JP7304476B1 - 鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法 - Google Patents

鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高精度かつ定量的な評価が可能な、鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法を提供する。【解決手段】一方又は両方が亜鉛系めっき鋼板である第1の鋼板と第2の鋼板とが隙間なく重ね合わせられた板組を、前記第1及び第2の鋼板の主表面と垂直な軸方向を有する一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接を行う。抵抗スポット溶接の通電終了と同時又はそれ以降に、第2の鋼板の溶接部に対して、所定の歪量に制御された曲げ歪及び引張歪の一方又は両方の歪を付与する。その後、第2の鋼板の溶接部を観察して、液体金属脆性割れの有無を観察結果として把握し、この観察結果に基づいて、第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する。【選択図】図11

Description

本発明は、鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ(LME割れ:Liquid Metal Embrittlement Cracking)感受性の評価方法に関し、具体的には、亜鉛系めっき鋼板を含む2枚以上の鋼板を抵抗スポット溶接した際に、溶接金属(ナゲット:Nugget)周りに発生するLME割れの感受性を評価する方法に関する。なお、本明細書において「鋼板のLME割れの感受性」とは、鋼板が固有に有する特性としてのLME割れのしやすさを意味する。
1990年代以降、自動車の防錆を目的に自動車車体用鋼板には合金化溶融亜鉛めっき鋼板などの亜鉛を含むめっき表面処理が施された鋼板(亜鉛系めっき鋼板)が多く適用されており、これらの鋼板の多くは、ブランキング、プレス加工の後に抵抗スポット溶接によって自動車車体として組み立てられている。
最近では、自動車の燃費向上を目的に車体の軽量化が進められており、同時に衝突安全性向上が求められる中、これらの亜鉛系めっき鋼板は高強度化の傾向にあり、耐食性に優れた高強度の亜鉛系めっき鋼板が多く開発され、同様に抵抗スポット溶接によって自動車車体に幅広く適用されている。
この抵抗スポット溶接では、2枚以上の複数の鋼板を重ね合わせてなる板組を、通常は水冷された一対のCr-Cu製の電極で挟み、加圧しながら大電流を通電し、その際発生する抵抗ジュール発熱によって、板組の内部を溶融・凝固させて、溶接金属であるナゲットを形成し接合する。最近になって、高強度亜鉛系めっき鋼板の抵抗スポット溶接熱影響部において、図1に示すように、板間隙間の表面から板厚方向に割れが発生する場合があり、その原因がめっき層中の亜鉛による液体金属脆性割れ(LME割れ)であることが明らかとなった。
このような亜鉛によるLME割れは、溶接継手強度を低下させることはもちろん、衝撃時の溶接部の剥れや溶接継手の疲労強度低下にもつながる。このため、LME割れ発生を回避する手法、すなわちLME割れ感受性の低い亜鉛めっき鋼板の適用や溶接プロセスの開発と、それらの工業的適用が望まれている。これらの開発の過程において重要になるのは、LME割れ感受性の正確な評価である。
工業的に適用されている鋼板の場合、通常の実験室的な抵抗スポット溶接(複数枚の鋼板を隙間なく重ねて、当該鋼板に垂直に配置した一対の電極で溶接する方法)では、LME割れ発生頻度は小さいため、LME割れ感受性を再現性良く評価することは困難な場合が多い。このような鋼板のLME割れを評価する方法として、系統的かつ統一された手法ではないが、各所で経験的にLME割れ発生を促進する試験方法が適用されており、その条件下におけるLME割れの発生程度によって相対的にLME割れ感受性が評価されている。
例えば、図2及び図3に示すように、2枚の亜鉛系めっき鋼板を抵抗スポット溶接するに際し、鋼板間に数mm程度の隙間(シートギャップ)が形成されるように鋼板を配置して溶接するシートギャップ法、また、これに加えて電極を鋼板面の法線方向から数度ずらした角度(打角)を付けて配置して加圧・溶接するシートギャップ+電極打角法が知られている。これらの方法では、通電及び保持の後、電極による加圧が解放される際にナゲット周りに発生する変形応力及び変形歪によって、LME割れ発生を促進させている。そして、溶接部の断面観察における割れの有無や割れの長さ等によって、LME割れ感受性を評価する。非特許文献1には、シートギャップ+電極打角法による抵抗スポット溶接によって、LME割れが発生することが記載されている。
可視化手法を用いた継手強度におよぼすLME割れ発生位置の影響調査、溶接学会全国大会講演概要 第103集(2018-9)
しかしながら、このような従来のLME割れ感受性の評価方法では、シートギャップや打角がない溶接に比べて、溶接電流の通電経路に著しい偏りが生じ、適正なナゲット形状が再現できていない状態での評価となっている。この通電経路の偏りは、シートギャップ及び打角に影響を受けることはもちろん、鋼板の強度レベルによっても、その影響度合いが異なる。また、電極による加圧が解放された際にナゲット周りに発生する変形応力及び変形歪も鋼板の強度レベルによって異なることが容易に予想される。また、過度のシートギャップを設けることによってLME割れが発生する部位の鋼板同士の接触が妨げられて、溶接によって溶融した亜鉛が保持され難い状況が生じてしまい、かえってLME割れが生じ難い状態になってしまう懸念もある。
