JP2016141974A - 階段用の消音部材 - Google Patents

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圭太郎 杉村
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Abstract

【課題】ゴム強化ビニル系樹脂にゴムが適切に配合され、踏み板と構造部材との間におけるきしみ音の発生を効果的に抑制することができる階段用の消音部材を提供すること。
【解決手段】階段用の消音部材5は、踏み板2と、踏み板2に接触する構造部材3,4とを備える階段1に用いられる。消音部材5は、踏み板2と構造部材3,4との接触箇所に配置されて、踏み板2と構造部材3,4との間にきしみ音が発生することを抑制するものである。消音部材5は、ゴム強化ビニル系樹脂を含有する組成物の成形体である。消音部材5のゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、5〜60質量%である。
【選択図】図1

Description

本発明は、階段における踏み板と構造部材との間に、きしみ音が発生することを抑制する消音部材に関する。
階段等の構造体においては、木材又は木質材からなる木製部材同士が接触する部位が多く、人による荷重、温度変化による膨張・伸縮等によって、木製部材同士が擦れる際にきしみ音が発生する。このきしみ音の発生を低減するために、樹脂、ゴム(弾性材)等の部材を木製部材同士の間に配置することが行われている。
例えば、特許文献1の階段においては、踏板に有底溝を形成するとともに、蹴込板における、有底溝に嵌入される部位に、溝形状の保護枠を嵌着し、保護枠に、有底溝に当接する弾性材を固着することが開示されている。そして、階段の昇降時等に生じるきしみ音を低減している。また、例えば、特許文献2の階段構造においては、階段を構成する蹴込板と段板との間に、樹脂フィルムからなる緩衝部材を配置することが開示されている。そして、樹脂フィルムの表面の摩擦係数が小さいことを利用して、きしみ音の発生を防止している。
特開平11−71875号公報 特開2000−356015号公報
しかしながら、従来のきしみ音対策の部材においては、きしみ音の発生を抑制するために効果的な樹脂、ゴム等の組成については何ら開示されていない。そのため、きしみ音の低減に効果的な組成の部材の開発が望まれる。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、ゴム強化ビニル系樹脂にゴムが適切に配合され、踏み板と構造部材との間におけるきしみ音の発生を効果的に抑制することができる階段用の消音部材を提供しようとして得られたものである。
本発明の一態様は、踏み板と該踏み板に接触する構造部材とを備える階段に用いられ、上記踏み板と上記構造部材との接触箇所に配置されて、該踏み板と該構造部材との間にきしみ音が発生することを抑制する消音部材であって、
該消音部材は、ゴム強化ビニル系樹脂(A)を含有する組成物の成形体であり、
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)の全量におけるゴム量は、5〜60質量%であることを特徴とする階段用の消音部材にある。
上記階段用の消音部材は、ゴム強化ビニル系樹脂(A)を含有する組成物の成形体である。そして、ゴム強化ビニル系樹脂(A)の全量におけるゴム量を、5〜60質量%としている。これにより、ゴム強化ビニル系樹脂(A)にゴムが適切に配合され、踏み板と構造部材との間におけるきしみ音の発生を効果的に抑制することができる。
上記ゴム量が5質量%未満の場合には、きしみ音を低減する効果が薄れ、耐衝撃性が悪化する。一方、上記ゴム量が60質量%超過の場合には、成形加工性及び成形体の表面外観が悪化する。
実施態様にかかる、階段を示す斜視説明図。 実施態様にかかる、蹴込板の一部を示す斜視説明図。 実施例にかかる、固定板及び可動板を示す斜視説明図。
上述した階段用の消音部材における好ましい実施の形態について説明する。
上記踏み板及び上記構造部材は、木材、木質材等の木製部材から構成することができる。木質材には、合板、集成材、パーティクルボード、LVL、MDF等がある。また、踏み板及び構造部材は、木製部材以外の材料から構成することもできる。
<ゴム強化ビニル系樹脂(A)>
上記階段用の消音部材におけるゴム強化ビニル系樹脂(A)は、例えば、次の組成とすることができる。
ゴム強化ビニル系樹脂(A)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(aa1)を重合して得られたゴム強化ビニル系樹脂(A1)、又は、このゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、ビニル系単量体(aa2)の(共)重合体(A2)とよりなる混合物、からなるものである。
上記ゴム質重合体(a)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってよいし、共重合体であってもよい。また、このゴム質重合体(a)は、非架橋重合体であってよいし、架橋重合体であってもよい。具体例としては、ジエン系重合体(ジエン系ゴム質重合体)及び非ジエン系重合体(非ジエン系ゴム質重合体)が挙げられる。これらは、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。
上記ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体等のスチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・イソプレン共重合体等のスチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。なお、上記各共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。上記ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記非ジエン系重合体としては、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンからなる単位とを含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;アクリル系ゴム;ウレタン系ゴム;シリコーンゴム、シリコーン・アクリル系IPNゴム等のシリコーン系ゴム;共役ジエン系化合物よりなる単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重合体等が挙げられる。なお、上記各共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。上記非ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記非ジエン系重合体としては、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、及び、アクリル系ゴムが好ましい。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いるゴム質重合体(a)の形状は、特に限定されないが、粒子状である場合、その体積平均粒子径は、好ましくは30〜2,000nmであり、より好ましくは50〜1,500nm、更に好ましくは100〜1,000nmである。体積平均粒子径が小さすぎると、本発明の組成物及びそれを含む成形体の耐衝撃性が劣る傾向にある。一方、大きすぎると、成形体の表面外観性が劣る傾向にある。なお、上記体積平均粒子径は、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
