶媒中に分散させることで、薄膜層4中にバインダー樹脂を含有させることができる。
薄膜層4を形成するには、例えば、導体2の周囲に絶縁層3を押出し成形した電線に、薄膜層4の組成物をコーティングした後、加熱して溶媒を揮発させて成膜することで、絶縁電線1が得られる。また、薄膜層4の形成は、絶縁層3を形成して一度巻き取った電線をオフラインで処理してもよい。薄膜層4の形成は、上記のように絶縁層3の形成と薄膜層4の形成をオンラインで連続的に処理することが、効率的である。
薄膜層4を形成する場合の、組成物のコーティング法としては、スプレーコート法、刷毛塗等のオーバーコート法等が挙げられる。
薄膜層4を形成するために用いられる、PTFEを含む薄膜層の組成物は、市販の材料を使用することが可能である。市販の組成物は、PTFE、バインダー樹脂、溶媒を含むデスパージョンの形態で供給されていて、スプレーコート等が可能な形態になっている。市販の上記組成物として例えば、関西ポリマー社の商品名で、「KP−952−1」、「KP−436−1」、「KP−14−1」、「KP−8318−1」、「KP−8314−1」、「KP−8317−1」、「KP−8348−1」、「KP−8018−1」、「KP−8014−1」、「KP−8048−1」、千代田交易社の商品名「ZZR−091」、「D3213」、シャイン工芸社の商品名「モルテイアコートR2300」、「モルテイアコートR2310」、「モルテイアコートR2320」、「モルテイアコートR2330」、「モルテイアコートR2341」、「モルテイアコートP2410」、「モルテイアコートP2420」、「モルテイアコートP2430」、「モルテイアコートP2440」等を挙げることができる。
絶縁層3に用いられるポリ塩化ビニル樹脂は、特に限定されるものではなく、押出し成形可能な樹脂であればよい。ポリ塩化ビニル樹脂は例えば市販品として、信越化学社の製品名で、「TK−500」、「TK−600」、「TK−700」、「TK−800」、「TK−1000」、「TK−1700」、「TK−1700E」、「TK−2000E」、「TK−2500LS」、「GR−800T」、「GR−1300T」、「GR1300S」、大洋塩ビ社の製品名で、「TE−650」、「TE−800」、「TE−1050」、「TE−1300」、「TG−100」、「TH−500」、「TH−640」、「TH−700」、「TH−800」、「TH−1000」、「TH−1300」、「TH−1700」、「TH−2500」、「TH−3800」等が挙げられる。
絶縁層3は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む組成物を導体の周囲に押し出て被覆層として成形することができる。
絶縁層3は可塑剤を含んでいても良く、例えば、低分子量の可塑剤を用いることができる。低分子量の可塑剤は、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)等が挙げられる。絶縁層3の可塑剤の配合量は、ポリ塩化ビニル樹脂が100質量部に対し、30〜150質量部の範囲内が好ましい。可塑剤の配合量が、30質量部未満では、耐寒性が悪くなる恐れがあり、150質量部を超えると電線表面にブリードして外観不良となる恐れがある。
また絶縁層3には、フィラー等の充填剤を添加してもよい。フィラーは、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、水酸化マグネシウ、酸化マグネシウムム等が挙げられる。上記フィラーは表面処理されたもの、表面処理されていない未処理のもの、いずれでもよい。
上記フィラーの平均粒径は、1μm以下であるのが、分散性等の点から好ましい。
上記炭酸カルシウムとしては、例えば白石カルシウム社の商品名で、下記の材料を挙げることができる。白艶華CC(0.05μm)(BET=27)、白艶華CCR(0.08μm)(BET=18)、白艶華DD(0.05μm)(BET=23)、Vigot10(0.1μm)(BET=12)、Vigot15(0.15μm)(BET=9.3)、白艶華U(0.04μm)(BET=26)。上記括弧内は平均粒径とBET比表面積(m2/g)の値である(以下同じ)。
上記酸化マグネシウムとしては、例えば宇部マテリアルズ社の商品名で下記の材料を挙げることができる。UC95S(3.1μm)(BET=21)、UC95M(3.0μm)(BET=8.5)、UC95H(3.3μm)(BET=6.0)。
