JP2016151116A - 耐震スリット材及び耐震スリット材用スリット芯材 - Google Patents

耐震スリット材及び耐震スリット材用スリット芯材 Download PDF

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Abstract

【課題】スリット芯材の変形や割れが生じ難く、力骨材とスリット芯材との嵌合強度に優れると共に、変形復帰性にも優れる、耐震スリット材及び耐震スリット材用スリット芯材を提供すること。
【解決手段】コンクリート構造物の非構造壁6と構造柱7との間に介在させる耐震スリット材1であって、該耐震スリット材を構成するスリット芯材2が、見かけ密度30〜150kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板からなる耐震スリット材とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との間に介在させる、耐震スリット材及び耐震スリット材用スリット芯材に関するものである。
従来、ビル、マンション等のコンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との接合部等の構造体同士の境界部分に、耐震スリット材を介在させて、両者を構造的に分断し、地震の揺れによる損傷等を低減させる方法がとられている。
これに加え、耐震スリット材には、火災時には延焼を防止するための防火隔壁としての性能(耐火性)も求められる。
ここで、上記耐震スリット材のスリット芯材としては、ポリスチレン発泡板やフェーノール系樹脂発泡板などの合成樹脂発泡板が、一般的に用いられている(特許文献1,2等)。
特開平10−18640号公報 特開2005−54371号公報
しかし、スリット芯材として上記したような発泡板を用いた場合には、構造物の構築時において、耐震スリット材をコンクリート型枠の一部として使用してコンクリートを打設すると、発泡板からなるスリット芯材にコンクリート打設時の側圧がかかるので、この側圧により、発泡板自体に変形や割れが生じたり、力骨材から発泡板が離脱したりすることを防止する必要がある。
こうしたスリット芯材の離脱、変形、割れが発生すると、本来の取付け位置に耐震スリット材が設置されない施工不良の状態となり、耐震性能の低下、クラック発生による漏水の原因や耐火性低下の原因となるおそれがあった。この対策としては、施工時に少しずつコンクリートを打設してスリット芯材にかかる側圧をコントロールする方法が採られているが、この方法は施工が煩雑となり、作業効率の低下を招くものであった。
一方、力骨材からの発泡板の脱離、発泡板の変形や割れを防止するためには、発泡板の発泡倍率を低くして、発泡板の強度を向上させることが考えられる。しかしながら、発泡板の強度を向上させる場合には、一般に発泡板の柔軟性が低下してしまうので、地震後に元の形状に復元可能な適度な復帰性を有すること(変形復帰性)が低下してしまうおそれがあった。変形復帰性が低下すると、地震後の耐震スリット材が変形したままの状態となるので、設置箇所に間隙が生じ易く、所期の耐火性能を維持することが難しくなったり、漏水の原因となり耐水性が低下するおそれがあった。
したがって、コンクリートの打設に絶え得る強度を有し、且つ変形復帰性にも優れる合成樹脂発泡板製スリット芯材、該スリット芯材を使用した耐震スリット材は、未だ得られていないのが現状である。
本発明は、上述した背景技術が有する課題に鑑みなされたものであって、その目的は、スリット芯材の変形や割れが生じ難く、力骨材とスリット芯材との嵌合強度に優れると共に、変形復帰性にも優れる、耐震スリット材及び耐震スリット材用スリット芯材を提供することにある。
上記した目的を達成するため、本発明者等は、スリット芯材の素材について着目し、鋭意研究を重ねた結果、ある種の合成樹脂発泡板をスリット芯材として用いることで、上記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(6)に記載した耐震スリット材及び耐震スリット材用スリット芯材とした。
(1)コンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との間に介在させる耐震スリット材であって、該耐震スリット材を構成するスリット芯材が、見かけ密度30〜150kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板からなることを特徴とする、耐震スリット材。
(2)上記ポリカーボネート系樹脂発泡板の気泡径の変動係数が、60%以下であることを特徴とする、上記(1)に記載の耐震スリット材。
