JP2016150832A - 剥離開始部作成装置、及び剥離開始部作成方法並びに電子デバイスの製造方法 - Google Patents

剥離開始部作成装置、及び剥離開始部作成方法並びに電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナイフを精度よく刺入できる剥離開始部作成装置、及び剥離開始部作成方法並びに電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】基板と補強板とが樹脂層を介して剥離可能に貼合される積層体に剥離開始部を作成する剥離開始部作成装置において、ナイフと樹脂層との位置関係を検出し、検出結果に基づいてナイフを鉛直方向に移動して樹脂層の位置から所定距離だけナイフを補強板の側に鉛直方向に移動し、積層体に対して水平方向にナイフを前進させ、ナイフが補強板又は樹脂層の何れに接触したか検出し、検出ステップで樹脂層でないと判断されると、積層体に対して水平方向にナイフを後退させ、ナイフを基板の側に鉛直方向に移動し、樹脂層を検出するまで、上記ステップを繰り返し、検出ステップで樹脂層であると判断すると、積層体に対して水平方向にナイフを継続前進させて積層体に剥離開始部を形成する。
【選択図】図5

Description

本発明は剥離開始部作成装置、及び剥離開始部作成方法並びに電子デバイスの製造方法に関する。
表示パネル、太陽電池、又は薄膜二次電池等の電子デバイスの薄型化、軽量化に伴い、これらの電子デバイスに用いられるガラス製、樹脂製、金属製等の基板の薄板化が要望されている。
しかし、基板の板厚が薄くなると、基板のハンドリング性が悪くなり、基板の上に電子デバイス用の機能層(たとえば、薄膜トランジスタ(TFT: Thin Film Transistor)やカラーフィルタ(CF:Color Filter)など)を形成することが難しくなる。
そこで、樹脂層を介して補強板を基板に貼合することで基板を補強し、この補強された基板の上に機能層を形成する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法では、基板に補強板を貼合して積層体とし、その積層体とされた基板の上に機能層を形成する。そして、機能層の形成後、基板から補強板を剥離する。
補強板の剥離は、たとえば、対角線上に位置する2つのコーナ部の一方端から他方端に向けて、補強板又は基板、あるいは、その双方を撓み変形させることにより行われる。この際、剥離が容易に行われるようにするために、剥離開始部(剥離のきっかけとなる隙間)が人為的に作成される。この剥離開始部は、樹脂層にナイフを刺入することにより作成される。
国際公開第2010/090147号
剥離開始部の作成においては、ナイフの刃先を樹脂層に精度よく刺入する必要がある。ナイフの刺入を精度よく行うためには、樹脂層とナイフの刃先との位置関係を検出し、その検出結果に基づいて、ナイフの刃先と樹脂層とが対向するように積層体とナイフとの位置調整をし、ナイフを樹脂層に刺入する必要がある。
しかしながら、ナイフの刃先と樹脂層との位置を検出する精度と、積層体とナイフとを位置調整する精度との関係で、ナイフが樹脂層ではなく製品となる基板に位置調整される場合がある。この状態で、ナイフを樹脂層に向けて移動させると、ナイフと基板とが接触し、ナイフが製品となる基板に損傷を与える懸念がある。特に。樹脂層が薄くなると、その懸念が顕著となる。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ナイフを樹脂層に精度よく刺入することができる剥離開始部作成装置、及び剥離開始部作成方法並びに電子デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
第1の実施形態に係る剥離開始部作成装置は、第1の主面と第2の主面とを有する第1の基板と、第1の主面と第2の主面とを有する第2の基板とが吸着層を介して剥離可能に貼合された積層体に対して、前記吸着層にナイフを刺入することにより、前記積層体に剥離開始部を作成する積層体の剥離開始部作成装置において、前記ナイフと前記積層体とを前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に相対的に前進又は後退させる移動部と、前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したかを検出する検出部と、前記第2の基板の前記第2の主面と垂直な方向における前記積層体と前記ナイフとの位置関係を検出する位置検出部と、前記第2の基板の前記第2の主面に垂直な方向に相対的に移動させ、前記積層体と前記ナイフとの位置を調整する位置調整部と、前記移動部、前記検出部、前記位置検出部、及び前記位置調整部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記位置検出部により前記積層体と前記ナイフとの位置を検出する位置検出処理と、前記位置検出部の検出結果に基づいて、前記位置調整部により、前記ナイフの位置を前記積層体の前記吸着層に対向する位置から予め定められた距離だけ前記第2の基板の側に前記ナイフの位置を位置調整する第1位置調整処理と、前記移動部により前記ナイフと前記積層体とを相対的に前進する前進処理と、前記検出部により前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したか検出する検出処理と、前記ナイフの刃先が前記第2の基板に接触したと検出した場合は、前記移動部により前記積層体と前記ナイフと相対的に後退する後退処理と、前記位置調整部により前記吸着層の側に前記吸着層の厚さ以下の距離だけ前記ナイフの位置を調整する第2位置調整処理と、を実行し、前記ナイフが前記吸着層に接触したことを検出するまで、前記前進処理と前記検出処理と前記後退処理と前記第2位置調整処理とをこの順で繰り返し、前記ナイフの刃先が前記吸着層に接触したと検出した場合は、前記移動部により前記ナイフと前記積層体とを継続して相対的に前進する継続前進処理を実行する。
第2の実施形態に係る剥離開始部作成方法は、第1の主面と第2の主面とを有する第1の基板と、第1の主面と第2の主面とを有する第2の基板とが吸着層を介して剥離可能に貼合された積層体に対して、前記吸着層にナイフを刺入することにより、前記積層体に剥離開始部を作成する剥離開始部作成方法において、前記第2の基板の前記第2の主面と垂直な方向における前記積層体と前記ナイフとの位置関係を検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップの検出結果に基づいて、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記ナイフの位置を前記積層体の前記吸着層に対向する位置から予め定められた距離だけ前記第2の基板の側に前記ナイフの位置を位置調整する第1位置調整ステップと、前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記ナイフと前記積層体とを相対的に前進させる前進ステップと、前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したか検出する検出ステップと、前記ナイフの刃先が前記第2の基板に接触したと検出した場合は、前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記積層体と前記ナイフと相対的に後退させる後退ステップと、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記吸着層の側に前記吸着層の厚さ以下の距離だけ前記ナイフの位置を調整する第2位置調整ステップと、を実行し、前記ナイフが前記吸着層に接触したことを検出するまで、前記前進ステップと前記検出ステップと、前記後退ステップと前記第2位置調整ステップとをこの順で繰り返すステップと、前記ナイフの刃先が前記吸着層に接触したと検出した場合は、前記ナイフと前記積層体とを相対的に継続して前進させる継続前進ステップと、を有する。