上記ゴム質重合体(a)が、乳化重合により得られた粒子状である場合、体積平均粒子径が上記範囲内にあるものであれば、例えば、特開昭61−233010号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報等に記載されている方法等の公知の方法により肥大化したものを用いることもできる。
上記ゴム質重合体(a)として、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム等を製造する方法としては、平均粒子径の調整等を考慮し、乳化重合が好ましい。この場合、平均粒子径は、乳化剤の種類及びその使用量、開始剤の種類及びその使用量、重合時間、重合温度、攪拌条件等の製造条件を選択することにより調整することができる。また、上記体積平均粒子径(粒子径分布)の他の調整方法としては、異なる粒子径を有するゴム質重合体(a)の2種類以上をブレンドする方法でもよい。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いられるビニル系単量体(aa1)としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等が挙げられる。これらは、単独であるいは組み合わせて用いてもよい。
上記芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。好ましい芳香族ビニル化合物は、スチレン又はα−メチルスチレンであり、スチレンを用いることが特に好ましい。
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の形成に用いるビニル系単量体(aa1)としては、下記の組み合わせで用いることが好ましい。
(1)芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の組み合わせ。
(2)芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物の組み合わせ。
なお、上記の組み合わせにおいて、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の使用割合は、これらの合計量を100質量%とした場合、それぞれ、成形加工性、成形体の表面外観、耐衝撃性、耐薬品性等の観点から、好ましくは50〜97質量%及び3〜50質量%であり、より好ましくは55〜95質量%及び5〜45質量%である。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(aa1)を重合して得られたものであり、具体例は以下に示される。
〔I〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、ビニル系単量体(aa1)として上記(1)の単量体を用いて得られたジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔II〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)の存在下に、ビニル系単量体(aa1)として上記(2)の単量体を用いて得られたジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔III〕ゴム質重合体(a)として非ジエン系ゴム質重合体(a2)の存在下に、ビニル系単量体(aa1)として上記(1)の単量体を用いて得られた非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔IV〕ゴム質重合体(a)として非ジエン系ゴム質重合体(a2)の存在下に、ビニル系単量体(aa1)として上記(2)の単量体を用いて得られた非ジエン系ゴム強化ビニル系樹脂。
〔V〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)及び非ジエン系ゴム質重合体(a2)の併存下に、ビニル系単量体(aa1)として上記(1)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂。
〔VI〕ゴム質重合体(a)としてジエン系ゴム質重合体(a1)及び非ジエン系ゴム質重合体(a2)の併存下に、ビニル系単量体(aa1)として上記(2)の単量体を用いて得られたゴム強化ビニル系樹脂。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)としては、上記の各態様について、単独で用いてよいし、組み合わせて用いてもよい。また、上記の態様〔I〕〜〔VI〕のうちの2種以上を組み合わせてもよい。
次に、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)及び(共)重合体(A2)の製造方法について説明する。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)は、ゴム質重合体(a)の存在下に、ビニル系単量体(aa1)を、好ましくは乳化重合、溶液重合、塊状重合することにより、製造することができる。
なお、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(aa1)は、反応系において、ゴム質重合体(a)全量の存在下に、ビニル系単量体(aa1)を一括添加してもよいし、分割又は連続添加してもよい。また、これらを組み合わせた方法でもよい。更に、ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を100質量部製造する場合、きしみ音低減性能、成形加工性、成形体の表面外観等の観点から、ゴム質重合体(a)の使用量は、好ましくは5〜60質量部、より好ましくは10〜55質量部、更に好ましくは15〜50質量部である。また、ビニル系単量体(aa1)の使用量は、好ましくは40〜95質量部、より好ましくは45〜90質量部、更に好ましくは50〜85質量部である。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のグラフト率は、好ましくは10〜200質量%、より好ましくは15〜150質量%、更に好ましくは20〜150質量%である。上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のグラフト率が10質量%未満では、本発明の組成物及びそれを含む成形体の表面外観性及び耐衝撃性が低下することがある。また、200質量%を超えると、成形加工性が劣る場合がある。
