JP2016142565A - 目的細胞の検出方法および目的細胞検出システム - Google Patents

目的細胞の検出方法および目的細胞検出システム Download PDF

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Abstract

【課題】目的細胞に短時間で簡単に焦点を合わせることができる目的細胞の検出方法、および該方法を実施するための目的細胞検出システムを提供する。
【解決手段】目的細胞を非目的細胞より少ない割合で含む細胞懸濁液を細胞展開用基板に展開後、展開した細胞層を単層化し、非目的細胞に結合している蛍光色素の励起光で細胞展開用基板に展開された細胞群を照射し、蛍光を発している非目的細胞に受光光学系の焦点を合わせた後、目的細胞に結合している別の蛍光色素の励起光で細胞群を照射しつつ、合わせた焦点の位置を基準として、第1の蛍光を発している目的細胞を探索する方法および該方法を実施するシステムとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、血液などの細胞懸濁液から検出対象である目的の細胞(例;血中循環がん細胞(Circulating Tumor Cell))等を検出する方法、およびこの方法の実施するための目的細胞検出システムに関する。
血液1mLには、通常の細胞が10×9個程度存在するが、血中循環腫瘍細胞〔CTC〕、末梢循環血管内皮前駆細胞〔CEC〕、末梢循環血管内皮前駆細胞〔CEP〕、各種幹細胞等の細胞は数〜十数個程度しか存在しないため、希少細胞と称される。例えば、CTCは、乳がんや前立腺がん、大腸がんなどの転移性のがん症例において治療効果の判定や予後予測因子として有用である。また、CECは、血管新生および血管壁の維持に重要な役割を果たしており、循環器疾患や感染症、免疫疾患、移植後検査、癌など多くの病態では、血中に含まれるCECの数が増加するため、がん症例において治療効果の判定や予後予測因子として有用であるだけでなく、循環器疾患などによる血管へのダメージを迅速に測定することが可能である。また、CEPは骨髄由来の細胞であり、血液中に含まれるCEPの数が、血管新生阻害効果(がん抑制効果)を定量化するためのバイオマーカーとして有用である。このように疾患(特に転移性のがん)に関係する希少細胞を、精度よく検出することは臨床的な有用であることが明らかであるが、その検出は極めて難しい。
特許文献1には、希少細胞を検出する方法として、汎用の蛍光物質および蛍光顕微鏡、希少ではない細胞を用いて希少細胞を検出する方法が開示されている。具体的には、希少細胞を検出するために、蛍光標識された陽性マーカー、蛍光標識された陰性マーカーを試料である細胞群に接触させ、この細胞群を基板上に展開し、展開された細胞の画像を取得し、この細胞画像に映る個々の細胞を解析(例;ある一の細胞とその他の細胞の細胞形態を比較)することにより、試料に含まれる希少細胞を検出する方法である。
特表2013−508729号公報
特許文献1の方法では、基板上に展開された多数の細胞について、細胞画像を取得し、細胞画像中の個々の細胞について他の細胞と比較して目的の細胞を検出する。細胞画像の焦点が合っていないと希少細胞の判別・判定が困難となるため、焦点の合った画像を取得する必要がある。
細胞画像を取得する方法として、先ず明視野において、基板上に展開されている細胞または基板に付したマークに焦点を合わせておき、その焦点のまま暗視野において、基板上に展開されている細胞群中の各細胞に付されている標識用の蛍光色素を励起・発光させて細胞画像を取得し、該細胞画像から目的細胞を探索する方法が考えられる。しかしながら、明視野の場合には全ての波長の光が含まれているため、暗視野において特定の蛍光波長(各細胞から発した各種蛍光)で焦点を合わせる場合と比べて、焦点深度(画像のピントがシャープと感じる範囲)が広くなっていることから、暗視野に移行して焦点深度が狭まると、細胞画像を取得したときに焦点が合っていない状態となって、目的細胞を探索ひいては検出する際の精度が不足してしまう場合がある。
一方で、目的細胞に焦点の合った画像を取得するために、目的細胞を標識している蛍光色素を励起して、目的細胞から発する蛍光を頼りに目的細胞に直接焦点を合わせることも考えられる。しかしながら、目的細胞は希少であるため、多数の細胞の中からそれを見つけ出して焦点を合わせることは困難である。
特に、基板をいくつかの領域(視野)に分割し、その全てについて細胞画像を取得する場合に、各領域において撮像ごとに目的細胞と非目的細胞を標識しているそれぞれの蛍光で焦点を合わせる方法では、全ての撮像を終えるまでに時間を要するのみならず、一領域で焦点を調整するのにも時間を要し、その間励起光が照射され続けることで、撮像される領域(視野)において目的細胞を標識した蛍光色素の褪色が進むのみならず、その周辺にある(後に撮像される)領域にある細胞の蛍光色素まで褪色する可能性があり、目的細胞を検出するための微弱な蛍光シグナルをロストしてしまう虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、目的細胞に短時間で簡単に焦点を合わせることができる目的細胞の検出方法、および該方法を実施するための目的細胞検出システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、検出しようとしている目的の細胞が非目的細胞よりも少ない場合に、細胞群を基板上に展開および単層化し、非目的細胞とほぼ同じ焦点位置に存在する非目的細胞に対し、目的細胞を検出するための光学系(顕微鏡等)の焦点を合わせておくことで、目的細胞を探索する前の段階で簡単に目的細胞の焦点またはこれに非常に近い焦点位置に焦点位置を調節することができ、目的細胞を探索しやすくなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明により、以下の[1]〜[14]の目的細胞の検出方法および目的細胞検出システムが提供される。
[1] 検出しようとしている目的細胞が非目的細胞より少ない数で含まれる細胞懸濁液を細胞展開用基板の表面に展開し、該表面に設けられた細胞を検出するための領域(細胞検出領域)に単層の細胞層を形成する細胞展開工程と、
前記目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である第1蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第1蛍光標識処理工程と、
前記非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である第2蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第2蛍光標識処理工程、
および/または、
前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する第3A蛍光色素である、もしくは前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する抗体と第3B蛍光色素との複合体である、第3蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第3蛍光標識処理工程と、
を順不同で含む目的細胞の検出方法であって、
第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射し、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に受光光学系の焦点を合わせる処理を行う焦点位置調節工程と、
第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射しつつ、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を基準として、第1の蛍光を発している目的細胞を探索する目的細胞探索工程と、
を含むことを特徴とする目的細胞の検出方法。
[2] 前記目的細胞が、血液中の細胞の総数に対して0.01%未満の含有率で前記血液に含まれる希少細胞である、[1]に記載の目的細胞の検出方法。
[3] 前記焦点位置調節工程において焦点を合わせる際に用いられる前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光の波長が、前記第1の蛍光の波長と重複しない、[1]または[2]に記載の目的細胞の検出方法。
[4] 前記目的細胞がCTCであり、
前記非目的細胞が白血球であり、
前記第1蛍光標識体が、前記第1蛍光色素で標識された抗サイトケラチン抗体であり、
前記第2蛍光標識体が、前記第2蛍光色素で標識された白血球を特異的に認識する抗体である、および/または、前記第3蛍光標識体が、細胞核に結合するヘキスト系蛍光色素である、
[1]〜[3]のいずれかに記載の目的細胞の検出方法。
[5] 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が平面状であり、
前記細胞展開工程では、細胞用スクレーパーを用いて該平面状の基板の表面に展開された2層以上の細胞層を単層化させる、[1]〜[4]のいずれかに記載の目的細胞の検出方法。
[6] 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が、細胞を格納するためのマイクロチャンバーまたは凹凸を有しており、
前記細胞展開工程では、液流によって細胞を単層化させる、[1]〜[4]のいずれかに記載の目的細胞の検出方法。
[7] 前記焦点位置調節工程と前記目的細胞探索工程との間に、
前記受光光学系に設けられている受光素子により受光する光が、前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光から前記第1の蛍光に変化することにより生じる前記受光光学系の焦点位置のズレ量を算出し、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を補正する焦点位置補正工程をさらに含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の目的細胞の検出方法。
[8] 前記焦点位置調節工程の直後に、前記受光光学系を第2の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第2細胞画像取得工程、および/または、前記受光光学系を第3Aもしくは第3Bの蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第3細胞画像取得工程をさらに含み、
前記目的細胞探索工程として、
前記受光光学系を第1の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第1細胞画像取得工程、
第2細胞画像取得工程および/または第3細胞画像取得工程と第1細胞画像取得工程で撮像した各画像を重ね合わせて合成する処理を行う画像形成工程と、
を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の目的細胞の検出方法。
[9] 前記焦点位置調節工程を、前記細胞検出領域の異なる位置における2つ以上の視野のそれぞれで、非目的細胞に焦点を合わせて各視野の焦点距離の情報を得ることによって行い、これら焦点距離が相違する場合、その差分から、前記2つ以上の視野以外の他の視野における焦点距離の変化を表す近似式を求め、
当該他の視野においては、それぞれの焦点距離を前記近似式から算出して、この算出された焦点距離に前記受光光学系の焦点距離を設定する工程を、前記焦点位置調節工程として行う、[1]〜[8]のいずれかに記載の目的細胞の検出方法。
[10] 検出しようとしている目的細胞が非目的細胞より少ない数で含まれる細胞懸濁液を表面に展開可能な細胞検出領域を有する細胞展開用基板と、
前記細胞展開用基板の細胞検出領域に単層の細胞層を形成する細胞展開手段と、
前記目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である第1蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第1蛍光標識処理手段と、
前記非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である第2蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第2蛍光標識処理手段、
および/または、
前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する第3A蛍光色素である、もしくは前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する抗体と第3B蛍光色素との複合体である、第3蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第3蛍光標識処理手段と、
前記細胞展開用基板の細胞検出領域に対して、所定波長の励起光を照射可能な照射光学系と、
前記細胞検出領域からの光を波長帯域別に受光可能な受光光学系と、
少なくとも前記受光光学系および照射光学系を制御する制御手段と、
を備えた、目的細胞検出システムであって、
前記制御手段は、少なくとも、
前記照射光学系により第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射し、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に前記受光光学系の焦点を合わせる焦点位置調節手段と、
前記照射光学系により第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞を照射しつつ、前記焦点位置調節手段で合わせた焦点の位置を基準として、前記受光光学系で第1の蛍光を発している目的細胞を探索する処理を行う目的細胞探索手段と、