第3の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、第1の主面と第2の主面とを有する第1の基板と、第1の主面と第2の主面とを有する第2の基板とが吸着層を介して、前記第1の基板の第2の主面と前記第2の基板の第1の主面とが剥離可能に貼合された積層体に対し、前記第1の基板の第1の主面に機能層を形成する機能層形成工程と、前記機能層が形成された前記第1の基板と前記第2の基板とを分離する分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法において、前記分離工程は、前記吸着層にナイフを刺入れて剥離開始部を作成する剥離開始部作成工程と、前記剥離開始部を起点として前記第1の基板と前記第2の基板とを順次剥離する剥離工程と、を有し、剥離開始部作成工程は、前記第2の基板の前記第2の主面と垂直な方向における前記積層体と前記ナイフとの位置関係を検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップの検出結果に基づいて、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記ナイフの位置を前記積層体の前記吸着層に対向する位置から予め定められた距離だけ前記第2の基板の側に前記ナイフの位置を位置調整する第1位置調整ステップと、前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記ナイフと前記積層体とを相対的に前進させる前進ステップと、前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したか検出する検出ステップと、前記ナイフの刃先が前記第2の基板に接触したと検出した場合は、前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記積層体と前記ナイフと相対的に後退させる後退ステップと、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記吸着層の側に前記吸着層の厚さ以下の距離だけ前記ナイフの位置を調整する第2位置調整ステップと、を実行し、前記ナイフが前記吸着層に接触したことを検出するまで、前記前進ステップと前記検出ステップと、前記後退ステップと前記第2位置調整ステップとをこの順で繰り返すステップと、前記ナイフの刃先が前記吸着層に接触したと検出した場合は、前記ナイフと前記積層体とを相対的に継続して前進させる継続前進ステップと、を含む。
本発明に係る剥離開始部作成装置、及び剥離開始部作成方法並びに電子デバイスの製造方法によれば、ナイフを樹脂層に精度よく刺入することができる。
電子デバイスの製造工程に供される積層体の一例を示す要部拡大側面図 LCDの製造工程の途中で作製される積層体の一例を示す要部拡大側面図 剥離開始部作成装置の構成を示した説明図 ナイフと積層体との位置関係を検出する位置検出部の構成を示した説明図 剥離開始部作成方法の手順を示すフローチャート 剥離開始部作成方法の手順の一部を示した側面図 剥離開始部作成方法の手順の一部を示した側面図 剥離開始部作成方法の手順の一部を示した側面図 剥離開始部作成方法の手順の一部を示した平面図 剥離装置の構成を示した縦断面図 剥離ユニットに対する複数の可動体の配置位置を模式的に示した可撓性板の平面図 剥離ユニットの構成を示した説明図 積層体から補強板を剥離している剥離装置の縦断面図
以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
以下、添付図面にしたがって、本発明に係る剥離開始部作成装置、及び剥離開始部作成方法並びに電子デバイスの製造方法について説明する。
電子デバイスとは、表示パネル、太陽電池、又は薄膜二次電池等の電子部品をいう。表示パネルとしては、液晶ディスプレイパネル(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、及び有機ELディスプレイパネル(OELD:Organic Electro Luminescence Display)を例示できる。
〔電子デバイスの製造方法の概要〕
電子デバイスは、ガラス製、樹脂製、金属製等の基板の第1の主面に電子デバイス用の機能層(LCDであれば、薄膜トランジスタ(TFT)、カラーフィルタ(CF))を形成することにより製造される。
この基板は、機能層の形成前に、その第2の主面に樹脂層を介して補強板が貼合され、積層体として構成される。その後、積層体の状態で基板の第1の主面に機能層が形成され、機能層の形成後、補強板が基板から剥離される。
すなわち、電子デバイスの製造方法は、積層体の状態で基板の第1の主面に機能層を形成する機能層形成工程、及び機能層が形成された基板と補強板とを分離する分離工程が備えられる。この分離工程は、樹脂層にナイフを刺入れて剥離開始部を作成する剥離開始部作成工程と、剥離開始部を起点として基板と補強板とを順次剥離する剥離工程と、を含んでいる。この分離工程の剥離開始部作成工程に、本発明に係る剥離開始部作成方法及び剥離開始部作成装置が適用される。
〔積層体〕
図1は、積層体1の一例を示した要部拡大側面図である。
積層体1は、第1の基板である基板2と、その基板2を補強する第2の基板である補強板3とを備える。第1の基板である基板2に機能層が形成される。また、補強板3は、第1の主面3a(基板2と対向する面)に吸着層である樹脂層4を備え、この樹脂層4に基板2の第2の主面2b(機能層が形成される第1の主面2aと反対の面)が貼合される。基板2は、樹脂層4との間に作用するファンデルワールス力、又は樹脂層4の粘着力によって、補強板3に剥離可能に貼合される。補強板3は、その第2の主面3b(基板2と対向する第1の主面3aと反対の面)がテーブル(不図示)等に支持される。
[基板]
第1の基板を構成する基板2は、第1の主面2aと第2の主面2bとを備えている。基板2の第1の主面2aの上に機能層が形成される。基板2としては、ガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、金属基板、半導体基板を例示できる。例示されたこれらの基板のなかでも、ガラス基板は、耐薬品性、耐透湿性に優れ、かつ、線膨張係数が小さいので、電子デバイス用の基板2として好適である。また、線膨張係数が小さくなるにしたがい、高温下で形成される機能層のパターンが冷却時にずれ難くなるという利点もガラス基板にはある。ここで、基板2が最終製品を構成する製品基板となる。
ガラス基板のガラスとしては、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、又はその他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスを例示できる。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
ガラス基板のガラスは、製造する電子デバイスの種類に適したガラス、その製造工程に適したガラスを選択して採用することが好ましい。たとえば、液晶パネル用のガラス基板には、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)を採用することが好ましい。
基板2の板厚は、基板2の種類に応じて設定される。たとえば、基板2にガラス基板を採用する場合、その板厚は、電子デバイスの軽量化、薄板化のため、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下に設定される。板厚が0.3mm以下の場合、ガラス基板に良好なフレキシブル性を与えることができる。更に、板厚が0.1mm以下の場合、ガラス基板をロール状に巻き取ることができる。なお、ガラス基板の製造の観点、及びガラス基板の取り扱いの観点から、その板厚は0.03mm以上であることが好ましい。
図1では基板2が1枚の基板で構成されているが、基板2は、複数枚の基板で構成されたものでもよい。すなわち、基板2は、複数枚の基板を積層した積層体で構成することもできる。
[補強板]
