JP2016143404A - 制御システム、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラム - Google Patents

制御システム、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】プラント運用に与える影響を抑制しつつ、極値制御を行うことができる制御システム、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】外乱信号取得部110、制御量情報取得部、ディザー信号生成部130、評価値算出部140及び極値制御部150を持つ。外乱信号取得部は、外乱を示す外乱信号を取得する。制御量情報取得部は、制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する。ディザー信号生成部は、制御対象プロセスの制御において、制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、外乱信号を参照して生成する。評価値算出部は、制御量情報に基づいて、制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する。極値制御部は、ディザー信号生成部により生成されたディザー信号に基づいて操作量を変動させ、評価値の極値を探索しながら操作量を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、制御システム、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
従来、水処理プラントや環境プラントなどのプラント制御では、制御対象となるプロセス(以下、「制御対象プロセス」という。)に入力される操作量は、制御対象プロセスの制御量を推定する推定モデルに基づいて制御されるのが一般的であった。これに対して、近年では、操作量の制御において制御対象プロセスの推定モデルを用いない極値制御と呼ばれる技術が注目されている。
極値制御は、操作量を意図的に変化させることによって、制御対象プロセスの制御量が最適値に近づくように操作量を探索していく手法である。極値制御では、制御対象プロセスの推定モデルを用いないため、複雑な推定モデルで表される制御対象プロセスについても操作量の制御を容易に行うことができる。
しかしながら、プラント運用の観点では、操作量の最適値を探索するために実際の操作量を無制限に変化させることは好ましいことではない。なぜなら、実際の操作量を変化させることは、プラント運用を攪乱させる可能性があるからである。そのため、プラント運用に与える影響を抑制しつつ、極値制御を行う方法が求められている。
特許第5300827号公報
Y.Tan et al, On the choice of dither in extremum seeking systems:A case study, Automatica, 44, pp.1446-1450 (2008) J.Copp eds, ‘The COST simulation benchmark A product of COST action 624 and COST action 682 ISBN 92-894-1658-0 O. Yamanaka et al, ‘Total cost minimization control scheme for biological wastewater treatment process and its evaluation based on the COST benchmark process’, Water Science & Technology Vol 53 No 4-5 pp 203-214 2006 今野、山下著「ORライブラリー 非線形計画法」日科技連(1978)
本発明が解決しようとする課題は、プラント運用に与える影響を抑制しつつ、極値制御を行うことができる制御システム、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムを提供することである。
実施形態の制御システムは、外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムであって、外乱信号取得部、制御量情報取得部、ディザー信号生成部、評価値算出部及び極値制御部を持つ。外乱信号取得部は、前記外乱を示す外乱信号を取得する。制御量情報取得部は、前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する。ディザー信号生成部は、前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱信号を参照して生成する。評価値算出部は、前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する。極値制御部は、前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する。
第1の実施形態の制御システム100の機能構成を示す機能ブロック図。 極値制御の概念を説明するための概略図。 一般的な極値制御系を示すブロック線図。 第1の実施形態の制御システム100における極値制御系を示すブロック線図。 第1の実施形態の制御システム100による極値制御の流れを示すフローチャート図。 第1の実施形態の制御システム100を用いて制御される水処理プラントの具体例を示す図。 第2の実施形態の制御システム100aの機能構成を示す機能ブロック図。 履歴情報に基づいて生成される遷移パターンの具体例を示す図。
以下、実施形態の制御システム、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラムを、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の制御システム100の機能構成を示す機能ブロック図である。
図1の制御対象200は、制御システム100による制御の対象となる制御対象プロセスが実装された工場やプラントなどの施設を表す。制御対象200には、制御対象プロセスの制御量や、制御対象プロセスに作用する外乱を計測する各種の計測機器が含まれる。制御対象200は、各種計測機器の計測により取得された計測情報を制御システム100に出力する。制御システム100は、制御対象200から出力される計測情報に基づいて、制御対象プロセスに与える操作量を決定する。制御対象200は、制御システム100により決定された操作量を制御対象プロセスに入力することで、制御対象プロセスの制御量を変化させる。
