JP2016138074A - NOx除去剤およびNOx除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率的かつ容易にNOxを除去できる除去剤、およびそれを用いたNOx除去方法を提供することを目的とする。【解決手段】アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素を有効成分として含むNOx除去剤、並びに当該NOx除去剤とNOxを含有する大気とを接触させることを特徴とする大気中のNOx除去方法。大気との接触方法は、噴霧、NOx除去剤を含浸させたフィルターの通過、NOx除去剤を含む塗膜との表面接触がある。【選択図】なし
Description
本発明は、各種の排煙、排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を除去することのできるNOx除去剤、並びにこれを利用するNOx除去方法に関するものである。
自動車等の排気ガスや工場のボイラーの稼動、あるいはごみの焼却処分に伴い、窒素酸化物(NOx)を含む排煙が排出されている。これらNOxは、人体に直接有害であるだけでなく、酸性雨の原因ともなるほか、大気中の炭化水素存在下で紫外線を吸収して光化学反応を起こし、有害物質である光化学オキシダントなどを生成する。しかしながら、NOxへの対策については未だ十分ではなく、深刻な問題となっている。
現在のNOx除去方法としては、酸やアルカリ液といった吸収液への通液や活性炭などへの吸着処理、酸化チタンやバナジウム等を用いた金属触媒による分解、あるいは特殊な機械の中を通すことにより、NOxを処理するという方法が知られている。しかしながら、それらの方法はいずれも手間や費用、特殊な条件が必要であるという問題があった。
一方で、NOxと結合しうる化学物質によってNOxを除去する方法も知られている。例えば、α−ピネン、d−リモネン等のテルペン化合物をガス状にして、硫黄系悪臭物質や窒素系悪臭物質を吸収・除去する方法(非特許文献1)や、テルピネン、ミルセン、アロオシメンなどの共役二重結合を有するテルペン化合物を空気中に散布してNOxを包含除去する方法(特許文献1)が報告されているほか、β−フェランドレンおよびオシメンよりなる群から選ばれる1種もしくは2種の化合物を有効成分とする有害酸化物除去剤を大気接触させる方法(特許文献2)、オイゲノール及び/又はモノテルペンを含む溶液に通液する方法(特許文献3)も報告されている。これらは、いずれも植物の精油およびそれらに含まれる化合物を用いたもので、環境への影響も低い点が特徴である。
しかしながら、これら文献に記載の化合物のNOx除去効果は十分ではなく、より高い除去能力を持ち、かつ環境への影響の低い除去剤の提供が求められている。また、文献記載の化合物は揮発性が高いため、フィルターに化合物を含浸させて、NOxを通過除去させる方法に用いる場合は、効果の持続が短いという欠点があった。
「臭気の研究」、Vol.22,No.5,p22−29(1992);西田耕之助、小橋俊文、大迫政浩、宍田健一、樋口能士、樋口隆哉.植物層を利用したガス状汚染物質の除去に関する研究 第3報.
本発明の課題は、効率的かつ容易にNOxを除去できる除去剤、およびそれを用いたNOx除去方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するため、各種天然化合物の有するNOx除去効果について鋭意研究を行ったところ、ある特定の化合物が非常に効率よくNOxを除去しうることを見出し、本発明に至った。さらに驚くべきことに、これらの化合物は従来の化合物と比較して揮発性が低く、効果の持続性が長いことが明らかとなった。
すなわち、本発明は、アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素を有効成分として含むNOx除去剤に関する。
ここで、セスキテルペン炭化水素としては、スギ精油から精製して得られるものが挙げられる。
次に、本発明は、上記のNOx除去剤と、NOxを含有する大気とを接触させることを特徴とする大気中のNOx除去方法に関する。
ここで、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を、NOxを含有する大気中に噴霧させることにより行う方法が挙げられる。
また、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を含浸させたフィルター中に、NOxを含有する大気を通過させることにより行う方法も挙げられる。
さらに、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を塗布した塗膜と、NOxを含有する大気を接触させることにより行う方法も挙げられる。
さらにまた、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を含む液体中に、NOxを含有する大気をバブリングさせることにより行う方法も挙げられる。
ここで、セスキテルペン炭化水素としては、スギ精油から精製して得られるものが挙げられる。
次に、本発明は、上記のNOx除去剤と、NOxを含有する大気とを接触させることを特徴とする大気中のNOx除去方法に関する。
ここで、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を、NOxを含有する大気中に噴霧させることにより行う方法が挙げられる。
また、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を含浸させたフィルター中に、NOxを含有する大気を通過させることにより行う方法も挙げられる。
さらに、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を塗布した塗膜と、NOxを含有する大気を接触させることにより行う方法も挙げられる。
さらにまた、大気との接触方法としては、上記のNOx除去剤を含む液体中に、NOxを含有する大気をバブリングさせることにより行う方法も挙げられる。
本発明によれば、人体に有害なNOxを効率よくかつ容易に除去することができる。