第2の基板を構成する補強板3は、第1の主面3aと第2の主面3bとを備え、第1の主面3aの側に基板2が貼合され、第2の主面3bの側がステージ等に支持される。補強板3はガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、金属基板、及び半導体基板を例示できる。
補強板3の種類は、製造する電子デバイスの種類、その電子デバイスに使用する基板2の種類等に応じて選定される。補強板3と基板2とが同一の材質であれば、機能層形成工程おける意図しない、温度変化による反り、剥離を低減できる。
補強板3と基板2との平均線膨張係数の差(絶対値)は、基板2の寸法形状等に応じて適宜設定される。平均線膨張係数の差は35×10−7/℃以下であることが好ましい。ここで、「平均線膨張係数」とは、50〜300℃の温度範囲における平均線膨張係数(JIS R3102)をいう。
補強板3の板厚は、0.7mm以下に設定され、補強板3の種類、補強する基板2の種類、板厚等に応じて設定される。なお、補強板3の板厚は、基板2よりも厚くてもよいし、薄くてもよいが、基板2を補強するため、0.4mm以上であることが好ましい。
なお、本例では補強板3が1枚の基板で構成されているが、補強板3は、複数枚の基板を積層した積層体で構成することもできる。
[樹脂層]
吸着層を構成する樹脂層4は補強板3の第1の主面3aに備えられ、補強板3と基板2とが樹脂層4を介して剥離可能に貼合される。樹脂層4と補強板3との間で意図しない剥離を防止するため、樹脂層4と補強板3との間の結合力が、樹脂層4と基板2との間の結合力よりも高く設定される。これにより、剥離工程では、積層体1の樹脂層4と基板2との間で剥離が実行される。
樹脂層4を構成する樹脂は、特に限定されないが、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、及びポリイミドシリコーン樹脂を例示できる。いくつかの種類の樹脂を混合して用いることもできる。そのなかでも、耐熱性や剥離性の観点から、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂が好ましい。
樹脂層4の厚さは、特に限定されないが、好ましくは1〜50μmに設定され、より好ましくは2〜20μmに設定される。樹脂層4の厚さを1μm以上とすることにより、樹脂層4と基板2との間に気泡や異物が混入した際、樹脂層4の変形によって、気泡や異物の厚さを吸収できる。一方、樹脂層4の厚さを50μm以下とすることにより、樹脂層4の形成時間を短縮でき、更に樹脂層4の樹脂を必要以上に使用しないため経済的である。
なお、樹脂層4の外形は、補強板3が樹脂層4の全体を支持できるように、補強板3の外形と同一であるか、補強板3の外形よりも小さいことが好ましい。また、樹脂層4の外形は、樹脂層4が基板2の全体を密着できるように、基板2の外形と同一であるか、基板2の外形よりも大きいことが好ましい。
また、図1では樹脂層4が1層で構成されているが、樹脂層4は2層以上で構成することもできる。この場合、樹脂層4を構成する全ての層の合計の厚さが、樹脂層4の厚さとなる。また、この場合、各層を構成する樹脂の種類は異なっていてもよい。
更に、実施形態では、吸着層として有機膜である樹脂層4を用いたが、樹脂層4に代えて無機層を用いてもよい。無機層を構成する無機膜は、例えばメタルシリサイド、窒化物、炭化物、及び炭窒化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
メタルシリサイドは、例えばW、Fe、Mn、Mg、Mo、Cr、Ru、Re、Co、Ni、Ta、Ti、Zr、及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであり、好ましくはタングステンシリサイドである。
窒化物は、例えばSi、Hf、Zr、Ta、Ti、Nb、Na、Co、Al、Zn、Pb、Mg、Sn、In、B、Cr、Mo、及びBaからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであり、好ましくは窒化アルミニウム、窒化チタン、または窒化ケイ素である。
炭化物は、例えばTi、W、Si、Zr、及びNbからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであり、好ましくは炭化ケイ素である。
炭窒化物は、例えばTi、W、Si、Zr、及びNbからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであり、好ましくは炭窒化ケイ素である。
メタルシリサイド、窒化物、炭化物、及び炭窒化物は、その材料に含まれるSi、N又はCと、その材料に含まれる他の元素との間の電気陰性度の差が小さく、分極が小さい。そのため、無機膜と水との反応性が低く、無機膜の表面に水酸基が生じにくい。よって、無機膜とガラス基板である基板2との離型性が良好に保たれる。
〔機能層が形成された積層体〕
機能層形成工程を経ることにより積層体1の基板2の第1の主面2aには、機能層が形成される。機能層の形成方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法等の蒸着法、スパッタ法が用いられる。機能層は、フォトリソグラフィ法、エッチング法によって所定のパターンに形成される。
図2は、LCDの製造工程の途中で作製される積層体6の一例を示した要部拡大側面図である。
積層体6は、補強板3A、樹脂層4A、基板2A、機能層7、基板2B、樹脂層4B、及び補強板3Bが、この順で積層されて構成される。補強板3Aは樹脂層4Aを介して基板2Aに剥離可能に貼合され、補強板3Bは樹脂層4Bを介して基板2Bに剥離可能に貼合されている。すなわち、図2の積層体6は、図1に示した積層体1が、機能層7を挟んで対称に配置された積層体に相当する。以下、基板2A、樹脂層4A、及び補強板3Aからなる積層体を第1の積層体1Aとし、基板2B、樹脂層4B、及び補強板3Bからなる積層体を第2の積層体1Bという。
第1の積層体1Aの基板2Aの第1の主面2Aaには、機能層7としての薄膜トランジスタ(TFT)が形成される。第2の積層体1Bの基板2Bの第1の主面2Baには、機能層7としてのカラーフィルタ(CF)が形成される。
第1の積層体1Aと第2の積層体1Bとは、互いに基板2Aの第1の主面2Aaと基板2Bの第1の主面2Baとが重ね合わされて一体化される。これにより、機能層7を挟んで、第1の積層体1Aと第2の積層体1Bとが、対称に配置された構造の積層体6が製造される。
基板2Aの第2の主面2Abと補強板3Aの第1の主面3Aaとが対向する位置に配置され、樹脂層4Aを介して基板2Aと補強板3Aとが剥離可能に貼合される。また、基板2Bの第2の主面2Bbと補強板3Bの第1の主面3Baとが対向する位置に配置され、樹脂層4Bを介して基板2Bと補強板3Bとが剥離可能に貼合される。積層体6は、剥離工程で補強板3A、3Bが剥離され、その後、偏光板、バックライト等が取り付けられて、製品であるLCDが製造される。剥離工程では、補強板3Aの第2の主面3Ab、及び/又は補強板3Bの第2の主面3Bbを可撓性板により吸着し、可撓性板を撓ませることにより補強板3A及び/又は補強板3Bを積層体6から剥離する。
なお、図2の積層体6は、補強板3Aと補強板3Bとを備える構成であるが、積層体としては、補強板3A、及び補強板3Bの一方のみを備える構成であってもよい。
〔剥離開始部作成装置〕
図3は、剥離開始部作成装置10の構成を説明するための説明図である。なお、ここでは、便宜上、図1に示した積層体1に剥離開始部を形成する場合を例に説明する。
剥離開始部作成装置10は、積層体1を支持するテーブル12と、ナイフNを保持するホルダ14と、テーブル12を水平方向(図3中のX軸方向)に移動させるテーブル駆動ユニット16と、ナイフNを水平方向に移動させるナイフ駆動ユニット18と、ナイフNを鉛直方向(図3中のZ軸方向)に移動して位置を調整する位置調整ユニット20と、ナイフNの刃先Naが積層体1のどの位置(樹脂層4又は補強板3)に接触したかを検出する検出部としてのロードセル22と、ホルダ14とロードセル22とを搭載するための支持部材24と、ナイフNの刃先Naの高さ方向の位置を検出するレーザ変位計26と、テーブル12に支持された積層体1の補強板3の板厚を検出する板厚検出計28と、全体の動作を統括して制御する制御部として機能する制御部30と、を備えて構成される。
