電子機器における配線層や電極等の形成には、樹脂型ペーストや焼成型ペーストのような、銀粉や銅粉等の金属フィラーを使用したペーストが多く用いられている。銀粉や銅粉等からなる金属フィラーペーストは、電子機器の各種基材上に塗布又は印刷され、加熱硬化や加熱焼成の処理を受けて、配線層や電極等となる導電膜を形成する。
例えば、樹脂型導電性ペーストは、金属フィラーと、樹脂、硬化剤、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷し、100℃〜200℃で加熱硬化させて導電膜として配線や電極を形成する。樹脂型導電性ペーストは、熱によって熱硬化型樹脂が硬化収縮するため、金属フィラーが圧着されて接触することで金属フィラーが重なり、電気的に接続した電流パスが形成される。この樹脂型導電性ペーストは、硬化温度が200℃以下で処理されることから、プリント配線板等の熱に弱い材料を使用している基板に用いられている。
また、焼成型導電性ペーストは、金属フィラーと、ガラス、溶剤等からなり、導電体回路パターン又は端子の上に印刷し、600℃〜800℃に加熱焼成させて導電膜として配線や電極を形成する。焼成型導電性ペーストは、高い温度によって処理することで、金属フィラーが焼結して導通性が確保されるものである。この焼成型導電性ペーストは、焼成温度が高いため、樹脂材料を使用するようなプリント配線基板には使用できないものの、高温処理で金属フィラーが焼結することから低抵抗を実現することが可能となる。そのため、焼成型導電性ペーストは、積層セラミックコンデンサの外部電極等に用いられる。
一方、電磁波シールドは、電子機器からの電磁気的なノイズの発生を防止するために使用される。近年では、パソコンや携帯の筐体が樹脂製となったことから、筐体に導電性を確保するために、蒸着法やスパッタ法により薄い金属皮膜を形成する方法や、導電性の塗料を塗布する方法、あるいは導電性のシートを必要な箇所に貼り付けて電磁波をシールドする方法等が提案されている。そして、その中でも、樹脂中に金属フィラーを分散させて塗布する方法や、樹脂中に金属フィラーを分散させてシート状に加工してそれを筐体に貼り付けて電磁波をシールドする方法は、加工工程において特殊な設備を必要とせず、自由度に優れた方法として多用されている。
しかしながら、このような金属フィラーを樹脂中に分散させて塗布する場合や、シート状に加工する場合においては、金属フィラーの樹脂中における分散状態が一様にならない。そのことから、電磁波シールドの効率を得るために、金属フィラーの充填率を高めて解消する等の方法が必要となる。ところが、その場合には、多量の金属フィラーの添加によってシート重量が重くなるとともに、樹脂シートの可撓性を損なう等の問題が発生していた。これらの問題を解消するために、例えば特許文献1においては、平板状の金属フィラーを使用することによって、電磁波シールド効果が優れ、また可撓性も良好な薄いシートを形成することができるとしている。
さて、これらの樹脂型導電性ペーストや焼成型導電性ペーストに使用される金属フィラーとしては、従来から銀の粉末が多く用いられてきた。しかしながら、近年では、貴金属価格が高騰し、低コスト化のためにも銀粉より安価な銅粉の使用が好まれてきた。
ここで、金属フィラーとして用いられる銅や銀の粉末としては、粒子同士が接続して導電することから、粒状や樹枝状、平板状等の形状が多く用いられてきた。特に、粒子を縦、横、厚さの3方向のサイズから評価すると、厚さが薄い平板状の形状では、厚さが減少することによる配線材の薄型化に貢献するとともに、一定の厚さがある立方体や球状の粒子よりも粒同士が接触する面積を大きく確保でき、それだけ低抵抗、すなわち高導電率が達成できるという利点がある。このため、平板状の銅粒子を含む粉末は、特に、導電性を維持したい導電塗料や導電性ペーストの用途に適している。なお、導電性ペーストを薄く塗布して用いる場合、銅粉に含まれる不純物の影響も無視できなくなる。
このような平板状の銅粉を作製するために、例えば特許文献2では、導電性ペーストのフィラーに適したフレーク状銅粉を得る方法が開示されている。具体的には、平均粒径0.5〜10μmの球状銅粉を原料として、ボールミルや振動ミルを用いて、ミル内に装填したメディアの機械的エネルギーによって機械的に平板状に加工するものである。
また、例えば特許文献3では、導電性ペースト用銅粉末、詳しくはスルーホール用及び外部電極用銅ペーストとして高性能が得られる円盤状銅粉末及びその製造方法に関する技術が開示されている。具体的には、粒状アトマイズ銅粉末を媒体撹拌ミルに投入し、粉砕媒体として1/8〜1/4インチ径のスチールボールを使用し、銅粉末に対して脂肪酸を重量で0.5〜1%添加して、空気中あるいは不活性雰囲気中で粉砕することで平板状に加工するものである。
