JP2016141764A - 蓄熱材用組成物および蓄熱材 - Google Patents

蓄熱材用組成物および蓄熱材 Download PDF

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Abstract

【課題】蓄熱容量が大きく液漏れ等の問題がない、蓄熱材を作成するための蓄熱材用組成物及び蓄熱材の提供。【解決手段】蓄熱材用組成物は、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)と、光重合開始剤(B)と、を含有する蓄熱材組成物。また、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)に由来する繰り返し単位と、ウレタン結合を有する化合物に由来する構造単位と、を有する蓄熱材。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄熱材用組成物および蓄熱材に関する。
電子機器の過熱による故障を防止するために、放熱材等を用いて発熱部から速やかに熱を移動させ外部へ放熱する方法が一般的である。しかし、携帯電話などの密封された小型機器においてはこのような放熱機構を備えることは困難であり、急速な発熱を一時的に蓄え過昇温を抑制するバッファーとして、蓄熱性樹脂成形体が検討されている。
例えば、特許文献1や2では、パラフィン等の蓄熱材や、蓄熱材を内包したマイクロカプセルをマトリックスとなる樹脂や繊維に分散させて成形体を作成する方法が開示されている。また、特許文献3には熱容量の大きな重合体をマトリックスとなる樹脂と混合し、成形体を作成する方法が開示されている。
特開2005−023229号公報 特開2014−125626号公報 国際公開WO2007119652号公報
このような蓄熱材用組成物は、成形体の蓄熱容量を大きくするために蓄熱材の配合量を増やす必要があるが、成形体の機械強度が低下するという問題があった。そこで、本発明に係る幾つかの態様は、前記課題の少なくとも一部を解決することで、液漏れ等の問題がない、蓄熱材用組成物を提供するものである。
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る蓄熱材用組成物の一態様は、
炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)と、光重合開始剤(B)と、を含有することを特徴とする。
[適用例2]
適用例1の蓄熱材用組成物において、さらにエチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)を含有することができる。
[適用例3]
適用例2の蓄熱材用組成物において、前記エチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)がウレタン(メタ)アクリレートであることができる。
[適用例4]
適用例1〜3のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物において、前記炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)100質量部に対して、エチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)を1〜150質量部を含有することができる。
[適用例5]
適用例1〜4のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物において、前記炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)100質量部に対し、前記光重合開始剤(B)を0.1〜25質量部含有することができる。
[適用例6]
本発明に係る蓄熱材の一態様は、適用例1〜5のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物へ光を照射して作成されることを特徴とする。
[適用例7]
本発明に係る蓄熱材の一態様は、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)に由来する繰り返し単位と、ウレタン結合を有する化合部に由来する構造単位と、を含有することを特徴とする。
[適用例8]
適用例7に記載の蓄熱材において、前記ウレタン結合を有する化合物がウレタン(メタ)アクリレートに由来することを特徴とする。
[適用例9]
適用例7または8に記載の蓄熱材において、前記ウレタン結合を有する化合物に由来する構造単位が、蓄熱材100質量部に対して0.1〜60質量部含有することを特徴とする。
本発明に係る蓄熱材用組成物によれば、単位体積あたりの潜熱蓄熱材の含有量が多く蓄熱性に優れており、また、高温時においても、蓄熱材が漏れ出すことや揮発することがなく、形状保持特性が良好であるため、取り扱い性に優れている。
以下、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含むものとして理解されるべきである。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜」および「メタクリル酸〜」の双方を包括する概念である。
1.蓄熱材用組成物
本発明の蓄熱材用組成物は、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)と、重合開始剤(B)とを含有する。
以下、本実施の形態に係る蓄熱材用組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