テーブル12は、テーブル支持架台32の上に水平に設置される。テーブル12は、積層体1のほぼ全面を支持できるように、積層体1の外形に対応した外形を有する。テーブル12の上面は、積層体1の載置面とされ、水平面として構成される。積層体1は、このテーブル12の上面(載置面)に載置される。
また、テーブル12には、図示しない吸引機構が備えられる。テーブル12に載置された積層体1は、この吸引機構によって、補強板3の第2の主面3bが真空吸引される。これにより、テーブル12に載置された積層体1が、テーブル12に吸着保持される。
ナイフNは、平面視で矩形の平板形状を有し、片方の長辺部分に鋭角な刃先Naを有する。ナイフNの板厚は、たとえば、50〜600μmである。
ホルダ14は、ナイフNを着脱可能に保持する。ホルダ14は、例えば、ナイフNの両端部を把持する。ホルダ14は、支持部材24の上面に設けられた直動装置34に固定されている。直動装置34は、支持部材24の上面に固定されたガイドレール36と、ガイドレール36と係合されたガイドブロック38とを備え、ガイドブロック38はガイドレール36に沿ってスライド移動自在に支持されている。ホルダ14がガイドブロック38に固定されている。ガイドブロック38をガイドレール36に沿ってスライドすることにより、ホルダ14とホルダ14に保持されるナイフNとをガイドレール36に沿ってスライドさせることができる。
支持部材24の上面に、ホルダ14から離間して積層体1の位置と反対の位置にフレーム40が設けられている。フレーム40にはロードセル22と第1のストッパ42とが設けられている。ホルダ14とロードセル22との間に圧縮バネ44が取り付けられている。圧縮バネ44による押圧力をロードセル22で測定することができる。また、圧縮バネ44により、ホルダ14は積層体1の方向に付勢されている。
なお、圧縮バネ44による押圧力をロードセル22により測定することで、刃先Naが補強板3又は樹脂層4の何れに接触したかを検出することができる。この方法については後述する。
支持部材24の上面であって、ホルダ14に対して圧縮バネ44と反対側に第2のストッパ46が設けられている。第2のストッパ46が、支持部材24の上面において、圧縮バネ44の付勢力に抗してホルダ14の移動を規制する。
圧縮バネ44の付勢力とは反対方向の力(ここで反力という)を、刃先Naが受けた場合、反力の大きさに応じてホルダ14が付勢力と反対方向に移動する。この場合、圧縮バネ44は圧縮される。圧縮バネ44が完全に圧縮される前に、第1のストッパ42が反力に抗してホルダ14の移動を規制する。なお、第1のストッパ42、及び圧縮バネ44の動作についてはさらに後述する。
テーブル駆動ユニット16は、積層体移動部を構成し、テーブル12が設置されたテーブル支持架台32を水平方向に移動させて、テーブル12に支持された積層体1を水平移動させる。テーブル駆動ユニット16は、本体フレーム50と、本体フレーム50に備えられるレール52と、レール52の上をスライド可能なスライダ54と、レール52に沿って配設されるボールネジ56と、ボールネジ56を回転させるモータ58と、を備える。本体フレーム50はベース(不図示)に水平に設置される。ここでベースとは剥離開始部作成装置10が設置される場所であり、例えば、代表的には床面である。
モータ58の回転運動がボールネジ56により直線運動に変換され、レール52に沿って、スライダ54が直線運動する。この結果、スライダ54に設置されたテーブル支持架台32と、テーブル支持架台32に設置されたテーブル12とが水平方向に移動自在となる。
ナイフ駆動ユニット18は、ナイフ移動部を構成し、ナイフNを保持するホルダ14を搭載する支持部材24を水平方向に移動させて、結果としてナイフNを水平方向に移動させる。ナイフ駆動ユニット18は、ベース(不図示)上に設置された架台80の上に設置される。
ナイフ駆動ユニット18は、本体フレーム60と、本体フレーム60に備えられるレール62と、レール62の上をスライド可能なスライダ64と、レール62に沿って配設されるボールネジ66と、ボールネジ66を回転させるモータ68と、を備える。本体フレーム60はベース(不図示)に水平方向に設置される。本体フレーム60はベース(不図示)に水平に設置された架台80に対して水平に設置される。モータ68の回転運動がボールネジ66により直線運動に変換され、スライダ64が直線運動する。
支持部材24は、スライダ64の上に位置調整ユニット20を介して設置される。したがって、スライダ64を水平方向に移動することにより、位置調整ユニット20、支持部材24、ホルダ14及びナイフNが水平方向に移動自在となる。
ここで、ナイフ駆動ユニット18のレール62は、テーブル駆動ユニット16のレール52と平行になるように設置されるので、テーブル12とナイフNとが水平面上を同じ方向(図3中のX軸方向)に直線移動することができる。したがって、積層体1とナイフNとを相対的に水平方向に前進又は後退させることができる。
ここで、前進とはナイフNと積層体1とが近接するように移動することを意味し、後退とは、ナイフNと積層体1とが離間するように移動することを意味する。
実施形態では、積層体移動部(テーブル駆動ユニット16)とナイフ移動部(ナイフ駆動ユニット18)とにより移動部が構成されている。この移動部により、ナイフNと積層体1とを水平方向に相対的に前進又は後退させる。ナイフNと積層体1とを水平方向に相対的に前進又は後退させる限りにおいて、特にその構成は限定されない。ここで水平方向は、図3中のX軸方向であり、第2の基板である補強板3の第2の主面3bに平行な方向を意味する。
位置調整ユニット20は、位置調整部を構成し、ナイフNを保持するホルダ14を鉛直方向に移動させて、ナイフNを鉛直方向に移動させる。位置調整ユニット20は、ナイフ駆動ユニット18のスライダ64の上に設置されている。
位置調整ユニット20は、本体フレーム70と、本体フレーム70に備えられるレール72と、レール72の上をスライド可能なスライダ74と、レール72に沿って配設されるボールネジ76と、ボールネジ76を回転させるモータ78と、を備える。本体フレーム70は、ナイフ駆動ユニット18のスライダ64の上に垂直に起立して設置される。モータ78の回転運動がボールネジ76により直線運動に変換され、スライダ74が直線運動する。
支持部材24は、位置調整ユニット20のスライダ74に設けられている。したがって、スライダ74を鉛直方向に移動することにより、支持部材24、ホルダ14及びナイフNが鉛直方向に移動自在となる。
実施形態では、位置調整ユニット20により位置調整部が構成されている。この位置調整部によりナイフNと積層体1とを鉛直方向に移動することで、ナイフNと積層体1との位置が調整される。鉛直方向は、図3中のZ軸方向であり、第2の基板である補強板3の第2の主面3bに垂直な方向を意味する。
実施形態では公知のレーザ変位計26がブラケット(不図示)を介してベース(不図示)に設置されている。このレーザ変位計26は検出光としてのレーザ光を鉛直方向に出射して、そのレーザ光が照射された物体の表面までの距離を検出する。水平面として設定される基準面からの変位量を検出して、基準面から物体の表面までの距離を検出する。
また、公知の板厚検出計28が、ブラケット(不図示)を介して、ベース(不図示)に設置され、鉛直に上向きに検査光を出射する。板厚検出計28は、例えば、分光干渉法によって補強板3の板厚を検出する。分光干渉法による板厚検出計28では、積層体1に向けて光源から検査光を照射し、積層体1で反射した干渉光を分光器で分光し、分光した光を受光器で受光し、受光波形を解析して、補強板3の板厚を算出する。検査光は、所定の広さの波長を有し、受光波形の解析では波長に対する強度の変化を解析する。分光干渉法による板厚検出計28を用いる場合、積層体1を構成する補強板3は、透光性を有するものであることが好ましい。
次に、レーザ変位計26と板厚検出計28とにより、積層体1とナイフNとの位置関係を検出する位置検出方法について図4を参照して説明する。なお、図4は、ナイフと積層体との位置関係を検出する位置検出部の構成を示す説明図である。実施形態ではレーザ変位計26と板厚検出計28とが位置検出部を構成している。但し、位置関係を検出することができれば、位置検出部は、特に限定されることはない。
