JP2016143404A - 制御システム、制御装置、制御方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外乱信号取得部110、制御量情報取得部、ディザー信号生成部130、評価値算出部140及び極値制御部150を持つ。外乱信号取得部は、外乱を示す外乱信号を取得する。制御量情報取得部は、制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する。ディザー信号生成部は、制御対象プロセスの制御において、制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、外乱信号を参照して生成する。評価値算出部は、制御量情報に基づいて、制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する。極値制御部は、ディザー信号生成部により生成されたディザー信号に基づいて操作量を変動させ、評価値の極値を探索しながら操作量を制御する。
【選択図】図1
Description
極値制御は、操作量を意図的に変化させることによって、制御対象プロセスの制御量が最適値に近づくように操作量を探索していく手法である。極値制御では、制御対象プロセスの推定モデルを用いないため、複雑な推定モデルで表される制御対象プロセスについても操作量の制御を容易に行うことができる。
図1は、第1の実施形態の制御システム100の機能構成を示す機能ブロック図である。
図1の制御対象200は、制御システム100による制御の対象となる制御対象プロセスが実装された工場やプラントなどの施設を表す。制御対象200には、制御対象プロセスの制御量や、制御対象プロセスに作用する外乱を計測する各種の計測機器が含まれる。制御対象200は、各種計測機器の計測により取得された計測情報を制御システム100に出力する。制御システム100は、制御対象200から出力される計測情報に基づいて、制御対象プロセスに与える操作量を決定する。制御対象200は、制御システム100により決定された操作量を制御対象プロセスに入力することで、制御対象プロセスの制御量を変化させる。
図2のグラフ(a)において、横軸は操作量、縦軸は評価量を表す。極値制御では、制御対象プロセスに与える操作量と、与えられた操作量により変化する制御量との関係は未知である。そのため、操作量と評価量との関係も未知となるが、ここでは説明を分かりやすくするために、あるタイミングにおける評価量と操作量との関係が曲線10のように表されると仮定して説明する。曲線10で示される評価量は点11に極小点を持つ。評価量をコストとして考えた場合、制御対象プロセスはコストがより小さくなるような制御量で制御されることが望ましいため、目標とする操作量は点11における操作量となる。
図3においてsはラプラス演算子を表す。「s/(s+ω2)」はハイパスフィルタであり、「ω1/s+ω1」はローパスフィルタである。「k/s」は積分器を表し、kは積分器のゲインである。「a×sinωt」はディザー信号発生器である。ディザー信号は、操作量及び制御量の両方に作用する。図2の例に当てはめると、制御量にディザー信号を作用させた信号が図2(c)の評価量を示す信号である。そして、この評価量を示す信号が積分器に対して操作量を増減させる方向を与える。積分器は、操作量の増減の方向と、評価量を示す信号の強度とによって操作量を示す信号を出力する。ディザー信号は、積分器から出力された操作量を示す信号に作用し操作量を微小に変動させる。
ディザー信号の周波数ωは、プラントの応答速度より十分小さく設定する。すなわち、プラントの時定数をTとした場合、ω<<2π/Tとなるように設定する。
ディザー信号の振幅は、操作量の通常の動きよりも十分小さく設定するとともに、ディザー信号の周波数よりも十分小さく設定する。すなわち、a<<ωとなるように設定する。
積分器のゲインはディザー信号の周波数よりも十分小さく設定する。すなわち、k<<ωとなるように設定する。
極値探索の収束速度は、k×ω×a2×Pに比例する。ここで、Pはディザー信号の強度である。従って、極値探索の収束速度をより速くするため、指針1〜3を満たす範囲でk、ω及びaは、できる限り大きい値に設定する。
ローパスフィルタのカットオフ周波数は、ディザー信号の周波数より十分大きく設定し、ハイパスフィルタのカットオフ周波数は、ディザー信号の周波数より十分小さく設定する。すなわち、ω2<<ω<<ω1となるように設定する。
図3に示した一般的な極値制御系と本実施形態の制御システム100における極値制御系との違いは、ディザー信号発生器となるディザー信号生成部130が、外乱信号を参照してディザー信号を生成する点である。例えば、ディザー信号生成部130は、バンドパスフィルタとして構成され、外乱信号から所定の周波数帯域の信号を抽出することによりディザー信号を生成する。
まず、計測情報取得部110は、制御対象200から計測情報を取得する(ステップS101)。計測情報取得部110は、計測情報に含まれる外乱信号をディザー信号生成部130に出力する。また、計測情報取得部110は、計測情報に含まれる制御量情報を評価量算出部140に出力する。
図6における水処理プラント300は生物学的廃水処理プロセスを行うプラントである。図6の具体例では、水処理プラント300が行う生物学的廃水処理プロセスが制御システム100の制御対象プロセスである。水処理プラント300には、最初沈澱池310、嫌気槽320、無酸素槽330、好気槽340及び最終沈澱池350の各設備が設けられ、各設備間を循環する水は送水路360に設置された各ポンプにより輸送される。
ブロワコスト算出部141は、風量センサー461によって計測された風量に基づいて、ブロワ460による消費電力コストを算出する。風量と消費電力との関係はブロワ460のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された風量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
返送Pコスト算出部142は、返送流量センサー441によって計測された流量に基づいて、返送汚泥ポンプ440による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係は返送汚泥ポンプ440のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された流量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
循環Pコスト算出部143は、循環流量センサー421によって計測された流量に基づいて、循環ポンプ420による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係は循環ポンプ420のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された流量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
余剰Pコスト算出部144は、余剰汚泥流量センサー451によって計測された余剰汚泥流量に基づいて、余剰汚泥引き抜きポンプ450による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係は余剰汚泥引き抜きポンプ450のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された流量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
凝集コスト算出部145は、注入量センサー431によって計測された凝集剤の投入量に基づいて、凝集剤投入ポンプ430による凝集剤薬品コストを算出する。凝集剤薬品コストは、凝集剤の投入量と薬品単価から算出することができる。
流入コスト算出部146は、ステップ流量センサー411によって計測された流量に基づいて、ステップ流入ポンプ410による消費電力コストを算出する。流量と消費電力との関係はステップ流入ポンプ410のスペック情報から得られる。また、電力単価は既知の情報である。よって、消費電力コストは、計測された風量に相当する消費電力及び電力単価から算出することができる。
