JP2016144019A - 超音波プローブおよびその製造方法並びに電子機器および超音波画像装置 - Google Patents

超音波プローブおよびその製造方法並びに電子機器および超音波画像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被検体の湾曲面に簡単に倣うことができる超音波プローブを提供する。
【解決手段】超音波プローブは、複数の薄膜型超音波素子がアレイ状に配置されている超音波素子基板26と、超音波素子基板26の出射面に配置される第1樹脂フィルム25aと、超音波素子基板26の出射面とは反対側の面に配置されて、第1樹脂フィルム25aとの間で超音波素子基板26を内包する第2樹脂フィルム25bと、超音波素子基板26に結合されて、薄膜型超音波素子に接続される導体を備え、第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bの間の空間から外側に延びる配線材18a、18bとを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、超音波プローブおよびその製造方法、並びに、超音波プローブを利用した電子機器および超音波画像装置等に関する。
超音波プローブは圧電材料を備える。圧電材料には音響レンズが被せられる。音響レンズは凸形の湾曲面を有する。超音波画像の取得にあたって超音波プローブは音響レンズの湾曲面で例えば動物の体表に押し当てられる。
特開2009−34212号公報
多くの場合に人体や動物の体表は凸形の湾曲面を形成する。音響レンズの湾曲面が体表に押し当てられる際に、凸形の湾曲面同士ではなかなか広い面積で両者は密着することができない。押し当てが強いと、体内の組織が変形してしまう。
本発明の少なくとも1つの態様によれば、被検体の湾曲面に簡単に倣うことができる超音波プローブは提供されることができる。
(1)本発明の一態様は、複数の薄膜型超音波素子がアレイ状に配置されている超音波素子基板と、前記超音波素子基板の出射面に配置される第1樹脂フィルムと、前記超音波素子基板の出射面とは反対側の面に配置されて、前記第1樹脂フィルムとの間で前記超音波素子基板を内包する第2樹脂フィルムと、前記超音波素子基板に結合されて、前記薄膜型超音波素子に接続される導体を備え、前記第1樹脂フィルムおよび前記第2樹脂フィルムの間の空間から外側に延びる配線材とを備える超音波プローブに関する。
超音波素子基板の周囲には第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムが広がる。剛性部は超音波素子基板の輪郭で区切られる。剛性部の範囲が最小限に留まることから、第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムの変形に応じて超音波プローブは簡単に被検体の湾曲面に倣うことができる。こうして超音波プローブは確実に被検体の湾曲面に密着することができる。
(2)前記第1樹脂フィルムは複数層を有してもよい。第1樹脂フィルムでは個々の層は例えば固有の機能を有することができる。第1樹脂フィルムは多機能を有することができる。
(3)前記複数層は基材および耐湿層を含んでもよい。こうして第1樹脂フィルムは構成される。第1樹脂フィルムは耐湿性を有することができる。
(4)前記耐湿層は金属層であればよい。金属層は耐湿層として機能する。
(5)前記薄膜型超音波素子と前記第2樹脂フィルムとの間には空気層が形成されてもよい。空気層は薄膜型超音波素子に接する空気の体積を増大させる。空気の体積が増えるほど、薄膜型超音波素子は振動しやすくなる。こうして薄膜型超音波素子の感度は確保される。
(6)前記第2樹脂フィルムは通気性を有してもよい。薄膜型超音波素子に対して空気は制限なく流れることから、薄膜型超音波素子の振動は拘束されない。薄膜型超音波素子は容易く振動する。こうして薄膜型超音波素子の感度は確保される。
(7)前記第2樹脂フィルムは耐湿性を有してもよい。薄膜型超音波素子に対して水分の接触は防止される。
(8)前記第1樹脂フィルムと前記第2樹脂フィルムとは重ねられた部分で少なくとも部分的に相互に融着されてもよい。超音波素子基板は第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムの間に密封されることができる。
(9)前記第1樹脂フィルムは、素子アレイ領域に対応する領域のレンズ部と、前記レンズ部の外周領域の平面部とを有してもよい。薄膜型超音波素子の音響レンズは第1樹脂フィルムに一体化される。超音波プローブの部品点数は減少する。
(10)超音波プローブは電子機器に組み込まれて利用されることができる。このとき、電子機器は、超音波プローブと、前記超音波プローブに接続されて、前記超音波プローブの出力を処理する処理装置とを備えればよい。