ナイフNをレーザ変位計26の設置位置に移動することにより、その刃先Naにレーザ光が照射され、刃先Naの高さ方向の位置、すなわち、基準面からの鉛直方向の距離L1が検出される。
テーブル12に支持された積層体1をレーザ変位計26の設置位置(検出位置)に移動することにより、補強板3の第2の主面3bにレーザ光が照射され、補強板3の第2の主面3bの高さ方向の位置、すなわち、基準面からの鉛直方向の距離L2が検出される。
テーブル12に支持された積層体1を板厚検出計28の設置位置(板厚検出位置)に移動することにより、補強板3の第2の主面3bに向けて検査光が出射され、補強板3の板厚が検出される。
なお、補強板3は第1の主面3aに樹脂層4を備えているので、補強板3の板厚T1と、樹脂層4を含めた補強板3の板厚T2(補強板3の板厚+樹脂層4の厚さ)とが、補強板3の板厚として検出される。
取得した距離L1、距離L2、及び補強板3の板厚T1,T2から、積層体1とナイフNとの位置関係、すなわち、ナイフNの刃先Naとナイフ刺入予定位置との距離H(ズレ量ともいう)を検出する。
上述したように補強板3に樹脂層4が備えられているので、補強板3の板厚T1と、樹脂層4と補強板3とを含めた板厚T2との平均値((T1+T2)/2)が、補強板3の板厚とされる。距離Hは、したがって、H=[L2+((T1+T2)/2)]−L1で求めることができる。なお、距離Hを、補強板3の板厚T1と、樹脂層4と補強板3とを含めた板厚T2との平均値((T1+T2)/2)を利用して求めているので、ナイフ刺入予定位置は樹脂層4の厚さ方向の中央に設定されることになる。
制御部30は、剥離開始部作成装置10の全体の動作を統括制御するとともに、各種演算処理を実行する。制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体等を含むコンピュータ等で構成される。制御部30は所定の制御プログラムを実行して、各種処理を実行する。例えば、テーブル駆動ユニット16の駆動を制御して、テーブル12の移動を制御するとともに、ナイフ駆動ユニット18の駆動を制御して、ナイフNの移動を制御する。また、レーザ変位計26、及び板厚検出計28の検出結果に基づいて、ナイフ刺入予定位置に対するナイフNの刃先Naとの位置関係を検出し、その検出結果に基づいて、位置調整ユニット20の駆動を制御して、積層体1に対するナイフNの位置調整を実施する。
[剥離開始部作成方法]
剥離開始部作成装置10による剥離開始部作成方法について、図3から図8を参照に説明する。図5は剥離開始部作成方法の手順を示すフローチャートであり、図6から図8は剥離開始部作成方法の手順の一部を示した説明図である。
実施形態においては、制御部30が、テーブル駆動ユニット16、ナイフ駆動ユニット18、レーザ変位計26、板厚検出計28、及び位置調整ユニット20の動作を統括制御することにより、剥離開始部作成装置10による剥離開始部作成方法が実行される(図3)。
最初に、図5のフローチャートに示すように、制御部30が位置検出処理である位置検出ステップを実行する(ステップS110)。位置検出ステップでは、制御部30がテーブル駆動ユニット16、ナイフ駆動ユニット18、レーザ変位計26、及び板厚検出計28を駆動し、取得され情報に基づいて制御部30が積層体1とナイフNと位置関係を検出する。すなわち、ナイフ刺入予定位置と刃先Naとの距離H(ズレ量)を検出する(図4、及び図6(A))。
次に、図5のフローチャートに示すように、制御部30が第1位置調整処理である第1位置調整ステップを実行する(ステップS120)。第1位置調整ステップでは、まず、検出された距離H(ズレ量)の検出結果に基づいて、制御部30が位置調整ユニット20を駆動し、積層体1の樹脂層4に対向する位置にナイフNを位置調整する(図6(B))。すなわち、ナイフNの刃先Naをナイフ刺入予定位置と同じ高さに位置させるように、ナイフNを鉛直方向に移動する。同じ高さに位置させるとは、距離Hが0となるように位置させることを意味する。
次に、第1位置調整ステップでは、制御部30が位置調整ユニット20を駆動し、ナイフNの位置を予め定められた距離だけ補強板3の側に位置調整する(図6(C))。すなわち、ナイフNの刃先Naが、ナイフ刺入予定位置に対して補強板3の側に位置するように、ナイフNを鉛直方向に移動させる。図6では、説明のために図6(B)の位置調整をしているが、図6(B)を省略し図6(A)から図6(C)へ直接位置調整しても良い。
つまり、第1位置調整ステップにおける、樹脂層4に対向する位置から予め定められた距離だけ補強板3の側にナイフNの位置を位置調整させることは、(1)樹脂層4の対向する位置にナイフNを位置調整し、次いで予め定められた距離だけ補強板3の側にナイフNを位置調整する場合と、(2)検出結果に基づいて、樹脂層4に対向する位置を求め、その位置から予め定められた距離だけ移動する距離を求めて、樹脂層4の対向する位置にナイフNを位置調整することなく、ナイフNを直接補強板3の側に位置するように、ナイフNを位置調整する場合と、を含んでいる。
図6(A)の如く、位置検出ステップでレーザ変位計26及び板厚検出計28を利用して距離Hを検出している。しかしながら、位置検出の精度を高めたとしても、位置検出は、ある範囲の検出誤差を含んでいる。また、図6(B)の如く、距離Hが0となる位置にナイフNを鉛直方向に移動させている。しかしながら、位置調整ユニット20の精度を高めたとしても、位置調整は、ある範囲の位置決めの誤差を含んでいる。そのため、これらの誤差の要因から、ナイフNの刃先Naの位置が、ナイフ刺入予定位置である樹脂層4の厚さ方向の中央の位置と、同じ高さとはならない場合が生じる。例えば、図6(B)の時点で、ナイフNの刃先Naの位置が、基板2の位置と同じ高さとなることも生じる。
実施形態の第1位置調整ステップにおいては、ナイフNと積層体1の樹脂層4とを対向する位置に位置調整し、その後、予め定められた距離だけ補強板3の側にナイフNの位置を位置調整している。上述の第1位置調整ステップを実行することで、後の前進ステップにおいてナイフNを積層体1に向けて前進させた際にナイフNが基板2に接触することを回避することが可能となる。
特に、位置検出部の検出誤差、と位置調整部の位置決めの誤差との両方の誤差を考慮し、予め定められた距離を最大誤差分以上とすること好ましい。最大誤差分より大きく補強板3の側へ移動することにより、前進ステップでのナイフNの刃先Naと基板2との接触をより確実に回避することができる。
次に、具体的な数値を挙げて説明する。例えば、樹脂層4の厚さを2μmとし、位置検出部の検出誤差と位置調整部の位置決め誤差との最大誤差を±2μmとする。まず、ナイフ刺入予定位置は、樹脂層4の厚さの中央の位置である1μmの位置となる。
ここで、位置検出部と位置調整部との最大誤差を+2μm(鉛直方向上向きを+とする)とする。刃先Naをナイフ刺入予定位置に位置調整したとしても、誤差の影響受けて、樹脂層4の厚みを超え、基板2と対向する位置に位置調整されることになる。
そこで、上述の最大誤差分の2μm以上を補強板3の側へ刃先Naを鉛直方向に移動することで、前進ステップにおいて基板2と刃先Naとの接触を回避できる。
次に、図5のフローチャートに示すように、制御部30が前進処理である前進ステップを実行する(ステップS130)。前進ステップでは、制御部30が、移動部を構成するテーブル駆動ユニット16及び/又はナイフ駆動ユニット18を駆動し、ナイフNと積層体1とを水平方向に相対的に前進させる(図6(D))。刃先Naが積層体1の補強板3又は樹脂層4の何れかに接触するまで、テーブル駆動ユニット16及び/又はナイフ駆動ユニット18によりナイフNと積層体1とを相対的に移動する。
さらに、前進ステップでは、刃先Naが積層体1の補強板3又は樹脂層4の何れかに接触した後も、テーブル駆動ユニット16及び/又はナイフ駆動ユニット18を駆動し、所定距離(例えば1mm)だけナイフN及び/又は積層体1を前進させる(図7(E))。この時点では、ホルダ14は第1のストッパ42に接触していない。