さらに、例えば特許文献4では、電解銅粉の樹枝を必要以上に発達させることなく、従来の電解銅粉よりも成形性が向上した、高い強度に成形できる電解銅粉を得る方法が開示されている。具体的には、電解銅粉自体の強度を増して高い強度に成形できる電解銅粉を析出させるため、電解銅粉を構成する結晶子のサイズを微細化させることを目的として、電解液である硫酸銅水溶液中にタングステン酸塩、モリブデン酸塩、及び硫黄含有有機化合物から選択される1種又は2種以上を添加して電解銅粉を析出させるものである。
これらの特許文献に開示された方法は、いずれも得られた粒状の銅粉をボール等の媒体を使用して機械的に変形(加工)させることによって平板状としており、加工してできた平板状の銅粉の大きさは、例えば、特許文献2の技術では平均粒径が1μm〜30μmであり、特許文献4での技術は平均粒径が7μm〜12μmの大きさとしている。
一方、デンドライト状と呼ばれる樹枝状に析出した電解銅粉が知られており、形状が樹枝状になっていることから、表面積が大きく、成形性や焼結性が優れており、粉末冶金用途として含油軸受けや機械部品等の原料として使用されている。特に、含油軸受け等では、小型化が進み、それに伴って多孔質化や薄肉化、並びに複雑な形状が要求されるようになっている。それらの要求を満足するために、例えば特許文献5では、複雑3次元形状で寸法精度の高い金属粉末射出成形用銅粉末とそれを用いた射出成形品の製造方法が開示されている。具体的には、樹枝状の形状をより発達させることで、圧縮成形時に隣接する電解銅粉の樹枝が互いに絡み合って強固に連結するようになるため、高い強度に成形できることが示されている。さらに、導電性ペーストや電磁波シールド用の金属フィラーとして利用する場合には、樹枝状の形状であることから、球状と比べて接点を多くできることを利用できるとしている。
しかしながら、上述のような樹枝状の銅粉を導電性ペーストや電磁波シールド用樹脂等の金属フィラーとして利用する場合、樹脂中の金属フィラーが樹枝状に発達した形状であると、樹枝状の銅粉同士が絡み合って凝集が発生してしまい、樹脂中に均一に分散しないという問題や、凝集によりペーストの粘度が上昇して印刷による配線形成に問題が生じる。このような問題については、例えば特許文献4でも指摘されている。
導電性を確保するためには、3次元的な形状を有する樹枝状形状の方が粒状のものよりも接点を確保しやすく、導電性ペーストや電磁波シールドとして高い導電性を確保することが期待できる。ところが、上述したように、樹枝状の銅粉を導電性ペースト等の金属フィラーとして用いることは容易でなく、そのためにペーストの導電性の改善がなかなか進まない原因ともなっている。
なお、特許文献6では、導電性ペースト用途としての金属フィラーとしてのAg粉の開発において、金属フィラー同士の接触率を向上させるために放射状に延設された凸部を有し、その凸部が針状、桿状、花弁状である銀粉の提案を行っている。このような形状によって金属フィラー同士の接触率が向上し、銀ペースト中に含有するフィラー重量を少なくすることができ、コストの大幅の削減することができるとしている。
以下、本発明に係る銅粉の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.銅粉(平板状銅粒子凝集粉)≫
図1は、本実施の形態に係る銅粉の具体的な形状を示した模式図である。この図1の模式図に示すように、本実施の形態に係る銅粉1は、個片化した平板状の銅粒子2が2次元又は3次元的に凝集した形態をもつ銅粉(以下、この銅粉を「平板状銅粒子凝集粉1」ともいう)である。
より具体的に、平板状銅粒子凝集粉1は、平板状の銅粒子2が複数集合して凝集体となった凝集銅粉の形態をなし、その平板状の銅粒子2の長軸径dの平均(平均長軸径)が0.5μm〜5μmで、断面平均厚さが0.02μm〜0.5μmである。そして、その平板状の銅粒子2が複数集合して凝集体となった当該平板状銅粒子凝集粉1の大きさが、平均粒子径(D50)で1.0μm〜30μmである。
この平板状銅粒子凝集粉1は、詳しくは後述するが、例えば、銅イオンを含む硫酸酸性の電解液に陽極と陰極とを浸漬し、直流電流を流して電気分解することによって陰極上に析出させて得ることができる。
図2、図3は、本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集粉1について走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したときの観察像の一例を示す写真図である。なお、図2は平板状銅粒子凝集粉1を倍率10,000倍で観察したもので、図3は平板状銅粒子凝集銅粉1を倍率30,000倍で観察したものである。
図2の観察像に示されるように、平板状銅粒子凝集粉1は、平板状の銅粒子2が凝集した形態を呈している。また、図3の観察像に示されるように、この平板状の銅粒子2は個片化し、平面や曲面を有する平板状の形状である。
