JP2016151030A - 積層体及びその製造方法、並びにガスバリアフィルム - Google Patents

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【課題】本発明は、機能層の損傷や機能の低下を抑制し、高分子材料よりなる基材とアンダーコート層との間の密着性を向上させ、さらにガスバリア性を向上させることの可能な積層体及びその製造方法、並びにガスバリアフィルムを提供することを目的とする。【解決手段】高分子材料からなり、かつ第1の無機物質を含む原子層堆積膜24の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材11と、基材11の外面11aの少なくとも一部に配置された原子層堆積膜24に含まれる前駆体が基材11の外面11aに位置する官能基と結合されたアンダーコート層13と、アンダーコート層13の外面13aを覆うように配置され、第2の無機物質を含有する機能層14と、機能層14の外面14aを覆うオーバーコート層15と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体及びその製造方法、並びにガスバリアフィルムに関し、特に、高分子材料よりなる基材を含む積層体及びその製造方法、並びにガスバリアフィルムに関する。
従来、物質を気体のように原子または分子レベルで動ける状態にする気相を用いて物体の表面に薄膜を形成する方法としては、化学気相成長(CVD(Chemical Vapor Deposition)ともいう。以下、「CVD」という。)法と、物理気相成長(PVD(Physical Vapor Deposition)、或いは物理蒸着法ともいう。以下、「PVD」という。)法と、がある。
PVD法としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法等がある。スパッタリング法は、膜質及び厚さの均一性に優れた高品質な薄膜の成膜が行えるため、液晶ディスプレイ等の表示デバイスの透明電極配線膜や電極配線膜、光ディスクの光反射膜等に広く適用されている。
CVD法は、真空チャンバー内に原料ガスを導入し、基材上において、熱エネルギーにより、1種類或いは2種類以上のガスを分解または反応させることで、固体薄膜を成長させる方法である。
このとき、成膜時の反応を促進させたり、反応温度を下げたりするために、プラズマや触媒(Catalyst)反応を併用するものがある。
このうち、プラズマ反応を用いるCVD法を、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法という。また、触媒反応を利用するCVD法を、Cat−CVD法という。
このようなCVD法を用いると、成膜欠陥が少なくなるため、例えば、半導体デバイスの製造工程(例えば、ゲート絶縁膜の成膜工程)等に適用されている。
近年、成膜方法として、原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition)法。以下、「ALD法」という。)が注目されている。
ALD法は、表面吸着した物質を表面における化学反応によって原子レベルで一層ずつ成膜していく方法である。上記ALD法は、CVD法の範疇に分類されている。
いわゆるCVD法(一般的なCVD法)は、単一のガスまたは複数のガスを同時に用いて基坂上で反応させて薄膜を成長させるものである。それに対して、ALD法は、前駆体(以下、「第1の前駆体」という。例えば、TMA(Tri-Methyl Aluminum))、またはプリカーサともいわれる活性に富んだガスと、反応性ガス(ALD法では、これもまた前駆体と呼ばれる。そのため、以下、該前駆体を「第2の前駆体」という。)と、を交互に用いることで、基材表面における吸着と、これに続く化学反応と、によって原子レベルで一層ずつ薄膜を成長させていく特殊な成膜方法である。
ALD法の具体的な成膜方法は、以下のような手法で行われる。
始めに、いわゆるセルフ・リミッティング効果(基材上の表面吸着において、表面がある種のガスで覆われると、それ以上、該ガスの吸着が生じない現象のことをいう。)を利用し、基材上に前駆体が一層のみ吸着したところで未反応の前駆体を排気する(第1のステップ)。
次いで、チャンバー内に反応性ガスを導入して、先の前駆体を酸化または還元させて所望の組成を有する薄膜を一層のみ形成した後に反応性ガスを排気する(第2のステップ)。
ALD法では、上記第1及び第2のステップを1サイクルとし、該サイクルを繰り返し行うことで、基材上に薄膜を成長させる。
したがって、ALD法では、二次元的に薄膜が成長する。また、ALD法は、従来の真空蒸着法やスパッタリング法等との比較では、もちろんのこと、一般的なCVD法と比較しても、成膜欠陥が少ないことが特徴である。
このため、食品及び医薬品等の包装分野や電子部品分野等の幅広い分野への応用が期待されている。
また、ALD法には、第2の前駆体を分解し、基材に吸着している第1の前駆体と反応させる工程において、反応を活性化させるためにプラズマを用いる方法がある。この方法は、プラズマ活性化ALD(PEALD:Plasma Enhanced ALD)、または、単に、プラズマALDと呼ばれている。
ALD法の技術そのものは、1974年にフィンランドのDr.Tuomo Sumtolaによって提唱された。
一般的に、ALD法は、高品質・高密度な成膜が得られるため、ゲート絶縁膜など半導体分野で応用が進められており、ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)にもそれらの記載がある。
また、ALD法は、他の成膜法と比較して斜影効果(言い換えれば、スパッタリング粒子が基材の表面に対して斜めに入射して成膜バラツキが生じる現象)が無いなどの特徴がある。このため、ALD法は、ガスが入り込める隙間があれば成膜が可能である。
したがって、ALD法は、深さと幅との比が大きい高アスペクト比を有する基材上のラインやホールの被膜のほか、三次元構造物の被膜用途でMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)関連等にも応用が期待されている。
上記説明したALD法を用いて、薄膜を形成する対象となる基材は様々存在する。該基材としては、例えば、ウェハやフォトマスク等のように小さな板状の基材や、ガラス板等のように大面積でフレキシブル性がない基材、或いはフィルム状の基材のように大面積で、かつフレキシブル性を有する基材等を例示することができる。
これらの基材に薄膜を形成する量産設備では、取り扱い容易さ、及び成膜品質等によって様々な基材の取り扱い方法が提案され、かつ実用化されている。
具体的には、例えば、1枚のウェハを成膜装置内に供給して、ALD法により成膜し、その後、次のウェハと入れ替えて再び成膜を行う枚葉式成膜装置や、複数のウェハをまとめて成膜装置内にセットした後、全てのウェハに同一の成膜を行うバッチ式成膜装置等がある。
また、ALD法により、ガラス基材に成膜を行う場合、成膜の源となる部分に対してガラス基材を逐次搬送しながら、同時に成膜を行うインライン式成膜装置が用いられる。
また、ALD法により、フレシキブル基材に成膜を行う場合、ロールからフレシキブル基材を巻き出し、フレシキブル基材を搬送しながら成膜を行い、別のロールにフレシキブル基材を巻き取る、いわゆるロール・ツー・ロールによるウェブコーティング成膜装置が用いられる。
なお、フレシキブル基材だけではなく、成膜対象となる基材を連続搬送できるようなフレキシブルなシート、或いは一部がフレシキブルとなるようなトレイに載せて連続成膜するウェブコーティング成膜装置も後者に含まれる。
いずれの成膜装置による成膜方法や基材取り扱い方法についても、コスト面や品質面や取り扱いの容易さ等から判断して、成膜速度が最速となるような組み合わせが採用されている。
特許文献1には、プラスチックおよびガラスよりなる群から選択される材料から作製された基材と、原子層蒸着によって該基材上に蒸着された気体透過バリアとを含んでなる物品が開示されている。
また、特許文献1には、光透過性のあるプラスチック基材の上に発光ポリマーを搭載し、該発光ポリマーの表面及び側面にALD法によって原子層蒸着を行う(トップコーティングを行う)ことで、コーティング欠陥を減らすことが可能になると共に、数十ナノメートルの厚さにおいて桁違いで気体透過を低減させることが可能なことが開示されている。
ところで、近年、太陽電池のバックシート、フロントシート、及び有機EL素子等のフレキシブル化及び軽量化を目的としたバリアフィルムの需要がある。
さらに、温度や湿度に対する耐性について、従来の85℃/85%RHの高温高湿度試験だけでなく、PCT(Pressure Cooker Test;105℃/100%RH)加速度試験にする耐性が要求されている。
通常、ガスバリアフィルムは、基材の少なくとも片方の面に、CVD法、スパッタ法、ゾルゲル法等の方法により、金属もしくは金属酸化膜が形成される。
しかしながら、基材が高分子フィルムであると、半導体分野で用いられているウェハやフォトマスクと比較し、表面に凹凸があり、かつ不規則な構造を有するため、金属もしくは金属酸化物の安定した密着性の維持、変質の防止が困難となる。
上記のように、基材として高分子フィルムを用いたガスバリアフィルムが使用される製品は、信頼性テストで高熱、高湿度等の環境的ストレスに暴露した際、基材上に形成された金属含有膜が基材の伸縮や変形により、また基材と金属含有膜との界面に存在する基材の外面の凹凸に水蒸気や気体が入り込むことにより、金属含有膜がひび割れや変質など劣化し、また基材と金属含有膜との間の密着性が低下するため、積層体が所望の機能としてのガスバリア性を維持することができないことがあった。
このような問題を回避可能な技術として、例えば、特許文献2には、高分子フィルムよりなる基材と機能層との間に高分子材料からなるプライマー層を形成し、耐熱性を確保する技術が開示されている。
特許文献3には、プラスチックフィルムで形成された基材と、基材の上に形成された紫外線硬化樹脂からなる下地層と、下地層の上にスパッタ法で形成されたSi−Cr−Zr系酸化物からなる第1のバリア層と、を具備するバリアフィルムが開示されている。
また、特許文献3には、スパッタ膜を形成する表面平坦度を改善して、スパッタ膜の膜質向上を狙い、紫外線硬化樹脂を下地層として形成する技術が開示されている。