(11)超音波プローブは超音波画像装置に組み込まれて利用されることができる。このとき、超音波画像装置は、超音波プローブと、前記超音波プローブの出力から生成される画像を表示する表示装置とを備えればよい。
(12)本発明の他の態様は、第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムの間に、複数の薄膜型超音波素子がアレイ状に配置されている超音波素子基板を挟む工程と、前記超音波素子基板を挟む際に、前記第2樹脂フィルムおよび前記薄膜型超音波素子の間にスペーサーを配置する工程と、前記第1樹脂フィルムおよび前記第2樹脂フィルムの間の空気を排出し、前記超音波素子基板の外周領域の前記第1樹脂フィルムおよび前記第2樹脂フィルムを熱溶着する工程とを備える超音波プローブの製造方法に関する。
熱溶着に応じて超音波素子基板は第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムの間に内包される。このとき、空気の排出に応じて第1樹脂フィルムは超音波素子基板の表面に密着する。例えば超音波素子基板表面のレンズと第1樹脂フィルムとの間に空気の混入は回避される。しかも、超音波素子基板の裏面ではスペーサーの働きで第2樹脂フィルムの密着は阻止される。超音波素子基板と第2樹脂フィルムとの間には空気層が形成される。
一実施形態に係る電子機器の一具体例すなわち超音波診断装置を概略的に示す外観図である。 第1実施形態に係る超音波プローブの分解斜視図である。 超音波デバイスの拡大平面図である。 図1のA−A線に沿った超音波デバイスの部分断面図である。 第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムの拡大断面図である。 他の具体例に係る第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムの拡大断面図である。 他の具体例に係る第2樹脂フィルムの拡大断面図である。 超音波プローブの製造方法を概略的に示す側面図である。 図4に対応し、第2実施形態に係る超音波プローブの部分断面図である。 図4に対応し、第3実施形態に係る超音波プローブの部分断面図である。 図4に対応し、第4実施形態に係る超音波プローブの部分断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(1)超音波診断装置の全体構成
図1は本発明の一実施形態に係る電子機器の一具体例すなわち超音波診断装置(超音波画像装置)11の構成を概略的に示す。超音波診断装置11は装置端末(処理部)12と超音波プローブ13とを備える。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14で相互に接続される。装置端末12と超音波プローブ13とはケーブル14を通じて電気信号をやりとりする。装置端末12にはディスプレイパネル(表示装置)15が組み込まれる。ディスプレイパネル15の画面は装置端末12の表面で露出する。装置端末12では、超音波プローブ13で検出された超音波に基づき画像が生成される。画像化された検出結果がディスプレイパネル15の画面に表示される。
(2)第1実施形態に係る超音波プローブの構造
超音波プローブ13は被覆体16を備える。後述されるように、被覆体16は樹脂フィルムから形成される。被覆体16は例えば人体や動物の体表BDに貼り付けられることができる。貼り付けにあたって例えば被覆体16の外表面には粘着層が形成されればよい。被覆体16には超音波デバイス17が内包される。超音波デバイス17は表面から超音波を出力するとともに超音波の反射波を受信する。反射波の受信に応じて超音波デバイス17から検出信号が出力される。出力される検出信号に基づき画像が形作られる。
超音波デバイス17には第1および第2フレキシブルプリント配線板(配線材)18a、18bが結合される。フレキシブルプリント配線板(以下「フレキ配線」という)18a、18bは被覆体16から外側に延びる。フレキ配線18a、18bは超音波デバイス17の検出信号を伝達する導体19を備える。
フレキ配線18a、18bには第1雄コネクター21が結合される。第1雄コネクター21は第1雌コネクター22に結合される。第1雌コネクター22は中継基板23に実装される。こうしてフレキ配線18a、18bの個々の導体19は中継基板23に電気的に接続される。第1雄コネクター21は第1雌コネクター22に着脱自在に連結される。第1雌コネクター22および第1雄コネクター21の働きで超音波プローブ13は中継基板23に対して着脱されることができる。
中継基板23はケーブル14に接続される。接続にあたって例えば第2雌コネクター24および第2雄コネクターは用いられる。こうしてフレキ配線18a、18bの個々の導体19はケーブル14内の対応の導線に接続される。その他、ケーブル14の各導線は半田その他の結合材で中継基板23に結合されてもよい。