ここで、図1の模式図で示すように、平板状の銅粒子2は、略楕円形、小判形、又はいわゆるコーンフレーク状等の周囲が滑らかな平板状の面を有しており、後述する特定の範囲の断面平均厚さをもつ形状である。もちろん、略楕円形状等の面は、その断面平均厚さの2倍程度以下の高さを有する突起や付着粒子を有してもよい。
上述したように、これら平板状の銅粒子2の平均長軸径dは、0.5μm〜5μmであり、より好ましくは0.7μm〜4μmである。また、その銅粒子2の断面平均厚さは、0.02μm〜0.5μmであり、より好ましくは0.05μm〜0.4μmである。ここで、平板状の銅粒子2の平均長軸径dとは、図1で示すように、略楕円等の形状をもつ平板状の面の最大幅のことを指す。また、平均長軸径d及び断面平均厚さは、SEMを用いた観察により求めることができる。
平板状の銅粒子2の平均長軸径dが0.5μm未満であったり、その断面平均厚さが0.5μmを超える場合は、これらが凝集して集合体となった凝集粉同士が接触する面積を大きく確保することができなくなり、導電率が低下することがある。一方で、平板状の銅粒子2の平均長軸径dの上限値は特に限定されないが、後述する電気分解により陰極上に析出させる方法では、5μm程度が上限となる。また、平板状の銅粒子2の断面平均厚さの下限値も特に限定されないが、同じく電気分解により陰極上に析出させる方法では、0.02μm程度が下限となる。
平板状の銅粒子2が凝集して凝集体となった平板状銅粒子凝集粉1の大きさは、平均粒子径(D50)で1.0μm〜30μmである。なお、平板状銅粒子凝集粉1の平均粒子径(D50)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定することができる。
このように、断面平均厚さが0.02μm〜0.5μmの平板状の銅粒子2が凝集して銅粉1を形成することで、上述した大きさの銅粉となり、その平板状銅粒子凝集粉1同士、また平板上の銅粒子2同士が接触する面積を大きく確保することができる。そして、その接触面積が大きくなることで、低抵抗、すなわち高導電率を実現することができる。このことにより、より導電性に優れ、導電塗料や導電性ペーストの用途に好適に用いることができる。
ここで、例えば特許文献1でも指摘されているように、導電性ペーストや電磁波シールド用の樹脂等の金属フィラーとして利用する場合に、樹脂中の金属フィラーが樹枝状に発達した形状であると、樹枝状の銅粉同士が絡み合って凝集が発生し、樹脂中に均一に分散しないことがある。また、その凝集により、ペーストの粘度が上昇して印刷による配線形成に問題が生じる。このことは、樹枝状銅粉の形状が針状に成長した形であるためで、凝集を防止しようとすると樹枝状銅粉の形状を小さくすることになるが、そうすると針状に成長した形が無くなることで接点を確保するという効果が得られなくなる。
また、特許文献1や特許文献2の機械的な方法で平板状にする場合は、機械的加工時に銅の酸化を防止する必要があるため、例えば脂肪酸を添加した上で、空気中あるいは不活性雰囲気中で粉砕して平板状に加工している。しかしながら、酸化を完全に防止することはできず、また、加工時に添加している脂肪酸がペースト化する際に分散性に影響を及ぼすために加工終了後に除去を要するが、機械加工時の圧力で銅表面に強固に固着することがあり、脂肪酸を完全に除去できないという問題が発生する。また、機械的加工によって平板にするため、表面が平滑な表面になり、また機械的圧力によって平板にするため、できた平板状銅粉をフラットな面とすることは難しく、反った形になる。表面が平滑で反った状態の銅粉は、接点の確保が難しいため、金属フィラーとして利用する際には、平板状の銅粉だけでなく粒状の銅粉を混ぜ合わせる等の方法によって、金属フィラー同士の接点を確保することが必要となる。
これに対して、本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集粉1では、平板状の銅粒子2が凝集した形状を呈しているため、それぞれの平板状の銅粒子2が3次元的な形状で集合した状態であり、2次元的な接触効果と3次元的な接触効果を同時に満たす構造となっている。さらに、その平板状銅粒子凝集粉1が、平均粒子径(D50)で1.0μm〜30μmの大きさであることにより、表面積が大きくなり、良好な成形性や焼結性を確保することができる。
なお、このことは、特許文献6に記載された形状の銀粉を用いることで金属フィラー同士の接触率が向上することと同じ効果を発揮するものであり、平板状銅粒子凝集銅粉1は、3次元的な凹凸構造であることから、金属フィラー同士の接触率が向上し、ペースト中に含有するフィラー重量を少なくすることができ、コストを大幅に削減できる。