制御システム100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備える。制御システム100は、メモリや補助記憶装置に記憶された制御プログラムを実行する。制御システム100は、制御プログラムの実行によって計測情報取得部110(外乱信号取得部及び制御量情報取得部の一例)、操作量出力部120、ディザー信号生成部130、評価量算出部140(評価値算出部の一例)及び極値制御部150を備える装置として機能する。なお、制御システム100の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。制御プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
計測情報取得部110及び操作量出力部120は、例えばLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続するための通信インターフェースを含んで構成される。計測情報取得部110は、制御対象200と通信し、制御対象200から計測情報を取得する。計測情報取得部110は、取得した計測情報に含まれる、外乱を示す信号(以下、「外乱信号」という。)をディザー信号生成部130に出力する。また、計測情報取得部110は、取得した計測情報に含まれる、制御量を示す情報(以下、「制御量情報」という。)を評価量算出部140に出力する。
操作量出力部120は、制御対象200と通信し、極値制御部150によって生成される操作量を制御対象200に出力する。
ディザー信号生成部130は、計測情報取得部110から出力された外乱信号を取得する。ディザー信号生成部130は、取得した外乱信号を参照して、制御対象プロセスに与える操作量を変化させるためのディザー信号を生成する。ディザー信号生成部130は、生成したディザー信号を極値制御部150に出力する。
評価量算出部140は、計測情報取得部110から出力される制御量情報に基づいて、極値制御部150が行う極値制御に必要な評価量を算出する。評価量算出部140は、算出した評価量を示す評価量情報を極値制御部150に出力する。
極値制御は、制御対象プロセスの制御量が最適値に近づくように操作量を探索していく制御方法である。極値制御では、制御対象プロセスの目的に応じた任意の評価基準に基づいて制御対象プロセスの制御量が評価され、その評価結果に基づいて制御対象プロセスに入力される操作量が制御される。評価量情報は、この評価基準に基づいて計算される評価量を示す情報であり、制御対象プロセスについて計測される制御量情報に基づいて計算される。例えば、評価量は、プラントの運用に要する運用コストとして算出されてもよいし、他の評価値として算出されてもよい。
例えば、評価量が運用コストとして算出される場合、制御対象プロセスの制御量が運用コストを減少させるように操作量が制御される。このような操作量の制御が繰り返し実行されることによって、制御対象プロセスの制御量は最適値に収束していく。このように、極値制御は、制御対象プロセスの制御量を直接的に推定する推定モデルを必要としないため、任意の制御対象プロセスの操作量を容易に制御することができる。
極値制御部150は、評価量算出部140から出力された評価量情報と、ディザー信号生成部130から出力されたディザー信号と、に基づいて制御対象プロセスの制御量が最適値に遷移していくように操作量を決定する。極値制御部150は、決定した操作量を示す操作量情報を操作量出力部120に出力する。
図2は、極値制御の概念を説明するための概略図である。
図2のグラフ(a)において、横軸は操作量、縦軸は評価量を表す。極値制御では、制御対象プロセスに与える操作量と、与えられた操作量により変化する制御量との関係は未知である。そのため、操作量と評価量との関係も未知となるが、ここでは説明を分かりやすくするために、あるタイミングにおける評価量と操作量との関係が曲線10のように表されると仮定して説明する。曲線10で示される評価量は点11に極小点を持つ。評価量をコストとして考えた場合、制御対象プロセスはコストがより小さくなるような制御量で制御されることが望ましいため、目標とする操作量は点11における操作量となる。
このような仮定のもと、極値制御部150は、例えば曲線10上の点12を初期値として、図2(b)に示されたディザー信号で操作量を変化させる。その結果、図2(c)左図のように、評価量がディザー信号と逆位相の変化を見せた場合、すなわち操作量の増加に伴って評価量が減少した場合、極値制御部150は、コストがより小さくなるように操作量を増加させる。
また、図2(c)右図のように、評価量がディザー信号と同位相の変化を見せた場合、すなわち操作量の増加に伴って評価量も増加した場合、極値制御部150は、コストがより小さくなるように操作量を減少させる。このような操作量の増減が繰り返し行うことにより、極値制御部150は、最適な操作量(図中の点11における操作量)を探索しながら操作量を制御する。これが、極値制御の基本的な考え方である。このような極値制御によって制御される極値制御系は、一般に次の図3が示すブロック線図によって表される。
図3は、一般的な極値制御系を示すブロック線図である。
図3においてsはラプラス演算子を表す。「s/(s+ω2)」はハイパスフィルタであり、「ω1/s+ω1」はローパスフィルタである。「k/s」は積分器を表し、kは積分器のゲインである。「a×sinωt」はディザー信号発生器である。ディザー信号は、操作量及び制御量の両方に作用する。図2の例に当てはめると、制御量にディザー信号を作用させた信号が図2(c)の評価量を示す信号である。そして、この評価量を示す信号が積分器に対して操作量を増減させる方向を与える。積分器は、操作量の増減の方向と、評価量を示す信号の強度とによって操作量を示す信号を出力する。ディザー信号は、積分器から出力された操作量を示す信号に作用し操作量を微小に変動させる。
なお、上記の極値制御を有効に動作させるためには、極値制御に関する各種パラメータを適切な値に設定する必要がある。極値探索に関する各種パラメータとは、積分器のゲインk、ローパスフィルタのカットオフ周波数ω1、ハイパスフィルタのカットオフ周波数ω2、ディザー信号の振幅a、及びディザー信号の周波数ωである。そして、これらのパラメータの設定について、例えば以下のような5つの指針が知られている。
[指針1]
ディザー信号の周波数ωは、プラントの応答速度より十分小さく設定する。すなわち、プラントの時定数をTとした場合、ω<<2π/Tとなるように設定する。
[指針2]
ディザー信号の振幅は、操作量の通常の動きよりも十分小さく設定するとともに、ディザー信号の周波数よりも十分小さく設定する。すなわち、a<<ωとなるように設定する。
[指針3]
積分器のゲインはディザー信号の周波数よりも十分小さく設定する。すなわち、k<<ωとなるように設定する。
[指針4]
