JP2016141900A - 木質繊維板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量性に優れ、且つ外観見栄えの良い木質繊維板を製造する。
【解決手段】スチレン樹脂ビーズ(15)が混入されたスラリー(18)を抄造して成形した湿潤な繊維マット(13)を乾燥させた後に、繊維マット(13)の表面に加熱処理を施すことにより、当該繊維マット(13)の表面に存在するスチレン樹脂ビーズ(15)を、軟化点以上の温度で加熱して少なくとも発泡前の状態に近い体積にまで減容化し、そのスチレン樹脂ビーズ(15)の減容化を以て繊維マット(13)に空隙(17)を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】スチレン樹脂ビーズ(15)が混入されたスラリー(18)を抄造して成形した湿潤な繊維マット(13)を乾燥させた後に、繊維マット(13)の表面に加熱処理を施すことにより、当該繊維マット(13)の表面に存在するスチレン樹脂ビーズ(15)を、軟化点以上の温度で加熱して少なくとも発泡前の状態に近い体積にまで減容化し、そのスチレン樹脂ビーズ(15)の減容化を以て繊維マット(13)に空隙(17)を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は、木質繊維を主材とし発泡性樹脂ビーズを含む木質繊維板を製造する方法に関する。
一般に、木材チップ等を解繊した木質繊維にバインダ等を添加したスラリーを抄造によりマット状としそれを乾燥させてなる軽量な木質繊維板は、例えば、畳床や壁下地材、化粧用天井などの建材用途の他、家具やキャビネットの芯材といった産業資材などの用途にも広範囲に使用されている。この木質繊維板としては、同板の軽量化を図るべく、木質繊維に比べて比重の小さな発泡性樹脂ビーズを散在させた状態に含むものが知られている。
この種の木質繊維板の製造方法は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の方法では、抄造前のスラリーに発泡性樹脂ビーズを混入し、その発泡性樹脂ビーズを抄造後の加熱乾燥で発泡させて、木質繊維板を得ている。そして、この特許文献1には、発泡性樹脂ビーズの粒径について加熱発泡後で1〜5mm程度が好ましいと記載されている。
特許文献1に開示の方法で製造された木質繊維板では、多数の発泡性樹脂ビーズが1mm以上の粒径で板内に散らばった状態に残存する。発泡性樹脂ビーズは、一般的に白色であるため木質繊維板の表面に点在していると、特段目立つし繊維板のイメージにそぐわない見た目となり、同板の資材としての外観見栄えが損なわれる。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量性に優れ、且つ外観見栄えの良い木質繊維板を製造することにある。
上記の目的を達成するために、この発明では、発泡度及び外観見栄えの観点から適性な粒径の発泡性樹脂ビーズを用い、この発泡性樹脂ビーズを一旦発泡させた状態から軟化させ脱泡することにした。
具体的には、本発明は、木質繊維を主材とし発泡性樹脂ビーズと共に水に混入してスラリーを調製するスラリー調製工程と、このスラリーを抄造して湿潤な繊維マットを成形するマット成形工程と、この繊維マットに含まれる発泡性樹脂ビーズを加熱により発泡させ、その発泡性樹脂ビーズに体積膨張を生じさせるビーズ発泡工程と、当該繊維マットを所定の水分率まで乾燥させる乾燥工程と、を含む木質繊維板の製造方法を対象とする。ここでいう「主材」とは、スラリー中の配合量(全固形成分に対する重量比率)が50%以上であることを意味する。そして、本発明は、以下の解決手段を講じたものである。
すなわち、第1の発明は、スラリー調製工程において、発泡性樹脂ビーズに平均粒径が0.2mm以上且つ0.6mm以下の発泡性樹脂ビーズを用いることを1つの構成要件とする。そして、第1の発明は、乾燥工程の後に、繊維マットの表面に加熱処理を施すことにより、当該繊維マットの表面に存在する発泡性樹脂ビーズを軟化点以上の温度で加熱し脱泡させて発泡状態から減容化し、その発泡性樹脂ビーズの減容化を以て繊維マットに空隙を形成するビーズ減容化工程をさらに含むことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明の木質繊維板の製造方法において、乾燥工程では、繊維マットを絶乾状態にまで乾燥させることを1つの構成要件とする。そして、第2の発明は、ビーズ減容化工程において、繊維マットの全体に亘って、発泡性樹脂ビーズを減容化すると共にそれによる空隙を形成することを特徴とする。
第3の発明は、第1又は第2の発明の木質繊維板の製造方法において、スラリー調製工程での発泡性樹脂ビーズの混入量が、スラリーを生成する全固形成分に対し5重量%以上且つ20重量%以下であることを特徴とする。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つの木質繊維板の製造方法において、ビーズ減容化工程では、繊維マットを通風ドライヤーから吹き出された熱風に晒すことで、当該繊維マットに含まれる発泡性樹脂ビーズを加熱することを特徴とする。
