JP2016138827A - ガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析装置 - Google Patents

ガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ガスクロマトグラフにおいて、簡易な方法で、重複ピークのガス成分の判定を行う。【解決手段】クロマトグラムC1〜C5におけるガス成分のピークに1種以上の他のガス成分のピークが重複している重複ピークについて、傾きの変化に基づいて他のガス成分が存在することを判定する判定部を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、ガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析装置、特に、クロマトグラムにおける、あるガス成分のピークに1種以上の他のガス成分のピークが重複している重複ピークについてのガス成分の分析装置に関する。
従来、この種の分析装置として、例えば、ガス種とその濃度ごとの波形を記憶してあるデータベースを用いて、記憶してある波形を任意の比で足し合わせて重複ピークを再現するものがある(以下、従来例1と称する)。この装置では、重複ピークを再現する各波形に基づいて、複数のガス成分の存在の判定や、各ガス成分の同定及び濃度決定を行うことができる。
また、クロマトグラムの重複ピークに極大値が複数ある場合は、その極大値の数は重複ピークに含まれるガス成分の種別数を表すと考えられる。このため、複数のガス成分が存在しているかどうかを判定することを目的として、ピークにおける極大値の数を判定することも考えられる(以下、従来例2と称する)。
従来例1の装置は、重複ピークを再現するための波形データをガス種とその濃度ごとに網羅的に記憶したデータベースと、記憶された膨大な波形データの組み合わせの中から最適解を求めるための高い解析処理能力とを有している必要がある。このように高い能力が求められるため、従来例1の装置はコストが高くなりやすい不利益がある。例えば、装置の簡略化・低廉化が求められるポータブル式の分析装置には特に不向きである。
従来例2の方法は、極大値の数を判定するのみの簡易な方法であり、従来例1の装置に比べ、従来例2の方法を行う装置に求められる能力は低く済む。ただし、各ガス成分の同定及び濃度決定を行うことはできない。また、重複ピークを構成するガス成分のうち、主となるガス成分の濃度と他のガス成分の濃度とに大きく差がある場合には、主のガス成分のピークに他のガス成分のピークが埋もれて極大値として現れなくなることがある。この場合には、従来例2の方法では、複数のガス成分が存在しているかどうかを判定することは困難となり、判定の確実性に問題がある。
簡易な方法で、確実性高く重複ピークについてのガス成分の判定等の分析を行うことができる分析装置が望まれる。
本発明に係るガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析装置は、
クロマトグラムにおける、あるガス成分のピークに1種以上の他のガス成分のピークが重複している重複ピークについて、前記重複ピークにおける傾きの変化に基づいて前記他のガス成分が存在することを判定する判定部を備える。
この構成によれば、クロマトグラムにおいて、主のガス成分のピークに他のガス成分のピークが埋もれて極大値として現れなくなる場合でも(図2参照)、重複ピークにおける傾きの変化であれば、図3,4に示すように、他のガス成分を示すピークが明確に極大値をもって現れることとなる。このため、他のガス成分の存在を確実性高く判定できる。また、重複ピークにおける傾きの変化は、微小時間ごとの出力値の差分をとるなど、簡易な方法により求めることができる。従って、簡易な方法で、確実性高く重複ピークについてのガス成分の判定を行うことができる。
以下、本発明に係る分析装置の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
1つの態様として、判定部は、前記重複ピークにおける傾きの絶対値の極小値を複数検出したときに、前記他のガス成分の存在を検出すると好適である。
クロマトグラムのピークにおける傾きの絶対値の極小値は、1種のガス成分に基づくピークの場合は1つしか現れないが(図3におけるC5参照)、2種以上のガス成分のピークが重複して現れる重複ピークの場合は極小値が複数現れる(図3におけるC1〜C4参照)。この知見に基づいて、この態様では、極小値を複数検出したときに他のガス成分が存在することを判定する。これにより、より確実性高く重複ピークについてのガス成分の判定を行うことができる。また、極小値の検出は、傾きの絶対値の時間変化が減少から増加に変わる点を求めるという簡易な方法で行うことができる。従って、簡易な方法で、より確実性高く重複ピークについてのガス成分の判定を行うことができる。
