JP2016147978A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成型して得られたトイレ装置用樹脂成型体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリカーボネート系樹脂60〜90重量部およびポリプロピレン系樹脂10〜40重量部の合計100重量部に対し、スチレン系熱可塑性エラストマー3〜15重量部、ブタジエン系ゴム状重合体コアに芳香族ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト共重合してなるコアシェル型グラフト共重合体1〜10重量部、ハロゲン化カーボネート化合物1〜20重量部、酸化アンチモン化合物0.5〜10重量部およびポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体0.01〜3重量部を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成型して得られたトイレ装置用樹脂成型体。
【選択図】 図1
Description
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用されるポリカーボネート系樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCF成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPA成分が10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCF成分が5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMC成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃であるポリカーボネート、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%であるポリカーボネート。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
尚、本発明の樹脂組成物における粘度平均分子量の算出は次の要領で行なわれる。すなわち、該組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチレンと混合し、組成物中の可溶分を溶解させる。かかる可溶分をセライト濾過により採取する。その後得られた溶液中の溶媒を除去する。溶媒除去後の固体を十分に乾燥し、塩化メチレンに溶解する成分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、上記と同様にして20℃における比粘度を求め、該比粘度から上記と同様にして粘度平均分子量Mを算出する。
本発明の樹脂組成物はB成分として、ポリプロピレン系樹脂を含有する。ポリプロピレン樹脂は、プロピレンの重合体であるが、本発明においては、他のモノマーとの共重合体も含む。本発明のポリプロピレン樹脂の例には、ホモポリプロピレン樹脂、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」ともいう)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のα−オレフィンとのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」ともいう)が含まれる。なお、「ブロックポリプロピレン」と「ランダムポリプロピレン」を合わせて、「ポリプロピレン共重合体」ともいう。
本発明の樹脂組成物はC成分としてスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する。本発明で使用するスチレン系熱可塑性エラストマーは下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X−(Y−X)n …(I)
(X−Y)n …(II)
一般式(I)および(II)におけるXは芳香族ビニル重合体ブロックで、式(I)においては分子鎖両末端で重合度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、Yとしてはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロック、水添されたイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、部分水添されたブタジエン重合体ブロック、部分水添されたイソプレン重合体ブロックおよび部分水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの中から選ばれた少なくとも1種である。また、nは1以上の整数である。
本発明の樹脂組成物はD成分として、ブタジエン系ゴム状重合体コアに芳香族ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト共重合してなるコアシェル型グラフト共重合体を含有する。本発明に用いることのできるグラフト共重合体は、ブタジエン系ゴム状重合体コアに芳香族ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト共重合してなるコアシェル型グラフト共重合体であれば特に制限されないが、例えば、乳化重合法、マイクロサスペンション重合法、ミニエマルション重合法などの公知の方法により製造されたグラフト共重合体を使用することができる。中でも、構造制御が容易である点から、乳化重合法により製造したグラフト共重合体を好適に用いることができる。前記グラフト共重合体におけるブタジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエンゴム重合体、またはブタジエン単量体と、これと共重合可能なビニル系単量体または単量体混合物とを共重合させてなる共重合体であれば特に制限されないが、組成物の衝撃強度付与の観点から、ブタジエン系ゴム状重合体中のブタジエンの割合は50重量%以上であることが好ましい。前記グラフト共重合体におけるシェルの形成に用いられる芳香族ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体は、公知の方法に従って重合系中に一括または連続的に投入してグラフト共重合させればよい。