上記水酸化マグネシウムとしては、例えば宇部マテリアルズ社の商品名で下記の材料を挙げることができる。UD−651−1(3.5μm)(BET=29)、UD−653(3.5μm)(BET=22)。
上記フィラーの表面処理剤としては、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィンの単独もしくは相互共重合体、あるいはこれらの混合物等を用いることができる。
上記表面処理剤は、変性剤で変性されていてもよい。変性剤としては、不飽和カルボン酸やその誘導体を用いることができる。具体的には、不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、その誘導体としては無水マレイン酸(MAH)、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル等が挙げられる。このうち好ましいのはマレイン酸、無水マレイン酸である。なお、これらは1種単独で使用しても、2種以上併用してもいずれでもよい。
表面処理剤に酸を導入する方法としては、グラフト法や直接法等が挙げられる。また酸変性量としては、上記重合体に対して0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜10質量%、更に好ましくは0.2〜5質量%である。
また上記フィラーの表面処理剤として、各種シランカップリング剤を用いてもよい。
フィラーの平均粒径は、0.01〜20μm、好ましくは0.02〜10μm、更に好ましくは0.03〜8μmである。フィラーの平均粒径が0.01μm未満では二次凝集が起こりやすく、機械的特性が低下し、20μmを超えると電線形状で外観不良になる傾向がある。
絶縁層3のフィラーの配合量は、ポリ塩化ビニル樹脂が100質量部に対し、0.1〜100質量部の範囲内であることが好ましい。フィラーの配合量が、0.1質量部未満では耐磨耗性が不十分となる虞があり、100質量部を超えると、電線外観が不良となる虞がある。
絶縁層3には、上記のフィラー以外に、電線特性を損なわない範囲で、ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、EEA等のポリオレフィン樹脂を含有していてもよい。
また絶縁層3には、絶縁電線の特性を損なわない範囲で、上記以外の塩ビ電線に一般的に用いられる他の添加剤を配合してもよい。このような添加剤として例えば、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、顔料等が挙げられる。
一般に塩化ビニル樹脂には、熱安定性等を改良するために、Ca/Mg/Zn系、Mg/Zn系、Ba/Zn系等の各種の塩化ビニル樹脂用安定剤が添加される。本発明の絶縁電線において、絶縁層3に、上記の塩化ビニル樹脂用安定剤を添加してもよいが、本発明は絶縁層3の表面に形成されているPTFEを含む薄膜層4により、耐熱性が向上しているので、絶縁層3に上記塩化ビニル樹脂用安定剤を添加しなくてもよい。
本発明に係る絶縁電線1は、例えば次のようにして製造することができる。まず、絶縁層3を形成するための絶縁層用の樹脂組成物を調製し、調製した樹脂組成物を導体2の周囲に押出して、導体2の周囲に絶縁層3を成形する。次いで、絶縁層3の表面に、薄膜層4の組成物を塗工し、加熱乾燥して薄膜層4を形成することで、絶縁電線1が得られる。
絶縁層3の形成に用いられる樹脂組成物の調製は、ポリ塩化ビニル樹脂と可塑剤、フィラー等の各成分を混練することにより行われる。樹脂組成物の成分を混練する際には、例えば、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸混練押出機、ロール等の通常の混練機を用いて均一に分散可能である。
樹脂組成物の押出成形には、通常の絶縁電線の製造に用いられる電線押出成形機等を用いることができる。
絶縁電線1の導体2は、通常の絶縁電線に使用されるものを利用できる。導体2は、例えば、銅系材料やアルミニウム系材料よりなる単線や撚線等が挙げられる。また、導体2の径や絶縁層3の厚み等は特に限定されず、絶縁電線1の用途等に応じて適宜決めることができる。
本発明の絶縁電線は、上記の形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記態様の絶縁電線は、絶縁層を単一層から構成したが、絶縁層を2層以上の複数層から構成してもよい。
