JP2016150381A - スポット溶接強度評価試験方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動車部品の衝突変形時の溶接部破断および材料破断を再現し、スポット溶接の強度を的確かつ簡便に評価できるスポット溶接強度評価試験方法を得る。
【解決手段】本発明に係るスポット溶接強度評価試験方法は、試験片3を曲げ試験冶具1に載置して試験片3に荷重を付加することによってスポット溶接強度を評価する方法であって、試験片3は長手方向直交断面T字状をしてなり、曲げ試験冶具1は、一対の支持体16と、各支持体16の支柱17に回動可能に取り付けられると共に縦片部5が挿入可能なスリット21bを有する試験片支持部材21と、パンチ23とを有してなり、試験片3の両端部における縦片部5をスリット21bに挿入すると共に横片部7下面を試験片支持部材21の回動中心軸と同一面に載置して、試験片3に試験片支持部材21を支える一対の支持体16間の中央から荷重を付加して破断を生じさせ、付加した荷重と破断が生じたときのパンチ23のストロークによってスポット溶接の強度を評価することを特徴とするものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、板材をスポット溶接して形成される試験片を曲げ試験冶具に載置して試験片に荷重を付加することによってスポット溶接強度を評価する方法に関する。
なお、本明細書においてスポット溶接の強度を評価するとは、前記部品に曲げ変形を与え、前記部品に生ずる亀裂の発生場所や進展方向等の態様を確認したり、破断に至るまでの荷重と変位の関係を求めたりすることによって、スポット溶接に関する強度を評価することをいう。
また、本明細書においてスポット溶接部と表記したときは、スポット溶接による熱影響部(HAZ:heat-affected zone)を含む。
自動車部品の組み立てにはスポット溶接が広く適用されている。スポット溶接とは、2つの電極の間に接合したい複数の鋼板を挟み、電流を流すことで抵抗発熱により鋼板を溶融させて接合する方法である。自動車の衝突性能や剛性・強度特性にとって、スポット溶接強度は重要な特性である。たとえば、自動車が衝突した場合に、衝突エネルギーを車体の骨格部品が吸収して乗員の安全を確保する必要があるが、万が一溶接部の強度が足りず、そこで破壊が発生してしまうと、車体強度は大きく低下し、乗員の生命を脅かす可能性がある。そのため、スポット溶接部の強度を事前に精度良く評価し、その特性を考慮したうえで車体設計を行うことが重要となっている。
一方で、衝突安全性向上の要求と車体軽量化を両立するために、従来にない強度特性をもつ高強度鋼板が車体に適用されるようになってきた。高強度鋼板は、鋼板製造段階で高温に加熱した鋼板を急速に冷却して強度の高いマルテンサイト組織を発生させて所望の強度特性を実現させて製造されるものである。また、プレス加工時に鋼板を急速に冷却することで高強度を実現させる熱間プレス部品も自動車部品に多用されるようになっている。
このような高強度鋼板をスポット溶接した場合、スポット溶接の熱の影響を受け、溶接部周囲の材料強度が低下する現象が知られている。溶接による熱の影響をうけた領域は、一般にHAZと呼ばれている。HAZはスポット溶接部の周囲1〜2mm程度の非常に狭い範囲であるが、この部分の軟化によって溶接強度が低下する場合がある。高強度鋼板を適用した車体を衝突させた場合、このHAZ部での材料に亀裂が発生し、その亀裂を起点として部品が破断し、衝突性能が低下する危険性がある。
そのため、自動車車体設計および高強度鋼板開発の上で、衝突変形時のスポット溶接強度を正しく評価する手法が望まれてきた。
スポット溶接強度の評価試験のうち、一般的なものとしては、JIS Z3136「抵抗スポットおよびプロジェクション溶接継ぎ手のせん断試験に対する試験片寸法及び試験方法」(非特許文献1)やJIS Z3137「抵抗スポットおよびプロジェクション溶接継ぎ手の十字引張り試験に対する試験片寸法及び試験方法」(非特許文献2)などが知られている。
JIS Z3136 JIS Z3137
JIS Z3136やJIS Z3137で規定される試験方法は、引張り試験機によって材料が破断するまでの最大引張り荷重を測定し、それぞれの変形様式における破断強度を求めるものであるが、その破断形態は、図17に示すように、一般にプラグ破断と呼ばれる、スポット溶接部で材料が円形に破断するものとなる。
しかしながら、高強度鋼板を適用した自動車部品の衝突変形時によく観察される破断形態は、溶接部周囲のHAZ軟化部で亀裂が発生し、それを起点として亀裂が材料側に進むものであり、JIS Z3136やJIS Z3137で規定される試験方法では再現されない破断形態となる。