極値探索の収束速度は、k×ω×a×Pに比例する。ここで、Pはディザー信号の強度である。従って、極値探索の収束速度をより速くするため、指針1〜3を満たす範囲でk、ω及びaは、できる限り大きい値に設定する。
[指針5]
ローパスフィルタのカットオフ周波数は、ディザー信号の周波数より十分大きく設定し、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、ディザー信号の周波数より十分小さく設定する。すなわち、ω2<<ω<<ω1となるように設定する。
なお、指針4は、非特許文献1に記載されており、極値探索に用いるディザー信号は、正弦波状でなくてもよいことが指摘されている。また、信号強度Pが大きい場合、ディザー信号は正弦波状よりも矩形状の方が、極値探索の収束速度が速くなることが数値例を通して示されている。
以上のように、ディザー信号は極値探索における重要な信号である。しかしながら、制御対象プロセスに対してディザー信号を外部から強制的に入力することは、プラント運用の観点からは必ずしも好ましいことではない。なぜなら、ディザー信号はプラント運用における操作量の最適値を探索するための信号であり、プラント運用上必ずしも必要な信号ではないためである。むしろこのような信号を制御対象プロセスに与えることは、プラントの動作を攪乱させることであり、プラント運用のリスクとなる可能性がある。このようなリスクを回避するために、本実施形態の制御システム100では、プラントにもともと加わる外乱を利用してディザー信号を生成する。
図4は、第1の実施形態の制御システム100における極値制御系を示すブロック線図である。
図3に示した一般的な極値制御系と本実施形態の制御システム100における極値制御系との違いは、ディザー信号発生器となるディザー信号生成部130が、外乱信号を参照してディザー信号を生成する点である。例えば、ディザー信号生成部130は、バンドパスフィルタとして構成され、外乱信号から所定の周波数帯域の信号を抽出することによりディザー信号を生成する。
例えば、制御対象が水処理プラントである場合、制御対象プロセスの制御量は処理対象となる水の流入量応じて変動することが多く、流入量に応じて操作量を変化させる流入比率制御と呼ばれる制御方法が用いられる場合が多い。この流入比率制御からも分かるように、外乱に応じて操作量を変化させることは、通常のプラント運用において一般的に許容される操作であると考えられる。そのため、プラントに加わる外乱を利用して生成されるディザー信号はプラント運用との親和性が高いと考えられ、このようなディザー信号を用いる極値制御も一般的に許容されるものと考えられる。
図5は、第1の実施形態の制御システム100による極値制御の流れを示すフローチャートである。
まず、計測情報取得部110は、制御対象200から計測情報を取得する(ステップS101)。計測情報取得部110は、計測情報に含まれる外乱信号をディザー信号生成部130に出力する。また、計測情報取得部110は、計測情報に含まれる制御量情報を評価量算出部140に出力する。
ディザー信号生成部130は、計測情報取得部110から出力された外乱信号を参照して、ディザー信号を生成する(ステップS102)。ディザー信号生成部130は、生成したディザー信号を極値制御部150に出力する。
評価量算出部140は、計測情報取得部110から出力された制御量情報に基づいて、制御対象プロセスのその時点における評価量を算出する(ステップS103)。評価量算出部140は、算出した評価量を示す評価量情報を極値制御部150に出力する。
極値制御部150は、評価量情報算出部140から出力された評価量情報と、ディザー信号生成部130から出力されたディザー信号と、に基づいて制御対象プロセスの極値制御を行う(ステップS104)。
極値制御部150は、極値制御の結果、評価量が収束したか否かを判定する(ステップS105)。評価量が収束したと判定した場合(ステップS105−YES)、極値制御部150は処理を終了する。一方、評価量が収束していないと判定した場合(ステップS105−NO)、ステップS101に戻り、制御システム100は極値制御を継続する。
図6は、第1の実施形態の制御システム100を用いて制御される水処理プラントの具体例を示す図である。
図6における水処理プラント300は生物学的廃水処理プロセスを行うプラントである。図6の具体例では、水処理プラント300が行う生物学的廃水処理プロセスが制御システム100の制御対象プロセスである。水処理プラント300には、最初沈澱池310、嫌気槽320、無酸素槽330、好気槽340及び最終沈澱池350の各設備が設けられ、各設備間を循環する水は送水路360に設置された各ポンプにより輸送される。
ステップ流入ポンプ410(図中のステップ流入P)は、最初沈澱池310に流入した下水を無酸素槽330にバイパス投入するポンプである。ステップ流入ポンプ410にはステップ流量センサー411が備えられ、ステップ流入ポンプ410により無酸素槽330にバイパス投入された下水の流量が計測される。
循環ポンプ420(図中の循環P)は、無酸素槽330と好気槽340との間で水を循環させるポンプである。循環ポンプ420には循環流量センサー421が備えられ、循環ポンプ420により循環させられた水の流量が計測される。
凝集剤投入ポンプ430(図中の凝集P)は、リンの除去と、汚泥の沈降特性の向上とのために、最終沈澱池350の流入部に凝集剤を投入するポンプである。凝集剤投入ポンプ430には注入量センサー431が備えられ、凝集剤投入ポンプ430により投入された凝集剤の量が計測される。
返送汚泥ポンプ440(図中の返送P)は、最終沈澱池350にて沈降した汚泥を嫌気槽320に返送するポンプである。返送汚泥ポンプ440には返送流量センサー441が備えられ、返送汚泥ポンプ440により返送された汚泥の量が計測される。
余剰汚泥引き抜きポンプ450(図中の余剰P)は、最終沈澱池350にて沈降した余剰汚泥を引き抜くポンプである。余剰汚泥引き抜きポンプ450には余剰汚泥流量センサー451が備えられ、余剰汚泥引き抜きポンプ450により引き抜かれた汚泥の量が計測される。
ブロワ460は、好気槽340に酸素を供給するブロワである。ブロワ460には風量センサー461が備えられ、ブロワ460によって供給された風量が計測される。
水処理プラントには、上記の各ポンプ及びブロワ460に加え、最初沈澱池310等の各設備にも各種のセンサーが設置される。各設備に設置されたセンサーが計測する内容は次のとおりである。
流入量センサー311は、最初沈澱池310に流入する水の流入量を計測する。
嫌気槽リン酸センサー321は、嫌気槽320内のリン酸(PO4−P)濃度を計測する。嫌気槽MLSSセンサー322は、嫌気槽320内のMLSS濃度を計測する。嫌気槽ORPセンサー323は、嫌気槽320内の酸化還元電位差(ORP)を計測する。
