JP2016145337A - 油脂用脱色剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】物理的精製処理がなされた油脂であるRBDパーム油に対して優れた脱色能を示す、RBDパーム油用脱色剤を提供する。【解決手段】BET比表面積が150m2/g以上の範囲にある酸処理スメクタイトからなり、Si成分とAl成分との酸化物換算での物質量比(SiO2/Al2O3)が8.0〜18.0の範囲にあり、交換性Al3+の全Al原子に対する割合が4.0×10−2〜8.0×10−2当量%の範囲にあることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、油脂用脱色剤に関するものであり、特に米油や物理的精製がされたパーム油(RBDパーム油)、最も好適には、RBDパーム油についての脱色処理に適用される油脂用脱色剤に関する。
動植物から採取した油脂(以下、「粗油」と呼ぶことがある)は、一般に、リン脂質を除去する脱ガム処理、遊離脂肪酸を除去する脱酸処理、石ケン分を除去する水洗処理、色素を除去する脱色処理を経て、最後に有臭成分を除去する脱臭処理を経て、食用油等の用途に供される。
上記で用いる脱色剤としては、例えば、ジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物(フラーズアース或いはブリーチングアースとも呼ばれる)を酸処理することにより比表面積等を増大して活性化した活性白土が知られている(特許文献1参照)。
また、活性白土ほどの脱色性能は有していないが、本出願人が提案したシリカマグネシア製剤も油脂に対する脱色性能を有している(特許文献2参照)。
ところで、上記のような油脂の精製にあたっては、200〜250℃の加熱下で水蒸気蒸留により、最後の脱臭処理が行われるが、この脱臭処理をより低温、短時間で行うことが望まれている。長時間かけて脱臭処理を行うと、トランス脂肪酸や3MCPD(3−モノクロロプロパンジオール)等の有害物質の含有量が増加するばかりか、トコフェノールやステロール等の油脂中の有効成分が減少する傾向があるためである。脱臭処理を低温、短時間で行うためには、脱色処理された脱色油の酸価を低くすればよいことが知られている。
一方、最近では、物理的精製処理(フィジカル精製処理)によって精製された油脂が販売されている。物理的精製処理は、粗油を脱ガム処理、脱色処理した後に、脱臭(フィジカル脱酸)処理するというものである。即ち、アルカリ処理を行わず、蒸留による脱臭によって脱臭と共に遊離脂肪酸を除去するというものであり、水酸化ナトリウム等のアルカリを使用しないことから、安価に精製処理が行われるという利点がある。特に輸入品に、このような物理的精製処理されたものが多く、例えばこのような処理がされたパーム油は、RBD(Refined Bleached and Deodorized)パーム油と呼ばれている(例えば、特許文献3参照)。
ところで、上記のように物理的精製処理がなされた油脂(即ち、精製油脂)は、安価ではあるが、精製が十分に行われておらず、このため、日本国内では更に常法による精製処理が行われる場合がほとんどである。
しかるに、上記のように、一旦精製処理がなされた油脂について再度の精製処理を行う場合には、脱色を行い難いという問題がある。恐らく、油脂中に含まれる色素等が、物理的精製処理で行われる蒸留時に重合して高分子量化してしまうためではないかと考えられている。
例えば、特許文献4には、酸処理により活性化されたスメクタイト(活性白土)を植物油等の脱色剤として使用する旨が開示されているが、物理的精製処理がされていない植物油等についての脱色性しか検討されておらず、RBDパーム油のように物理的精製処理が施されたものについての脱色性能については、まったく検討されていない。
このように、物理的精製処理がなされた植物油についての脱色性は、従来まったく知られていないというのが実情である。
また、種々の油脂の中でも米油は、脱色しにくいものとして知られている。
特開2008−31411号 特開2005−6510号 特開2011−30482号 特表平11−500352号
従って、本発明の目的は、物理的精製処理がなされた油脂であるRBDパーム油に対して優れた脱色能を示す、油脂用脱色剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、従来、脱色が困難な油脂として知られている米油に対しても優れた脱色性を示す油脂用脱色剤を提供することにある。
