JP2016139018A - 光スキャナー、光スキャナーの製造方法、画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイ - Google Patents

光スキャナー、光スキャナーの製造方法、画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイ Download PDF

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Makiko Hino
真希子 日野
溝口 安志
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Abstract

【課題】製造工程を簡単化しつつ、光反射板の静撓みを低減することができる光スキャナーおよびその製造方法を提供すること、また、かかる光スキャナーを備える画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイを提供すること。【解決手段】光スキャナー1は、基部111と、基部111を揺動可能に支持する軸部と、光を反射する光反射板113、および、光反射板113を基部111に接続するスペーサー112を含む光反射部と、基部111とスペーサー112との間に設けられ、かつ、基部111とスペーサーとを接合する接合膜16と、光反射板113のスペーサー112側の面に設けられ、かつ、接合膜16と同じ材料で構成され、光反射板113の撓みを低減する撓み低減層115と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、光スキャナー、光スキャナーの製造方法、画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイに関するものである。
例えば、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ等に用いられ、光を2次元的に走査する光スキャナーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載の光スキャナーは、光反射板と、スペーサーを介して光反射板を支持する基部と、基部を囲んで設けられた枠体部と、基部と枠体部とを接続し基部を枠体部に対して第1の軸まわりに揺動可能に支持する第1軸部と、支持部と、枠体部と支持部とを接続し枠体部を第1の軸に交差する第2の軸まわりに揺動可能に支持する第2軸部と、を有する。
また、特許文献1に記載の光スキャナーを製造するに際しては、光反射板およびスペーサーからなる構造体と、基部、枠体部、第1軸部、支持部および第2軸部からなる構造体との2つの構造体をそれぞれSOI基板から形成した後、これら2つの構造体を接合する。ここで、光反射板がSOI基板のSiデバイス層で構成され、スペーサーがSOI基板のSiハンドル層およびSiOボックス層で構成される。
特開2013−235200号公報
特許文献1に記載の光スキャナーでは、光反射板の静撓みが生じるという課題がある。より具体的には、特許文献1に記載の光スキャナーでは、例えば、光反射板のSiデバイス層とスペーサーのSiOボックス層との線膨張係数差に起因して、光反射板の静撓みが生じてしまう。
このような課題を解決する方法として、前述したような線膨張係数差を相殺するように光反射板に補正層を形成することが考えられるが、このような補正層を単に追加すると、その分製造工程が増えてしまう。
本発明の目的は、製造工程を簡単化しつつ、光反射板の静撓みを低減することができる光スキャナーおよびその製造方法を提供すること、また、かかる光スキャナーを備える画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイを提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光スキャナーは、基部と、
前記基部を揺動可能に支持する軸部と、
光を反射する光反射板、および、当該光反射板を前記基部に接続する接続部を含む光反射部と、
前記基部と前記接続部との間に設けられ、かつ、前記基部と前記接続部とを接合する接合層と、
前記光反射板の前記接続部側の面に設けられ、かつ、前記接合層と同じ材料で構成され、前記光反射板の撓みを低減する撓み低減層と、を有することを特徴とする。
このような光スキャナーによれば、接合層および撓み低減層が互いに同じ材料で構成されているため、これらの層を一括して同時に形成することができ、その結果、製造工程の簡単化を図ることができる。
本発明の光スキャナーでは、前記接合層は、金属で構成されていることが好ましい。
これにより、接合層の接合を表面活性化接合により簡単かつ強固に行うことができる。また、金属は、一般に光反射板を構成する材料(例えばシリコン)よりも線膨張係数が大きい。そのため、金属で構成された撓み低減層により光反射板の撓みを効果的に低減することができる。
本発明の光スキャナーでは、前記撓み低減層の厚さは、前記光反射板の中央部側から外周側に向かうにつれて薄くなる部分を有することが好ましい。
光反射板に生じる撓みは、光反射板の中央部側が大きく、外周部側が小さい。したがって、撓み低減層の厚さを光反射板の外周側に向かうにつれて薄くすることにより、光反射板の撓みをバランスよく低減することができる。
本発明の光スキャナーでは、前記撓み低減層は、前記光反射板の外周よりも内側に設けられていることが好ましい。
光反射板に生じる撓みは、光反射板の中央部側が大きく、外周部側が小さい。したがって、撓み低減層を光反射板の外周よりも内側に設けることにより、光反射板の撓みをバランスよく低減することができる。
本発明の光スキャナーでは、前記光反射部は、SOI基板を用いて構成されていることが好ましい。
これにより、ボックス層およびハンドル層を用いて接続部を構成し、デバイス層を用いて光反射板を構成することができる。この場合、デバイス層とボックス層との線膨張係数差により光反射板に生じる撓みを撓み低減層により低減することができる。
本発明の光スキャナーでは、前記光反射板の前記接続部と反対側の面には、金属膜が設けられていることが好ましい。
これにより、光反射板の光反射性を優れたものとすることができる。この場合、光反射板と金属膜との線膨張係数差により光反射板に生じる撓みを撓み低減層により低減することができる。
本発明の光スキャナーの製造方法は、本発明の光スキャナーの製造方法であって、
前記接合層および前記撓み低減層を一括して同時に形成することを特徴とする。