特表2007−516347号公報 特開2003−327718号公報 特開2012−116151号公報
しかしながら、特許文献2に開示された技術では、機能層と接触するプライマー層(アンダーコート層)が高分子材料のため、上記の基材同様にプライマー層と機能層との界面の密着性を確保することが困難となる。
また、特許文献3に開示された技術では、下地層(アンダーコート層)の表面が樹脂成分のため、上記の基材同様に下地層とスパッタ膜の界面の密着性を確保することが困難となる。
したがって、上記密着性及び積層体の特性の低下を抑制するためには、高分子材料の基材と機能層の界面との空間を埋めるか、或いは、機能層よりも基材と密着強度を確保可能なアンダーコート層を形成する必要があると考えられる。
また、発明者らの調査により、高温高湿度等の環境内に、機能層を最外層とする積層体にストレスを印加するような条件に暴露すると、機能層が劣化し、上述のように所望の機能としてのガスバリア性を維持できなくなるという知見を得ている。
さらに、機能層の表面にスクラッチや圧迫等の機械的ストレスを与えると、該機能層に欠陥が発生し、該機能層の機能低下を招いてしまうという問題がある。
上記説明したように、従来から物理気相成長法や化学気相成長法によって高分子材料からなる基材の外面に、機能層を有する積層体が広く知られており、該積層体は、ガスバリア性を有するガスバリアフィルム等の機能を発現するフレキシブルフィルムに好んで用いられている。
上記物理気相成長法や化学気相成長法を用いて、高分子材料からなる基材上に機能層を形成する場合、所望の組成となった粒子或いはクラスター状態で基材に到達し、核を形成することで成膜される。
そのため、膜を形成した粒子間には、ある程度の隙間が生じ、基材との機能層との界面にも空間を持つこととなる。また、高分子材料の基材には自由体積と言われる非晶質部分に数オングストロームの空間を有し、従来の物理気相成長法や化学気相成長法により形成される粒子状のものは上記空間を埋めることができない。なお、1オングストロームは、0.1nmである。
したがって、密着性や機能層の信頼性を十分に確保することが困難となり、機能層の特性を維持できない恐れがある。
さらに、機能層の外面を保護するオーバーコート層がないと、機能層の劣化や機能層の特性が低下するため、積層体のガスバリア性を確保することが困難となる。
そこで、本発明は、機能層の損傷や機能の低下を抑制し、高分子材料よりなる基材とアンダーコート層の密着性を向上させ、さらにガスバリア性を向上させることの可能な積層体及びその製造方法、並びにガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る積層体は、高分子材料からなり、かつ第1の無機物質を含む原子層堆積膜の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材と、前記基材の外面の少なくとも一部に配置され、前記前駆体を含む前記原子層堆積膜で構成され、該前駆体が前記基材の外面に位置する前記官能基と結合されたアンダーコート層と、前記アンダーコート層の外面を覆うように配置され、第2の無機物質を含有する機能層と、前記機能層の外面を覆うオーバーコート層と、を有することを特徴とする。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、前記アンダーコート層の厚さは、2nm以上200nm以下であってもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、前記第1の無機物質は、第II族元素、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属元素、及びランタノイド元素のうち、少なくとも1つの元素を含んでもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、O原子を有する官能基またはN原子を有する官能基であってもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、前記O原子を有する官能基が、OH基、COOH基、COOR基、COR基、NCO基、またはSO基のうちのいずれかであってもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、前記N原子を有する官能基は、NH基(但し、xは整数)であってもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、前記機能層の厚さは、1nm以上200nm以下であってもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、前記オーバーコート層は、前記第2の無機物質の組成と異なる第3の無機物質を含んでもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体において、前記オーバーコート層の材料は、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料であってもよい。
本発明の一態様に係るガスバリアフィルムは、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の積層体であり、前記積層体の水蒸気透過率が1.0g/(m・day)以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体の製造方法は、真空チャンバー内に配置され、高分子材料よりなり、かつ原子層堆積法により、第1の無機物質を含む原子層堆積膜を成膜する際の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材の外面の少なくとも一部に、前記原子層堆積膜よりなるアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、物理気相成長法または化学気相成長法により、前記アンダーコート層の外面を覆うように、第2の無機物質を含有する機能層を形成する機能層形成工程と、前記機能層の外面を覆うように、オーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、を含み、前記基材として、前記前駆体と結合可能な官能基を有する基材を用いることを特徴とする。
また、上記本発明の一態様に係る積層体の製造方法において、前記アンダーコート層形成工程は、前記基材の外面に前記官能基と結合するように、前記前駆体を供給する第1のステップと、前記第1のステップ後、前記官能基と結合されていない前記前駆体を前記真空チャンバーの外へ排出する第2のステップと、前記第1のステップと、前記第2のステップと、を所定の回数繰り返し行う第3のステップと、前記真空チャンバー内に反応ガスを供給し、該反応ガスに電圧を印加することでプラズマを発生させ、該プラズマと前記前駆体とを反応させることで、一原子層の厚さとされた前記原子層堆積膜を形成する第4のステップと、積層された前記原子層堆積膜の合計の厚さが前記アンダーコート層の所定の厚さとなるように、前記第1ないし第4のステップよりなるサイクルを繰り返し行ってもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体の製造方法において、前記アンダーコート層形成工程では、厚さが2nm以上200nm以下となるように、前記アンダーコート層を形成してもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体の製造方法において、前記第1の無機物質として、第II族元素、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属元素、及びランタノイド元素のうち、少なくとも1つの元素を用いてもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体の製造方法において、前記機能層形成工程では、厚さが1nm以上200nm以下となるように、前記機能層を形成してもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体の製造方法において、前記オーバーコート層形成工程では、前記第2の無機物質の組成と異なる第3の無機物質を含むように、前記オーバーコート層を形成してもよい。
また、上記本発明の一態様に係る積層体の製造方法において、前記オーバーコート層形成工程では、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料を用いて、前記オーバーコート層を形成してもよい。
本発明によれば、高分子材料よりなる、第1の無機物質を含む原子層堆積膜の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材と、基材の外面に前駆体を含む前記原子層堆積膜で構成され、かつ前駆体が基材の外面の官能基と結合してなるアンダーコート層を形成することにより、基材とアンダーコート層の密着性を向上でき、アンダーコート層上に形成される機能層の、積層体や基材の変形による損傷や損傷による機能の低下を抑制、すなわち、ガスバリア性を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。 基材を構成する高分子材料の官能基(原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が吸着しにくい官能基)の一例であるメチル基の構造式を示す図である。 基材を構成する高分子材料の官能基(原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が吸着しやすい官能基)の一例である水酸基の構造式を示す図である。 基材を構成する高分子材料の官能基(原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が吸着しやすい官能基)の一例であるアミド基の構造式を示す図である。 本発明の実施の形態に係る積層体の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。 本実施の形態の製造途中の積層体の断面図(その1)であり、具体的には、アンダーコート層が形成される前の基材全体、及び領域Cで囲まれた基材の外面部分を拡大した断面図である。 本実施の形態の製造途中の積層体の断面図(その2)であり、具体的には、基材の外面にアンダーコート層が形成された構造体、及び領域Cで囲まれた基材の外面とアンダーコート層との境界部分を拡大した断面図である。 本実施の形態の製造途中の積層体の断面図(その3)であり、具体的には、アンダーコート層を形成後、アンダーコート層の外面に機能層が形成された構造体の断面図である。