を備えたことを特徴とする目的細胞検出システム。
[11] 前記目的細胞が、血液中の細胞の総数に対して0.01%未満の含有率で前記血液に含まれる希少細胞である、[10]に記載の目的細胞検出システム。
[12] 前記焦点位置調節手段によって焦点を合わせる際に用いられる前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光の波長が、前記第1の蛍光の波長と重複しない、[10]または[11]に記載の目的細胞検出システム。
[13] 前記目的細胞がCTCであり、
前記非目的細胞が白血球であり、
前記第1蛍光標識体が、前記第1蛍光色素で標識された抗サイトケラチン抗体であり、
前記第2蛍光標識体が、前記第2蛍光色素で標識された白血球を特異的に認識する抗体である、および/または、前記第3蛍光標識体が、細胞核に結合するヘキスト系蛍光色素である、
[10]〜[12]のいずれかに記載の目的細胞検出システム。
[14] 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が平面状であり、
前記細胞展開手段が、前記表面部に展開された2層以上の細胞層を単層化させるための細胞用スクレーパーを備えた、[10]〜[13]のいずれかに記載の目的細胞検出システム。
[15] 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が、細胞を格納するためのマイクロチャンバーまたは凹凸を有しており、
前記細胞展開手段が、細胞を単層化させるための液流を発生させる送液系機構を備えた、[10]〜[13]のいずれかに記載の目的細胞検出システム。
[16] 前記制御手段は、
前記受光光学系に設けられている受光素子により受光する光が、前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光から前記第1の蛍光に変化することにより生じる焦点位置のズレ量を算出し、前記焦点位置調節手段で合わせた焦点位置を補正する焦点位置補正手段をさらに備えた、[10]〜[15]のいずれかに記載の目的細胞検出システム。
[17] 前記焦点位置調節手段により前記受光光学系の焦点を合わせた直後に、前記受光光学系を第2の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第2細胞画像取得手段、および/または、前記受光光学系を第3Aもしくは第3Bの蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第3細胞画像取得手段をさらに備え、
前記目的細胞探索手段として、
前記受光光学系を第1の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第1細胞画像取得手段と、
前記第1細胞画像取得手段と前記第2細胞画像取得手段で撮像した各画像を重ね合わせて合成する処理を行う画像形成手段と、
を備えた、[10]〜[16]のいずれかに記載の目的細胞検出システム。
[18] 前記細胞検出領域の異なる位置における2つ以上の視野のそれぞれで、非目的細胞に焦点を合わせて焦点距離の情報を得た後、
これら焦点距離が相違する場合、その差分から、前記2つ以上の視野以外の他の視野における焦点距離の変化を表す近似式を求め、
当該他の視野においては、それぞれの焦点距離を前記近似式から算出して、この算出された焦点距離に前記受光光学系の焦点距離を設定する手段を、前記焦点位置調節手段として含む、[10]〜[17]のいずれかに記載の目的細胞検出システム。
本発明によれば、目的細胞に短時間で簡単に焦点を合わせることができる目的細胞の検出方法、および該方法を実施するための目的細胞検出システムが提供される。それにより、目的細胞を標識した蛍光色素の褪色を極力抑え、目的細胞の検出精度を向上させるとともに、検出工程全体の所用時間も短縮化することができる。
図1は、本発明に係る目的細胞検出システムの一例を示した図である。 図2は、細胞展開手段により細胞展開工程が行われている状態を説明した図である。(A)は、細胞懸濁液を流路へ流し込んでいる状態を示した図である。(B)は、往復送液により細胞をマイクロチャンバー内に格納しつつ、細胞層を単層化している状態を示した図である。(C)は、単層化後の細胞回収デバイスの状態を示した図である。なお、図2中、「●」は検出対象の目的細胞(例;CTC細胞)を示している。また、第1〜第3蛍光標識体の図示は省略されている(他の図も同様である)。 図3は、表面に凹凸を有する細胞展開用基板を示した部分断面斜視図である。 図4は、細胞回収デバイスの細胞展開用基板に展開した細胞群に対して細胞用スクレーパーで細胞を単層化している状態を示した図である。 図5は、目的細胞検出システムの照射光学系および受光光学系の模式図を示している。この例では、細胞展開用デバイスは、細胞回収デバイスホルダーにより保持され、細胞回収デバイスホルダーが駆動することにより、光軸(縦方向の一点鎖線)に対してX,Y,Zの方向に位置調節可能に設けられている。 図6は、マイクロチャンバーが形成された細胞展開用基板の表面が製造誤差・公差等により傾斜している場合に、その傾斜が一様であるので、マイクロチャンバー内の非目的細胞に複数個所で焦点を合わせ、得られる複数の焦点距離から焦点距離を表す線形近似式を作成し、焦点を合わせていない他のマイクロチャンバー内の非目的細胞の焦点距離を近似式から算出し焦点位置を設定し、この焦点位置を基準に目的細胞を検出する場合の説明図である。 図7は、本発明に係る目的細胞の探索方法のメインフローチャートを示した図である。ここで、焦点位置補正工程(破線部分)は任意に実行されることが示されている。 図8(A)は、細胞展開工程のフローの一例を示した図であり、表面にマイクロチャンバーまたは凹凸が形成された細胞展開用基板を使用した場合に、マイクロチャンバー内に積層された細胞を単層化するための工程が示されている。図8(B)は、細胞展開工程のフローの他の一例を示した図であり、表面に平面状である細胞展開用基板を使用した場合に、細胞用スクレーパーを使用して積層された細胞層を単層化するための工程が示されている。 図9は、蛍光標識処理工程の一例を示した図である。細胞懸濁液を細胞展開用基板に展開する前と展開した後によってフローが分かれる。展開する前の場合のフローが図9右側に示されており、展開した後の場合のフローが図9左側に示されている。 図10は、細胞展開用基板を上方から平面視した図であり、仮想設定される複数の視野がマス目状に示されており、1つの矩形(□)が1つの視野を示している。アルファベットA〜Iは、焦点位置調節工程で非目的細胞に焦点を合わせた位置を示している。細胞展開用基板の表面が製造誤差・公差により傾斜している場合に、各点(例えば点A、B、C)で合わせた焦点距離を使用して線形近似がなされ、例えば相関係数がR2>0.90以上である場合には、線形近似式からA−B間の視野、またはB−C間の視野の焦点距離が算出される。図10では細胞検出領域全域を網羅するように焦点が調べられていることを示している。 図11は、目的細胞検出システムにより行われる焦点位置調節工程のフローの一例を示した図である。ある視野で得られた非目的細胞についての受光光学系の焦点位置でもって、予め決められた基板上の複数の視野について非目的細胞が検出できるか確認し(細胞展開用基板に歪みが有無を確認し)、検出できる場合(歪みがない場合)には近似式を作成しない。一方、検出できない場合(細胞展開用基板に歪みがある場合)には、複数の視野3つ以上において非目的細胞に焦点を合わせて焦点距離をそれぞれ取得してこの焦点距離の情報に基づいて近似式を作成し、調べた視野間にある他の視野について焦点距離を設定するものである。 図12は、目的細胞探索工程のフローの一例を示した図である。 図13は、本発明の作用・効果を説明した図面である。各マイクロチャンバーの底面の高さ位置は略同じであり、各マイクロチャンバーの底面に存在する単層の細胞層についても高さ位置が略同じとなることから、視野1と2において非目的細胞と目的細胞についての受光光学系の焦点位置は略同じとなる。そのため、視野1において非目的細胞(○)に事前に焦点を合わせて、この状態を維持することで、視野2においても目的細胞(●)を検出することができる。 図14は、本発明の作用・効果を説明した図面である。細胞展開用基板が平面状で水平であり、視野1と2において非目的細胞と目的細胞についての受光光学系の焦点位置は略同じとなる。そのため、視野1において非目的細胞(○)に事前に受光光学系の焦点を合わせて、この状態を維持することで、視野2においても目的細胞(●)を検出することができる。
以下、本発明に係る目的細胞検出システムについて図面を参照しながら説明した後、該システムを使用する場合を例として、本発明に係る目的細胞の検出方法について説明する。
《目的細胞検出システム》
本発明に係る目的細胞検出システムは、検出しようとしている目的細胞が非目的細胞より少ない数で含まれる細胞懸濁液を表面に展開可能な細胞検出領域を有する細胞展開用基板と、前記細胞展開用基板の細胞検出領域に単層の細胞層を形成する細胞展開手段と、前記目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である第1蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第1蛍光標識処理手段と、前記非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である第2蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第2蛍光標識処理手段、および/または、前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する第3A蛍光色素である、もしくは前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する抗体と第3B蛍光色素との複合体である、第3蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第3蛍光標識処理手段と、前記細胞展開用基板の細胞検出領域に対して、所定波長の励起光を照射可能な照射光学系と、前記細胞検出領域からの光を波長帯域別に受光可能な受光光学系と、少なくとも前記受光光学系および照射光学系を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、少なくとも、前記照射光学系により第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射し、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に前記受光光学系の焦点を合わせる焦点位置調節手段と、前記照射光学系により第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞を照射しつつ、前記焦点位置調節手段で合わせた焦点の位置を基準として、前記受光光学系で第1の蛍光を発している目的細胞を探索する処理を行う目的細胞探索手段と、を備えている。
図1に目的細胞検出システムの一例を示す。この目的細胞検出システム100は、細胞展開用基板11、細胞展開手段,第1〜第3蛍光標識処理手段としての送液系機構9、照射光学系6、受光光学系7、制御手段8等を備えている。なお、図1において、符号13は試薬収容器を示し、細胞懸濁液CL、第1蛍光標識体FL1、第2蛍光標識体FL2、第3A蛍光標識体FL3Aおよび第3B蛍光標識体FL3Bを格納している。また、試薬収容器13は、遮光部材で全体が覆われて遮光されている(不図示)。
(細胞懸濁液)
細胞懸濁液は、検出しようとしている目的細胞が検出対象外の非目的細胞より少ない数で含まれるものであり、希少細胞またはその他の目的細胞を含んでいる可能性がある、血液、尿、リンパ液、組織液、体腔液等の検体、あるいはそれらの検体から得られた細胞画分や精製物などの前処理物を、PBS等の適切な溶媒で希釈することにより調製することができる。細胞懸濁液は、例えば、末梢血そのものでもよいし、末梢血から白血球の画分を分離し、これを適切な緩衝液(例えばリン酸緩衝生理的食塩水(PBS))等で希釈したものであってもよい。この分離を行う場合、ヒトリンパ球分離用媒体(例えばFicoll-paque(GE社))を用いた密度勾配遠心分離が好適であり、遠心分離により血漿層の下に分離されるリンパ球を含む血球層から上記細胞懸濁液を調製することができる。なお、上記「希少細胞」とは、血液中の細胞の総数に対して0.01%未満の含有率で前記血液に含まれる細胞である。
また、細胞懸濁液は、試験、研究等のために培養した、希少細胞またはその他の目的細胞の細胞株、あるいは目的細胞を含む細胞集団を、PBS等に分散させて調製したものであってもよい。患者の血中細胞モデルとして、健常者から採取された血中細胞の懸濁液にCTC等の希少細胞の細胞株を添加したものを細胞懸濁液として用いてもよい。
細胞懸濁液としては、細胞固定化処理およびタンパク質除去処理を経たもの、すなわち所定の固定化剤により処理されたCTC等の目的細胞を含み、かつブロッキング効果を付与してしまうようなタンパク質が除去されている細胞懸濁液が好適である。なお、細胞懸濁液には、後述する第1蛍光標識体、第2蛍光標識体、第3A蛍光色素および第3B蛍光標識体のいずれかを含有するものも含まれる。
<細胞展開用基板>
細胞展開用基板は、細胞懸濁液を展開することができる基板であればよく、典型的には、図1に示した例においては細胞回収デバイス10のマイクロチャンバーチップ11が該当する。図1に例示した目的細胞検出システム100では、細胞回収デバイス10として、マイクロチャンバーチップ11と流路形成部材12とをシール部材12aで気密性を維持した状態で組み合わせたものが設けられており、送液系機構9が、デバイス10の流入口2から内部空間の流路1に細胞懸濁液CLを導入することにより、マイクロチャンバーチップ11の表面に細胞懸濁液CL中の細胞を展開することができるように構成されている。