図2に示されるように、被覆体16は第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bを備える。超音波デバイス17は第1樹脂フィルム25aと第2樹脂フィルム25bとの間に挟まれる。第1樹脂フィルム25aは超音波デバイス17の出射面に被さる。第2樹脂フィルム25bは出射面とは反対側の面に被さる。超音波デバイス17の周囲で第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは相互に重ねられる。第1樹脂フィルム25aと第2樹脂フィルム25bとは重ねられた部分で相互に融着される。ここでは、超音波デバイス17は第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bの間に密封される。第1樹脂フィルム25aは超音波デバイス17の出射面に密着し、第2樹脂フィルム25bは出射面とは反対側の面に密着する。
超音波デバイス17は超音波素子基板26を備える。超音波素子基板26には後述されるように複数の薄膜型超音波トランスデューサー素子(薄膜型超音波素子)がアレイ状に配置されている。薄膜型超音波トランスデューサー素子(以下「素子」という)は出射面から超音波を出力するとともに超音波の反射波を受信する。素子の詳細は後述される。
超音波デバイス17は音響レンズ27を備える。音響レンズ27の外表面には部分円筒面27aが形成される。部分円筒面27aは平板部27bで囲まれる。平板部27bの外周は全周で途切れなく被覆体16に結合される。音響レンズ27は例えばシリコーン樹脂から形成される。音響レンズ27は生体の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有する。
(3)超音波デバイスの構成
図3は超音波デバイス17の平面図を概略的に示す。超音波デバイス17は超音波素子基板26を備える。超音波素子基板26の表面には素子アレイ32が形成される。素子アレイ32はアレイ状に配置された素子33の配列で構成される。配列は複数行複数列のマトリクスで形成される。その他、配列では千鳥配置が確立されてもよい。千鳥配置では偶数列の素子33群は奇数列の素子33群に対して行ピッチの2分の1でずらされればよい。奇数列および偶数列の一方の素子数は他方の素子数に比べて1つ少なくてもよい。
個々の素子33は振動膜34を備える。図3では振動膜34の膜面に直交する方向の平面視(基板の厚み方向からの平面視)で振動膜34の輪郭が点線で描かれる。振動膜34上には圧電素子35が形成される。圧電素子35は上電極36、下電極37および圧電体膜38で構成される。個々の素子33ごとに上電極36および下電極37の間に圧電体膜38が挟まれる。これらは下電極37、圧電体膜38および上電極36の順番で重ねられる。超音波デバイス17は1枚の超音波トランスデューサー素子チップ(基板)として構成される。
超音波素子基板26の表面には複数本の第1導電体39が形成される。第1導電体39は配列の行方向に相互に平行に延びる。1行の素子33ごとに1本の第1導電体39が割り当てられる。1本の第1導電体39は配列の行方向に並ぶ素子33の圧電体膜38に共通に接続される。第1導電体39は個々の素子33ごとに上電極36を形成する。第1導電体39の両端は1対の引き出し配線41にそれぞれ接続される。引き出し配線41は配列の列方向に相互に平行に延びる。したがって、全ての第1導電体39は同一長さを有する。こうしてマトリクス全体の素子33に共通に上電極36は接続される。第1導電体39は例えばイリジウム(Ir)で形成されることができる。ただし、第1導電体39にはその他の導電材が利用されてもよい。
超音波素子基板26の表面には複数本の第2導電体42が形成される。第2導電体42は配列の列方向に相互に平行に延びる。1列の素子33ごとに1本の第2導電体42が割り当てられる。1本の第2導電体42は配列の列方向に並ぶ素子33の圧電体膜38に共通に配置される。第2導電体42は個々の素子33ごとに下電極37を形成する。第2導電体42には例えばチタン(Ti)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)およびチタン(Ti)の積層膜が用いられることができる。ただし、第2導電体42にはその他の導電材が利用されてもよい。
列ごとに素子33の通電は切り替えられる。こうした通電の切り替えに応じてリニアスキャンやセクタースキャンは実現される。1列の素子33は同時に超音波を出力することから、1列の個数すなわち配列の行数は超音波の出力レベルに応じて決定されることができる。行数は例えば10〜15行程度に設定されればよい。図中では省略されて5行が描かれる。配列の列数はスキャンの範囲の広がりに応じて決定されることができる。列数は例えば128列や256列に設定されればよい。図中では省略されて8列が描かれる。上電極36および下電極37の役割は入れ替えられてもよい。すなわち、マトリクス全体の素子33に共通に下電極が接続される一方で、配列の列ごとに共通に素子33に上電極が接続されてもよい。
