JP2016135780A - 水性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、水を含むものであるため微生物によって汚染され易い、という問題がある。特に、点眼剤や点鼻剤、点耳剤等の繰り返し使用されることが多い剤形の場合には、例え滅菌済みの容器等に充填した場合であっても、使用の都度、水性組成物が非無菌の外気に接触するため、微生物汚染のリスクが増大する。
しかしながら、こうした防腐剤には細胞毒性等の問題点があることも指摘されており(例えば、非特許文献1)、例えば水性組成物を点眼剤として用いた場合には角膜損傷をきたすおそれもあることから、その使用量は極力最低限に留めたい。
この点、複数種の成分の組み合わせの協力作用により優れた防腐効果を奏する水性組成物の処方が確立できれば、その分だけ各種防腐剤単独での使用量を低減させることが出来るため、ひいてはより安全性の高い水性組成物の提供が可能となる。
しかしながら、これらのハロゲン化イソキノリン誘導体の防腐効果についてはこれまでに一切知られていない。
で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、第4級アンモニウム型界面活性剤とを含有する、水性組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、第4級アンモニウム型界面活性剤とを配合する工程を含む、水性組成物への防腐効果付与方法を提供するものである。
[1] 次の一般式(1)
で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、第4級アンモニウム型界面活性剤とを含有する、水性組成物。
[2] 前記一般式(1)で表される化合物が、リパスジルである、[1]記載の水性組成物。
[3] 前記第4級アンモニウム型界面活性剤が、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物及びベンゾドデシニウム臭化物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1]又は[2]記載の水性組成物。
[4] 前記一般式(1)で表される化合物がリパスジルであり、かつ、前記第4級アンモニウム型界面活性剤がベンザルコニウム塩化物及びベンゾドデシニウム臭化物よりなる群から選ばれる1種以上である、[1]〜[3]のいずれか記載の水性組成物。
[5] 点眼剤又は眼軟膏剤である、[1]〜[4]のいずれか記載の水性組成物。
[6] リン酸、ホウ酸及びそれらの塩、炭酸脱水酵素阻害薬、α1遮断薬並びにニプラジロールを含まないものである、[1]〜[5]のいずれか記載の水性組成物(慢性進行性腎障害の抑制のための医薬及びフィルム製剤を除く。)。
[8] 前記一般式(1)で表される化合物が、リパスジルである、[7]記載の方法。
[9] 前記第4級アンモニウム型界面活性剤が、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物及びベンゾドデシニウム臭化物よりなる群から選ばれる1種以上である、[7]又は[8]記載の方法。
[10] 前記一般式(1)で表される化合物がリパスジルであり、かつ、前記第4級アンモニウム型界面活性剤がベンザルコニウム塩化物及びベンゾドデシニウム臭化物よりなる群から選ばれる1種以上である、[7]〜[9]のいずれか記載の方法。
[11] 前記水性組成物が点眼剤又は眼軟膏剤である、[7]〜[10]のいずれか記載の方法。
[12] 前記水性組成物(慢性進行性腎疾患障害の抑制のための医薬及びフィルム製剤を除く。)がリン酸、ホウ酸及びそれらの塩、炭酸脱水酵素阻害薬、α1遮断薬並びにニプラジロールを含まないものである、[7]〜[11]のいずれか記載の方法。
[14] さらに、ラタノプロスト、ニプラジロール、ドルゾラミド、ブリンゾラミド及びチモロール並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有する、[1]〜[5]のいずれか記載の水性組成物。
[15] 前記水性組成物が、さらにα1受容体遮断薬、α2受容体作動薬、β遮断薬、炭酸脱水酵素阻害剤、プロスタグランジンF2α誘導体、交感神経作動薬、副交感神経作動薬、カルシウム拮抗剤及びコリンエステラーゼ阻害剤よりなる群から選ばれる1種以上を含有する、[7]〜[11]のいずれか記載の方法。
[16] 前記水性組成物が、さらにラタノプロスト、ニプラジロール、ドルゾラミド、ブリンゾラミド及びチモロール並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有する、[7]〜[11]のいずれか記載の方法。
以下、まず「水性組成物」に係る態様の発明について、その文言の意義等を詳細に説明する。
また、前記一般式(1)において、メチル基の置換したホモピペラジン環を構成する炭素原子は不斉炭素である。そのため、立体異性が生じるが、一般式(1)で表される化合物にはいずれの立体異性体も包含され、単一の立体異性体でもよく、各種立体異性体の任意の割合の混合物でもよい。前記一般式(1)で表される化合物としては、絶対配置がS配置である化合物が好ましい。
さらに、前記一般式(1)で表される化合物又はその塩は、水和物やアルコール和物等の溶媒和物であってもよく、水和物であるのが好ましい。