1.1. (A)成分
本発明の蓄熱材用組成物は、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)(以下、「(A)成分」ともいう。)を含有する。蓄熱材用組成物が(A)成分を含有することにより、蓄熱材用組成物を硬化させて得られる蓄熱材の熱容量を増大させることができる。
(A)成分としては、例えば、ベヘニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート)、テトラデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタトリアコンチル(メタ)アクリレート、ヘキサトリアコンチル(メタ)アクリレート、テトラチアコンチル(メタ)アクリレート、ドトリアコンチル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート、オクタコシル(メタ)アクリレート、ヘキサコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等があげられる。これらモノマーは1種を使用しても2種以上を併用してもよい。特に、ベヘニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートを好ましく使用することができる。
(A)成分の含有量は、蓄熱材用組成物100質量部中に好ましくは40〜99.8質量部、さらに好ましくは50〜95質量部である。含有量が前記範囲にあると、蓄熱材を形成した際に充分な潜熱量を確保できる。
1.2. (B)成分
本発明の蓄熱材用組成物は、光重合開始剤(B)(以下、「(B)成分」ともいう。)を含有する。蓄熱材用組成物が(B)成分を含有することにより、蓄熱材用組成物へ放射線を照射することにより硬化し、蓄熱材を作成することができる。ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
(B)成分としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン。チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド等が挙げられる。
また、光重合開始剤の製品としては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE651、IRGACURE500、IRGACURE907、IRGACURE127、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、Darocure1116、Darocure1173、LucirinTPO(以上、BASF製)、ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられる。
(B)成分の含有量は、蓄熱材用組成物100質量部中に好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.3〜10質量部である。
1.3. (C)成分
本発明の蓄熱材用組成物は必要に応じて、(A)成分以外の、エチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)(以下、「(C)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。本願発明に係る蓄熱材用組成物がエチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)を含有することにより、蓄熱材用組成物を硬化させて機械的強度を向上させた蓄熱材を作製することができる。
エチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリロイル基を1個を超えて有する化合物が好ましく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(「トリシクロデカンジイルジメタノールジ(メタ)アクリレート」とも言う)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、オキシビスメチレンビス(メタンテトライル)ヘキサキス(メタノール)ヘキサアクリラート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、ポリエチレングリコール♯400ジアクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、等を挙げることができる。これらの化合物は、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
これら(メタ)アクリロイル基を1個を超えて有する化合物の市販品としては、IBXA(大阪有機化学工業製)、アロニックスM−111、M−113、M114、M−117、TO−1210、アロニックスM−215、M−315、M−325、TO−1210(以上、東亞合成製)、NKエステル A−DCPユピマーUV(新中村化学工業製)、SA−1002(以上、三菱化学製)、KAYARDA TMPTA、KAYARDA DPHA、KAYARDA DPEA−12、KAYARDA DPCA−120、KAYARDA RP1040(以上、日本化薬製)を使用することができる。