発明者らが本発明に至る前の事前検討を行った結果、高分子材料(有機高分子も含む)よりなる基材上に、ALD膜を形成する場合、ALD膜の成膜原料となる前駆体は、基材の高分子材料表面に存在する官能基に結合し、反応ガスなどで反応させることによって、基材との隙間が少ない界面を形成可能であることを見出した。
また、ALD法で形成した薄膜(以下、「原子層堆積膜」という)は、二次元的に成長し、CVD法やスパッタリングなどと比較して、成膜欠陥が少ない。
よって、アンダーコート層として原子層堆積膜を用いることで、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の手法(言い換えれば、物理気相成長法や化学気相成長法)を用いて機能層を形成した場合に発生する機能層の欠陥を補うことも可能となる。
つまり、機能層と基材との間に、ALD法を用いて原子層堆積膜よりなるアンダーコート層を形成することで、該アンダーコート層(原子層堆積膜)を形成しないで、直接、基材上に機能層を形成した場合と比較して、機能層の特性を確保することができる。
具体的には、積層体のガスバリア性を向上させることが可能となると共に、基材上の官能基と結合するため、密着性を改善することが可能となる。
また、機能層の外面に、環境的ストレスや機械的ストレスから機能層を保護するために、ドライコーティング技術やウェットコーティング技術等の技術を用いて、無機材料、高分子材料、或いは無機・有機ハイブリット材料よりなるオーバーコート層を設けることで、機能層の劣化や機能層の特性の低下を抑制することが可能となる。
<実施形態の概要>
本発明の実施形態に係る積層体は、高分子材料よりなる、第1の無機物質を含む原子層堆積膜の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材と、前駆体を含む原子層堆積膜で構成され、かつ前駆体が基材の外面に位置する官能基と結合されたアンダーコート層と、アンダーコート層の外面に形成された第2の無機物質を含有する機能層と、から形成することで、原子層堆積膜の前駆体が官能基と反応するため、基材の外面に存在する凹凸にもアンダーコート層成分により満たすことが可能となる。
これにより、アンダーコート層として原子層堆積膜を用いることで、基材とアンダーコート層との界面に存在する基材の外面に存在する凹凸が減少するため、高分子材料よりなる基材とアンダーコート層との間の密着性が向上し、これにより安定した膜質の機能層を容易に形成することができ、積層体や基材の変形による損傷や変質による密着性の低下からの機能(ガスバリア性)の低下を抑制することができる。
また、機能層の外面を覆うオーバーコート層を有することで、機能層の外面側が損傷することを抑制可能となるので、積層体のガスバリア性を向上させることができる。
現在、原子層堆積法(ALD法)によって形成された原子層堆積膜を備えた積層体は、薄膜無線EL、ディスプレイ、半導体メモリ(DRAM(Dynamic Random Access Memory))、基板としてガラス基板やシリコン基板等の電子部品用基板として、商業生産が行われている。
一方、本発明の対象となる積層体の基材は、高分子材料よりなる基材が対象である。ところが、現状では、該基材に対する原子層堆積法(ALD法)のプロセスは詳細には研究されていないのが実情である。
一般的に、電子部品用基板上に原子層堆積膜を成膜すると、原子層堆積膜は、二次元成長すると考えられている。しかしながら、実際には、高分子材料である有機高分子基材(例えば、PET:ポリエチレンテレフタレート)上に原子層堆積膜を成膜すると、原子層堆積膜は、二次元成長しない。
言い換えると、高分子材料よりなる基材(以下、単に「基材」という)へのALD法のプロセスによる原子層堆積膜の薄膜形成では、ALD法による本来の二次元成長ができていない。
この主な原因は、基材の外面における「吸着サイトの種類」、「吸着サイトの密度」、及び「自由堆積領域への前駆体の拡散」にあると考えられる。したがって、原子層体積膜を効率良く形成するためには、基材を構成する高分子材料の選択が重要となる。
そこで、本発明者らは、基材の材料の違いにより原子層堆積膜が成長する成長様式が異なることを見出した。
基材として、上記ガラス基板やシリコン基板等のように、表面(外面)が平滑で、かつ空間がない基板を用い、該基板上に原子層堆積膜を形成すると、原子層堆積膜の成膜原料となる前駆体が、基材の外面(表面)に配置された吸着部位(官能基)と結合して、成長する。
一方、高分子材料よりなる基材は、結晶領域(結晶部)および非晶質領域(非晶部)が存在し、非晶質領域には、自由体積(フリーボリューム)と呼ばれる空隙が存在する。この空隙が存在するため、例えば、水蒸気透過率の測定をした際に水分子が空隙を通過し基材を透過する。
また、原子層堆積膜は、上記空隙からなる基材の外面に存在する凹凸を埋める様に形成される。
そこで、本発明者らは、基材と機能層との隙間と積層体の密着性との関係に着目し、原子層堆積膜よりなるアンダーコート層と、アンダーコート層に積層された機能層と、を有する積層体を考察しながら、本発明の積層体へのアプローチを試みた。
一般的に、電子部品用基板上に原子層堆積膜を形成すると、該原子層堆積膜は、二次元的に成長すると考えられている。しかしながら、実際には、高分子材料よりなる基材(例えば、PET:ポリエチレンテレフタレート)上に原子層堆積膜を形成すると、原子層堆積膜は、二次元的な成長をしていない。
つまり、高分子材料よりなる基材の外面へのALD法を用いた原子層堆積膜の薄膜形成では、ALD法による本来の二次元成長ができていない恐れがある。
その主な原因としては、高分子材料よりなる基材の外面(原子層堆積膜が形成される面)における「吸着サイトの種類」、及び「吸着サイトの密度」にあると考えられる。したがって、原子層体積膜を精度良く形成するためには、基材の選択が重要となる。
ここで、吸着サイトとは前駆体が化学吸着かのうな官能基を指す、例えばO原子を有する官能基、または、N原子を有する官能基を備えていてもよい。そして、前記O原子を有する官能基は、OH基、COOH基、COOR基、COR基、NCO基、またはSO基の何れかであり、前記N原子を有する官能基は、NH基(但し、xは整数)であってもよい。
原子層堆積膜の前駆体の吸着サイトの密度については、次のように考える。すなわち、ガス状の前駆体(例えば、TMA:Tri−Methyl Aluminum)やTiCl等の金属含有前駆体が、高分子材料よりなる基材の外面(表面)へ化学的に吸着してALD法のプロセスの第1ステップとなる。このときの前駆体と基材の官能基(Functional Group)の反応性と官能基の密度とが化学吸着に大きく影響する。
例えば、ポリマー(重合体)の場合は、下記(1)式に示すように、可逆的に、原子層堆積膜の前駆体が吸着サイトに吸着する。
R−OH+Al(CH→R−OAl(CH+CH・・・(1)
すなわち、上記(1)式において、高分子鎖に存在するOH基が吸着サイトに吸着する。
次に、原子層堆積膜の前駆体の有機高分子基材内部への拡散については、次のように考える。
一般的に、高分子フィルムは、結晶領域と非結晶領域が混在しているとされる。そのため、非結晶領域では、自由体積(フリーボリューム)と呼ばれる高分子鎖が存在していない空隙があり、空隙を介して、気体が拡散または透過してしまう。
ところで、高分子材料よりなる基材の外面に、従来の蒸着法を用いて、直接、機能層を形成すると、基材と機能層との界面に配置された基材の外面に存在する凹凸を埋め込むことが困難なため、機能層の密着性が確保できない恐れがある。
上記説明したように、ALD法を用いて、高分子材料よりなる基材の外面に原子層堆積膜を形成すると、原子層堆積膜の前駆体は、基材の外面に存在する凹凸や空隙に存在する官能基に吸着して、当該官能基あるいは吸着サイトが原子層堆積膜の核となる。
その核は、三次元的に散在するために、成膜初期では三次元的成長モードとなり、隣り合う核同士が接触して連続膜となり、二次元的成長モードとなることでより平滑な表面となる。
また、官能基の密度が低い場合、前駆体の各吸着サイトは、隔離した状態で配置される。このように、吸着サイトが隔離した状態で配置されている場合、原子層堆積膜の成長は、吸着サイトを核として三次元成長することになる。
すなわち、吸着サイトの密度が低いと、前駆体にとって原子層堆積膜が三次元的に広がって、OH等の箇所に前駆体がまばらに吸着するため、原子層堆積膜は孤立した核を中心に柱状に成長することになり、効率良く原子層体積膜が形成できず、理想的なアンダーコート層の形成が困難となるので、基材の選定も重要となる。
つまり、原子層堆積膜に含まれる前駆体と結合可能な官能基を有する基材を用いることが重要となる。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の積層体の寸法関係とは異なる場合がある。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る積層体を模式的に示す断面図である。なお、本実施の形態では、本実施の形態の積層体10を構成する基材11として、フィルム状基材を用いた場合を例に挙げて以下の説明を行う。
図1を参照するに、本実施の形態の積層体10は、基材11と、アンダーコート層13と、機能層14と、オーバーコート層15と、を有する。
基材11は、高分子材料により構成されている。基材11は、アンダーコート層13が形成される外面11aを有する。
基材11を構成する高分子材料としては、アンダーコート層13となる原子層堆積膜24を形成する際に使用する成膜原料である前駆体と結合可能な官能基を有する高分子材料を用いるとよい。
高分子材料には、ポリビニルアルコール(PVA)、ナイロン−6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)などがあり、前駆体と結合可能な官能基を有する高分子材料であれば上記高分子材料に限らない。