第5の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つの木質繊維板の製造方法において、ビーズ減容化工程では、繊維マットの表面に加熱平板を接触させることで、当該繊維マットに含まれる発泡性樹脂ビーズを加熱することを特徴とする。
第1の発明によれば、スラリーに混入する発泡性樹脂ビーズの平均粒径を0.2mm以上且つ0.6mm以下としたので、比較的小さな粒径の発泡性樹脂ビーズでも発泡度を極端に損なうことなく、木質繊維板の軽量化に寄与するのに必要な発泡度を得ることができる。そして、ビーズ減容化工程にて、繊維マットの表面に存在する発泡性樹脂ビーズを軟化させて脱泡することにより、その脱泡した発泡性樹脂ビーズは発泡前の状態に近い体積に戻り、この発泡性樹脂ビーズの減容化によって繊維マットに空隙を形成するようにしたから、発泡性樹脂ビーズは微細な体積で空隙の内側に不定形な状態で残存する。これにより、発泡性樹脂ビーズが繊維マットの表面に点在していても視認され難くし、その発泡性樹脂ビーズを目立たなくすることができる。したがって、軽量性に優れ且つ外観見栄えの良い木質繊維板を製造することができる。
第2の発明によれば、ビーズ減容化工程にて、繊維マットの深部においても、発泡性樹脂ビーズを軟化させて脱泡し、それによる発泡性樹脂ビーズの減容化を以て繊維マットに空隙を形成するようにしたから、木質繊維板の切断面に発泡性樹脂ビーズが点在していても発泡性樹脂ビーズを目立たなくすることができ、木質繊維板の外観見栄えをよりいっそう良くすることができる。
第3の発明によれば、スラリー調製工程での発泡性樹脂ビーズの混入量を5重量%以上且つ20重量%以下にしたから、当該発泡性樹脂ビーズによる木質繊維板の軽量化度合を高めつつ、発泡性樹脂ビーズを減容化するための加熱処理に要する時間が短くて済むので、木質繊維板の製造効率を高めることができる。
第4の発明によれば、繊維マットの表面に対する加熱処理を通風ドライヤーを用いて施すようにしたので、その加熱処理の際に繊維マットにかかる圧力を小さくし、繊維マットに形成された空隙を押し潰さずに保持することができる。これによって、木質繊維板に空隙による断熱効果や吸音効果を有効に得ることができ、これらの効果を損なうことなく木質繊維板の軽量化を図ることができる。
第5の発明によれば、繊維マットの表面に対する加熱処理を加熱平板を用いて施すようにしたので、その加熱処理の際に繊維マットにかかる圧力を小さくし、繊維マットに形成された空隙を押し潰さずに保持することができる。これによって、木質繊維板に空隙による断熱効果や吸音効果を有効に得ることができ、これらの効果を損なうことなく木質繊維板の軽量化を図ることができる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
この実施形態1では、本発明に係る木質繊維板の製造方法について、木質繊維板の両側表面(両面)及びその付近に存在する発泡性樹脂ビーズを、発泡させた後に軟化させて脱泡することにより減容化し、木質繊維板の深部に存在する発泡性樹脂ビーズに比べて小さな体積で残存させる木質繊維板の製造方法を例に挙げて説明する。
この実施形態1では、本発明に係る木質繊維板の製造方法について、木質繊維板の両側表面(両面)及びその付近に存在する発泡性樹脂ビーズを、発泡させた後に軟化させて脱泡することにより減容化し、木質繊維板の深部に存在する発泡性樹脂ビーズに比べて小さな体積で残存させる木質繊維板の製造方法を例に挙げて説明する。
−木質繊維板の構成−
図1に、この実施形態1に係る木質繊維板11の斜視図を示す。また、図2に、図1のII−II線における木質繊維板11の拡大断面図を示す。なお、図2は、木質繊維板11の断面を概念的に示す図であるので、図示された発泡性樹脂ビーズ15のサイズや密度、及び空隙17の形状等は、具体的な状態に示すものではなく、これに何ら限定されるものではない。
図1に、この実施形態1に係る木質繊維板11の斜視図を示す。また、図2に、図1のII−II線における木質繊維板11の拡大断面図を示す。なお、図2は、木質繊維板11の断面を概念的に示す図であるので、図示された発泡性樹脂ビーズ15のサイズや密度、及び空隙17の形状等は、具体的な状態に示すものではなく、これに何ら限定されるものではない。
木質繊維板11は、図1に示すように、例えば矩形状に形成されたインシュレーションボード(IB:Insulation Board)と呼ばれる比較的軽量な軟質繊維板である。この木質繊維板11は、茶色の繊維マット13を本体として有し、この繊維マット13内に多数の発泡性樹脂ビーズ15が散らばった状態で残存した構成を有する。
繊維マット13は、木材などの木質繊維13aを主材とし、木質繊維13a同士をバインダ(接合剤)によって結合させてなる。木質繊維13aとしては、その種類を限定するものではなく、針葉樹、広葉樹を問わないし、建築廃材やパレット廃材などの繊維を挙げることができる。さらに、パルプ、麻、亜麻などの植物繊維や靱皮繊維なども利用できる。