次に、図5のフローチャートに示すように、制御部30が検出処理である検出ステップを実行する(ステップS140)。検出ステップでは、制御部30がロードセル22からの押圧力を検知し、押圧力の変化から刃先Naが補強板3又は樹脂層4の何れに接触したかを検出する。
最初に、刃先Naが補強板3に接触した場合について説明する。図6(D)の如く、刃先Naが補強板3に接触した時点から、ロードセル22の押圧力は増加する。刃先Naが補強板3からの反力を受けて、圧縮バネ44が更に圧縮されるからである。
さらに、図7(E)の如く、所定距離だけナイフN及び/又は積層体1の前進を続けると、ロードセル22の押圧力は、さらに増加する。その理由は、積層体1の位置が固定されていること、かつ補強板3が樹脂層4より硬いことから、ナイフNを前進させると刃先Naの受ける反力が大きくなり、圧縮バネ44が圧縮されるからである。
つまり、刃先Naが補強板3に接触した場合、ロードセル22から検知される押圧力は常に増加するので、刃先Naが補強板3と接触したことを検出することができる。
次に、図5のフローチャートに示すように、検出ステップ(ステップS140)で樹脂層4でないと判断されると(ここではNo)、制御部30が後退処理である後退ステップを実行する(ステップS150)。後退ステップでは、制御部30が、移動部を構成するテーブル駆動ユニット16及び/又はナイフ駆動ユニット18を駆動し、ナイフNと積層体1とを水平方向に相対的に後退させる(図7(F))。刃先Naが積層体1の補強板3から離間するまで、テーブル駆動ユニット16及び/又はナイフ駆動ユニット18によりナイフNと積層体1とを相対的に移動する。
図5のフローチャートに示すように、後退ステップ(ステップS150)を実行すると、次に、制御部30が第2位置調整処理である第2位置調整ステップを実行する(ステップS160)。第2位置調整ステップでは、制御部30が位置調整ユニット20を駆動し、ナイフNの位置を樹脂層4の厚さ以下の距離だけ基板2の側に位置調整する(図7(G))。すなわち、ナイフNの刃先Naが、樹脂層4の厚さ以下の距離だけ基板2の側に位置するように、ナイフNが鉛直方向に移動される。樹脂層4の厚さ以下の距離だけ移動させることで、樹脂層4を超えて基板2の位置にナイフNが位置調整されることを回避することができる。
次に、図5のフローチャートに示すように、制御部30は、ナイフNの刃先Naが樹脂層4に接触したことを検出するまで、前進ステップ(ステップS130)と検出ステップ(ステップS140)と後退ステップ(ステップS150)と第2位置調整ステップ(ステップS160)とをこの順で繰り返し実行する。
次に、刃先Naが樹脂層4に接触する場合について説明する。上述したように、図5のフローチャートに示すように、制御部30が前進処理である前進ステップを実行(ステップS130)し、制御部30が検出処理である検出ステップを実行する(ステップS140)。
制御部30が、移動部を構成するテーブル駆動ユニット16及び/又はナイフ駆動ユニット18を駆動し、ナイフNと積層体1とを水平方向に相対的に前進させる。この場合、刃先Naが樹脂層4に接触する(図7(H))。
図7(H)の如く、刃先Naが樹脂層4に接触した時点から、図6(D)で説明したのと同様に、ロードセル22の押圧力は増加する。刃先Naが補強板3からの反力を受けて、圧縮バネ44が圧縮されるからである。
さらに、図8(I)の如く、所定距離だけナイフN及び/又は積層体1の前進を続けると、ロードセル22の押圧力は、一旦増加し、その後に低下する。その理由は、積層体1の位置が固定されているが、樹脂層4が柔らかいため、刃先Naが樹脂層4を剥離しながら、樹脂層4の中を進むからである。そのため、刃先Naを押す反力が弱まり、圧縮されていた圧縮バネ44が積層体1の側に伸びるようになる。したがって、図8(I)の圧縮バネ44の長さは、図7(E)の圧縮バネ44の長さよりも長くなる。すなわち、ロードセル22により検出される押圧力に関して、刃先Naが樹脂層4に接触した場合の押圧力(図8(I))が、刃先Naが補強板3に接触した場合の押圧力(図7(E))より小さくなることが理解できる。この押圧力の違いから、刃先Naが補強板3又は樹脂層4の何れに接触したかを検出することができる。
実施形態ではロードセル22を用いて、補強板3か樹脂層4かを検出する方法について説明したが、これに限定されず変位計等を用いることができる。変位計を用いる場合、例えば、ホルダ14と第1のストッパ42との距離を測定する。距離の変化からナイフNが補強板3又は樹脂層4の何れに接触したかを判断することができる。
次に、図5のフローチャートに示すように、検出ステップ(ステップS140)で樹脂層4であると判断されると(ここではYes)、制御部30が継続前進処理である継続前進ステップを実行する(ステップS170)。継続前進ステップでは、制御部30が、移動部を構成するテーブル駆動ユニット16及び/又はナイフ駆動ユニット18を駆動し、刃先Naが、樹脂層4の中を、予め決められた距離に達するまで、ナイフNと積層体1とを水平方向に相対的に前進させる(図8(J),(K))。
図8(J)の如く、刃先Naを樹脂層4の中を進行させると、刃先Naが受ける反力が大きくなる。その結果、圧縮バネ44が圧縮され、ホルダ14が第1のストッパ42に達するまで移動する。ホルダ14が第1のストッパ42に接触した後は、ホルダ14の移動は第1のストッパ42により規制される。
さらに、図8(K)の如く、ホルダ14と第1のストッパ42とが接触した状態で、更に、ナイフNと積層体1とを水平方向に相対的に前進させる。ナイフNを保持するホルダ14の移動が第1のストッパ42により規制されているので、反力に抗して刃先Naを樹脂層4の中を進行させることができる。
図9に示すように、図示しない移動部(テーブル駆動ユニット及びナイフ駆動ユニット)を駆動し、ナイフNと積層体1とを補強板の第2の主面に平行な方向に相対的に前進させる(図9(A))。次いで、刃先Naを予め決められた距離だけ樹脂層4の中を進行させる(図9(B))。最後に、ナイフNと積層体1とを補強板の第2の主面に平行な方向に相対的に後退させることで剥離開始部SPを形成する。
なお、最初の検出ステップ(ステップS140)でナイフNの刃先Naと積層体1(補強板3又は樹脂層4)とが接触した接触位置を記憶する記憶ステップを実行することが好ましい。ここで接触した位置とは、水平方向の位置を意味する。
検出ステップ(ステップS140)で、ナイフNと補強板3とが接触したと判断されると、後退ステップ(ステップS150)と第2位置調整ステップ(ステップS160)が実行され、上述したように、前進ステップ(ステップS130)と検出ステップ(ステップS140)と後退ステップ(ステップS150)と第2位置調整ステップ(ステップS160)とが繰り返し実行される。
2回目の前進ステップ(ステップS130)において、記憶した接触位置の情報に基づいてナイフNの前進速度を調整することが好ましい。接触位置の情報に基づいて、ナイフNが積層体1に接触する直前まで、ナイフNを高速で移動し、次いで低速でナイフNと積層体1とを接触させることができる。これにより、ナイフNの破損を防止できる。
また、前進ステップ(ステップS130)を速く行うことが可能となる。仮に接触位置の情報を得ていない場合、ナイフNの移動を、動き出しから積層体1と接触するまで、低速で行う必要がある。
一方で、接触位置の情報を得ている場合、上述したように、ナイフNの移動を高速、低速の2段階で行うことができるので、低速だけの移動と比較して、前進ステップを速く実行することが可能となる。
次に、剥離開始部の形成された積層体から補強板を剥離するための、剥離装置、及び剥離方法について説明する。以下の説明では図2に示す積層体6を用いた場合を例に説明する。
〔剥離装置〕
図10は、剥離装置100の構成を示した縦断面図であり、図11は、剥離装置100の剥離ユニット102に対する複数の可動体104の配置位置を模式的に示した剥離ユニット102の平面図である。なお、図10は図11のB−B線に沿う断面図に相当し、また、図11においては積層体6を実線で示している。