しかしながら、本発明に使用することできる細胞展開用基板は、そのような実施形態に限定されるものではなく、表面に細胞懸濁液を展開してその中に含まれる細胞を吸着させることができるものであればよい。例えば、細胞展開用基板はスライドグラスや細胞培養用のシャーレの底面であってもよい。また、細胞展開用基板は必ずしも流路形成部材12とシール部材12aの両方を組み合わせ、流路が形成された状態で用いなくてもよく、例えばシール部材12aのみを細胞展開用基板と組み合わせ、開放されている上部から細胞懸濁液CL等を滴下し、細胞を展開するような実施形態であってもよい。
(材質)
細胞展開用基板上に展開された細胞群は、後述するように液流等により細胞展開用基板上の所定の表面範囲に集められて細胞観察等に供されるが、この所定の範囲が細胞検出領域であり、基板のあらゆる方向から基板の中を観察用の励起光または蛍光が通過できるように光学的に透明な部材で形成されていることが好ましい。図1において細胞展開用基板11の細胞検出領域を符号CDRで示す。
細胞展開用基板の材質としては、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン〔PDMS〕、ポリメチルメタクリレート〔PMMA〕、環状オレフィンコポリマー〔COC〕などの透明なポリマーが挙げられる。細胞展開用基板は、成形された前記ポリマーに、金属、ガラス、石英ガラスなどからなる基板を貼り合わせたような複数の材料を組み合わせたものであってもよい。
細胞検出領域の寸法(縦幅、横幅)は特に限定されないが、展開したい細胞懸濁液の量または細胞懸濁液の展開のしやすさに基づいて設定することができる。好適な例として、縦幅(図1において流路1の方向の長さ)が10mm以上、横幅は50mm以下に設定する例が挙げられる。
(形状)
細胞展開用基板は、その細胞検出領域に該当する細胞展開用基板の表面部分がマイクロチャンバーまたは凹凸を有していてもよい。細胞展開用基板としては、図1に示すようにマイクロチャンバー5を有する細胞展開用基板11や、図3に示すように凹凸を有する細胞展開用基板11aが挙げられる。
(マイクロチャンバー)
マイクロチャンバーとは、一個以上の細胞を「収容」し、「保持」することができる凹状の微細穴をいい、有底であることが好ましい。また、マイクロチャンバーの形状は、好適には底部が平坦な逆円錐形であるが、これに限定されない。図1および図2に示す例では、逆円錐台形のマイクロチャンバー5・・・が設けられている。ここで、上述した「保持」とは、マイクロチャンバーに収容された細胞が、細胞展開用基板上の流路に対する染色液または洗浄液の通液等によってマイクロチャンバーの外に出難いことをいう。
マイクロチャンバーの開口上部の直径は、20〜500μmであることが好ましい。該直径が20〜500μmの範囲内であると、マイクロチャンバー内に好適に細胞を収容、保持することができる。マイクロチャンバーの深さは、マイクロチャンバー1個あたりに細胞を10〜15個程度収容できることが好ましく、典型的には、マイクロチャンバーの深さは、10〜250μmである。マイクロチャンバーの数は、とくに限定されないが、細胞検出領域に1000〜30000個以上形成する例を挙げることができる。
(凹凸)
細胞展開用基板に凹凸を設ける場合、凹部と凸部の間隔は特に限定されないが、より多くの細胞を格納・保持する観点から、図3に例示したように、凹凸を連続形成した細胞展開用基板11aが好ましい。なお、細胞展開用基板に凹凸を設ける場合、展開した細胞の層が極力2層以上とならず、且つ、目的細胞を格納・保持できる範囲に凹部の深さ(凸部の高さ)を設定することが好ましい。具体的には、目的細胞の最大粒径〜最大粒径の90%程度の深さが好ましい。
CTC等の希少細胞の直径(平均直径)は、例えば、American Journal of Pathology, Vol.156, No.1, 57−63, January 2000には、以下のように報告されている。複数種の循環がん細胞について光学顕微鏡写真を撮影し、各種の循環がん細胞(CTC)の平均的な投影面積を396μm2〜796μm2であると測定している。よって、各種の循環がん細胞の形状を球と仮定すると、循環がん細胞の直径は22〜32μmであると算出されるとしている。また、血球細胞の直径を下表1に示す。したがって、細胞展開用基板の凹部の深さまたは凸部の高さは20〜30μm程度であることが好ましい。
<細胞展開手段>
細胞展開手段は、細胞展開用基板の細胞検出領域に単層の細胞層を形成する手段である。
図1〜図3に例示したように、細胞展開用基板11がマイクロチャンバー5または凹凸を有している場合、細胞展開手段は、2層以上の細胞層を単層化させるための液流を発生させる送液機能を有していることが望ましい。この理由は、マイクロチャンバー5または凹凸を有している細胞展開用基板11(または11a)に対して細胞懸濁液CLを展開すると、マイクロチャンバー5または凹部の中で細胞が積層されてしまうため、細胞用スクレ―パー14(図4参照)では積層された細胞の層を単層化することが困難であるからである。
図1の例では、送液系機構9が細胞展開手段に該当し、図2(A)〜(C)に示すように、この送液系機構9が細胞を単層化させるための液流を発生させて細胞の単層化を行うことができる送液機能を有していることが望ましい。
送液系機構9は、制御手段8に記憶された制御プログラムにより動作制御されて細胞を単層化させるための液流を発生させるものでもよく、これとは別に、細胞を単層化させるための液流を発生することができるように機械的に構成されたもの(ピペット等)であって、ユーザーによって操作されるものであってもよい。さらに、送液系機構9は、細胞を単層化させるための液流を発生することができれば、特開2012-000065号公報に開示されているように送液機構と供給槽と備えたものであってもよい。
(液流による細胞の単層化)
細胞を単層化させるための液流としては、少なくとも展開された細胞を移動させる液流であり、具体的には、流束(単位時間に流路断面単位面積当たりに流れる流体の量)が(1mm/分)〜(10000mm/分)であることが望ましい。なお、液流は、細胞懸濁液CL自体の液流でも、細胞懸濁液CLとは別の等張液(生理食塩水)の液流でもよい。
(細胞用スクレーパーによる単層化)
一方、図4に例示したように、細胞展開用基板が平板状である場合も、細胞同士が接着して積層されるため、細胞展開手段として細胞展開用スクレーパーを用いることにより積層された細胞の層を単層化することができる。このように単層化する方式は、ギャップコート方式と称され、図4の例で説明すれば、細胞懸濁液CLを細胞展開用基板11上に滴下した後、細胞展開用基板11の上面に対して一定のギャップ(塗布ギャップ)を開けたバー状の細胞用スクレーパー14(ブロッキング処理したもの)をスライド(図4においては白抜矢印方向にスライド)させる。
この塗布ギャップは、目的細胞(例;CTC)の最大径(CTCの例では22〜32μm)の1〜3倍程度(CTCの例では20〜100μm程度)であることが好ましい。また、塗布ギャップを目的細胞の平均粒子径〜その90%に設定してもよい。また、細胞用スクレーパー14は、細胞展開用基板11の表面に沿って(典型的には水平方向に)往復移動可能に構成されている。
(ワイヤーバーによる単層化)
単層の細胞層を形成する別の方法としては、ワイヤーバー方式による方法が挙げられる。この方法は、例えば、目的細胞の最大粒子径〜最大粒子径の2倍程度の太さのワイヤ(例;目的細胞がCTCである場合、CTCの最大粒子径22〜32μmの1倍〜2倍、具体的には32〜65μmのワイヤ(例;0.05号または0.08号のナイロン繊維等))を、例えばガラス製の丸棒部分を有する細胞用スクレーパーに巻き付けてこれをブロッキング処理した後、細胞展開用基板11bの上面に接触させた状態でスライドさせて展開された積層の細胞を単層化させる方法である。
上述した方式以外にも細胞の単層化ができる公知の方法を使用して積層された細胞を単層化してもよい。
<第1蛍光標識処理手段>
第1蛍光標識処理手段は、細胞懸濁液に含まれる細胞群、または細胞展開用基板の表面に展開された細胞群に対して、目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である第1蛍光標識体を接触させる処理を行う手段である。
第1蛍光標識処理手段は、図1の例では、ユーザーまたは制御手段8により動作制御され、細胞群に対して第1蛍光標識体を接触させる処理を行う送液系機構9が該当する。図1の例では、第1蛍光標識処理手段としての送液系機構9は、試薬収容器13に収容されている第1蛍光標識体FL1を含む溶液を吸引して、同じく試薬収容器13にある展開前の細胞懸濁液CLに混合してその中に含まれる細胞群に第1蛍光標識体FL1を接触させるか、または、既に細胞展開用基板11に展開された細胞群に対して第1蛍光標識体FL1を含む溶液を送液する。
〔第1蛍光標識体〕
第1蛍光標識体とは、検出対象である希少細胞等の目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である。この抗体としては、目的細胞に特異的に発現している抗原を特異的に認識する抗体であり、目的細胞別にターゲットとなる特異抗原が異なる(下記表2参照)。なお、第1標識蛍光体は等張液(PBS等)に溶解されていることが好ましい。
例えば、目的細胞がCTCの場合、抗サイトケラチン抗体が上記抗体として好適に用いられる。目的細胞がCECの場合、抗CD34抗体が上記抗体として好適に用いられる。目的細胞がCEPの場合には、抗CD34抗体、抗CD133抗体、抗VEGFR−2抗体が上記抗体として好適に用いられる(表2参照)。目的細胞に特異的に結合する抗体であれば、上記抗体は表2に例示されたものに限定されない。
(第1蛍光色素)
第1蛍光色素は、検出対象である目的細胞の標識に用いられる蛍光色素であり、その蛍光波長は、検出対象外の細胞(非目的細胞)の標識に用いられる後述の第2蛍光色素、または目的細胞と非目的細胞との双方の標識に用いられる第3A,第3B蛍光色素とは、蛍光波長が重複しないものである。
第1蛍光色素として使用可能なものは、特に限定されず有機蛍光色素または無機蛍光色素を使用することができる。有機蛍光色素としては、例えばAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750が挙げられる。
<第2蛍光標識処理手段>
第2蛍光標識処理手段は、細胞懸濁液に含まれる細胞群または細胞展開用基板の表面に展開された細胞群に対して、非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である第2蛍光標識体を接触させる処理を行う手段である。
第2蛍光標識処理手段は、図1の例では、ユーザーまたは制御手段8により動作制御され、細胞群に対して第2蛍光標識体を接触させる処理を行う送液系機構9が該当する。図1の例では、第2蛍光標識処理手段としての送液系機構9は、試薬収容器13に収容されている第2蛍光標識体FL2を含む溶液を吸引して、同じく試薬収容器13にある展開前の細胞懸濁液CLに混合してその中に含まれる細胞群に第2蛍光標識体FL2を接触させるか、または、既に細胞展開用基板11に展開された細胞群に対して第2蛍光標識体FL2を含む溶液を送液する。
〔第2蛍光標識体〕
第2蛍光標識体とは、検出対象外である白血球等の非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である。第1標識蛍光体は等張液(PBS等)に溶解されていることが好ましい。
上記抗体として使用可能な抗体は、非目的細胞に特異的に発現している抗原を特異的に認識する抗体であり、非目的細胞の種類に特異抗原が異なるので、使用可能な抗体もそれにより異なってくる(下記表3参照)。非目的細胞が白血球の場合、抗CD45抗体等の白血球を特異的に認識する抗体が上記抗体として好適に用いられる。非目的細胞が赤血球の場合、抗D抗体が上記抗体として好適に用いられる。この他にも、例えば、ベックマン・コールターのCD分類チャートに従って、目的に応じて適切に抗原を選択することができる(参照URL http://www.bc−cytometry.com/CD_Chart.html)。
(第2蛍光色素)
第2蛍光色素は、検出対象外の非目的細胞の標識に用いられる蛍光色素であり、その蛍光波長は、検出対象の細胞(非目的細胞)の標識に用いられる前述の第1蛍光色素、または目的細胞と非目的細胞との双方の標識に用いられる第3A蛍光色素,第3B蛍光色素とは、蛍光波長が重複しないものが好ましい。第2蛍光色素として、第1蛍光色素、第3A蛍光色素または第3B蛍光色素と蛍光波長が部分的に重複する蛍光色素を使用してもよいが、その場合には受光光学系に蛍光フィルターを設置して重複する蛍光波長の帯域をカットして受光することが好ましい。
第2蛍光色素として使用可能なものは、特に限定されず、例えば第1蛍光色素として列挙した有機蛍光色素の中から選択して使用することができる。また、非目的細胞という括りで、共通の蛍光色素を使用してもよい。
<第3蛍光標識処理手段>
第3蛍光標識処理手段は、細胞懸濁液に含まれる細胞群または細胞展開用基板の表面に展開された細胞群に対して、非目的細胞と目的細胞の両方に結合する蛍光色素(第3A蛍光色素)、または、非目的細胞と目的細胞の両方に結合する抗体と蛍光色素(第3B蛍光色素)との複合体である第3蛍光標識体を接触させる処理を行う手段である。
第3蛍光標識処理手段は、図1の例では、ユーザーまたは制御手段8により動作制御され、細胞群に対して第3A蛍光色素または第3B蛍光標識体を接触させる処理を行う送液系機構9が該当する。図1の例では、第3蛍光標識処理手段としての送液系機構9は、試薬収容器13に収容されている第3A蛍光色素FL3Aまたは第3B蛍光標識体FL3Bを含む溶液を吸引して、同じく試薬収容器13にある展開前の細胞懸濁液CLに混合してその中に含まれる細胞群に第3A蛍光色素FL3Aまたは第3B蛍光標識体FL3を接触させるか、または、既に細胞展開用基板11に展開された細胞群に対して第3A蛍光色素FL3Aまたは第3B蛍光標識体FL3を含む溶液を送液する。