発泡性樹脂ビーズ15は、例えば、ポリスチレン等のスチレン樹脂やポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂を外殻とし、加熱によってガス化して体積が膨張する揮発性物質、又は加熱によって分解してガスを発生する物質からなる発泡剤を内包する粒子状物である。この発泡性樹脂ビーズ15の状態は、繊維マット13の表面及びその付近に存在する発泡性樹脂ビーズ15と、繊維マット13の深部に存在する発泡性樹脂ビーズ15とで異なる。
繊維マット13の表面及びその付近に存在する発泡性樹脂ビーズ15は、一旦発泡させた状態から軟化し、それにより脱泡されていて不定形な状態にあり、発泡前の状態に近い体積を有する。繊維マット13のうち脱泡した発泡性樹脂ビーズ15の周辺部分には、木質繊維13aが発泡性樹脂ビーズ15の発泡時に押し広げられてなる空隙17が形成されている。他方、繊維マット13の深部に存在する発泡性樹脂ビーズ15は、発泡によって体積膨張したままの状態にあり、繊維マット13の表面及びその付近に存在する発泡性樹脂ビーズ15よりも大きな体積を有する。
−木質繊維板の製造方法−
上記構成の木質繊維板11は湿式抄造法を利用して製造される。以下に、この木質繊維板11の製造方法について、発泡性樹脂ビーズ15に外殻がスチレン樹脂からなる発泡性樹脂ビーズ(以下、スチレン樹脂ビーズと称する)を用いる場合を例に挙げて、図3〜図5を参照しながら説明する。
上記構成の木質繊維板11は湿式抄造法を利用して製造される。以下に、この木質繊維板11の製造方法について、発泡性樹脂ビーズ15に外殻がスチレン樹脂からなる発泡性樹脂ビーズ(以下、スチレン樹脂ビーズと称する)を用いる場合を例に挙げて、図3〜図5を参照しながら説明する。
図3は、木質繊維板11の製造過程を簡略に示す図である。図4は、スチレン樹脂ビーズ15を発泡させる前の繊維マット13の図2相当箇所の断面図である。図5は、スチレン樹脂ビーズ15を発泡させた後の繊維マット13の図2相当箇所の断面図である。木質繊維板11の製造方法は、スラリー調製工程と、マット成形工程と、ビーズ発泡工程と、乾燥工程と、ビーズ減容化工程と、を含む。
<スラリー調製工程>
スラリー調製工程では、木質繊維13aを主材とし、これとバインダ及びスチレン樹脂ビーズ15とを水に混入し撹拌することにより、スラリー18(後に参照する図3に示す)を調製する。
スラリー調製工程では、木質繊維13aを主材とし、これとバインダ及びスチレン樹脂ビーズ15とを水に混入し撹拌することにより、スラリー18(後に参照する図3に示す)を調製する。
木質繊維13aは、例えば木材チップなどに対し、蒸煮した後に解繊する繊維化処理を施すことで得られる。また、このような木質繊維13a以外に、例えばリサイクルされた古紙や木質繊維板を再解繊して得られたものも使用できる。この木質繊維13aの混入量は、スラリー18を生成する全固形成分に対し、例えば75重量%以上且つ90重量%以下の範囲である。
バインダとしては、加熱によってタック性を発現する、湿式抄造法に使用可能なバインダであればどのようなものであってもよく、例えば、ポリビニルアルコール、スターチ、フェノール系樹脂、ユリア系樹脂、ユリア・メラミン系樹脂、メラミン系樹脂、イソシアネート系樹脂及びこれらの混合物などが用いられる。これらの中でも特に、イソシアネート系樹脂をバインダとして用いることが好ましい。その理由は、木質繊維13aがイソシアネート基と反応しやすい水酸基を有するので、無機結合剤を使用する場合には得られない、より強い結合力を得ることができるからである。
バインダには、スラリー18中に均一に分散可能な程度に微粉末化、液体状又はゲル状のものが使用される。このバインダの混入量は、スラリー18を生成する全固形成分に対し、例えば3重量%以上且つ10重量%以下の範囲であり、好ましくは3重量%以上且つ5重量%以下である。
スチレン樹脂ビーズ15としては、平均粒径が0.2mm以上且つ0.6mm以下の範囲にあるスチレン樹脂ビーズが用いられる。スチレン樹脂ビーズ15の平均粒径をこのような範囲に設定したのは、スチレン樹脂ビーズ15の平均粒径が0.2mm未満であると、スチレン樹脂ビーズ15の発泡度及び発泡状態での体積が著しく低下してしまい、木質繊維板11の軽量化に寄与するのに必要な発泡効果を得ることが困難であり、その一方で、スチレン樹脂ビーズ15の平均粒径が0.6mmを超えると、スチレン樹脂ビーズ15を発泡前の状態に近い体積にまで減容化し、その減容化を以て繊維マット13に空隙17を形成してもスチレン樹脂ビーズ15は依然として目に付くし、後述するスチレン樹脂ビーズ15を減容化するための加熱処理に比較的長い時間を要するからである。
なお、スチレン樹脂ビーズ15の平均粒径とは、体積平均径であって、レーザー回折・散乱法により測定された粒子径の体積分布から平均値を算出した値である。