リパスジル(化学名:4−フルオロ−5−{[(2S)−2−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル]スルホニル}イソキノリン)若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
4−ブロモ−5−{[(2S)−2−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル]スルホニル}イソキノリン若しくはその塩又はそれらの溶媒和物;
等が挙げられる。
なお、第4級アンモニウム型界面活性剤は公知であり、公知の方法により製造しても良いし、市販のものを用いても良い。
当該組み合わせとしては、協力作用による防腐効果の増強の観点から、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、ベンザルコニウム塩化物及びベンゾドデシニウム臭化物よりなる群から選ばれる1種以上の組み合わせが好ましく、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、ベンザルコニウム塩化物の組み合わせが特に好ましい。
特に、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物としてリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を用い、第4級アンモニウム型界面活性剤としてベンザルコニウム塩化物を用いる場合においては、優れた防腐効果を得る観点から、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体として1質量部に対し、ベンザルコニウム塩化物を0.0002〜0.2質量部含有するのが好ましく、0.002〜0.02質量部含有するのがより好ましく、0.0025〜0.01質量部含有するのが特に好ましい。また、一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物としてリパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を用い、第4級アンモニウム型界面活性剤としてベンゾドデシニウム臭化物を用いる場合においては、優れた防腐効果を得る観点から、リパスジル若しくはその塩又はそれらの溶媒和物をフリー体換算として1質量部に対し、ベンゾドデシニウム臭化物を0.0002〜0.2質量部含有するのが好ましく、0.002〜0.02質量部含有するのがより好ましく、0.0025〜0.01質量部含有するのが特に好ましい。
水性組成物に含まれる水の含有量は特に限定されないが、5質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらにより好ましく、90〜99.8質量%が特に好ましい。
こうした添加物としては、具体的には例えば、アスコルビン酸、アスパラギン酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アルギン酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、イプシロン−アミノカプロン酸、ウイキョウ油、エタノール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エデト酸ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液、カルボキシビニルポリマー、乾燥亜硫酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、d−カンフル、dl−カンフル、キシリトール、クエン酸水和物、クエン酸ナトリウム水和物、グリセリン、グルコン酸、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸ナトリウム、クレアチニン、クロルヘキシジングルコン酸塩液、クロロブタノール、結晶リン酸二水素ナトリウム、ゲラニオール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム水和物、酸化チタン、ジェランガム、ジブチルヒドロキシトルエン、臭化カリウム、酒石酸、水酸化ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル45、精製ラノリン、D−ソルビトール、ソルビトール液、タウリン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、チオ硫酸ナトリウム水和物、チメロサール、チロキサポール、デヒドロ酢酸ナトリウム、トロメタモール、濃グリセリン、濃縮混合トコフェロール、白色ワセリン、ハッカ水、ハッカ油、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、ヒアルロン酸ナトリウム、人血清アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、氷酢酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、フェニルエチルアルコール、ブドウ糖、プロピレングリコール、ベルガモット油、ベンジルアルコール、ホウ砂、ホウ酸、ポビドン、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレングルコール(70)、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、d−ボルネオール、マクロゴール4000、マクロゴール6000、D−マンニトール、無水クエン酸、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、メタンスルホン酸、メチルセルロース、l-メントール、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ユーカリ油、ヨウ化カリウム、硫酸、硫酸オキシキノリン、流動パラフィン、リュウノウ、リン酸、リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、リンゴ酸、ワセリン等が例示される。