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラム中のゴム成分をxグラム、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)1グラムをアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)に溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、次式により求められる値である。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)のアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)による可溶成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2〜0.9dl/g、特に好ましくは0.3〜0.7dl/gである。この範囲とすることにより、成形加工性に優れ、本発明の組成物及びそれを含む成形体の耐衝撃性も優れる。
なお、上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を変えることにより、容易に制御することができる。
上記(共)重合体(A2)は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の製造に適用される重合開始剤等を用いて、ビニル系単量体(aa2)を、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等で重合することにより、あるいは、重合開始剤を用いない熱重合により、製造することができる。また、これらの重合方法を組み合わせてもよい。
上記(共)重合体(A2)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性との物性バランスに優れる。なお、この(共)重合体(A2)の極限粘度[η]は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)の場合と同様、製造条件を調整することにより制御することができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)のアセトン(但し、ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを使用。)による可溶成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜0.8dl/g、より好ましくは0.15〜0.7dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、成形加工性と耐衝撃性との物性バランスに優れる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)が、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)である場合、及び、ゴム強化ビニル系樹脂(A1)と、(共)重合体(A2)との混合物からなる場合のいずれにおいても、本発明の組成物中のゴム質重合体(a)の含有量について、その下限値は、5質量%、好ましくは5質量%超え、より好ましくは8質量%超え、更に好ましくは12質量%超えである。また、その上限値は、60質量%、好ましくは50質量%未満、より好ましくは35質量%未満、更に好ましくは30質量%未満である。上記ゴム質重合体(a)の含有量が上記範囲にあれば、きしみ音低減性能及び成形加工性に優れ、本発明の組成物を含む成形体の耐衝撃性、表面外観性及び剛性に優れる。なお、この含有量が少なすぎると、ノッチ感度が高くなり、延性破壊性が低下する。また、この含有量が多すぎると、成形加工性、及び成形体の表面外観が悪化する。
<摺動性付与剤(B)>
上記組成物は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、摺動性付与剤(B)を0.1〜30質量部含有していてもよい。この場合には、きしみ音の発生を更に効果的に抑制することができる消音部材を形成することができる。
摺動性付与材(B)としては、オレフィン系ワックス、フッ素系樹脂、フッ素系オイル、シリコーン系オイル、シリコーン系パウダー、鉱物油,合成油、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミドおよび二硫化モリブデンからなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動性付与材が挙げられる。また、摺動性の点からオレフィン系ワックス、フッ素系樹脂、フッ素系オイル、シリコーン系オイル、及びシリコーン系パウダーからなる群より選ばれる少なくとも1種の摺動性付与材がより好ましく使用できる。更に好ましくは、オレフィン系ワックス、フッ素系樹脂、シリコーン系オイル、シリコーン系パウダーを使用することができ、もっとも好ましくはオレフィン系ワックス、フッ素系樹脂、シリコーン系パウダーを使用することができる。
オレフィン系ワックスは、好ましくは重量平均分子量が1,000〜10,000である、エチレン単独重合体、もしくはエチレンと炭素原子数3〜60のα−オレフィンとの共重合体とすることができる。α−オレフィン成分の炭素数は好ましくは4〜50、より好ましくは5〜40とすることができる。オレフィン系ワックスは、チーグラー触媒、フィリップス触媒、またはメタロセン触媒を用いて、溶液重合、スラリー重合、および気相重合などの重合法により製造することができる。
フッ素系樹脂としては、低分子量ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等が挙げられる。摺動性の観点から低分子量ポリテトラフルオロエチレンの使用が好ましい。
フッ素系オイルとしてはポリトリフルオロクロロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレングリコール等が挙げられる。