図2は、基材を構成する高分子材料の官能基(原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が吸着しにくい官能基)の一例であるメチル基の構造式を示す図である。
図3は、基材を構成する高分子材料の官能基(原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が吸着しやすい官能基)の一例である水酸基の構造式を示す図である。
図3に示す水酸基を有するポリビニルアルコール(PVA)を図1に示す基材11の高分子材料として用いた場合、原子層堆積膜24を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が水酸基と反応して結合するため、前駆体が基材11の外面11a或いは基材11の内部に留まることが可能となる。
言い換えると、アンダーコート層13の高分子材料としてPVAを用いた場合、官能基が水酸基であるために前駆体がやや吸着し易いので、PVAは基材11の材料として用いることができる。
図4は、基材を構成する高分子材料の官能基(原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が吸着しやすい官能基)の一例であるアミド基の構造式を示す図である。
図4に示すアミド基を有するナイロン−6を図1に示す基材11の高分子材料として用いた場合、原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体がアミド基と反応して結合する。
このため、前駆体が基材11の外面11a、或いは基材11内部に効率良く留まることが可能となる。
言い換えると、基材11の高分子材料としてナイロン−6を用いた場合、基材11の官能基がアミド基であるため、原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料である前駆体が非常に吸着し易い。よって、ナイロン−6は、基材11の高分子材料として好ましい。
上記例示した官能基以外に、前駆体が吸着しやすい官能基を含む高分子材料としては、例えば、イミド基を有するポリイミド樹脂、スルホン基を有するポリエーテルスルホン(PES)、及びエステル基を有するポリエチレンテレフタレート(PET)等を例示することができる。
基材11の高分子材料として、エステル基(官能基)を含むポリエチレンテレフタレート(PET)を用いた場合、アンダーコート層13を形成する前の段階において、例えば、基材11の外面11aをプラズマ処理することで、基材11の外面11aに水酸基(OH)やカルボキシル基(COO)等を生成することでより、前駆体が吸着し易い外面11aを形成することができる。
すなわち、基材11の高分子材料に含まれる官能基としては、例えば、O原子を有する官能基、またはN原子を有する官能基が好ましい。
O原子を有する官能基としては、例えば、OH基、COOH基、COOR基、COR基、NCO基、SO基等を用いることができる。
また、N原子を有する官能基としては、例えば、NH基(但し、xは整数)を用いることができる。
このように、基材11を構成する高分子材料が上記説明したO原子を有する官能基、またはN原子を有する官能基を含むことにより、基材11に含まれる官能基に対して、原子層堆積膜を形成する際に使用する成膜原料(アンダーコート層13を形成する際の原料)である前駆体が吸着しやすくなると共に、基材11の外面11aに存在する凹凸を成膜原料となる前駆体で埋め込むことが可能となる。
これにより、基材11と原子層堆積膜よりなるアンダーコート層13との界面に配置され、基材11の外面11aに存在する凹凸に起因する空隙の形成が抑制可能となるので、基材11に対するアンダーコート層13の密着性を十分に確保でき、アンダーコート層13のガスバリア性を向上させることができる。
なお、基材11が含有する官能基は、非共有電子対または不対電子(ダングリングボンド)を有する原子を含み、前駆体と配位結合、分子間力(ファンデルワールス力)による結合、水素結合等の相互作用をする官能基であればよい。
また、本発明において、原子層堆積膜24に含まれる前駆体と結合可能な官能基(基材11に含まれる官能基)とは、主にOH基、COOH基、COOR基、COR基、NCO基、やSO基、及びNH基(但し、xは整数)のことをいうが、これらに限定されない。
上記説明した官能基を含む高分子材料で構成された基材11としては、例えば、フィルム状とされた基材(以下、「フィルム状基材」という)を用いてもよいし、フィルム状とされていない基材を用いてもよい。
積層体10をガスバリアフィルム(図示せず)として用いる場合には、基材11としては、フィルム状基材を用いるとよい。この場合、基材11(フィルム状基材)の厚さは、例えば、12〜300μmの範囲が好ましく、12〜100μmの範囲がより好ましい。
アンダーコート層13は、基材11の外面11aを覆うように配置されている。アンダーコート層13は、外面13aを有する。
アンダーコート層13は、成膜原料となる前駆体、及び第1の無機物質を含む原子層堆積膜24で構成されており、該前駆体が基材11の外面11aに位置する官能基と結合されている。つまり、アンダーコート層13は、原子層堆積法(ALD法)で形成された膜である。
アンダーコート層13を構成する原子層堆積膜24の成膜原料となる前駆体としては、例えば、有機金属化合物を用いることができる。
該有機金属化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム(TMA(Tri−Methyl Aluminum)),四塩化チタン(TiCl),トリスジメチルアミノシラン(3DMAS),ビスジエチルアミノシラン(BDEAS)等を用いることができる。
第1の無機物質としては、例えば、第II族元素、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属元素、及びランタノイド元素のうち、少なくとも1つの元素を用いてもよい。
アンダーコート層13の厚さは、例えば、2nm以上200nm以下にするとよい。アンダーコート層13の厚さが2nmよりも薄いと、アンダーコート層13の密着効果を十分に得られない可能性がある。アンダーコート層13の厚さを200nmよりも厚くしても、アンダーコート層13の密着効果に大きな変化はない。つまり、アンダーコート層13の厚さを200nmよりも厚くする必要性がない。
したがって、アンダーコート層13の厚さを2nm以上200nm以下にすることで、アンダーコート層13の密着効果を十分に得ることができる。
なお、図1では、一例として、基材11の外面11aを覆うように、アンダーコート層13を配置させた場合を例に挙げて説明したが、アンダーコート層13は、基材11の外面11aの少なくとも一部に配置されておればよく、図1に示す構成に限定されない。
機能層14は、アンダーコート層13の外面13aを覆うように配置されている。機能層14は、外面14aを有する。機能層14は、原子堆積法(ALD法)以外の物理気相成長法または化学気相成長法により形成される膜である。なお、機能層14は、ゾルゲル法により形成してもよい。
機能層14は、第2の無機物質を含有している。第2の無機物質としては、例えば、SiO、TiO、AlO、TaO、ZrO、HfO、NbO、或いはこれら複数の物質を混合したAlSi、TiAlなどの酸化膜等を用いることができる。
機能層14としては、例えば、無機膜を用いることができる。該無機膜の組成としては、例えば、SiO(1≦x≦2)、AlO(但し、2≦x≦2.5)、TiO(但し、1.5≦x≦2)、これら無機酸化物を混合させた混合無機酸化物等を用いてもよい。
また、機能層14の組成として、BaTiO、SrTiO、Ta等の半導体デバイス分野で使用するゲート絶縁膜や、メモリ素子の材料として用いられる組成、一般的にリーク電流が少ない材料として用いられる組成を適用してもよい。
機能層14の厚さは、例えば、1nm以上200nm以下であることが好ましい。機能層14の厚さが1nm未満であると、ガスバリア性等の機能を発現することができない。また、機能層14の厚さが200nmを超えると、コスト及び成膜時間を要するため好ましくない。
したがって、機能層14の厚さを1nm以上200nm以下とすることで、所望のガスバリア性を得ることが可能となる。
オーバーコート層15は、機能層14の外面14aを覆うように配置されている。
このように、機能層14の外面14aを覆うオーバーコート層15を有することで、環境ストレス、特に、高温高湿度環境下における機能層14を保護することができると共に、機械的ストレスからアンダーコート層13及び機能層14を保護することができる。
オーバーコート層15は、第3の無機物質を含んだ構成とされている。第3の無機物質としては、例えば、SiO,TiO,AlO,TaO,ZrO、HfO、NbO、或いはこれら複数の物質を混合した酸化膜等を用いることができる。
オーバーコート層15は、機能層14に含まれる第2の無機物質の組成と異なるように第3の無機物質を含む。
オーバーコート層15を構成する材料としては、例えば、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料を用いることができる。
オーバーコート層15を構成する高分子材料としては、例えば、ポリエステルアクリレート、またはウレタンアクリレート等を用いることができる。
オーバーコート層15を構成する有機・無機ハイブリッド材料としては、例えば、ポリビニルアルコールと金属アルコキシド(TEOS)の加水分解物等を用いることができる。
このように、オーバーコート層15を構成する材料として、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料を用いることで、機能層14を環境的ストレスや機械的ストレスから保護することが可能となるので、ガスバリア性を維持できる。
上記構成とされたオーバーコート層15の厚さは、例えば、10nm〜2000nmの範囲内で適宜設定することができる。