他の薬効成分としては、ラタノプロスト、ニプラジロール、ドルゾラミド、ブリンゾラミド及びチモロール並びにそれらの塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
また、日本国特許第5557408号公報に開示されるように、眼底疾患(主として網膜及び/又は脈絡膜に発現する病変、具体的には例えば、高血圧と動脈硬化による眼底変化、網膜中心動脈閉塞症、網膜中心静脈閉塞症(central retinal vein occlusion)や網膜静脈分枝閉塞症(branch retinal vein occlusion)等の網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫、糖尿病黄斑症、イールズ病(Eales disease)、コーツ病(Coats disease)等の網膜血管先天異常、ヒッペル病(von Hippel disease)、脈なし病(pulseless disease)、黄斑疾患(中心性網脈絡膜症(central serous chorioretinopathy)、嚢胞様黄斑浮腫(cystoid macular edema)、加齢黄斑変性(age-related macular degeneration)、黄斑円孔(macular hole)、近視性黄斑萎縮(myopic macular degeneration)、網膜硝子体界面黄斑変性症、薬物毒性黄斑変性症、遺伝性黄斑変性等)、(裂孔原性、牽引性、滲出性等の)網膜剥離、網膜色素変性症、未熟児網膜症等が挙げられる。)の予防又は治療剤、より好適には糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫又は加齢黄斑変性の予防又は治療剤として利用できる。
次に、「防腐効果付与方法」に係る態様の発明について説明する。
具体的には例えば、第十六改正日本薬局方 参考情報「保存効力試験法」に従い、細菌(例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli))あるいは真菌(例えば、カンジダ(Candida albicans))を用いた場合において、前記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物及び第4級アンモニウム型界面活性剤の両成分を共に配合しない対照(防腐効果が無いことが知られている精製水を対照として用いればよい。)と比較して、いずれか1種以上の微生物種において任意の日数において生菌数が少ないことを確認できれば防腐効果有り、と判定され、この場合、水性組成物への防腐効果の付与が確認される。
リパスジルの微生物(細菌及び真菌)に対する発育阻止活性の有無を確認するため、細菌として緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を、真菌としてカンジダ(Candida albicans)を用い、以下の試験を実施した。
Pseudomonas aeruginosa NBRC 13275株を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(メルク社)に播種し、30〜35℃で20〜22時間培養した。培養後、ペプトン食塩緩衝液(pH7.0)にて1000CFU/mL以下となるように希釈し、試験菌懸濁液を得た。
リパスジル1塩酸塩2水和物 2gを270mLのリン酸緩衝液(pH7.2)に溶解し、試料希釈液を得た。
試料希釈液50mLに試験菌懸濁液0.5mLを混合し、試料サンプルを得た(なお、リン酸緩衝液(pH7.2)50mLに試験菌懸濁液0.5mLを混合したものを対照サンプルとした。)。
30分以上経過した後、メンブランフィルター法に従い、セルロース混合エステル性のフィルター(ミリポア社)を用いて各種サンプルをろ過して菌体をフィルター上に回収した後、フィルターをリン酸緩衝液(pH7.2)100mLにて洗浄した。得られたフィルターをソイビーン・カゼイン・ダイジェストカンテン培地(メルク社)上に乗せ、30〜35℃で3日間培養した。
培養後、形成されたコロニー数をカウントした(なお、試験を2回実施し、その平均値を得た。)。また、得られたコロニー数から、以下の式により発育阻止率(%)を算出した。
発育阻止率(%) = |(対照サンプルのコロニー数 − 試料サンプルのコロニー数)| / 対照サンプルのコロニー数 × 100
Candida albicans NBRC 1594株を、サブロー・ブドウ糖液体培地(メルク社)に播種し、20〜25℃で44〜46時間培養した。その後、ペプトン食塩緩衝液(pH7.0)にて1000CFU/mL以下となるように希釈し、試験菌懸濁液を得た。得られた試験菌懸濁液を用いて、前記した緑膿菌に対する試験と同様の操作を行い、菌体をフィルター上に回収した。得られたフィルターをサブロー・ブドウ糖カンテン培地(メルク社)上に乗せ、20〜25℃で5日間培養した。