無酸素槽硝酸センサー331は、無酸素槽330内の硝酸(NO3−N)濃度を計測する。
好気槽DOセンサー341は、好気槽340内の溶存酸素(DO)濃度を計測する。好気槽アンモニアセンサー342は、好気槽340内のアンモニア(NH4−N)濃度を計測する。好気槽リン酸センサー343は、好気槽340内のリン酸(PO4−P)濃度を計測する。好気槽CODセンサー344は、好気槽340内のCOD濃度を計測する。
放流TNセンサー351は、最終沈澱池350もしくは放流口付近部で放流水質の指標となる全窒素(TN)濃度を計測する。放流TPセンサー352は、最終沈澱池350もしくは放流口付近部で放流水質の指標となる全リン(TP)濃度を計測する。
余剰汚泥濃度センサー361は、余剰汚泥引き抜きポンプ450により引き抜かれた余剰汚泥の濃度を計測する。
このように、水処理プラント300に設置された各種センサーが所定の計測を行うことにより、生物学的廃水処理プロセスの制御量情報が取得される。
このような構成を持つ水処理プラント300を制御対象とする制御システム100は、評価量算出部140として、ブロワコスト算出部141、返送Pコスト算出部142、循環Pコスト算出部143、余剰Pコスト算出部144、凝集コスト算出部145及び流入コスト算出部146を備える。また、この場合、制御システム100は、極値制御部150として、曝気風量制御部151、返送総量制御部152、循環流量制御部153、余剰流量制御部154、凝集剤投入量制御部155及びステップ流入量制御部156を備える。さらにこの場合、制御システム100は水質制約コスト換算部160を備える。制御システム100は、このような構成を備えることで各ポンプ及びブロワ460の操作量の制御を各ポンプ及びブロワごとに極値制御する。以下、各ポンプ及びブロワごとに行われる極値制御について説明する。
[ブロワの極値制御]
ブロワコスト算出部141は、風量センサー461によって計測された風量に基づいて、ブロワ460による消費電力コストを算出する。風量と消費電力との関係はブロワ460のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された風量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
また、ブロワコスト算出部141は、好気槽アンモニアセンサー342によって計測されたアンモニア濃度と、水処理プラント300から放流された水の放流量との積で表されるアンモニア負荷量を算出する。なお、水処理プラント300から放流された水の放流量は、水処理プラント300への流入量から余剰汚泥流量を減算することにより得られる。ブロワコスト算出部141は、算出されたアンモニア負荷量を排水賦課金の考え方でコスト換算したアンモニア水質コストを算出する。排水賦課金とは、排水量に応じて排水した者に課される賦課金のことである。本実施形態では、制御対象プロセスの制御量を評価する指標として、水処理に必要なコストを配水賦課金の考え方を用いて算出する。このように排水量に対して一定の賦課金を課す考え方は、非特許文献2や非特許文献3にも記載されている。同様に、ブロワコスト算出部141は、好気槽CODセンサー344によって計測されたCOD濃度と放流量とに基づいて、COD負荷量をコスト換算したCOD水質コストを算出する。
ブロワコスト算出部141は、消費電力コスト、アンモニア水質コスト及びCOD水質コストの総和で表されるブロワコストを、ブロワ460の操作量を極値制御するための評価量として算出する。
また、水質制約コスト換算部160は、放流TNセンサー351によって計測される全窒素濃度及び放流TPセンサー352によって計測される全リン濃度を、水質規制値と比較することにより、水質規制に相当する制約条件をコスト換算した水質制約コストを算出する。このようなコスト換算には、最適化問題において制約条件をコストとして組み込む方法であるペナルティ関数法が用いられてもよい。ペナルティ関数法については、非特許文献4に記載されている方法が用いられてもよい。
また、ディザー信号生成部130は、流入量センサー411により計測された水処理プラントへの流入量に基づいて、極値探索のためのディザー信号を生成する。ブロワの制御の場合、ブロワの風量が水質に与える時定数は十〜数十分程度である。そのため、この時定数をTとすれば、ディザー信号生成部130は、プラントの応答速度2π/Tよりも早い応答成分をハイパスフィルタでカットする。このとき、ディザー信号130は、必要に応じて、周期的な変動パターンを除去するハイパスフィルタを合わせて適用してもよい。このようなハイパスフィルタにより、プラントの応答速度よりも遅く、流入量の周期的な変動よりも早い速度で変動する成分が外乱信号から抽出される。そして、ディザー信号の振幅が上記の設計指針2及び4を満足するようにゲインが設計されたバンドパスフィルタにより、曝気風量を極値制御するためのディザー信号が生成される。
曝気風量制御部151は、ブロワコスト算出部141によって算出されたブロワコストと、水質制約コスト換算部160によって算出された水質制約コストと、ディザー信号生成部130によって生成されたディザー信号とに基づいて、水処理プラントの運用に要する総コストのうち、ブロワ460の運転に関する部分コストを最小化するようにブロワ460の操作量を極値制御する。
[返送汚泥ポンプの極値制御]
返送Pコスト算出部142は、返送流量センサー441によって計測された流量に基づいて、返送汚泥ポンプ440による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係は返送汚泥ポンプ440のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された流量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
また、返送Pコスト算出部142は、無酸素槽硝酸センサー331によって計測された硝酸濃度と、水処理プラント300から放流された水の放流量との積で表される硝酸負荷量を算出する。返送Pコスト算出部142は、算出された硝酸負荷量を排水賦課金の考え方でコスト換算した硝酸水質コストを算出する。同様に、返送Pコスト算出部142は、好気槽リン酸センサー321によって計測されたリン酸濃度と放流量とに基づいて、リン酸負荷量をコスト換算したリン水質コストを算出する。
返送Pコスト算出部142は、消費電力コスト、硝酸水質コスト及びリン水質コストの総和で表される返送ポンプコストを、返送ポンプ440の操作量を極値制御するための評価量として算出する。
返送総量制御部152は、返送Pコスト算出部142によって算出された返送ポンプコストと、水質制約コスト換算部160によって算出された水質制約コストと、ディザー信号生成部130によって生成されたディザー信号とに基づいて、水処理プラントの運用に要する総コストのうち、返送ポンプ440の運転に関する部分コストを最小化するように返送ポンプ440の操作量を極値制御する。