〔第3A蛍光色素〕
第3A蛍光色素は、非目的細胞と目的細胞の両方に共通して存在する細胞器官に結合する蛍光色素である。
例えば、目的細胞がCTC等の希少細胞であり、非目的細胞が希少細胞以外の細胞(白血球等)である場合、上記第3A蛍光色素としては、染色された物体が核を有する細胞である(核を有さない細胞断片等ではない)ことを判別するために用いられる、非目的細胞よび目的細胞の細胞核に共通して結合するヘキスト系蛍光色素またはDAPIが好適に用いられる(下記表4参照)。
〔第3B蛍光標識体〕
第3蛍光標識体とは、目的細胞と非目的細胞との両方に共通して発現している抗原に結合する抗体と第3B蛍光色素との複合体である。第3B蛍光標識体は等張液(PBS等)に溶解されていることが好ましい。例えば、非目的細胞と目的細胞の両方に共通して発現している抗原に結合する抗体としては、測定される各種の蛍光の強度を標準化するための基準として蛍光染色される、細胞内で構成的に発現しているハウスキーピング遺伝子の産物(シトクロムc、アクチン等)に対する抗体が好適に用いられる(下記表4参照)。
(第3A,第3B蛍光色素)
第3A蛍光色素としてヘキスト系蛍光色素を使用する場合、例えば、Hoechst 33258、Hoechst 33342を使用することができる。第3B蛍光色素としては、目的細胞と非目的細胞の両方の標識に用いられる蛍光色素であり、その蛍光波長は、検出対象の細胞(非目的細胞)の標識に用いられる前述の第1蛍光色素、または目的細胞と非目的細胞との双方の標識に用いられる第3蛍光色素とは、蛍光波長が重複しないものが好ましい。第3B蛍光色素として、第1蛍光色素、第2蛍光色素または第3A蛍光色素と蛍光波長が部分的に重複する蛍光色素を使用してもよいが、その場合には受光光学系に蛍光フィルターを設置して重複する蛍光波長の帯域をカットして受光することが好ましい。
<照射光学系>
照射光学系は、前述した各蛍光色素を励起させる波長帯域の光を細胞展開用基板の細胞検出領域に対して照射することが可能なものである。ここで、照射光学系の光軸上に励起波長以外の光をカットする光学フィルターを設けてもよい。図1の例では、細胞回収デバイス10の上方に照射光学系6及び受光光学系7が設けられている(図1および図5参照)。図5に示したように、光照射装置(光源)15から細胞展開用デバイス10までの励起光の光路上には、照射レンズ群20、ダイクロイックミラー17および対物レンズ18が配置されている。光照射装置(光源)15から出射された励起用の光は、照射用レンズ群20、ダイクロイックミラー17、対物レンズ18を通って細胞展開用デバイス10内に展開された単層の細胞に向けて集光される。一方、細胞展開用デバイス10から撮像部21までの蛍光の光路上(図5の上下方向の一点鎖線)には、対物レンズ18、ダイクロイックミラー17、蛍光フィルター19、レンズ16が、細胞展開用デバイス10側からこの順に配置されている。細胞展開用デバイス10から放出された蛍光(第1〜第3Bの蛍光の少なくともいずれか)は、対物レンズ18、ダイクロイックミラー17、蛍光フィルター19を通過した後、レンズ16により光検出部としての撮像部21の受光面(CCD等の受光素子)に結像させられる。蛍光フィルター19には、例えば、励起光カットフィルターや減光フィルター等が用いられる。このうち励起光カットフィルターは、励起光や外光などを遮断してS/N比を向上させる。一方、減光フィルターは、蛍光強度を光検出部に合わせて調整する。なお、ダイクロイックミラー17で不要な波長を取り除いてもよい。
細胞展開用デバイス10は、設置された細胞回収デバイスホルダー26を移動させることでX軸方向,Y軸方向に移動させて位置調節することができる。また、Z軸方向に移動して位置調節する場合には、細胞展開用デバイス10を移動(図5において上下方向に移動)するか、または、不図示のアクチュエータにより対物レンズ18Aを、光軸上で前後に移動させて調整する。
<制御手段>
制御手段は、受光光学系の焦点を合わせる焦点位置調節手段と、合わせた焦点を基準にして目的細胞を探索する処理を行う目的細胞探索手段とを備え、任意に、後述の焦点位置補正手段を有している。ここで、制御手段は、プログラム自身、またはプログラムにより自動的に実行されるものであってもよい。
図1に示した例では、制御手段8の一部として受光光学系の焦点位置の調節を行うプログラムが記憶されており、このプログラム(の実行体)23が焦点位置調節手段に該当する。同様に、制御手段8の一部として目的細胞の探索を行う制御プログラムが記憶されており、この第2プログラム(の実行体)24が目的細胞探索手段に該当する。
(焦点位置調節手段)
焦点位置調節手段は、照射光学系により第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の波長光を前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射させて、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に焦点を合わせる処理を行う手段である。
図1および図5に示した例では、焦点位置調節手段としてのプログラム23は、受光光学系7にある蛍光フィルター19の交換等を行うことで受光光学系7を第2の蛍光を受光する状態にした後、不図示のアクチュエータ等を介して前述の位置調節を行い、これにより、第2の蛍光で細胞展開用基板11(または11a)上の細胞検出領域CDRに展開され単層化されている非目的細胞に焦点を合わせる処理を行う。
さらに、焦点位置調節手段が以下の手段、すなわち、前記細胞検出領域の異なる位置における2つ以上の視野のそれぞれで、非目的細胞に焦点を合わせて焦点距離の情報を得た後、これら焦点距離が相違する場合、その差分から、前記2つ以上の視野以外の他の視野における焦点距離の変化を表す近似式を求め、当該他の視野においては、それぞれの焦点距離を前記近似式から算出して、この算出された焦点距離に前記受光光学系の焦点距離を設定する手段(焦点距離情報補完手段)を有していてもよい。
図1の例では、制御手段8の一部として、所定の視野についての焦点距離情報を補完するプログラムが記憶されており、このプログラム25が焦点距離情報補完手段に該当する。詳細は後記の焦点位置調節工程で詳述するが、図6に示す例で説明すれば、先ず、焦点位置調節手段が視野1で非目的細胞に焦点を合わせて焦点Aの情報を得た後、視野1以外の視野(例えば動作ロスの少なくするために隣接する視野2)において同様に非目的細胞を検出可能か調べる処理を行う。細胞展開用基板11の細胞検出領域(図6の部分を含む)が製造段階の寸法誤差または公差により水平面に対して傾斜している場合には、焦点距離が視野1〜4間で異なるために視野1以外の視野(図6では視野2〜4)では焦点距離Aで非目的細胞が全く検出されない結果となる。このことは、視野1以外の他の視野2〜4も同様である。その場合、焦点位置調節手段が、例えば視野2,4で焦点距離B,Dを得て、視野1,2,4の焦点情報(焦点距離A,B,およびD)から焦点距離を示す近似式を作成し、この近似式に基づいて残りの視野(図6の例では視野2,4の間にある視野3)における非目的細胞の焦点距離Cの情報を算出し、各視野での適正な焦点位置を設定する。この場合、後述する目的細胞探索手段が、視野別に算出・設定された適正な焦点位置の情報を参照し、目的細胞探索手段が各視野の適正な焦点位置を基準にして各視野について目的細胞を探索することが望ましい。
なお、非目的細胞の検出の有無を確認処理する視野の順序は限定されず、ユーザーが細胞展開用基板の全体を網羅するように焦点を合わせる視野の順序を設定して(例えば、図10に示したように、細胞展開用基板の細胞検出領域の全体を網羅するように視野のポイントA→B→C、C→I→Gを設定して)、近似式を作成するための焦点情報を得ることとしてもよい。細胞展開用基板の全体を網羅するように確認する視野の順序を設定すれば、細胞展開用基板が部分的に歪んでいてもその歪みが発見されやすくなる。また、細胞展開用基板が歪んでいる等の場合に、上記近似式を作成するための焦点情報は2以上であればよく、3つの焦点情報に基づく場合に限られない。また、焦点情報を得る視野は、同一の視野位置でさえなければ、撮像漏れのないよう視野の一部が互いに重複していてもよい。
近似式から算出した焦点情報を設定する視野は、焦点距離を調べた視野間に存在することが望ましく、設定する視野の数は2以上であってもよい。この他にも、例えば、細胞展開用基板が樹脂製であり、細胞検出領域が曲面状に歪んでいる場合等、多次曲線等の他の近似線により近似できる場合には、その近似式に基づいて上記同様に焦点距離を算出して設定してもよい。
(目的細胞探索手段)
目的細胞探索手段は、前記照射光学系により第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞を照射しつつ、前記焦点位置調節手段で合わせた焦点の位置を基準として、受光光学系で第1の蛍光を発している目的細胞を探索する処理を行う手段である。ここで、「基準とする」とは、焦点位置調節手段で得られた焦点位置をそのまま保持して用いてもよいし、焦点位置補正手段により補正された後の焦点位置を用いてもよいが、少なくとも目的細胞に焦点を合わせる(合わせ直す)ことで設定される焦点位置は用いない、ということを意味する。
「目的細胞を探索する処理」の例としては、受光光学系(例;顕微鏡)で得られる情報をユーザーに対してモニター表示してもよいし、ユーザーに顕微鏡で目視観察するよう動作を促すこととしてもよいし、全視野について(連続的にまたは一体的に)画像撮影処理してもよい。さらに、撮像した画像中の各ピクセルについて、目的細胞を撮像した場合に得られる基準のピクセル情報(輝度、色彩)と比較演算して目的細胞を検出するように処理をしてもよい。「目的細胞を探索する処理」は、複数の視野を処理する場合、1視野ごとに連続して行われることが好ましい。
目的細胞探索手段としての実行されているプログラム24が、受光光学系7の焦点を非目的細胞に合わせた状態で、第1の蛍光色素の励起光を照射して細胞展開用基板上を走査していくとともに、第1の蛍光を発している目的細胞を探索する処理を行う。ここで、例えば目的細胞が検出された場合には、目的細胞探索手段は、その旨を表示部に表示する処理を行うこととしてもよい。
目的細胞探索手段は、さらに、前記焦点位置調節手段により受光光学系7の焦点を合わせた直後に、受光光学系7を第2の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第2細胞画像取得手段、および/または、受光光学系7を第3Aもしくは第3Bの蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第3細胞画像取得手段と、受光光学系7を第1の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第1細胞画像取得手段と、前記第1細胞画像取得手段と前記第2細胞画像取得手段で撮像した各画像を重ね合わせて合成する処理を行う画像形成手段とを有していてもよい。
図1に示した例の場合、目的細胞探索手段としてのプログラム24は、蛍光フィルター19を交換して、受光光学系7を第2の蛍光を受光可能な状態にした上で、細胞展開用基板11上に第2の蛍光色素の励起光を照射するとともに、前述したように細胞展開用基板11上の細胞検出領域CDRを撮像する処理を行う第2画像取得手段、さらに、上記同様に、受光光学系7を第1の蛍光を受光可能な状態とし、第1の蛍光色素の励起光により前述と同様に細胞検出領域の撮像を行う第1細胞画像取得手段、さらに各撮像で得られた画像を合成する画像形成手段を有する。ここでの合成とは、例えば目的細胞と非目的細胞とに由来する蛍光輝点が一つの画像内に同時に表示されるように細胞画像を合成する処理を行う。なお、第2の蛍光色素の代わりに第3Aの蛍光色素、第3Bの蛍光色素を用いる場合も同様である。
(焦点位置補正手段)
焦点位置補正手段は、受光光学系に設けられている光学フィルターを通過した後の光が、前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光から前記第1の蛍光に変化することにより生じる焦点位置のズレ量を算出し、前記焦点位置調節手段で合わせた焦点の距離を補正する手段である。
同じ受光光学系であっても受光する蛍光の波長が変わると屈折率が変化するため、波長ごとに焦点位置が変わる色収差が生じる。そのため、受光光学系で受光している光が、目的細胞の標識に用いられる第1蛍光色素から発する第1の蛍光、非目的細胞の標識に用いられる第2蛍光色素から発する第2の蛍光、目的細胞および非目的細胞の標識に用いられる第3蛍光色素から発する第3Aの蛍光または第3Bの蛍光の間で変化して受光する蛍光の波長が変化すると、非目的細胞に合わされている受光光学系の焦点の位置がズレてしまう。したがって、焦点位置補正手段は、この焦点位置のズレ量を公知の焦点距離の算出式に基づき算出し、次に使用する蛍光の波長に合わせてあらかじめ上記焦点位置のズレ量を解消するように焦点位置を調節する処理を行う。この調節する処理としては、細胞展開用基板とともに対象物をズレた後の焦点位置に移動させる処理か、受光光学系のレンズの位置を移動させて受光光学系の焦点位置を非目的細胞に合わせる処理を行う。
《目的細胞の検出方法》
本発明に係る目的細胞の検出方法は、以下の、細胞展開工程と、第1蛍光標識処理工程と、蛍光標識工程(第2蛍光標識処理工程および/または第3蛍光標識処理工)と、を順不同で含む目的細胞の検出方法であって、焦点位置調節工程と、目的細胞探索工程とを含むことを特徴としている(図7参照)。また、任意に後述する焦点位置補正工程を含んでいてもよい。
以下、本発明に係る目的細胞の検出方法を前述の目的細胞検出システム100により行う例を含めて工程別に説明する。
〔細胞展開工程〕
細胞展開工程は、検出しようとしている目的細胞が非目的細胞より少ない数で含まれる細胞懸濁液を、少なくとも細胞検出領域は細胞展開用基板の表面に展開し、該細胞検出領域に単層の細胞層を形成する工程であり、蛍光標識工程の第1蛍光標識処理工程、第2蛍光標識処理工程または第3蛍光標識処理工程と順不同で行われる(図7参照)。