本実施の形態の積層体によれば、高分子材料からなる、第1の無機物質を含む原子層堆積膜24の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材11と、基材11の外面11aに形成され、上記前駆体を含む原子層堆積膜24で構成され、かつ前駆体が基材11の外面11aに位置する官能基と結合されたアンダーコート層13と、アンダーコート層13の外面13aに形成される第2の無機物質を含有する機能層14と、を有することで、基材11の外面11aに存在する凹凸を埋め込むように原子層堆積膜24の前駆体が入り込み、反応するため、当該凹凸もアンダーコート層13の一部とすることが可能となる。
これにより、基材11とアンダーコート層13との界面に存在する空隙(基材11の外面11aに存在する凹凸による空隙)が減少するため、高分子材料よりなる基材11とアンダーコート層13の間の密着性が向上するため、アンダーコート層13上に形成される機能層14の、積層体や基材の変形による損傷や変質による機能の低下を抑制、すなわち、ガスバリア性を向上さることができる。
また、機能層14の外面14aを覆うオーバーコート層15を有することで、機能層14の外面14a側が損傷することを抑制可能となるので、積層体10のガスバリア性を向上させることができる。
さらに、アンダーコート層13として原子層堆積膜24を用いることで、アンダーコート層13の外面が、基材11の外面11aと比較して平滑な面となるので、安定した膜質の機能層14を容易に形成することができる。
次に、図1を参照して、ガスバリアフィルム(図示せず)について説説明する。
本実施の形態のガスバリアフィルム(図示せず)は、図1に示す積層体10を含み、積層体10を構成する基材11がフィルム状である。
ガスバリアフィルム(図示せず)は、例えば、積層体10のみで構成される場合や、接着剤を介し他基材にラミネートする構成、有機発光素子の形成をする場合等がある。
上記構成とされたガスバリアフィルム(図示せず)は、利用目的において、例えば酸素や水蒸気などの遮蔽すべき気体(ガス)から内容物を保護するために、食品包装分野、医薬、電子部品、農業資材など様々な分野で使用される。
ガスバリアフィルム(図示せず)を構成する積層体10の水蒸気透過率は、例えば、0.1g/(m・day)以下にするとよい。
ガスバリアフィルム(図示せず)を構成する積層体10の水蒸気透過率が0.1g/(m・day)よりも大きいと、上記、酸素や水蒸気から内容物を保護できなくなる。したがって、積層体10の水蒸気透過率を0.1g/(m・day)以下にすることで、内容物の保護(内容物そのものの機能の維持)を可能とする。
上記構成とされたガスバリアフィルム(図示せず)は、先に説明した積層体10と同様な効果を得ることができる。
図5は、本発明の実施の形態に係る積層体の製造方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図6は、本実施の形態の製造途中の積層体の断面図であり、具体的には、アンダーコート層が形成される前の基材全体、及び領域Cで囲まれた基材の外面部分を拡大した断面図である。図6において、領域Cで囲まれた断面図は、領域Cで囲まれた基材11の外面11a部分を拡大した断面図である。
図7は、本実施の形態の製造途中の積層体の断面図であり、具体的には、基材の外面にアンダーコート層が形成された構造体、及び領域Cで囲まれた基材の外面とアンダーコート層との境界部分を拡大した断面図である。図7において、領域Cで囲まれた断面図は、領域Cで囲まれた基材の外面とアンダーコート層との境界部分を拡大した断面図である
図8は、本実施の形態の製造途中の積層体の断面図であり、具体的には、アンダーコート層を形成後、アンダーコート層の外面に機能層が形成された構造体の断面図である。
図6〜図8において、図1に示す積層体10と同一構成部分には、同一符号を付す。
次いで、図1及び図5〜図8を参照して、本実施の形態の積層体の製造方法について説明する。
図5に示す積層体10の製造処理が開始されると、始めに、S1では、高分子材料(有機高分子材料を含む)よりなり、かつ後述するS2で供給する成膜原料である前駆体と結合可能な官能基(図示せず)を有する基材11を準備する。
図6に示すように、基材11の外面11aには、凹凸が存在している。
基材11の材料となる高分子材料としては、例えば、成膜原料となる前駆体がやや吸着しやすい水酸基(図3参照)を有するポリビニルアルコール(PVA)、基材11の外面11a或いは基材11内部に前駆体が効率良く留まることの可能なアミド基(図4参照)を有するナイロン−6、イミド基を有するポリイミド樹脂、スルホン基を有するポリエーテルスルホン(PES)、及びエステル基を有するポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
基材11の高分子材料として、エステル基(官能基)を含むポリエチレンテレフタレート(PET)を用いる場合には、図5に示すS2を実施する前に、例えば、基材11の外面11aをプラズマ処理して、基材11の外面11aに水酸基(OH)やカルボキシル基(COO)等を生成させるとよい。これにより、前駆体が吸着しやすい外面11aを形成することができる。
なお、基材11が含有する官能基は、非共有電子対又は不対電子(ダングリングボンド)を有する原子を含み、前駆体と配位結合、分子間力(ファンデルワールス力)による結合、水素結合等の相互作用をする官能基であればよい。
上記説明した官能基を含む高分子材料で構成された基材11としては、例えば、フィルム状基材を用いてもよいし、フィルム状とされていない基材を用いてもよい。
積層体10をバリアフィルム(図示せず)として用いる場合には、基材11としては、フィルム状基材を用いるとよい。
この場合、基材11(フィルム状基材)の厚さは、例えば、12〜300μmの範囲が好ましく、50〜100μmの範囲がより好ましい。
上記S1の処理が完了すると、処理は、アンダーコート層形成工程A(具体的には、図5に示すS2)へと進む。
なお、図5に示すS2へと処理を進める前に、プラズマ処理や加水分解処理を用いて、基材11の外面11aを表面処理させてもよい。このように、図5に示すアンダーコート層形成工程Aを行う前に、プラズマ処理や加水分解処理を用いて、基材11の外面11aを表面処理することで、基材11の外面11aにおける官能基の密度を高めることができる。
次いで、図7に示すように、図示しない原子層堆積膜成膜装置の真空チャンバー内のステージに固定された基材11の外面11aに、原子層堆積法(ALD法)により、原子層堆積膜24を成膜する際の前駆体23が基材11の外面11aに存在する官能基と結合してなる第1の無機物質を含む原子層堆積膜24からなるアンダーコート層13を形成する(アンダーコート層形成工程)。
上記アンダーコート層形成工程A(図5参照)は、図5に示すS2〜S6の処理で構成されている。
ここで、図5及び図7を参照して、原子層堆積膜24としてAl膜を形成する場合を例に挙げて、図5に示すS2〜S6の処理(アンダーコート層形成工程A)について、順次説明する。
始めに、S2では、原子層堆積膜成膜装置(図示せず)の真空チャンバー(図示せず)内のステージ(図示せず)上に、外面11aが上面側の面となるように基材11を固定する。
次いで、上記真空チャンバー(図示しない)内に、反応ガス兼放電ガス(例えば、O、Nのうちの、少なくとも一方のガス)を導入することで、基材11の外面11aに該反応ガス兼放電ガスを供給する。このときの上記真空チャンバー内の圧力は、例えば、10〜50Paの範囲内で適宜設定することができる。
次いで、上記真空チャンバー内において、ICP(Inductively Coupled Plasma)モードでプラズマ放電を実施する。このときのプラズマ放電の出力電源としては、例えば、250Wattを用いることができる。また、プラズマガス励起用電源としては、例えば、13.56MHzの電源を用いることができる。
上記プラズマ放電後、上記真空チャンバー内をガスパージ処理する。該ガスパージを行う際に使用するガスとしては、例えば、OやN等を用いることができる。
また、上記ガスパージ時の温度は、基材11の温度或いは基材11を載置するテーブル温度であり、例えば、90℃を用いることができる。
次いで、上記真空チャンバー内に収容された基材11の外面11aに、成膜原料(前駆体)であるトリメチルアルミニウム(TMA)を供給する。このとき、基材11の外面11aに、基材11に含まれる官能基と結合するように、原子層堆積膜24の成膜原料となる前駆体を供給する(第1のステップ)。
これにより、図7に示すように、基材11の外面11aに存在する凹凸を埋め込むように前駆体23が配置される。
上記S2の処理が完了すると、処理は、S3へと進む。
次いで、S3では、第1のステップ後、官能基と結合されていない前駆体23を真空チャンバー(図示せず)の外へ排出する(第2のステップ)。
具体的には、例えば、原子層堆積膜成膜装置(図示せず)の真空チャンバー(図示せず)内を真空ポンプ(図示せず)で、官能基と結合されていない前駆体23を排気する。
或いは、例えば、上記真空ポンプを用いて、真空チャンバー(図示せず)内を排気しながら、不活性ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガス類元素や、窒素等。)を供給することで、該真空チャンバー内に残存し、かつ基材11に含まれる官能基と結合しなかった前駆体を、該真空チャンバーの外に排出させる。
上記S3の処理が完了すると、処理は、S4へと進む。
次いで、S4では、予め決定しておいた第1及び第2のステップを所定の回数(以下、「所定の回数n(nは整数)」という)繰り返したか否かの判定が行われる。S4において、所定の回数nに到達したと判定(Yesと判定)されると、処理はS5へと進む。
S4において、所定の回数nに到達していないと判定(Noと判定)されると、処理は、S2へと戻り、S2及びS3の処理が再度行われる。上記所定の回数nは、例えば、15回とすることができる。
なお、図5に示す第3のステップBは、第1のステップ(図5に示すS2)と、第2のステップ(図5に示すS3)と、を所定の回数繰り返し行うステップである。
次いで、S5では、真空チャンバー(図示せず)内に反応ガスを供給し、該反応ガスに電圧を印加することでプラズマを発生させ、該プラズマと前駆体23とを反応させることで、一原子層の厚さとされた原子層堆積膜24を形成する(第4のステップ)。
具体的には、例えば、以下に説明する手法により、一原子層の厚さとされた原子層堆積膜24を形成することができる。