したがって、このような従来のLME割れ感受性の評価方法では、溶接条件や鋼種を変えた場合に、溶接部の形状、力学的特性、亜鉛の接触状況などが不安定であるために、LME割れ発生の再現性は低いといえる。また、従来のLME割れ感受性の評価方法は、LME割れが発生したか否かの定性的又は相対的な評価であり、定量的な感受性の評価になっておらず、また、LME割れが発生する限界歪量の評価もできない状況である。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、高精度かつ定量的な評価が可能な、鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]一方又は両方が亜鉛系めっき鋼板である第1の鋼板と第2の鋼板とが隙間なく重ね合わせられた板組を、前記第1及び第2の鋼板の主表面と垂直な軸方向を有する一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接を行う溶接工程と、
前記抵抗スポット溶接の通電終了と同時又はそれ以降に、前記第2の鋼板の溶接部に対して、所定の歪量に制御された曲げ歪及び引張歪の一方又は両方の歪を付与する歪付与工程と、
その後、前記第2の鋼板の溶接部を観察して、液体金属脆性割れの有無を観察結果として把握する観察工程と、
前記観察結果に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する評価工程と、
を有する、鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
[2]前記第1の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用し、かつ、前記第2の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用して、前記溶接工程、前記歪付与工程、及び前記観察工程からなる一連の工程を複数回行い、
その際、前記歪付与工程は、前記歪を付与する時点及び前記所定の歪量の一方又は両方が互いに異なる複数の条件にて行い、前記複数の条件は、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生する第1の条件と、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生しない第2の条件と、からなり、
前記評価工程は、
前記第1の条件のうち少なくとも1つにおいて、前記第2の鋼板の溶接部における前記液体金属脆性割れの発生位置を特定し、
前記複数の条件のうち、(i)前記第1の条件については、前記発生位置における前記歪を付与する時点の温度を歪付与温度として求め、(ii)前記第2の条件については、前記発生位置に対応する位置における、前記歪を付与する時点の温度を歪付与温度として求め、
前記複数の条件の前記観察結果に基づいて、前記歪付与温度及び前記所定の歪量と、前記液体金属脆性割れの有無との関係を求め、
前記関係に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する
ことを含む、上記[1]に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
[3]前記評価工程は、
前記関係から、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生する歪量及び温度の領域を特定し、
前記領域に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する
ことを含む、上記[2]に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
[4]前記評価工程は、
前記領域から、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生する最小の歪量を求め、
前記最小の歪量に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する
ことを含む、上記[3]に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
[5]前記複数回の溶接工程は、同一の溶接条件にて行う、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
[6]前記歪付与工程において、前記曲げ歪の付与は、前記第2の鋼板が一定の曲率を有するように、前記第2の鋼板に対して曲げ変形を加えることにより行う、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
[7]前記歪付与工程において、前記引張歪の付与は、前記第2の鋼板に対して引張変形を加えることにより行う、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
[8]前記観察工程において、前記第2の鋼板から前記第1の鋼板を剥離して、前記第2の鋼板の溶接部を、前記第1の鋼板と溶接されていた主表面側から観察する、上記[1]~[7]のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
本発明の鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法によれば、高精度かつ定量的に、液体金属脆性割れ感受性を評価することができる。
抵抗スポット溶接部におけるLME割れの発生位置を示す断面図である。 従来の抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法(シートギャップ法)の例を示す側面図である。 従来の抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法(シートギャップ法+電極打角法)の例を示す側面図である。 本発明の一実施形態による抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法において、抵抗スポット溶接の方法を示す側面図である。 本発明例において、曲げ歪を付与する装置の概要を示す側面図である。 本発明例において使用した曲げブロックの形状を示す側面図及び平面図である。 曲げ歪と引張歪を同時に付与する装置の概要を示す側面図である。 引張歪を付与する装置の概要を示す側面図である。 