(3)上記ポリカーボネート系樹脂発泡板の平均気泡径が、0.5〜3mmであることを特徴とする、上記(1)又は(2)記載の耐震スリット材。
(4)上記スリット芯材の両面に、縁切り用シートが積層接着されていることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐震スリット材。
(5)上記スリット芯材の長手方向端部の少なくとも一方に、耐火性シートが積層されていることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の耐震スリット材
(6)コンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との間に介在させる耐震スリット材用スリット芯材であって、該スリット芯材が、見かけ密度30〜150kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板からなることを特徴とする、耐震スリット材用スリット芯材。
上記した本発明によれば、耐震スリット材のスリット芯材として、所定の見かけ密度を有するポリカーボネート系樹脂発泡板を用いることにより、施工の際に、力骨材からのスリット芯材の離脱や、スリット芯材の変形や割れが生じ難い、耐震スリット材を提供することができる。
このため、本発明の耐震スリット材は、耐震性能の低下、クラック発生による漏水や耐火性能の低下が起こり難くなる。さらに、所定の見かけ密度を有するポリカーボネート系樹脂発泡板は変形復帰性にも優れるので、地震時の衝撃によって変形した耐震スリット材は元の状態に戻ることができ、地震後においても耐震スリットの設置付近に間隙が生じ難くなるので、耐火性や耐水性を維持することができる。
したがって、本発明に係る耐震スリット材は、コンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との間に設置される耐震スリット材、特に非構造壁と構造柱との間に垂直スリットを形成するために設置される耐震スリット材として、好適に使用することできるものである。
本発明に係る耐震スリット材の一実施形態について、その適用状態を示した概念的な横断面図である。
本発明に係る耐震スリット材は、スリット芯材として、所定の見かけ密度を有するポリカーボネート系樹脂発泡板を用いたことに大きな特徴を有している。
本発明で用いるポリカーボネート系樹脂発泡板は、ポリカーボネート系樹脂を発泡させることにより製造される。ポリカーボネート系樹脂は、炭酸とグリコール又はビスフェノール等から形成されるポリ炭酸エステルを意味し、特に、2,2−ビス(4−オキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−オキシフェニル)エタン等のビスフェノールから誘導される芳香族ポリカーボネート系樹脂が好ましく用いられる。
本発明でスリット芯材として用いるポリカーボネート系樹脂発泡板の見かけ密度は、30〜150kg/m3である。見かけ密度が150kg/m3を超えるものである場合は、側圧強度は上昇するが、変形復帰性は低下するおそれがある。一方、見かけ密度が30kg/m3に満たないものである場合は、変形復帰性は上昇するが、発泡体の曲げ強度が低下するため、スリット芯材と力骨材との嵌合強度が低下したり、コンクリート打設時の側圧に耐えられず、スリット芯材が変形したりするおそれがある。かかる観点から、より好ましくはポリカーボネート系樹脂発泡板の見かけ密度は40〜120kg/m3であり、さらに好ましくは50〜100kg/m3であり、最も好ましくは55〜80kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板である。
上記ポリカーボネート系樹脂中には、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂などの他の樹脂を、全体の50重量%未満混合させることができる。
また、本発明でスリット芯材として用いるポリカーボネート系樹脂発泡板の平均気泡径は、0.5〜2mmの範囲が望ましい。上記範囲内であれば、断熱性を有するとともに、機械的強度にも優れる発泡板となる。上記観点から、該平均気泡径は0.8〜1.8mmであることがより好ましく、1〜1.7mmであることがさらに好ましい。
なお、上記平均気泡径は、発泡板の押出方向垂直断面における円相当気泡径として測定される。
また、本発明でスリット芯材として用いるポリカーボネート系樹脂発泡板の気泡径の変動係数は、60%以下であることが好ましい。該変動係数が上記のものであれば、気泡径が比較的均一となり、変形の際に均一に力が分散され、局所的な座屈が起き難くなるので、より優れた変形復帰性を発揮することができる。上記観点から、該変動係数は、50%以下であることがより好ましく、40%以下であることがさらに好ましい。