本発明者等は、RBDパーム油や米油に対する脱色性について多くの実験を行った結果、スメクタイトの層構造を適度に維持しながら、層間に存在するAl3+量(交換性Al3+量)を適度の範囲に調整することにより、RBDパーム油や米油に対する脱色性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、BET比表面積が150m/g以上の範囲にある酸処理スメクタイトからなり、Si成分とAl成分との酸化物換算での物質量比(SiO/Al)が8.0〜18.0の範囲にあり、交換性Al3+の全Al原子に対する割合が4.0×10−2〜8.0×10−2当量%の範囲にあることを特徴とする、油脂用脱色剤が提供される。
本発明の油脂用脱色剤においては、
(1)交換性Al3+を20.0〜60.0meq/100gの量で含有していること、
(2)交換性Ca2+の交換性Al3+に対する割合が60当量%以下、且つ、交換性Mg2+の交換性Al3+に対する割合が60当量%以下に抑制されていること、
(3)Kを0.30〜6.0meq/100gの量で含んでいること、
(4)物理的精製が行われたRBDパーム油の脱色に使用すること、
或いは
(5)米油の脱色に使用すること、
が望ましい。
本発明の脱色剤は、物理的精製処理が行われたパーム油、即ちRBDパーム油に対して優れた脱色性能を示す。例えば、後述する実施例に示されているように、光線透過率が64.1%(水の透過率を100%とする)のRBDパーム油について、通常の活性白土を用いて脱色処理したとき、その透過率は79.2%であるが、本発明に従い交換性アルミニウムの量が一定の範囲に調整されているものでは81%を超える。即ち、透過率が本発明では2%向上しているが、これは目視で認識されるレベルであり、脱色性能が大きく向上していることを示す。
また、本発明の脱色剤は、単独で、RBDパーム油に対する優れた脱色性能を示し、第三成分の添加等を必要としないため、コストの点で極めて有利である。
さらに、後述する実施例(応用例)で示されているように、本発明の脱色剤は、米油に対しても優れた脱色性を示す。
カリミョウバンのXRD回折図。 比較例1および実施例2で得られた活性白土粉末のXRD回折図。
本発明の油脂用脱色剤は、酸処理スメクタイト、即ち活性白土からなるものであり、酸処理によって、そのBET比表面積は150m/g以上、特に250〜400m/g程度に増大している。
本発明では、このような高比表面積の酸処理スメクタイトにおいて、交換性Al3+の量が一定の範囲に調整されており、具体的には、Si成分とAl成分との酸化物換算での物質量比(SiO/Al)が8.0〜18.0、特に13.0〜18.0の範囲にあり、交換性Al3+の全Al原子に対する割合が4.0×10−2〜8.0×10−2当量%、特に4.0×10−2〜7.0×10−2当量%の範囲にある。
上記の質量比および交換性Al3+の割合は、スメクタイト特有の三層構造が破壊されずに適度に維持されながら、スメクタイトの層間にあるAl3+(交換性Al3+)の量が適度に増大していることを意味しており、このような増大した交換性Al3+によってRBDパーム油に対する優れた脱色性が得られるものである。
即ち、本発明の脱色剤である酸処理スメクタイトは、スメクタイトの基本三層構造に由来してAl原子を含んでいるが(後述するAlO八面体層を形成しているAl原子)、このようなAl原子(以下、非交換性Alと呼ぶことがある)に加えて、スメクタイトの基本三層構造間に、イオン交換性のAl3+が導入されており、その量が増大している。交換性Al3+の増大によるRBDパーム油に対する脱色性の向上は、多くの実験結果において現象として見出されたものであり、その正確な理由は解明されるには至っていないが、本発明者等は、交換性Al3+の増大が固体酸量の増大を招く結果ではないかと推察している。即ち、RBDパーム油に含まれる除去しにくい成分、例えば高分子量成分等が固体酸によって効果的に除去されるのではないかと考えられるわけである。
例えば、SiO/Alが大きすぎる脱色剤は、酸処理において構造破壊が過度に進んだ結果、後のAl3+の外添処理において前記交換性Al3+の全Al原子に対する割合を満足にすることが困難となり、充分な脱色能を得ることができないおそれがある。また、この比が小さすぎると、酸処理自体が不充分であるため、比表面積が小さく、やはり、脱色性能の低下を招くおそれがある。