1つの態様として、判定部は、前記極小値のうち、前記他のガス成分に起因する前記極小値における時間に基づいて前記他のガス成分の定性分析を行うと好適である。
発明者は知見により、極小値における時間が、この極小値に起因するガス成分の種類と関連を有することを発見した。つまり、この態様によれば、極小値における時間とこの極小値に対応するガス成分との関係を利用して、極小値における時間に基づいてガス成分の定性分析を行うことができる。また、その分析は、重複ピークの傾きとその極小値を求めるといった簡単な演算を行うのみの簡易な方法で済む。従って、簡易な方法で、重複ピークについてのガス成分の定性分析を行うことができる。
1つの態様として、判定部は、前記他のガス成分に起因する前記極小値を対象極小値とし、前記対象極小値の後に現れる、前記重複ピークにおける傾きの絶対値の極大値を対象極大値とし、前記対象極小値の値及び/又は前記対象極大値の値に基づいて前記他のガス成分の定量分析を行うと好適である。
この態様によれば、前記対象極小値の傾きの値や前記対象極大値の傾きの値とガス成分の濃度との相関関係の一例である、前記対象極小値の傾きの値と前記対象極大値の傾きの値との差とガス成分の濃度との相関関係を用いて定量分析を行う。このため、重複ピークの傾きやその極小値・極大値を求めるといった簡単な演算を行うのみの簡易な方法で、重複ピークについてのガス成分の定量分析を行うことができる。
1つの態様として、判定部は、前記定量分析を、前記対象極小値の値と前記対象極大値の値との差と前記他のガス成分の濃度との相関関係に基づいて行うと好適である。
この態様によれば、前記対象極小値の傾きの値や前記対象極大値の傾きの値とガス成分の濃度との相関関係の一例である、前記対象極小値の傾きの値と前記対象極大値の傾きの値との差とガス成分の濃度との相関関係を用いて定量分析を行う。このため、重複ピークの傾きやその極小値・極大値を求めるといった簡単な演算を行うのみの簡易な方法で、重複ピークについてのガス成分の定量分析を行うことができる。
分析装置の構成図 エチルベンゼンとp−キシレンとの混合ガスのクロマトグラム 図2におけるクロマトグラムの傾きの絶対値の時間変化を示すグラフ 図3のグラフのp−キシレンに起因する部分を拡大したグラフ 対象極小値の値と対象極大値の値との差とp−キシレンの濃度との相関関係を示すグラフ
本発明に係るガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析装置について、図面を参照して説明する。本発明に係る分析装置1は、クロマトグラムにおける、あるガス成分のピークに1種以上の他のガス成分のピークが重複している重複ピークについて、重複ピークにおける傾きの変化に基づいて前記他のガス成分の存在を判定する判定部8を有している。
即ち、この分析装置1は、ガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析方法であって、クロマトグラムにおける、あるガス成分のピークに1種以上の他のガス成分のピークが重複している重複ピークについて、前記重複ピークにおける傾きの変化に基づいて前記他のガス成分が存在することを判定する分析方法を行う。さらに、この分析装置1は、前記重複ピークにおける傾きの絶対値の極小値を複数検出したときに、前記他のガス成分が存在することを判定する分析方法、前記極小値のうち、前記他のガス成分に起因する前記極小値における時間に基づいて前記他のガス成分の定性分析を行う分析方法、前記他のガス成分に起因する前記極小値を対象極小値とし、前記対象極小値の後に現れる、前記重複ピークにおける傾きの絶対値の極大値を対象極大値とし、前記対象極小値の値及び/又は前記対象極大値の値に基づいて前記他のガス成分の定量分析を行う分析方法、並びに、前記定量分析を、前記対象極小値の値と前記対象極大値の値との差と前記他のガス成分の濃度との相関関係に基づいて行う分析方法を行う構成にしてある。以下、本発明の分析装置1について、詳細に説明する。