シリコーン系オイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、芳香族ポリカーボネートと反応する官能基を有するジメチルシリコーンオイルおよびメチルフェニルシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコーン系パウダーとしては、シリコーンオイルを無機担持材にシリコーンオイルを担持させたもの、シリコーンレジン、および変性シリコーン、シリコーンゴムの粒状のものが挙げられる。
摺動性付与剤(B)の含有量は、上記ゴム強化ビニル系樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部とすることが好ましく、0.5〜20質量部とすることがより好ましく、1〜15質量部とすることが更に好ましい。摺動性付与剤の含有量が0.1質量部未満の場合には、きしみ音低減効果の発現が十分でない場合があり、摺動性付与剤の含有量が30質量部を超える場合には、成形体の表面に剥離等が発生し、成形体の表面外観の観点から好ましくない場合がある。
<オレフィン系樹脂(C)>
また、上記組成物は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(C)とを含有していてもよい。
オレフィン系樹脂(C)としては、例えば、炭素数2〜10のオレフィン類の少なくとも1種からなるオレフィン系樹脂が挙げられる。このオレフィン系樹脂(C)は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
オレフィン系樹脂(C)の形成に用いるオレフィン類の例としては、エチレン、及びプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルへキセン−1等のα−オレフィン、更にノルボルネン等の環状オレフィン等が挙げられる。こららは、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、これらのうち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1およびノルボルネンが好ましい。
オレフィン系樹脂(C)の形成において必要に応じて用いることのできる他の単量体としては、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オレフィン系樹脂(C)としては、ポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体等のプロピレン単位を主として含む重合体、ポリエチレン、エチレン−ノルボルネン共重合体が好ましく、これらは単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。尚、上記プロピレン・エチレン共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等があり、いずれも使用できる。
また、ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等の何れのものも使用できる。さらに、オレフィン系樹脂(C)としては、重合触媒を脱触媒してもの、または、酸無水物、カルボキシル基、エポキシ基等で変性したものを用いることもできる。
オレフィン系樹脂(C)は、結晶性の有無を問わないが、室温下、X線回折による結晶化度が10%以上であるものを少なくとも1種用いることが好ましい。
また、オレフィン系樹脂(C)としては、JISK7121−1987に準拠して測定した融点が好ましくは40℃以上であるものを少なくとも1種用いることが好ましい。また、この融点は、更に好ましくは80℃以上、特に好ましくは100℃以上である。
オレフィン系樹脂(C)としてポリプロピレン系樹脂を使用する場合、JISK7210:1999(230℃、荷重2.16kg)に準拠して測定したメルトフローレートは、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分であり、ポリエチレン系樹脂を使用する場合は、JISK6922−2(190℃、荷重2.16kg)に準拠して測定したメルトフローレートは、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分であり、特に好ましくは0.1〜60g/10分である。
さらに、きしみ音低減をより有効に達成するためには、オレフィン系樹脂の中でもポリエチレン系樹脂を用いることが特に好ましい。
オレフィン系樹脂(C)は、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤等の各種添加剤を配合したものを用いることができるし、未配合のものを用いることもできる。使用される用途によっては、上記各種添加剤を配合していないオレフィン系樹脂(C)を用いた方が好ましい場合もある。オレフィン系樹脂(C)として用いるのに特に好ましいポリエチレン系樹脂としては、日本ポリエチレン社製、ノバテックHD(高密度ポリエチレン)、ノバテックLD(低密度ポリエチレン)、ノバテックLL(リニア低密度ポリエチレン)、ノバテックC6(C6のリニア低密度ポリエチレン)、ノバテックEVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、ハーモレックス(メタロセン系ポリエチレン)、レクスパール及びアドテックス(官能基変性ポリエチレン)〔上記はいずれも商品名〕などが市販品として入手できる。
オレフィン系樹脂(C)の含有量は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)とオレフィン系樹脂(C)との合計100質量%中において、5〜95質量%とすることができ、好ましくは15〜85質量%、更に好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは40〜80質量%である。オレフィン系樹脂(C)の含有量が5%未満の場合には、きしみ音低減効果の発現が十分ではない場合があり、オレフィン系樹脂(C)の含有量が95%を超える場合には、耐衝撃性が劣る場合がある。
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)と上記オレフィン系樹脂(C)との相溶性をさらに高めて耐衝撃性及びきしみ音低減効果を向上させることを主な目的として、主として芳香族ビニル系化合物からなる重合体ブロック、及び主として共役ジエン系化合物からなる重合体ブロックを有するブロック共重合体、並びにこのブロック共重合体の水素化物からなる群より選ばれた少なくとも1種の重合体を配合することができる。