図10の如く剥離装置100は、積層体6を挟んで上下に配置された一対の可動装置106,106を備える。可動装置106,106は同一構成である。ここでは、図10の下側に配置された可動装置106について説明し、上側に配置された可動装置106については同一の符号を付すことで説明を省略する。
可動装置106は、複数の可動体104、可動体104ごとに可動体104を昇降移動させる複数の駆動装置108、及び駆動装置108ごとに駆動装置108を制御するコントローラ110等によって構成される。
剥離ユニット102は、補強板3Bを撓み変形させるため、補強板3Bを真空吸着保持する。なお、真空吸着に代えて、静電吸着又は磁気吸着してもよい。
[剥離ユニット]
図12(A)は、剥離ユニット102の平面図であり、図12(B)は、図12(A)のC−C線に沿う剥離ユニット102の拡大縦断面図である。また、図12(C)は、剥離ユニット102を構成する矩形の板状の第1の可撓性板112に対して、剥離ユニット102を構成する吸着部114が両面接着テープ116を介して着脱自在に備えられたことを示す剥離ユニット102の拡大縦断面図である。剥離ユニット102は、前述の如く第1の可撓性板112に吸着部114が両面接着テープ116を介して着脱自在に装着されて構成される。
吸着部114は、第1の可撓性板112よりも厚さの薄い第2の可撓性板118を備える。第2の可撓性板118の下面(一方面)が両面接着テープ116を介して第1の可撓性板112の上面に着脱自在に装着される。
また、吸着部114は、積層体6の補強板3Bの内面を吸着保持する矩形の通気性シート120が備えられる。通気性シート120の厚さは、剥離時に補強板3Bに発生する引張応力を低減させる目的で2mm以下、好ましくは1mm以下であり、実施形態では0.5mmのものが使用されている。
更に、吸着部114は、通気性シート120を包囲し、かつ補強板3Bの外周面が当接されるシール枠部材122が備えられる。シール枠部材122及び通気性シート120は、両面接着テープ124を介して第2の可撓性板118の上面(他方面)に接着される。また、シール枠部材122は、ショアE硬度が20度以上50度以下の独立気泡のスポンジであり、その厚さは、通気性シート120の厚さに対して0.3mm〜0.5mm厚く構成されている。
通気性シート120とシール枠部材122との間には、枠状の溝126が備えられる。また、第1の可撓性板112には、複数の貫通孔128が開口されており、これらの貫通孔128の一端は溝126に連通され、他端は、不図示の吸引管路を介して吸気源(例えば真空ポンプ)に接続されている。
したがって、吸気源が駆動されると、吸引管路、貫通孔128、及び溝126の空気が吸引されることにより、積層体6の補強板3Bの内面が通気性シート120に真空吸着保持され、また、補強板3Bの外周面がシール枠部材122に押圧当接されるので、シール枠部材122によって囲まれる吸着空間の密閉性が高められる。
第1の可撓性板112は、第2の可撓性板118、通気性シート120、及びシール枠部材122よりも曲げ剛性が高く、第1の可撓性板112の曲げ剛性が剥離ユニット102の曲げ剛性を支配する。剥離ユニット102の単位幅(1mm)あたりの曲げ剛性は、1000〜40000N・mm/mmであることが好ましい。例えば、剥離ユニット102の幅が100mmの部分では、曲げ剛性は、100000〜4000000N・mmとなる。剥離ユニット102の曲げ剛性を1000N・mm/mm以上とすることで、剥離ユニット102に吸着保持される補強板3Bの折れ曲がりを防止することができる。また、剥離ユニット102の曲げ剛性を40000N・mm/mm以下とすることで、剥離ユニット102に吸着保持される補強板3Bを適度に撓み変形させることができる。
第1の可撓性板112、及び第2の可撓性板118は、ヤング率が10MPa以下の樹脂製部材であり、例えばポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、アクリル樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂等の樹脂製部材である。
[可動装置]
第1の可撓性板112の下面には、図10に示した円盤状の複数の可動体104が、図11の如く碁盤目状に固定される。これらの可動体104は、第1の可撓性板112にボルト等の締結部材によって固定されるが、ボルトに代えて接着固定されてもよい。これらの可動体104は、コントローラ110によって駆動制御された駆動装置108によって、独立して昇降移動される。
すなわち、コントローラ110は、駆動装置108を制御して、図11における積層体6の隅部6A側に位置する可動体104から矢印Aで示す剥離進行方向の隅部6B側に位置する可動体104を、順次下降移動させる。この動作によって、図13の縦断面図の如く、積層体6の基板2Bと補強板3Bとの間の樹脂層4Bに形成された剥離開始部SPを起点として剥離していく。なお、剥離開始部SPは、上述の剥離開始部作成装置10により剥離前に形成される。
駆動装置108は、例えば回転式のサーボモータ及びボールねじ機構等で構成される。サーボモータの回転運動は、ボールネジ機構において直線運動に変換され、ボールネジ機構のロッド130に伝達される。ロッド130の先端部には、ボールジョイント132を介して可動体104が設けられている。これにより、図13の如く剥離ユニット102の撓み変形に追従して可動体104を傾動させることができる。よって、剥離ユニット102に無理な力を加えることなく、剥離ユニット102を隅部6Aから隅部6Bに向けて撓み変形させることができる(図11参照)。なお、駆動装置108としては、回転式のサーボモータ及びボールねじ機構に限定されず、リニア式のサーボモータ、又は流体圧シリンダ(例えば空気圧シリンダ)であってもよい。
複数の駆動装置108は、昇降可能なフレーム134にクッション部材136を介して取り付けられることが好ましい。クッション部材136は、剥離ユニット102の撓み変形に追従するように弾性変形する。これによって、ロッド130がフレーム134に対して傾動する。
フレーム134は、剥離した補強板3Bを剥離ユニット102から取り外す際に、不図示の駆動部によって下降移動される。
コントローラ110は、CPU、ROM、及びRAM等の記憶媒体等を含むコンピュータとして構成される。コントローラ110は、記録媒体に記録されたプログラムをCPUに実行させることにより、複数の駆動装置108を駆動装置108ごとに制御して、複数の可動体104の昇降移動を制御する。
1…積層体、2,2A,2B…基板、3,3A,3B…補強板、4…樹脂層、6…積層体、7…機能層、10…剥離開始部作成装置、12…テーブル、14…ホルダ、16…テーブル駆動ユニット、18…ナイフ駆動ユニット、20…位置調整ユニット、22…ロードセル、24…支持部材、26…レーザ変位計、28…板厚検出計、30…制御部、32…テーブル支持架台、34…直動装置、36…ガイドレール、38…ガイドブロック、40…フレーム、42…第1のストッパ、44…圧縮バネ、46…第2のストッパ、50…本体フレーム、52…レール、54…スライダ、56…ボールネジ、58…モータ、60…本体フレーム、62…レール、64…スライダ、66…ボールネジ、68…モータ、70…本体フレーム、72…レール、74…スライダ、76…ボールネジ、78…モータ、80…架台、100…剥離装置、102…剥離ユニット、104…可動体、106…可動装置、108…駆動装置、110…コントローラ、112…第1の可撓性板、114…吸着部、116…両面接着テープ、118…第2の可撓性板、120…通気性シート、122…シール枠部材、124…両面接着シート、126…溝、128…貫通孔、130…ロッド、132…ボールジョイント、134…フレーム、136…クッション部材

Claims (13)

  1. 第1の主面と第2の主面とを有する第1の基板と、第1の主面と第2の主面とを有する第2の基板とが吸着層を介して剥離可能に貼合された積層体に対して、前記吸着層にナイフを刺入することにより、前記積層体に剥離開始部を作成する剥離開始部作成装置において、
    前記ナイフと前記積層体とを前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に相対的に前進又は後退させる移動部と、