このような光スキャナーの製造方法によれば、製造工程を簡単化しつつ、接合層および撓み低減層を形成することができる。
本発明の光スキャナーの製造方法は、光を反射する光反射板、および、当該光反射板を基部に接続する接続部を含む光反射部を有する光スキャナーの製造方法であって、
前記接続部に接合層を形成するのと同時に、前記光反射板の前記接続部側の面に、前記接合層と同じ材料で、前記光反射板の撓みを低減する撓み低減層を形成することを特徴とする。
このような光スキャナーの製造方法によれば、製造工程を簡単化しつつ、接合層および撓み低減層を形成することができる。
本発明の光スキャナーの製造方法では、前記接合層および前記撓み低減層の形成を、スパッタリング法を用いて行うことが好ましい。
これにより、マスクを適宜設定することにより、撓み低減層の厚さや形成領域を調整しつつ、接合層および撓み低減層を同時に形成することができる。
本発明の画像表示装置は、本発明の光スキャナーを備えることを特徴とする。
これにより、優れた表示特性を有する画像表示装置を提供することができる。
本発明のヘッドマウントディスプレイは、本発明の光スキャナーを備えることを特徴とする。
これにより、優れた表示特性を有するヘッドマウントディスプレイを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る光スキャナーを示す平面図である。 図1に示す光スキャナーの断面図(X軸に沿った断面図)である。 図1に示す光スキャナーが備える駆動部の電圧印加部を説明するためのブロック図である。 図3に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。 図1に示す光スキャナーが備える光反射部および接合層の拡大断面図である。 図1に示す光スキャナーの製造方法における光反射部の形成工程を説明するための図である。 図1に示す光スキャナーの製造方法における光反射部の形成工程を説明するための図である。 図1に示す光スキャナーの製造方法における光反射部形成後の工程を説明するための図である。 本発明の画像表示装置の実施形態を模式的に示す図である。 本発明の画像表示装置の応用例1を示す斜視図である。 本発明の画像表示装置の応用例2を示す斜視図である。 本発明の画像表示装置の応用例3を示す斜視図である。
以下、本発明の光スキャナー、光スキャナーの製造方法、画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイの好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
(光スキャナー)
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る光スキャナーを示す平面図、図2は、図1に示す光スキャナーの断面図(X軸に沿った断面図)である。図3は、図1に示す光スキャナーが備える駆動部の電圧印加部を説明するためのブロック図、図4は、図3に示す第1の電圧発生部および第2の電圧発生部での発生電圧の一例を示す図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1および図2に示す光スキャナー1は、可動ミラー部11と、1対の軸部12a、12b(第1軸部)と、枠体部13と、1対の軸部14a、14b(第2軸部)と、支持部15と、永久磁石21と、コイル31と、電圧印加部4(図3参照)と、を備える。
ここで、可動ミラー部11、1対の軸部12a、12b(以下、「軸部12」ともいう)は、Y軸(第1の軸)周りに揺動(往復回動)する第1の振動系を構成する。また、可動ミラー部11、1対の軸部12a、12b、枠体部13、1対の軸部14a、14b(以下、「軸部14」ともいう)および永久磁石21は、X軸(第2の軸)周りに揺動(往復回動)する第2の振動系を構成する。
また、永久磁石21、コイル31および電圧印加部4は、永久磁石21およびコイル31の磁界の相互作用により、前述した第1の振動系および第2の振動系を駆動(すなわち、可動ミラー部11をX軸およびY軸周りに揺動)させる「駆動部」を構成する。
以下、光スキャナー1の各部を順次詳細に説明する。
可動ミラー部11は、基部111と、スペーサー112(柱部)を介して基部111に固定された光反射板113とを有する。ここで、スペーサー112の一端部に光反射板113が接合され、スペーサー112の他端部(基部111と対向する端部)に接合膜16が設けられている。また、基部111の上面に接合膜17が設けられている。そして、接合膜16と接合膜17とが接合されており、これにより、スペーサー112が基部111に対して固定されている。ここで、また、スペーサー112が光反射板113を基部111に接続する「接続部」を構成し、スペーサー112および光反射板113からなる構造体が「光反射部」を構成している。また、接合膜16は、基部111とスペーサー112との間に設けられ、かつ、基部111とスペーサー112とを接合する「接合層」を構成している。
接合膜16、17は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、Au、Cr、Al、Al合金、Ni、Zn、Ti等の金属等で構成された金属膜(金属単体、合金の単層または積層体)である。
そして、接合膜16と接合膜17との接合は、表面活性化接合により行われている。このように、接合膜16、17を金属で構成することにより、接合膜16、17の接合を表面活性化接合により簡単かつ強固に行うことができる。なお、接合膜16、17の構成材料は、接合機能を有するとともに、撓み低減層115に用いることができるものであれば、金属に限定されず、例えば、金属酸化物、金属窒化物等の金属化合物を用いてもよい。また、接合膜16と接合膜17との接合は表面活性化接合に限らない。
光反射板113の上面(一方の面)には、光反射性を有する光反射膜114が設けられている。この光反射膜114は、例えば、アルミニウム等の金属膜で構成されている。
この光反射板113は、軸部12a、12bに対して光反射板113の板厚方向に離間するとともに、板厚方向からみたときに(以下、「平面視」ともいう)軸部12a、12bと重なって設けられている。そのため、軸部12aと軸部12bとの間の距離を短くしつつ、光反射板113の板面の面積を大きくすることができる。また、軸部12aと軸部12bとの間の距離を短くすることができることから、枠体部13の小型化を図ることができる。さらに、枠体部13の小型化を図ることができることから、軸部14aと軸部14bとの間の距離を短くすることができる。このようなことから、光反射板113の板面の面積を大きくしても、光スキャナー1の小型化を図ることができる。