(メタ)アクリロイル基を1個を超えて有する化合物として、ウレタン結合を有する化合物がより好ましい。ウレタン結合を有する化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレートがさらに好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、特開2014−231574等に記載されているウレタン(メタ)アクリレート等を使用することができるが、脂肪族ポリオールに由来する構造単位を平均1個を超えて4個以下有するウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。脂肪族ポリオールに由来する構造単位を有することにより、蓄熱材の柔軟性を向上させ、形状保持特性が高くなる。
ウレタン(メタ)アクリレート分子中の脂肪族ポリオールに由来する構造単位の数は、平均1個を超えて4個以下が好ましく、平均1.1〜4個がさらに好ましく、平均1.1〜3個が特に好ましい。なお、ここで平均値は数平均である。ウレタン(メタ)アクリレート分子中の脂肪族ポリオールに由来する構造単位の数が平均1個を超えている場合、脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量が増大するため、より柔軟な構造を有するウレタン(メタ)アクリレートが得られ、蓄熱材の耐屈曲性を改善し、形状保持させるために有用である。なお、本発明において、「脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量」とは、数平均分子量Lの脂肪族ポリオールに由来する構造単位がウレタン(メタ)アクリレート分子中に平均m個ある場合にL×mの値に相当する分子量をいう。
このため、例えば、数平均分子量Lが9,000である脂肪族ポリオールをm=1で有するウレタン(メタ)アクリレートよりも数平均分子量Lが4,500である脂肪族ポリオールをm=2で有するウレタン(メタ)アクリレートの方が、脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量は同一であるが、耐屈曲性が高く、形状保持特性が高くなる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、脂肪族ポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。すなわち、ジイソシアネートのイソシアネート基を、脂肪族ポリオールの水酸基および水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と、それぞれ反応させることにより製造される。
この反応としては、例えば脂肪族ポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;脂肪族ポリオールおよびジイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いで脂肪族ポリオールを反応させる方法;ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いで脂肪族ポリオールを反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法等が挙げられる。
脂肪族ポリオールとしては、芳香環構造や脂環構造等の環状構造を有さず、脂肪族構造を有するポリオールであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコール等脂肪族ポリエーテルポリオール、これらの脂肪族ポリエーテルポリオールとマレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族カルボン酸とを反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオール、前記脂肪族ポリエーテルポリオールとε−カプロラクトンとの反応物やポリ(ε−カプロラクトン)等の脂肪族ポリカプロラクトンポリオールの他、ポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンジオールのポリカーボネート等の脂肪族ポリカーボネートポリオール等を挙げることができる。これらの脂肪族ポリオールは、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
上記の如き脂肪族ポリオールは、例えばPTMG650、PTMG2000(以上、三菱化学製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂製)、プレミノールPML−3010、S3003、S3006、S3011、S4001、S4006、S4011、S4015(以上、旭硝子製)、PPG−400、PPG1000、EXCENOL720、1020(以上、旭硝子ウレタン製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土谷化学製)、クラレポリオールP−2010、P−3010、P−4010、P−5010、P6010(以上、クラレ製)等の市販品としても入手することができる。これらの脂肪族ポリオールの中では、(A)成分と比較的極性の近い脂肪族ポリエーテルが(A)成分との相溶性が良く、蓄熱材の形状保持特性が良いため好ましい。
ここで用いられる脂肪族ポリオールの分子量は特に限定されないが、数平均分子量が12,000以下であると組成物の粘度が過大とならないため好ましい。脂肪族ポリオールに由来する構造の見かけ上の分子量は1,000〜12,000であると同様の理由により好ましい。ここで、数平均分子量は、ポリスチレンを分子量標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により求める。