上記ポリカーボネート系樹脂発泡板の独立気泡率は、20%〜80%であることが好ましい。独立気泡率が上記範囲内であれば、変形復帰性と曲げ強度に優れた発泡板となる。上記観点から、該独立気泡率は40%〜60%であることがより好ましい。
なお、見掛け密度30〜150kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板であることから、上記の気泡構造であっても、スリット芯材は変形復帰性に優れたものとなる。
上記ポリカーボネート系樹脂発泡板の曲げ強さは、50〜300N/cm2であることが好ましく、55〜250N/cm2であることがより好ましく、60〜200N/cm2であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、耐震スリット材をコンクリート型枠の一部として使用してコンクリートを打設した場合であっても、十分な強度を有するので、発泡板が変形や割れることなく、発泡板と力骨材との嵌合強度も十分保持される。
なお、上記曲げ強さは、JIS K7221−2に準拠して測定することができる。
また、上記ポリカーボネート系樹脂発泡板の変形復帰性は、70%以上であることが好ましい。変形復帰性が上記のものであれば、地震時の衝撃によって変形した耐震スリット材が元の状態に戻ることができ、地震後においても耐震スリットの設置付近に間隙が生じ難くなり、耐火性や耐水性を維持することができる。上記観点から、該変形復帰性は80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが最も好ましい。
なお、上記変形復帰性は、「独立行政法人都市構生機構」制定の「機材の品質判定基準(平成26年5月版):スリット材の性能試験方法」に基づき測定することができる。
ポリカーボネート系樹脂発泡板の寸法は、施工される場所や、耐震スリット材の寸法に対応するものであれば、特に制限はないが、長手方向の寸法は100〜3000mmであることが好ましく、より好ましくは1000〜2500mmである。また、短手方向の寸法は90〜400mmであることが好ましく、より好ましくは100〜300mmである。厚み方向の寸法は15〜60mmであることが好ましく、より好ましくは20〜50mmである。厚みが上記範囲内であれば、耐震スリット材の芯材として所望される耐震特性を発揮することができる。
また、本発明でスリット芯材として用いるポリカーボネート系樹脂発泡板の両面には、縁切り用シートが積層接着されていることが好ましい。このシートが積層されることにより、コンクリートとスリット芯材との縁切りをより容易に行うことが可能となる。上記観点から縁切り用シートは、表面が平滑で、透水性の低いシートであれば、種々の素材のものを用いることができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂フィルム、アルミニウムシート、またクラフト紙などが挙げられるが、より好ましくは、厚み50〜500μm、より好ましくは100〜350μmのシートが用いられる。
また、本発明の耐震スリット材において、ポリカーボネート系樹脂発泡板からなるスリット芯材の長手方向に沿った端部の少なくとも一方には、耐火性シートが積層されていることが好ましい。この耐火性シートにより、スリット部分における火の貫通が防止される。耐火性シートとしては、アルミニウムテープ、銅テープ、不燃紙、鉄板等を用いることができるが、より好ましくは、厚み10〜300μm、より好ましくは15〜80μmのアルミニウムテープが望ましい。これは、スリット芯材と力骨材との嵌合強度を低下させることなく、スリット芯材に耐火性を付与できるために望ましい。
本発明で用いるポリカーボネート系樹脂発泡板は、前記したポリカーボネート系樹脂よりなる基材樹脂を、従来公知の押出発泡成形、インジェクション発泡成形、プレス発泡成形、発泡粒子の型内成形などによって発泡成形させて製造されるが、中でも押出発泡成形による方法が、好適な板状発泡体を容易に得ることができるので好ましい。
上記押出発泡成形は、ポリカーボネート系樹脂、気泡調整剤などを押出機に供給して加熱溶融し、発泡剤を圧入し、押出機の先端に設けられた口金の押出口より樹脂を大気中に押出すことによって行われる。例えば、口金のスリット状(断面長方形状)の押出口から、口金に取付けられるガイダーと呼ばれる二枚の平行する板材からなる成形装置の該板材間に樹脂を押出して発泡させながら該板材間を通過させて板状に賦形することにより板状発泡体を得ることができる。