本実施形態では、光反射板113は、平面視にて、円形をなしている。なお、光反射板113の平面視形状は、これに限定されず、例えば、楕円形、四角形等の多角形であってもよい。
一方、光反射板113の下面(他方の面)は、スペーサー112を介して基部111に固定されている。すなわち、光反射板113の下面は、スペーサー112が接続される面ということができる。これにより、軸部12a、12b、枠体部13および軸部14a、14bとの接触を抑制しつつ、光反射板113をY軸周りに揺動させることができる。
また、光反射板113の下面には、スペーサー112の周囲に撓み低減層115が設けられている。これにより、光反射板113の静撓みを低減することができる。なお、撓み低減層115については、後に詳述する。
枠体部13は、枠状をなし、前述した可動ミラー部11の基部111を囲んで設けられている。言い換えると、可動ミラー部11の基部111は、枠状をなす枠体部13の内側に設けられている。
この枠体部13は、平面視にて、可動ミラー部11の基部111および1対の軸部12a、12bからなる構造体の外形に沿った形状をなしている。これにより、可動ミラー部11のY軸周りの揺動を許容しつつ、枠体部13の小型化を図ることができる。
また、枠体部13は、枠体部13の厚さ方向に軸部12a、12bおよび軸部14a、14bよりも突出したリブ131を有する。このようなリブ131により枠体部13の剛性を高めることができる。また、このリブ131は、可動ミラー部11が永久磁石21に接触するのを抑制する機能(スペーサーとしての機能)も有する。なお、枠体部13の形状は、枠状であれば、図示のものに限定されない。
また、枠体部13は、Y軸に沿った方向での長さがX軸に沿った方向での長さよりも長くなっている。これにより、軸部12a、12bに必要な長さを確保しつつ、X軸に沿った方向における光スキャナー1の長さを短くすることができる。
そして、枠体部13は、軸部14a、14bを介して支持部15に支持されている。また、可動ミラー部11の基部111は、軸部12a、12bを介して枠体部13に支持されている。
軸部12a、12bおよび軸部14a、14bは、それぞれ、弾性変形可能である。そして、軸部12a、12b(第1軸部)は、可動ミラー部11をY軸(第1の軸)周りに揺動(回動)可能とするように、可動ミラー部11と枠体部13とを接続している。また、軸部14a、14b(第2軸部)は、枠体部13をY軸に直交するX軸(第2の軸)周りに揺動(回動)可能とするように、枠体部13と支持部15とを接続している。
より具体的に説明すると、軸部12a、12bは、可動ミラー部11の基部111を介して(挟んで)互いに対向するように配置されている。また、軸部12a、12bは、それぞれ、Y軸に沿った方向に延びる長手形状(棒状)をなしている。そして、軸部12a、12bは、それぞれ、一方の端部が基部111に接続され、他方の端部が枠体部13に接続されている。また、軸部12a、12bは、それぞれ、中心軸がY軸に一致するように配置されている。
このように、軸部12a、12bは、可動ミラー部11の基部111を両側から支持している。そして、軸部12a、12bは、それぞれ、可動ミラー部11のY軸周りの揺動に伴って捩れ変形する。
なお、軸部12a、12bの形状は、それぞれ、可動ミラー部11を枠体部13に対してY軸周りに揺動可能に支持するものであれば、前述したものに限定されず、例えば、途中の少なくとも1箇所に、屈曲または湾曲した部分、分岐した部分、幅の異なる部分を有していてもよい。
軸部14a、14bは、枠体部13を介して互いに対向するように配置されている。また、1対の軸部14a、14bは、それぞれ、平面視にてX軸上に沿って配置され、X軸に沿った長手形状(棒状)をなしている。そして、軸部14a、14bは、それぞれ、一方の端部が枠体部13に接続され、他方の端部が支持部15に接続されている。また、軸部14a、14bは、それぞれ、中心軸がX軸に一致するように配置されている。
このように、軸部14a、14bは、枠体部13を両側から支持している。そして、軸部14a、14bは、それぞれ、枠体部13のX軸周りの揺動に伴って捩れ変形する。
なお、軸部14a、14bの形状は、それぞれ、枠体部13を支持部15に対してX軸周りに揺動可能に支持するものであれば、前述したものに限定されず、例えば、途中の少なくとも1箇所に、屈曲または湾曲した部分、分岐した部分、幅の異なる部分を有していてもよい。
支持部15は、平面視で、基部111、軸部12、枠体部13および軸部14からなる構造体を囲むように設けられている。
また、平面視にて、光反射板113の外側に位置する部分(本実施形態では、支持部15)の上面には、反射防止処理が施された反射防止層152が設けられている。これにより、光反射板113以外に照射された不要光が迷光となるのを抑制することができる。この反射防止層152は、特に限定されないが、例えば、シリコン酸化膜である。
このように、可動ミラー部11をY軸周りに揺動可能とするとともに、枠体部13をX軸周りに揺動可能とすることにより、可動ミラー部11を互いに直交するX軸およびY軸の2軸周りに揺動(回動)させることができる。
以上説明したような基部111、軸部12a、12b、枠体部13、軸部14a、14bおよび支持部15は、一体的に形成されている。
本実施形態では、基部111、軸部12a、12b、枠体部13、軸部14a、14bおよび支持部15は、第1のSi層(デバイス層)と、SiO層(ボックス層)と、第2のSi層(ハンドル層)とがこの順に積層したSOI基板をエッチングすることにより形成されている。これにより、第1の振動系および第2の振動系の振動特性を優れたものとすることができる。また、SOI基板は、エッチングにより微細な加工が可能であるため、SOI基板を用いて基部111、軸部12a、12b、枠体部13、軸部14a、14bおよび支持部15を形成することにより、これらの寸法精度を優れたものとすることができ、また、光スキャナー1の小型化を図ることができる。
そして、基部111、軸部12a、12bおよび軸部14a、14bは、それぞれ、SOI基板の第1のSi層で構成されている。これにより、軸部12a、12bおよび軸部14a、14bの弾性を優れたものとすることができる。また、基部111がY軸周りに回動する際に枠体部13に接触するのを抑制することができる。