    前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したかを検出する検出部と、
    前記第2の基板の前記第2の主面と垂直な方向における前記積層体と前記ナイフとの位置関係を検出する位置検出部と、
    前記第2の基板の前記第2の主面に垂直な方向に相対的に移動させ、前記積層体と前記ナイフとの位置を調整する位置調整部と、
    前記移動部、前記検出部、前記位置検出部、及び前記位置調整部を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記位置検出部により前記積層体と前記ナイフとの位置を検出する位置検出処理と、
    前記位置検出部の検出結果に基づいて、前記位置調整部により、前記ナイフの位置を前記積層体の前記吸着層に対向する位置から予め定められた距離だけ前記第2の基板の側に前記ナイフの位置を位置調整する第1位置調整処理と、
    前記移動部により前記ナイフと前記積層体とを相対的に前進する前進処理と、
    前記検出部により前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したか検出する検出処理と、
    前記ナイフの刃先が前記第2の基板に接触したと検出した場合は、
    前記移動部により前記積層体と前記ナイフと相対的に後退する後退処理と、前記位置調整部により前記吸着層の側に前記吸着層の厚さ以下の距離だけ前記ナイフの位置を調整する第2位置調整処理と、を実行し、前記ナイフが前記吸着層に接触したことを検出するまで、前記前進処理と前記検出処理と前記後退処理と前記第2位置調整処理とをこの順で繰り返し、
    前記ナイフの刃先が前記吸着層に接触したと検出した場合は、前記移動部により前記ナイフと前記積層体とを継続して相対的に前進する継続前進処理を実行する、
    剥離開始部作成装置。
  2. 前記検出部が変位計又はロードセルである請求項1に記載の剥離開始部作成装置。
  3. 前記予め定められた距離が、前記位置検出部、及び前記位置調整部における最大誤差分以上である請求項1又は2に記載の剥離開始部作成装置。
  4. 前記第1の基板が製品基板であり、前記第2の基板が補強板である請求項1から3の何れか一項に記載の剥離開始部作成装置。
  5. 前記吸着層の厚さが1μm以上50μm以下である請求項1から4の何れか一項に記載の剥離開始部作成装置。
  6. 前記制御部は、前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れかに接触した位置情報を記憶し、2回目以降の前記前進処理の際に、前記位置情報に基づいて前記ナイフの前進速度を調整する請求項1から5の何れか一項に記載の剥離開始部作成装置。
  7. 第1の主面と第2の主面とを有する第1の基板と、第1の主面と第2の主面とを有する第2の基板とが吸着層を介して剥離可能に貼合された積層体に対して、前記吸着層にナイフを刺入することにより、前記積層体に剥離開始部を作成する剥離開始部作成方法において、
    前記第2の基板の前記第2の主面と垂直な方向における前記積層体と前記ナイフとの位置関係を検出する位置検出ステップと、
    前記位置検出ステップの検出結果に基づいて、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記ナイフの位置を前記積層体の前記吸着層に対向する位置から予め定められた距離だけ前記第2の基板の側に前記ナイフの位置を位置調整する第1位置調整ステップと、
    前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記ナイフと前記積層体とを相対的に前進させる前進ステップと、
    前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したか検出する検出ステップと、
    前記ナイフの刃先が前記第2の基板に接触したと検出した場合は、前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記積層体と前記ナイフと相対的に後退させる後退ステップと、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記吸着層の側に前記吸着層の厚さ以下の距離だけ前記ナイフの位置を調整する第2位置調整ステップと、を実行し、前記ナイフが前記吸着層に接触したことを検出するまで、前記前進ステップと前記検出ステップと、前記後退ステップと前記第2位置調整ステップとをこの順で繰り返すステップと、
    前記ナイフの刃先が前記吸着層に接触したと検出した場合は、前記ナイフと前記積層体とを相対的に継続して前進させる継続前進ステップと、
    を有する剥離開始部作成方法。
  8. 前記検出ステップが変位計又はロードセルで検出することを含む請求項7に記載の剥離開始部作成方法。
  9. 前記予め定められた距離が、前記位置検出ステップ、及び前記第1位置調整ステップにおける最大誤差分以上である請求項7又は8に記載の剥離開始部作成方法。
  10. 前記第1の基板が製品基板であり、前記第2の基板が補強板である請求項7から9の何れか一項に記載の剥離開始部作成方法。
  11. 前記吸着層の厚さが1μm以上50μm以下である請求項7から10の何れか一項に記載の剥離開始部作成方法。
  12. 前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れかに接触した位置情報を記憶する記憶ステップを有し、2回目以降の前記前進ステップは、前記位置情報に基づいて前記ナイフの前進速度を調整することを含む請求項7から11の何れか一項に記載の剥離開始部作成方法。
  13. 第1の主面と第2の主面とを有する第1の基板と、第1の主面と第2の主面とを有する第2の基板とが吸着層を介して、前記第1の基板の第2の主面と前記第2の基板の第1の主面とが剥離可能に貼合された積層体に対し、前記第1の基板の第1の主面に機能層を形成する機能層形成工程と、前記機能層が形成された前記第1の基板と前記第2の基板とを分離する分離工程と、を有する電子デバイスの製造方法において、
    前記分離工程は、前記吸着層にナイフを刺入れて剥離開始部を作成する剥離開始部作成工程と、前記剥離開始部を起点として前記第1の基板と前記第2の基板とを順次剥離する剥離工程と、を有し、
    剥離開始部作成工程は、
    前記第2の基板の前記第2の主面と垂直な方向における前記積層体と前記ナイフとの位置関係を検出する位置検出ステップと、
    前記位置検出ステップの検出結果に基づいて、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記ナイフの位置を前記積層体の前記吸着層に対向する位置から予め定められた距離だけ前記第2の基板の側に前記ナイフの位置を位置調整する第1位置調整ステップと、
    前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記ナイフと前記積層体とを相対的に前進させる前進ステップと、
    前記ナイフの刃先が前記吸着層、及び前記第2の基板の何れに接触したか検出する検出ステップと、
    前記ナイフの刃先が前記第2の基板に接触したと検出した場合は、前記第2の基板の前記第2の主面に平行な方向に、前記積層体と前記ナイフと相対的に後退させる後退ステップと、前記積層体と前記ナイフとを前記第2の基板の第2の主面と垂直な方向に相対的に移動させて、前記吸着層の側に前記吸着層の厚さ以下の距離だけ前記ナイフの位置を調整する第2位置調整ステップと、を実行し、前記ナイフが前記吸着層に接触したことを検出するまで、前記前進ステップと前記検出ステップと、前記後退ステップと前記第2位置調整ステップとをこの順で繰り返すステップと、
    前記ナイフの刃先が前記吸着層に接触したと検出した場合は、前記ナイフと前記積層体とを相対的に継続して前進させる継続前進ステップと、
    を含む電子デバイスの製造方法。
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