本発明に用いられる発泡板を得るに際しては、ポリカーボネート系樹脂に特定の増粘剤を添加することが、ポリカーボネート樹脂の発泡成形性をさらに向上させ、高発泡倍率で気泡の均一性に優れた発泡板を容易に製造することができるので好ましい。このような増粘剤としては、一分子中に複数のエポキシ基を有するアクリル系重合体が挙げられる。このような増粘剤によりポリカーボネート樹脂の発泡成形性を向上させるのは、増粘剤のエポキシ基がポリカーボネート鎖の末端と結合し、直鎖状ポリカーボネート樹脂の場合には分岐構造が導入されたこと、分岐状ポリカーボネート樹脂の場合にはさらなる分岐構造が導入されたことによるものと推測される。
上記増粘剤としては、エポキシ基含有スチレン―アクリル系共重合体やエポキシ基含有アクリル系共重合体が挙げられ、これらの中でもエポキシ基含有アクリル系共重合体が好ましい。上記の増粘剤は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.05〜30重量部用いられることが好ましく、より好ましくは、0.1〜20重量部が用いられる。 なお、具体的には、エポキシ基含有スチレン―アクリル系共重合体しては東亞合成株式会社製、商品名アルフォンUG4035が挙げられる。また、エポキシ基含有アクリル系共重合体としては三菱レイヨン株式会社製、商品名メタブレンP1900が挙げられる。
本発明で用いられる発泡剤としては、従来公知の、有機物理発泡剤、無機物理発泡剤が挙げられる。有機物理発泡剤としては、例えば、n−ブタン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン等の脂環式炭化水素などが挙げられ、単独又は2種以上混合して使用することが可能である。発泡剤の使用量は、発泡剤の種類や所望する見かけ密度(発泡倍率)等によって定まるが、通常、見かけ密度が30〜150kg/m3の発泡板を得るには、基材樹脂100重量部当たり有機物理発泡剤では0.5〜10重量部である。
また、上記ポリカーボネート系樹脂には、種々の添加剤が配合できる。添加剤としては、増粘剤、難燃剤、熱安定剤、耐候性向上剤、あるいはタルク、シリカなどの気泡調整剤等が挙げられる。
以上、詳述した本発明に係る耐震スリット材及び耐震スリット材用スリット芯材は、特に非構造壁と構造柱との間に垂直スリットを形成するために好適に使用することができるものであるが、非構造壁と構造梁との間に水平スリットを形成するためにも使用することができる。
−実施例1〜3、比較例1−
実施例1〜3におけるポリカーボネート系樹脂発泡板は、内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機が直列に連結されており、発泡剤注入入口が第1押出機の終端付近に設けられており、間隙3mm×幅65mmの幅方向断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイが第2押出機の出口に連結された製造装置を用いて製造した。
実施例1〜3の場合、表1中に示す配合量となるようにポリカーボネート系樹脂、増粘剤、気泡調整剤を、上記第1押出機に供給し、280℃まで加熱して溶融、混練して樹脂溶融物を得、第1押出機の先端付近に設けられた発泡剤注入口から表1中に示す配合組成の物理発泡剤を、表中に示す割合で溶融物に供給して、発泡性樹脂溶融物とした。続いて第2押出機に該発泡性樹脂溶融物を供給して樹脂温度を発泡適正温度210℃付近に調整した後、吐出量50kg/hrでダイリップからガイダー内に押出し、発泡させながら押出発泡体の厚み方向に平行に配置されたガイダー内を通過させることにより板状に成形し、幅220mm×厚み35mmの板状の押出発泡板をそれぞれ製造した。
Figure 2016151116
・ポリカーボネート系樹脂(PC樹脂)としては、ポリカーボネート樹脂A(三菱エンジニアリングプラスチック社製 ノバレックス M7027BF)と、ポリカーボネート樹脂B(三菱エンジニアリングプラスチック社製 ノバレックス M7025J)とを、80:20の割合で混合したものを用いた。
・増粘剤Aは、三菱レイヨン製「メタブレンP1900」を使用した。
・増粘剤Bは、東亜合成製「アルフォンUG−4035」を使用した。
・気泡調整剤は、松村産業製「ハイフィラー#12」を使用した。
・シクロペンタンは、丸善石油化学製のものを使用した。
・ノルマルブタンは、小池化学製のものを使用した。
得られたポリカーボネート系樹脂発泡板について、見かけ密度、独立気泡率、平均気泡径、気泡径の変動係数、最大点応力、弾性率、そして変形復帰性をそれぞれ測定した。
また、比較例1として、株式会社ジェイエスピー製「ミラフォーム1種(押出法ポリスチレンフォームXPS−B−1a)」について、上記の測定を行った。
実施例1,2,3及び比較例1の各合成樹脂発泡板についての測定結果を表2に示す。
なお、上記した見かけ密度、独立気泡率等の測定は、それぞれ下記の方法で行った。また、発泡板は成形表皮を削り、スリット芯材の厚みを25mmとして測定した。