また、枠体部13および支持部15は、それぞれ、SOI基板の第1のSi層、SiO層および第2のSi層からなる積層体で構成されている。これにより、枠体部13および支持部15の剛性を優れたものとすることができる。ここで、枠体部13のSiO層および第2のSi層は、枠体部13の軸部12a、12bまたは軸部14a、14bよりも厚さ方向に突出していて、前述した枠体部13の剛性を高めるリブ131を構成する。
なお、前述した基部111、軸部12a、12b、枠体部13、軸部14a、14bおよび支持部15の構成材料および形成方法は、一例であり、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、シリコン基板をエッチングすることにより、基部111、軸部12a、12b、枠体部13、軸部14a、14bおよび支持部15を形成してもよい。
また、本実施形態では、スペーサー112および光反射板113も、SOI基板をエッチングすることにより形成されている。そして、スペーサー112は、SOI基板のSiO層および第2のSi層からなる積層体で構成されている。また、光反射板113は、SOI基板の第1のSi層で構成されている。
このように、SOI基板を用いてスペーサー112および光反射板113を形成することにより、互いに接合されたスペーサー112および光反射板113を簡単かつ高精度に製造することができる。
前述した枠体部13の下面(光反射板113とは反対側の面)、すなわちリブ131の先端面には、永久磁石21が接合されている。
永久磁石21と枠体部13との接合方法としては、特に限定されないが、例えば、接着剤を用いた接合方法を用いることができる。
永久磁石21は、平面視にて、X軸およびY軸に対して傾斜する方向に磁化されている。本実施形態では、永久磁石21は、X軸およびY軸に対して傾斜する方向に延在する長手形状(棒状)をなす。そして、永久磁石21は、その長手方向に磁化されている。すなわち、永久磁石21は、一端部をS極とし、他端部をN極とするように磁化されている。また、永久磁石21は、平面視にて、X軸とY軸との交点を中心として対称となるように設けられている。
なお、本実施形態では、枠体部13に1つの永久磁石の数を設置した場合を例に説明するが、これに限定されず、例えば、枠体部13に2つの永久磁石を設置してもよい。この場合、例えば、長尺状をなす2つの永久磁石を、平面視にて基部111を介して互いに対向するとともに、互いに平行となるように、枠体部13に設置すればよい。
平面視にてX軸に対する永久磁石21の磁化の方向(延在方向)の傾斜角θは、特に限定されないが、30°以上60°以下であるのが好ましく、30°以上45°以下であることがより好ましく、45°であるのがさらに好ましい。このように永久磁石21を設けることで、円滑かつ確実に可動ミラー部11をX軸の周りに回動させることができる。
これに対し、傾斜角θが前記下限値未満であると、電圧印加部4によりコイル31に印加される電圧の強さなどの諸条件によっては、可動ミラー部11を十分にX軸周りに回動させることができない場合がある。一方、傾斜角θが前記上限値を超えると、諸条件によっては、可動ミラー部11を十分にY軸周りに回動させることができない場合がある。
このような永久磁石21としては、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石、ボンド磁石等を好適に用いることができる。このような永久磁石21は、硬磁性体を着磁したものであり、例えば、着磁前の硬磁性体を枠体部13に設置した後に着磁することにより形成される。既に着磁がなされた永久磁石21を枠体部13に設置しようとすると、外部や他の部品の磁界の影響により、永久磁石21を所望の位置に設置できない場合があるからである。
永久磁石21の直下には、コイル31が設けられている。すなわち、枠体部13の下面に対向するように、コイル31が設けられている。これにより、コイル31から発生する磁界を効率的に永久磁石21に作用させることができる。これにより、光スキャナー1の省電力化および小型化を図ることができる。なお、コイル31は、磁心に巻回されて設けられていてもよい。
このようなコイル31は、電圧印加部4に電気的に接続されている。そして、電圧印加部4によりコイル31に電圧が印加されることで、コイル31からX軸およびY軸に直交する方向の磁界が発生する。
電圧印加部4は、図3に示すように、可動ミラー部11をY軸周りに回動させるための第1の電圧Vを発生させる第1の電圧発生部41と、可動ミラー部11をX軸周りに回動させるための第2の電圧Vを発生させる第2の電圧発生部42と、第1の電圧Vと第2の電圧Vとを重畳する電圧重畳部43とを備え、電圧重畳部43で重畳した電圧をコイル31に印加する。
第1の電圧発生部41は、図4(a)に示すように、周期Tで周期的に変化する第1の電圧V(水平走査用電圧)を発生させるものである。すなわち、第1の電圧発生部41は、第1周波数(1/T)の第1の電圧Vを発生させるものである。
第1の電圧Vは、正弦波のような波形をなしている。そのため、光スキャナー1は効果的に光を主走査することができる。なお、第1の電圧Vの波形は、これに限定されない。
また、第1周波数(1/T)は、水平走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、10〜40kHzであるのが好ましい。
本実施形態では、第1周波数は、可動ミラー部11、1対の軸部12a、12bで構成される第1の振動系(捩り振動系)の捩り共振周波数(f1)と等しくなるように設定されている。つまり、第1の振動系は、その捩り共振周波数f1が水平走査に適した周波数になるように設計(製造)されている。これにより、可動ミラー部11のY軸周りの回動角を大きくすることができる。
一方、第2の電圧発生部42は、図4(b)に示すように、周期Tと異なる周期Tで周期的に変化する第2の電圧V(垂直走査用電圧)を発生させるものである。すなわち、第2の電圧発生部42は、第2周波数(1/T)の第2の電圧Vを発生させるものである。
第2の電圧Vは、鋸波のような波形をなしている。そのため、光スキャナー1は効果的に光を垂直走査(副走査)することができる。なお、第2の電圧Vの波形は、これに限定されない。
第2周波数(1/T)は、第1周波数(1/T)と異なり、かつ、垂直走査に適した周波数であれば、特に限定されないが、30〜120Hz(60Hz程度)であるのが好ましい。このように、第2の電圧Vの周波数を60Hz程度とし、前述したように第1の電圧Vの周波数を10〜40kHzとすることで、ディスプレイでの描画に適した周波数で、可動ミラー部11を互いに直交する2軸(X軸およびY軸)のそれぞれの軸周りに回動させることができる。ただし、可動ミラー部11をX軸およびY軸のそれぞれの軸周りに回動させることができれば、第1の電圧Vの周波数と第2の電圧Vの周波数との組み合わせは、特に限定されない。