本発明の一実施形態による抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法において、抵抗スポット溶接の通電終了時の抵抗スポット溶接部の温度分布を示すグラフの例である。 本発明の一実施形態による抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法において、LME割れの発生位置(ナゲット溶融線から0.5mmの位置)における、抵抗スポット溶接の通電終了からの温度履歴を示すグラフの例である。 本発明の一実施形態において、評価対象の鋼板(第2の鋼板)の溶接部にLME割れが発生する歪量及び温度の領域(LME割れ発生歪-温度領域(以下、LTR(LME cracking Temperature Range)と称する。)を例示するグラフである。 本発明例で評価対象とした780MPa級のGA鋼板において、溶接部の歪付与温度及び歪量とLME割れ発生の有無との関係に基づいて特定されたLME割れ発生領域LTRを示すグラフである。 本発明例で評価対象とした980MPa級のGA鋼板において、溶接部の歪付与温度及び歪量とLME割れ発生の有無との関係に基づいて特定されたLME割れ発生領域LTRを示すグラフである。 本発明例で評価対象とした1180MPa級のGA鋼板において、溶接部の歪付与温度及び歪量とLME割れ発生の有無との関係に基づいて特定されたLME割れ発生領域LTRを示すグラフである。 本発明の一実施形態による抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法において、下板b(第2の鋼板)の上表面におけるLME割れ発生領域と、歪付与時の抵抗スポット溶接部の温度分布との対応関係を示す図である。
(LME割れ発生のメカニズム及び本発明の技術思想)
溶接時の発熱によって、めっき層中の亜鉛が加熱されて溶融状態になるとともに、母材(素地鋼板)との合金化が進展する(めっき層中のFe濃度が増大する)ものの、通電終了後の冷却過程においては、約800℃程度の温度まで、ナゲット周りの熱影響部に亜鉛は溶融状態で存在することになる。また、冷却過程では溶接部の熱収縮によって、亜鉛が溶融状態にある熱影響部に引張歪が作用し、溶接によって粗大化した母材のオーステナイト粒界に溶融亜鉛が接触して粒界強度を低下させ、LME割れが発生するものと理解されている。
すなわち、抵抗スポット溶接におけるLME割れは、溶接によってAc変態温度以上に加熱された溶接熱影響部の粗大オーステナイト粒界に沿って発生する割れである。したがって、LME割れは、溶接熱影響部が最高加熱温度に到達して粗大オーステナイト粒が形成された後の冷却過程で発生することは明らかである。抵抗スポット溶接では、通電中はもちろん、通電後も溶接部は電極によって加圧及び保持され、ナゲットが完全に凝固した後に電極による加圧が解放される。ただし、溶接熱影響部が最高加熱温度になるのは、通電終了時である。よって、LME割れは、粗大化したオーステナイト粒界と溶融亜鉛を含む実際の溶接熱影響部を通電終了時以降の冷却過程で力学的引張環境に置くことによって再現できるものと考えられる。
このように抵抗スポット溶接部が履歴する熱サイクル、材質変化及び力学的挙動を考慮すると、抵抗スポット溶接の通電終了と同時又はそれ以降に力学的引張負荷を溶接部に付与することよって、LME割れ現象を忠実に再現できると考えられる。
そこで本発明は、複数枚の鋼板を隙間なく重ねて、これに垂直に配置した電極で溶接する通常の抵抗スポット溶接方法で形成されたナゲット周りに、人為的に制御された歪を付与して、LME割れを正確かつ定量的に評価する方法を提供するものである。
人為的に制御できる力学的引張負荷を比較的短時間で溶接部に付与できる実用的な手法として、曲げ歪、引張歪、および曲げ歪と引張歪の合成歪のいずれかを付与する。当該手法によって再現されたLME割れの有無によって、LME割れ感受性を定量的に評価することを可能とした。
(鋼板の抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法)
本発明の一実施形態による鋼板の抵抗スポット溶接部におけるLME割れ感受性の評価方法は、
(I)一方又は両方が亜鉛系めっき鋼板である第1の鋼板と第2の鋼板とが隙間なく重ね合わせられた板組を、前記第1及び第2の鋼板の主表面と垂直な軸方向を有する一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接を行う溶接工程と、
(II)前記抵抗スポット溶接の通電終了と同時又はそれ以降に、前記第2の鋼板の溶接部に対して、所定の歪量に制御された曲げ歪及び引張歪の一方又は両方の歪を付与する歪付与工程と、
(III)その後、前記第2の鋼板の溶接部を観察して、液体金属脆性割れの有無を観察結果として把握する観察工程と、
(IV)前記観察結果に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する評価工程と、
を有する。
本実施形態において、「第2の鋼板」は、LME割れ感受性の評価の対象となる鋼板であり、「第1の鋼板」は、該第2の鋼板と重ね合わせて溶接される相手鋼板である。第1の鋼板及び第2の鋼板は、一方又は両方が亜鉛系めっき鋼板であればよい。第1の鋼板及び第2の鋼板の一方が亜鉛系めっき鋼板である場合、他方は亜鉛系めっきが施されていない任意の鋼板である。なお、評価対象である第2の鋼板が、亜鉛系めっきが施されていない鋼板である場合でも、相手鋼板である第1の鋼板が亜鉛系めっき鋼板であれば、そこから生じる溶融亜鉛に起因して、第2の鋼板の溶接部においてLME割れが問題となり得る。
本発明において「鋼板」とは、板厚が0.6~3.2mmの薄鋼板を意味するものとする。また、「亜鉛系めっき鋼板」とは、亜鉛を30質量%以上含むめっき層を表面に有する鋼板であり、例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、合金化されていない溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、Zn-Niめっき鋼板などを挙げることができる。