また、交換性Al3+の割合が上記範囲より過度に大きいものを得るためには、外添によりAl3+量を増大させる必要があり、その結果として、Al3+の外添処理に伴う夾雑イオン(例えばK)の増大を招き、やはり脱色性能の低下につながってしまう。一方、交換性Al3+の割合が上記範囲より過度に小さいものは、当然のことながら、優れた脱色性能を示すことができなくなる。
本発明の脱色剤は、スメクタイトが酸処理されている結果として、BET比表面積が前述した範囲に増大している。また、細孔直径1.7〜100nmにおける細孔容積(窒素吸着法による)は0.30〜0.50cm/gの範囲にあり、嵩密度は0.45〜0.70g/cmの範囲にある。
加えて、本発明の脱色剤は、Al3+の外添処理の工程において、交換性Al3+量を調整することができるが、層間に含まれるCa2+やMg2+が交換除去されており、例えば、交換性Ca2+の交換性Al3+に対する割合が60当量%以下、交換性Mg2+の交換性Al3+に対する割合が60当量%以下に抑制されている。また、このような脱色剤では、Kが0.30〜6.0meq/100gの量で含まれている。一般に、このKが上記範囲よりも少ない場合には、交換性Al3+の量が十分に増大しておらず、RBDパーム油に対する脱色性能が不満足となるおそれがある。また、Kの量が上記範囲よりも多い場合には、後述するカリミョウバン処理によって夾雑イオンが多く導入されてしまい、このような夾雑イオンによって脱色性能の低下を生じるおそれがある。
尚、本発明の脱色剤に含まれるAl原子のトータル量、交換性Al3+量、その他のイオン量は、後述する実施例に示す、公知の方法によって測定することができる。
例えば、Al原子のトータル量は、この脱色剤を徹底的に酸処理して分解し、処理液中に含まれるAl原子の量を原子吸光等により求めることができる。また、交換性Al3+の量は、塩化カリウムを用いて交換性Al3+を選択的に抽出し、この抽出液中に含まれるAl量から求められる。
<油脂用脱色剤の製法>
本発明の油脂用脱色剤は、例えば、ジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物を主成分とする粘土を原料とし、これを所定の条件で酸処理し、さらに、カリミョウバンを用いたAl3+の外添処理によって交換性Al3+を導入することによって得ることができる。
原料として用いる上記ジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物は、火山岩や溶岩等が海水の影響下で変性したものと考えられており、SiO四面体層−AlO八面体層−SiO四面体層からなり、且つこれらの四面体層と八面体層が部分的に異種金属で同型置換された三層構造を基本構造(単位層)としており、このような三層構造の積層層間には、Ca、K、Na等の陽イオンやHとそれに配位している水分子が存在している。また、基本三層構造の八面体層中のAlの一部がMgやFe(II)に置換し、四面体層中のSiの一部がAlに置換しているため、結晶格子はマイナスの電荷を有しており、このマイナスの電荷が基本層間に存在する金属陽イオンやHにより中和されている。このようなジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物には、酸性白土、ベントナイト、フラーズアースなどがあり、金属層間に存在する金属陽イオンの種類や量、及びH量などによってそれぞれ異なる特性を示す。例えば、ベントナイトでは、基本層間に存在するNa量が多く、このため、水に懸濁分散させた分散液のpHが高く、一般に高アルカリサイドにあり、また、水に対して高い膨潤性を示し、さらにはゲル化して固結するという性質を示す。一方、酸性白土では、基本層間に存在するH量が多く、このため、水に懸濁分散させた分散液のpHが低く、一般に酸性サイドにあり、また、水に対して膨潤性を示すものの、ベントナイトと比較すると、その膨潤性は総じて低く、ゲル化には至らない。
このようなジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物を主成分とする粘土は、特に限定されるものではなく、上述した各種の何れをも使用することができる。また、かかる原料粘土は、粘土の成因、産地及び同じ産地でも埋蔵場所(切羽)等によっても相違するが、一般的には、酸化物換算で以下のような組成を有している。
SiO;50〜70質量%
Al;14〜25質量%
Fe;2〜20質量%
MgO;3〜7質量%
CaO;0.1〜3質量%
NaO;0.1〜3質量%
O;0.1〜3質量%
その他の酸化物(TiOなど);1質量%以下
Ig−loss(1050℃);5〜10質量%
ジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物を主成分とする粘土原料を、必要により石砂分離、浮力選鉱、磁力選鉱、水簸、風簸等の精製操作に賦した後、酸処理に賦する。
酸処理は、粒状活性法や、泥状活性法の何れでも行うことができる。以下粒状活性法を例として説明するが、本発明はこの場合に決して限定されるものではない。
粒状活性法では、酸との接触に先立って、原料粘土鉱物を予め酸処理に適した粒状物に成形しておく必要がある。採掘される原鉱石は、一般に水分を35〜40質量%程度含有しており、この水分が粘土を造粒するための造粒媒体となる。
粗砕機として鬼爪クラッシャーを使用し、原鉱石を粗砕した後、粘土の混練を行う。この混練には、溝ロールや平ロール或いはそれらの組み合わせを用いることができる。次いで混練された粘土を所定のサイズに造粒する。粒状物の径は、一般に3〜10mm、特に5〜7mmの範囲にあるのが適当である。
適当な造粒機として穴あきロールが挙げられ、このものは、一対のロールに穴があいており、ロールのニップ位置に粘土を供給し、ロールの外から内に粘土が通ることにより、所定のサイズに造粒が行われる。
このような造粒物を酸処理に付することにより、スメクタイトの基本三層構造中のAl成分の一部がAl3+として除去され、比表面積の増大や細孔容積の増大がもたらされ、クロロフィル等の色素の吸着に好適な物性を確保することができる。
酸処理は、処理槽に粘土の造粒物を充填し、酸水溶液を循環することにより行われる。酸水溶液としては、鉱酸類、例えば硫酸、塩酸等、特に硫酸が使用され、その濃度は14〜40質量%が適当である。処理温度は、95℃以下の範囲、処理時間は、処理量によっても異なるが、6〜18時間程度の範囲から、条件を選択する。
ところで、原理的には、上記の酸処理のみで、交換性Al3+の量を前述した範囲に調整することは可能であるが、原料として用いるジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物を主成分とする粘土が天然物であり、採取場所などによって、その組成が異なることなどを考慮すると、前述した条件を満足する酸処理スメクタイトを得ることは、ほとんど不可能である。即ち、酸処理によって基本三層中のAl原子が溶出し、この一部が交換性Al3+として残存することとなるのであるが、このようにして交換性Al3+量を調整する場合には、当然、基本三層の構造破壊が生じてしまうため、極めて厳密に酸処理条件(用いる酸の濃度、温度、処理時間など)を制御する必要がある。しかるに、このジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物を主成分とする粘土の組成は、一定でなく、ロット等によって変動してしまうものであるため、その変動に応じて、酸処理条件もその都度変更しなければならず、工業的な実施は実質上困難である。
そこで、本発明では、上記の酸処理を軽度に行い、その後、カリミョウバンを用いた処理によって交換性Al3+を導入すること(即ち、Al3+の外添処理)により、RBDパーム油用の脱色剤を製造する。
このような製造法において、カリミョウバンによるAl3+の外添処理に先立って行われる軽度の酸処理は、例えば、交換性Al3+の全Al原子に対する割合が、2.0×10−2〜4.0×10−2当量%程度の量となる程度に行われる。
即ち、この酸処理を強く行い過ぎると、交換性Al3+の量は増大するとしても、ジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物の構造破壊が過度に進行してしまい、この結果、SiO/Alが前述した範囲を逸脱してしまい、RBDパーム油に対する脱色性能の低下を生じてしまうこととなる。
上記の酸処理後は、酸処理物を含む処理液をろ過し、得られたろ過物を、例えば、カリミョウバンの水溶液中に浸漬あるいは懸濁分散することにより、カリミョウバンによるAl3+の外添処理が行われる。
用いるカリミョウバン(AlK(SO・nHO、n=12、10、6、3、2または0)は、硫酸アルミニウムカリウムであり、結晶物と乾燥物(無水物)とがあるが何れも使用できる。
即ち、カリミョウバンは、Al原子と共に、カリウムを含む硫酸の複塩であり、水に易溶の弱酸性物質であり、この水溶液に、軽度に酸処理したスメクタイトを撹拌下に懸濁分散させることにより、スメクタイトの基本三層構造の層間にアルミニウム原子が交換性イオンとして導入され、同時にKも層間に導入されることとなる。また、このカリミョウバンの水溶液は弱酸性であるため、基本三層中のAl原子の過度の溶出を有効に抑制することができ、基本三層の構造破壊を有効に防止することができる。