本実施形態では、第2の電圧Vの周波数は、可動ミラー部11、1対の軸部12a、12b、枠体部13、1対の軸部14a、14bおよび永久磁石21で構成された第2の振動系(捩り振動系)の共振周波数(捩り共振周波数)と異なる周波数となるように調整されている。
このような第2の電圧Vの周波数(第2周波数)は、第1の電圧Vの周波数(第1周波数)よりも小さいことが好ましい。すなわち、周期Tは、周期Tよりも長いことが好ましい。これにより、より確実かつより円滑に、可動ミラー部11をY軸周りに第1周波数で回動させつつ、X軸周りに第2周波数で回動させることができる。
また、第1の振動系の捩り共振周波数をf1[Hz]とし、第2の振動系の捩り共振周波数をf2[Hz]としたとき、f1とf2とが、f2<f1の関係を満たすことが好ましく、f1≧10f2の関係を満たすことがより好ましい。これにより、より円滑に、可動ミラー部11を、Y軸周りに第1の電圧Vの周波数で回動させつつ、X軸周りに第2の電圧Vの周波数で回動させることができる。これに対し、f1≦f2とした場合は、第2周波数による第1の振動系の振動が起こる可能性がある。
このような第1の電圧発生部41および第2の電圧発生部42は、それぞれ、制御部6に接続され、この制御部6からの信号に基づき駆動する。このような第1の電圧発生部41および第2の電圧発生部42には、電圧重畳部43が接続されている。
電圧重畳部43は、コイル31に電圧を印加するための加算器43aを備えている。加算器43aは、第1の電圧発生部41から第1の電圧Vを受けるとともに、第2の電圧発生部42から第2の電圧Vを受け、これらの電圧を重畳しコイル31に印加するようになっている。
次に、光スキャナー1の駆動方法について説明する。なお、本実施形態では、前述したように、第1の電圧Vの周波数は、第1の振動系の捩り共振周波数と等しく設定されており、第2の電圧Vの周波数は、第2の振動系の捩り共振周波数と異なる値に、かつ、第1の電圧Vの周波数よりも小さくなるように設定されている(例えば、第1の電圧Vの周波数が18kHz、第2の電圧Vの周波数が60Hzに設定されている)。
例えば、図4(a)に示すような第1の電圧Vと、図4(b)に示すような第2の電圧Vとを電圧重畳部43にて重畳し、重畳した電圧をコイル31に印加する。
すると、第1の電圧Vによって、永久磁石21の一方の磁極をコイル31に引き付けようとするとともに、永久磁石21の他方の磁極をコイル31から離間させようとする磁界(この磁界を「磁界A1」という)と、永久磁石21の一方の磁極をコイル31から離間させようとするとともに、永久磁石21の他方の磁極をコイル31に引き付けようとする磁界(この磁界を「磁界A2」という)とが交互に切り換わる。
ここで、上述したように、図1の平面視において、Y軸を挟んで一方側に永久磁石21のN極が位置し、他方側に永久磁石21のS極が位置している。そのため、磁界A1と磁界A2とが交互に切り換わることで、枠体部13にY軸周りの捩り振動成分を有する振動が励振され、その振動に伴って、軸部12a、12bを捩れ変形させつつ、可動ミラー部11が第1の電圧Vの周波数でY軸まわりに回動する。
また、第1の電圧Vの周波数は、第1の振動系の捩り共振周波数と等しい。そのため、第1の電圧Vによって、効率的に、可動ミラー部11をY軸周りに回動させることができる。すなわち、前述した枠体部13のY軸周りの捩り振動成分を有する振動が小さくても、その振動に伴う可動ミラー部11のY軸周りの回動角を大きくすることができる。
一方、第2の電圧Vによって、永久磁石21の一方の磁極をコイル31に引き付けようとするとともに、永久磁石21の他方の磁極をコイル31から離間させようとする磁界(この磁界を「磁界B1」という)と、永久磁石21の一方の磁極をコイル31から離間させようとするとともに、永久磁石21の他方の磁極をコイル31に引き付けようとする磁界(この磁界を「磁界B2」という)とが交互に切り換わる。
ここで、上述したように、図1の平面視において、X軸を挟んで一方側に永久磁石21のN極が位置し、他方側に永久磁石21のS極が位置している。そのため、磁界B1と磁界B2とが交互に切り換わることで、軸部14a、14bをそれぞれ捩れ変形させつつ、枠体部13が可動ミラー部11とともに、第2の電圧Vの周波数でX軸周りに回動する。
また、第2の電圧Vの周波数は、第1の電圧Vの周波数に比べて極めて低く設定されている。また、第2の振動系の捩り共振周波数は、第1の振動系の捩り共振周波数よりも低く設計されている。そのため、可動ミラー部11が第2の電圧Vの周波数でY軸周りに回動してしまうことを抑制することができる。
このように、第1の電圧Vと第2の電圧Vとを重畳させた電圧をコイル31に印加することで、可動ミラー部11を、Y軸周りに第1の電圧Vの周波数で回動させつつ、X軸周りに第2の電圧Vの周波数で回動させることができる。これにより、装置の低コスト化および小型化を図るとともに、電磁駆動方式(ムービングマグネット方式)により、可動ミラー部11をX軸およびY軸のそれぞれの軸周りに回動させることができる。また、駆動源を構成する部品(永久磁石およびコイル)の数を少なくすることができるため、簡単かつ小型な構成とすることができる。また、コイル31が光スキャナー1の振動系と離間しているので、かかる振動系に対するコイル31の発熱による悪影響を抑制することができる。
このような可動ミラー部11の挙動は、軸部12および軸部14のうちの少なくとも一方の軸部に設けられた歪検出素子(図示せず)の検出信号に基づいて検出される。そして、この検出信号に基づいて、制御部6が電圧印加部4の駆動を制御する。
(撓み低減層)
以下、撓み低減層115について詳述する。
図5は、図1に示す光スキャナーが備える光反射部および接合層の拡大断面図である。
撓み低減層115は、光反射板113のスペーサー112側の面に設けられ、かつ、接合膜16と同じ材料で構成されている。そして、撓み低減層115は、光反射板113の撓みを低減する機能を有する。このような撓み低減層115は、接合膜16と同じ材料で構成されているため、後に詳述するように接合膜16と一括して同時に形成することができる。そのため、製造工程の簡単化を図ることができる。なお、撓み低減層115の撓みを低減する作用については、後述する光スキャナー1の製造方法の説明とともに後に詳述する。