次に、本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集粉1のタップ密度としては、特に限定されないが、0.5g/cm3〜5.0g/cm3の範囲であることが好ましい。タップ密度が0.5g/cm3未満であると、銅粉同士の接点を十分に確保することができない可能性がある。一方で、タップ密度が5.0g/cm3を超えると、銅粉の平均粒子径も大きくなり、表面積が小さくなって成形性や焼結性が悪化することがある。
また、平板状銅粒子凝集粉1のBET比表面積値としては、特に限定されないが、0.5m2/g〜3.0m2/gの範囲であることが好ましい。BET比表面積が3.0m2/gを超えると、銅粉同士の接点を十分に確保することができない可能性がある。一方で、BET比表面積が0.5m2/g未満になると、銅粉の平均粒子径も大きくなり、表面積が小さくなって成形性や焼結性が悪化することがある。なお、BET比表面積はJIS Z8830:2013に準拠して測定することができる。
≪2.平板状銅粒子凝集粉の製造方法≫
本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集粉1は、例えば、銅イオンを含有する硫酸酸性溶液を電解液として用いて所定の電解法により製造することができる。
電解(電気分解)に際しては、例えば、金属銅を陽極(アノード)とし、ステンレス板やチタン板等を陰極(カソード)とし設置した電解槽中に、上述した銅イオンを含有する硫酸酸性の電解液を収容し、その電解液に所定の電流密度で直流電流を通電することによって電解処理を施す。これにより、通電に伴って陰極上に平板状銅粒子凝集銅粉1を析出(電析)させることができる。
特に、本実施の形態においては、例えば電解により得られた粒状等の銅粉をボール等の媒体を用いて機械的に変形加工等することなく、その電解のみによって、平板状の微細銅粒子が集合した平板状銅粒子凝集粉1を陰極表面に析出させることができる。
より具体的に、本実施の形態における製造方法では、電解液として、例えば、水溶性銅塩と、硫酸と、アミン化合物やノニオン界面活性剤等の添加剤と、塩化物イオンとを含有するものを用いることができる。
水溶性銅塩は、銅イオンを供給する銅イオン源であり、例えば硫酸銅五水和物等の硫酸銅、塩化銅、硝酸銅等が挙げられるが、特に限定されない。また、酸化銅を硫酸溶液で溶解して硫酸酸性溶液にしてもよい。
電解液中の銅イオン濃度としては、1g/L〜20g/L程度であることが好ましく、5g/L〜10g/L程度であることがより好ましい。銅イオン濃度が高すぎると、電解の際に、陰極上に上述した形状の銅粉を析出させることが難しくなるが、20g/L以下であれば問題なく平板状銅粒子凝集粉1を析出させることができる。一方、銅イオンの濃度の下限としては、特に制限されないが、電解の際に、陰極に効率よく銅粉を析出させることを考慮すると、1g/L以上の濃度であることが好ましい。
硫酸は、硫酸酸性の電解液とするためのものである。電解液中の硫酸の濃度としては、遊離硫酸濃度で20g/L〜300g/L程度であることが好ましく、50g/L〜150g/L程度であることがより好ましい。この硫酸濃度は、電解液の電導度に影響するため、カソード上に得られる銅粉の均一性に影響する。
添加剤としては、例えばアミン化合物やノニオン界面活性剤を用いることができる。このように、添加剤として添加するアミン化合物が、後述する塩化物イオン、ノニオン界面活性剤と共に、析出する銅粉の形状制御に寄与し、陰極に析出させる銅粉を所定の断面平均厚さの平板状の銅粒子2から構成される平板状銅粒子凝集粉1とすることができる。
具体的に、アミン化合物としては、特に限定されないが、例えばヤヌスグリーン(Janus Green、C30H31N6Cl、CAS番号:2869−83−2)等を用いることができる。なお、アミン化合物としては、1種単独で添加してもよく、2種類以上を併用して添加してもよい。
また、アミン化合物の添加量としては、電解液中における濃度で0.1mg/L〜500mg/L程度の範囲となる量とすることが好ましい。
塩化物イオンとしては、塩酸、塩化ナトリウム等の塩化物イオンを供給する化合物(塩化物イオン源)を電解液中に添加することによって含有させることができる。塩化物イオンは、上述したアミン化合物やノニオン界面活性剤の添加剤と共に、析出する銅粉の形状制御に寄与する。電解液中の塩化物イオン濃度としては、特に限定されないが、200mg/L〜1000mg/L程度とすることが好ましく、250mg/L〜800mg/L程度とすることがより好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、エーテル基を有するものが好ましい。具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、ポリオキシエチレングリコール・グリセリルエーテル、ポリオキシエチレングリコール・ジアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール・アルキルエーテル、芳香族アルコールアルコキシレート、下記式(x)で表される化合物等が挙げられる。