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。特に、2,4−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が好ましい。これらのジイソシアネートは、単独あるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(1)または(2)で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を使用することもできる。
これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。これらの、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
(式(1)および式(2)中、Rは水素原子またはメチル基を示し、nは0〜15の数を示す)
脂肪族ポリエーテルポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートの使用割合は、脂肪族ポリエーテルポリオールに含まれる水酸基1当量に対してジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が2〜4当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.5〜2当量となるようにするのが好ましい。
これらの化合物の反応においては、例えばナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量100質量部に対して0.01〜1質量部用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
(C)成分の含有量は、蓄熱材用組成物100質量部中に好ましくは1〜60質量%、さらに好ましくは3〜50質量%、特に好ましくは5〜40質量%である。含有量が前記範囲にあると、蓄熱材を形成した際に充分な潜熱量を確保でき、かつ、形状保持特性が良好である。
1.4. その他成分
本発明の蓄熱材用組成物は必要に応じてその他成分を含有することができる。例えば、(A)成分と異なる(メタ)アクリレートを含有することができる。具体的には、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、下記式(3)で示される(メタ)アクリレート等の芳香環構造を有する(メタ)アクリレート等挙げられる。
(式(3)中、R、R、RおよびRは互いに独立で、水素原子またはメチル基であり、mは1〜5の整数である)
さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、等を挙げることができる。これらの化合物は、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
(A)成分と異なる(メタ)アクリレートの含有量は、蓄熱材用組成物100質量部中好ましくは1〜60質量部、好ましくは3〜50質量部、特に好ましくは5〜40質量部である。含有量が前記範囲にあると、蓄熱材を形成した際に充分な潜熱量を確保でき、かつ、形状保持特性が良好である。
本発明の蓄熱材用組成物が含有することのできるその他成分としては、例えば、(メタ)アクリルポリマー、光増感剤、不飽和炭化水素化合物、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、飽和炭化水素化合物、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族ケトン、脂肪族アルデヒド、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、フィラー、結晶核剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃化剤、防菌・防カビ剤、分散剤、着色剤、着色防止剤、防錆剤、増粘剤、比重調整剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、熱伝導材、可塑剤、架橋剤、共架橋剤、加硫剤、加硫助剤、発泡剤、発泡助剤、消泡剤、難燃剤、制振剤、防臭剤が挙げられる。添加剤(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリルポリマーは、例えば、ポリベヘニル(メタ)アクリレート、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ポリヘキサデシル(メタ)アクリレート、ポリテトラデシル(メタ)アクリレート、ポリラウリル(メタ)アクリレート等を好ましく例示することができる。
光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB製)等が挙げられる。
不飽和炭化水素化合物としては、としては、例えば、1−オクテン、イソオクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン等を好ましく例示することができる。
飽和炭化水素化合物としては、例えば、炭素数8〜100の飽和炭化水素化合物が挙げられ、炭素数10〜30のアルキレン基を有する飽和炭化水素化合物が好ましい。具体的には、n−ドデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−イコサン等の直鎖状の脂肪族飽和炭化水素化合物;分岐状の脂肪族飽和炭化水素化合物が挙げられる。