また、本発明において、「溶接部」とは、溶接金属(ナゲット)及び熱影響部(HAZ)からなる領域を意味するものとする。
[溶接工程(I)]
溶接工程(I)では、図4に示すように、第1の鋼板(図4ではZnめっき鋼板としての上板a)と第2の鋼板(図4ではZnめっき鋼板としての下板b)とが隙間なく重ね合わせられた板組を、第1及び第2の鋼板の主表面と垂直な軸方向を有する一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接を行う。このように、シートギャップが無く、かつ、電極の打角が無い状態で抵抗スポット溶接を行うことで、従来の方法とは異なり、電極による加圧時に、溶接部に制御不能な変形歪が加わることがなく、これが高精度な評価につながる。なお、板組は第1の鋼板及び第2の鋼板の2枚からなるものでもよいし、それ以外の鋼板を含む3枚以上の鋼板からなるものでもよい。なお、第1の鋼板と第2の鋼板とが「隙間なく」重ね合わせられるとは、図2及び図3のように、第1の鋼板と第2の鋼板との間にスペーサを設けて意図的に両者の間にシートギャップを設けるものではないことを意味する。すなわち、「隙間なく」とは、両者の間にスペーサがなければよく、両鋼板の表面間にミクロな空隙が存在することは当然ながら許容される。また、第1及び第2の鋼板の主表面と「垂直な」軸方向を有する一対の電極とは、図3のように、一対の電極に意図的な打角をつけるものではないことを意味する。すなわち、「垂直な」とは、純粋に数学的な垂直を意味するものではなく、電極設置の精度の観点から不可避なずれや誤差は当然ながら許容される。
[歪付与工程(II)]
歪付与工程(II)では、抵抗スポット溶接の通電終了と同時又はそれ以降に、第2の鋼板の溶接部に対して、所定の歪量に制御された曲げ歪及び引張歪の一方又は両方の歪を付与する。歪付与のタイミングは、通電終了と同時又は通電終了から所定時間以内であることが好ましい。「所定時間」とは、溶接により溶融した亜鉛が再度凝固するまでの時間を意味するものとする。
このようなタイミングで評価対象である第2の鋼板の溶接部に人為的に制御された曲げ歪及び引張歪の一方又は両方の歪を付与して、溶接部周りの最もLME割れに対して脆弱な部位に割れを誘発する力学的環境を負荷させる。その結果、ナゲットや溶接熱影響部の形状などに影響されることなく、高精度で再現性に優れたLME割れ感受性の評価を行うことができるようになる。
第2の鋼板の溶接部に対して付与する歪量は、第2の鋼板の引張強度等の機械的特性や、成分組成等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、例えば10%以下、好ましくは5%以下の歪量とすることで、任意の鋼種に関して適切なLME割れ感受性の評価を行うことができる。歪量の下限は、第2の鋼板にLME割れが発生する最小の歪量に応じて決定することが好ましく、鋼種によって変わるため一概には規定できないが、歪量は概ね0.1%以上の歪量とすることができる。
付与する歪の種類は、所望の歪量が実現できる限り、曲げ歪でも引張歪でも、その両者でもよい。例えば図5に示すように、曲げ歪の付与は、第2の鋼板(下板b)が一定の曲率を有するように、第2の鋼板(下板b)に対して曲げ変形を加えることにより行うことができる。図5において、ヨークを鉛直下方向に降ろすことで、図6にも示す所定の曲率の表面を有する曲げブロックに沿って、第2の鋼板(下板b)の溶接部から離れた位置ほど第1の鋼板(上板a)と大きく離間するように、第2の鋼板(下板b)が湾曲し、所定の曲率に応じた歪量の曲げ歪が溶接部に付与される。
引張歪の付与は、第2の鋼板(下板b)に対して引張変形を加えることにより行うことができる。例えば図8に示すように、水平方向に設置された第2の鋼板(下板b)に水平方向に所定の引張変形を加えることにより、所定の歪量の引張歪が溶接部に付与される。
曲げ歪及び引張歪の両方を付与することは、例えば図7に示す設備を用いて行うことができる。図7では、チャックによりヨークが第2の鋼板(下板b)に固定されており、この状態でヨークを鉛直下方向に降ろすことで、所定の曲率の表面を有する曲げブロックに沿って第2の鋼板(下板b)が湾曲し、所定の曲率に応じた歪量の曲げ歪が溶接部に付与されるとともに、第2の鋼板(下板b)に引張変形が加わって、所定の歪量の引張歪が溶接部に付与される。
[観察工程(III)及び評価工程(IV)]
観察工程(III)では、第2の鋼板の溶接部を観察して、LME割れの有無を観察結果として把握する。そして、評価工程(IV)では、観察工程(III)で得られた観察結果に基づいて、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れ感受性を評価する。本実施形態では、上記の溶接工程及び歪付与工程に起因して、高精度かつ定量的にLME割れ感受性を評価することができる。
ここで、LME割れには、電極が接する最表裏面の電極周りで発生する割れと、鋼板同士の重ね面のナゲット周りで発生する割れがあり、それぞれ「外割れ」、「内割れ」として区別されている。一般的に、外割れは、最表裏面に発生するため比較的容易に検出でき、検出後の対処も比較的容易にできるのに対して、内割れは、検出し難く製品に内在してしまう危険度が大きい。
観察工程(III)では、例えば、図1を参照して、第2の鋼板(下板b)から第1の鋼板(上板a)を剥離して、第2の鋼板(下板b)の溶接部を、第1の鋼板(上板a)と溶接されていた主表面側から観察することができる。このようにすれば、内割れを適切に観察することができ、好ましい。
[好適なLME割れ感受性の評価方法]
本実施形態では、第1の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用し、かつ、第2の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用して、前記溶接工程、前記歪付与工程、及び前記観察工程からなる一連の工程を複数回行い、その際、前記歪付与工程は、前記歪を付与する時点及び前記所定の歪量の一方又は両方が互いに異なる複数の条件にて行うことが好ましい。ここで、「同種の鋼板」とは、同じ成分組成を有し、かつ、同じ条件での製造プロセスを経て得られた鋼板であり、製品として同一仕様で、同等のLME割れ感受性を有することが見込まれる鋼板を意味するものとする。「同種の鋼板」の典型例としては、同一の鋼板や同一のコイルが挙げられる。