(但し、式(x)中、R1は、炭素数5〜30の高級アルコールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルフェノールの残基、炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキルナフトールの残基、炭素数3〜25の脂肪酸アミドの残基、炭素数2〜5のアルキルアミンの残基又は水酸基を示し、R2及びR3は、水素原子又はメチル基を示し、m及びnは、1〜100の整数を示す。)
ノニオン界面活性剤の数平均分子量は、特に限定されないが、100〜200,000であることが好ましく、200〜15,000であることがより好ましく、1,000〜10,000であることがさらに好ましい。なお、本実施の形態において、数平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求めたポリスチレン換算の分子量である。
これらのノニオン界面活性剤は、1種単独で添加してもよく、2種類以上を併用して添加してもよい。また、ノニオン界面活性剤の添加量としては、特に限定されないが、電解液中の濃度で200mg/L〜5000mg/L程度とすることが好ましく、500mg/L〜2000mg/L程度とすることがより好ましい。
本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集銅粉1の製造方法においては、例えば、上述したような組成の電解液を用いて電解することによって、陰極上に銅粉を析出生成させて製造する。電解方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、電流密度としては、硫酸酸性の電解液を用いて電解するにあたっては、5A/dm2〜40A/dm2の範囲とすることが好ましく、電解液を撹拌しながら通電させる。また、電解液の液温(浴温)としては、例えば20℃〜60℃程度とすることができる。
≪3.導電性ペースト、導電塗料等の用途≫
本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集粉1は、上述したように、平板状の銅粒子2が複数集合して凝集体となった凝集銅粉の形状をなしている。また、その平板状の銅粒子2は、平均長軸径が0.5μm〜5μmであり、断面平均厚さが0.02〜0.5μmであり、そして平板状の銅粒子2が複数集合して凝集体となった凝集銅粉1の大きさが、平均粒子径(D50)で1.0μm〜30μmである。
本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集粉1は、このような特徴的な構造であることにより、接点を多く確保することができるとともに、接触面積を大きくとることができ、優れた導電性を発揮する。また、このような所定の構造を有する平板状銅粒子凝集粉1によれば、銅ペースト等とした場合であっても、凝集を抑制することができ、樹脂中に均一に分散させることが可能となり、またペーストの粘度上昇等による印刷性不良等の発生を抑制することができる。したがって、平板状銅粒子凝集粉1は、導電性ペーストや導電塗料等の用途に好適に用いることができる。
ここで、本実施の形態に係る平板状銅粒子凝集粉1を金属フィラーとして利用するにあたっては、金属フィラー中に、当該板状銅粒子凝集粉1が全体に対して20質量%以上の量の割合で含まれるように構成する。このように、平板状銅粒子凝集粉1の割合を20質量%以上とすることにより、例えばその金属フィラーを銅ペーストに用いた場合に、樹脂中に均一に分散させることができ、またペーストの粘度が過度に上昇して印刷性不良が生じることを有効に防ぐことができる。また、このように、20質量%以上の割合で、金属フィラー中に平板状の銅粒子2の集合体からなる平板状銅粒子凝集粉1が含まれることで、導電性ペーストとしてより優れた導電性を発揮させることができる。なお、金属フィラー中に平板状銅粒子凝集粉1が20質量%以上の割合で含んでいればよく、その他に、例えば1μm〜10μm程度の球状銅粉等を混ぜ合わせてもよい。
例えば、導電性ペースト(銅ペースト)としては、平板状銅粒子凝集粉1を金属フィラーとして含み、バインダ樹脂、溶剤、さらに必要に応じて酸化防止剤やカップリング剤等の添加剤と混練することによって作製することができる。
具体的に、バインダ樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。