前述したように、接合膜16は、金属で構成されている。したがって、撓み低減層115も金属で構成されている。金属は、一般に光反射板113を構成する材料(本実施形態の場合、シリコン)よりも線膨張係数が大きい。そのため、金属で構成された撓み低減層115により光反射板113の撓みを効果的に低減することができる。ここで、接合膜16および撓み低減層115を構成する金属は、光反射板113の構成材料よりも線膨張係数が大きい。
また、撓み低減層115の厚さt2は、光反射板113の中央部側から外周側に向かうにつれて薄くなる部分を有する。光反射板113に生じる撓みは、光反射板113の中央部側が大きく、外周部側が小さい。したがって、撓み低減層115の厚さt2を光反射板113の外周側に向かうにつれて薄くすることにより、光反射板113の撓みをバランスよく低減することができる。
また、撓み低減層115の厚さt2は、光反射板113の静撓みができるだけ小さくなるように適宜設定されるが、接合膜16の厚さt1と同等かまたはそれよりも薄い。これにより、光反射板113の撓みをバランスよく低減することができる。
また、撓み低減層115は、光反射板113の外周よりも内側に設けられている。すなわち、撓み低減層115は、光反射板113の外周部に設けられていない。前述したように、光反射板113に生じる撓みは、光反射板113の中央部側が大きく、外周部側が小さい。したがって、撓み低減層115をこのように配置することにより、光反射板113の撓みをバランスよく低減することができる。
また、撓み低減層115の幅w2(撓み低減層115の外周縁とスペーサー112との間の距離)は、光反射板113の静撓みができるだけ小さくなるように適宜設定されるが、光反射板113の外周縁とスペーサー112との間の距離w1に対して、0.3以上0.9以下であることが好ましく、0.5以上0.8以下であることがより好ましい。これにより、光反射板113の撓みをバランスよく低減することができる。
前述したように、スペーサー112および光反射板113からなる構造体(光反射部)は、SOI基板を用いて構成されている。これにより、ボックス層およびハンドル層を用いてスペーサー112(接続部)を構成し、デバイス層を用いて光反射板113を構成することができる。すなわち、スペーサー112を、シリコンで構成された柱部1121と、シリコン酸化膜1122と、で構成し、また、光反射板113をシリコンで構成することができる。このような場合、デバイス層とボックス層との線膨張係数差、すなわち、光反射板113とシリコン酸化膜1122との線膨張係数差により光反射板113とシリコン酸化膜1122との間に応力が生じてしまう。撓み低減層115は、このような応力を相殺させる方向の応力を光反射板113との間に生じさせ、光反射板113に生じる撓みを低減することができる。
また、光反射膜114が金属で構成されている場合、すなわち、光反射板113のスペーサー112と反対側の面に金属膜が設けられている場合、光反射板113の光反射性を優れたものとすることができるものの、光反射板113と光反射膜114との線膨張係数差により光反射板113と光反射膜114との間に応力が生じてしまう。撓み低減層115は、このような応力を低減させる方向の応力も光反射板113との間に生じさせ、光反射板113に生じる撓みを低減することができる。
(光スキャナーの製造方法)
以下、本発明の光スキャナーの製造方法について、前述した光スキャナー1を製造する場合を例に説明する。
図6および図7は、図1に示す光スキャナーの製造方法における光反射部の形成工程を説明するための図である。図8は、図1に示す光スキャナーの製造方法における光反射部形成後の工程を説明するための図である。
光スキャナー1の製造方法は、[1]光反射板113、スペーサー112および接合膜16を含む構造体61(ミラー側構造体)を形成する第1工程と、[2]基部111、軸部12、枠体部13、軸部14、支持部15および接合膜17を含む構造体62(アクチュエーター側構造体)を形成する第2工程と、[3]接合膜16と接合膜17とを接合する第3工程と、を有する。
以下、各工程を順次詳細に説明する。
[1]第1工程(ミラー側構造体の形成)
まず、図6(a)に示すように、SOI基板50を用意する。このSOI基板50は、Siで構成されたハンドル層51と、SiOで構成されたボックス層52と、Siで構成されたデバイス層53と、を有し、これらがこの順に積層されている。
次に、SOI基板50を加工して、図6(b)に示すように、スペーサー112および光反射板113を形成する。より具体的には、例えば、SOI基板50のデバイス層53をエッチングにより加工した後に、SOI基板50のハンドル層51をエッチングにより加工する。その後、ボックス層52の不要部分等の不要膜を除去し、スペーサー112および光反射板113を形成する。
このようにSOI基板50を用いて形成されたスペーサー112および光反射板113からなる構造体は、光反射板113の線膨張係数がシリコン酸化膜1122の線膨張係数よりも大きく、このような線膨張係数差に起因してシリコン酸化膜1122と光反射板113との間に生じた歪みにより、光反射板113の外周部がスペーサー112とは反対側に変位するように光反射板113に静撓みが生じる。
次に、図7(a)に示すように、光反射板113の上面(スペーサー112とは反対側の面)に光反射膜114を気相成膜法により形成する。
光反射膜114の線膨張係数が光反射板113の線膨張係数よりも大きく、このような線膨張係数差に起因して光反射板113と光反射膜114との間に生じた歪みにより、光反射板113の外周部がスペーサー112とは反対側に変位するように(すなわち、前述したような光反射板113とシリコン酸化膜1122との線膨張係数差に起因する光反射板113の静撓みと同方向に)光反射板113に静撓みが生じる。
次に、図7(b)に示すように、スペーサー112の端面に接合膜16を気相成膜法により形成する。このとき、光反射板113の下面(スペーサー112側の面)に撓み低減層115を同時に形成する。
より具体的に説明すると、スペーサー112および光反射板113に対し、開口MOを有するマスクMを用いて接合膜16の構成材料の成膜を行う。このとき、マスクMと光反射板113との間の距離L1、および、マスクMの開口MOの幅w3を適宜設定することにより、撓み低減層115の形成範囲、厚さ、厚さ分布等を制御することができる。例えば、距離L1を小さくするほど、成膜材料の回り込みが生じ難くなるため、得られる撓み低減層115の平面視形状が開口MOの平面視形状に近づき撓み低減層115の厚さが均一となる。一方、距離L1が大きくなるほど、成膜材料の回り込みが生じやすくなるため、得られる撓み低減層115の平面視形状が開口MOの平面視形状よりも大きくなり撓み低減層115の厚さが端部側に向けて薄くなる。また、開口MOの幅w3に応じて、撓み低減層115の幅を調整することもできる。