また、この処理により、層間に含まれるMg2+やCa2+も、Al3+やKとのイオン交換により少なくとも一部が取り除かれることとなる。
このように、カリミョウバンを用いてのAl3+の外添処理により、ジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物の構造破壊を有効に抑制しつつ、交換性Al3+の量や、その他の物性等を前述した範囲に調整することができるわけである。
このようなカリミョウバンを用いた処理による交換性Al3+の導入効果は、交換性Al3+量の増大と共に、カリミョウバンのXRD回折図(図1参照)と、比較例1および実施例2で得られた活性白土粉末のXRD回折図(図2参照)とを比較し、Al3+の外添処理後では、カリミョウバンに特有の回折ピークが消失していることから確認することができる。
本発明において、上記カリミョウバンのAl3+の外添処理に用いるカリミョウバン水溶液の濃度は、特に制限されるものではないが、一般に、2〜6質量%程度の濃度でカリミョウバンを含んでいればよく、この水溶液に酸処理後のスメクタイトを添加しての処理温度は、カリミョウバンが析出しない程度の温度であればよく、一般に、室温以上、特に25〜70℃程度である。また、処理時間は、用いるカリミョウバン水溶液の濃度や温度、処理量等によって異なり、一概に規定することはできないが、通常は、1〜6時間程度である。実際の製造にあたっては、予めのラボ試験により、交換性Al3+の量を測定しておき、適度な時間を設定しておけばよい。
上記のAl3+の外添処理後は、酸処理スメクタイトが分散されている懸濁液を、必要により、一般に公知の手法を用いて、水洗、乾燥した後、粉砕、分級を行うことにより、目的とする脱色剤を得ることができる。
かくして得られる脱色剤は、交換性Al3+の量等が前述した範囲に調整されていると共に、一般に、酸化物換算で、下記の化学組成を有している。
SiO;60〜80質量%
Al;8〜13質量%
Fe;1〜10質量%
MgO;1〜5質量%
CaO;0.1〜2質量%
NaO;0.1〜1質量%
O;0.1〜2質量%
その他の酸化物(TiOなど);1質量%以下
Ig−loss(1050℃);4〜8質量%
このようにして得られた脱色剤は、活性白土とも呼ばれるが、特に海外から多量に輸入され、マーガリンなどの用途に多く使用されているRBDパーム油用の脱色剤として優れた脱色性を示す。また、米油の脱色剤剤としても優れた脱色性能を発揮する。
このような活性白土は、固体酸としての活性を有すると共に、比表面積や細孔容積が大きく、そのため、有機化学反応における脱水、分解、重合、異性化などの触媒或いは触媒担体として用いることもできる。
本発明を次の実施例で説明する。なお、実施例における測定方法は、以下の通りである。
(1)比表面積、細孔容積、嵩密度
比表面積は、Micromeritics社製TriStar3000を用いて測定を行い、相対圧が0.05から0.25以下の吸着枝側窒素吸着等温線からBET法で解析した。
細孔容積は、窒素吸着法により測定を行い、吸着枝側窒素吸着等温線から、BJH法により細孔直径1.7〜100nmの細孔容積を求めた。
嵩密度は、JIS.K.6220−1 7.7:2001に準拠して測定を行い、次式により水分換算した嵩密度を求めた。
嵩密度(g/cm)= G(1−(M/100))
G :嵩密度実測値(g/cm
M :試料の110℃乾燥水分(%)
(2)化学組成
強熱減量、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)の分析はJIS.M.8853:1998に準拠して測定した。また、Fe、CaO、MgO、KOは原子吸光法を用いた。なお、測定試料は110℃乾燥物を基準とした。
(3)交換性カチオン量(Al3+、Mg2+、Ca2+、K
Al3+、Mg2+、Ca2+の分析は、1mol/L KCl溶液を用いて得られた浸出液に対し原子吸光法を用いて測定した。また、Kは、1mol/L CHCOONH溶液を用いて得られた浸出液に対し原子吸光法を用いて測定した。なお、測定試料は110℃乾燥物を基準とした。
各交換性カチオンの割合を、下記計算式から求めた。
交換性Al3+の全Al原子に対する割合(当量%):
(交換性Al3+物質量)÷(全Al物質量)÷2×100
交換性Ca2+の交換性Al3+に対する割合(当量%):
(交換性Ca2+物質量)÷(交換性Al3+物質量)×100
交換性Mg2+の交換性Al3+に対する割合(当量%):