また、溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ターピネオール等の有機溶剤を用いることができる。また、その有機溶剤の添加量としては、特に限定されないが、スクリーン印刷やディスペンサー等の導電膜形成方法に適した粘度となるように、平板状銅粒子凝集粉1の粒度を考慮して添加量を調整することができる。
さらに、粘度調整のために、他の樹脂成分を添加することもできる。例えば、その樹脂成分としては、エチルセルロースに代表されるセルロース系樹脂等が挙げられ、ターピネオール等の有機溶剤に溶解した有機ビヒクルとして添加することができる。なお、その樹脂成分の添加量としては、焼結性を阻害しない程度に抑える必要があり、好ましくは全体の5重量%以下とする。
また、添加剤としては、焼成後の導電性を改善するために酸化防止剤等を添加することができる。酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えばヒドロキシカルボン酸等を挙げることができる。より具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸が好ましく、銅への吸着力が高いクエン酸又はリンゴ酸が特に好ましい。酸化防止剤の添加量としては、酸化防止効果やペーストの粘度等を考慮して、例えば1質量%〜15重量%程度とすることができる。
次に、電磁波シールド用材料として、平板状銅粒子凝集粉1を金属フィラーとして利用する場合においても、特に制限された条件での使用に限られるものではなく、一般的な方法、例えば金属フィラーを樹脂と混合して使用することができる。
例えば、電磁波シールド用導電性シートの電磁波シールド層を形成する場合、使用される樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来使用されているような、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等の各種重合体及び共重合体からなる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化型樹脂等を適宜使用することができる。
電磁波シールド材を製造する方法としては、例えば、上述したような金属フィラーと樹脂とを、溶媒に分散又は溶解して塗料とし、その塗料を基材上に塗布又は印刷することによって電磁波シールド層を形成し、表面が固化する程度に乾燥することで製造することができる。また、金属フィラーを導電性シートの導電性接着剤層に利用することもできる。
また、電磁波シールド用導電性塗料の材料として、本実施の形態に係る金属フィラーを利用する場合においても、特に制限された条件での使用に限られるものではなく、一般的な方法、例えば金属フィラーを樹脂及び溶剤と混合し、さらに必要に応じて酸化防止剤、増粘剤、沈降防止剤等と混合して混練することで導電性塗料とすることができる。
このときに使用するバインダ樹脂及び溶剤についても、特に限定されるものではなく、従来使用されているような、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリコン樹脂やフェノール樹脂等を使用することができる。また、溶剤についても、従来使用されているような、イソプロパノール等のアルコール類、トルエン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル等のエステル類、メチルエチルケトン等のケトン類等を使用することができる。また、添加剤としての酸化防止剤についても、従来使用されているような、脂肪酸アミド、高級脂肪酸アミン、フェニレンジアミン誘導体、チタネート系カップリング剤等を使用することができる。
以下、本発明の実施例を比較例と共に示してさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
≪評価方法≫
下記実施例及び比較例にて得られた銅粉について、以下の方法により、形状の観察、平均粒子径の測定を行った。
(形状の観察)
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製,JSM−7100F型)により、倍率1,000倍の視野で任意に20視野を観察し、その視野内に含まれる銅粉を観察した。
(平均粒子径の測定)
得られた銅粉の平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法粒度分布測定器(日機装株式会社製,HRA9320 X−100)を用いて測定した。
(BET比表面積測定)
BET比表面積は、比表面積・細孔分布測定装置(カンタクローム社製,QUADRASORB SI)を用いて測定した。
(タップ密度)