また、この重合体の配合量は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)、上記オレフィン系樹脂(C)及びこの重合体の合計100質量%中において、2〜50質量%とすることができ、好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜45質量%、特に好ましくは10〜40質量%とすることができる。重合体の配合量が2質量%未満の場合には、耐衝撃性、成形体の表面外観性及びきしみ音低減効果の発現が十分でない場合がある。一方、重合体の配合量が50質量%を超える場合にも、耐衝撃性、成形体の表面外観性及びきしみ音低減効果の発現が十分でない場合がある。
<ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)>
また、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)を含有するゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)を含み、該ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)の融点が、0〜120℃(JISK7121−1987)の範囲内にあってもよい。この場合には、きしみ音の発生をさらに効果的に抑制することができる消音部材を形成することができる。
上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)は、全量をゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)とすることができ、一部をゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)とすることもできる。
ゴム強化ビニル系樹脂(A)中にゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)を配合する場合、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)の含有量は、ゴム強化ビニル系樹脂(A)とゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)との合計100質量%中において、好ましくは5〜100質量%、更に好ましくは30〜100質量%、特に好ましくは50〜100質量%とすることができる。また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)の含有量は、ゴム強化ビニル系樹脂(A)及びゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)の全てのゴム質重合体100質量%中において、好ましくは10〜100質量%、更に好ましくは35〜100質量%、特に好ましくは55〜100質量%とすることができる。
上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)は、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンからなる単位とを含むものである。エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体としては、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムがある。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・3−メチル−1−ブテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・3−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・3−エチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、エチレン・1−ウンデセン共重合体等が挙げられる。
また、上記エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムとしては、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体等が挙げられる。
上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)を構成するエチレン単位の含有量は、全単位の合計量に対して、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは30〜70質量%である。また、上記エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体の数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜100,0000、より好ましくは30,000〜300,000である。このMnが大きすぎると、得られる非ジエン系ゴム強化樹脂を用いた際の加工性が低下することがある。更に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、好ましくは10以下である。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)は、ビニル系単量体に由来する構造単位から形成されたビニル系(共)重合体部分が、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)を含有するゴム質重合体に由来するゴム部分にグラフト重合されたゴム強化ビニル系グラフト樹脂(グラフト重合体)と、上記ゴム部分にグラフト重合されなかった上記ビニル系(共)重合体部分からなるビニル系共重合樹脂(非グラフト(共)重合体)とを主として含有する混合物として得られる。
α−オレフィンとしては、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。α−オレフィンの炭素数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜12、更に好ましくは3〜8である。炭素数が20を超えると共重合性が低下し、消音部材の表面外観が十分でなくなる場合がある。
エチレンとα−オレフィンとの質量比は、エチレン:α−オレフィンとして、通常5〜95:95〜5、好ましくは50〜95:50〜5、より好ましくは60〜95:40〜5、特に好ましくは70〜90:30〜10である。α−オレフィンの質量比が上記範囲にあると、ゴム弾性が十分になり、消音部材の耐衝撃性が十分になる。
また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)は、きしみ音を低滅する観点から、融点(Tm)を持つことが好ましい。エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)の融点(Tm)は、好ましくは0〜120℃、より好ましくは10〜100℃、特に好ましくは20〜80℃である。融点(Tm)がこれらの範囲内にあると、消音部材のきしみ音の低減効果が向上する。
エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)に融点があることは、このゴムが結晶性部分を有することを意味する。ゴム中に結晶性部分が存在すると、スティックスリップ現象(振動現象)の発生が抑制されて、きしみ音の発生が抑制されると考えられる。
また、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは、−20℃以下であり、より好ましくは、−30℃以下であり、特に好ましくは、−40℃以下である。ガラス転移温度が、−20℃以下であると、消音部材の耐衝撃性が十分なものとなる。なお、ガラス転移温度は、融点の測定と同様に、DSC(示差走査熱量計)を用い、JIS K7121−1987に準拠して求めることができる。
エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)は、エチレン及びα−オレフィンの他に、これらと共重合可能な他の成分として、非共役ジエン成分を含んでいてもよい。ただし、きしみ音低減の観点から、通常、非共役ジエン成分の含有量は少ない方が好ましく、非共役ジエンを含有しないエチレン・α−オレフィン共重合体であることがより好ましい。非共役ジエン成分としては、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。非共役ジエン成分の配合量は、エチレン及びα−オレフィンを100質量%として、10質量%以下が好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下が特に好ましい。非共役ジエン成分の配合量が10質量%を超えると、ゴムの結晶性が低下し、きしみ音の低減効果が十分でなくなる可能性がある。エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体であることが好ましく、エチレン・プロピレン共重合体であることがより好ましい。
エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)の重量平均分子量は、通常50,000〜1,000,000、好ましくは80,000〜800,000、より好ましくは80,000〜500,000である。この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定することができる。重量平均分子量が上記範囲内にあると、消音部材の耐衝撃性及び外観が十分なものとなる。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)以外に、ジエン系ゴムを含有してもよい。ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)、及び必要に応じてジエン系ゴムを含有するゴム質重合体の存在下において、ピニル系単量体を重合することにより得ることができる。
ビニル系単量体としては、好ましくは、芳香族ビニル化合物を使用することができる。ビニル系単量体としては、更に好ましくは、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれた少なくとも1種を、芳香族ビニル化合物に追加して使用することができ、必要に応じて、これらの化合物と共重合可能な他のビニル系単量体を、芳香族ビニル化合物に追加して使用することができる。かかる他のビニル系単量体としては、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシル基含有不飽和化合物、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられ、これらは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル系単量体を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン及びα−メチルスチレンを用いることができ、スチレンを用いることが特に好ましい。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリルを用いることが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、メタクリル酸メチルを用いることが好ましい。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)が構造単位として、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物に由来する構造単位を含む場合、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、両者の合計を100質量%とした場合に、通常40〜90質量%であり、好ましくは55〜85質量%であり、シアン化ビニル化合物に由来する構造単位の含有量は、両者の合計を100質量%とした場合に、10〜60質量%であり、好ましくは15〜45質量%である。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)の重合には、通常使用されている重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等を用いることができる。また、ビニル系単量体は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)を含有するゴム質重合体の存在下に、一度に全部投入して重合させてもよく、分割もしくは連続的に少量ずつ添加して重合させてもよい。また、これらの方法を組み合わせて重合してもよい。さらに、ゴム質重合体の全量又は一部を重合の途中で添加して重合してもよい。
乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合によるゴム強化ビニル系樹指の製造方法は、公知の方法を適用することができ、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等になんら制限はない。ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)のグラフト率は、通常10〜150質量%、好ましくは15〜120質量%、より好ましくは20〜100質量%、特に好ましくは30〜80質量%である。ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)のグラフト率が上記範囲にあると、消音部材の耐衝撃性、成形性がさらに良好となる。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)のグラフト率は、例えば、ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)を重合する際に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合時の単量体成分の添加量、添加方法及び添加時間、重合温度等を適宜選択することにより調整することができる。
ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)におけるビニル系共重合樹脂(非グラフト(共)重合体)の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)は、通常0.1〜1.5dl/gであり、好ましくは0.15〜1.2dl/gであり、より好ましくは0.15〜1.0dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲にあると、消音部材の耐衝撃性、成形性がより良好となる。
上記極限粘度[η]は、例えばゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)を重合する際に用いる連鎖移動剤の種類及び使用量、重合開始剤の種類及び使用量、重合時の単量体成分の添加方法及び添加時間、重合温度、重合時間等を適宜選択することにより調整することができる。また、極限粘度[η]は、極限粘度[η]が異なる2種以上のゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)を、適宜選択して混合することにより調整することもできる。また、極限粘度[η]は、芳香族ビニル系(共)重合体をゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)に混合することにより調整することもできる。
<その他の構成>
また、上記階段用の消音部材は、フィルム状の成形体であってもよい。
この場合には、消音部材を薄く形成し、踏み板と構造部材との間への消音部材の配置を容易にすることができる。消音部材を構成するフィルム状の成形体の厚みは、50〜500μmとすることができる。
また、上記階段用の消音部材は、上記成形体の少なくとも片側の表面に粘着層を有していてもよい。
この場合には、消音部材を、粘着層を介して踏み板又は構造部材に貼り付けることができ、消音部材の組付を容易にすることができる。粘着層は、成形体の表面の全体に設けることができ、成形体の表面に部分的に設けることもできる。
<実施態様>
以下に、階段用の消音部材にかかる実施態様について、図面を参照して説明する。
階段用の消音部材5は、図1に示すように、踏み板2と、踏み板2に接触する構造部材3,4とを備える階段1に用いられる。消音部材5は、踏み板2と構造部材3,4との接触箇所に配置されて、踏み板2と構造部材3,4との間にきしみ音が発生することを抑制するものである。消音部材5は、ゴム強化ビニル系樹脂を含有する組成物の成形体51である。消音部材5のゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、5〜60質量%である。
図2に示すように、消音部材5は、フィルム状の成形体51として形成されており、成形体51の片側の表面には粘着層52が設けられている。そして、消音部材5は、成形体51と粘着層52との積層体として形成されている。
図1に示すように、踏み板2は、階段1を昇降する人によって踏まれる板である。踏み板2の上面は、人によって踏まれる面となり、踏み板2の下面には、蹴込板3の上端面が差し込まれる差込溝21が形成されている。蹴込板3は、上下に並ぶ踏み板2の間に配置されて、踏み板2を下方から支える板である。
踏み板2及び蹴込板3は、それらの左右に配置された桁板4によって支持される。桁板4には、複数の踏み板2及び複数の蹴込板3が上下に並んで支持される。桁板4の表面には、踏み板2の側端面が差し込まれる差込溝41と、蹴込板3の側端面が差し込まれる差込溝42とが形成されている。蹴込板3及び桁板4は、踏み板2に接触する構造部材3,4を構成する。
図1に示すように、消音部材5は、踏み板2の下面に形成された差込溝21と、この差込溝21に差し込まれる蹴込板3の上端面との間に配置される。また、消音部材5は、桁板4の表面に形成された差込溝42と、この差込溝42に差し込まれる蹴込板3の側端面との間に配置される。消音部材5は、図2に示すように、粘着層52によって、蹴込板3の上端面及び側端面に貼り付けられている。なお、消音部材5は、踏み板2における差込溝21及び桁板4における差込溝42に貼り付けておくこともできる。
本例の踏み板2、蹴込板3及び桁板4はいずれも木製である。
消音部材5は、ゴム強化ビニル系樹脂を含有する組成物の成形体51であり、ゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、5〜60質量%である。これにより、ゴム強化ビニル系樹脂にゴムが適切に配合され、消音部材5によって、踏み板2と蹴込板3及び桁板4との間におけるきしみ音の発生を効果的に抑制することができる。
本実施例においては、種々のゴム強化ビニル系樹脂を含有する組成物から成形した消音部材5について、きしみ音の低減効果を確認した。
消音部材5としては、ゴム強化ビニル系樹脂等を含む以下の組成を有する組成物を成形した試験品1〜5を準備し、比較のための比較品も準備した。
(試験品1)
ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)を37.5質量%、AS樹脂(アクリロニトリル・スチレン樹脂)を62.5質量%含有するゴム強化ビニル系樹脂100質量部に、摺動性付与剤としてのPEワックス(ポリエチレンワックス)を3質量部添加したものを成形して試験品1とした。試験品1のゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、15質量%であった。
また、ABS樹脂のグラフト率は66%であり、アセトン可溶分の極限粘度(η)は0.44dl/gであった。AS樹脂のアセトン可溶分の極限粘度(η)は0.44dl/gであった。PEワックスとしては、三洋化成工業(株)製のサンワックスEP−250P(商品名)を用いた。
(試験品2)
ABS樹脂を37.5質量%、AS樹脂を62.5質量%含有するゴム強化ビニル系樹脂100質量部に、摺動性付与剤としてのSiオイル(シリコーンオイル)を1質量部添加したものを成形して試験品2とした。試験品2のゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、15質量%であった。
ABS樹脂及びAS樹脂としては試験品1と同じものを用いた。Siオイルとしては、信越シリコーン(株)製のシリコーンオイルKF−96H−1万cStを用いた。