始めに、真空チャンバー(図示せず)内に、反応ガス(例えば、O、N、CO、H、或いはこれらのガスを少なくとも2つ以上のガスを混合させた混合ガス)を供給する。このとき、上記真空チャンバー内の圧力は、例えば、10〜50Paの範囲内の所定の圧力とすることができる。
その後、上記真空チャンバー内において、ICP(Inductively Coupled Plasma)モードでプラズマ放電を行うことで、プラズマを発生させ、該プラズマと前駆体23とを反応させることで、一原子層の厚さとされた原子層堆積膜24を形成する。
他の方法としては、例えば、真空チャンバー(図示せず)内に、HOまたはHを導入し、HOまたはHと前駆体23とを反応させることで、一原子層の厚さとされた原子層堆積膜24を形成する方法がある。
上記第4のステップで使用するプラズマガス励起用電源としては、例えば、13.56MHzの電源を用いることができる。上記S5の処理が完了すると、処理は、S6へと進む。
上記説明したS2〜S6までの処理を1サイクルとし、このサイクルを複数回実施することで、Al膜よりなる原子層堆積膜13が形成される。サイクル数は、1サイクルで形成される原子層堆積膜13と、アンダーコート層の所望の厚さ(言い換えれば、後述するアンダーコート層13の厚さD)と、に基づいて、決定することができる。
次いで、S6では、成膜した原子層堆積膜24の合計の厚さ(言い換えれば、積層された原子層堆積膜24の合計の厚さ)が予め設定した目標とするアンダーコート層13の厚さ(以下、「厚さD」という)に到達したか否かの判定が行われる。
S6において、成膜した原子層堆積膜24の合計の厚さがアンダーコート層13の厚さD(目標とする厚さ)に到達したと判定(Yesと判定)されると、アンダーコート層形成工程Aの処理が完了し、処理は、S7へと進む。
S6において、成膜した原子層堆積膜24の合計の厚さがアンダーコート層13の厚さD(目標とする厚さ)に到達していないと判定(Noと判定)されると、処理は、S2へと戻る。
上記サイクル処理(S2〜S6までの処理)を行う回数は、例えば、100回以下が好ましく、20回以上50回以下がより好ましい。
また、予め設定した目標とするアンダーコート層13の厚さD(言い換えれば、アンダーコート層13となる原子層堆積膜24の厚さ)は、例えば、10nm以下にするとよい。
このように、アンダーコート層形成工程において、厚さが10nm以下となるように、アンダーコート層13を形成する(言い換えれば、アンダーコート層13の厚さDを10nm以下にする)ことで、十分にアンダーコート層としての効果(密着性、バリア性)が得ることができる。
上記説明では、アンダーコート層13を構成する原子層堆積膜24の成膜原料となる前駆体23として、トリメチルアルミニウム(TMA(Tri−Methyl Aluminum))を用いた場合を例に挙げて説明したが、前駆体23は、トリメチルアルミニウムに限定されない。
原子層堆積膜24の成膜原料となる前駆体23として、例えば、トリメチルアルミニウム以外の有機金属化合物である四塩化チタン(TiCl),トリスジメチルアミノシラン(3DMAS),ビスジエチルアミノシラン(BDEAS)等を用いてもよい。
また、アンダーコート層形成工程Aでは、アンダーコート層13が第1の無機物質にて形成する。第1の無機物質としては、例えば、第II族元素、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属元素、及びランタノイド元素のうち、少なくとも1つの元素を用いるとよく、上記TMAと同様に有機金属化合物として基材11上に供給する。
このように、アンダーコート層13に含まれる第1の無機物質として、第II族元素、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属元素、及びランタノイド元素のうち、少なくとも1つの元素を含むことにより、上記TMAと同様に基材11の外面11aに存在する凹凸を埋めることで密着性が向上する。
アンダーコート層13の厚さは、例えば、2nm以上200nm以下となるように形成するとよい。アンダーコート層13の厚さを2nm以上200nm以下にすることで、十分にアンダーコート層としての効果(密着性、バリア性)を得ることができる。
次いで、S7では、原子層堆積膜形成装置(図示せず)の真空チャンバー(図示せず)内から、図7に示す構造体を取り出し、機能層形成装置(図示せず)の成膜チャンバー(図示せず)内のステージ(図示せず)上に、図7に示す構造体を固定する。
このとき、アンダーコート層13の外面13aが上面側となるように、該構造体を固定する。
次いで、図8に示すように、原子堆積法(ALD法)以外の成膜方法である物理気相成長法(PVD法)または化学気相成長法(CVD法)により、アンダーコート層13の外面13aを覆うように、第2の無機物質を含有する機能層14を形成する(機能層形成工程)。
なお、機能層14は、ゾルゲル法により形成してもよい。
物理気相成長法(PVD法)としては、例えば、誘導加熱法、抵抗加熱法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法等の方法を用いることができる。また、化学気相成長法(CVD法)としては、例えば、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等の方法を用いることができる。
第2の無機物質としては、例えば、SiO,TiO,AlO,TaO,ZrO,HfO,NbO、及びこれら複数の物質を混合したAlSi、TiAlなどの酸化膜等を用いることができる。
機能層14としては、例えば、無機膜を用いることができる。該無機膜の組成としては、例えば、SiO(1≦x≦2)、AlO(但し、2≦x≦2.5)、TiO(但し、1.5≦x≦2)、これら無機酸化物を混合させた混合無機酸化物等を用いてもよい。
また、機能層14の組成として、BaTiO、SrTiO、Ta等の半導体デバイス分野で使用するゲート絶縁膜や、メモリ素子の材料として用いられる組成、一般的にリーク電流が少ない材料として用いられる組成を適用してもよい。
機能層14の厚さは、例えば、1nm以上200nm以下であることが好ましい。機能層14の厚さが1nm未満であると、ガスバリア性が発現できない。また、機能層14の厚さが200nmを超えると、コスト及び成膜時間を要するため好ましくない。
したがって、機能層14の厚さを1nm以上200nm以下とすることで、ガスバリア機能とコスト、生産性を両立できる。
上記説明したS7の処理が完了すると、処理は、S8へと進む。
次いで、S8では、機能層14を形成する際に使用した成膜装置(図示せず)の成膜チャンバー(図示せず)から、図8に示す構造体を取り出し、その後、機能層14の外面14aを覆うように、第3の無機物質を含むオーバーコート層15を形成する(オーバーコート層形成工程)。
具体的には、オーバーコート層15は、例えば、ドライコーティング法(例えば、物理気相成長法、化学気相成長法等)、ウェットコーティング法(例えば、スピンコート法、ダイコート法、スプレイコート法等)、ドライラミネート法等の手法を用いて形成することができる。
このように、機能層14の外面14aを覆うオーバーコート層15を形成することで、環境ストレス、特に、高温高湿度環境下における機能層14を保護することができると共に、機械的ストレスからアンダーコート層13及び機能層14を保護することができる。
オーバーコート層15に含まれる第3の無機物質としては、例えば、SiO,TiO,AlO,TaO,ZrO,HfO,NbOx、或いはこれら複数の物質を混合した酸化膜等を用いることができる。
オーバーコート層15は、機能層14に含まれる第2の無機物質の密度、及び/または該第2の無機物質の組成と異なるような第3の無機物質を含むように形成するとよい。
また、第2の無機物質の組成がAlOの場合、第3の無機物質の組成は、例えば、SiOとすることができる。
オーバーコート層15を構成する材料としては、例えば、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料を用いることができる。
オーバーコート層15を構成する高分子材料としては、例えば、ポリエステルアクリレート、またはウレタンアクリレート等を用いることができる。
オーバーコート層15を構成する有機・無機ハイブリッド材料としては、例えば、ポリビニルアルコールと金属アルコキシド(TEOS)の加水分解物等を用いることができる。
このように、オーバーコート層15を構成する材料として、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料を用いることで、機能層14を環境的ストレスや機械的ストレスから保護することが可能となるので、機能層の劣化を抑制できる。
上記構成とされたオーバーコート層15の厚さは、例えば、10〜2000nmの範囲内で適宜設定することができる。
S8において、オーバーコート層15が形成されると、図5に示す処理は、終了し、積層体10が製造される。
本実施の形態の積層体の製造方法によれば、原子層堆積膜形成装置(図示せず)の真空チャンバー(図示せず)内に配置され、高分子材料からなる、原子層堆積法により、第1の無機物質を含む原子層堆積膜24を成膜する際の成膜原料となる前駆体23と結合可能な官能基を有する基材11の外面11aに、原子層堆積膜24よりなるアンダーコート層13を形成するアンダーコート層形成工程と、物理気相成長法または化学気相成長法により、アンダーコート層13の外面13aを覆うように、第2の無機物質を含有する機能層14を形成する機能層形成工程と、機能層14の外面14aを覆うように、オーバーコート層15を形成するオーバーコート層形成工程と、を有することにより、基材11の外面11aに存在する凹凸に前駆体23が入り込み、反応することで、基材11の外面11aに存在する凹凸がアンダーコート層13の成分で満たされるため、基材11とアンダーコート層13との界面の空隙を減少させることが可能となる。
これにより、機能層14の機能の低下を抑制できると共に、高分子材料よりなる基材11とアンダーコート層13の間の密着性を向上させることができる。
また、機能層14の外面14aを覆うオーバーコート層15を形成することで、機能層14の外面14a側の損傷や変質を抑制可能となるので、積層体10のガスバリア性を維持することができる。