このように、接合膜16および撓み低減層115を一括して同時に形成することにより、製造工程を簡単化しつつ、接合膜16および撓み低減層115を形成することができる。
また、接合膜16および撓み低減層115の形成は、スパッタリング法を用いることが好ましい。これにより、マスクMを適宜設定することにより、撓み低減層115の厚さや形成領域を調整しつつ、接合膜16および撓み低減層115を同時に形成することができる。
[2]第2工程(アクチュエーター側構造体の形成)
次に、図8(a)に示すように、構造体62(基部111、軸部12、枠体部13、軸部14、支持部15および接合膜17を含む)を形成する。そして、前述した工程[1]で得られた構造体61の接合膜16と、この構造体62の接合膜17とを表面活性化接合により接合する。
構造体62の形成は、例えば、SOI基板のデバイス層をエッチングにより加工した後に、SOI基板のハンドル層をエッチングにより加工し、その後、ボックス層等の不要膜を除去し、基部111、軸部12、枠体部13、軸部14および支持部15を形成する。その後、接合膜17を気相成膜法により形成する。
[3]第3工程(接合工程)
このようにして得られた構造体62は、構造体61との接合後、図8(b)に示すように、永久磁石21を枠体部13に取り付けるとともに、コイル31を設置する。これにより、光スキャナー1が得られる。
以上説明したような光スキャナー1の製造方法によれば、スペーサー112に接合膜16を形成するのと同時に、光反射板113のスペーサー112側の面に、接合膜16と同じ材料で、光反射板113の撓みを低減する撓み低減層115を形成するため、製造工程を簡単化しつつ、接合膜16および撓み低減層115を形成することができる。
<画像表示装置の実施形態>
図9は、本発明の画像表示装置の実施形態を模式的に示す図である。
本実施形態では、画像表示装置の一例として、光スキャナー1をイメージング用ディスプレイの光スキャナーとして用いた場合を説明する。なお、スクリーンSの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。また、X軸がスクリーンSの横方向と平行であり、Y軸がスクリーンSの縦方向と平行である。
画像表示装置(プロジェクター)9は、レーザー等の光を照出する光源装置(光源)91と、複数のダイクロイックミラー92A、92B、92Cと、光スキャナー1とを有している。
光源装置91は、赤色光を照出する赤色光源装置911と、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913とを備えている。
各ダイクロイックミラー92A、92B、92Cは、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
このような画像表示装置9は、図示しないホストコンピューターからの画像情報に基づいて、光源装置91(赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913)から照出された光をダイクロイックミラー92A、92B、92Cでそれぞれ合成し、この合成された光が光スキャナー1によって2次元走査され、スクリーンS上でカラー画像を形成するように構成されている。
2次元走査の際、光スキャナー1の可動ミラー部11のY軸周りの回動により光反射膜114で反射した光がスクリーンSの横方向に走査(主走査)される。一方、光スキャナー1の可動ミラー部11のX軸周りの回動により光反射膜114で反射した光がスクリーンSの縦方向に走査(副走査)される。
なお、図9中では、ダイクロイックミラー92A、92B、92Cで合成された光を光スキャナー1によって2次元的に走査した後、その光を固定ミラー93で反射させてからスクリーンSに画像を形成するように構成されているが、固定ミラー93を省略し、光スキャナー1によって2次元的に走査された光を直接スクリーンSに照射してもよい。
以下に、画像表示装置の応用例について説明する。
<画像表示装置の応用例1>
図10は、本発明の画像表示装置の応用例1を示す斜視図である。
図10に示すように、画像表示装置9は、携帯用画像表示装置100に適用することができる。
この携帯用画像表示装置100は、手で把持することができる寸法で形成されたケーシング110と、ケーシング110内に内蔵された画像表示装置9とを有している。この携帯用画像表示装置100により、例えば、スクリーンや、デスク上等の所定の面に、所定の画像を表示することができる。
また、携帯用画像表示装置100は、所定の情報を表示するディスプレイ120と、キーパット130と、オーディオポート140と、コントロールボタン150と、カードスロット160と、AVポート170とを有している。
なお、携帯用画像表示装置100は、通話機能、GPS受信機能等の他の機能を備えていてもよい。
<画像表示装置の応用例2>
図11は、本発明の画像表示装置の応用例2を示す斜視図である。
図11に示すように、画像表示装置9は、ヘッドアップディスプレイシステム200に適用することができる。
このヘッドアップディスプレイシステム200では、画像表示装置9は、自動車のダッシュボードに、ヘッドアップディスプレイ210を構成するよう搭載されている。このヘッドアップディスプレイ210により、フロントガラス220に、例えば、目的地までの案内表示等の所定の画像を表示することができる。
なお、ヘッドアップディスプレイシステム200は、自動車に限らず、例えば、航空機、船舶等にも適用することができる。
<画像表示装置の応用例3>
図12は、本発明の画像表示装置の応用例3を示す斜視図である。
図12に示すように、画像表示装置9は、ヘッドマウントディスプレイ300に適用することができる。
すなわち、ヘッドマウントディスプレイ300は、眼鏡310と、眼鏡310に搭載された画像表示装置9とを有している。そして、画像表示装置9により、眼鏡310の本来レンズである部位に設けられた表示部320に、一方の目で視認される所定の画像を表示する。
表示部320は、透明であってもよく、また、不透明であってもよい。表示部320が透明な場合は、現実世界からの情報に画像表示装置9からの情報を上乗せして使用することができる。
なお、ヘッドマウントディスプレイ300に、2つ画像表示装置9を設け、両方の目で視認される画像を、2つの表示部に表示するようにしてもよい。