芳香族ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体を2種以上を用いる場合は、公知の方法に従って、それぞれを別々に、あるいは予め混合してから投入すれば良い。前記芳香族ビニル単量体の例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アルコキシスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて適宜用いることができる。前記(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル等のメタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸アルキルエステルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて適宜用いることができる。なお、本発明において(メタ)アクリルとは、特に断らない限り、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。前記グラフト共重合体の重合後に、必要に応じてフェノ−ル系、硫黄系、ヒンダ−ドアミン系等の酸化防止剤を用いることができる。かかる重合体は市販されており容易に入手することが可能であり、(株)カネカ製のカネエースMシリーズ(M−701、M−721など)、三菱レイヨン(株)製のメタブレンCシリーズ(C−223Aなど)、Eシリーズ(E−860Aなど)などが挙げられる。
本発明の樹脂組成物はE成分としてハロゲン化カーボネート化合物を含有する。ハロゲン化カーボネート化合物としては、下記式(1)で表される構成単位が全構成単位の少なくとも60モル%で、比粘度が0.015〜0.1のハロゲン化カーボネート化合物が好適に用いられる。
また、かかる式(1)において、好適にはRはメチレン基、エチレン基、イソプロピリデン基、−SO2−、特に好ましくはイソプロピリデン基を示す。
本発明の樹脂組成物はF成分として酸化アンチモン化合物を含有する。酸化アンチモン化合物は、ハロゲン化カーボネート化合物(E成分)との相乗効果により組成物の難燃性を高める働きをするものである。酸化アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、(NaO)p・(Sb2O5)・qH2O (p=0〜1、q=0〜4)で表される五酸化アンチモンおよびアンチモン酸ナトリウムを使用することができる。酸化アンチモン化合物は、好ましくは粒径0.02〜5μmの粒子として用いられる。
F成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。含有量が0.5重量部より少ないとハロゲン化カーボネート化合物(E成分)との相乗作用による組成物の難燃化効果が小さく、10重量部を超えると組成物の機械的特性が低下する。
本発明の樹脂組成物は、G成分としてポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体を含有する。このポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体の含有により、成型品の物性を損なうことなく、良好な難燃性を達成することができる。本発明にて使用されるポリテトラフルオロエチレン系混合体は、粒子径10μm以下、具体的にはポリテトラフルオロエチレンは粒子径が10μmを超える凝集体となっていないポリテトラフルオロエチレン粒子および有機系重合体からなることが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂に配合した際の分散性の観点から、粒子径0.05〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(G1)と有機系重合体粒子水性分散液(G2)とを混合した分散液中で、ビニル単量体(g2)を重合した後、凝固またはスプレードライにより粉体化して得られるものを用いることが好ましい。本発明に係わるポリテトラフルオロエチレン系混合体を得るために用いる、粒子径0.05〜1.0μmポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(G1)は、含フッ素界面活性剤を用いる乳化重合でテトラフルオロエチレンモノマーを重合させることにより得られる。ポリテトラフルオロエチレン粒子の乳化重合の際、ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィンや、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。共重合成分の含量は、テトラフルオロエチレンに対して10重量%以下であることが好ましい。ポリテトラフルオロエチレン粒子分散液(G1)の市販原料としては、旭硝子フロロポリマー社製のフルオンAD−1、AD−936、ダイキン工業社製のポリフロンD−1、D−2、三井デュポンフロロケミカル社製のテフロン(登録商標)30J等を代表例として挙げることができる。本発明に係わるポリテトラフルオロエチレン系混合体を得るために用いる有機系重合体粒子水性分散液(G2)は、ビニル単量体(g1)を乳化重合等の公知の方法により重合させることにより得ることができる。なお、上記のビニル単量体(g1)およびビニル単量体(g2)は同一でも異なっていてもよく、特に制限されるものではないが、ポリカーボネート系樹脂(A成分)に配合する際の分散性の観点からポリカーボネート系樹脂(A成分)との親和性が高いものであることが好ましい。これらビニル単量体(g1)および(g2)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、p−クロロスチレン、o−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;無水マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸;N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−シクロヒキシルマレイミド等のマレイミド単量体;グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のα−オレフィン単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。