[循環ポンプの極値制御]
循環Pコスト算出部143は、循環流量センサー421によって計測された流量に基づいて、循環ポンプ420による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係は循環ポンプ420のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された流量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
また、循環Pコスト算出部143は、無酸素槽硝酸センサー331によって計測された硝酸濃度と、水処理プラント300から放流された水の放流量との積で表される硝酸負荷量を算出する。循環Pコスト算出部143は、算出された硝酸負荷量を排水賦課金の考え方でコスト換算した硝酸水質コストを算出する。
循環Pコスト算出部143は、消費電力コスト及び硝酸水質コストの総和で表される循環ポンプコストを、循環ポンプ420の操作量を極値制御するための評価量として算出する。
循環流量制御部153は、循環Pコスト算出部143によって算出された循環ポンプコストと、水質制約コスト換算部160によって算出された水質制約コストと、ディザー信号生成部130によって生成されたディザー信号とに基づいて、水処理プラントの運用に要する総コストのうち、循環ポンプ420の運転に関する部分コストを最小化するように返送ポンプ440の操作量を極値制御する。
[余剰汚泥引き抜きポンプの極値制御]
余剰Pコスト算出部144は、余剰汚泥流量センサー451によって計測された余剰汚泥流量に基づいて、余剰汚泥引き抜きポンプ450による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係は余剰汚泥引き抜きポンプ450のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された流量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
また、余剰Pコスト算出部144は、余剰汚泥濃度センサー361によって計測された余剰汚泥濃度と、余剰汚泥センサー451によって計測された余剰汚泥流量と、汚泥処分単価とに基づいて、余剰汚泥処分コストを算出する。また、余剰Pコスト算出部144は、好気槽リン酸センサー343によって計測されたリン酸濃度と、水処理プラント300から放流された水の放流量との積で表されるリン酸負荷量を算出する。余剰Pコスト算出部144は、算出されたリン酸負荷量を排水賦課金の考え方でコスト換算したリン水質コストを算出する。
余剰Pコスト算出部144は、消費電力コスト、余剰汚泥処分コスト及びリン水質コストの総和で表される余剰汚泥引き抜きポンプコストを、余剰汚泥引き抜きポンプ450の操作量を極値制御するための評価量として算出する。
余剰流量制御部154は、余剰Pコスト算出部144によって算出された余剰汚泥引き抜きポンプコストと、水質制約コスト換算部160によって算出された水質制約コストと、ディザー信号生成部130によって生成されたディザー信号とに基づいて、水処理プラントの運用に要する総コストのうち、余剰汚泥引き抜きポンプ450の運転に関する部分コストを最小化するように余剰汚泥引き抜きポンプ450の操作量を極値制御する。
[凝集剤投入ポンプの極値制御]
凝集コスト算出部145は、注入量センサー431によって計測された凝集剤の投入量に基づいて、凝集剤投入ポンプ430による凝集剤薬品コストを算出する。凝集剤薬品コストは、凝集剤の投入量と薬品単価から算出することができる。
また、凝集コスト算出部145は、余剰汚泥濃度センサー361によって計測された余剰汚泥濃度と、余剰汚泥流量センサー451によって計測された余剰汚泥流量と、汚泥処分単価とに基づいて、余剰汚泥処分コストを算出する。また、凝集コスト算出部145は、好気槽リン酸センサー343によって計測されたリン酸濃度と、水処理プラント300から放流された水の放流量との積で表されるリン酸負荷量を算出する。凝集コスト算出部145は、算出されたリン酸負荷量を排水賦課金の考え方でコスト換算したリン水質コストを算出する。
凝集コスト算出部145は、凝集剤薬品コスト、余剰汚泥処分コスト及びリン水質コストの総和で表される凝集コストを、凝集剤投入ポンプ430の操作量を極値制御するための評価量として算出する。
凝集剤投入量制御部155は、凝集コスト算出部145によって算出された凝集コストと、水質制約コスト換算部160によって算出された水質制約コストと、ディザー信号生成部130によって生成されたディザー信号とに基づいて、水処理プラントの運用に要する総コストのうち、凝集剤投入ポンプ430の運転に関する部分コストを最小化するように凝集剤投入ポンプ430の操作量を極値制御する。
[ステップ流入ポンプの極値制御]
流入コスト算出部146は、ステップ流量センサー411によって計測された流量に基づいて、ステップ流入ポンプ410による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係はステップ流入ポンプ410のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された風量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
また、流入コスト算出部146は、好気槽アンモニアセンサー342によって計測されたアンモニア濃度と、水処理プラント300から放流された水の放流量との積で表されるアンモニア負荷量を算出する。なお、水処理プラント300から放流された水の放流量は、水処理プラント300への流入量から余剰汚泥流量を減算することにより得られる。流入コスト算出部146は、算出されたアンモニア負荷量を排水賦課金の考え方でコスト換算したアンモニア水質コストを算出する。同様に、流入コスト算出部146は、無酸素槽硝酸センサー331によって計測された硝酸濃度と放流量とに基づいて、硝酸負荷量をコスト換算した硝酸水質コストを算出する。同様に、流入コスト算出部146は、好気槽リン酸センサー321によって計測されたリン酸濃度と放流量とに基づいて、リン酸負荷量をコスト換算したリン水質コストを算出する。
流入コスト算出部146は、消費電力コスト、アンモニア水質コスト、硝酸水質コスト及びリン水質コストの総和で表される流入コストを、ステップ流入ポンプ410の操作量を極値制御するための評価量として算出する。