まず、本発明における分析装置1は、図1に示すように、キャリアガスを導入するガスボンベ2、導入するキャリアガスの流量を制御する流量制御部3、分析対象の試料を注入する導入部4、キャリアガスにより運ばれたサンプルガスを分離するカラム5、カラムの温度管理を行うヒーター6、及び、カラム5により分離されたガス成分の濃度に基づく信号を発生するセンサ7を備えており、一般的なクロマトグラフが備える構成を有している。さらに、本発明における分析装置1は、センサ7からの出力信号からサンプルガスに含まれるガス成分の判定などの各種分析を行う判定部8を備える。なお、この判定部8は、後述する分析を行うための分析用アルゴリズム、定性分析や定量分析を行うための各種のデータを備えるデータベースを格納する記憶部を有している。
この分析装置1では、導入部4から注入した分析対象の試料Sを、ガスボンベ2から導入するキャリアガスによりカラム5に運び、分析対象の試料Sをカラム5に通すことで試料S中の各ガス成分を分離する。そして、センサ7により各ガス成分の濃度に応じた信号を出力し、その出力信号を判定部8により分析する。
判定部8は、記憶部に格納してある分析用アルゴリズムにより、センサ7からの出力信号に基づくクロマトグラムについての分析を行う。具体的には、判定部8では、クロマトグラムにおける重複ピーク(あるガス成分のピークに1種以上の他のガス成分のピークが重複しているピークを意味する)について、(a)複数のガス成分が存在することの判定、判定したガス成分についての(b)定性分析及び(c)定量分析を行う。以下では、2種のガス成分のピークが重複している重複ピークに対する(a)〜(c)の分析についてそれぞれ説明する。
(a)複数のガス成分が存在することの判定
判定部8は、複数のガス成分が存在することを判定するため、ピークPについて設定時間ごとに(例えば1秒ごとや3秒ごとに)その出力値の差分を取り、各区間における傾きの絶対値を求めて、例えば図3に示すような、ピークPにおける傾きの絶対値の時間変化を求める。そして、判定部8は、この時間変化が減少から増加に変わる極小値の数を判定し、極小値が複数(2つ又は3つ)検出された場合に、試料に複数(2種)のガス成分が存在することを判定する。
説明すると、クロマトグラムのピークにおける傾きの絶対値の極小値は、ピークが1種のガス成分にのみ起因するものであった場合には1つしか現れないが(後述する図3におけるC5)、2種以上のガス成分のピークが重複して現れる重複ピークの場合は極小値が複数(2つ又は3つ)現れる(後述する図3におけるC1〜C4)。これを利用して、判定部8では、極小値の数を判定し、極小値が複数(2つ又は3つ)現れる場合に、試料Sに複数(2種)のガス成分が含まれていることを判定する。
(b)定性分析
通常、クロマトグラフィにおけるガス成分の定性分析は、ガス成分がセンサ7により検出されるまでの時間(ピークが立ち上がって最大値に達する時間)、即ち、保持時間とガス成分の種類の関係に基づいて行われる。この判定部8でも、センサ7の出力信号からクロマトグラムにおいて、出力値が0で一定の状態から増加し最大値(又は極大値)に達するピーク到達時間を求めることで保持時間を求め、この保持時間に基づき、記憶部に格納してあるデータベースを参照して、ピークに対応するガス成分の同定を行う。
ただし、重複ピークの場合、ピーク到達時間を求めても、それは、複数のガス成分のうちの1つのガス成分の保持時間を示すものであり、その最大値(又は極大値)とは関連しない他のガス成分の定性分析については別途何らかの手段が必要となる。
ここで、重複ピークにおいて、ピークの立ち上がり時間の後に出てくる傾きの絶対値の極小値(つまり、時間の早い側の極小値)は、出力値におけるピークの立ち上がり後の最大値(又は極大値)と対応するもので、即ち、重複ピークの立ち上がり後の最大値(又は極大値)に起因するガス成分に対応するものである。さらにその後の時間の遅い側の極小値(クロマトグラフC2〜4については傾きの絶対値の値が0でない1つの極小値、クロマトグラフC1については傾きの絶対値の値が0である2つの極小値)が、別途定性分析を行う必要がある他のガス成分に起因するものとなる。発明者は、時間の遅い側の極小値における時間(傾きの絶対値の値が0である2つの極小値に起因するガス成分については、2つの極小値のうちのより時間の遅い側の極小値の時間)と、その極小値に起因するガス成分の種類とに関連があることを見出した。
そこで、この分析装置1では、極小値とその極小値に起因するガス成分の種類との関係を様々なガス種について予め求めておき、この関係を定性分析用のデータとして、記憶部に格納したデータベースに保存してある。そして、判定部8は、上記(a)において、試料Sに複数のガス成分が含まれていると判定した場合は、複数のガス成分のうち、ピークの立ち上がり後の最大値(又は極大値)に関連するガス成分の定性分析を行うのに加えて、他のガス成分について、そのガス成分に起因する極小値(即ち、時間の遅い側の極小値)を対象極小値として選定する。さらに、この対象極小値の時間に基づいて、予めデータベースに格納してある極小値の時間とガス成分の種類との関係を参照して、他のガス成分の同定を行う。