〔見かけ密度〕
見かけ密度は、JIS K 6767(1999年)に準拠して行なった。押出発泡体の幅方向中央部から厚みが全厚みの直方体の試験片を切り出して見かけ密度を測定した。

〔平均気泡径〕
平均気泡径は、発泡板の中央部分の押出方向垂直断面において、写真中のセル数が50から300個程度になるように拡大倍率を20倍から50倍程度の範囲で調整した拡大写真を得、各々の写真上において、ナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて個々の気泡の円相当気泡径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより求めた。具体的には、ポリカーボネート系樹脂発泡板(厚み25mm)を、幅方向を二等分する位置で押出発泡体を切断した断面において、拡大写真(拡大倍率20倍)を得、各々の写真上においてナノシステム株式会社製の画像処理ソフトNS2K−proを用いて、各気泡の面積を算出し、該面積から円相当気泡径を算出した。さらに個々の気泡について計測して円相当気泡径を計測し、それらの値を各々算術平均することにより平均気泡径を求めた。

〔気泡径の変動係数〕
気泡径の変動係数Cv(%)は、個々の気泡径Di(mm)の[標準偏差V(mm)/気泡径平均値Dav(mm)]×100で求められる値であり、気泡径のバラツキ度合いを表す指標である。
上記気泡径の標準偏差V(mm)は、次式(1)により求められる。

V(mm)={Σ(Di−Dav)2/(n−1)}1/2 ・・・(1)

ここで、上式(1)において、Diは平均気泡径の測定の際に測定した個々の気泡径の測定値を、Davは気泡径平均値を、nは測定数をそれぞれ表す。
変動係数Cv(%)は、上式(1)により求めた標準偏差V(mm)を用いて次式(2)によって求められる。

Cv(%)=(V/Dav)×100 ・・・(2)

〔独率気泡率〕
独立気泡率S(%)は、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、空気比較式比重計(例えば、Micromeritics社製、AccuPyccII 1340)を使用して測定された押出発泡体の真の体積Vxを用い、下記式(3)により算出される。

S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) ・・・(3)

ただし、上式(3)において、Vxは上記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm3)(押出発泡体のカットサンプルを構成する樹脂組成物の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)を、Vaは測定に使用されたカットサンプルの外形寸法から算出されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm3)を、Wは測定に使用されたカットサンプル全重量(g)を、そしてρは押出発泡体を構成する樹脂組成物の密度(g/cm3)をそれぞれ表す。
なお、発泡板の幅方向中央部から、押出方向25mm×幅方向40mm×厚み25mmのサイズのサンプルを切り出し、各サンプルの独立気泡率を測定した。

〔曲げ強さ、弾性率〕
曲げ強さ及び弾性率は、JIS K7221−2に準拠し測定した。まず、押出発泡体における幅方向を縦として、縦200mm×横50mm×厚さ25mmのサンプルを切り出し、支点間距離150mm、支持治具先端・圧子先端r=10mm、試験スピード10mm/secの条件で、二点で支持されたサンプルの中央に圧子によって、垂直方向に一定速度の加重を加え、曲げ強さ及び弾性率を測定した。
Figure 2016151116
上記のようにして得られた発泡板を、それぞれ耐震スリット材のスリット芯材として用いて耐震スリットを作製し、その評価を行った。
図1は、作製した耐震スリット材1を、垂直スリットとしてコンクリート建造物に適用したときの横断面図である。
図示の耐震スリット材1は、板状のスリット芯材2と、このスリット芯材2を両側端から支持する一対の力骨材3,3とを備えている。スリット芯材2は、上記した実施例1〜3のポリカーボネート系樹脂発泡板、比較例1のポリスチレン発泡板からなる。スリット芯材2の両面には、王子マテリア株式会社製のクラフト紙であるKライナー(主成分セルロース、厚み300μm、坪量250g)が縁切り用シート4,4として積層接着されている。また、スリット芯材2の長手方向に沿った端部には、日立マクセル株式会社製のスリオンテックアルミテープ(厚み50μm)を端部にコの字に巻くことによって耐火性シート5として積層接着されている。
上記した耐震スリット材1は、非構造壁6と構造柱7の境界部付近に埋設され、それら力骨材3,3の背面側にはコーキング材8,8がそれぞれ充填されている。
耐震スリット材1の前記境界部付近への埋設は、対向して設置された型枠のそれぞれに目地棒を固定し、スリット芯材2の両側端部に力骨材3,3をそれぞれ配置した耐震スリット材1を、力骨材3,3の背面側の溝を目地棒に嵌合させることにより固定し、次いで、型枠間にコンクリートを打設し、所定期間経過後に型枠を取り外し、その後、型枠とともに外された目地棒の跡にコーキング材8,8を充填するという作業手順で行うことができる。
得られた耐震スリットについて、それぞれ変形復帰性、嵌合強度、耐火性について評価を行った。その評価結果を表3に示す。
なお、変形復帰性、嵌合強度等の測定或いは評価は、それぞれ下記の方法で行った。