これらの単量体の中でポリカーボネート系樹脂(A成分)との親和性の観点から好ましいものとして、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を30重量%以上含有する単量体を挙げることができる。特に好ましいものとして、スチレン、アクリロニトリルからなる群より選ばれる1種以上の単量体、さらにより好ましいものとしてアクリロニトリルを30重量%以上含有する単量体を挙げることができる。本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン系混合体中に占めるポリテトラフルオロエチレンの含有割合は、1重量%〜70%重量であることが好ましく、5重量%〜60重量%であるのがより好ましく、20重量%〜55重量%が最も好ましい。1重量%未満であると難燃性の改良効果が不十分となり、70重量%を超えると表面外観に悪影響を及ぼす可能性があるので好ましくない。本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン系混合体は、その水性分散液を、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固した後に乾燥することにより粉体化することもできる。通常のポリテトラフルオロエチレンファインパウダーは、粒子分散液の状態から粉体として回収する工程で100μm以上の凝集体となってしまうために熱可塑性樹脂に均一に分散させることが困難であるのに対して、本発明に用いるポリテトラフルオロエチレン系混合体は、ポリテトラフルオロエチレンが単独で粒子径10μmを超えるドメインを形成していないためにポリカーボネート系樹脂(A成分)に対する分散性がきわめて優れている。この結果、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレンがポリカーボネート中で効率よく微細繊維化しており、難燃性が優れる上に、表面性、衝撃特性にも優れるものとなる。かかるポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体は市販されており容易に入手することが可能である。[例えば、三菱レイヨン(株)の「メタブレン A3800」「メタブレン A3750」(商品名)]
また、本発明の組成物は必要に応じて種々の公知の添加剤を添加することができ、各種添加剤の割合としては、A成分とB成分との合計100重量部に対して、無機充填剤、有機充填剤は、1〜50重量部、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤は、0.1〜5重量部、無機または有機系着色剤(酸化チタン、カーボンブラックなど)は、0.01〜5重量部である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分〜G成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
本発明における樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成型して各種トイレ装置用樹脂成型体を製造することができる。かかる射出成型においては、通常の成型方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成型、射出プレス成型、ガスアシスト射出成型、発泡成型(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成型、インモールドコーティング成型、断熱金型成型、急速加熱冷却金型成型、二色成型、サンドイッチ成型、および超高速射出成型などの射出成型法を用いて成型体を得ることができる。これら各種成型法の利点は既に広く知られるところである。また成型はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
(ポリカーボネート樹脂組成物の評価)
(i)外観
下記の方法で作製して得られたISO引張試験片およびUL試験片の外観について、目視で評価した。なお、評価は下記の基準で実施した。
◎:外観が特に優れるもの
○:外観不良が見られないもの
△:ゲート側からのフローマークが若干発生しているもの
×:ゲート側からのフローマーク等の外観不良が強く発生しているもの
(ii)耐薬品性
下記の方法で得られたISO引張試験片を用いて、3点曲げ試験法にて、1%歪みをかけた後、バスマジックリンおよびトイレマジックリン(全て、花王(株)製)を含浸させた布をかけ、23℃で96時間放置した後に、外観変化の有無を確認した。なお、評価は下記の基準で実施した。
○:外観変化が見られないもの
△:微細なクラックの発生が若干見られるもの
×:破断にいたるような大きなクラックが見られるもの
(iii)曲げ弾性率
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いて、ISO 178に従い、曲げ弾性率の測定を実施した。
下記の方法で得られたISO曲げ試験片を用いて、ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。
(v)難燃性
下記の方法で得られたUL試験片を用いて、UL94に従い、V試験を実施した。
(vi)成型収縮率
下記の方法で得られた成型収縮率測定用試験片を23℃ 、相対湿度50%雰囲気にて24時間放置した。放置後の角板寸法を3次元測定機(株式会社ミツトヨ製)により測定し、下記式にて樹脂の流動方向(MD)および流動に対して直角方向(TD)の成型収縮率を算出した。
成型収縮率(%)={(金型寸法−角板寸法)/金型寸法)}×100
(vii)寸法公差
下記の方法で得られたトイレ装置用樹脂成型体である便座(図1)の全長(431.5mm)、全幅(365mm)、ヒンジ高さ(75.05mm)の寸法公差の測定を実施した。
表1および表2の比較例1〜13に示す組成で、B成分のポリプロピレン系樹脂を除く成分からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物はV型ブレンダーで混合して得た。B成分のポリプロピレン系樹脂は、第2供給口からサイドフィーダーを用いて供給した。押出は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30α−38.5BW−3V)を使用し、スクリュー回転数230rpm、吐出量25kg/h、ベントの真空度3kPaで溶融混練しペレットを得た。なお、押出温度については、第1供給口からダイス部分まで270℃で実施した。