JISで規定されている引張りせん断試験および十字引張り試験は、溶接部周囲であるHAZ部の軟化の有無によらず、溶接部で破断が発生するのに対し、実際の衝突変形では、HAZ部の軟化があった場合にそこで亀裂が発生し、それ以外の場合には溶接部以外の鋼板部で破断するか、破断そのものが発生しない。
以上のように、上記各JISで規定される試験方法においては、高強度鋼板を適用した自動車部品の衝突変形時によく観察される破断形態を再現できないため、スポット溶接の強度を的確に評価することができないという問題がある。
また、自動車部品の変形強度を評価するために、ハット型断面部品43とハット型断面部品43のフランジ部43aに平板45をスポット溶接して作成された単純部材41(図18(a)参照)を曲げ試験する方法も良く知られているが、このような試験方法では部材の断面が潰れるのみで(図18(b)参照)、溶接部が破断するような変形モードを再現することは難しく、この方法の場合においてもスポット溶接の強度を的確に評価することができないという問題もある。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、自動車部品の衝突変形時の溶接部破断、溶接HAZ部破断および材料破断を再現し、スポット溶接の強度を的確かつ簡便に評価できるスポット溶接強度評価試験方法を得ることを目的とする。
(1)本発明に係るスポット溶接強度評価試験方法は、板材をスポット溶接して形成される試験片を曲げ試験冶具に載置して前記試験片に荷重を付加することによってスポット溶接強度を評価する方法であって、
前記試験片は、長手方向直交断面がL字状の2枚の板材同士を、長手方向直交断面がT字状になるように配置してT字の縦片部に長手方向所定間隔で評価対象のスポット溶接を施し、かつT字の上面に両方の前記L字状の板材に跨るように裏板を接合してなる長手方向直交断面T字状をしてなり、
前記曲げ試験冶具は、一対の支持体と、各支持体に回動可能に取り付けられると共に前記試験片の横片部下面を回動中心軸と同一面に載置可能、かつ前記試験片のT字の縦片部が挿入可能なスリットを有する試験片支持部材と、前記試験片に当接する面が円弧状に形成されると共に変形試験機に固定されたパンチとを有してなり、
前記試験片の両端部におけるT字の縦片部を前記試験片支持部材のスリットに挿入すると共に前記試験片の横片部下面を前記試験片支持部材に載置して、前記一対の支持体間の中央となる裏板側から前記パンチによって荷重を付加して前記試験片に曲げ変形を与えて前記スポット溶接部及び/又はスポット溶接HAZ部及び/又は前記T字の縦片部の縁部に破断を生じさせ、付加した荷重と破断が生じたときの前記パンチのストロークによって前記スポット溶接の強度を評価することを特徴とするものである。
本発明においては、長手方向直交断面T字状になるように構成した試験片の両端部におけるT字の縦片部を、曲げ試験冶具の試験片支持部材のスリットに挿入すると共に試験片の横片部下面を試験片支持部材の回動中心軸と同一面に載置して、支持部材を支える一対の支持体間の中央となる裏板側からパンチによって荷重を付加して試験片に曲げ変形を与えることによって、縦片部に引張応力を作用させることができ、スポット溶接部及び/又はスポット溶接HAZ部及び/又は縦片部の縁部に破断を生じさせて車体衝突時の破断態様を的確にかつ簡便に再現することが可能となり、付加した荷重と破断が生じたときのパンチのストロークによって車体衝突時におけるスポット溶接の強度を評価することができる。
本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法で用いる曲げ試験冶具の斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法で用いる曲げ試験冶具の正面図である。 本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法で用いる曲げ試験冶具の側面図である。 本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法で用いる試験片の斜視図である。 本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法の説明図である(その1)。 本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法の説明図である(その2)。 本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法の説明図である(その3)。 本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法によって曲げ変形が与えられた試験片の説明図である。 