(c)定量分析
通常、クロマトグラムにおける定量分析は、ピークの面積又はピークの高さに基づいて行われる。そして、この判定部8では、ピーク到達時間を保持時間として定性分析を行ったガス成分については、その最大値(又は極大値)をピークの高さとして求めて、このピークの高さと定性分析により求めたガス成分の種類とに基づき、記憶部に格納してあるデータベースを参照することで、ガス成分の濃度を求める。
一方、対象極小値の時間とガス成分の種類との関係から定性分析を行ったガス成分については、発明者は、対象極小値の後に現れる、重複ピークにおける傾きの絶対値の極大値を対象極大値として、これら対象極小値の値や対象極大値の値が、これら極小値・極大値に対応するガス成分の濃度と相関を有することを見出した。
そこで、この分析装置1では、極小値・極大値とこれら極小値・極大値に対応するガス成分の濃度との相関として、対象極小値の値と対象極大値の値との差とこれと対応するガス成分の濃度との相関関係を様々なガス種について予め求めておき(例えば図5における破線参照)、この関係を定量分析用のデータとして、記憶部に格納したデータベースに保存してある。そして、判定部8は、上記(b)において、対象極小値とその対象極小値に起因するガス成分の種類との関係から定性分析を行った他のガス成分については、対象極大値を傾きの絶対値の時間変化から求める。さらに、対象極小値の値と対象極大値の値との差を求めて、予めデータベースに格納してある対象極小値の値と対象極大値の値との差とこれと対応するガス成分の濃度との相関関係を参照して、他のガス成分の濃度を求める。
次に、判定部8の行う分析について具体例を示しながら説明する。具体例として、図2に、エチルベンゼンとp−キシレンとの混合ガスを分析対象の試料Sとして導入部4に導入した場合のクロマトグラム(縦軸がセンサ7からの出力値、横軸が時間)を示す。図2では、エチルベンゼンの濃度10ppmに対し、混合するp−キシレンの濃度をそれぞれ異ならせた混合ガスについてのクロマトグラムC1〜C4と、エチルベンゼンのみのガス(濃度10ppm)についてのクロマトグラムC5とを示してある。詳しくは、以下の通りである。
C1:エチルベンゼン 10ppm、p−キシレン 3ppm
C2:エチルベンゼン 10ppm、p−キシレン 2ppm
C3:エチルベンゼン 10ppm、p−キシレン 1ppm
C4:エチルベンゼン 10ppm、p−キシレン 0.5ppm
C5:エチルベンゼン 10ppm、p−キシレン 0ppm
クロマトグラムC1〜C5にはエチルベンゼンとp−キシレンとに起因するピークPが生じている。このピークPは、クロマトグラムC5を除き、時間が早い側(図2中左側)のエチルベンゼンに起因するピークPebに、時間が遅い側(図2中右側)のp−キシレンのピークPpxが重複している重複ピークとなっている。クロマトグラムC5についてはエチルベンゼンに起因するピークPebのみが生じている。以下に、これらクロマトグラムC1〜C5が得られた場合の判定部8が行う(a)複数のガス成分が存在することの判定、(b)定性分析、(c)定量分析を示す。なお、エチルベンゼンやp−キシレンについて、上記した(a)〜(c)の分析を行うために必要な相関関係などのデータは予め実験により求めてあり、これをデータベースに格納してある。
(a)複数のガス成分が存在することの判定
判定部8は、クロマトグラムC1〜C5におけるピークPについて設定時間ごとにその出力値の差分を取り、各区間における傾きの絶対値を求めて、図3,4に示すような、ピークPにおける傾きの絶対値の時間変化を求める。演算部8は、上記したようにピークPにおける極小値lminの数を判定し、極小値lminが複数検出された場合に、試料に複数のガス成分が存在することを判定する。したがって、判定部8は、クロマトグラムC1〜C4については、クロマトグラムC1は極小値lminが3つ、クロマトグラムC2〜C4は極小値lminが2つ存在するため、各クロマトグラムC1〜C4に対応する試料については、複数のガス成分が存在すると判定する。一方、クロマトグラムC5については極小値lminが1つしか存在しないため、判定部8は、クロマトグラムC5に対応する試料については、複数のガス成分は存在しない(ガス成分が1種類)と判定する。
(b)定性分析