図8(A),(B)に示す細胞展開用工程の2つの具体例を示す。
(細胞懸濁液の送液・展開:ステップ1A−1)
ステップ1A−1では、制御手段8からの動作命令またはユーザーの操作により送液系機構9(図1参照)が操作されて、試薬収容器13の一の容器に格納されている細胞懸濁液CLを吸い上げた後、細胞展開用基板11(または11a)に細胞懸濁液CLを送液して細胞検出領域CDR内に細胞懸濁液CLを展開する処理を行う。ここで細胞検出領域CDRに細胞群が収まらない場合には、任意に、等張液(PBS等)を後記の所定の送液により、細胞検出領域CDR内に細胞を移動させる処理を行う。この処理は、細胞展開用基板の細胞検出領域CDRの表面が、細胞を格納するためのマイクロチャンバー5または凹凸を有している場合には、マイクロチャンバー5内または凹部内へ細胞を移動させる処理としてもよい。
上記所定の送液としては、細胞展開用基板11へ等張液を間欠的に送液して細胞を細胞検出領域内に移動させる方法(例;1〜50μLの送液後、5〜15秒の送液停止を1セットとしてこのセットを繰り返す送液方法)、送液系機構の送液方向を所定間隔で反転して細胞を細胞検出領域内に移動させる方法、細胞展開用基板11を物理的に(図1において)右下がりまたは左下がりに傾斜させて細胞を細胞検出領域内に移動させる方法、細胞展開用基板11上の細胞懸濁液CLの一部を例えば下流から上流(または下流から上流)に還流させて細胞を細胞検出領域内に移動させる方法(例;流出口3からリザーバー4に溜まった、細胞が存在しない上澄液を流入口2へ一部還流させて細胞を細胞検出領域内に移動させる方法)、細胞展開用基板11に遠心力を与えて細胞を細胞検出領域内に移動させる方法、さらにはこれらを組み合わせた方法、等が挙げられる。なお、所定の送液における送液量、停止時間等の各種送液条件は、細胞の位置や移動量などを考慮して任意に変更することができる。
(細胞懸濁液の送液・展開:ステップ1A−1(図8(B))
ステップ1B−1では、制御手段8からの動作命令またはユーザーの操作により送液系機構9(図1参照)が操作されて、試薬収容器13の一の容器に格納されている細胞懸濁液CLを吸い上げた後、細胞展開用基板11bの上方から細胞懸濁液CLを滴下して細胞検出領域CDR内に細胞懸濁液CLを展開する処理を行う。
(液流による細胞の単層化;ステップ1A−2(図8(A)))
ステップ1A−2では、図2(A)〜(C)に示すように、細胞展開手段またはユーザーが送液系機構の送液を制御し、細胞を単層化させるための液流を発生させて細胞を単層化する処理を行う。ユーザー自身が送液する場合、送液系機構(この場合はピペット等)による送液の程度が機械的に制御されて、展開された細胞層を単層化させるための液流が発生するように構成されていてもよい。液流により単層化させるのは、細胞展開用基板11の細胞検出領域の表面が、細胞を格納するためのマイクロチャンバー5または凹凸を有している場合に、細胞用スクレーパー14等で凹部内またはマイクロチャンバー5内で積層された細胞を単層化することは困難であるためである。
(細胞用スクレーパーによる単層化;ステップ1B−2(図8(B)))
ステップ1B−2では、細胞用スクレーパー14で細胞の単層化を行う。細胞展開手段が、図4に示すように細胞用スクレーパー14の動作を制御して、細胞展開用基板11の表面に沿って細胞用スクレーパー14を平行移動させることにより、細胞展開用基板11の表面に展開された2層以上の細胞層を単層化させる処理を行う。
(細胞の単層化の確認;ステップ1A−3,1B−3(図8(A)、(B))
その後、ステップ1A−3,1B−3において、細胞が単層化されたか否かの確認を行う。細胞の単層化がなされておりYesの場合には次ステップに遷移し、細胞が単層化されていないNoの場合にはステップ1A−2、ステップ1B−2に戻り、再び細胞の単層化処理が行われる。細胞が単層化されていることは、例えば、明視野での観察または蛍光観察において、非目的細胞の重なりが実質的に見られない(許容される水準の重なりに留まる)ことによって確認することができる。この確認は、プログラムにより上記観察により得られるリアルタイム画像において非目的細胞の重なりが実質的に見られるか否かを自動判別する処理をすることとしてもよい。
(蛍光標識処理の確認;ステップ1A−4,1B−4(図8(A),(B))
ステップ1A−4,1B−4では、蛍光体標識処理が行われているか否かが確認され、蛍光体標識処理が行われておりYesの場合は、細胞展開工程を行ったことを記憶手段に記録等して、焦点位置調節工程に処理が遷移し、蛍光体標識処理が行われておらずNoの場合には蛍光標識処理工程に遷移する。
〔蛍光標識処理工程〕
蛍光標識処理工程は、(1)目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である第1蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液CL中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第1蛍光標識処理工程と、(2)前記非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である第2蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液CL中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第2蛍光標識処理工程と、(3)前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する第3A蛍光色素である、もしくは前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する抗体と第3B蛍光色素との複合体である、第3蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液CL中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第3蛍光標識処理工程とから少なくとも構成される。なお、第1〜第3B蛍光標識体の詳細については前述した通りであるため、その説明を省略する。
図9に蛍光標識処理工程の一例を示す。
(細胞懸濁液の展開の確認;ステップ2A−1(図9))
この図9の例では、先ず、ステップ2A−1において、細胞懸濁液CLが既に展開されているか否かを判断される。細胞懸濁液CLが展開されておりYesの場合はステップ2A−2に進み、細胞懸濁液CLが展開されておらずNoの場合はステップ2A−5に進む。
(遮光処理;ステップ2A−2)
ステップ2A−2では、蛍光標識処理が行われる細胞展開用基板11(または11a,11b)を含む細胞回収デバイス10の全体を遮光する遮光処理がなされる。例えば、制御手段8により、細胞展開用基板11の全体を覆う遮光ボックスの開口部を閉じる動作がなされる。
(蛍光標識体混合液の送液処理;ステップ2A−3)
ステップ2A−3では、目的細胞に特異的に結合する第1蛍光色素標識体(FL1)、非目的細胞のみに特異的に結合する第2蛍光標識体(FL2)及び/又は目的細胞と非目的細胞の両方に結合する核染色試薬で例示される第3A蛍光色素(FL3A)もしくは第3B蛍光標識体(FL3B)を含む混合液を遮光した細胞展開用基板11に送液する。ここで、各蛍光標識体等を混合液とせずに個別に順不同で送液してもよい(第1〜第3標識処理工程を順不同で個別に行ってもよい)が、蛍光色素の褪色を極力低減させる観点から、混合液として同時に送液することが好ましい。
(結合反応;ステップ2A−4)
最後にステップ2A−4にて結合反応が行われ、この結合反応により第1蛍光標識体を目的細胞に結合させるとともに、第2蛍光標識体または第3A蛍光色素もしくは第3B蛍光色素標識体を非目的細胞等に結合させる。結合反応としては、例えば、室温暗所で20分〜40分程度の反応を行う例が挙げられる。その後、焦点位置調節工程に遷移する。
(蛍光標識体の送液処理;ステップ2A−5)
一方、細胞懸濁液CLが細胞展開用基板11上に展開されていない場合には、ステップ2A−5において、第1蛍光色素標識体と、第2蛍光標識体,第3A色素及び/又は第3B蛍光標識体とを遮光されている細胞懸濁液CLに混合し、次ステップに移動する。
(結合反応;ステップ2A−6)
ステップ2A−6では、ステップ2A−5の混合を行った状態のまま、所定温度および時間において結合反応(例;室温暗所で20分〜40分程度)を行った後、細胞展開工程に遷移する。
〔焦点位置調節工程〕
焦点位置調節工程は、第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射し、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に受光光学系の焦点を合わせる処理を行う工程である。
焦点位置調節工程は、以下の工程、すなわち、前記細胞検出領域の異なる位置における2つ以上の視野のそれぞれで、非目的細胞に焦点を合わせて各視野の焦点距離の情報を得ることによって行い、これら焦点距離が相違する場合、その差分から、前記2つ以上の視野以外の他の視野における焦点距離の変化を表す近似式を求め、当該他の視野においては、それぞれの焦点距離を前記近似式から算出して、この算出された焦点距離に受光光学系の焦点距離を設定する工程を含んでいてもよい。
例えば図10に示すように、細胞検出領域を区画して得られる視野1〜100が存在し、視野のスポットA〜Cの焦点情報が50300μm、50600μm、51200μmである場合に、これら焦点情報から線形近似式を作成し、該近似式から視野A〜C間にある視野(A−B間のマス目とB−C間のマス目)について焦点情報を算出する例が挙げられる。同様に視野C〜E、E〜G、A〜G・・・等の焦点情報から線形近似式を作成し、同様に焦点情報を算出して取得することができる。細胞展開用基板11の歪みが一様でない場合もあるため、図10に示した細胞検出領域全体を網羅するように(例えば視野のスポットA〜C、C〜E、E〜G、G〜C、H〜Dの各セットでそれぞれ近似式を作成してスポット間に存在する視野について近似式から焦点距離を算出して焦点距離を設定というように)、あらかじめ視野別に焦点距離を設定しておくことが望ましい。ここで、近似式から算出して焦点距離を設定した視野について、非目的細胞が検出されるか否かを確認する工程を含んでもよい。
図11に焦点位置調節工程の一例を示す。以下、図11を参照しつつ、細胞展開用基板11に歪みがなく、細胞検出領域全域で非目的細胞が確認できる基板を焦点位置調節工程に供した場合の流れについて説明する。
なお、非目的細胞の検出の有無を検査する視野数は全部で「5」であり、リスト配列には、第1配列として視野A〜C、第2配列として視野C〜Gとその座標(x、y)が含まれ(図10参照)、カウンタ(m)は初期化された状態で「0」であるとする。
(リスト配列の情報の読み込み;ステップ3A−1)
先ず、ステップ3A−1では、目的細胞検出システム100が、非目的細胞に焦点を合せることが可能か否かを調べる視野の情報をリスト(下記表5参照)として読み込む。
なお、処理の順番は配列の若い要素から行われるものとする。
(合焦点処理;ステップ3A−2)
次に、ステップ3A−2では、読み込んだ情報から照射光学系と受光光学系の走査する最初の視野が選択され、走査が当該視野に移動した後、第2蛍光色素及び/又は第3A蛍光色素もしくは第3B蛍光色素の励起光で細胞群を照射した状態で非目的細胞に焦点を合わせる処理(合焦点処理)を行う。図11の具体例では、視野A(0,0)が選択され、視野A(0,0)で合焦点処理が行われる。
(焦点情報、視野nの情報の取得;ステップ3A−3)
次に、ステップ3A−3では、当該視野における焦点情報、視野情報を取得する。具体例では、視野Aの非目的細胞の焦点距離(焦点距離A)=50000μmを取得する。
(使用する焦点距離の設定;ステップ3A−4)
次に、ステップ3A−4では、他の視野で使用する焦点距離として、ステップ3A−3で得られた焦点距離を設定する。具体例では、使用する焦点距離=焦点距離Aに設定する。さらに、一時的なカウンタ(m)を1増加する。
(近似式作成の要否判断;ステップ3A−5)
次に、カウンタ(m)が配列要素数以上であるか確認し、近似式が作成されているか否かを確認する。具体例では、視野配列[0][ ]の配列要素数が3であり、カウンタ(m)=1であるので条件を満たさずNoとなって次ステップに移動する。
(次の所定視野へ移動;ステップ3A−6)
ステップ3A−6では、測定すべき次の視野の情報を得て各光学系の走査が移動する。具体例では、視野B(0,2)が選択され、照射光学系と受光光学系の走査が視野B(0,2)に移動する。
(別視野での非目的細胞の検出;ステップ3A−7)
次に、ステップ3A−7では、上記「使用する焦点距離」にて非目的細胞を検出できるか判断する。具体例では、視野(0,2)において、視野(0,0)で設定した焦点距離Aにて非目的細胞が検出されるか否か判断される。ここで、細胞展開用基板11には歪みがないため焦点距離Aにて非目的細胞が検出されYesと判断されて、次のステップに移動する。
(走査状況の確認;ステップ3A−8)
ステップ3A−8では、配列内の全ての視野を走査したか判断される。具体例では、視野配列[0][]に含まれる視野(視野A〜C)のうち、2つの視野(視野A(0,0)と視野B(0,2))しか調べていないため、Noと判断されて前のステップ3A−6へ戻ることになる。
(次の所定視野へ移動〜別視野での非目的細胞の検出;ステップ3A−6〜7)
そして、調べていない視野C(0,4)へ移動して視野C(0,4)において非目的細胞が検出されるか否かが確認される。上述したように細胞展開用基板11には歪みがないので視野C(0,4)でも非目的細胞が確認される。
(走査状況の確認;ステップ3A−8)