〔変形復帰性〕
「独立行政法人都市構生機構」制定の「機材の品質判定基準(平成26年5月版):スリット材の性能試験方法」に基づき、耐震スリット材の厚み25mmの条件で測定した。

〔嵌合強度〕
嵌合強度の評価は以下の方法により行った。目地棒(長さ300mm)を鋼製型枠にスクリュー釘ピッチ50mmで固定し、力骨材とスリット材芯材(厚み25mm×厚み210mm×長さ200mm)を挟み込んだ。次に、スリット芯材部分の全面に加重を加えるため、サイズ:厚さ16mm×幅90mm×長さ200mmの板をスリット芯材の表面の上に置き、その上から加圧棒によりスリット芯材表面に荷重をかけた。加圧条件は、試験速度:10mm/min、加圧棒:r=17mm(直径34mm、長さ600mmの鉄パイプ)とした。なお、評価方法としては、たわみ荷重が500Nに至るまでに、スリット芯材が力骨材から外れたものを×、スリット芯材が外れなかったものを○とした。

〔耐火性試験〕
耐火性能の評価は、「独立行政法人都市構生機構」制定の「機材の品質判定基準(平成26年5月版):スリット材の性能試験方法」における耐火試験に準じ、非加熱側へ10秒を超えて継続する火炎の噴出がない基準に合格したものを○、合格しなかったものを×として評価した。
Figure 2016151116
表3より、ポリカーボネート系樹脂発泡板である実施例1〜3の発泡板は見掛け密度30〜150kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板であるので、コンクリートの打設に耐え得る強度を有すると共に、変形復帰性にも優れたものであった。一方、比較例1のポリスチレン発泡板の場合には、発泡板の曲げ強さが低いことに起因して、耐震スリットの力骨材とスリット芯材との嵌合強度が低いものであった。
また、地震発生時における元の形状への戻りやすさを示す変形復帰性は、実施例1>実施例2>実施例3であり、気泡径の変動係数が小さい実施例1の発泡板からなるスリット芯材の方が、より元の形状に戻りやすく、耐震スリットに適していることを示している。これは、気泡径の変動係数が大きく、発泡体内部に相対的に小さい気泡が多く存在する場合は、変形の際、その小さい気泡部分が局所的に座屈することで、発泡体全体の復帰性が低下してしまうためであると考えられる。一方、気泡径の変動係数が小さい場合には、発泡体の気泡径がより均一であるため、変形の際、均一に力が分散され、局所的な座屈が起きず、良好な変形復帰性を発揮すると考えられる
本発明に係る耐震スリット材は、スリット芯材の変形や割れが生じ難く、力骨材とスリット芯材との嵌合強度に優れると共に、変形復帰性にも優れるため、コンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との間に設置される耐震スリット材、特に非構造壁と構造柱との間に垂直スリットを形成するために設置される耐震スリット材として、好適に使用することできるものである。
1 耐震スリット材
2 スリット芯材
3 力骨材
4 シート材
5 耐火性シート
6 非構造壁
7 構造柱
8 コーキング材

Claims (6)

  1. コンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との間に介在させる耐震スリット材であって、該耐震スリット材を構成するスリット芯材が、見かけ密度30〜150kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板からなることを特徴とする、耐震スリット材。
  2. 上記ポリカーボネート系樹脂発泡板の気泡径の変動係数が、60%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の耐震スリット材。
  3. 上記ポリカーボネート系樹脂発泡板の平均気泡径が、0.5〜3mmであることを特徴とする、請求項1又は2記載の耐震スリット材。
  4. 上記スリット芯材の両面に、縁切り用シートが積層接着されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の耐震スリット材。
  5. 上記スリット芯材の長手方向に沿った端部の少なくとも一方に、耐火性シートが積層されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の耐震スリット材
  6. コンクリート構造物の非構造壁と構造柱或いは構造梁との間に介在させる耐震スリット材用スリット芯材であって、該スリット芯材が、見かけ密度30〜150kg/m3のポリカーボネート系樹脂発泡板からなることを特徴とする、耐震スリット材用スリット芯材。
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