ステップ流入量制御部156は、流入コスト算出部146によって算出された流入コストと、水質制約コスト換算部160によって算出された水質制約コストと、ディザー信号生成部130によって生成されたディザー信号とに基づいて、水処理プラントの運用に要する総コストのうち、ステップ流入ポンプ410の運転に関する部分コストを最小化するようにステップ流入ポンプ410の操作量を極値制御する。
このように、プラント運用に要するコストを評価値として、そのコストを部分コストに分散させて極値制御を行うことによって、複数の操作量を個別に制御する多重ループ構成を構成することができる。多重ループ構成で構成された制御システム100では、例えば、複数の操作量に関する極値制御を個々のワンループコントローラに実装することが可能となり、シンプルかつ拡張性の高い極値制御システムを構成することができる。
なお、上記の具体例では、ディザー信号生成部130は、水処理プラント300に流入する水の流入量を外乱としてディザー信号を生成しているが、制御対象プロセスにもともと加わる外乱であれば、ディザー信号生成部130は他のどのような事象を外乱としてディザー信号を生成してもよい。例えば、上記の水処理プラント300を制御対象とする場合、ディザー信号は、SS(浮遊性固形物)、COD(科学的酸素要求量)、TN(全窒素)、TP(全リン)、吸光度スペクトル(UVを含む)、蛍光スペクトル(EEM)などを外乱として生成されてもよいし、各種水質センサーによって計測される水質濃度と流入量との積で表される各種の流入水質負荷を外乱として生成されてもよい。
また、上記の具体例では、廃水処理された水の最終的な水質を維持するため、制御システム100は、廃水処理に課せられる制約をコストに換算する水質制約コスト換算部160を備えたが、水質制約コストを算出するための計測情報が取得できない場合やそのような制約を必要としない場合、制御システム100は、水質制約コスト換算部160を備えなくてもよい。
また、上記の具体例において算出された各種の評価量は、上記と異なる評価基準や計測情報に基づいて算出されてもよい。また、これらの評価基準は、評価量の算出に用いられるのではなく、水質制約コスト等の制約条件として組み込まれてもよい。
また、上記の具体例のように複数の操作量ごとに極値制御が行われる場合、ディザー信号生成部130は、操作量ごとのディザー信号を生成してもよい。この場合、ディザー信号生成部130は、各操作量が制御対象プロセスの制御量に与える影響に応じて、操作量ごとに異なるディザー信号を生成してもよい。これは、各操作量の変化に対する評価量の変化の時定数が異なる場合に有効であり、上述した極値制御の各種パラメータの設計指針に沿うものである。
このように構成された第1の実施形態の制御システム100は、制御対象プロセスの極値制御に必要となるディザー信号を、外部から強制的に入力される信号ではなく、プラントにもともと加わる外乱を利用して生成する。このような構成を備えることにより、実施形態の制御システム100は、プラント運用に与える影響を抑制しつつ、制御対象プロセスの極値制御を行うことができる。
以下、第1の実施形態の制御システム100の変形例について説明する。
ディザー信号生成部130は、外乱が変動しやすい時間帯にディザー信号を生成するように構成されてもよい。例えば、ディザー信号生成部130は、単位時間当たりの変動量が所定の閾値を越えた場合に、ディザー信号を生成するように構成されてもよいし、一日の変動パターンから外乱が変動しやすいと考えられる時間帯にディザー信号を生成するように構成されてもよい。この場合、ディザー信号生成部130は、上記同様に外乱信号を参照してディザー信号を生成してもよいし、正弦波や矩形波などの他の態様の信号をディザー信号として生成してもよい。ディザー信号生成部130がこのように構成されることにより極値制御のために与えられる操作量の変動が局所化され、制御システム100は、プラント運用に与える影響を抑制しつつ、極値制御を行うことができる。外乱が変動しやすい時間帯は、制御対象プロセスの特性に応じて設定されればよく、例えば、制御対象プロセスが交通制御システムである場合は、交通量の変動パターンに基づいて上記時間帯が設定されてもよい。また、例えば、制御対象プロセスが配水システムや電力供給システムなどのリソースを供給するシステムである場合は、リソースの消費パターンに基づいて上記時間帯が設定されてもよい。
また、ディザー信号生成部130は、外乱の変動量に基づいてディザー信号を生成するように構成されてもよい。一般に、外乱の変動が大きい場合、制御対象プロセスの制御量の最適値も大きく変動する。そのため、このような状況において極値制御を行った場合、制御対象プロセスの制御量の変動が、外乱の変動によるものか、又は極値制御によるものかの判別が困難となる。そのため、このような場合、ディザー信号生成部130は、外乱信号の変動量が所定の閾値以下である場合においてディザー信号を生成するように構成されてもよい。
上記のように、制御対象プロセスの制御を攪乱する可能性のあるディザー信号は、プラント運用の観点では抑制されることが望ましい一方で、極値探索の効率の観点では、制御対象プロセスの制御量の変動の振幅は大きい方が好ましい。そして、上述したように外乱の変動が大きい場合においては、操作量を大きく変動させることは一般的に許容される。そのため、特に外乱がランダムに変化するような特性を持つ制御対象プロセスの制御においては、ディザー信号生成部130は、外乱信号の変動量が所定の閾値以上である場合においてディザー信号を生成するように構成されてもよい。
また、ディザー信号生成部130は、外乱の変動の予測に基づいてディザー信号を生成するように構成されてもよい。例えば、ディザー信号生成部130は、外乱の変動量の予測値が所定の閾値を越えた場合、又は所定の閾値以下となった場合にディザー信号を生成する。ディザー信号生成部130がこのように構成されることによって、制御システム100は、より迅速に制御対象プロセスの極値制御を行うことができる。外乱の変動を予測する方法には任意の手法が用いられてもよい。例えば、水処理プラント300の極値制御の場合、流入量に自己回帰モデルなどを適用することにより変動を予測してもよい。また、上述したとおり、水処理プラント300への流入量は周期的な変動パターンを持つことが多い。そのため、そのような変動パターンに基づいて外乱の変動を予測してもよい。
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態の制御システム100aの機能構成を示す機能ブロック図である。
第2の実施形態の制御システム100aは、計測情報取得部110に代えて計測情報取得部110aを備える点、極値制御部150に代えて極値制御部150aを備える点、履歴情報記憶部170をさらに備える点で第1の実施形態の制御システム100と異なる。なお、図7の説明では、図1と同じ符号を付すことによって図1と同様の機能部の説明を省略する。