ステップ3A−8で、リスト(上記表のリスト)内の配列の全てが調べられたか判断され、調べていなければ、元に戻り次の配列も同様に処理する。具体例では、視野配列[0][]の要素の全て(視野A〜C)について非目的細胞に焦点を合わせられるか確認されたので、次の目的細胞探索工程に移行することになる。したがって、細胞展開用基板に歪みがない場合には、近似式が作成されずに次の目的細胞探索工程に遷移することになる。
以下、図11を参照しつつ、上記例と異なり細胞展開用基板11に歪みがある基板を焦点位置調節工程に供した場合の流れについて説明する(図11)。なお、カウンタ(m)等の初期条件は前述の場合と同一であるとする。
(配列のリスト情報の読み込み;ステップ3A−1)
先ず、ステップ3A−1では、目的細胞の焦点合わせが可能か否かを調べる視野の情報を含む視野配列(上記表5参照)が読みこまれる。
(合焦点処理;ステップ3A−2)
次に、ステップ3A−2では、読み込んだ情報から照射光学系と受光光学系の走査する最初の視野が選択され、走査が当該視野に移動した後、第2蛍光色素及び/又は第3A蛍光色素もしくは第3B蛍光色素の励起光で細胞群を照射した状態で非目的細胞に焦点を合わせる処理(合焦点処理)を行う。図11の具体例では、視野A(0,0)が選択され、視野A(0,0)で合焦点処理が行われる。
(焦点情報、視野nの情報の取得;ステップ3A−3)
次に、当該視野Aにおける焦点情報、視野情報を取得する。具体例では、視野Aの非目的細胞の焦点距離を取得し、視野Aでの焦点距離(焦点距離A)50000μmを取得する。
(使用する焦点距離の設定;ステップ3A−4)
次に、ステップ3A−4では、他の視野で使用する焦点距離として、ステップ3A−3で得られた焦点距離を設定する。具体例では、使用する焦点距離=焦点距離Aに設定する。さらに、一時的なカウンタ(m)を1増加する。
(近似式作成の要否判断;ステップ3A−5)
次に、mが配列要素数以上であるか判断し、近似式が作成されているか否かを確認する。ここでは、視野配列[0][ ]の配列要素数が3であり、m=1であるので条件を満たさずNoとなって次ステップに移動する。
(次の所定視野へ移動;ステップ3A−6)
ステップ3A−6では、測定すべき次の視野の情報を得て各光学系の走査が移動する。具体例では、視野B(0,2)が選択され、照射光学系と受光光学系の走査が視野B(0,2)に移動する。
(別視野での非目的細胞の検出;ステップ3A−7)
次に、上記「使用する焦点距離」にて非目的細胞を検出できるか判断する。具体例では、視野B(0,2)において、視野A(0,0)で設定した焦点距離Aにて非目的細胞を検出するか否か判断される。具体例では、細胞展開用基板11には歪みがあるため焦点距離Aで非目的細胞が検出されず、Noと判断されて、ステップ3A−2の合焦点処理に戻る。
(合焦点処理;ステップ3A−2)
次に、ステップ3A−2では、ステップ3A−7で非目的細胞が検出されなかった当該視野B(0,2)において非目的細胞に焦点が合わせる処理がなされる。
(焦点情報、視野nの情報の取得;ステップ3A−3)
次に、ステップ3A−3では、当該視野における焦点情報、視野情報を取得する。具体例では、視野Bの非目的細胞の焦点距離(焦点距離B)=50400μmを取得する。
(使用する焦点距離の設定;ステップ3A−4)
次に、ステップ3A−4では、他の視野で使用する焦点距離として、ステップ3A−3で得られた焦点距離Bを設定する。具体例では、使用する焦点距離=焦点距離Bに設定する。さらに、一時的なカウンタ(m)を1増加し、m=2となる。
(近似式作成の要否判断;ステップ3A−5)
次に、mが配列要素数以上であるか判断し、近似式が作成されているか否かを確認する。ここでは、視野配列[0][ ]の配列要素数が3であり、m=2であるので条件を満たさずNoとなって次ステップに移動する。
(次の所定視野へ移動;ステップ3A−6)
ステップ3A−6では、測定すべき次の視野の情報を得て各光学系の走査が移動する。具体例では、視野C(0,4)が選択され、照射光学系と受光光学系の走査が視野C(0,4)に移動する。
(別視野での非目的細胞の検出;ステップ3A−7)
次に、上記「使用する焦点距離」にて非目的細胞を検出できるか判断する。具体例では、視野C(0,4)において、視野B(0,2)で設定した焦点距離Bにて非目的細胞を検出するか否か判断される。具体例では、細胞展開用基板11には歪みがあるため焦点距離Bで非目的細胞が検出されず、Noと判断されて、ステップ3A−2の合焦点処理に戻る。
(合焦点処理;ステップ3A−2)
次に、ステップ3A−2では、ステップ3A−7で非目的細胞が検出されなかった当該視野C(0,4)において非目的細胞に焦点が合わせる処理がなされる。
(焦点情報、視野nの情報の取得;ステップ3A−3)
次に、ステップ3A−3では、当該視野における焦点情報、視野情報を取得する。具体例では、視野Cの非目的細胞の焦点距離(焦点距離C)=50800μmを取得する。
(使用する焦点距離の設定;ステップ3A−4)
次に、ステップ3A−4では、他の視野で使用する焦点距離として、ステップ3A−3で得られた焦点距離を設定する。具体例では、使用する焦点距離=焦点距離Cに設定する。さらに、一時的なカウンタ(m)を1増加し、m=3となる。
(近似式作成の要否判断;ステップ3A−5)
次に、ステップ3A−5では、mが配列要素以上であるか判断し、近似式が作成されているか否かを確認する。ここでは、視野配列[0][ ]の配列要素が3であり、m=3であるので条件を満たしYesと判断されて、次ステップ3A−10に移動する。
(近似式作成、焦点距離の算出、設定;ステップ3A−10〜11)
ステップ3A−10では、収集した複数の点の焦点距離の情報(不図示)から線形近似式を作成し、焦点距離を調べた視野間にある別の視野についての焦点距離をそれぞれ算出する。具体例では、収集した視野A〜Cの焦点距離の情報(50000μm,50400μm、50800μm)から線形近似式:焦点距離f(y)=200y+ 50000を作成し、焦点距離を調べた視野間にある別の視野(視野(0,1)、視野(0,3))についての焦点距離(50200μm、50600μm)をそれぞれ設定する。そして、ステップ3A−11にて、算出した焦点距離(50200μm、50600μm)がそれぞれ各視野(0,1)、視野(0,3)に設定される。
次に、上記表5のリスト内のすべての配列を走査したか判断される。視野配列[1][ ]については調べていないため、その配列の各視野について同様に調べられ、(場合によっては近似式が作成されて)、その後、目的細胞探索工程に移行する。
〔焦点位置補正工程〕
焦点位置補正工程は、受光光学系に設けられている蛍光フィルターを通過した後の光が、前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光から前記第1の蛍光に変化することにより生じる焦点位置のズレ量を算出し、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を補正する工程であり、前記焦点位置調節工程と後記目的細胞探索工程との間に必要に応じて行われる。
レンズ1枚の光学系の場合、焦点距離は、式1/f=(nc−1)(1/r1−1/r2)で表される。ここで、r1はレンズの一方の面の曲率、r2はレンズの他方の面の曲率、ncはレンズの屈折率である。さらに、合成焦点距離は、1/f合成=1/f1+1/f2−d/f12で表される。ここで、dは1枚目のレンズの第2主点と2枚目のレンズの第1主点の間の距離である。
受光光学系の接眼レンズと対物レンズの各レンズの曲率は一定であるので、接眼レンズと対物レンズとの主点間距離を変えずに、受光光学系を通過する蛍光の波長のみを変えた場合には、その受光光学系の焦点位置が変わる。例えば、レンズを通過する光が赤系の蛍光色素から青系の蛍光色素に変わった場合、青系の蛍光の方が強く屈折するため、レンズの屈折率が変わり受光光学系の焦点距離が短くなる。レンズが複数枚となった場合も同様に色収差が発生する。そのため、焦点を合わせるには、光軸上にある観察対象の位置を変更して、変化してしまった後の受光光学系の焦点位置に移動させるか、焦点位置の変化量を相殺するように受光光学系のレンズの主点間距離を変更する必要がある。
本発明においては、焦点距離調節工程から目的細胞探索工程に遷移するときに、受光光学系で受光する光が、第2の蛍光(または第3Aの蛍光もしくは第3Bの蛍光)から第1の蛍光に切り替わるので、上述したように受光光学系の焦点距離が変わり(増減してしまい)焦点位置がズレてしまう。そのため、第1の蛍光で焦点を合わせるためには、光軸上にある観察対象(細胞群)の位置を変更して、変化してしまった受光光学系の焦点位置まで移動させるか、焦点距離の変化分(増分、減分)を相殺するように受光光学系のレンズの主点間距離を変更する処理をする必要がある。そのため、これらのうち、いずれかの処理を両工程の間に行っておくことで、受光光学系で受光する蛍光が上述のように切り替ったとしても、目的細胞を検出可能な状態(目的細胞に焦点が合った状態)が確保されることになる。
〔目的細胞探索工程〕
目的細胞探索工程は、第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射しつつ、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を基準として、第1の蛍光を発している目的細胞を探索する工程である。
目的細胞探索工程として、例えば、受光光学系7を第1の蛍光を受光可能な状態とし、焦点位置調整工程で設定した焦点位置を基準として(目的細胞を検出可能な状態(目的細胞に焦点が合った状態)で)、細胞検出領域の各視野について目的細胞を探索して目的細胞の輝点を検出して目的細胞の数を計測するか、または、細胞検出領域全域または各視野について後述するように各細胞画像(第1細胞画像等)を取得して画像の各ピクセルについて第1の蛍光の色彩であるか否かを判断することにより、目的細胞の存在の有無について判断し、目的細胞の数を計測する例が挙げられる。
(細胞画像取得工程)
細胞画像を取得する後者の場合、目的細胞探索工程は、前記焦点位置調節工程の直後に、下記の細胞画像取得工程(少なくとも第1細胞画像取得工程)と画像形成工程等とをさらに含む。
図12に細胞画像取得工程の一例を示す。この細胞画像取得工程は、下記の第1細胞画像取得工程および/または、第2細胞画像取得工程もしくは第3細胞画像取得工程で構成されている。
第2細胞画像取得工程(ステップ4A−1)は、受光光学系7を第2の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する工程であり、第2蛍光標識処理工程が行われた場合に実行される。ここで、細胞展開用基板11(または11a)に歪みがあること等の事情により、視野ごとに焦点距離が異なり、前述の焦点位置調節工程で視野ごとに焦点距離が設定されている場合には、その視野、焦点距離ごとに第2細胞画像が取得される。
第3細胞画像取得工程(ステップ4A−2)は、受光光学系7を第3A及び/又は第3Bの蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する工程であり、第3蛍光標識処理工程が行われた場合に実行される。ここで、細胞展開用基板11に歪みがあること等の事情により、視野ごとに焦点距離が異なり、前述の焦点位置調節工程で視野ごとに焦点距離が設定されている場合には、同様に、その視野、焦点距離ごとに第3細胞画像が取得される。
第1細胞画像取得工程は、受光光学系7を第1の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する工程である。この工程では、前述したように、焦点位置調節工程にて非目的細胞に合わせた焦点位置で細胞画像の取得がなされる。ここで、細胞展開用基板11に歪みがあること等の事情により、視野ごとに焦点距離が異なり、前述の焦点位置調節工程で視野ごとに焦点距離が設定されている場合には、設定されている各焦点距離にて第1細胞画像が取得される。
画像形成工程は、第1細胞画像取得工程、第2細胞画像取得工程および/または第3細胞画像取得工程で撮像した各画像を重ね合わせて合成する処理をする工程である。
画像合成は、画像を重ねる際に目印となる基点(例えば、細胞展開用基板11の細胞検出領域内に設けられたマークであり、使用する可能性がある第1〜3B蛍光色素を含み、各種励起光で励起されたときに特定の形状(例えば星型)で発光するマーク等)を一致させた上で、第1細胞画像と第2、第3細胞画像とをピクセル単位で比較して、例えば比較したピクセルが同じ明るさのピクセル(例;背景として共通する黒い部分等)である場合は、両ピクセルの輝度平均を取ってその比較している位置の一のピクセルを形成する。また、比較したピクセルのうち、一方のピクセルが他方のピクセルよりも明らかに明るい場合については、明るいピクセルでもってその一のピクセル部分を形成する処理がなされる、といった例が考えられる。
〔解析工程〕
解析工程は、画像合成して得られる細胞画像、第1細胞画像、または第1蛍光で受光しているリアルタイム画像について、目的細胞を検出する工程である。具体的には、例えば、第1の蛍光を撮像したときに得られる目的細胞の色彩、輝度等、目的細胞を検出する際に判断基準となるピクセル情報を用いて、ピクセルごとに第1の蛍光のピクセルが存在するか調べ、目的細胞を検出する工程とする例が挙げられる。ここで、検出されたピクセルが隣接して連続している場合には、連続するピクセルにより構成される1つの島が1個の目的細胞として検出されることになる。
以下、本発明に係る目的細胞の検出方法および目的細胞検出システムによる作用・効果について図面を参照しながら説明する。