さらに、アンダーコート層13の外面13aが、基材11の外面11aと比較して平滑な面となるので、安定した膜質の機能層14を形成することができる。
なお、本実施の形態では、図5を参照して、S2(前駆体23を供給する第1のステップ)と、S3(前駆体を排出する第2のステップ)と、を所定の回数繰り返した後に、S5(一原子層単位で堆積する原子層堆積膜を形成するステップ4)を行う場合(言い換えれば、原子層堆積膜24を効率良く形成する場合)を例に挙げて説明したが、これに替えて、S2とS3とをそれぞれ1回ずつ行った後に、S5を行うことで、一原子層とされた原子層堆積膜24を形成してもよい。
ここで、図1を参照して、本実施の形態のガスバリアフィルム(図示せず)の製造方法について説明する。
ガスバリアフィルム(図示せず)の製造方法は、ガスバリアフィルムの構成によって異なる。例えば、ガスバリアフィルムの構成が図1に示す積層体10と同じ構成である場合には、図1、及び図5〜図8を参照して説明した積層体10の製造方法と同様な手法により、製造することができる。
上記説明したガスバリアフィルム(図示せず)の製造方法は、先に説明した積層体10の製造方法と同様な効果を得ることができる。
以下、本発明の実施例1,2の積層体10−1〜10−2、比較例1〜4の積層体E−1〜E−4について説明するが、本発明は、下記実施例1,2により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<積層体の作製>
図1、及び図6〜図8を参照して、実施例1の積層体(以下、「積層体10−1」という)の作製方法について説明する。
始めに、高分子材料よりなり、かつ官能基を有する基材11として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(東洋紡績社製A4100)を準備した。
次いで、原子層堆積法(ALD法)により、基材11の外面11aに、厚さ3nmとされたAl膜(原子層堆積膜24)よりなるアンダーコート層13を形成した。
具体的には、下記方法により、厚さ3nmとされたAl膜を形成した。
始めに、真空チャンバー(図示せず)内に収容された基材11の外面11aに、成膜原料(前駆体)であるトリメチルアルミニウム(TMA)と、パージガスであるN及びOと、を同時に供給した。このとき、真空チャンバー(図示せず)内の圧力は、10〜50Paとした(ステップ1)。
上記ステップ1において、トリメチルアルミニウム(TMA)、N、及びOを供給する時間は、1秒とした。また、このときの真空チャンバー(図示せず)内の温度は、90℃とした。
次いで、真空チャンバー(図示せず)内を排気しながら、該真空チャンバー内にパージガスであるO及びNを供給することで、官能基と結合されていない前駆体23を該真空チャンバーの外に排出した(ステップ2)。
上記ステップ2において、パージガスであるO及びNを供給する時間は、それぞれ10秒とした。また、パージガスであるO及びNの供給量は、それぞれ100sccmとした。また、このときの真空チャンバー(図示せず)内の温度は、90℃とした。
その後、上記ステップ1とステップ2とよりなるサイクルを15回繰り返し行った(図5に示す第3のステップB)。
次いで、真空チャンバー(図示せず)内に、反応ガス(反応ガス兼放電ガス)としてOを10秒間供給すると共に、ICP(Inductively Coupled Plasma;誘導結合プラズマ)モードでプラズマ放電を実施することで、O(反応ガス)に電圧を印加してプラズマを発生させ、該プラズマと前駆体23とを反応させることで、一原子層単位の原子層堆積膜24を形成した(第4のステップ)。
このとき、プラズマガス励起用電源としては、13.56MHzの電源を用いた。また、プラズマ放電図時の出力電力は、250wattとした。また、このときの真空チャンバー(図示せず)内の温度は、90℃とした。
上記第1ないし第4のステップよりなるサイクルを1回行った際の原子層堆積膜24の厚さは、1.4Åであった。そこで、第1ないし第4のステップよりなるサイクルを21回行うことで、厚さが3nmとされたAl膜(アンダーコート層13)を形成した。
次いで、電子ビーム蒸着法により、アンダーコート層13の外面13aに、厚さが10nmとされたSiO1.6膜(組成がSiO1.6とされた膜)よりなる機能層14を形成した。
この際、成膜前の圧力は、4×10−3Paとし、成膜中の成膜チャンバー内の圧力は、2×10−2Paとした。
次いで、機能層14の外面14aに、接着層を介して、厚さ50μmのPET基材(東レ社製X10S)をドライラミネートすることで、該PET基材よりなるオーバーコート層15を形成した。これにより、実施例1の積層体10−1を製造した。
(比較例1)
<積層体の作製>
図1、及び図6〜図8を参照して、比較例1の積層体(以下、「積層体E−1」という)の作製方法について説明する。
比較例1では、実施例1で使用したPET基材(基材11)に替えて、厚さ70μmのポリプロピレン(PP)フィルム(三井化学東セロ社製RXC22)を用いたこと以外は、実施例1の積層体10−1と同様な手法により、比較例1の積層体E−1を作製した。
(比較例2)
<積層体の作製>
図1、及び図6〜図8を参照して、比較例2の積層体(以下、「積層体E−2」という)の作製方法について説明する。
比較例2では、実施例1で形成したアンダーコート層13を形成しなかった(言い換えれば、機能層14を基材11の外面11aに直接形成した)こと以外は、実施例1の積層体10−1と同様な手法により、比較例2の積層体E−2を作製した。
(比較例3)
<積層体の作製>
図1、及び図6〜図8を参照して、比較例3の積層体(以下、「積層体E−3」という)の作製方法について説明する。
比較例3では、実施例1で形成したオーバーコート層15を形成しなかった(言い換えれば、機能層14を基材11の外面11aに直接形成した)こと以外は、実施例1の積層体10−1と同様な手法により、比較例3の積層体E−3を作製した。
<耐久性試験前後の実施例1及び比較例1〜3の積層体の水蒸気透過率の測定>
実施例1の積層体10−1、及び比較例1〜3の積層体E−1〜E−3を用いて、耐久性試験を行う前の積層体10−1,E−1〜E−3の水蒸気透過率WVTR(g/(m・day))を測定した。
水蒸気透過率WVTRの測定は、MOCON社製の超高感度水蒸気透過率測定装置であるAQUATRAN2(登録商標)を用いて行った。
その結果、耐久性試験前において、実施例1の積層体10−1の水蒸気透過率が0.5(g/(m・day))、比較例1の積層体E−1の水蒸気透過率が2.3(g/(m・day))、比較例2の積層体E−2の水蒸気透過率が1.5(g/(m・day))、比較例3の積層体E−3の水蒸気透過率が0.8(g/(m・day))となった。
この結果を表1に示す。
Figure 2016151030
なお、表1には、実施例1,2の積層体10−1,10−2の構造と、比較例1〜4の積層体E−1〜E−4の構造と、耐久性試験前の積層体10−1,E−1〜E−3の水蒸気透過率と、耐久性試験後の積層体10−1,E−2,E−3の水蒸気透過率と、耐久性試験前の積層体10−1,E−2を構成する基材とアンダーコート層との間の密着強度と、耐久性試験後の積層体10−1,E−2を構成する基材とアンダーコート層との間の密着強度と、機械的ストレス試験前後の積層体10−2,E−4の水蒸気透過率と、を示す。
その後、積層体10−1,E−2,E−3に関して、耐久性試験を行った。
上記耐久性試験(加速寿命試験)は、ESPEC社製のPCT(Pressure Cooker Test)装置であるEHS−211Mを用いた。
このとき、温度が105℃で、湿度が100%RHの環境下に、積層体10−1,E−2,E−3を24時間暴露させた。
その後、MOCON社製の超高感度水蒸気透過率測定装置であるAQUATRAN2(登録商標)を用いて、耐久性試験後の積層体10−1,E−2,E−3の水蒸気透過率を測定した。測定は温度が40度で、かつ湿度が90%RHに調整されたNガスを用いて行われた。
その結果、耐久性試験後において、実施例1の積層体10−1の水蒸気透過率が0.7(g/(m・day))、比較例2の積層体E−2の水蒸気透過率が>10.0(g/(m・day))、比較例3の積層体E−3の水蒸気透過率が8.0(g/(m・day))となった。
なお、比較例1の積層体E−1に関しては、耐久性試験後の水蒸気透過率の測定を行わなかった。
この結果を表1に示す。
<耐久性試験前後の実施例1及び比較例2の積層体の基材とアンダーコート層との間の密着強度の測定>
実施例1の積層体10−1、及び比較例2の積層体E−2を用いて、耐久性試験を行う前後における積層体10−1,E−2の基材とアンダーコート層との間の密着強度を測定した。
密着性試験は、テンシロン(ORIENTEC製のRTC−1250(型番))を用いて、耐久性試験前後の積層体10−1,E−2からそれぞれ幅が10mmで、長さが100mmの領域を切り出し、180度の角度にて引張り試験を実施した。
その結果、耐久試験前の積層体10−1の密着強度が7.3(N/25mm)であり、耐久試験後の積層体10−1の密着強度が5.4(N/25mm)であり、耐久試験前の積層体E−2の密着強度が2.1(N/25mm)であり、耐久試験後の積層体E−2の密着強度が0.5(N/25mm)であった。この結果を表1に示す。
(実施例2)
<積層体の作製、及び機械的ストレス試験前後の該積層体の水蒸気透過率の測定>
図1、及び図6〜図8を参照して、実施例2の積層体(以下、「積層体10−2」という)の作製方法について説明する。
実施例2では、実施例1と同様な手法により、積層体10−2を作製し、実施例1の積層体10−1と同様な手法により、機械的ストレス試験前後の積層体10−2の水蒸気透過率を測定した。
機械的ストレスは、積層体10−2を構成するオーバーコート層15の外面15aにローラを当接させることで、積層体10−2に付与した。
上記水蒸気透過率の測定は、MOCON社製の超高感度水蒸気透過率測定装置であるAQUATRAN2(登録商標)を用いて行った。測定は温度が40度で、かつ湿度が90%RHに調整されたNガスを用いて行われた。
その結果、機械的ストレス試験前の積層体10−2の水蒸気透過率が0.5(g/(m・day))となり、機械的ストレス試験後の積層体10−2の水蒸気透過率が0.5(g/(m・day))となった。この結果を表1に示す。
(比較例4)