本発明に係る絶縁電線は、自動車、電子・電気機器に使用される耐熱性が要求される用途の塩ビ電線として好適である。
以下、本発明の実施例、比較例を示す。
[実施例1〜7]
表1に示す絶縁層の配合組成で、ポリ塩化ビニル樹脂、可塑剤、充填剤等を含む組成物をバンバリーミキサーを用いて180℃にて混合した。その後、押出成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅より線の導体(断面積0.5mm2)の外周に組成物を0.2mm厚に押出し被覆して絶縁層を形成した後、巻き取る直前の電線の絶縁層の上から表1に示すPTFEを含む組成物をスプレーコートで塗布して、溶媒を揮発させてPTFE薄膜層を成膜した。その後、80℃×1時間加熱処理してPTFE薄膜層を焼成して、絶縁電線を得た。PTFE薄膜層は、表1に示す厚みに形成した。
[実施例1〜7]
表1に示す絶縁層の配合組成で、ポリ塩化ビニル樹脂、可塑剤、充填剤等を含む組成物をバンバリーミキサーを用いて180℃にて混合した。その後、押出成形機を用いて、軟銅線を7本撚り合わせた軟銅より線の導体(断面積0.5mm2)の外周に組成物を0.2mm厚に押出し被覆して絶縁層を形成した後、巻き取る直前の電線の絶縁層の上から表1に示すPTFEを含む組成物をスプレーコートで塗布して、溶媒を揮発させてPTFE薄膜層を成膜した。その後、80℃×1時間加熱処理してPTFE薄膜層を焼成して、絶縁電線を得た。PTFE薄膜層は、表1に示す厚みに形成した。
比較例1〜7
表2に示す絶縁層の組成物を用いて実施例と同様に絶縁層を形成し、PTFE薄膜層を形成せずに、比較例1〜7の絶縁電線を得た。
表2に示す絶縁層の組成物を用いて実施例と同様に絶縁層を形成し、PTFE薄膜層を形成せずに、比較例1〜7の絶縁電線を得た。
実施例1〜7、比較例1〜7の絶縁電線について、耐熱性、耐磨耗性、耐寒性について試験を行い評価した。その結果を表1、表2に合わせて示す。尚、表1、表2の各成分の詳細、各試験方法及び評価方法は、下記の通りである。
〔ポリ塩化ビニル樹脂〕
・塩ビ樹脂1:信越化学社製、商品名「TK−1000」
・塩ビ樹脂2:信越化学社製、商品名「TK−1700E」
・塩ビ樹脂3:大洋塩ビ社製、商品名「TE−1050」
・塩ビ樹脂4:大洋塩ビ社製、商品名「TH−1700」
・塩ビ樹脂1:信越化学社製、商品名「TK−1000」
・塩ビ樹脂2:信越化学社製、商品名「TK−1700E」
・塩ビ樹脂3:大洋塩ビ社製、商品名「TE−1050」
・塩ビ樹脂4:大洋塩ビ社製、商品名「TH−1700」
〔可塑剤〕
・可塑剤1:ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)
・可塑剤2:ジイソノニルフタレート(DINP)
・可塑剤1:ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)
・可塑剤2:ジイソノニルフタレート(DINP)
〔充填剤〕
・フィラー:白石カルシウム社製、商品名「白艶華CCR」
・フィラー:白石カルシウム社製、商品名「白艶華CCR」
〔安定剤〕
・Ca/Zn系塩ビ用安定剤:ADEKA社製、商品名「アデカスタブRUP−103」
・Ca/Zn系塩ビ用安定剤:ADEKA社製、商品名「アデカスタブRUP−103」
〔PTFEを含む組成物〕
・PTFE1:関西ポリマー社製、商品名「KP−14−1」
・PTFE2:千代田交易社製、商品名「ZZR−091」
・PTFE1:関西ポリマー社製、商品名「KP−14−1」
・PTFE2:千代田交易社製、商品名「ZZR−091」
〔耐熱性試験方法〕
耐熱性試験は、実施例、比較例の絶縁電線から導体を除去して、絶縁体のみの円筒状試験体を作成した。この試験体を130℃で20日間加熱処理して熱劣化させた。熱劣化前の試験体と熱劣化後の試験体を引張試験機で引張試験を行い、破断伸びを測定した。引張試験は、標線間距離を20mm、引張速度50mm/分で行った。試験の結果、熱劣化前の破断伸びを初期値とした場合、初期値に対する熱劣化後の破断伸びの割合を残率(%)として評価した。残率が80%以上の場合を優良(◎)とし、50%以上の場合を良好(○)とし、50%未満の場合を不良(×)とした。