以上のように、本発明は、アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素を有効成分として含む、NOx除去剤を提供するものである。
また、本発明では、当該NOx除去剤とNOxを含有する大気とを接触させることを特徴とする大気中の有害酸化物の除去方法を提供するものであり、大気との接触方法は、ガス状にして噴霧する方法のほか、NOx除去剤を含浸させたフィルターの通過、NOx除去剤を含む塗膜との表面接触がある。
また、本発明では、当該NOx除去剤とNOxを含有する大気とを接触させることを特徴とする大気中の有害酸化物の除去方法を提供するものであり、大気との接触方法は、ガス状にして噴霧する方法のほか、NOx除去剤を含浸させたフィルターの通過、NOx除去剤を含む塗膜との表面接触がある。
ここで、NOxとは、窒素の酸化物の総称で、一酸化窒素、二酸化窒素、亜酸化窒素、三酸化二窒素、五酸化二窒素などが含まれる。特に、大気汚染物質を対象とした場合の窒素酸化物として、一酸化窒素と二酸化窒素の混合物を指す。
本発明のNOx除去剤(以下、「除去剤」という)は、アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素を含有するものであり、非常に効率的にNOxを除去しうるものである。
上記アビエタジエンは、下記の化学式(I)で示されるものである。
本発明のNOx除去剤(以下、「除去剤」という)は、アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素を含有するものであり、非常に効率的にNOxを除去しうるものである。
上記アビエタジエンは、下記の化学式(I)で示されるものである。
また、セスキテルペン炭化水素とは、スギやヒノキなどの植物から得られる精油の中に含まれ、3つのイソプレン骨格から構成される炭素数15の成分で、炭素と水素のみを構造に含む化合物である。
なお、セスキテルペン炭化水素の不飽和度は特に限定されず、分子内に1つまたは2つ以上の環構造や多重結合を含有していてもよい。
セスキテルペン炭化水素の具体例としては、γ−カジネン、δ−カジネン、ムロレン、コパエン、キュベベン、α−フムレン、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、ロンギフォーレン、イソロンギフォーレン等がある。
なお、セスキテルペン炭化水素の不飽和度は特に限定されず、分子内に1つまたは2つ以上の環構造や多重結合を含有していてもよい。
セスキテルペン炭化水素の具体例としては、γ−カジネン、δ−カジネン、ムロレン、コパエン、キュベベン、α−フムレン、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、ロンギフォーレン、イソロンギフォーレン等がある。
上記の本発明の除去剤の有効成分である化合物は、いずれも公知の化合物であり、合成、あるいは天然の植物等の精油から精製することにより入手することができるものである。また、上記化合物に代え、これらを含有する精油およびその精製物を用いることも可能である。これらを含有する精油としては、例えば、スギ、ヒノキ、マツ、ユーカリ、アカシア、アスナロ、モミ、トドマツ、コウヤマノキ、オレンジの、樹木、樹皮、葉、花弁、種子、果皮、根、樹液、バルサムより得られる精油が挙げられる。特に好ましくは、スギ(Cryptomeria japonica)の精油より得られるものが好ましい。
これらの精油は、上記植物から、溶剤抽出、常圧蒸留、加圧蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留、乾留等を行うことにより得られるものや、乾燥工程で排出される凝集液をそのまま、または精製して用いることができる。
また、精油の精製は、抽出、液々分配、カラムクロマトグラムを用いた手法や、常圧蒸留、加圧蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を用いることができる。化合物の沸点と精製コストより、特に減圧蒸留が好ましい。
本発明の除去剤は、上記アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素をそのまま、あるいはこれを適当な担体と組み合わせることにより調製することができる。例えば、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブタンジオール、ポリエチレングリコール等のグリコール系溶剤、α−ピネン、β−ピネン、ガムテレピン、リモネン、ターピネオール、ジヒドロターピネオール等の天然化合物系溶剤中に、上記有効成分を、0.01質量%から99.9%の濃度で分散あるいは溶解させて本発明の除去剤を製造してもよい。水または水溶性溶剤に可溶化する場合や、エマルジョン化する場合は、必要に応じて、界面活性剤、ハイドロトロープ剤等を使用することができる。
また、本発明の除去剤の製造に当たって、粘度やチクソ性、展着性の調整のため、必要に応じて、エラストマーや合成樹脂、天然樹脂等を使用することができる。
また、本発明の除去剤には、他の香料成分を配合することにより、調合香料ともなる除去剤を製造することも可能である。他の香料成分としては、例えば、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、β−フェネチルアルコール等のアルコール系香料、アネトール、オイゲノール等のフェノール系香料、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド等のアルデヒド系香料、カルボン、メントン、樟脳、アセトフェノン、イオノン等のケトン系香料、γ―ブチルラクトン、クマリン等のラクトン系香料、オクチルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、プロピオン酸ブチル、安息香酸メチル等のエステル系香料等が挙げられる。