スチレン樹脂ビーズ15の発泡倍率は、例えば10倍以上且つ60倍以下の範囲にある。また、スチレン樹脂ビーズ15の混入量は、スラリー18を生成する全固形成分に対し、5重量%以上且つ20重量%以下の範囲が好ましく、5重量%以上且つ10重量%以下の範囲がさらに好ましい。スチレン樹脂ビーズ15の混入量をこのような範囲に設定したのは、スチレン樹脂ビーズ15の混入量が5重量%未満であると、スチレン樹脂ビーズ15による木質繊維板11の軽量化効果が然程なく、その一方で、スチレン樹脂ビーズ15の混入量が10重量%を超えると、スチレン樹脂ビーズ15を減容化するための加熱処理に比較的長い時間を要し、このことは、スチレン樹脂ビーズ15の混入量が20重量%を超えるとより顕著になるからである。
なお、スラリー18中には、これらバインダ及びスチレン樹脂ビーズ15と共に、必要に応じて凝集剤や防腐剤、防カビ剤、防蟻剤などの添加剤を、全固形成分に対し、例えば0.5重量%以上且つ5重量%以下の範囲で加えてもよい。
<マット成形工程>
マット成形工程では、上述のように生成したスラリー18を長綱式又は丸綱式の抄造機により抄造して、湿潤な繊維マット13を成形する。図3では、丸綱式抄造機19を用いて繊維マット13を成形する過程を簡略に示す。
マット成形工程では、上述のように生成したスラリー18を長綱式又は丸綱式の抄造機により抄造して、湿潤な繊維マット13を成形する。図3では、丸綱式抄造機19を用いて繊維マット13を成形する過程を簡略に示す。
丸綱式抄造機19を用いて繊維マット13を成形する場合には、図3に示すように、スラリー18を丸綱式抄造機19のドラム21により吸着しながら、フォーミングプレス23によってプレスすることにより、湿潤な繊維マット13を成形する。次に、このように成形された繊維マット13を、ロールコンベア24により搬送してウエットプレス25に搬入し、このウエットプレス25によって所定の圧力にて圧搾し、不要な水分を絞りだしながら、当該繊維マット13の厚さを整える。
このようにして得られた繊維マット13には、図4に示すように、多数のスチレン樹脂ビーズ15が表面及び内部に散在した状態で含まれる。その後、繊維マット13は、丸綱式抄造機19から通気乾燥機27へ連続的に搬送される。
<ビーズ発泡工程・乾燥工程>
ビーズ発泡工程は、繊維マット13に含まれるスチレン樹脂ビーズ15を多湿条件下での加熱により発泡させ、そのスチレン樹脂ビーズ15に体積膨張を生じさせる工程である。乾燥工程は、繊維マット13を所定の水分率まで乾燥させる工程である。これらビーズ発泡工程及び乾燥工程は、通気乾燥機27で併せて行われる。
ビーズ発泡工程は、繊維マット13に含まれるスチレン樹脂ビーズ15を多湿条件下での加熱により発泡させ、そのスチレン樹脂ビーズ15に体積膨張を生じさせる工程である。乾燥工程は、繊維マット13を所定の水分率まで乾燥させる工程である。これらビーズ発泡工程及び乾燥工程は、通気乾燥機27で併せて行われる。
通気乾燥機27は、搬送中の繊維マット13に熱風を通気させることで乾燥させる直接加熱方式の乾燥機である。この通気乾燥機27の内部には、繊維マット13に向けて熱風を吹き付ける通風ドライヤー29が、繊維マット13の搬送位置に対して上下両側に一対に設置されている。乾燥工程では、これら一対の通風ドライヤー29により繊維マット13の両面に100℃以上且つ200℃以下の温度の熱風を吹き付けることで、その熱風による加熱を湿潤な状態にある繊維マット13の内部にまで作用させ、当該繊維マット13を例えば平均含水率が3%以上且つ10%以下となるまで乾燥させる。
このときにビーズ発泡工程も併せて行われる。すなわち、繊維マット13を乾燥させる過程で、図5に示すように、当該繊維マット13に含まれるスチレン樹脂ビーズ15が通風ドライヤー29の熱風による加熱作用を受けつつ繊維マット13の湿気から生じる蒸気で蒸されて約100℃程度の温度に加熱されることで発泡し、それによってスチレン樹脂ビーズ15の体積が膨張する。繊維マット13の木質繊維13aは、このスチレン樹脂ビーズ15の体積膨張を以て押し広げられ、その状態でバインダが熱反応により硬化し接合される。その後、繊維マット13は、通気乾燥機27から通気加熱機31に連続的に搬送される。
<ビーズ減容化工程>
ビーズ減容化工程では、乾燥工程の後に、繊維マット13の表面に加熱処理を施すことにより、当該繊維マット13の両面及びその付近に存在するスチレン樹脂ビーズ15を発泡状態から減容化する。このビーズ減容化工程は、通気加熱機31にて行われる。
ビーズ減容化工程では、乾燥工程の後に、繊維マット13の表面に加熱処理を施すことにより、当該繊維マット13の両面及びその付近に存在するスチレン樹脂ビーズ15を発泡状態から減容化する。このビーズ減容化工程は、通気加熱機31にて行われる。
通気加熱機31は、搬送中の繊維マット13に熱風を通気させることで加熱する直接加熱方式の加熱処理機である。この通気加熱機31の内部には、繊維マット13に向けて熱風を吹き付ける通風ドライヤー33が、繊維マット13の搬送位置に対して上下両側に一対に設置されている。ビーズ減容化工程では、これら一対の通風ドライヤー33から吹き出された熱風に繊維マット13の両面を晒すことで、当該繊維マット13の両面をスチレン樹脂ビーズ15の軟化点以上の温度、具体的には140℃以上且つ200℃以下で加熱する。