タップ密度は、振盪比重測定器(蔵持科学器械製作所製,タッピングマシンKRS−40)を用いて測定した。
(比抵抗値測定)
被膜の比抵抗値は、低抵抗率計(三菱化学株式会社製,Loresta−GP MCP−T600)を用いて四端子法によりシート抵抗値を測定し、表面粗さ形状測定器(東京精密株式会社製,SURFCO M130A)により被膜の膜厚を測定して、シート抵抗値を膜厚で除することによって求めた。
(電磁波シールド特性)
電磁波シールド特性の評価は、各実施例及び比較例にて得られた試料について、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。具体的には、機械的に扁平化して作製した平板状銅粉である比較例3において平面の場合のレベルを『△』として、このレベルよりも悪い場合を『×』、このレベルよりも良好な場合を『○』、さらに優れている場合を『◎』として評価した。
また、電磁波シールドの可撓性についても評価するために、作製した電磁波シールドを折り曲げて電磁波シールド特性が変化するか否かを確認した。
≪実施例、比較例≫
[実施例1]
容量が100Lの電解槽に、電極面積が200mm×200mmのチタン製の電極板を陰極として、電極面積が200mm×200mmの銅製の板を陽極として用いて、その電解槽中に電解液を装入し、これに直流電流を通電して銅粉を陰極板に析出させた。
このとき、電解液としては、銅イオン濃度が10g/L、硫酸濃度が100g/Lの組成のものを用いた。また、この電解液に、添加剤としてヤヌスグリーン(和光純薬工業株式会社製)を電解液中の濃度として125mg/Lとなるように添加し、分子量2000のポリエチレングルコール(和光純薬工業株式会社製)を電解液中の濃度として800mg/Lとなるように添加した。さらに、塩酸溶液(和光純薬工業株式会社製)を電解液中の塩化物イオン(塩素イオン)濃度として50mg/Lとなるように添加した。そして、上述したような濃度に調整した電解液をポンプを用いて10L/minの流量で循環しながら、温度を30℃に維持し、陰極の電流密度が25A/dm2になるように通電して陰極板上に銅粉を析出させた。
陰極板上に析出した電解銅粉を、スクレーパーを用いて機械的に電解槽の槽底に掻き落として回収し、回収した銅粉を純水で洗浄した後、減圧乾燥器に入れて乾燥した。
得られた電解銅粉の形状を、上述した走査型電子顕微鏡(SEM)による方法で観察した結果、析出した銅粉は、平板状の銅粒子が凝集した形状を呈した銅粉(平板状銅粒子凝集粉)であった。
また、その平板状の銅粒子は、その断面厚さ(断面平均厚さ)が0.2μmで、その大きさは平均長軸径(図1の模式図における「d」で示す径)が2.5μmであった。そして、その平板状銅粒子が複数集合して凝集体となった凝集銅粉の大きさは、レーザー回折・散乱法粒度分布測定器で測定した平均粒子径(D50)で7.3μmであった。また、その凝集銅粉のタップ密度は2.7g/cm3であり、BET比表面積は2.2m2/gであった。表1に、これらの結果をまとめて示す。
[実施例2]
電解液として、銅イオン濃度が8g/L、硫酸濃度が100g/Lの組成のものを用い、その電解液に、添加剤としてヤヌスグリーンを電解液中の濃度として150mg/Lとなるように添加し、分子量2000のポリエチレングルコールを電解液中の濃度として800mg/Lとなるように添加した。さらに、塩酸溶液を電解液中の塩化物イオン濃度として125mg/Lとなるように添加した。
そして、上述したような濃度に調整した電解液をポンプを用いて20L/minの流量で循環しながら、温度を35℃に維持し、陰極の電流密度が30A/dm2になるように通電し、これら以外は実施例1と同様にして陰極板上に銅粉を析出させた。
得られた電解銅粉の形状を、上述したSEMによる方法で観察した結果、析出した銅粉は、平板状の銅粒子が凝集した形状を呈した銅粉(平板状銅粒子凝集粉)であった。
また、その平板状の銅粒子は、その断面厚さ(断面平均厚さ)が0.3μmで、その大きさは平均長軸径が3.4μmであった。そして、その平板状銅粒子が複数集合して凝集体となった凝集銅粉の大きさは、レーザー回折・散乱法粒度分布測定器で測定した平均粒子径(D50)で12.4μmであった。また、その凝集銅粉のタップ密度は3.5g/cm3であり、BET比表面積は1.6m2/gであった。表1に、これらの結果をまとめて示す。
[実施例3]
実施例1で得られた平板状銅粒子凝集粉30gに、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15g、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10gとを混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、空気雰囲気中にて150℃ 、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ、7.9×10−5Ω・cm(硬化温度150℃)、1.6×10−5Ω・cm (硬化温度200℃)であり、優れた導電性を示すことが分かった。表2に、これらの結果を示す。