履歴情報記憶部170は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。履歴情報記憶部170は、制御対象プロセスについて過去に計測された制御量情報を履歴情報として記憶する。
計測情報取得部110aは、制御対象200から計測情報を取得するとともに、計測情報に含まれる制御量情報を制御量情報が取得されたタイミングと対応づけて履歴情報として履歴情報記憶部170に記憶させる。
極値制御部150aは、制御対象プロセスについて極値制御部150と同様の極値制御を行う。また、極値制御部150aは、極値探索における操作量の初期値を履歴情報に基づいて決定する。例えば、極値制御部150aは、履歴情報に基づいて制御対象プロセスの制御量の一日の遷移パターンを生成する。例えば、極値制御部150aは、次の図7のような遷移パターンを生成する。
図8は、履歴情報に基づいて生成される遷移パターンの具体例を示す図である。
図8は、水処理プラント300を例に、制御対象プロセスについて取得される制御量情報の一つである曝気風量の計測値に基づいて生成された遷移パターンの例を示している。この遷移パターンの生成には、過去の所定期間において同時刻に計測された計測値の平均値やトリム平均値、中央値などの代表値が用いられてもよいし、簡単には、前日の履歴情報が示す計測値が用いられてもよい。
極値制御部150aは、生成した遷移パターンにおいて極値制御の実行タイミングに対応する値を操作量の初期値に設定して極値探索を行う。なお、生成される遷移パターンにおいて急激な変化や不連続な遷移が見られる場合、極値制御部150aは、そのような変化量や不連続を緩和するように、遷移パターンを任意の補間法によって調整してもよい。
このように構成された第2の実施形態の制御システム100aは、制御対象プロセスの極値制御における操作量の初期値を、過去に計測された制御量情報に基づいて設定する。極値制御における操作量の初期値がこのように設定されることにより、制御システム100aは、周期的に制御量が変動する制御対象プロセスの極値制御において、極値探索の収束速度を向上させることができる。
以下、第2の実施形態の制御システム100aの変形例について説明する。
極値制御部150aは、極値制御の実行タイミングにおける制御量情報が示す計測値と、過去に取得された制御量情報が示す計測値との差分値を操作量とみなして極値探索を行ってもよい。この場合、過去に取得された制御量情報が示す計測値は、前制御周期の極値制御における計測値であってもよいし、過去の同時刻における計測値であってもよい。極値制御部150aが、計測値の差分値を操作量とみなして極値制御を行うことによって、制御システム100aは、極値制御の初期における操作量の変化の不連続性を抑制することが可能となる。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、外乱を示す外乱信号を取得する外乱信号取得部と、前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得部と、前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱信号を参照して生成するディザー信号生成部と、前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を調整する極値制御を行う極値制御部と、を持つことにより、プラント運用に与える影響を抑制しつつ、極値制御を行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
100…制御システム,110、110a…計測情報取得部,120…操作量出力部,130…ディザー信号生成部,140…評価量算出部,141…ブロワコスト算出部,142…返送Pコスト算出部,143…循環Pコスト算出部,144…余剰Pコスト算出部,145…凝集コスト算出部,146…流入コスト算出部,150、150a…極値制御部,151…曝気風量制御部,152…返送総量制御部,153…循環流量制御部,154…余剰流量制御部,155…凝集剤投入量制御部,156…ステップ流入量制御部,160…水質制約コスト換算部,170…履歴情報記憶部,200…制御対象,300…水処理プラント,310…最初沈澱池,311…流入量センサー,320…嫌気槽,321…嫌気槽リン酸センサー,322…嫌気槽MLSSセンサー,323…嫌気槽ORPセンサー,330…無酸素槽,331…無酸素槽硝酸センサー,340…好気槽,341…好気槽DOセンサー,342…好気槽アンモニアセンサー,343…好気槽リン酸センサー,344…好気槽CODセンサー,350…最終沈澱池,351…放流TNセンサー,352…放流TPセンサー,360…送水路,361…余剰汚泥濃度センサー,410…ステップ流入ポンプ,411…ステップ流量センサー,420…循環ポンプ,421…循環流量センサー,430…凝集剤投入ポンプ,431…注入量センサー,440…返送汚泥ポンプ,441…返送流量センサー,450…余剰汚泥引き抜きポンプ,451…余剰汚泥流量センサー,460…ブロワ,461…風量センサー

Claims (16)

  1. 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムであって、
    前記外乱を示す外乱信号を取得する外乱信号取得部と、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得部と、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱信号を参照して生成するディザー信号生成部と、
    前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
    前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
    を備える制御システム。
  2. 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムであって、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得部と、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成部と、
    前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
    前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
    を備える制御システム。
  3. 前記外乱を示す外乱信号を取得する外乱信号取得部をさらに備え、
    前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号を参照して前記ディザー信号を生成する、