同種の鋼板から採取した複数の試験片(第2の鋼板)にLME割れが発生するか否かは、歪を付与する時点(歪付与タイミング)と歪量に依存する。本実施形態では、前記複数の条件は、第2の鋼板の溶接部にLME割れが発生する第1の条件と、第2の鋼板の溶接部にLME割れが発生しない第2の条件と、からなるものとする。
このような複数の条件で前記溶接工程、前記歪付与工程、及び前記観察工程からなる一連の工程(試験)を複数回行うことの意義を以下に説明する。本発明者らの鋭意検討の結果、以下の知見を得た。すなわち、第2の鋼板として通常の自動車用薄鋼板を採用し、一般的な条件で抵抗スポット溶接を行った場合、抵抗スポット溶接の通電終了時の抵抗スポット溶接部の温度分布は、例えば図9に示すように、ナゲット溶融線から僅か1mm以内の熱影響部で1500~800℃の温度分布が形成されていた。一般的な条件では、通電時間は10/50~20/50秒(200~400ミリ秒)であり、通電直後の熱影響部の温度分布は非常に急峻となるのである。
この場合、第1の条件で歪付与を行った際のLME割れが発生する位置は、常に同じ位置(例えば、ナゲット溶融線から約0.5mmの位置)であることが分かった。LME割れが発生しやすい領域は、例えばナゲット溶融線から0.5mmの位置と1.0mmの位置との間のリング状の領域と想定される。しかし、通常の自動車用薄鋼板を採用し、一般的な条件で抵抗スポット溶接を行った場合、この僅か幅0.5mmの領域内で複数の割れが発生することはない。当該領域内の最もLME割れが発生しやすい部位にのみに割れが発生し、この割れが開口することによって、その周囲の歪みを吸収・緩和してしまうからである。この領域内でLME割れが最も発生しやすい部位は、母材のオーステナイト粒径が最も大きくなる部位、すなわち最もナゲット溶融線に近い部位(ナゲット溶融線から約0.5mmの位置)となる。
すなわち、評価工程(IV)では、前記第1の条件のうち少なくとも1つにおいて、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れの発生位置を特定する。上記のように、LME割れの発生位置は、常に同じ位置となるため、LME割れの発生位置の特定は、第1の条件のうち少なくとも1つにおいて行えば十分である。
第1の条件を採用した場合のLME割れの発生位置(ナゲット溶融線から0.5mmの位置)における、抵抗スポット溶接の通電終了からの温度履歴は、例えば図10のようになる。この位置は、通電終了時に最高加熱温度(1100℃、図9も参照)に到達し、その後急速に冷却される。つまり、「抵抗スポット溶接の通電終了と同時又はそれ以降」の範囲内で、歪付与タイミングを変更することは、歪付与時点での当該位置の温度を変更することを意味する。
そこで、評価工程(IV)では、前記複数の条件のうち、(i)第1の条件については、LME割れ発生位置における歪を付与する時点の温度を歪付与温度として求め、(ii)第2の条件については、LME発生位置に対応する位置(第1の条件と同じく、例えば、ナゲット溶融線から約0.5mmの位置)における、歪を付与する時点の温度を歪付与温度として求めるものとする。
なお、ある時点(図9では通電終了時)における抵抗スポット溶接部の温度分布や、ある位置(図10では、ナゲット溶融線から約0.5mmの位置)における抵抗スポット溶接の通電終了からの温度履歴は、実測により求めることもできるし、抵抗スポット溶接の温度分布解析ソフトを用いて数値解析することにより求めることもできる。
以上のようにして、評価工程(IV)では、前記複数の条件の観察結果(LME割れの有無)に基づいて、前記歪付与温度及び前記所定の歪量と、前記LME割れの有無との関係を求め、この関係に基づいて、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れ感受性を評価する。
例えば、歪付与工程において、付与する歪量をある一定値に固定して、歪付与タイミングを種々に変更して、複数回の試験を行うことで、ある歪量において、LME割れが発生する温度範囲を求めることができる(図11参照)。例えば、ある歪量におけるLME割れ発生温度範囲が狭いほど、LME割れ感受性が低いと評価することができる。この例では、LME割れ発生温度範囲という定量的なパラメータに基づいてLME割れ感受性を評価することができる。
同様の試験を、種々の歪量で行うことで、図11に示すように、第2の鋼板の溶接部にLME割れが発生する歪量及び温度の領域(LTR:LME cracking Temperature Range)を求めることができる。このように、評価工程(IV)では、前記歪付与温度及び前記所定の歪量と、前記LME割れの有無との関係から、第2の鋼板の溶接部にLME割れが発生する歪量及び温度の領域(LTR)を特定し、この領域に基づいて、第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価することが好ましい。
具体的には、この領域LTRから、第2の鋼板の溶接部にLME割れが発生する最小の歪量(限界歪量)を求め、当該最小の歪量に基づいて、第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価することができる。具体的には、限界歪量が大きいほど、LME割れ感受性が低いと評価することができる。この例では、限界歪量という定量的なパラメータに基づいてLME割れ感受性を評価することができる。また、LME割れが発生する温度範囲を定量的に把握することができ、第2の鋼板のLME割れ感受性を総合的に評価できる。
なお、溶接工程、歪付与工程、及び観察工程からなる一連の工程を複数回行う場合、当該複数回の溶接工程は、同一の溶接条件にて行うことが好ましい。ただし、図11に示すLME割れ発生歪-温度領域LTRを求める例においては、必ずしも、同一の溶接条件にて行う必要はない。この場合、異なる溶接条件で行ったとしても、同一のLTRを得ることができる。このため、異なる溶接条件での試験によって、適切にLME割れ感受性を評価することができる。