そうして、繊維マット13の両面及びその付近に通風ドライヤー33による加熱を作用させ、図2に示すように、その繊維マット13の両面及びその付近に存在するスチレン樹脂ビーズ15を軟化させて脱泡し、発泡前の状態に近い体積にまで減容化する。このとき、木質繊維13a同士はバインダで接合されているので、スチレン樹脂ビーズ15が減容化してもスチレン樹脂ビーズ15を取り囲む木質繊維13aは、スチレン樹脂ビーズ15の減容化に追従せずに押し広げられた状態を維持し、その結果、繊維マット13のうちスチレン樹脂ビーズ15の周辺部分に空隙17が形成される。また、繊維マット13の深部に存在するスチレン樹脂ビーズ15は、通風ドライヤー33による加熱作用がさほど及ばず軟化を起こさないか、当該加熱作用によって軟化しても発泡前の体積よりも大きな体積で残存する。
スチレン樹脂ビーズ15の温度は繊維マット13の含水率が絶乾状態に近くなるほど上がり易く、繊維マット13の含水率が高いほどスチレン樹脂ビーズ15に100℃以上の温度を作用させるのが困難になる。このため、乾燥工程において、スラリー18の乾燥温度条件を調整することにより、繊維マット13の厚さ方向における含水率分布を調整し、スチレン樹脂ビーズ15を軟化させたい部分を絶乾状態に近い状態とし、スチレン樹脂ビーズ15を軟化させずに発泡体のまま残したい部分を含水率が相対的に高い状態としておけばよい。
しかる後、繊維マット13は、通気加熱機31からカット装置側に連続的に搬送されて、カット装置が備えるカッターなどの切断手段35で所定の長さに切断される。以上の工程を経て、図1に示す木質繊維板11が製造される。
−実施形態1の効果−
この実施形態1に係る木質繊維板11の製造方法によると、スラリー18に混入するスチレン樹脂ビーズ15に平均粒径が0.2mm以上且つ0.6mm以下のものを使用したので、比較的小さな粒径のスチレン樹脂ビーズ15でも発泡度を極端に損なうことなく、木質繊維板11の軽量化に寄与するのに必要な発泡度を得ることができる。そして、ビーズ減容化工程にて、繊維マット13の表面に存在するスチレン樹脂ビーズ15を軟化させて脱泡することにより、その脱泡したスチレン樹脂ビーズ15を発泡前の状態に近い体積に戻し、このスチレン樹脂ビーズ15の減容化によって繊維マット13に空隙17を形成するようにしたから、そのスチレン樹脂ビーズ15は微細な体積で空隙17の内側に不定形な状態で残存する。これにより、スチレン樹脂ビーズ15が繊維マット13表面に点在していても視認され難く、そのスチレン樹脂ビーズ15を目立たなくすることができる。したがって、軽量性に優れ且つ外観見栄えの良い木質繊維板11を製造することができる。
この実施形態1に係る木質繊維板11の製造方法によると、スラリー18に混入するスチレン樹脂ビーズ15に平均粒径が0.2mm以上且つ0.6mm以下のものを使用したので、比較的小さな粒径のスチレン樹脂ビーズ15でも発泡度を極端に損なうことなく、木質繊維板11の軽量化に寄与するのに必要な発泡度を得ることができる。そして、ビーズ減容化工程にて、繊維マット13の表面に存在するスチレン樹脂ビーズ15を軟化させて脱泡することにより、その脱泡したスチレン樹脂ビーズ15を発泡前の状態に近い体積に戻し、このスチレン樹脂ビーズ15の減容化によって繊維マット13に空隙17を形成するようにしたから、そのスチレン樹脂ビーズ15は微細な体積で空隙17の内側に不定形な状態で残存する。これにより、スチレン樹脂ビーズ15が繊維マット13表面に点在していても視認され難く、そのスチレン樹脂ビーズ15を目立たなくすることができる。したがって、軽量性に優れ且つ外観見栄えの良い木質繊維板11を製造することができる。
また、ビーズ減容化工程での繊維マット13の表面に対する加熱処理を通風ドライヤー33を用いて施すようにしたので、その加熱処理の際に繊維マット13にかかる圧力を小さくし、繊維マット13に形成された空隙17を押し潰さずに保持することができる。これによって、木質繊維板11に空隙17による断熱効果や吸音効果を有効に得ることができ、これらの効果を損なうことなく木質繊維板11の軽量化を図ることができる。
また、スラリー調製工程でのスチレン樹脂ビーズ15の混入量を5重量%以上且つ20重量%以下、好ましくは10重量%以下にすることで、当該スチレン樹脂ビーズ15による木質繊維板11の軽量化度合を高めつつ、スチレン樹脂ビーズ15を減容化するための加熱処理に要する時間が短くて済むので、木質繊維板11の製造効率を高めることができる。
《発明の実施形態2》
この実施形態2では、本発明に係る木質繊維板の製造方法について、木質繊維板の両面及びその付近のみならず全体に存在する発泡性樹脂ビーズを、一旦発泡させた後に軟化させて脱泡することにより減容化し、発泡状態に比べて小さな体積で残存させる木質繊維板の製造方法を例に挙げて説明する。
この実施形態2では、本発明に係る木質繊維板の製造方法について、木質繊維板の両面及びその付近のみならず全体に存在する発泡性樹脂ビーズを、一旦発泡させた後に軟化させて脱泡することにより減容化し、発泡状態に比べて小さな体積で残存させる木質繊維板の製造方法を例に挙げて説明する。
−木質繊維板の構成−