    請求項2に記載の制御システム。
  4. 前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号の変化量が所定の閾値以上である場合、又は前記外乱信号の変化量が所定の閾値以上となることが予測された場合、前記ディザー信号を生成する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の制御システム。
  5. 前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号の変化量が所定の閾値以下である場合、又は前記外乱信号の変化量が所定の閾値以下となることが予測された場合、前記ディザー信号を生成する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の制御システム。
  6. 前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号から所定の周波数帯域の信号を抽出することで前記ディザー信号を生成する、
    請求項1又は請求項3から5のいずれか一項に記載の制御システム。
  7. 前記ディザー信号生成部は、前記制御対象プロセスにおける複数の操作量ごとに前記ディザー信号を生成し、
    前記評価量算出部は、前記制御対象プロセスの評価値を前記複数の操作量ごとに算出し、
    前記極値制御部は、前記複数の操作量ごとに生成されたディザー信号と、前記複数の操作量ごとに算出された評価値とに基づいて、前記操作量ごとに極値制御を行う、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の制御システム。
  8. 前記極値制御部は、前記制御対象プロセスの制御量が周期的に変化する場合、前記極値制御における前記操作量の初期値を、過去に取得された前記制御量情報に基づいて決定する、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の制御システム。
  9. 前記極値制御部は、過去に取得された前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスに与える操作量の差分値を決定し、前記差分値を変動させることにより前記評価値の極値を探索する、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の制御システム。
  10. 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムが行う制御方法であって、
    前記外乱を示す外乱信号を取得する外乱信号取得ステップと、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得ステップと、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱信号を参照して生成するディザー信号生成ステップと、
    前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出ステップと、
    前記ディザー信号生成ステップにおいて生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御ステップと、
    を有する制御方法。
  11. 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムが行う制御方法であって、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得ステップと、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成ステップと、
    前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出ステップと、
    前記ディザー信号生成ステップにおいて生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御ステップと、
    を有する制御方法。
  12. 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱を示す外乱信号を参照して生成するディザー信号生成部と、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
    前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
    を備える制御装置。
  13. 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成部と、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
    前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
    を備える制御装置。
  14. 前記ディザー信号生成部と、前記極値制御部とがワンループコントローラに実装された、
    請求項12又は13に記載の制御装置。
  15. 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱を示す外乱信号を参照して生成するディザー信号生成部と、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
    前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
    を備える制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
  16. 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
    前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成部と、
    前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
    前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
    を備える制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
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