(交換性Mg2+物質量)÷(交換性Al3+物質量)×100
(4)脱色試験法
脱色剤の性能試験には、粘土ハンドブック第三版 日本粘土学会編(技報堂出版)p570の図に示す脱色試験機を用いた。脱色試験機には8本の硬質ガラス製大型試験管(容量200ml)が油浴にセットできる。各試験管には、下端が丸くなった波形の攪拌棒を入れ、その下端は試験管の底部に常に接触するようにゴム管で調節する。8本の攪拌棒は中央の親歯車から分かれた子歯車によって回転するので、その回転速度は全く等しく保たれる。中央の親歯車の下には油浴を攪拌する攪拌羽根がついていて、油浴内の温度を均一に保っている。脱色試験は最大8個まで、任意の数で試験できる。各試験管にRBDパーム油を30gずつ採取し、各脱色剤サンプルを0.6gずつ(油に対して2%)加えて脱色試験用の攪拌棒でよく混ぜた。各試験管を110℃に保たれた前記の脱色試験機にセットし、20分間攪拌を行った後脱色試験機から取り出し、油と脱色剤の混合スラリーをろ過することにより各脱色油を得た。各脱色油の白色光線透過率(蒸留水の透過率を100%としたときの相対値)を(株)平間理化研究所製光電比色計2C型で測定した。
(比較例1)
新潟県胎内市産のジオクタヘドラル型スメクタイト粘土鉱物を主成分とする粘土を原料として用い、この原料を粗砕、混練し5mm径に造粒した。得られた造粒物の水分は37%であった。
この造粒物1500gを処理槽に充填し、そこに35質量%硫酸水溶液2000mlを循環させ酸処理を行った。この時の処理温度は90℃、処理時間は12時間であった。酸処理終了後、酸処理物に洗浄水を循環して水洗を行った後110℃で乾燥、粉砕、分級して活性白土粉末を得た。
得られた活性白土粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
(実施例1)
比較例1における水洗終了後の酸処理物(乾燥前の含水物)を原料として用いた。この酸処理物100gに2.3質量%のカリミョウバン水溶液58gを加え、室温下で4時間処理を行った。処理終了後、処理物をデカンテーション法により水洗を行った後、110℃で乾燥、粉砕、分級して活性白土粉末を得た。
得られた活性白土粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
(実施例2)
実施例1において2.3質量%のカリミョウバン水溶液58gに変えて、3.7%のカリミョウバン水溶液106gを使用した他は、実施例1と同様にして行い活性白土粉末を得た。
得られた活性白土粉末について各種物性測定を行い、その結果を表1に示した。
(応用例)
(5)米油の脱色試験法
試験官に採取する油を脱酸米油とし、各脱色剤サンプルを油に対して0.6gずつ(油に対して2%)または0.9gずつ(油に対して3%)に変更した以外は(4)脱色試験法に記載の方法で白色光線透過率を測定した。また、脱酸米油から調整した脱色油のクロロフィル残存量を、日本分光社製V−630spectrophotometerを用い、日本油化学会が制定する基準油脂分析試験法 参2.9−1996に準拠して定量した。この値が小さくなるほどクロロフィル類が効果的に除去されていることを意味する。結果を表2に示した。
表2に示したとおり、本発明の脱色剤は、RBDパーム油と同様に脱色が困難であることが知られている米油に対しても、脱色油の白色光透過率が向上し、クロロフィル除去能が高く、優れた脱色性能を示す。

Claims (6)

  1. BET比表面積が150m/g以上の範囲にある酸処理スメクタイトからなり、Si成分とAl成分との酸化物換算での物質量比(SiO/Al)が8.0〜18.0の範囲にあり、交換性Al3+の全Al原子に対する割合が4.0×10−2〜8.0×10−2当量%の範囲にあることを特徴とする、油脂用脱色剤。
  2. 交換性Al3+を20.0〜60.0meq/100gの量で含有している、請求項1に記載の油脂用脱色剤。
  3. 交換性Ca2+の交換性Al3+に対する割合が60当量%以下、且つ、交換性Mg2+の交換性Al3+に対する割合が60当量%以下に抑制されている、請求項1または2に記載の油脂用脱色剤。
  4. を0.30〜6.0meq/100gの量で含んでいる、請求項3に記載の油脂用脱色剤。
  5. RBDパーム油の脱色剤として使用する請求項1〜4の何れかに記載の油脂用脱色剤。
  6. 米油の脱色剤として使用する請求項1〜4の何れかに記載の油脂用脱色剤。
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