図6に、この実施形態2に係る木質繊維板11の図2相当図を示す。この木質繊維板11は、図6に示すように、繊維マット13の全体に亘って、発泡性樹脂ビーズ15が一旦発泡させた状態から軟化して脱泡されることで発泡前の状態に近い体積に減容化されており、それによる空隙17が形成されている点で、上記実施形態1と異なる。本実施形態の木質繊維板11のその他の構成については、上記実施形態1と同様に構成されている。
図6に、この実施形態2に係る木質繊維板11の図2相当図を示す。この木質繊維板11は、図6に示すように、繊維マット13の全体に亘って、発泡性樹脂ビーズ15が一旦発泡させた状態から軟化して脱泡されることで発泡前の状態に近い体積に減容化されており、それによる空隙17が形成されている点で、上記実施形態1と異なる。本実施形態の木質繊維板11のその他の構成については、上記実施形態1と同様に構成されている。
−木質繊維板の製造方法−
次に、この実施形態2に係る木質繊維板11の製造方法について、上記実施形態1と同様に、発泡性樹脂ビーズ15としてスチレン樹脂ビーズを用いる場合を例に挙げて以下に説明する。この木質繊維板11の製造方法は、上記実施形態1と同様に、スラリー調製工程と、マット成形工程と、ビーズ発泡工程と、乾燥工程と、ビーズ減容化工程と、を含む。これらの工程のうちスラリー調製工程及びマット成形工程については、上記実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
次に、この実施形態2に係る木質繊維板11の製造方法について、上記実施形態1と同様に、発泡性樹脂ビーズ15としてスチレン樹脂ビーズを用いる場合を例に挙げて以下に説明する。この木質繊維板11の製造方法は、上記実施形態1と同様に、スラリー調製工程と、マット成形工程と、ビーズ発泡工程と、乾燥工程と、ビーズ減容化工程と、を含む。これらの工程のうちスラリー調製工程及びマット成形工程については、上記実施形態1と同じであるので、その説明を省略する。
<ビーズ発泡工程・乾燥工程>
乾燥工程では、通気乾燥機27に搬入された繊維マット13の両面に一対の通風ドライヤー29により100℃以上且つ200℃以下の温度の熱風を吹き付けることで、その熱風による加熱を湿潤な状態にある繊維マット13の内部にまで作用させ、絶乾状態、つまり含水率が0%となるまで乾燥させる。但し、この乾燥工程では、スチレン樹脂ビーズ15が軟化し脱泡しない程度の温度、例えば繊維マット13の表面温度が100℃以上且つ110℃以下になるような温度に熱風の温度を制御する。
乾燥工程では、通気乾燥機27に搬入された繊維マット13の両面に一対の通風ドライヤー29により100℃以上且つ200℃以下の温度の熱風を吹き付けることで、その熱風による加熱を湿潤な状態にある繊維マット13の内部にまで作用させ、絶乾状態、つまり含水率が0%となるまで乾燥させる。但し、この乾燥工程では、スチレン樹脂ビーズ15が軟化し脱泡しない程度の温度、例えば繊維マット13の表面温度が100℃以上且つ110℃以下になるような温度に熱風の温度を制御する。
このときにビーズ発泡工程も併せて行われる。すなわち、繊維マット13を乾燥させる過程で、図5に示すように、当該繊維マット13に含まれるスチレン樹脂ビーズ15が通風ドライヤー29の熱風による加熱作用を受けつつ繊維マット13の湿気から生じる蒸気で蒸されて約100℃程度の温度に加熱されることで発泡し、それによってスチレン樹脂ビーズ15の体積が膨張する。
<ビーズ減容化工程>
ビーズ減容化工程では、上記実施形態1と同様に、通気加熱機31に搬入された繊維マット13の両面を、一対の通風ドライヤー33から吹き出された熱風に晒すことにより、スチレン樹脂ビーズ15の軟化点以上の温度、具体的には140℃以上且つ200℃以下で加熱する。そうして、繊維マット13の全体に通風ドライヤー33による加熱を強く作用させ、図6に示すように、その繊維マット13の全体に亘ってスチレン樹脂ビーズ15を発泡前の状態に近い体積にまで減容化すると共に、スチレン樹脂ビーズ15の周辺部分に空隙17を形成する。
ビーズ減容化工程では、上記実施形態1と同様に、通気加熱機31に搬入された繊維マット13の両面を、一対の通風ドライヤー33から吹き出された熱風に晒すことにより、スチレン樹脂ビーズ15の軟化点以上の温度、具体的には140℃以上且つ200℃以下で加熱する。そうして、繊維マット13の全体に通風ドライヤー33による加熱を強く作用させ、図6に示すように、その繊維マット13の全体に亘ってスチレン樹脂ビーズ15を発泡前の状態に近い体積にまで減容化すると共に、スチレン樹脂ビーズ15の周辺部分に空隙17を形成する。
−実施形態2の効果−
この実施形態2に係る木質繊維板11の製造方法によると、ビーズ減容化工程にて、繊維マット13の深部においても、スチレン樹脂ビーズ15を軟化させて脱泡し、それによるスチレン樹脂ビーズ15の減容化を以て繊維マット13に空隙17を形成するようにしたから、木質繊維板11の切断面にスチレン樹脂ビーズ15が点在していてもそのスチレン樹脂ビーズ15を目立たなくすることができ、木質繊維板11の外観見栄えをよりいっそう良くすることができる。その他については、上記実施形態1と同様な効果を得ることができる。