なお、既述のとおり、通常の自動車用薄鋼板を一般的な条件で抵抗スポット溶接した場合には当てはまらないが、意図的に緩やかな溶接条件を採用した場合には、以下のような評価方法を採用することもできる。すなわち、観察工程(III)では、図13の上図を参照して、第2の鋼板(下板b)の溶接部における、ナゲットの周囲に同心円状に位置するLME割れ発生領域の幅を求め、評価工程(IV)において、観察結果として、このLME割れ発生領域の幅を採用することができる。例えば、LME割れ発生領域の幅が小さいほど、LME割れ感受性が低いと評価することができる。なお、「LME割れ発生領域」は、ナゲットの周囲に発生している全てのLME割れを包含する最小のリング状の領域として特定することができる。意図的に緩やかな溶接条件を採用すれば、LME割れが発生しやすい領域(例えばナゲット溶融線から0.5mmの位置と1.0mmの位置との間のリング状の領域)に複数のLME割れが発生し、このように、LME割れが発生する範囲を「領域」として特定することができる。
溶接部周りには溶接加熱によって時間とともに変化する温度分布が形成されており、歪が付与された瞬間の温度分布を実測又は数値解析によって比較的精度よく求めることができる。そこで、例えば図13下図に示すように、歪が付与される時点における第2の鋼板(下板b)の溶接部の温度分布を求めることが好ましい。
そして、図13の上図にて求めたLME割れ発生領域をこの温度分布に当てはめることで、LME割れ発生領域に対応する温度範囲(LME割れ発生温度範囲)を求め、評価工程(IV)において、観察結果として、このLME割れ発生温度範囲を採用することができる。例えば、LME割れ発生温度範囲が狭いほど、LME割れ感受性が低いと評価することができる。
この場合、第1の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用し、かつ、第2の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用して、前記溶接工程、前記歪付与工程、及び前記観察工程からなる一連の工程を複数回行い、その際、前記歪付与工程は、前記所定の歪量が互いに異なる複数の条件にて行うことが好ましい。
そして、評価工程(IV)において、前記複数の条件の各々における観察結果に基づいて、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れ感受性を評価することができる。例えば、前記複数の条件の各々における観察結果から、第2の鋼板にLME割れが発生する最小の歪量を求め、当該最小の歪量(限界歪量)に基づいて、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れ感受性を評価することができる。以下、限界歪量を求める具体的な方法を2つ示す。
第1の例は、図13の上図のように、LME割れ発生領域を特定し、このLME割れ発生領域を図13の下図の温度分布に当てはめて、LME割れ発生領域に対応する温度範囲(LME割れ発生温度範囲)を求めることを、前記複数の条件の各々に関して行う。これにより、付与した歪量とLME割れ発生温度範囲との関係(図11に示すものと同様のLTR)を求めることができる。この関係から、第2の鋼板にLME割れが発生する最小の歪量を求め、当該最小の歪量(限界歪量)に基づいて、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れ感受性を評価することができる。具体的には、限界歪量が大きいほど、LME割れ感受性が低いと評価することができる。この例では、限界歪量という定量的なパラメータに基づいてLME割れ感受性を評価することができる。また、LME割れが発生する温度範囲を定量的に把握することができ、第2の鋼板のLME割れ感受性を総合的に評価できる。
第2の例は、第1の例とは異なり、LME割れ発生領域からLME割れ発生温度範囲を特定することなく、LME割れ発生領域の幅に基づいて評価する。すなわち、観察工程において、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れ発生領域の幅を求めることを、前記複数の条件の各々に関して行う。これにより、付与した歪量とLME割れ発生領域の幅との関係を求めることができる。この関係から、第2の鋼板にLME割れが発生する最小の歪量を求め、当該最小の歪量(限界歪量)に基づいて、第2の鋼板の溶接部におけるLME割れ感受性を評価することができる。第1の例と同様に、具体的には、限界歪量が大きいほど、LME割れ感受性が低いと評価することができる。この例では、限界歪量という定量的なパラメータに基づいてLME割れ感受性を評価することができる。
なお、溶接工程、歪付与工程、及び観察工程からなる一連の工程を複数回行う場合、当該複数回の溶接工程は、同一の溶接条件にて行うことが好ましい。ただし、第1の例においては、必ずしも、同一の溶接条件にて行う必要はない。第1の例では、異なる溶接条件で行ったとしても、同一のLTRを得ることができる。このため、異なる溶接条件での試験によって、適切にLME割れ感受性を評価することができる。
以上説明した本実施形態によって求められるLME割れ発生歪-温度領域(LTR)や、LTRから求められる限界歪量は、めっき層も含めたその鋼板が有する固有の指標であり、当該鋼板の抵抗スポット溶接の熱サイクル過程における金属学的物性挙動に起因した現象を現わす指標でもある。よって、本実施形態は、単にLME割れ感受性の定量的評価方法のみにとどまらず、LME割れの抑制あるいは防止のための材料開発にも応用できる可能性がある。
例えば、LTRを、実部品の抵抗スポット溶接過程において溶接部が受ける力学的歪履歴及び熱履歴と組み合わせることによって、当該実部品の溶接部におけるLME割れの発生を予測、推定することができ、また、割れ発生限界歪量に対する裕度によって、実部品のLME割れ発生リスク管理にも応用可能である。
(本発明例1~3)