本発明の除去剤には、さらに他のNOx除去作用を有する成分を併用することができる。このような成分としては、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ターピノーレン、ミルセン、オシメン、アロオシメン、フェランドレン、ピロネン、クリプトテネン、2,4(8)−p−メンタジエン、3,8(9)−p−メンタジエン、テルピネン−4−オール、シトロネラール、ボルニルアセテート、ターピネオール、δ−3−カレン、1,4−シネオール、1,8−シネオール、スギ精油、ヒノキ精油、トドマツ精油、モミ精油、ユーカリ精油、コウヤマキ精油およびヒバ精油等が挙げられ、これらの1種または2種以上を、アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素とともに用いることができる。
このようにして得られる本発明の除去剤は、従来のNOxの除去に用いられる方法により使用することが可能である。例えば、本発明の除去剤をそのままあるいは適当な揮散装置を用いて揮散させる方法や、ポンプスプレー、エアゾール、超音波振動子、加圧液噴霧スプレー、加圧空気霧化噴霧装置等の霧化装置を用い、霧化させた状態で揮散させる方法、本発明の除去剤を紙(パルプ)、不織布、樹脂シート、木材シート、木粉、樹脂ビーズ等で構成されたフィルターに含浸させ、このフィルター中に、NOxを含む空気を通過させ有効成分と接触させる方法や、NOxを含む空気を、本発明の除去剤中でバブリングさせることにより有効成分と接触させる方法、本発明の除去剤を塗布して得られる塗膜を、NOxを含む空気と接触させる方法等が挙げられる。これらの方法により、大気中のNOxを除去することが可能である。
さらに、本発明の除去剤の有効成分は、いずれも植物の精油およびそれらに含まれる化合物を用いたものであり、環境への影響も低い。
次に、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
<アビエタジエンおよびセスキテルペン炭化水素の含有量の測定>
以下の条件でガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)測定を行った。アビエタジエンについてはピーク面積%をそのまま、セスキテルペン炭化水素は、分子量202〜206のピーク群の面積%合計値を含有量とした。また、その他の成分として、分子量218〜222のピーク群の面積%合計値をセスキテルペン誘導体含有量、分子量268〜274のピーク群の面積%合計値をジテルペン炭化水素含有量、分子量286〜294のピーク群の面積%合計値をジテルペン誘導体含有量とした。
以下の条件でガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)測定を行った。アビエタジエンについてはピーク面積%をそのまま、セスキテルペン炭化水素は、分子量202〜206のピーク群の面積%合計値を含有量とした。また、その他の成分として、分子量218〜222のピーク群の面積%合計値をセスキテルペン誘導体含有量、分子量268〜274のピーク群の面積%合計値をジテルペン炭化水素含有量、分子量286〜294のピーク群の面積%合計値をジテルペン誘導体含有量とした。
カラム:アジレント・テクノロジー(株)製 HP−5MS(30m×0.25mm×0.25μm)
注入口温度:230℃
カラム温度:40℃(7分保持)、40〜80℃(3℃/min)、80〜300℃(15℃/min、15分保持)
注入口温度:230℃
カラム温度:40℃(7分保持)、40〜80℃(3℃/min)、80〜300℃(15℃/min、15分保持)
<アビエタジエン及びセスキテルペン炭化水素の調製>
実施例1
スギ材を乾燥させたものにアセトンを添加し、還流にて抽出を行った後、アセトンを常圧蒸留にて留去しスギ精油を得た。このものを5mmHgの条件で減圧蒸留し、留出温度100℃〜200℃の画分(スギ精油精製画分1)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は18.7%、アビエタジエン含有量は6.0%であった。
実施例1
スギ材を乾燥させたものにアセトンを添加し、還流にて抽出を行った後、アセトンを常圧蒸留にて留去しスギ精油を得た。このものを5mmHgの条件で減圧蒸留し、留出温度100℃〜200℃の画分(スギ精油精製画分1)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は18.7%、アビエタジエン含有量は6.0%であった。
実施例2
実施例1記載のスギ精油を用いて減圧蒸留し、留出温度100℃〜150℃の画分(スギ精油精製画分2)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は58.1%、アビエタジエン含有量は1.2%であった。
実施例1記載のスギ精油を用いて減圧蒸留し、留出温度100℃〜150℃の画分(スギ精油精製画分2)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は58.1%、アビエタジエン含有量は1.2%であった。
実施例3
実施例2の減圧蒸留油を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。溶離液にはノルマルヘキサンを用い、ノルマルヘキサン溶出画分を濃縮してスギ精油精製画分3を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は99.9%、アビエタジエン含有量は0%であった。
実施例2の減圧蒸留油を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。溶離液にはノルマルヘキサンを用い、ノルマルヘキサン溶出画分を濃縮してスギ精油精製画分3を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は99.9%、アビエタジエン含有量は0%であった。
実施例4
実施例1記載のスギ精油を用いて減圧蒸留し、留出温度150℃〜200℃の画分を得た。この画分について、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。溶離液にはノルマルヘキサンを用い、ノルマルヘキサン溶出画分を濃縮してスギ精油精製画分4(ジテルペン炭化水素含有量98.2%)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は1.2%、アビエタジエン含有量は49.6%であった。