(1)前述した細胞展開工程、第1蛍光標識処理工程および第2(又は第3)蛍光標識処理工程を順不同で含む目的細胞の検出方法であって、第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射し、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に受光光学系7の焦点を合わせる処理を行う焦点位置調節工程と、第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射しつつ、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を基準として、第1の蛍光を発している目的細胞を探索する目的細胞探索工程と、を含む。細胞展開用基板11上では目的細胞と非目的細胞とがほぼ同じ高さ位置にあるため、非目的細胞に事前に焦点を合わせておくことにより、目的細胞に焦点を合わせなくとも目的細胞を検出可能な焦点位置の受光光学系の状態が得られる。そのため、目的細胞を標識している第1蛍光色素を励起して第1の蛍光で目的細胞に焦点を合わせる手間を省略することができる。したがって、目的細胞に焦点を合わせる作業に起因した第1蛍光色素の褪色を抑えることができる。目的細胞に焦点を合わせる手間が省略され、第1の蛍光色素の褪色が抑えることができる結果、目的細胞の検出率が向上し、検出までの時間も短縮することができる。
(2)前記目的細胞が、血液中の細胞の総数に対して0.01%未満の含有率で前記血液に含まれる希少細胞であれば、血中にほとんど存在しない希少細胞をいち早く検出することができる。また、希少細胞に関連する疾病等の早期発見に資するデータの提供を達成することができる。
(3)前記焦点位置調節工程において焦点を合わせる際に用いられる第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光の波長が、第1の蛍光の波長と重複しなければ、目的細胞のみが第1の蛍光を発するため、重複帯域をカットするための蛍光フィルターを使用しなくとも目的細胞を検出することができるようになり、目的細胞を標識している第1蛍光色素から発する本来の蛍光量を得ることができる。その結果、目的細胞を検出しやすくなる。
(4)前記目的細胞がCTCであり、前記非目的細胞が白血球であり、前記第1蛍光標識体が、前記第1蛍光色素で標識された抗サイトケラチン抗体であり、前記第2蛍光標識体が、前記第2蛍光色素で標識された白血球を特異的に認識する抗体である、および/または、前記第3蛍光標識体が、細胞核に結合するヘキスト系蛍光色素であることとすれば、末梢血等のサンプル中にCTCが含まれている場合、いち早くCTCを検出することができ、また、CTCに関連する転移性のがんの早期発見に資するデータ提供が達成される。
(5)細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が平面状であり、細胞展開工程では、細胞用スクレーパーを用いて該平面状の上記表面に展開された2層以上の細胞層を単層化させることとすれば、展開された細胞が単層化されて目的細胞と非目的細胞が同じ高さ位置に配置される結果、非目的細胞に焦点を合わせることで目的細胞を検出可能な焦点位置の受光光学系の状態が得られる(図4,14参照)。
(6)細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が、細胞を格納するためのマイクロチャンバーまたは凹凸を有しており、細胞展開工程で液流によって格納された細胞を単層化させるものであれば、マイクロチャンバー内または凹部内で局所的に積層されている細胞を取り除いて細胞を単層化させることができるとともに、細胞を格納していないマイクロチャンバーまたは凹部へと取り除いた細胞を配置させることができ、細胞展開用基板の全域に一様に単層の細胞層を形成することができる。この結果、マイクロチャンバー内または凹部内において非目的細胞に焦点を合わせることで、目的細胞を検出可能な焦点位置の受光光学系の状態が得られる(図2,13参照)。
(7)前記焦点位置調節工程と前記目的細胞探索工程との間に、受光光学系に設けられている蛍光フィルターを通過した後の光が、前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光から前記第1の蛍光に変化することにより生じる焦点位置のズレ量を算出し、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を補正する焦点位置補正工程をさらに含むこととすれば、受光光学系を通過する蛍光が切り替わって受光光学系の焦点位置が色収差により変わってしまっても補正がなされて、非目的細胞に焦点を合わせた状態(目的細胞を検出可能な焦点位置)が維持される。
(8) 前記焦点位置調節工程の直後に、受光光学系を第2の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第2細胞画像取得工程、および/または、前記受光光学系7を第3Aもしくは第3Bの蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第3細胞画像取得工程をさらに含み、前記目的細胞探索工程として、受光光学系を第1の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第1細胞画像取得工程、第2細胞画像取得工程および/または第3細胞画像取得工程と第1細胞画像取得工程で撮像した各画像を重ね合わせて合成する処理を含むこととすれば、非目的細胞と目的細胞とが同一画像内に表示される。したがって、目的細胞のみを細胞展開用基板からピックアップする場面において、非目的細胞を標識している蛍光色素を励起した状態で、前記合成した画像を参照しながら、細胞展開用基板における目的細胞の位置を簡単に把握することができる。その結果、目的細胞を標識している第1の蛍光色素を励起する時間を極力短くして短時間で目的細胞をピックアップすることができる。
(9)前記焦点位置調節工程を、前記細胞検出領域の異なる位置における2つ以上の視野のそれぞれで、非目的細胞に焦点を合わせて各視野の焦点距離の情報を得ることによって行い、これら焦点距離が相違する場合、その差分から、前記2つ以上の視野以外の他の視野における焦点距離の変化を表す近似式を求め、当該他の視野においては、それぞれの焦点距離を前記近似式から算出して、この算出された焦点距離に受光光学系の焦点距離を設定する工程を、前記焦点位置調節工程として行うこととすれば、仮に細胞展開用基板の表面が製造誤差等で傾斜しており、視野ごとに焦点距離がずれてしまうような場合であっても、全ての視野について非目的細胞に対して焦点を合わせる必要がなく、非目的細胞に焦点を合わせる手間を極力軽減させることができる。この結果、第2(または第3Aもしくは第3B)蛍光色素の褪色を抑制することができる。
なお、本発明に係る目的細胞検出システムは、上述した(1)〜(9)の方法を手段として実行するシステムであるので、(1)〜(9)で説明した効果を奏する。
以下、目的細胞の検出方法の実施例および比較例について図面を参照しながら説明する。
<細胞懸濁液の調製>
末梢血から密度勾配遠心分離法により単離して得られた白血球をPBSに対して懸濁し、白血球を所定濃度(>106個/mL)で含む懸濁液Aを調製した。次に、この懸濁液Aに対して、がん細胞としてのCTC細胞を希少数(白血球数比10000分の1)添加した(以下、懸濁液Bという)。次に、懸濁液Bに対して、細胞組織の固定処理、および後述の第1〜第3蛍光標識処理工程を行った。該工程を経て得られた懸濁液の白血球濃度を106個/mLに調整し(希少細胞を10個含む)、これを細胞懸濁液として後述の実施例等で用いた。
(細胞組織の固定処理)
上記懸濁液B(1mL)に、細胞・組織固定化剤としてのパラホルムアルデヒド(和光純薬工業社製)を4%になるように加えて緩やかに混和し、室温暗所にて15分間反応させた。この反応液に、リン酸緩衝生理的食塩水(PBS)を十分量加えて混和し、遠心分離処理((300)×g、(1)分)後、上澄みを捨てて細胞のみを回収し、再度PBSを十分量添加した。遠心分離処理からPBSの添加までの洗浄処理を3回繰り返した。
(第1〜第3蛍光標識処理工程)
細胞膜透過処理用として0.1%Tweenを含むPBSを1mL、およびがん細胞(目的細胞)を標識するためにAlexa Fluor647(第1蛍光色素)で標識した抗サイトケラチン抗体(抗CK抗体)(Micromet社製)(第1蛍光標識体)の溶液10μLと、白血球(非目的細胞)を標識するためにAlexa Fluor488(インビトロジェン社製)で標識した抗CD45抗体(Santa Cruz Biotechnolоgy社製)(第2蛍光標識体)の溶液10μLとを、細胞組織の固定処理で洗浄処理を行った上記細胞の懸濁液に添加して緩やかに混和しながら室温で30分間反応させ、最後の5分間、細胞核染色用にHoechist(第3A蛍光色素)(インビトロジェン社製)溶液10μLを添加して反応させた。
反応後、上記遠心分離処理を行い、細胞に結合していない第1,2蛍光標識体および第3A蛍光色素を除去し、新たにPBSを添加して再度懸濁させた。この後、遠心分離により細胞に結合していない抗体試薬を除去し、新たにリン酸緩衝食塩水(PBS)を添加して再懸濁させた。
[実施例1](マイクロチャンバー5上の細胞の検出)
流路天板(流路形成部材)12とマイクロチャンバーチップ(細胞展開用基板)11とを組みわせることで、流路1を有する細胞回収デバイス10を作製した。なお、マイクロチャンバーチップ11には、20mm×50mmの細胞検出領域(CDR)に20000個のマイクロチャンバー5(チャンバー深さ50μm,チャンバー径100μφ)が形成されており、また、流路1の寸法を幅25mm、長さ70mm、高さ10μmに形成した。
次に、細胞回収デバイス10の流入口2から流路1へブロッキング液(3%BSA含有PBS)を高流量(16mL/分)で送液した。その後、PBSを流路1へ送液することにより流路1内に存在するブロッキング剤を流路1の内部から除去した。その後、第1〜第3蛍光標識処理した細胞懸濁液CLを0.1mL/分の流速にて100μL流路1内へ送液した後、間欠送液(0.5μL送液後10秒間送液停止)を100回繰り返すことで、マイクロチャンバー5内に細胞を格納するとともに単層化した。その後、マイクロチャンバーチップ11内の9か所で、白血球に結合したCD45抗体に結合している第2蛍光色素の励起光(波長488nmの光)でもってマイクロチャンバー5に格納された細胞群を照射しつつ、非目的細胞に受光光学系7の焦点を合わせた。
その後、励起光をCTC検出用の光(波長635nmの光)に切り替えるとともに、発光波長を受光可能にして、マイクロチャンバーチップ11の細胞検出領域CDRの全面を撮影した(第1細胞画像を取得した)。
次に、前記励起光をCD45検出用の光(波長488nmの光)に変更してCDR全面を撮影した(第2細胞画像を取得した)
次に、前記励起光を細胞核検出用の光(波長350〜352nmの光)に変更してCDR全面を撮影した(第3細胞画像を取得した)。
最後に、明視野観察用の光(全波長)でCDR全面を撮影した。
なお、励起光の切替えに際して、各蛍光波長の差異に起因する色素収差の量(焦点位置のズレ量)を解消するように受光光学系7の焦点位置を調整した。判定の結果、検出開始から検出完了までの時間は54分であり、がん細胞の検出率は90%であった。なお、検出開始から検出完了までの時間とは、フォーカス調整の時間も含まれる。
[実施例2](平面上に展開した細胞の検出)
実施例1のマイクロチャンバーチップ11の代わりに25mm×50mmの平面基板(細胞展開用基板)11bを使用して、平面状の細胞展開用基板の表面に第1〜第3蛍光標識処理した上記細胞懸濁液100μLを滴下し、細胞用スクレーパー14で細胞を単層化した。その後、細胞展開用基板上に存在するHoechst染色された細胞群の細胞核をHoechst(第3A蛍光色素)の励起光(波長400nmの光)で照射しつつ、撮像エリア(受光光学系の視野)ごとに該細胞群に含まれる一の細胞の細胞核に対して受光光学系7の焦点を合わせた。
次に、上記励起光をCTC検出用の光(波長635nmの光)に切り替え、受光光学系について発光波長の光を受光可能に設定するとともに、受光光学系の焦点位置を励起波長400nmで合わせた焦点位置に対して光軸上で20μm接近する位置に調節して、細胞展開用基板の細胞検出領域CDRの全面を撮影した(第1細胞画像を取得した)。
次に、上記励起光を白血球検出用の励起光(波長488nmの光)に切り替えて、受光光学系について発光波長の光を受光可能に設定するとともに、受光光学系の焦点位置を励起波長400nmで合わせた焦点位置に対して光軸上で20μm接近する位置に調節して、細胞展開用基板の細胞検出領域全面を撮影した(第2細胞画像を取得した)。
そして、演算処理により第1,2細胞画像を瞬時に合成して解析処理を行った。判定した結果、検出開始から検出完了までの時間は約67分であり、がん細胞の検出率は80%であった。
[比較例1]
実施例1と同様にブロッキング処理とPBSによる洗浄とを行い、第1〜第3蛍光標識処理をした細胞懸濁液を流路1へ送液し、実施例1と同様に間欠送液により細胞の単層化を行った。
先ず、細胞展開用基板上の非目的細胞に明視野で焦点を合わせた後、励起光(波長400nmの光)で展開された細胞群を照射しつつ、Hoechst染色した細胞(=Hoechst33242(第3A色素)で染色した細胞群の一の細胞(非目的細胞))に焦点を合わせて細胞検出領域全域を撮像して第3細胞画像を取得した。
次に、上記励起光をCTC検出用の励起光(波長635nmの光)に切り替えるとともに受光光学系について発光波長の光を受光可能に設定し、目的細胞に焦点を合わせて、細胞検出領域CDRの全域を撮像して第1細胞画像の撮像を行った。
最後に、上記励起光を白血球検出用の励起光(波長488nmの光)に切り替えるとともに、受光光学系について発光波長の光を受光可能に設定し、白血球(非目的細胞)に焦点を合わせて細胞検出領域CDRの全域を撮像して第2細胞画像の撮像を行った。第1〜第3の細胞画像を演算処理にて瞬時に合成し、判定した結果、CTC検出率は30%であった。
[比較例2]
実施例1と同様にブロッキング処理とPBSによる洗浄とを行い、第1〜第3蛍光標識処理をした細胞懸濁液を流路1へ送液し、実施例1と同様に細胞の単層化を行った。その後、細胞展開用基板上に設定した撮像エリア(受光光学系の視野)ごとに、以下の通りに撮像を行った。