本発明の実施例に係るスポット溶接部とその近傍の硬度分布の説明図である。 本発明の実施例に係る試験片を説明する正面図である。 本発明の実施例に係る試験片を説明する平面図である。 本発明の実施例に係る試験片を説明する側面図である。 本発明の実施例に係る曲げ試験における試験片の破断の態様を説明する説明図である(590MPa級鋼板)。 本発明の実施例に係る曲げ試験における試験片の破断の態様を説明する説明図である(1470MPa級鋼板)。 本発明の実施例に係る曲げ試験における試験結果の説明図である(590MPa級鋼板)。 本発明の実施例に係る曲げ試験における試験結果の説明図である(1470MPa級鋼板)。 本発明が解決しようとする課題の説明図である(その1)。 本発明が解決しようとする課題の説明図である(その2)。
本発明の一実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法は、図1〜図3に示す曲げ試験冶具1を用いて、図2〜図4に示す長手方向直交断面T字状の試験片3を3点曲げ試験をすることでスポット溶接の強度を評価するものであるので、当該試験方法について説明する前に、試験片3と曲げ試験冶具1について詳細に説明する。
<試験片>
試験片3は、図2〜図4に示すように、縦片部5と横片部7を有する長手方向直交断面T字状からなる。
試験片3は、長手方向直交断面がL字状の2枚の板材(L字部材9)同士を、長手方向直交断面がT字状になるように配置してT字の縦片部5に長手方向所定間隔で評価対象のスポット溶接を施し、かつT字の上面に両方のL字部材9に跨るように裏板11を接合して作成される。スポット溶接のピッチや位置、数等は適宜変更可能である。なお、図4においてスポット溶接部13を黒く塗り潰している。
L字部材9と裏板11は同じ材料を用いてもよいし、車体の構造に合わせて強度や板厚を変えるようにしてもよい。L字部材9は、例えば、鋼板をせん断機にて切断後にプレスブレーキで90度の曲げ成形を行って作成される。
このように、試験片3は容易かつ安価に作成することができる。
なお上記では、L字部材9と裏板11の接合、及び、L字部材9同士の接合をスポット溶接によって行ったものを例に挙げて説明したが、本発明は、縦片部5のスポット溶接部13が強度評価対象であるのでL字部材9同士の接合がスポット溶接であればよく、L字部材9と裏板11の接合はスポット溶接でなくともよい。また、L字部材9同士のスポット溶接の数や長手方向位置について、L字部材9と裏板11のスポット溶接の数や長手方向位置と一致させる必要はない。
<曲げ試験冶具>
曲げ試験冶具1は、図1〜図3に示すように、基台15と、一対の支持体16と、各支持体16に回動可能に取り付けられて載置された試験片3を支持する試験片支持部材21と、試験片3に一対の支持体16間の中央から曲げ荷重を付与するパンチ23とを有している。
曲げ試験冶具1を構成する各部材は例えばSS400材を加工することによって作成される。
以下、各構成を詳細に説明する。
≪基台≫
基台15は、板状体からなり、支持体16を固定するためのボルト孔15aが所定間隔に複数設けられている。
≪支持体≫
各支持体16は、直方体状の固定部材19と、固定部材19の幅方向両側に固定された一対の支柱17から構成されている。
固定部材19は、高さ方向に貫通する貫通孔19a(図1参照)が設けられており、ボルトを貫通孔19aに挿通して、基台15のボルト孔15aと螺合させることで固定部材19を基台15に固定することができる。螺合させるボルト孔15aを選択することで、固定部材19の基台15に対する長手方向の固定位置を選択できる。
固定部材19の幅方向両端には支柱17の下部が取り付けられており、これによって支柱17が立設している。
支柱17は、試験片支持部材21を軸支するためのものであり、上部に軸孔17a(図1参照)が設けられている。
≪試験片支持部材≫
試験片支持部材21は、略直方体形状をしており、その両端部が支柱17に軸25によって回動可能に取り付けられている。
試験片支持部材21は、上面が幅広く凹陥してなり試験片3の横片部7が載置される試験片載置部21aを有している。試験片載置部21aの上面は、軸25の中心C(図2及び図3参照)に一致するようになっている。
試験片載置部21aの幅方向中央には、上面から試験片支持部材21の高さ方向に延びるスリット21bが設けられており、このスリット21bに試験片3の縦片部5が挿入可能になっている。
試験片3は、図2に示すように、2つの試験片支持部材21に亘って載置される。試験片支持部材21同士の間隔は、試験片3の長さや試験内容に応じて、固定部材19の固定位置を変更することで調整可能である。
≪パンチ≫
パンチ23は円柱を軸方向に半割した形状をしており、円弧面が試験片に当接するように変形試験機27に固定されている。