判定部8は、クロマトグラムC1〜C5におけるピークPの立ち上がり後に最大値Pmaxに達するピーク到達時間tpを求める。複数のガス成分が存在すると判定したクロマトグラムC1〜C4については、このピーク到達時間tpを複数のガス成分のうちの1つのガス成分の保持時間とし、ガス成分が1種類と判定したクロマトグラムC5については、このピーク到達時間tpをそのガス成分の保持時間として、記憶部に格納してあるデータベースを参照し、これら保持時間に対応するガス成分がエチルベンゼンであると判定する。つまり、判定部8は、クロマトグラムC1〜C4に対応する試料については、ガス成分としてエチルベンゼンを含むことを判定し、クロマトグラムC5に対応する試料については、その試料がエチルベンゼンであると判定する。
さらに、判定部8は、複数のガス成分が存在すると判定したクロマトグラムC1〜C4については、エチルベンゼン以外のガス成分に起因する極小値lminとして、時間の遅い側の極小値lmin(クロマトグラムC1については最も時間の遅い側の極小値lmin)を対象極小値Tminとして選定する。そして、対象極小値Tminの時間に基づいて、予めデータベースに格納してある極小値lminの時間とガス成分の種類との関係を参照し、これら対象極小値Tminに対応するガス成分がp−キシレンであると判定する。
(c)定量分析
判定部8は、クロマトグラムC1〜C5に対し、ピーク到達時間tpを保持時間として定性分析を行ったガス成分、即ち、エチルベンゼンについては、ピークPの高さを求めて、このピークPの高さについて記憶部に格納してあるデータベースを参照することで、エチルベンゼンの濃度を求める。
さらに、判定部8は、クロマトグラムC1〜C4について、対象極小値Tminの時間から定性分析を行ったガス成分、即ち、p−キシレンの濃度を求める。この場合、予め、実験により、エチルベンゼンとp−キシレンとの混合ガスにおけるクロマトグラムのピークにおいて、対象極小値Tminの値と対象極大値Tmaxの値との差dとp−キシレンの濃度との相関関係を求めて、データベースに格納しておく。具体的には、この相関関係は、図5に示す破線のようなものとなる。図5は、縦軸が対象極小値Tminの値と対象極大値Tmaxの値との差dであり、横軸がp−キシレンの濃度となっている。この図5の相関関係を利用することにより、対象極小値Tminの値と対象極大値Tmaxの値との差dがわかれば、p−キシレンの濃度がわかる。
これに基づいて、判定部8は、まず、対象極小値Tminの後に現れる、ピークPにおける傾きの絶対値の極大値を求めて、これを対象極大値Tmaxとして選定する。そして、対象極小値Tminの値と対象極大値Tmaxの値との差dを求める(図4参照)。そして、判定部8は、この差dに基づいて、予めデータベースに格納してある上記相関関係を参照して、p−キシレンの濃度を求める。
このように、図2のクロマトグラムC2〜4のように、エチルベンゼンのピークPebにp−キシレンのピークPpxが極大値として現れなくなる場合でも、ピークPにおける傾きの変化に基づき、例えば、ピークPにおける傾きの絶対値の極小値lminを複数検出したときに複数のガス成分が存在することを判定できる。これにより、より確実性高く重複ピークについてのガス成分の判定を行うことができる。また、その方法も、センサ7からの出力値の差分をとって、傾きの変化を求めたり、その極小値lminや極大値を求めるといった極めて簡易な方法で、複数のガス成分が存在することの判定のみならず、定性分析や定量分析まで行うことができる。つまり、本発明によれば、簡易な方法で、確実性高く重複ピークについてのガス成分の判定を行うことができる。
〔その他の実施形態〕
最後に、分析装置1のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上述の実施形態では、エチルベンゼンとp−キシレンとの混合ガスを試料Sとして分析した例を説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、m−キシレンとo−キシレンとの混合ガスなど、クロマトグラフに複数のガス成分に起因するピークが重複して現れる重複ピークを有するものであればどのようなものであってもよい。また、3種以上のガス成分に起因するピークが重複して現れる重複ピークを有するものであってもよい。
(2)上述の実施形態では、判定部8が、(a)複数のガス成分が存在することの判定を、ピークPの傾きの絶対値の極小値lminの数に基づいて行う構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、ピークPの傾きの絶対値の極大値の数など、ピークPの傾きの変化に関する他の基準を用いて、判定を行ってもよい。