超音波素子基板26の輪郭は、相互に平行な1対の直線で仕切られて対向する第1辺26aおよび第2辺26bを有する。第1辺26aと素子アレイ32の輪郭との間に1ラインの第1端子アレイ43aが配置される。第2辺26bと素子アレイ32の輪郭との間に1ラインの第2端子アレイ43bが配置される。第1端子アレイ43aは第1辺26aに平行に1ラインを形成することができる。第2端子アレイ43bは第2辺26bに平行に1ラインを形成することができる。第1端子アレイ43aは1対の上電極端子44および複数の下電極端子45で構成される。同様に、第2端子アレイ43bは1対の上電極端子46および複数の下電極端子47で構成される。1本の引き出し配線41の両端にそれぞれ上電極端子44、46は接続される。引き出し配線41および上電極端子44、46は素子アレイ32を二等分する垂直面で面対称に形成されればよい。1本の第2導電体42の両端にそれぞれ下電極端子45、47は接続される。第2導電体42および下電極端子45、47は素子アレイ32を二等分する垂直面で面対称に形成されればよい。ここでは、超音波素子基板26の輪郭は矩形に形成される。超音波素子基板26の輪郭は正方形であってもよく台形であってもよい。
第1フレキ配線18aは第1端子アレイ43aに覆い被さる。第1フレキ配線18aの一端には上電極端子44および下電極端子45に個別に対応して導体19が形成される。導体19は上電極端子44および下電極端子45に個別に向き合わせられ個別に接合される。同様に、超音波素子基板26には第2フレキ配線18bが覆い被さる。第2フレキ配線18bは第2端子アレイ43bに覆い被さる。第2フレキ配線18bの一端には上電極端子46および下電極端子47に個別に対応して導体19が形成される。導体19は上電極端子46および下電極端子47に個別に向き合わせられ個別に接合される。
図4に示されるように、超音波素子基板26は本体基板54および被覆膜55を備える。本体基板54の表面に一面に被覆膜55が積層される。本体基板54には個々の素子33ごとに開口部56が形成される。開口部56は、本体基板54の裏面(第2面)44bから刳り抜かれて本体基板54を貫通する空間を区画する。開口部56は本体基板54に対してアレイ状に配置される。開口部56が配置される領域の輪郭は素子アレイ32の輪郭に相当する。本体基板54は例えばシリコン基板で形成されればよい。
隣接する2つの開口部56の間には仕切り壁57が区画される。隣接する開口部56は仕切り壁57で仕切られる。仕切り壁57の壁厚みは開口部56の間隔に相当する。仕切り壁57は相互に平行に広がる平面内に2つの壁面を規定する。
被覆膜55は、本体基板54の表面に積層される酸化シリコン(SiO)層58と、酸化シリコン層58の表面に積層される酸化ジルコニウム(ZrO)層59とで構成される。被覆膜55は開口部56に接する。こうして開口部56の輪郭に対応して被覆膜55の一部が振動膜34を形成する。振動膜34は、被覆膜55のうち、開口部56に臨むことから本体基板54の厚み方向に膜振動することができる部分である。酸化シリコン層58の膜厚は共振周波数に基づき決定されることができる。
振動膜34の表面に下電極37、圧電体膜38および上電極36が順番に積層される。圧電体膜38は例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)で形成されることができる。圧電体膜38にはその他の圧電材料が用いられてもよい。ここでは、第1導電体39の下で圧電体膜38は完全に第2導電体42を覆う。圧電体膜38の働きで第1導電体39と第2導電体42との間で短絡は回避されることができる。
超音波素子基板26の表面には音響整合層61が積層される。音響整合層61は素子アレイ32を覆う。音響整合層61の膜厚は振動膜34の共振周波数に応じて決定される。音響整合層61には例えばシリコーン樹脂膜が用いられることができる。音響整合層61は第1端子アレイ43aおよび第2端子アレイ43bの間の空間に収まる。音響整合層61の縁は超音波素子基板26の第1辺26aおよび第2辺26bから離れる。音響整合層61は超音波素子基板26の輪郭よりも小さい輪郭を有する。
音響整合層61上に音響レンズ27が配置される。音響レンズ27は音響整合層61の表面に密着する。音響レンズ27は音響整合層61の働きで超音波素子基板26に接着される。音響レンズ27の部分円筒面27aは第1導電体39に平行な母線を有する。部分円筒面27aの曲率は、1筋の第2導電体42に接続される1列の素子33から発信される超音波の焦点位置に応じて決定される。音響レンズ27は例えばシリコーン樹脂から形成される。音響レンズ27は生体の音響インピーダンスに近い音響インピーダンスを有する。