飽和炭化水素化合物の1態様として、石油ワックスを用いることもできる。石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスが挙げられる。パラフィンワックスは、例えば、石油又は天然ガスを原料として、減圧蒸留留出油から分離精製することにより製造される、常温において固形のワックスである。マイクロクリスタリンワックスは、例えば、石油を原料として、減圧蒸留残渣油又は重質留出油から分離精製することにより製造される、常温において固形のワックスである。パラフィンワックスとしては、炭素数20〜40程度のものが、マイクロクリスタリンワックスとしては、炭素数30〜60程度のものが、融解熱量および入手性の面で好ましい。
脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜30の脂肪酸を用いることができ、直鎖状飽和脂肪酸、直鎖状不飽和脂肪酸、分岐状飽和脂肪酸、分岐状不飽和脂肪酸が挙げられる。これらの中でも、直鎖状飽和脂肪酸が好ましく、入手性の観点から、炭素数10〜18の直鎖状飽和脂肪酸がより好ましい。
直鎖状飽和脂肪酸としては、例えば、オクタン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(カプリン酸)(C10)、ドデカン酸(ラウリン酸)(C12)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)(C14)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)(C16)、オクタデカン酸(ステアリン酸)(C18)、エイコサン酸(C20)、ドコサン酸(C22)、テトラコサン酸(C24)、ヘキサコサン酸(C26)、オクタコサン酸(C28)、トリアコンタン酸(C30)が挙げられる。
脂肪酸エステルとして、例えば、炭素数10〜40の脂肪酸エステルが挙げられる。具体的には、酢酸ヘキサデシル、酢酸ヘプタデシル、ノナン酸メチル、ノナン酸エチル、デカン酸メチル、デカン酸エチル、テトラデカン酸メチル、テトラデカン酸エチル、ミリスチン酸セチル、ペンタデカン酸メチル、ヘキサデカン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸ヘキサデシル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ドデシル、ステアリン酸ステアリル、トリパルミチン、トリミリスチン、トリラウリン、トリカプリン、トリノナノイン、トリカプリリンが挙げられる。
脂肪族ケトンとしては、例えば、炭素数8〜30の脂肪族ケトンが挙げられる。具体的には、2−ノナノン、2−ペンタデカノン、3−ヘキサデカノン、8−ペンタデカノン、4,4−ビシクロヘキサノンが挙げられる。これらの中でも、産業上の利用に適した潜熱量を有し、合成も容易であるという観点から、酸素原子数が1つである脂肪族ケトンが好ましく用いられる。
脂肪族ケトンとしては、例えば、炭素数8〜30の脂肪族アルデヒドが挙げられる。具体的には、トリデカナール、テトラデカナール、ヘプタデカナール、オクタデカナールが挙げられる。これらの中でも、これらの中でも、産業上の利用に適した潜熱量を有し、合成も容易であるという観点から、酸素原子数が1つである脂肪族アルデヒドが好ましく用いられる。
脂肪族アルコールとしては、例えば、炭素数8〜60の脂肪族アルコールが挙げられる。具体的には、2−ドデカノール、1−テトラデカノール、7−テトラデカノール、1−オクタデカノール、1−エイコサノール、1,10−デカンジオールが挙げられる。これらの中でも、産業上の利用に適した潜熱量を得るという観点から、水酸基が分子末端に存在するアルコール化合物(末端アルコール化合物)が好ましく用いられる。
脂肪族エーテルとしては、例えば、炭素数14〜60の脂肪族エーテルが挙げられる。具体的には、ヘプチルエーテル、オクチルエーテル、テトラデシルエーテル、ヘキサデシルエーテルが挙げられる。これらの中でも、高い潜熱量を有し、合成も容易であるという観点から、酸素原子数が1つであり、対称構造を持つエーテル化合物、すなわち酸素原子に結合した2つの基が同一であるエーテル化合物が好ましく用いられる。
1.6. 蓄熱材用組成物の調製方法
本発明の蓄熱材用組成物は、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)と、光重合開始剤(B)とを、適宜の手段を用いて混合することによって調製することができる。また、本発明の蓄熱材用組成物において、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)と、光重合開始剤(B)との含有量の合計は、75質量%以上であることが好ましい。
2. 蓄熱材
本発明の蓄熱材は、本願発明の蓄熱材用組成物を光硬化させて作成することができる。また、本願発明の蓄熱材は、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)に由来する繰り返し単位と、ウレタン結合を有する化合物に由来する構造単位とを有する。
炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)は、前記「1.1. (A)成分」の項に記載した化合物と使用量を使用することができる。また、ウレタン結合を有する化合物としては、前記「1.3. (C)成分」の項に記載したウレタン(メタ)アクリレートを好ましく使用することができる。また、ウレタン結合を有する化合物に由来する構造単位は、蓄熱材100質量部に対して0.1〜60質量部であることが好ましい。このようなウレタン結合を有する化合物に由来する化合物の含有量は、蓄熱材を作成する際に使用する蓄熱材用組成物に含有されるウレタン結合を有する化合物の含有量を調整することにより制御することができる。