<スポット溶接強度評価試験方法>
以上のように構成された曲げ試験冶具1を用いた本実施の形態に係るスポット溶接強度評価試験方法について、図2及び図5〜図8に基づいて説明する。なお、図5〜図7においては試験片支持部材21とパンチ23と試験片3のみを図示しており、図8においてはL字部材9及び裏板11の板厚を省略して図示している。
試験片3は、2つの試験片支持部材21に亘るようにして載置され(図2及び図5参照)、試験片3の中央をパンチ23で裏板11側から押圧することにより、試験片3の両端部における横片部7の下面を支点とする3点曲げが行われる(図6及び図7参照)。
図5〜図7に示すように、パンチ23による押し下げに伴って試験片支持部材21が回動することで、横片部7においては線長がほとんど変化しないようになっている。
一方、縦片部5においては、図8に示すように引張の応力場となって伸び変形が生じ、車体衝突時と同様に、スポット溶接部13及び/又はスポット溶接13のHAZ部及び/又は縦片部5の縁部に破断を生じさせることができる。
このように、本発明によれば、車体衝突時のスポット溶接部破断現象を再現でき、スポット溶接の強度を的確に評価することができる。
なお、上述した破断現象は、どの部分に亀裂が発生してどのように進展するか等、試験片3を構成する材料やスポット溶接部13のピッチ、スポット溶接部13の縦片部5の縁部からの距離等に応じて態様が異なる。この点については実施例で詳細に説明する。
スポット溶接の強度の評価は、パンチ23上部にロードセルと変位計を設置して試験片3に付与される荷重とパンチ23のストロークの関係を測定して、この測定結果に基づいて行う。
以上のように、本実施の形態においては、容易かつ安価に作成できる試験片3を用い、試験片3の両端部における横片部7下面を支点として、裏板11側から荷重を付加して試験片3に曲げ変形を与えることによって、縦片部5のスポット溶接部13及び/又はスポット溶接13のHAZ部及び/又は縦片部5の縁部に破断を生じさせて、車体衝突時のスポット溶接部破断現象を的確に再現可能となる。その結果、衝突強度で問題となるスポット溶接部破断を対策するための基礎となる試験データを得ることができ、溶接強度特性に優れる材料の開発や破断を回避するための車体設計方法、溶接方法の開発に寄与することができる。
本発明のスポット溶接強度評価試験方法について具体的な実施例に基づいて説明する。
上記の実施の形態で述べたように、部品を構成する材料等の違いによって、車体衝突時のスポット溶接部破断現象の態様が異なる。
そこで、本実施例は、本発明のスポット溶接強度評価試験方法を用いて、亀裂がどの部分を起点として発生してどのように進展するかを鋼板の強度を変えて確認し、スポット溶接の強度を評価することを目的としている。
まず、スポット溶接された2枚の鋼板のスポット溶接部13とその近傍の硬度分布が、鋼板の強度の違いによってどのように異なるのかを、本実施例で用いる2種類の鋼板(590MPa級鋼板、1470MPa級鋼板)を例に挙げて図9に基づいて以下に説明する。1470MPa級鋼板は実際の車体衝突で溶接部の破断が問題になる高強度鋼板であり、590MPa級鋼板は一般的に用いられる鋼板である。板厚はそれぞれ1.6mmとした。
図9(a)は590MPa級鋼板(鋼板29)の場合、図9(b)は1470MPa級鋼板(鋼板31)の場合についての説明図である。図9(a)と図9(b)は同様であるので図9(a)を例に挙げて説明する。
図9(a)は、スポット溶接した2枚の鋼板29のスポット溶接部13近傍における板厚方向の断面図と、硬度分布を示すグラフを併記している。断面図において点線の丸で囲んだ部分がスポット溶接部13を表しており、スポット溶接部13は2枚の鋼板29が溶融して一体になっている。硬度分布を示すグラフは、横軸がスポット溶接部13の一端を基準とした距離[mm]を表しており、溶接部側をマイナスとしている。縦軸は硬度[MPa]を表している。
図9(a)に示すように、590MPa級鋼板の場合、母材の硬度(例えば距離2.0mm参照)よりもスポット溶接部13(例えば距離-2.0mm参照)において高い硬度を示している。
他方、1490MPa級鋼板の場合、図9(b)に示すように、母材の硬度(例えば距離2.0mm参照)と、スポット溶接部13(例えば距離-2.0mm参照)とは同程度の高硬度を示しているが、これらの境界部(距離0〜1.0mm)においては、他よりも低い値を示している。この境界部がHAZ軟化部(図9(b)中のA及びA´参照)である。
以上のように、鋼板の強度の違いによってスポット溶接部とその近傍の硬度分布が異なるため、どの部分を起点として亀裂が進展するかを本実施例で確認する。
以下に、試験内容について説明する。
鋼板の強度の違いによる影響を確認するために、強度の異なる鋼板を用いて試験片3を作成した。