超音波素子基板26の裏面にはバッキング材62が固定される。バッキング材62の表面に超音波素子基板26の裏面が重ねられる。バッキング材62は超音波デバイス17の裏面で開口部56を閉じる。バッキング材62はリジッドな基材を備えることができる。ここでは、仕切り壁57は接合面でバッキング材62に結合される。バッキング材62は個々の仕切り壁57に少なくとも1カ所の接合域で接合される。接合にあたって接着剤は用いられることができる。
バッキング材62の表面には複数の溝部63aが設けられる。溝部63aは例えば直線状の溝である。すなわち、溝部63aと対向する複数の開口部56は溝部63aを介して相互に接続される。溝部63aの断面形状は、四角形であってもよく三角形であってもよく半円形その他の形状であってもよい。
バッキング材62には表面から裏面に貫通する貫通孔63bが形成される。貫通孔63bは溝部63aの空間に接続される。溝部63aおよび貫通孔63bを通じて個々の開口部56はバッキング材62裏の空間に接続される。振動膜34の振動に応じて開口部56内の体積は変化することができる。
第1樹脂フィルム25aは超音波素子基板26の出射面で音響レンズ27の表面に被さる。第1樹脂フィルム25aは音響レンズ27の表面に密着する。音響レンズ27と第1樹脂フィルム25aとの間に空気の進入は回避される。同様に、第2樹脂フィルム25bは出射面の反対側の面でバッキング材62の裏面に被さる。バッキング材62の裏面にはスペーサーが配置される。スペーサー64はバッキング材62と第2樹脂フィルム25bとの間に空気層ALを形成する。貫通孔63bは空気層ALに接続される。空気層ALは素子33に接する空気の体積を増大させる。空気の体積が増えるほど、素子33の振動膜34は振動しやすくなる。こうして素子33の感度は確保される。
ここでは、図5に示されるように、第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは複数層を有する。複数層は樹脂製の基材65および耐湿層66を含む。基材65は例えばポリプロピレンから形成される。耐湿層66は基材65の表面を覆う。耐湿層66には例えば金属層が用いられる。金属層は例えばAlで形成される。金属層は例えば基材65の表面に蒸着されればよい。耐湿層66の表面は例えば保護層67または印刷層で覆われる。保護層67は例えばPET樹脂で形成される。基材65の裏面には接着層68が形成される。その他、基材65にはポリプロピレンに代えてポリエチレンまたはナイロンが用いられてもよい。図6に示されるように、接着層68の接着に代えて基材65の融着が用いられてもよい。このとき、接着層68は省略されることができる。融着の実現にあたって基材65には保護層67の融点よりも低い融点を有する材料が利用されればよい。
(4)超音波診断装置の動作
次に超音波診断装置11の動作を簡単に説明する。超音波の送信にあたって圧電素子35にはパルス信号が供給される。パルス信号は下電極端子45、47および上電極端子44、46を通じて列ごとに素子33に供給される。個々の素子33では下電極37および上電極36の間で圧電体膜38に電界が作用する。圧電体膜38は超音波の周波数で振動する。圧電体膜38の振動は振動膜34に伝わる。こうして振動膜34は超音波振動する。その結果、被検体(例えば人体の内部)に向けて所望の超音波ビームは発せられる。
超音波の反射波は振動膜34を振動させる。振動膜34の超音波振動は所望の周波数で圧電体膜38を超音波振動させる。圧電素子35の圧電効果に応じて圧電素子35から電圧が出力される。個々の素子33では上電極36と下電極37との間で電位が生成される。電位は下電極端子45、47および上電極端子44、46から電気信号として出力される。こうして超音波は検出される。
超音波の送信および受信は繰り返される。その結果、リニアスキャンやセクタースキャンは実現される。スキャンが完了すると、出力信号のデジタル信号に基づき画像が形成される。形成された画像はディスプレイパネル15の画面に表示される。
超音波素子基板26の周囲には第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bが広がる。剛性部は超音波素子基板26の輪郭で区切られる。剛性部の範囲が最小限に留まることから、第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bの変形に応じて超音波プローブ13は簡単に人体や動物の体表面(ワン曲面)に倣うことができる。こうして超音波プローブ13は確実に人体や動物の体表面に密着することができる。