実施例1記載のスギ精油を用いて減圧蒸留し、留出温度150℃〜200℃の画分を得た。この画分について、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。溶離液にはノルマルヘキサンを用い、ノルマルヘキサン溶出画分を濃縮してスギ精油精製画分4(ジテルペン炭化水素含有量98.2%)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は1.2%、アビエタジエン含有量は49.6%であった。
実施例5
実施例4で得た画分を、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムにて精製を行った。移動層にはメタノールを用い、メタノール溶液を蒸留にて留去し、スギ精油精製画分5を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は0%、アビエタジエン含有量は76.3%であった。
実施例4で得た画分を、高速液体クロマトグラフィー(島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムにて精製を行った。移動層にはメタノールを用い、メタノール溶液を蒸留にて留去し、スギ精油精製画分5を得た。セスキテルペン炭化水素含有量は0%、アビエタジエン含有量は76.3%であった。
比較例1
実施例1記載のスギ精油を用いて減圧蒸留し、留出温度140℃〜170℃の画分を得た。この画分について、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。溶離液にはノルマルヘキサンと酢酸エチルを用い、ノルマルヘキサンでセスキテルペン炭化水素を溶出させた後に溶離液を酢酸エチルに切り替え、酢酸エチル溶出画分を濃縮してスギ精油精製画分6(セスキテルペン誘導体含有量97.9%)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量、アビエタジエン含有量は共に0%であった。
実施例1記載のスギ精油を用いて減圧蒸留し、留出温度140℃〜170℃の画分を得た。この画分について、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製を行った。溶離液にはノルマルヘキサンと酢酸エチルを用い、ノルマルヘキサンでセスキテルペン炭化水素を溶出させた後に溶離液を酢酸エチルに切り替え、酢酸エチル溶出画分を濃縮してスギ精油精製画分6(セスキテルペン誘導体含有量97.9%)を得た。セスキテルペン炭化水素含有量、アビエタジエン含有量は共に0%であった。
比較例2
実施例1記載のスギ精油を用いて5mmHgの条件で減圧蒸留し、留出温度185℃〜200℃の画分を得た。この画分について比較例1と同様の手法を用いて、酢酸エチル溶出画分濃縮物を、スギ精油精製画分7(ジテルペン誘導体含有量99.9%)として得た。セスキテルペン炭化水素含有量、アビエタジエン含有量は共に0%であった。
実施例1記載のスギ精油を用いて5mmHgの条件で減圧蒸留し、留出温度185℃〜200℃の画分を得た。この画分について比較例1と同様の手法を用いて、酢酸エチル溶出画分濃縮物を、スギ精油精製画分7(ジテルペン誘導体含有量99.9%)として得た。セスキテルペン炭化水素含有量、アビエタジエン含有量は共に0%であった。
比較例3
実施例5で行った高速液体クロマトグラフィー精製において、アビエタジエンを含まないピークを選別して収集、濃縮し、スギ精油精製画分8を得た。アビエタジエン以外のジテルペン炭化水素含有量は99.9%、セスキテルペン炭化水素含有量、アビエタジエン含有量は共に0%であった。
実施例5で行った高速液体クロマトグラフィー精製において、アビエタジエンを含まないピークを選別して収集、濃縮し、スギ精油精製画分8を得た。アビエタジエン以外のジテルペン炭化水素含有量は99.9%、セスキテルペン炭化水素含有量、アビエタジエン含有量は共に0%であった。
<二酸化窒素除去試験>
実施例6
1Lのスマートバッグ内に濃度10ppmに調製した二酸化窒素を導入した。次に、実施例1で得たスギ精油精製画分1をアセトンで希釈し、不織布にスギ精油精製画分1として0.5mg吸着されるように含浸させた。室温で3分間あるいは60分間乾燥後、不織布をガラス管にセットし、スマートバッグ、ガラス管、二酸化窒素検知管をセットした気体採取装置(GASTEC株式会社製)を連結した。気体採取装置にて50mLの二酸化窒素含有気体を不織布へ流通させ、流通後の気体の二酸化窒素濃度を検知管で測定し、下記式より、二酸化窒素除去率を計算した。結果を表1に示す。
実施例6
1Lのスマートバッグ内に濃度10ppmに調製した二酸化窒素を導入した。次に、実施例1で得たスギ精油精製画分1をアセトンで希釈し、不織布にスギ精油精製画分1として0.5mg吸着されるように含浸させた。室温で3分間あるいは60分間乾燥後、不織布をガラス管にセットし、スマートバッグ、ガラス管、二酸化窒素検知管をセットした気体採取装置(GASTEC株式会社製)を連結した。気体採取装置にて50mLの二酸化窒素含有気体を不織布へ流通させ、流通後の気体の二酸化窒素濃度を検知管で測定し、下記式より、二酸化窒素除去率を計算した。結果を表1に示す。
二酸化窒素の除去率(%)=(1−流通後の二酸化窒素濃度/供試ガスのブランク値)×100
実施例7
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分2に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分2に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例8
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分3に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分3に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例9