[実施例4]
実施例2で得られた平板状銅粒子凝集粉30gに、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15g、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10gとを混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、空気雰囲気中にて150℃、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ、8.8×10−5Ω・cm(硬化温度150℃)、2.3×10−5Ω・cm(硬化温度200℃)であり、優れた導電性を示すことが分かった。表2に、これらの結果を示す。
[実施例5]
実施例5では、実施例1にて作製した平板状銅粒子凝集粉を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
すなわち、得られた平板状銅粒子凝集銅粉30gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。ペースト化に際しては、銅粉が凝集することなく、樹脂中に均一に分散した。これを100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表2に、これらの結果を示す。
[比較例1]
電解液に、添加剤としてのヤヌスグリーンと、ポリエチレングリコールと、塩化物イオンとを添加しない条件としたこと以外は、実施例1と同じ条件で銅粉を陰極板上に析出させた。
得られた電解銅粉の形状を、上述したSEMによる方法で観察した結果、得られた銅粉は樹枝状の形状を呈した銅粉であり、実施例にて得られた銅粉のように平板状の個片が凝集した形状ではなかった。なお、図4は、この比較例1にて得られた銅粉のSEM観察像である。また、得られた銅粉のレーザー回折・散乱法粒度分布測定器で測定した平均粒子径(D50)は22.1μmであった。表1に、この結果を示す。
[比較例2]
従来の平板状銅粉との比較を行うため、比較例2では、機械的に扁平化して作製した平板状銅粉について評価した。
平板状銅粉の作製は、平均粒子径5.4μmの粒状アトマイズ銅粉(メイキンメタルパウダーズ社製)500gにステアリン酸5gを添加し、ボールミルで扁平化処理を行った。ボールミルには、3mmのジルコニアビーズを5kg投入し、500rpmの回転速度で90分間回転した。
こうして作製した平板状銅粉のレーザー回折・散乱法粒度分布測定器で測定した平均粒子径(D50)は12.6μmであった。また、SEM観察により測定した平板状銅粉の厚さ(断面平均厚さ)は0.5μmであった。また、平板状銅粉のタップ密度は3.2g/cm3であり、BET比表面積は0.8m2/gであった。表1に、これらの結果をまとめて示す。
[比較例3]
比較例3では、比較例2で作製した平板状銅粉を用いて、実施例4と同様にしてペースト化した。
すなわち、得られた平板状銅粉30gに、フェノール樹脂(群栄化学株式会社製,PL−2211)15g、ブチルセロソルブ(関東化学株式会社製,鹿特級)10gとを混合し、小型ニーダー(日本精機製作所製,ノンバブリングニーダーNBK−1)を用いte、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことでペースト化した。
得られた導電ペーストを金属スキージでガラス上に印刷し、窒素雰囲気中にて150℃、200℃でそれぞれ30分間硬化させた。
硬化により得られた被膜の比抵抗値は、それぞれ,56×10−5Ω・cm(硬化温度150℃)、8.3×10−5Ω・cm(硬化温度200℃)であった。表2に、これらの結果を示す。
[比較例4]
比較例4では、比較例2にて作製した平板状銅粉を樹脂に分散させて電磁波シールド材とした。
すなわち、得られた平板状銅粉40gに対して、塩化ビニル樹脂100gと、メチルエチルケトン200gとをそれぞれ混合し、小型ニーダーを用いて、1200rpm、3分間の混錬を3回繰り返すことによってペースト化した。ペースト化に際しては、銅粉が凝集することなく、樹脂中に均一に分散した。これを100μmの厚さの透明ポリエチレンテレフタレートシートからなる基材の上にメイヤーバーを用いて塗布・乾燥し、厚さ25μmの電磁波シールド層を形成した。
電磁波シールド特性については、周波数1GHzの電磁波を用いて、その減衰率を測定することによって評価した。表2に、これらの結果を示す。