第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは複数層を有する。第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bでは個々の層は例えば固有の機能を有することができる。第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは多機能を有することができる。ここでは、複数層は基材65および耐湿層66を含む。第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは耐湿性を有することができる。
図7に示されるように、超音波プローブ13では第2樹脂フィルム25bは通気性を有してもよい。通気性の確保にあたって第2樹脂フィルム25bは多孔質膜71および不織布72を備える。多孔質膜71は例えばポリテトラフルオラエリレン(PTFE)もしくはフッ素樹脂から形成される。不織布72は例えばPETもしくはナイロン繊維から形成される。多孔質膜71は不織布72で裏打ちされる。裏打ちにあたって多孔質膜71および不織布72の間には接着層73が形成される。接着層73の働きで多孔質膜71に不織布72は接着される。こうして第2樹脂フィルム25bは通気性を有しつつ耐湿性を有する。したがって、第2樹脂フィルム25bは水蒸気の透過を阻止するものの空気の透過を許容する。
こうした第2樹脂フィルム25bによれば、たとえ空気層63の体積が小さくても、素子33の開口部56に対して空気は制限なく流れることから、振動膜34の振動は拘束されない。素子33は容易く振動する。こうして素子33の感度は確保される。しかも、素子33の振動膜34に対して水分の接触は防止される。
(5)超音波プローブの製造方法
超音波プローブ13の製造にあたって第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bには例えば熱溶着が適用される。図8に示されるように、超音波デバイス17は第1樹脂フィルム25aと第2樹脂フィルム25bとの間に挟まれる。このとき、超音波素子基板26と第2樹脂フィルム25bとの間にはスペーサー64が配置される。超音波デバイス17の周囲で第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは相互に重ねられる。第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは重ねられた部分で加熱される。こうして超音波デバイス17の外周領域の第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bは相互に熱溶着される。加熱にあたって例えば1対のヒーターチップ75a、75bが用いられる。
熱溶着にあたって、第1樹脂フィルム25aとヒーターチップ75aとの間、および、第2樹脂フィルムとヒーターチップ75bとの間にはシリコンゴムシート76が配置される。ヒーターチップ75a、75b間を狭圧すると、シリコンゴムシート76が音響レンズ27および超音波素子基板26の外形に倣って変形し、第1樹脂フィルム25aを音響レンズ27の部分円筒面27aに密着させつつ第1樹脂フィルム25aおよび第2樹脂フィルム25bの間の空間から空気が抜かれる。その結果、音響レンズ27の部分円筒面27aと第1樹脂フィルム25aとの間に空気(気泡)は残存しない。また、超音波素子基板26の裏面ではスペーサー64の働きで超音波素子基板26と第2樹脂フィルム25bとの間には空気層ALが形成されるので、貫通孔63bを通じた空気の流通は確保される。
熱溶着にあたって、減圧雰囲気において狭圧が行われてもよい。減圧の結果、もし音響レンズ27の部分円筒面27aと第1樹脂フィルム25aとの間にわずかに空気が残存しても、大気圧によって潰されるのでその影響を無視することができる。
(6)第2実施形態に係る超音波プローブの構造
図9は第2実施形態に係る超音波プローブ13aの構造を概略的に示す。超音波プローブ13aではバッキング材62に個々の開口部56に通じる空気層ALが形成される。空気層ALは素子33に接する空気の体積を増大させる。空気の体積が増えるほど、素子33の振動膜34は振動しやすくなる。こうして素子33の感度は確保される。その他の構成は第1実施形態に係る超音波プローブ13のそれと同様である。
(7)第3実施形態に係る超音波プローブの構造
図10は第3実施形態に係る超音波プローブ13bの構造を概略的に示す。超音波プローブ13bでは音響レンズ27の部分円筒面27aに対応して第1樹脂フィルム25aに窓孔78が形成される。その結果、部分円筒面27aは直接に被検体に接触することができる。出射する超音波や反射波の減衰は回避されることができる。その他の構成は第1実施形態に係る超音波プローブ13のそれと同様である。