(3)判定部8は、(a)複数のガス成分が存在することの判定において、さらに、試料Sに含まれるガス成分の種類数も判定可能にしてもよい。例えば、図3に示されるように、2種のガス成分のピークが重複する重複ピークでは、2種のガス成分のうちの一方のガス成分に起因する1つの極小値lmin(時間が早い側)に加え、他方のガス成分に起因する極小値lminとして、値が0でない極小値lminが1つ(クロマトグラムC2〜C4の場合)、又は、値が0である極小値lminが2つ(クロマトグラムC1の場合)となっている。このような極小値lminの値とその数とガス成分と数との関係に基づいて、値が0でない極小値lminの数と、値が0である極小値lminの数とから、試料Sに含まれるガス成分の種類数を判定してもよい。
(4)上述の実施形態では、判定部8が、(c)定量分析において、対象極小値Tminの値と対象極大値Tmaxの値との差dとこれと対応するガス成分の濃度との相関関係を利用して、そのガス成分の濃度を求める構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、値及び前記対象極大値Tmaxの値のいずれか一方とこれと対応するガス成分の濃度との相関関係を利用して、ガス成分の濃度を求めてもよい。
(5)上述の実施形態では、判定部8が、(a)複数のガス成分が存在することの判定、判定したガス成分についての(b)定性分析及び(c)定量分析を行う構成を例に説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。例えば、判定器8は、(a)複数のガス成分が存在することの判定のみを行うものであってもよい。また、(a)複数のガス成分が存在することの判定と、判定したガス成分についての(b)定性分析のみを行うものであってもよい。
(6)分析装置1は、判定部8の分析結果(例えば、複数のガス成分が含まれていると判定された場合など)に応じて警報を発する警報手段、判定部8の分析結果を表示する表示手段、判定部8の分析結果を管理者の携帯端末等に送信する通信手段を有するものであってもよい。
(7)本発明に係る分析装置1は、いわゆるクロマトグラフに判定部8を備える単一の機器であってもよく、又は、ガス成分の検出を行うクロマトグラフとその検出結果を分析するパソコンなどの判定部8としてのコンピュータとからなるものであってもよい。
(8)本発明に係る分析装置1は、据え置き式であってもよく、又は、ポータブル式であってもよい。ポータブル式とする場合、分析装置1におけるガスボンベ2に代えて、周囲空気を導入するエアフィルタを採用するなど、構成を簡易なものとすると好適である。
(9)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
本発明は、ガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析に利用することができる。
1 分析装置
8 判定部
C1〜C5 クロマトグラム
P 重複ピーク
Peb エチルベンゼンのピーク(あるガス成分のピーク)
Ppx p−キシレンのピーク(他のガス成分のピーク)
lmin 極小値
Tmin 対象極小値
Tmax 対象極大値
d 対象極小値の値と対象極大値の値との差

Claims (5)

  1. ガスクロマトグラフィにおけるガス成分の分析装置であって、
    クロマトグラムにおける、あるガス成分のピークに1種以上の他のガス成分のピークが重複している重複ピークについて、前記重複ピークにおける傾きの変化に基づいて前記他のガス成分が存在することを判定する判定部を備える分析装置。
  2. 前記判定部は、前記重複ピークにおける傾きの絶対値の極小値を複数検出したときに、前記他のガス成分が存在することを判定する請求項1に記載の分析装置。
  3. 前記判定部は、前記極小値のうち、前記他のガス成分に起因する前記極小値における時間に基づいて前記他のガス成分の定性分析を行う請求項2に記載の分析装置。
  4. 前記判定部は、前記他のガス成分に起因する前記極小値を対象極小値とし、前記対象極小値の後に現れる、前記重複ピークにおける傾きの絶対値の極大値を対象極大値とし、前記対象極小値の値及び/又は前記対象極大値の値に基づいて前記他のガス成分の定量分析を行う請求項3に記載の分析装置。
  5. 前記判定部は、前記定量分析を、前記対象極小値の値と前記対象極大値の値との差と前記他のガス成分の濃度との相関関係に基づいて行う請求項4に記載の分析装置。
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