以上、本発明の光スキャナー、光スキャナーの製造方法、画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の光スキャナー、画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイでは、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができ、また、他の任意の構成を付加することもできる。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、前述した実施形態では、光スキャナーまたはアクチュエーターの駆動方式としてムービングマグネット方式を採用した場合を例に説明したが、これに限定されず、ムービングコイル方式を採用した光スキャナーまたはアクチュエーターにも本発明を適用できる。また、本発明は、ムービングマグネット方式やムービングコイル方式のような電磁駆動方式に限定されず、例えば、圧電駆動方式、静電駆動方式等の他の駆動方式にも適用可能である。
また、前述した実施形態では、第1軸部が2つ(1対)設けられている場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、第1軸部が4つ(2対)以上設けられていてもよい。
また、前述した実施形態では、第2軸部が2つ(1対)設けられている場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、第2軸部が4つ(2対)以上であってもよい。
また、前述した実施形態では、可動ミラー部が第1軸部を介して枠体部に接続され、枠体部が第2軸部を介して支持部に接続され、可動ミラー部がX軸周りおよびY軸周りに揺動するような2軸走査を行う光スキャナーとなる場合を例に説明した。しかし、これに限定されず、本発明は、例えば、可動ミラー部が第1軸部を介して支持部に接続されるような、1軸走査を行う光スキャナーにも適用可能である。
また、前述した実施形態では、SOI基板を加工することにより光反射板およびスペーサーを形成した場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、光反射板およびスペーサーを別々の基板から形成してもよい。
1‥‥光スキャナー
4‥‥電圧印加部
6‥‥制御部
9‥‥画像表示装置
11‥‥可動ミラー部
12‥‥軸部
12a‥‥軸部
12b‥‥軸部
13‥‥枠体部
14‥‥軸部
14a‥‥軸部
14b‥‥軸部
15‥‥支持部
16‥‥接合膜
17‥‥接合膜
21‥‥永久磁石
31‥‥コイル
41‥‥第1の電圧発生部
42‥‥第2の電圧発生部
43‥‥電圧重畳部
43a‥‥加算器
50‥‥SOI基板
51‥‥ハンドル層
52‥‥ボックス層
53‥‥デバイス層
61‥‥構造体
62‥‥構造体
91‥‥光源装置
92A‥‥ダイクロイックミラー
92B‥‥ダイクロイックミラー
92C‥‥ダイクロイックミラー
93‥‥固定ミラー
100‥‥携帯用画像表示装置
110‥‥ケーシング
111‥‥基部
112‥‥スペーサー
113‥‥光反射板
114‥‥光反射膜
115‥‥撓み低減層
120‥‥ディスプレイ
130‥‥キーパット
131‥‥リブ
140‥‥オーディオポート
150‥‥コントロールボタン
151‥‥凹部
152‥‥反射防止層
160‥‥カードスロット
170‥‥AVポート
200‥‥ヘッドアップディスプレイシステム
210‥‥ヘッドアップディスプレイ
220‥‥フロントガラス
300‥‥ヘッドマウントディスプレイ
310‥‥眼鏡
320‥‥表示部
911‥‥赤色光源装置
912‥‥青色光源装置
913‥‥緑色光源装置
1121‥‥柱部
1122‥‥シリコン酸化膜
L1‥‥距離
M‥‥マスク
MO‥‥開口
S‥‥スクリーン
‥‥周期
‥‥周期
‥‥第1の電圧
‥‥第2の電圧
t1‥‥厚さ
t2‥‥厚さ
w1‥‥距離
w2‥‥幅
w3‥‥幅
θ‥‥傾斜角

Claims (11)

  1. 基部と、
    前記基部を揺動可能に支持する軸部と、
    光を反射する光反射板、および、当該光反射板を前記基部に接続する接続部を含む光反射部と、
    前記基部と前記接続部との間に設けられ、かつ、前記基部と前記接続部とを接合する接合層と、
    前記光反射板の前記接続部側の面に設けられ、かつ、前記接合層と同じ材料で構成され、前記光反射板の撓みを低減する撓み低減層と、を有することを特徴とする光スキャナー。
  2. 前記接合層は、金属で構成されている請求項1に記載の光スキャナー。
  3. 前記撓み低減層の厚さは、前記光反射板の中央部側から外周側に向かうにつれて薄くなる部分を有する請求項1または2に記載の光スキャナー。
  4. 前記撓み低減層は、前記光反射板の外周よりも内側に設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光スキャナー。
  5. 前記光反射部は、SOI基板を用いて構成されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光スキャナー。
  6. 前記光反射板の前記接続部と反対側の面には、金属膜が設けられている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光スキャナー。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光スキャナーの製造方法であって、
    前記接合層および前記撓み低減層を一括して同時に形成することを特徴とする光スキャナーの製造方法。
  8. 光を反射する光反射板、および、当該光反射板を基部に接続する接続部を含む光反射部を有する光スキャナーの製造方法であって、
    前記接続部に接合層を形成するのと同時に、前記光反射板の前記接続部側の面に、前記接合層と同じ材料で、前記光反射板の撓みを低減する撓み低減層を形成することを特徴とする光スキャナーの製造方法。
  9. 前記接合層および前記撓み低減層の形成を、スパッタリング法を用いて行う請求項7または8に記載の光スキャナーの製造方法。
  10. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光スキャナーを備えることを特徴とする画像表示装置。
  11. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光スキャナーを備えることを特徴とするヘッドマウントディスプレイ。
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