(8)第4実施形態に係る超音波プローブの構造
図11は第4実施形態に係る超音波プローブ13cの構造を概略的に示す。超音波プローブ13cでは第1樹脂フィルム25aに音響レンズ27が形成される。すなわち、第1樹脂フィルム79は素子アレイ32に対応する領域のレンズ部81と、レンズ部81の外周領域の平面部82とを有する。素子33の音響レンズは第1樹脂フィルム79に一体化される。超音波プローブ13cの部品点数は減少する。その他の構成は第1実施形態に係る超音波プローブ13のそれと同様である。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、装置端末12やディスプレイパネル15、素子33等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
11 超音波画像装置(超音波診断装置)、12 処理部(装置端末)、13 超音波プローブ、13a 超音波プローブ、13b 超音波プローブ、18a 配線材(フレキシブルプリント配線板)、18b 配線材(フレキシブルプリント配線板)、19 導体、25a 第1樹脂フィルム、25b 第2樹脂フィルム、26 超音波素子基板、33 薄膜型超音波素子(薄膜型超音波トランスデューサー素子)、63 空気層、64 スペーサー、65 基材、66 耐湿層、79 第1樹脂フィルム、81 レンズ部、82 平面部。

Claims (12)

  1. 複数の薄膜型超音波素子がアレイ状に配置されている超音波素子基板と、
    前記超音波素子基板の出射面に配置される第1樹脂フィルムと、
    前記超音波素子基板の出射面とは反対側の面に配置されて、前記第1樹脂フィルムとの間で前記超音波素子基板を内包する第2樹脂フィルムと、
    前記超音波素子基板に結合されて、前記薄膜型超音波素子に接続される導体を備え、前記第1樹脂フィルムおよび前記第2樹脂フィルムの間の空間から外側に延びる配線材と、
    を備えることを特徴とする超音波プローブ。
  2. 請求項1に記載の超音波プローブにおいて、前記第1樹脂フィルムは複数層を有することを特徴とする超音波プローブ。
  3. 請求項2に記載の超音波プローブにおいて、前記複数層は基材および耐湿層を含むことを特徴とする超音波プローブ。
  4. 請求項2または3に記載の超音波プローブにおいて、前記耐湿層は金属層であることを特徴とする超音波プローブ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波プローブにおいて、前記薄膜型超音波素子と前記第2樹脂フィルムとの間には空気層が形成されることを特徴とする超音波プローブ。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の超音波プローブにおいて、前記第2樹脂フィルムは通気性を有することを特徴とする超音波プローブ。
  7. 請求項6に記載の超音波プローブにおいて、前記第2樹脂フィルムは耐湿性を有することを特徴とする超音波プローブ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の超音波プローブにおいて、前記第1樹脂フィルムと前記第2樹脂フィルムとは重ねられた部分で少なくとも部分的に相互に融着されることを特徴とする超音波プローブ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の超音波プローブにおいて、前記第1樹脂フィルムは、素子アレイ領域に対応する領域のレンズ部と、前記レンズ部の外周領域の平面部とを有することを特徴とする超音波プローブ。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の超音波プローブと、前記超音波プローブに接続されて、前記超音波プローブの出力を処理する処理装置とを備えることを特徴とする電子機器。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の超音波プローブと、前記超音波プローブの出力から生成される画像を表示する表示装置とを備えることを特徴とする超音波画像装置。
  12. 第1樹脂フィルムおよび第2樹脂フィルムの間に、複数の薄膜型超音波素子がアレイ状に配置されている超音波素子基板を挟む工程と、
    前記超音波素子基板を挟む際に、前記第2樹脂フィルムおよび前記薄膜型超音波素子の間にスペーサーを配置する工程と、
    前記第1樹脂フィルムおよび前記第2樹脂フィルムの間の空気を排出し、前記超音波素子基板の外周領域の前記第1樹脂フィルムおよび前記第2樹脂フィルムを熱溶着する工程と、
    を備えることを特徴とする超音波プローブの製造方法。
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