本発明例1では、板厚1.6mm、亜鉛目付量が両面とも60g/mの780MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)を第1及び第2の鋼板として採用して、単相交流溶接機によって抵抗スポット溶接を実施した。本発明例2では、板厚1.6mm、亜鉛目付量が両面とも60g/mの980MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)を第1及び第2の鋼板として採用して、単相交流溶接機によって抵抗スポット溶接を実施した。本発明例3では、板厚1.6mm、亜鉛目付量が両面とも60g/mの1180MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)を第1及び第2の鋼板として採用して、単相交流溶接機によって抵抗スポット溶接を実施した。本発明例1~3のいずれにおいても、溶接用電極にはCr-Cu製の16DR6-40R(DR型電極、外径16φ、電極フェース:6φ、40R)キャップチップ電極を用い、GA鋼板2枚を重ねて、加圧力350N、スキーズ時間5/50秒、通電時間12/50秒、ホールド時間5/50秒でナゲット径が4√t(=5.1mm、t:板厚)となる溶接電流で抵抗スポット溶接を実施した。
図5に、本発明例1~3を実施するに当たり作成した曲げ歪付与装置を示す。曲げ歪付与装置では、図6に示す形状の曲げ半径が50mm、70mm、120mm、200mm、400mm、及び800mmの6種類の曲げブロックを使用した。本発明例1~3で供試した鋼板の板厚(t:mm)は1.6mmであるため、これらの曲げブロック(曲げ半径:Rmm)で曲げ歪を付与した場合、評価鋼板表面における歪量(ε)は、ε=t/(2R+t)として求めることができるため、それぞれ、1.57%、1.13%、0.66%、0.40%、0.20%、及び0.10%となる。これらの曲げブロックの中央部には、抵抗スポット溶接用電極を非接触で配置できる穴加工が施されている。また、曲げブロックは、溶接通電時のインピーダンス負荷とならないように非磁性材料であるオーステナイト系ステンレス鋼で作製されている。歪付与するための動力源は、動作速度(ヨーク下降速度、引張速度)が400mm/秒の油圧ユニットを使用した。歪み付与タイミングの制御に関しては、溶接電流波形の計測と同時に、レーザー変位計を用いて歪み付与のためのヨーク又は引張クロスヘッドの変位を計測してデーターロガーに記録し、溶接部に歪みが付与されたタイミングを精密に計測した。
LME割れ評価は、溶接・歪付与後に溶接部の上板部側から5mmφのフラットドリルにて上板のみに穴をあけて下板表面に傷等を付けずに、また変形させることなく上板のみを除去して、下板上面を露出させた。その後、当該表面をマイクロスコープにて平面的に観察して、LME割れ発生の有無を確認するとともに、割れの発生位置を特定した。その結果、発明例1~3のいずれにおいても、LME割れが発生する条件では、LME割れはナゲット溶融線から0.5mmの位置の溶接熱影響部で発生していることを確認した。
溶接部の温度解析には、抵抗スポット溶接の温度分布解析汎用ソフトであるSORPAS 2Dを用い、ナゲット溶融線から0.5mmの位置の冷却過程における温度履歴を数値解析して求めた。その一例を図10に示す。発明例1~3において、ナゲット溶融線から0.5mmの位置での温度履歴から、歪付与時の温度を求め、「歪付与温度」とした。以上の要領で、通電終了と同時及びそれ以降の複数条件のタイミングで、上記6条件の歪量の引張歪を付与し、各試験におけるLME割れ発生の有無を調査した。この調査結果に基づいて、発明例1~3の各々において、LME割れ発生歪-温度領域を作図して、総合的にLME割れ感受性を評価した。
(比較例)
比較例として、従来のLME割れ評価方法を実施した。すなわち、通常の溶接法、板間隙間を2mmにしたシートギャップ法、及び、板間隙間を2mmにすることに加え電極打角を5°にしたシートギャップ+電極打角法の3種の評価方法を実施した。比較例のLME割れ評価は、溶接終了後に溶接継手断面を切断して、埋め込み研磨後にエッチング処理し、顕微鏡にて断面ミクロ組織観察を実施して、割れ発生状況を確認し評価した。なお、板厚1.6mm、亜鉛目付量が両面とも60g/mの780MPa級、980MPa級、及び1180MPa級合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)を第1及び第2の鋼板として採用して、単相交流溶接機によって抵抗スポット溶接を実施した。溶接用電極にはCr-Cu製の16DR6-40R(DR型電極、外径16φ、電極フェース:6φ、40R)キャップチップ電極を用い、同じ鋼種のGA鋼板2枚を重ねて、加圧力350N、スキーズ時間5/50秒、通電時間12/50秒、ホールド時間5/50秒でナゲット径が4√t(=5.1mm、t:板厚)となる溶接電流で抵抗スポット溶接を実施した。
[評価結果]
表1に比較例を、表2、表3、及び表4に本発明例による780MPa級、980MPa級、及び1180MPa級GA鋼板のLME割れ感受性の評価結果をそれぞれまとめて示す。
Figure 0007304476000002
Figure 0007304476000003
Figure 0007304476000004
Figure 0007304476000005
比較例においては、780MPa級GA鋼では、従来の何れの評価方法においてもLME割れの発生は認められず、980MPa級GA鋼では、最も厳しいシートギャップ+電極打角法においてLME割れが発生した。また、1180MPa級GA鋼では、シートギャップ法においてもLME割れが発生したことから、780MPa級GA鋼<980MPa級GA鋼<1180MPa級GA鋼の順に、LME割れ感受性が定性的に大きいことが確認できるが、定量的ではなくその程度も確認できない。