(試験品3)
AES樹脂(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン(−ジエン)・スチレン樹脂)を30質量%、PE樹脂(ポリエチレン樹脂)を70質量%含有するゴム強化ビニル系樹脂を成形して試験品3とした。試験品3のゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、23質量%であった。
AES樹脂のグラフト率は70%、アセトン可溶分の極限粘度(η)は0.47dl/g、融点は40℃であった。PE樹脂としては、日本ポリエチレン(株)製のノバテックHDHJ560(商品名,高密度ポリエチレン)を用いた。
(試験品4)
ABS樹脂を8質量%、AS樹脂を12質量%、PE樹脂を60質量%、SEBS樹脂(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン樹脂)を20質量%含有するゴム強化ビニル系樹脂を成形して試験品4とした。試験品4のゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、16質量%であった。
ABS樹脂及びAS樹脂としては試験品1と同じものを用い、PE樹脂としては試験品3と同じものを用いた。SEBS樹脂としては、旭化成ケミカルズ(株)製のタフテックH1041(商品名)を用いた。
(試験品5)
AES樹脂を65質量%、AS樹脂を35質量%含有するゴム強化ビニル系樹脂を成形して試験品5とした。試験品5のゴム強化ビニル系樹脂の全量におけるゴム量は、15質量%であった。
AES樹脂としては試験品3と同じものを用い、AS樹脂としては試験品1と同じものを用いた。
(比較品)
AS樹脂からなるゴム強化ビニル系樹脂を成形して比較品とした。比較品はゴム成分を含有しないものである。
AS樹脂としては試験品1と同じものを用いた。
試験品1〜5としての消音部材5は、以下のようにして製造した。
各組成を有する組成物を、ヘンシェルミキサーにて混合した後、この混合物を、二軸押出機((株)日本製鋼所製,TEX44αII)へ供給して、シリンダー設定温度を200〜250℃として溶融・混錬し、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。次いで、このペレットを、フィルム成形機における押出機に供給し、押出機のダイから樹脂温度240℃の溶融樹脂を吐出させて、フィルムを成形した。その後、フィルムを、エアーナイフによって表面温度90℃のキャストロールに密着させ、薄肉化して、冷却固化した厚みが80〜150μmのフィルム状の成形体51を得た。なお、溶融樹脂の温度は、熱電対式温度計を用いて測定した。
また、フィルム状の成形体51の片側の表面に、粘着層52を構成するための粘着層形成用材料を、コンマコート法によって塗布し、フィルム状の成形体51に粘着層52が設けられた消音部材5を得た。
なお、比較品としての消音部材は、試験品1〜5としての消音部材5と同様の方法によって製造した。
本実施例においては、試験品1〜5及び比較品としての消音部材5は、以下の一対の固定板61と可動板62との間に配置し、一対の固定板61と可動板62との間にきしみ音が発生したか否かを確認した。
具体的には、図3に示すように、一対の木製の固定板61と木製の可動板62とを準備し、一対の固定板61の表面には、可動板62の各端部が差し込まれる差込溝611をそれぞれ設けた。また、可動板62の各端部には、フィルム状の消音部材5を貼り付けた。そして、固定板61の各差込溝611に可動板62の端部をそれぞれ差し込み、一対の固定板61と可動板62との間に49N(5kgf)の荷重を加えた状態で、一対の固定板61に対して可動板62を各差込溝611の形成方向に沿ってスライドさせ、きしみ音の発生の有無を確認した。この確認はそれぞれ5回行い、きしみ音の発生の有無を評価した。
試験品1〜5及び比較品の組成及びきしみ音の発生の有無を評価した結果を表1に示す。同表において、5回の確認において、きしみ音の発生がなかった場合を◎とし、5回の確認において、僅かなきしみ音が発生した場合を○とし、5回の確認において、きしみ音の発生が顕著であった場合を×とした。
Figure 2016141974
同表に示すように、AES樹脂を含有する試験品3,5の評価が最も良くなり、次いで、ゴム成分を含有する試験品1,2,4の評価が良くなり、比較品の評価は最も悪くなった。また、ゴム成分としてEPゴム(エチレン・プロピレンゴム)を含有するAES樹脂を含む場合(試験品3,5)には、摺動性付与剤を含有してもしなくても、きしみ音の対策効果が良好であることがわかった。
1 階段
2 踏み板
21 差込溝
3 蹴込板(構造部材)
4 桁板(構造部材)
41,42 差込溝
5 消音部材
51 成形体
52 粘着層

Claims (6)

  1. 踏み板と該踏み板に接触する構造部材とを備える階段に用いられ、上記踏み板と上記構造部材との接触箇所に配置されて、該踏み板と該構造部材との間にきしみ音が発生することを抑制する消音部材であって、
    該消音部材は、ゴム強化ビニル系樹脂(A)を含有する組成物の成形体であり、
    上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)の全量におけるゴム量は、5〜60質量%であることを特徴とする階段用の消音部材。
  2. 上記組成物は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)100質量部に対して、摺動性付与剤(B)を0.1〜30質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の階段用の消音部材。
  3. 上記組成物は、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)と、オレフィン系樹脂(C)とを含有することを特徴とする請求項1に記載の階段用の消音部材。
  4. 上記ゴム強化ビニル系樹脂(A)は、エチレン・α−オレフィン系ゴム質重合体(d1)を含有するゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)を含み、
    該ゴム強化芳香族ビニル系樹脂(D)の融点が、0〜120℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の階段用の消音部材。
  5. フィルム状の成形体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の階段用の消音部材。
  6. 上記成形体の少なくとも片側の表面に粘着層を有することを特徴とする請求項5に記載の階段用の消音部材。
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