なお、L字部材9は鋼板をせん断機にて切断してプレスブレーキでRが5mmとなるように90度の曲げ成形を行って作成した(図12参照)。
試験片3は、図10に示すように、長さを230mmとし、典型的な自動車部品を参考に、縦片部5の高さを25mm、スポット溶接ピッチを30mmとした。スポット溶接は、縦片部5の縁部から10mmの位置に施した。
なお、L字部材9と裏板11の接合は、縦片部5と同様にスポット溶接により行った。
曲げ試験冶具1の各部材は、SS400を機械加工して作成した。固定部材19の間隔を調整して支点間の距離(曲げスパン)を150mmとした。パンチ23は下部断面が直径75mmの半円状の形状とした。軸25には摩擦抵抗が発生しないように潤滑油を十分塗布した。
上記の曲げ試験冶具1を市販の油圧方式の変形試験機27に取り付けた後、試験片3を載置して、パンチ速度を10mm/minの一定速度として曲げ試験を行い、パンチ23上部に設置したロードセルと変位計により、試験片3に付与される荷重とストロークの関係を測定した。
曲げ試験の結果について以下に説明する。
図13及び図14は試験中の試験片3の破断状況を示したものであり、図13は590MPa級鋼板の場合について、図14は1470MPa級鋼板の場合についてそれぞれ示している。
590MPa級鋼板の場合、図13に示す通り、スポット溶接部13の近傍にはHAZ軟化部が存在していないため溶接部周囲で破断が発生せず、縦片部5の縁部(図13(c)中の破線の丸で囲んだ部分参照)から破断が開始した。
一方、1490MPa級鋼板の場合、図14に示す通り、スポット溶接部13の近傍にはHAZ軟化部が存在しているため、HAZ軟化部に亀裂が発生し、そこを起点として亀裂が縦片部5に進展する結果となった(図14(c)中の破線の丸で囲んだ部分参照)。
図15及び図16は、試験片3に付与される荷重とパンチ23のストロークの関係を表すグラフであり、図15は590MPa級鋼板の場合について、図16は1470MPa級鋼板の場合についてそれぞれ示している。図15及び図16において、縦軸は荷重[kN]を表し、横軸はストローク[mm]を表している。
590MPa級鋼板の場合、図15に示す通り、破断までのストロークは約24mmであったが、1470MPa級鋼板の場合、図16に示す通り、約7.5mmで破断に至った。
以上のように、本実施例では、鋼板の強度の違いによってどの部分に亀裂が発生し、さらにどのように亀裂が進展するかを確認することができた。また、本実施例によれば、高強度鋼板(1470MPa級鋼板)の場合、実際の車体衝突時の破断現象と同様に、HAZ軟化部での亀裂発生及び材料への亀裂進展を再現可能であることが実証された。
1 曲げ試験冶具
3 試験片
5 縦片部
7 横片部
9 L字部材
11 裏板
13 スポット溶接部
15 基台
15a ボルト孔
16 支持体
17 支柱
17a 軸孔
19 固定部材
19a 貫通孔
21 試験片支持部材
21a 試験片載置部
21b スリット
23 パンチ
25 軸
27 変形試験機
29 鋼板(590MPa級鋼板)
31 鋼板(1470MPa級鋼板)
41 単純部材
43 ハット型断面部品
43a フランジ部
45 平板

Claims (1)

  1. 板材をスポット溶接して形成される試験片を曲げ試験冶具に載置して前記試験片に荷重を付加することによってスポット溶接強度を評価する方法であって、
    前記試験片は、長手方向直交断面がL字状の2枚の板材同士を、長手方向直交断面がT字状になるように配置してT字の縦片部に長手方向所定間隔で評価対象のスポット溶接を施し、かつT字の上面に両方の前記L字状の板材に跨るように裏板を接合してなる長手方向直交断面T字状をしてなり、
    前記曲げ試験冶具は、一対の支持体と、各支持体に回動可能に取り付けられると共に前記試験片の横片部下面を回動中心軸と同一面に載置可能、かつ前記試験片のT字の縦片部が挿入可能なスリットを有する試験片支持部材と、前記試験片に当接する面が円弧状に形成されると共に変形試験機に固定されたパンチとを有してなり、
    前記試験片の両端部におけるT字の縦片部を前記試験片支持部材のスリットに挿入すると共に前記試験片の横片部下面を前記試験片支持部材に載置して、前記一対の支持体間の中央となる裏板側から前記パンチによって荷重を付加して前記試験片に曲げ変形を与えて前記スポット溶接部及び/又はスポット溶接HAZ部及び/又は前記T字の縦片部の縁部に破断を生じさせ、付加した荷重と破断が生じたときの前記パンチのストロークによって前記スポット溶接の強度を評価することを特徴とするスポット溶接強度評価試験方法。
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