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分4に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分4に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例10
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分5に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分5に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例4
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分6に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分6に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例5
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分7に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分7に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例6
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分8に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からスギ精油精製画分8に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例7
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からユーカリ油(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からユーカリ油(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例8
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からミルセン(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からミルセン(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例9
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からβ−フェランドレンに変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からβ−フェランドレンに変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例10
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からα−ピネン(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からα−ピネン(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
比較例11
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からオイゲノール(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
実施例6記載の試験サンプルを、スギ精油精製画分1からオイゲノール(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は同様の操作で二酸化窒素除去試験を行った。
表1からも明らかなように、アビエタジエンまたはセスキテルペン炭化水素を含む画分は二酸化窒素除去率が比較例と比べて高く、また60分後の試験においても、フェランドレンやミルセンと比較して除去率の減少が低かった。
本発明のNOx除去剤は、高いNOx除去作用を有すると共に、従来のものと比較して、作用の持続性が長いものである。また、天然精油由来のものであり、環境に対しての負荷も小さい。
従って、NOxが存在する環境において、これらを除去するために利用しうるものであり、スプレー、フィルター、除害装置用吸収液、塗料、粘接着剤、樹脂配合物等、広域な使用形態においてその効果を発揮できる。
従って、NOxが存在する環境において、これらを除去するために利用しうるものであり、スプレー、フィルター、除害装置用吸収液、塗料、粘接着剤、樹脂配合物等、広域な使用形態においてその効果を発揮できる。
Claims (7)
- アビエタジエンおよび/またはセスキテルペン炭化水素を有効成分として含むNOx除去剤。
- セスキテルペン炭化水素が、スギ精油から精製して得られる請求項1記載のNOx除去剤。
- 請求項1ないし2記載のNOx除去剤と、NOxを含有する大気とを接触させることを特徴とする大気中のNOx除去方法。
- 大気との接触方法が、請求項1または2記載のNOx除去剤を、NOxを含有する大気中に噴霧させることにより行う請求項3記載のNOx除去方法。
- 大気との接触方法が、請求項1または2記載のNOx除去剤を含浸させたフィルター中に、NOxを含有する大気を通過させることにより行う請求項3記載のNOx除去方法。
- 大気との接触方法が、請求項1または2記載のNOx除去剤を塗布した塗膜と、NOxを含有する大気を接触させることにより行う請求項3記載のNOx除去方法。
- 大気との接触方法が、請求項1または2記載のNOx除去剤を含む液体中に、NOxを含有する大気をバブリングさせることにより行う請求項3記載のNOx除去方法。
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