培養後、形成されたコロニー数をカウントした(なお、試験を2回実施し、その平均値を得た。)。また、発育阻止率(%)を算出した。
結果を表1に示す。
以上の試験結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、細菌及び真菌に対し防腐効果を有することが明らかとなった。
リパスジルとベンザルコニウムとを組合わせることによる微生物(細菌及び真菌)に対する防腐効果の増強の有無を確認するため、細菌として緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を、真菌としてカンジダ(Candida albicans)を用い、以下の試験を実施した。
なお、ベンザルコニウム塩化物の有効濃度は0.002〜0.01%であり、0.001%では十分な殺菌活性を示さないことが知られている(株式会社南山堂1984年発行『点眼剤』、第76〜83頁)。そこで、本試験では当該量のベンザルコニウム塩化物を用いることにより、リパスジルとベンザルコニウムとの協力作用(相乗作用)の有無を確認した。
Pseudomonas aeruginosa NBRC 13275株を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェストカンテン培地(メルク社)に播種し、30〜35℃で、18〜24時間培養した。その後、培養菌体を0.1%ペプトン食塩緩衝液(日本製薬社)に浮遊させ、1mL当たり菌体が約108個となるように調整し、試験菌懸濁液を得た。
下記の方法で調製した各種製剤サンプル15mLに対し、試験菌懸濁液を0.1mL接種した後、滅菌したポリプロピレン製の点眼剤用容器(容量:20mL)に充填し、20〜25℃で遮光条件下、14日間保存した。
保存後、各種製剤サンプルをレシチン・ポリソルベート80添加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(日本製薬社)で順次10倍ずつ希釈した希釈系列を調製し、カンテン平板混釈法に従いレシチン・ポリソルベート80添加ソイビーン・カゼイン・ダイジェストカンテン培地(日本製薬社)に混釈し、30〜35℃で5日間培養した。
培養後、形成されたコロニー数と希釈倍数とから、各種製剤サンプル1mL中の生菌数を算出した。
Candida albicans NBRC 1594株を、サブロー・ブドウ糖カンテン培地(メルク社)に播種し、20〜25℃で40〜48時間培養した。その後、培養菌体を0.1%ペプトン食塩緩衝液(日本製薬社)に浮遊させ、1mL当たり菌体が約108個となるように調整し、試験菌懸濁液を得た。得られた試験菌懸濁液を用いて、前記した緑膿菌に対する試験と同様の操作を行い、試験菌懸濁液を接種した各種製剤サンプルを保存した。
保存後、各種製剤サンプルをレシチン・ポリソルベート80添加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地(日本製薬社)で順次10倍ずつ希釈した希釈系列を調製し、カンテン平板混釈法に従いレシチン・ポリソルベート80添加サブロー・ブドウ糖カンテン培地(日本製薬社)に混釈し、20〜25℃で5日間培養した。
培養後、形成されたコロニー数と希釈倍数とから、各種製剤サンプル1mL中の生菌数を算出した。
100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、フィルター滅菌して製剤サンプルとした。
<リパスジル及びベンザルコニウムを含有する製剤サンプル(表中において、「リパスジル+ベンザルコニウム」と表記する。)>
100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)、ベンザルコニウム塩化物 0.001g(0.001w/v%)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、フィルター滅菌して製剤サンプルとした。
以上の試験結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、ベンザルコニウムに代表される第4級アンモニウム型界面活性剤とを組み合わせることにより、相乗的に防腐効果が増強され、第4級アンモニウム型界面活性剤単独では防腐効果を示さないような量であっても優れた防腐効果が奏されることが明らかとなった。
細菌として緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の代わりに黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus:NBRC 13276株)を用いたほかは試験例2と同様の方法により、試験を実施した。
結果を表3に示す。
細菌として緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の代わりに大腸菌(Escherichia coli:NBRC 3972株)を用い、保存期間を28日間としたほかは試験例2と同様の方法により、試験を実施した。
結果を表4に示す。
以上の試験結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、ベンザルコニウムに代表される第4級アンモニウム型界面活性剤とを組み合わせることにより、広い範囲の微生物に対して優れた防腐効果の増強が認められることが明らかとなった。