表1および表2の比較例1〜13に示す組成にて得られたペレットの一部は、90〜100℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成型機を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度70℃にて評価用の試験片(ISO引張試験片(ISO527−1及びISO527−2準拠)、ISO曲げ試験片(ISO178及びISO179準拠))、UL試験片、成型収縮率評価用試験片(幅50mm×長さ100mm×厚み2mm(厚み1.5mmフィルムゲートを長さ方向の一端に有する金型キャビティを用いて成型))および、トイレ装置用樹脂成型体である便座(図1)を成型した。
(A成分)
A−1:芳香族ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量23,900のポリカーボネート樹脂粉末、帝人(株)製 パンライトL−1250WP(製品名))
(B成分)
B−1:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:2.0g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーPL400A(製品名))
B−2:ポリプロピレン樹脂(ホモポリマー、MFR:0.5g/10min、(株)サンアロマー製 サンアロマーVS200A(製品名))
(C成分)
C−1:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:65wt%、MFR:0.4g/10min、(株)クラレ製 セプトン2104(製品名))
C−2:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:30wt%、MFR:70g/10min、(株)クラレ製 セプトン2002(製品名))
C−3:スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:67wt%、MFR:2.0g/10min、旭化成ケミカルズ(株)製 タフテックH1043(製品名))
C−4:スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(スチレン含有量:67wt%、MFR:28g/10min、旭化成ケミカルズ(株)製 タフテックP2000(製品名))
(D成分)
D−1:ブタジエン系コアシェル型グラフトポリマー(コアがブタジエン系ゴムを主成分として70wt%含有、シェルがメチルメタクリレート、ブチルアクリレートとスチレンとするグラフト共重合体、(株)カネカ製 カネエースM−701(製品名))
(E成分)
E−1:ハロゲン化カーボネート化合物(ビスフェノールA骨格を有する臭素化カーボネートオリゴマー、帝人(株)製 ファイヤーガードFG−7000(製品名))
(F成分)
F−1:酸化アンチモン化合物(三酸化アンチモン、日本精鉱(株)製 PATOX−K(製品名))平均粒子径:1.2μm
(G成分)
G−1:ポリテトラフルオロエチレン系混合体(メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル共重合物で被覆されたポリテトラフルオロエチレン(ポリテトラフルオロエチレン含有量50重量%)、三菱レイヨン(株)製 メタブレンA3750(商品名))
(G成分の比較例)
G−2:ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製 ポリフロンMPA FA500H(商品名))
(その他の成分)
熱安定剤:フェノール系安定剤(オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、分子量531、BASFジャパン(株)製 Irganox 1076(製品名))
着色剤:カーボンブラックマスター(越谷化成工業(株)カーボンブラック50%含有ポリスチレン樹脂マスター、ROYAL BLACK RB90003S(製品名))
Claims (7)
- (A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)60〜90重量部および(B)ポリプロピレン系樹脂(B成分)10〜40重量部の合計100重量部に対し、(C)スチレン系熱可塑性エラストマー(C成分)3〜15重量部、(D)ブタジエン系ゴム状重合体コアに芳香族ビニル単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体をグラフト共重合してなるコアシェル型グラフト共重合体(D成分)1〜10重量部、(E)ハロゲン化カーボネート化合物(E成分)1〜20重量部、(F)酸化アンチモン化合物(F成分)0.5〜10重量部および(G)ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体(G成分)0.01〜3重量部を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を成型して得られたトイレ装置用樹脂成型体。
- C成分のスチレン単位の含有量が40〜70重量%である請求項1に記載のトイレ装置用樹脂成型体。
- C成分中の水添ポリジエン単位が水添イソプレン単位であり、エチレン・プロピレンブロック単位を有するブロック共重合体である請求項1または2に記載のトイレ装置用樹脂成型体。
- C成分中の水添ポリジエン単位が水添ブタジエン単位であり、エチレン・ブチレンブロック単位を有するブロック共重合体である請求項1または2に記載のトイレ装置用樹脂成型体。
- C成分中の水添ポリジエン単位が部分水添ブタジエン単位であり、ブダジエン・ブチレンブロック単位を有するブロック共重合体である請求項1または2に記載のトイレ装置用樹脂成型体。
- C成分の230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1〜10g/10minである請求項1〜5のいずれかに記載のトイレ装置用樹脂成型体。
- B成分の230℃、2.16kg荷重でのMFRが0.1〜5g/10minである請求項1〜6のいずれかに記載のトイレ装置用樹脂成型体。
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