この実施形態2に係る木質繊維板11の製造方法によると、ビーズ減容化工程にて、繊維マット13の深部においても、スチレン樹脂ビーズ15を軟化させて脱泡し、それによるスチレン樹脂ビーズ15の減容化を以て繊維マット13に空隙17を形成するようにしたから、木質繊維板11の切断面にスチレン樹脂ビーズ15が点在していてもそのスチレン樹脂ビーズ15を目立たなくすることができ、木質繊維板11の外観見栄えをよりいっそう良くすることができる。その他については、上記実施形態1と同様な効果を得ることができる。
《実施形態1及び2の変形例1》
図7に、この変形例に係る木質繊維板11の製造方法におけるビーズ減容化工程を簡略に示す。上記実施形態1及び2では、ビーズ減容化工程を通気加熱機31を使用して行うとしたが、本変形例では、ビーズ減容化工程を加熱処理機としての熱板加熱機37を使用して行う。
図7に、この変形例に係る木質繊維板11の製造方法におけるビーズ減容化工程を簡略に示す。上記実施形態1及び2では、ビーズ減容化工程を通気加熱機31を使用して行うとしたが、本変形例では、ビーズ減容化工程を加熱処理機としての熱板加熱機37を使用して行う。
熱板加熱機37の内部には、繊維マット13の搬送位置に対して上下両側に加熱平板39が一対に設置されている。ビーズ減容化工程では、これら一対の加熱平板39で繊維マット13を上下両側から挟み込み、当該繊維マット13の両面に加熱平板39を宛がって接触させることで、当該繊維マット13の両面及びその付近、或いはその全体に亘って加熱処理を施し、当該繊維マット13に含まれるスチレン樹脂ビーズ15を軟化点以上の温度で加熱する。
−変形例1の効果−
この変形例1に係る木質繊維板11の製造方法によっても、繊維マット13に形成された空隙17を押し潰さずに保持し、木質繊維板11に空隙17による断熱効果や吸音効果を有効に得ることができる。
この変形例1に係る木質繊維板11の製造方法によっても、繊維マット13に形成された空隙17を押し潰さずに保持し、木質繊維板11に空隙17による断熱効果や吸音効果を有効に得ることができる。
《実施形態1及び2の変形例2》
図8に、この変形例2に係る木質繊維板11の製造方法におけるビーズ減容化工程を簡略に示す。ビーズ減容化工程について、上記実施形態1及び2では通気乾燥機31を使用し、上記変形例では熱板加熱機35を使用して行うとしたが、この変形例2では、ビーズ減容化工程を、図8に示すように、加熱処理機として、搬送中の繊維マット13の両面に熱圧ロールプレスによって加熱処理を施すロールプレス加熱機41を使用して行う。
図8に、この変形例2に係る木質繊維板11の製造方法におけるビーズ減容化工程を簡略に示す。ビーズ減容化工程について、上記実施形態1及び2では通気乾燥機31を使用し、上記変形例では熱板加熱機35を使用して行うとしたが、この変形例2では、ビーズ減容化工程を、図8に示すように、加熱処理機として、搬送中の繊維マット13の両面に熱圧ロールプレスによって加熱処理を施すロールプレス加熱機41を使用して行う。
ロールプレス加熱機41の内部には、繊維マット13の搬送位置に対して上下両側にヒートロール43が一対に設置されている。ビーズ減容化工程では、これら一対のヒートロール43で繊維マット13を上下両側から挟み込み、その状態で両ヒートロール43を互いに逆方向に転動させることにより、繊維マット13を送りながら繊維マット13の両面及びその付近、或いはその全体に亘って加熱処理を施す。
この加熱処理によって、繊維マット13を平均含水率が所定の範囲、例えば3%以上且つ10%以下、或いは0%(絶乾状態)になるまで乾燥させると共に、その過程で当該繊維マット13に含まれるスチレン樹脂ビーズ15を発泡させる。そして、繊維マット13を乾燥させた後にも、ヒートロール43による加熱を繊維マット13に作用させ、繊維マット13の両面及びその付近、或いはその全体に存在するスチレン樹脂ビーズ15を、軟化点以上の温度で加熱することにより、一旦発泡した状態から軟化させて脱泡し、発泡前の状態に近い体積まで減容化すると共に、それによってスチレン樹脂ビーズ15の周辺部分に空隙17を形成する。
−変形例2の効果−
この変形例2に係る木質繊維板11の製造方法によっても、軽量性に優れ且つ外観見栄えの良い木質繊維板11を製造することができる。
この変形例2に係る木質繊維板11の製造方法によっても、軽量性に優れ且つ外観見栄えの良い木質繊維板11を製造することができる。
また、上記実施形態1,2及びそれらの変形例1,2では、木質繊維板11の製造方法について発泡性樹脂ビーズ15にスチレン樹脂ビーズ15を用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、発泡性樹脂ビーズ15としては、木質繊維板11の構成の説明で例示した、ポリエチレンやポリプロピレン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などの熱可塑性樹脂を外殻とするその他の発泡性樹脂ビーズを用いていてもよい。
この場合、ビーズ発泡工程では、発泡性樹脂ビーズ15にその材質に応じた発泡に必要な熱を付与して発泡させていればよい。また、ビーズ減容化工程では、発泡性樹脂ビーズ15をその材質に応じた軟化点以上の温度で加熱することで減容化し、それによって繊維マット13に空隙17を形成していればよい。