蓄熱材はシート状や板状、ペレット状など所望の形状とすることができる。例えば、蓄熱材用組成物を、熱や放射熱(光)によって硬化することにより蓄熱材を作成することができる。蓄熱材用組成物を熱により硬化させて蓄熱材を作成する場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いて加熱により硬化させることができる。加熱により硬化させる条件は、30〜200℃の範囲内の温度で1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することで効率的に蓄熱材組成物の硬化物を得ることができる。
また、蓄熱材用組成物を放射線により硬化させて蓄熱材を作成する場合、その線源としては、蓄熱材用組成物を短時間で硬化させることができるもものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線減として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生さえる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線については、加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独または2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。放射熱によって硬化させる場合の条件は、露光量を10〜10000mJ/cmの範囲内の値とするのが好ましい。
本発明の蓄熱材は、その使用に際しては、原則的には従来のこの種の蓄熱材の使用態様全てに採用できるが、特にシート状の蓄熱材を防護フィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等のフィルムで被覆し、この上から更にアルミニウムの如き金属箔を用いて均熱化層を設けることが好ましい。またフィルムとアルミニウム等の金属箔をはり合わせたラミネートフィルムで被覆しても良い。例えば、蓄熱材用組成物を基材に塗布し、硬化させることもできる。この場合に用いることのできる基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂等からなる基材を挙げることができる。
本発明の蓄熱材は、その熱容量が25J/g以上であることが好ましい。本発明の蓄熱材用組成物から形成された蓄熱材は、例えば電子機器の内部温度を80℃以下に保つための過昇温防止用フィルムとして好適に用いることができる。
3. 用途
本発明の蓄熱体が使用される用途としては特に限定されないが、例えば、住宅等の建築物の壁材、天井材、床材等の内・外装材の材料、床暖房システム、車輌等の内装材、機械・機器等の工業製品、熱電変換システム、熱搬送媒体、冷暖房設備、冷蔵・冷凍庫、浴槽・浴室、クーラーボックス、保温シート、結露防止シート、電気製品、OA機器、プラント、タンク、衣類、カーテン、じゅうたん、寝具、日用雑貨等に用いる材料としても適用できる。
本発明の蓄熱体は、基本的にフィルム状の物質であるため、使用用途に合わせて幅広い用途への応用が可能である。また、温度の制御(蓄熱効果)だけでなく、結露防止効果、曇り防止効果を必要とする部位にも有効である。
例えば、ガラス板、アクリル樹脂、ビニル樹脂、PET樹脂等の樹脂板またはシート(フィルムを含む)、ステンレス、銅、アルミニウム、鉄、真鉄、亜鉛、マグネシウム、ニッケル等の金属板又は金属箔、不織布、織布、ガラスクロス等の繊維材料、紙、合成紙等の紙材、木材、パーティクルボード、合板等の木質材、スレート板、石膏ボード、ALC板、珪酸カルシウム板、木毛セメント板、セラミックペーパー、天然石板、無機サイディングボード等の無機質板、金属サイディングボード等の金属材料、金属フィルム、グラスファイバー等のフィルム成形体、発泡性防火材料、難燃材含有材料、ポリスチレン発泡体、硬質ポリウレタンフォームなどのポリウレタン発泡体、アクリル樹脂発泡体、フェノール樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体、発泡ゴム、グラスウール、ロックウール、発泡セラミック等、発熱体等に積層して用いたり、繊維等に積層して用いたり、また、密閉型のラミネートシートやプラスチックケースに積層して用いることもできる。
5.実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準である。
5.1.製造例1
撹拌機を備えた反応容器に、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール108.5g、2,4−トリレンジイソシアネート17.2g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.016gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃になるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.054gを仕込み、液温度上昇が見られなくなったことを確認した後、さらに1時間35℃で反応させた。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート11.46gを液温度が50℃以上にならないよう制御しながら滴下した後、65℃〜70℃に制御しながら2時間撹拌して反応させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時点を反応終了とし、ウレタンアクリレート(UA−1)を製造した。なお、UA−1は下記式で表される構造を有する。