耐熱性試験は、実施例、比較例の絶縁電線から導体を除去して、絶縁体のみの円筒状試験体を作成した。この試験体を130℃で20日間加熱処理して熱劣化させた。熱劣化前の試験体と熱劣化後の試験体を引張試験機で引張試験を行い、破断伸びを測定した。引張試験は、標線間距離を20mm、引張速度50mm/分で行った。試験の結果、熱劣化前の破断伸びを初期値とした場合、初期値に対する熱劣化後の破断伸びの割合を残率(%)として評価した。残率が80%以上の場合を優良(◎)とし、50%以上の場合を良好(○)とし、50%未満の場合を不良(×)とした。
〔耐磨耗性試験方法〕
耐磨耗性試験は、社団法人自動車技術規格「JASO D618」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の各絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、ブレードが導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる荷重は、7Nとした。評価は、往復回数が200回以上のものを良好(○)とし、300回以上のものを優良(◎)とし、200回未満のものを不良(×)とした。
耐磨耗性試験は、社団法人自動車技術規格「JASO D618」に準拠して、ブレード往復法により試験を行った。すなわち、実施例、比較例の各絶縁電線を750mmの長さに切り出して試験片とした。そして、23±5℃の室温下で試験片の被覆材(絶縁層)に対し軸方向に10mm以上の長さでブレードを毎分50回の速さで往復させ、ブレードが導体に接するまでの往復回数を測定した。この際、ブレードにかかる荷重は、7Nとした。評価は、往復回数が200回以上のものを良好(○)とし、300回以上のものを優良(◎)とし、200回未満のものを不良(×)とした。
〔耐寒性試験方法〕
耐寒性試験は、JIS C3055に準拠して行った。すなわち作製した絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とした。この試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
耐寒性試験は、JIS C3055に準拠して行った。すなわち作製した絶縁電線を38mmの長さに切断し試験片とした。この試験片を耐寒性試験機に装着し、所定の温度まで冷却し、打撃具で打撃して、試験片の打撃後の状態を観察した。5本の試験片を用いて、5本の試験片が全て割れた温度を耐寒温度とした。
表1に示すように実施例1〜7のPTFEを含む薄膜層を有する絶縁電線は、耐熱性、耐磨耗性、耐寒性がいずれも良好であった。これに対し表2に示すように、PTFE薄膜層を形成しなかった比較例1〜7の絶縁電線は、耐熱性が不良であった。比較例1〜7は、絶縁層に安定剤を添加したが、耐熱性が不良であった。これに対し実施例は、絶縁層に安定剤を添加しなかったが、十分な耐熱性が得られた。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 絶縁電線
2 導体
3 ポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層
4 PTFEを含む薄膜層
2 導体
3 ポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層
4 PTFEを含む薄膜層
Claims (5)
- 導体の周囲がポリ塩化ビニル樹脂を含む絶縁層で被覆されている絶縁電線であって、
前記絶縁層の周囲にポリテトラフルオロエチレンを含む薄膜層が形成されていることを特徴とする絶縁電線。 - 前記薄膜層の厚みが、5〜200μmの範囲内でああることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
- 前記薄膜層が、バインダー樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁電線。
- 前記薄膜層が、ポリテトラフルオロエチレンが溶媒に分散された分散液の塗工により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 前記絶縁層が、塩化ビニル樹脂用安定剤を含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
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