これに対して、本発明例では、LME割れが発生しない上限の歪量は、780MPa級GA鋼の場合は0.66%、980MPa級GA鋼の場合は0.20%であり、1180MPa級GA鋼の場合は、歪量0.10%でLME割れが発生しており、LME割れが発生しない歪量は0.10%未満となる。このように本発明例1~3では、LME割れ感受性が定量的に理解でき、また、LME割れ発生に対する材料としてのリスクも定量的かつ具体的に確認できる評価となっている。また、発明例1~3における各鋼板のLME割れ発生歪-温度領域(LTR)を、それぞれ図12A、図12B、及び図12Cに示す。LTRとして図示すると、各鋼板におけるLME割れ発生限界歪量がより明確に認識でき、780MPa級GA鋼の場合は約0.9%、980MPa級GA鋼の場合は約0.3%、1180MPa級GA鋼の場合は約0.1%であることが確認できる。また、何れの鋼板でも、最も低い歪量で割れが発生する温度範囲は1000~1050℃であり、付与歪量の増大にともなって、この割れ発生温度範囲は拡大し、その上限は1100℃、下限は750℃まで拡大することも同時に分かる。
このように本発明例1~3では、LME割れ発生の有無のみによる評価にとどまらず、めっき層も含めたその材料が有するLME割れに対する感受性を示す定量的指標によって評価することが可能となる。
本発明の鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法によれば、高精度かつ定量的に、液体金属脆性割れ感受性を評価することができる。

Claims (8)

  1. 一方又は両方が亜鉛系めっき鋼板である第1の鋼板と第2の鋼板とが隙間なく重ね合わせられた板組を、前記第1及び第2の鋼板の主表面と垂直な軸方向を有する一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して抵抗スポット溶接を行う溶接工程と、
    前記抵抗スポット溶接の通電終了と同時又はそれ以降に、前記第2の鋼板の溶接部に対して、所定の歪量に制御された曲げ歪及び引張歪の一方又は両方の歪を付与する歪付与工程と、
    その後、前記第2の鋼板の溶接部を観察して、液体金属脆性割れの有無を観察結果として把握する観察工程と、
    前記観察結果に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する評価工程と、
    を有する、鋼板の抵抗スポット溶接部における液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
  2. 前記第1の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用し、かつ、前記第2の鋼板として同種の鋼板から採取した複数の試験片を採用して、前記溶接工程、前記歪付与工程、及び前記観察工程からなる一連の工程を複数回行い、
    その際、前記歪付与工程は、前記歪を付与する時点及び前記所定の歪量の一方又は両方が互いに異なる複数の条件にて行い、前記複数の条件は、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生する第1の条件と、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生しない第2の条件と、からなり、
    前記評価工程は、
    前記第1の条件のうち少なくとも1つにおいて、前記第2の鋼板の溶接部における前記液体金属脆性割れの発生位置を特定し、
    前記複数の条件のうち、(i)前記第1の条件については、前記発生位置における前記歪を付与する時点の温度を歪付与温度として求め、(ii)前記第2の条件については、前記発生位置に対応する位置における、前記歪を付与する時点の温度を歪付与温度として求め、
    前記複数の条件の前記観察結果に基づいて、前記歪付与温度及び前記所定の歪量と、前記液体金属脆性割れの有無との関係を求め、
    前記関係に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する
    ことを含む、請求項1に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
  3. 前記評価工程は、
    前記関係から、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生する歪量及び温度の領域を特定し、
    前記領域に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する
    ことを含む、請求項2に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
  4. 前記評価工程は、
    前記領域から、前記第2の鋼板の溶接部に液体金属脆性割れが発生する最小の歪量を求め、
    前記最小の歪量に基づいて、前記第2の鋼板の溶接部における液体金属脆性割れ感受性を評価する
    ことを含む、請求項3に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
  5. 前記複数回の溶接工程は、同一の溶接条件にて行う、請求項~4のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
  6. 前記歪付与工程において、前記曲げ歪の付与は、前記第2の鋼板が一定の曲率を有するように、前記第2の鋼板に対して曲げ変形を加えることにより行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
  7. 前記歪付与工程において、前記引張歪の付与は、前記第2の鋼板に対して引張変形を加えることにより行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
  8. 前記観察工程において、前記第2の鋼板から前記第1の鋼板を剥離して、前記第2の鋼板の溶接部を、前記第1の鋼板と溶接されていた主表面側から観察する、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体金属脆性割れ感受性の評価方法。
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