HEA−TDI−(PPG2000)−TDI−HEA
[上記式において、HEAは2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構造を表し、TDIは2,4−トリレンジイソシアネートに由来する構造を表し、PPG2000は数平均分子量2000のポリプロピレングリコールに由来する構造を表す。「−」はウレタン結合を示す。]
5.2.製造例2
製造例1の数平均分子量2000のポリプロピレングリコール108.5gの代わりに、数平均分子量10000のポリプロピレングリコール542gを用いる以外は製造例1と同様にしてウレタンアクリレートを合成し、ウレタンアクリレート(UA−2)を製造した。なお、UA−2は下記式で表される構造を有する。
HEA−TDI−(PPG10000)−TDI−HEA
[上記式において、HEAは2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構造を表し、TDIは2,4−トリレンジイソシアネートに由来する構造を表し、PPG10000は数平均分子量10000のポリプロピレングリコールに由来する構造を表す。「−」はウレタン結合を示す。]
5.3.製造例3
攪拌機を備えた反応容器に、2,4−トリレンジイソシアネート134.8g、分子量2000のポリプロピレングリコール45.9g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.018gを仕込んだ。次いでジブチル錫ジウラレート0.061gを添加し、液温を25〜35℃に制御しながら1時間攪拌した。その後ヒドロキシエチルアクリレート1.7gを加え、液温50〜60℃にて1時間攪拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時点を反応終了とし、ウレタンアクリレート(UA−3)を製造した。UA−3は下記式で表される構造を有する。
HEA−TDI−(PPG2000−TDI)−HEA
[式(6)において、HEAは2−ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構造を表し、TDIは2,4−トリレンジイソシアネートに由来する構造を表し、PPG2000は数平均分子量2000のポリプロピレングリコールに由来する構造を表す。「−」はウレタン結合を示す。]
5.4.製造例4
撹拌機を備えた反応容器に、1−オクタノール27g、2,4−トリレンジイソシアネート17.2g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.016gを仕込み、これらを撹拌しながら液温度が15℃になるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.054gを仕込み、液温度上昇が見られなくなったことを確認した後、さらに30分35℃で反応させた。そして、液温を50〜60℃に上昇させて1時間撹拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時点を反応終了とし、ウレタン化合物(U−1)を製造した。U−1は、下記式で表される構造を有する。
Oct−TDI−Oct
[式(7)において、TDIは2,4−トリレンジイソシアネートに由来する構造を表し、Octはオクチル基に由来する構造を表す。「−」はウレタン結合を示す。]
5.5.製造例5
攪拌機を備えた反応容器に、特開2008−63464に記載された方法で分離した1―テトラトリアコンタノールを54.62g、N,N−ジメチルアニリン10mL、ジクロロメタン60mLを仕込んだ。液温を25〜35℃に制御しながら1時間攪拌した。次いで、50mLのジクロロメタンに溶解させたアクリロイルクロリド11mLを滴下した後、16時間還流させた。反応溶液を冷却後、10%のHClで洗浄して、MgSOで乾燥、エバポレーターで濃縮してテトラトリアコンチルアクリレートを得た。
5.5.実施例1
表1に記載した成分を表1に記載した成分と量(質量基準)を混合して蓄熱材用組成物を作成した。
作成した蓄熱材用組成物を65℃で10分加熱した後、ギャップサイズ200μのバードアプリケーター(RK Print Coat Instruments Ltd.製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、ルミラー100T60)上に塗工した。その後、オーブンにて80℃で10分乾燥した。次いで、窒素下で高圧水銀ランプを用いて、900mJ/cmの光照射条件で塗膜を硬化させ、硬化した膜をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がしてフィルム状の蓄熱材を複数作製し、以下の評価をそれぞれ行った。結果を表1に示す。
5.5.1.融点、凝固点および潜熱量の評価
作製した蓄熱材を、示差走査熱量測定計(DSC、NETZSCH社製、型番DSC 204 F1 Phoenix)を用い、JIS K−7121に準拠してDSC曲線を測定し、融点と潜熱量を算出した。具体的には、蓄熱材を20℃/分で100℃まで昇温し、100℃で3分間保持した後、10℃/分の速度で−50℃まで降温し、次いで−50℃で3分間保持した後、10℃/分の速度で100℃まで再び昇温して熱挙動を測定した。得られた結果を解析し、融解ピークの補外融解開始温度を蓄熱材の融点とし、融解熱量を蓄熱材の潜熱量とした。結果を表1に示す。