先ず、励起光(波長400nmの光)で展開された細胞群を照射しつつ、Hoechst染色した細胞(=Hoechst33342(第3A色素)で染色した細胞群の一の細胞(非目的細胞))に焦点を合わせるとともに、受光光学系について発光波長の光を受光可能に設定し、第3細胞画像を取得した。
次に、上記励起光をCTC検出用の励起光(波長635nmの光)に切り替えるとともに、受光光学系について発光波長の光を受光可能に設定し、目的細胞に焦点を合わせて第1細胞画像の撮像を行った。
最後に、上記励起光を白血球検出用の励起光(波長488nmの光)に切り替えるとともに、受光光学系について発光波長の光を受光可能に設定し、白血球(非目的細胞)に焦点を合わせて第2細胞画像の撮像を行った。第1〜第3の細胞画像を演算処理にて瞬時に合成し、判定した結果、検出開始から検出完了までの時間は約106分であり、がん細胞の検出率は90%であった。
以上、本発明に係る目的細胞の検出方法および目的細胞検出システムについて、図面を参照しながら実施の形態および実施例を説明してきたが、本発明はこれら実施の形態および実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載されて本発明の要旨を逸脱しない限り、設計変更は許容される。
1 流路
2 流入口
3 流出口
4 リザーバー
5 マイクロチャンバー
6 照射光学系
7 受光光学系
8 制御手段
9 送液系機構(細胞展開手段、第1〜3蛍光標識処理手段)
10 細胞回収デバイス
11 細胞展開用基板(マイクロチャンバーチップを含む)
11a,11b 細胞展開用基板
12 流路形成部材
12a シール部材
13 試薬収容器
14 細胞用スクレーパー
15 光源
16 レンズ
17 ダイクロイックミラー
18 対物レンズ
19 光学フィルター
20 照射用レンズ群
21 撮像部
22 解析部
23 プログラム(焦点位置調節手段)
24 プログラム(目的細胞探索手段)
25 プログラム(焦点距離情報補完手段)
26 細胞回収デバイスホルダー
100 目的細胞検出システム
CL 細胞懸濁液
CDR 細胞検出領域

Claims (18)

  1. 検出しようとしている目的細胞が非目的細胞より少ない数で含まれる細胞懸濁液を細胞展開用基板の表面に展開し、該表面に設けられた細胞を検出するための領域(細胞検出領域)に単層の細胞層を形成する細胞展開工程と、
    前記目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である第1蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第1蛍光標識処理工程と、
    前記非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である第2蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第2蛍光標識処理工程、
    および/または、
    前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する第3A蛍光色素である、もしくは前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する抗体と第3B蛍光色素との複合体である、第3蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第3蛍光標識処理工程と、
    を順不同で含む目的細胞の検出方法であって、
    第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射し、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に受光光学系の焦点を合わせる処理を行う焦点位置調節工程と、
    第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射しつつ、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を基準として、第1の蛍光を発している目的細胞を探索する目的細胞探索工程と、
    を含むことを特徴とする目的細胞の検出方法。
  2. 前記目的細胞が、血液中の細胞の総数に対して0.01%未満の含有率で前記血液に含まれる希少細胞である、請求項1に記載の目的細胞の検出方法。
  3. 前記焦点位置調節工程において焦点を合わせる際に用いられる前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光の波長が、前記第1の蛍光の波長と重複しない、請求項1または2に記載の目的細胞の検出方法。
  4. 前記目的細胞がCTCであり、
    前記非目的細胞が白血球であり、
    前記第1蛍光標識体が、前記第1蛍光色素で標識された抗サイトケラチン抗体であり、
    前記第2蛍光標識体が、前記第2蛍光色素で標識された、白血球を特異的に認識する抗体である、および/または、前記第3蛍光標識体が、細胞核に結合するヘキスト系蛍光色素である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の目的細胞の検出方法。
  5. 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が平面状であり、
    前記細胞展開工程では、細胞用スクレーパーを用いて該平面状の基板の表面に展開された2層以上の細胞層を単層化させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の目的細胞の検出方法。
  6. 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が、細胞を格納するためのマイクロチャンバーまたは凹凸を有しており、
    前記細胞展開工程では、液流によって細胞を単層化させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の目的細胞の検出方法。
  7. 前記焦点位置調節工程と前記目的細胞探索工程との間に、
    前記受光光学系に設けられている受光素子により受光する光が、前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光から前記第1の蛍光に変化することにより生じる焦点位置のズレ量を算出し、前記焦点位置調節工程で合わせた焦点位置を補正する焦点位置補正工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の目的細胞の検出方法。
  8. 前記焦点位置調節工程の直後に、前記受光光学系を第2の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第2細胞画像取得工程、および/または、前記受光光学系を第3Aもしくは第3Bの蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第3細胞画像取得工程をさらに含み、
    前記目的細胞探索工程として、
    前記受光光学系を第1の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第1細胞画像取得工程、
    第2細胞画像取得工程および/または第3細胞画像取得工程と第1細胞画像取得工程で撮像した各画像を重ね合わせて合成する処理を含む画像形成工程と、
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の目的細胞の検出方法。
  9. 前記焦点位置調節工程を、前記細胞検出領域の異なる位置における2つ以上の視野のそれぞれで、非目的細胞に焦点を合わせて各視野の焦点距離の情報を得ることによって行い、これら焦点距離が相違する場合、その差分から、前記2つ以上の視野以外の他の視野における焦点距離の変化を表す近似式を求め、
    当該他の視野においては、それぞれの焦点距離を前記近似式から算出して、この算出された焦点距離に前記受光光学系の焦点距離を設定する工程を、前記焦点位置調節工程として行う、請求項1〜8のいずれか一項に記載の目的細胞の検出方法。
  10. 検出しようとしている目的細胞が非目的細胞より少ない数で含まれる細胞懸濁液を表面に展開可能な細胞展開用基板と、
    前記細胞展開用基板の細胞検出領域に単層の細胞層を形成する細胞展開手段と、
    前記目的細胞に特異的に結合する抗体と第1蛍光色素との複合体である第1蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第1蛍光標識処理手段と、
    前記非目的細胞に特異的に結合する抗体と第2蛍光色素との複合体である第2蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第2蛍光標識処理手段、
    および/または、
    前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する第3A蛍光色素である、もしくは前記目的細胞と前記非目的細胞の両方に結合する抗体と第3B蛍光色素との複合体である、第3蛍光標識体を用いて、前記細胞懸濁液中の細胞または前記展開後の細胞群を蛍光染色する第3蛍光標識処理手段と、
    前記細胞展開用基板の細胞検出領域に対して、所定波長の励起光を照射可能な照射光学系と、
    前記細胞検出領域からの光を波長帯域別に受光可能な受光光学系と、
    少なくとも前記受光光学系および照射光学系を制御する制御手段と、
    を備えた、目的細胞検出システムであって、
    前記制御手段は、少なくとも、
    前記照射光学系により第2蛍光色素または第3Aもしくは第3B蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞群を照射し、第2の蛍光または第3Aもしくは第3Bの蛍光を発している非目的細胞に前記受光光学系の焦点を合わせる焦点位置調節手段と、
    前記照射光学系により第1蛍光色素の励起光で前記細胞検出領域に展開された細胞を照射しつつ、前記焦点位置調節手段で合わせた焦点の位置を基準として、前記受光光学系で第1の蛍光を発している目的細胞を探索する処理を行う目的細胞探索手段と、
    を備えたことを特徴とする目的細胞検出システム。
  11. 前記目的細胞が、血液中の細胞の総数に対して0.01%未満の含有率で前記血液に含まれる希少細胞である、請求項10に記載の目的細胞検出システム。
  12. 前記焦点位置調節手段によって焦点を合わせる際に用いられる前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光の波長が、前記第1の蛍光の波長と重複しない、請求項10または11に記載の目的細胞検出システム。
  13. 前記目的細胞がCTCであり、
    前記非目的細胞が白血球であり、
    前記第1蛍光標識体が、前記第1蛍光色素で標識された抗サイトケラチン抗体であり、
    前記第2蛍光標識体が、前記第2蛍光色素で標識された白血球を特異的に認識する抗体である、および/または、前記第3蛍光標識体が、細胞核に結合するヘキスト系蛍光色素である、
    請求項10〜12のいずれか一項に記載の目的細胞検出システム。
  14. 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が平面状であり、
    前記細胞展開手段が、前記表面部に展開された2層以上の細胞層を単層化させるための細胞用スクレーパーを備えた、請求項10〜13のいずれか一項に記載の目的細胞検出システム。
  15. 前記細胞展開用基板の細胞検出領域の表面が、細胞を格納するためのマイクロチャンバーまたは凹凸を有しており、
    前記細胞展開手段が、細胞を単層化させるための液流を発生させる送液系機構を備えた、請求項10〜13のいずれか一項に記載の目的細胞検出システム。
  16. 前記制御手段は、
    前記受光光学系に設けられている受光素子により受光する光が、前記第2の蛍光または前記第3Aもしくは第3Bの蛍光から前記第1の蛍光に変化することにより生じる焦点位置のズレ量を算出し、前記焦点位置調節手段で合わせた焦点位置を補正する焦点位置補正手段をさらに備えた、請求項10〜15のいずれか一項に記載の目的細胞検出システム。
  17. 前記焦点位置調節手段により前記受光光学系の焦点を合わせた直後に、前記受光光学系を第2の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第2細胞画像取得手段、および/または、前記受光光学系を第3Aもしくは第3Bの蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第3細胞画像取得手段をさらに備え、
    前記目的細胞探索手段として、
    前記受光光学系を第1の蛍光を受光可能な状態にして前記細胞検出領域を撮像する第1細胞画像取得手段と、
    前記第1細胞画像取得手段と前記第2細胞画像取得手段で撮像した各画像を重ね合わせて合成する処理を行う画像形成手段と、
    を備えた、請求項10〜16のいずれか一項に記載の目的細胞検出システム。
  18. 前記細胞検出領域の異なる位置における2つ以上の視野のそれぞれで、非目的細胞に焦点を合わせて焦点距離の情報を得た後、
    これら焦点距離が相違する場合、その差分から、前記2つ以上の視野以外の他の視野における焦点距離の変化を表す近似式を求め、
    当該他の視野においては、それぞれの焦点距離を前記線似式から算出して、この算出された焦点距離に前記受光光学系の焦点距離を設定する手段を、前記焦点位置調節手段として含む、請求項10〜17のいずれか一項に記載の目的細胞検出システム。
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