<積層体の作製、及び機械的ストレス試験前後の該積層体の水蒸気透過率の測定>
図1、及び図6〜図8を参照して、比較例4の積層体(以下、「積層体E−4」という)の作製方法について説明する。
比較例4の積層体E−4は、先に説明した比較例3の積層体E−3と同様な手法により製造した。つまり、比較例4の積層体E−4は、比較例3の積層体E−3と同様な積層構造とされている。
比較例4では、実施例2で使用した測定装置及び測定条件を用いて、機械的ストレス試験前後の積層体E−4の水蒸気透過率を測定した。
なお、比較例4では、実施例2と同様な手法を用いて、積層体E−4を構成するオーバーコート層15の外面15aを介して、積層体E−4に機械的ストレスを付与した。
その結果、機械的ストレス試験前の積層体E−4の水蒸気透過率が0.8(g/(m・day))となり、機械的ストレス試験後の積層体E−4の水蒸気透過率が3.4(g/(m・day))となった。この結果を表1に示す。
(実施例1,2、及び比較例1〜4の評価結果について)
表1を参照するに、実施例1,2の結果から、アンダーコート層13(原子層堆積膜24)の成膜原料となる前駆体23と結合可能な官能基を有する基材11(具体的には、PET基材)の外面11aに、原子層堆積法(ALD法)を用いて、アンダーコート層13を形成し、その後、アンダーコート層13の外面13aに、機能層14と、オーバーコート層15と、を順次形成することで、耐久性試験後において、耐久試験前の低い水蒸気透過率(言い換えれば、高いガスバリア性)、及び高い密着強度を確保することができると共に、機械的ストレス試験後において、機械的ストレス試験前の低い水蒸気透過率(言い換えれば、高いガスバリア性)を確保できることが確認できた。
一方、比較例1では、前駆体23が結合可能な官能基を有していないPP基材の外面に、原子層堆積法(ALD法)を用いて、アンダーコート層13を形成したため、PP基材では、耐久性試験前であってもガスバリア性が発現しにくいことが確認された。耐久性試験後は試験前と比較しガスバリア性が悪い結果となった。
比較例2では、前駆体23が結合可能な官能基を有するPET基材の外面に、アンダーコート層13を形成することなく、直接、機能層14を形成したため、実施例1の結果と比較して、耐久試験前後において、ガスバリア性及び密着強度が悪い結果となった。
比較例3では、前駆体23が結合可能な官能基を有したPET基材を用い、その後、アンダーコート層13と、機能層14と、を順次形成し、オーバーコート層15を形成することなく、比較例3の積層体E−3を作製した。
そのため、耐久試験前の積層体E−3の水蒸気透過率は、0.8(g/(m・day))で良好な結果となったが、オーバーコート層15を形成しなかった影響により、耐久試験後の積層体E−3の水蒸気透過率が>5.0(g/(m・day))となり、耐久試験後において、水蒸気透過率が著しく低下した結果となった。
比較例4では、比較例3の積層体E−3と同じ積層構造とされた積層体E−4を用いて、機械的ストレス試験前後の水蒸気透過率を測定した結果、機械的ストレス試験後に、水蒸気透過率が著しく低下した。
上記結果から、実施例1,2によれば、本発明の積層体は、機能層14の損傷や機能の低下を抑制し、高分子材料からなる、原子層堆積膜24の成膜原料となる前駆体23と結合可能な官能基を有する基材11と、基材11の外面11aに形成され、上記前駆体を含む原子層堆積膜24で構成され、かつ前駆体が基材11の外面11aに位置する官能基と結合されたアンダーコート層13との密着性を向上させることができ、さらにアンダーコート層13の外面13aに形成される機能層14の成膜が安定して形成でき、かつ状態が安定する。このため、従来の構成に比べて、積層体10のガスバリア性が向上し、耐久性試験後においてもガスバリア性が向上することが確認できた。
本発明は、高分子材料よりなる基材を含む積層体及びその製造方法、並びに該積層体を含むガスバリアフィルムに適用可能であり、具体的には、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、液晶ディスプレイ、半導体ウェハ等の電子部品や、医薬品や食料等の包装用フィルム、精密部品の包装用フィルム等に適用可能できる。
10…積層体、11…基材、11a,13a,14a,15a…外面、13…アンダーコート層、14…機能層、15…オーバーコート層、23…前駆体、24…原子層堆積膜、A…アンダーコート層形成工程、B…第3のステップ、C,C,C…領域

Claims (17)

  1. 高分子材料からなり、かつ第1の無機物質を含む原子層堆積膜の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材と、
    前記基材の外面の少なくとも一部に配置され、前記前駆体を含む前記原子層堆積膜で構成され、該前駆体が前記基材の外面に位置する前記官能基と結合されたアンダーコート層と、
    前記アンダーコート層の外面を覆うように配置され、第2の無機物質を含有する機能層と、
    前記機能層の外面を覆うオーバーコート層と、
    を有することを特徴とする積層体。
  2. 前記アンダーコート層の厚さは、2nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 前記第1の無機物質は、第II族元素、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属元素、及びランタノイド元素のうち、少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 前記官能基は、O原子を有する官能基またはN原子を有する官能基であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の積層体。
  5. 前記O原子を有する官能基が、OH基、COOH基、COOR基、COR基、NCO基、またはSO基のうちのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の積層体。
  6. 前記N原子を有する官能基は、NH基(但し、xは整数)であることを特徴とする請求項4記載の積層体。
  7. 前記機能層の厚さは、1nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の積層体。
  8. 前記オーバーコート層は、前記第2の無機物質の組成と異なる第3の無機物質を含むことを特徴とする請求項1または7のうち、いずれか1項記載の積層体。
  9. 前記オーバーコート層の材料は、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料よりなることを特徴とする請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の積層体。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の積層体であり、
    前記積層体の水蒸気透過率が1.0g/(m・day)以下であることを特徴とするガスバリアフィルム。
  11. 真空チャンバー内に配置され、高分子材料よりなり、かつ原子層堆積法により、第1の無機物質を含む原子層堆積膜を成膜する際の成膜原料となる前駆体と結合可能な官能基を有する基材の外面の少なくとも一部に、前記原子層堆積膜よりなるアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程と、
    物理気相成長法または化学気相成長法により、前記アンダーコート層の外面を覆うように、第2の無機物質を含有する機能層を形成する機能層形成工程と、
    前記機能層の外面を覆うように、オーバーコート層を形成するオーバーコート層形成工程と、
    を含み、
    前記基材として、前記前駆体と結合可能な官能基を有する基材を用いることを特徴とする積層体の製造方法。
  12. 前記アンダーコート層形成工程は、前記基材の外面に前記官能基と結合するように、前記前駆体を供給する第1のステップと、
    前記第1のステップ後、前記官能基と結合されていない前記前駆体を前記真空チャンバーの外へ排出する第2のステップと、
    前記第1のステップと、前記第2のステップと、を所定の回数繰り返し行う第3のステップと、
    前記真空チャンバー内に反応ガスを供給し、該反応ガスに電圧を印加することでプラズマを発生させ、該プラズマと前記前駆体とを反応させることで、一原子層の厚さとされた前記原子層堆積膜を形成する第4のステップと、
    積層された前記原子層堆積膜の合計の厚さが前記アンダーコート層の所定の厚さとなるように、前記第1ないし第4のステップよりなるサイクルを繰り返し行うことを特徴とする請求項11記載の積層体の製造方法。
  13. 前記アンダーコート層形成工程では、厚さが2nm以上200nm以下となるように、前記アンダーコート層を形成することを特徴とする請求項11または12記載の積層体の製造方法。
  14. 前記第1の無機物質として、第II族元素、第III族元素、第IV族元素、第V族元素、遷移金属元素、及びランタノイド元素のうち、少なくとも1つの元素を用いることを特徴とする請求項11ないし13のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
  15. 前記機能層形成工程では、厚さが1nm以上200nm以下となるように、前記機能層を形成することを特徴とする請求項11ないし14のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
  16. 前記オーバーコート層形成工程では、前記第2の無機物の組成と異なる第3の無機物質を含むように、前記オーバーコート層を形成することを特徴とする請求項11または15のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
  17. 前記オーバーコート層形成工程では、有機高分子材料または無機材料、あるいは有機・無機ハイブリッド材料を用いて、前記オーバーコート層を形成することを特徴とする請求項11ないし16のうち、いずれか1項記載の積層体の製造方法。
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