5.5.2.濡れ性の評価
作製した蓄熱材を、その蓄熱材の融点+50℃の温度にて大気雰囲気下で24時間放置し、表面の濡れ性を以下の基準に従い評価した。結果を表1に示す。
◎:濡れが認められず、非常に良好と判断した。
○:濡れがほとんどなく、良好と判断した。
×:濡れがあり、不良と判断した。
5.5.3.揮発性の評価
蓄熱材を、70℃の温度にて大気雰囲気下で10時間静置前後の重量変化を測定し、重量減少率を以下の基準に従い評価した。結果を表1に示す。
◎:重量減少率が0.5%未満であり、非常に良好と判断した。
○:重量減少率が0.5%以上1.0%未満であり、良好と判断した。
×:重量減少率が1.0%以上であり、不良と判断した。
5.5.4.形状保持特性の評価
作製した蓄熱材を、その蓄熱材の融点+50℃の温度に加熱した状態で目視観察し、形状保持特性を以下の基準に従い評価した。結果を表1に示す。
◎:原形からの形状変化は認められず、非常に良好と判断した。
○:原形から大きな形状変化はなく、良好と判断した。
×:溶融し形状維持できないため、不良と判断した。
5.6.実施例2〜20及び比較例1〜5
表1に記載した配合とした他は、実施例1と同様にして蓄熱材組成物を作成した。さらに、作成した蓄熱材用組成物を用いて実施例1と同様に蓄熱材を作成し評価した。結果を表1および表2に示す。
なお、融点および潜熱量の評価において、複数の融解ピークを有する蓄熱材の融点は、融解熱量が最大の融解ピークに基づく補外融解開始温度および補外結晶化開始温度とし、またその潜熱量はその融解ピークに基づく融解熱量とした。多峰性ピークを有し個々の融解ピークの区別が付かない場合は、それらを1つの融解ピークとみなして処理した。
なお、表1および表2における各成分の略称は、それぞれ以下の化合物を意味する。
IRGACURE184;BASF製の光重合開始剤。
IRGACURE127;BASF製の光重合開始剤。
IRGACURE907;BASF製の光重合開始剤。
KAYARAD DPEA−12;日本化薬製の6官能アクリルモノマーと5官能アクリルモノマーの混合物。
KAYARAD DPHA;日本化薬製の6官能アクリルモノマーと5官能アクリルモノマーの混合物。
KAYARAD RP1040;日本化薬製の4官能アクリルモノマー。
KAYARAD TMPTA:日本化薬製の3官能アクリルモノマー。
KAYARAD PEG400DA;日本化薬製の2官能アクリルモノマー。
レザミンNE−308;大日精化工製のエステル系ポリウレタン樹脂。
上記表1および表2から明らかなように、実施例1〜20に示した本発明に係る蓄熱材用組成物を用いることにより良好な蓄熱材を形成することができた。一方、比較例1〜5に示した蓄熱材用組成物より作成した蓄熱材は、不良であった。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を包含する。また本発明は、上記の実施形態で説明した構成の本質的でない部分を他の構成に置き換えた構成を包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成をも包含する。さらに本発明は、上記の実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成をも包含する。

Claims (9)

  1. 炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)と、光重合開始剤(B)と、を含有する蓄熱材用組成物。
  2. さらにエチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)を含有する、請求項1に記載の蓄熱材用組成物。
  3. 前記エチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)がウレタン(メタ)アクリレートである、請求項2に記載の蓄熱材組成物。
  4. 前記炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)100質量部に対して、エチレン性不飽和基を1個を超えて有する化合物(C)を1〜150質量部を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄熱材組成物。
  5. 前記炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)100質量部に対し、前記光重合開始剤(B)を0.1〜25質量部含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄熱材用組成物へ光を照射して作成される蓄熱材。
  7. 炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)に由来する繰り返し単位と、ウレタン結合を有する化合物に由来する構造単位と、を有する蓄熱材。
  8. 前記ウレタン結合を有する化合物がウレタン(メタ)アクリレートに由来する構造である、請求項7に記載の蓄熱材。
  9. 前記ウレタン結合を有する化合物に由来する構造単位が、蓄熱材100質量部に対して0.1〜60質量部含有する、請求項7または8に記載の蓄熱材。
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