図7は、第2の実施形態の制御システム100aの機能構成を示す機能ブロック図である。
第2の実施形態の制御システム100aは、計測情報取得部110に代えて計測情報取得部110aを備える点、極値制御部150に代えて極値制御部150aを備える点、履歴情報記憶部170をさらに備える点で第1の実施形態の制御システム100と異なる。なお、図7の説明では、図1と同じ符号を付すことによって図1と同様の機能部の説明を省略する。
図8は、水処理プラント300を例に、制御対象プロセスについて取得される制御量情報の一つである曝気風量の計測値に基づいて生成された遷移パターンの例を示している。この遷移パターンの生成には、過去の所定期間において同時刻に計測された計測値の平均値やトリム平均値、中央値などの代表値が用いられてもよいし、簡単には、前日の履歴情報が示す計測値が用いられてもよい。
Claims (16)
- 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムであって、
前記外乱を示す外乱信号を取得する外乱信号取得部と、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得部と、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱信号を参照して生成するディザー信号生成部と、
前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
を備える制御システム。 - 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムであって、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得部と、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成部と、
前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
を備える制御システム。 - 前記外乱を示す外乱信号を取得する外乱信号取得部をさらに備え、
前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号を参照して前記ディザー信号を生成する、
請求項2に記載の制御システム。 - 前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号の変化量が所定の閾値以上である場合、又は前記外乱信号の変化量が所定の閾値以上となることが予測された場合、前記ディザー信号を生成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御システム。 - 前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号の変化量が所定の閾値以下である場合、又は前記外乱信号の変化量が所定の閾値以下となることが予測された場合、前記ディザー信号を生成する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の制御システム。 - 前記ディザー信号生成部は、前記外乱信号から所定の周波数帯域の信号を抽出することで前記ディザー信号を生成する、
請求項1又は請求項3から5のいずれか一項に記載の制御システム。 - 前記ディザー信号生成部は、前記制御対象プロセスにおける複数の操作量ごとに前記ディザー信号を生成し、
前記評価量算出部は、前記制御対象プロセスの評価値を前記複数の操作量ごとに算出し、
前記極値制御部は、前記複数の操作量ごとに生成されたディザー信号と、前記複数の操作量ごとに算出された評価値とに基づいて、前記操作量ごとに極値制御を行う、
請求項1から6のいずれか一項に記載の制御システム。 - 前記極値制御部は、前記制御対象プロセスの制御量が周期的に変化する場合、前記極値制御における前記操作量の初期値を、過去に取得された前記制御量情報に基づいて決定する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の制御システム。 - 前記極値制御部は、過去に取得された前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスに与える操作量の差分値を決定し、前記差分値を変動させることにより前記評価値の極値を探索する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御システム。 - 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムが行う制御方法であって、
前記外乱を示す外乱信号を取得する外乱信号取得ステップと、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得ステップと、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱信号を参照して生成するディザー信号生成ステップと、
前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出ステップと、
前記ディザー信号生成ステップにおいて生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御ステップと、
を有する制御方法。 - 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御システムが行う制御方法であって、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報を取得する制御量情報取得ステップと、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成ステップと、
前記制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出ステップと、
前記ディザー信号生成ステップにおいて生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御ステップと、
を有する制御方法。 - 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱を示す外乱信号を参照して生成するディザー信号生成部と、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
を備える制御装置。 - 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成部と、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
を備える制御装置。 - 前記ディザー信号生成部と、前記極値制御部とがワンループコントローラに実装された、
請求項12又は13に記載の制御装置。 - 外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱を示す外乱信号を参照して生成するディザー信号生成部と、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
を備える制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。 - 周期的に変動する外乱に基づいて制御対象プロセスに与える操作量を制御する制御装置であって、
前記制御対象プロセスの制御において、前記制御対象プロセスに与える操作量を変動させるためのディザー信号を、前記外乱が変動しやすい時間帯に生成するディザー信号生成部と、
前記制御対象プロセスの制御量を示す制御量情報に基づいて、前記制御対象プロセスの制御量を評価する指標となる評価値を算出する評価値算出部と、
前記ディザー信号生成部により生成された前記ディザー信号に基づいて前記操作量を変動させ、前記評価値の極値を探索しながら前記操作量を制御する極値制御を行う極値制御部と、
を備える制御装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
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