試験例2〜4において確認されたリパスジルとベンザルコニウムとを組合わせることによる防腐効果の増強の程度をより明確にするため、試験菌として緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)を、製剤サンプルとしてリパスジルを単独で含有する製剤サンプル、ベンザルコニウムを単独で含有する製剤サンプル、並びにリパスジル及びベンザルコニウムを含有する製剤サンプルの3種類をそれぞれ用い、試験例2に準じて試験を実施した。
得られた試験結果(14日保存後のサンプル1mL当たりの生菌数)と接種菌数から、以下の式により生菌残存率(%)を算出した。
生菌残存率(%) = 14日保存後の各種製剤サンプル1mL当たりの生菌数 / 接種菌数 ×100
<リパスジルを単独で含有する製剤サンプル(表中において、「リパスジルのみ」と表記する。)>
100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、フィルター滅菌して製剤サンプルとした。
100mL当たり、ベンザルコニウム塩化物 0.001g(0.001w/v%)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、水酸化ナトリウム 適量(pH6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、フィルター滅菌して製剤サンプルとした。
100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)、ベンザルコニウム塩化物 0.001g(0.001w/v%)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、水酸化ナトリウム 適量(pH 6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、フィルター滅菌して製剤サンプルとした。
結果を表5に示す。
以上の試験結果から、リパスジルとベンザルコニウムとを組合わせることによって、防腐効果が相乗的に増強されることがより明確に示された。
第4級アンモニウム型界面活性剤としてベンザルコニウムの代わりにベンゾドデシニウムを用いた場合にも同様に優れた防腐効果が得られることを確認するため、試験菌として緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、大腸菌(Escherichia coli)及びカンジダ(Candida albicans)を、製剤サンプルとしてリパスジル及びベンゾドデシニウムを含有する製剤サンプルを用い、試験例2〜4に準じて試験を実施した(なお、保存期間はいずれの菌種についても14日及び28日とした。)。
<リパスジル及びベンゾドデシニウムを含有する製剤サンプル>
100mL当たり、リパスジル1塩酸塩2水和物 0.4896g(リパスジルのフリー体として0.4g)、ベンゾドデシニウム臭化物 0.001g(0.001w/v%)、無水リン酸二水素ナトリウム 0.4g、グリセリン 2.136g、水酸化ナトリウム 適量(pH6.0)及び滅菌精製水(残余)を含有する水性組成物を調製し、フィルター滅菌して製剤サンプルとした。
結果を表6に示す。
以上の試験例1〜6の結果から、リパスジルに代表される一般式(1)で表される化合物若しくはその塩又はそれらの溶媒和物と、ベンザルコニウム、ベンゾドデシニウムに代表される第4級アンモニウム型界面活性剤とを組合わせることにより、広い範囲の微生物に対して優れた防腐効果の増強が認められることが明らかとなった。
表7〜表9に記載の成分及び分量(水性組成物100mL当たりの量(g))を含有する点眼剤を、常法により製造できる。
製造例1〜27において、ベンザルコニウム塩化物の代わりに同量のベンゼトニウム塩化物を用いたものを、製造例28〜54の点眼剤として、常法により製造できる。
製造例1〜27において、ベンザルコニウム塩化物の代わりに同量のベンゾドデシニウム臭化物を用いたものを、製造例55〜81の点眼剤として、常法により製造できる。
製造例1〜81において、リパスジル1塩酸塩2水和物の代わりに同量の4−ブロモ−5−{[(2S)−2−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル]スルホニル}イソキノリンを用いたものを、製造例82〜162の点眼剤として、常法により製造できる。
Claims (8)
- 一般式(1)で表される化合物が、リパスジルである、請求項1記載の水性組成物。
- 第4級アンモニウム型界面活性剤が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゾドデシニウム臭化物よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1又は2記載の水性組成物。
- 点眼剤である、請求項1〜3のいずれか1項記載の水性組成物。
- 一般式(1)で表される化合物が、リパスジルである、請求項5記載の方法。
- 第4級アンモニウム型界面活性剤が、ベンザルコニウム塩化物及びベンゾドデシニウム臭化物よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項5又は6記載の方法。
- 水性組成物が、点眼剤である、請求項5〜7のいずれか1項記載の方法。
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