また、上記実施形態1,2及びそれらの変形例1,2では、スラリー調製工程でスラリー18にバインダを配合することを例示したが、これに限らず、バインダはスラリー18を生成する上で必須成分でなく、バインダを含まないスラリーから湿式抄造法を利用してバインダレスの木質繊維板を製造してもよい。
また、上記実施形態1,2及びそれらの変形例1,2では、ビーズ発泡工程と乾燥工程とを通気乾燥機27や熱板加熱機37、熱圧プレス機41で併せて行うとしたが、これに限らず、これらビーズ発泡工程と乾燥工程とは、別個独立に行っていてもよい。また、ビーズ減容化工程は、繊維マット13を所定の長さに切断した後に行っていても構わない。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲に限定されない。上記各実施形態が例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せに、さらに色々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲に属することは当業者に理解されるところである。
以上説明したように、本発明は、木質繊維を主材とし発泡性樹脂ビーズを含む木質繊維板を製造する方法について有用であり、特に、優れた軽量性を実現しつつ且つ外観見栄えを良くすることが要望される木質繊維板の製造方法に適している。
11…木質繊維板、13…繊維マット、13a…木質繊維、15…発泡性樹脂ビーズ(スチレン樹脂ビーズ)、17…空隙、18…スラリー、19…丸綱式抄造機、21…ドラム、23…フォーミングプレス、24…ロールコンベア、25…ウエットプレス、27…通気乾燥機、29…通風ドライヤー、31…通気加熱機、33…通風ドライヤー、35…切断手段、37…熱板加熱機、39…加熱平板、41…熱圧プレス機、43…ヒートロール
Claims (5)
- 木質繊維を主材とし発泡性樹脂ビーズと共に水に混入してスラリーを調製するスラリー調製工程と、
前記スラリーを抄造して湿潤な繊維マットを成形するマット成形工程と、
前記繊維マットに含まれる発泡性樹脂ビーズを加熱により発泡させ、該発泡性樹脂ビーズに体積膨張を生じさせるビーズ発泡工程と、
前記繊維マットを所定の水分率まで乾燥させる乾燥工程と、を含む木質繊維板の製造方法であって、
前記スラリー調製工程では、前記発泡性樹脂ビーズとして平均粒径が0.2mm以上且つ0.6mm以下の発泡性樹脂ビーズを用い、
前記乾燥工程の後に、前記繊維マットの表面に加熱処理を施すことにより、当該繊維マットの表面に存在する前記発泡性樹脂ビーズを軟化点以上の温度で加熱し脱泡させて発泡状態から減容化し、当該発泡性樹脂ビーズの減容化を以て前記繊維マットに空隙を形成するビーズ減容化工程をさらに含む
ことを特徴とする木質繊維板の製造方法。 - 請求項1に記載された木質繊維板の製造方法において、
前記乾燥工程では、前記繊維マットを絶乾状態にまで乾燥させ、
前記ビーズ減容化工程では、前記繊維マットの全体に亘って、前記発泡性樹脂ビーズを減容化すると共に前記空隙を形成する
ことを特徴とする木質繊維板の製造方法。 - 請求項1又は2に記載された木質繊維板の製造方法において、
前記スラリー調製工程での前記発泡性樹脂ビーズの混入量は、前記スラリーを生成する全固形成分に対し5重量%以上且つ20重量%以下である
ことを特徴とする木質繊維板の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載された木質繊維板の製造方法において、
前記ビーズ減容化工程では、前記繊維マットを通風ドライヤーから吹き出された熱風に晒すことで、当該繊維マットに含まれる前記発泡性樹脂ビーズを加熱する
ことを特徴とする木質繊維板の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載された木質繊維板の製造方法において、
前記ビーズ減容化工程では、前記繊維マットの表面に加熱平板を接触させることで、当該繊維マットに含まれる前記発泡性樹脂ビーズを加熱する
ことを特徴とする木質繊維板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015017798A JP2016141900A (ja) | 2015-01-30 | 2015-01-30 | 木質繊維板の製造方法 |
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CN113072324A (zh) * | 2021-03-30 | 2021-07-06 | 金木美佳(唐山)科技有限公司 | 一种高性能复合纤维板及其制备方法 |
-
2015
- 2015-01-30 JP JP2015017798A patent/JP2016141900A/ja active Pending
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