JP2016134281A - 負イオン源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負イオンの生成量を増加させることができる負イオン源装置を提供する。【解決手段】負イオン源装置100は、所定のエネルギー以上の電子を遮断する磁場を生成するフィルター磁場生成部110Bと、磁場が生成される磁場領域(負イオン生成領域E2)内に設けられ、促進物質を付着させる部分の面積を増加させる促進物質付着面積増加部117と、を備えている。フィルター磁場生成部110Bによる磁場領域内には、所定のエネルギー以上の電子の侵入が遮断されるため、当該磁場領域では高いエネルギーの電子に破壊されることなく、負イオンが生成される。当該磁場領域のうち促進物質が付着する部分の表面では、促進物質により仕事関数が低下することで、負イオンの表面生成が行われる。従って、磁場領域に促進物質付着面積増加部117が設けられることによって、負イオンの表面生成が行われる部分の面積が増加する。【選択図】図2

Description

本発明は、負イオン源装置に関する。
加速器等に用いられるイオン源装置として、例えば、固体を原料とするプラズマスパッタ型の負イオン源装置(特許文献1参照)や、気体(例えば、水素ガス)を原料として負イオンビームを生成する負イオン源装置が知られている。後者の負イオン源装置は、例えば、チャンバと、チャンバ内にプラズマを生成するためのフィラメントと、チャンバ内に水素ガスを供給する水素ガス供給部と、チャンバ内にセシウム蒸気を供給するためのセシウム供給源とを備える。フィラメントには電流が流されているので、加熱されたフィラメントからは熱電子が放出され、チャンバ内の水素ガスと衝突してプラズマが生成される。そして、プラズマ中の低速電子又はプラズマ電極表面の電子と、水素分子、水素原子、又は水素イオンと、が反応することにより、負イオンが生成される。
セシウムが付着した物質の表面においては仕事関数が低下するので、セシウムは、負イオンの生成を促進する機能を有する。そのため、セシウムがセシウム供給源によってチャンバ内に供給されると、負イオン源から引き出される負イオン量の増大が図られる。
特開2004−030966号公報
ところで、上述のような負イオン源装置における負イオンの生成量を更に増加させることが要請されていた。本発明の目的は、負イオンの生成量を増加させることができる負イオン源装置を提供することにある。
本発明に係る負イオン源装置は、内部で負イオンを生成するチャンバと、チャンバ内に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、原料ガス供給部により供給された原料ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成部と、チャンバの一端側に設けられ、生成された負イオンを引き出す引出孔を有するプラズマ電極と、負イオンの生成を促進する促進物質をチャンバ内に供給する促進物質供給部と、チャンバの一端側に設けられ、所定のエネルギー以上の電子を遮断する磁場を生成するフィルター磁場生成部と、磁場が生成される磁場領域内に設けられ、促進物質を付着させる部分の面積を増加させる促進物質付着面積増加部と、を備える。
本発明に係る負イオン源装置は、所定のエネルギー以上の電子を遮断する磁場を生成するフィルター磁場生成部と、磁場が生成される磁場領域内に設けられ、促進物質を付着させる部分の面積を増加させる促進物質付着面積増加部と、を備えている。フィルター磁場生成部による磁場領域内には、所定のエネルギー以上の電子の侵入が遮断されると共に所定のエネルギー未満の電子の進入は許容されるため、当該磁場領域では高いエネルギーの電子に破壊されることなく、低いエネルギーの電子によって負イオンが生成される。当該磁場領域のうち促進物質が付着する部分の表面では、促進物質により仕事関数が低下することで、負イオンの表面生成が行われる。従って、磁場領域に促進物質付着面積増加部が設けられることによって、負イオンの表面生成が行われる部分の面積が増加する。以上によって、負イオンの生成量を増加させることができる。
本発明に係る負イオン源装置において、促進物質付着面積増加部は、プラズマ電極の表面に形成された凹凸部によって構成されてよい。これによって、別部材を用いることなく負イオンの表面生成に係る面積を増加させることができる。
本発明に係る負イオン源装置において、促進物質付着面積増加部は、プラズマ電極の表面から離間して設けられた部材によって構成されてよい。これによって、プラズマ電極に加工等を施さなくとも、別部材を設けることで容易に負イオンの表面生成に係る面積を増加させることができる。
本発明に係る負イオン源装置において、部材は、貫通孔を有していてよい。これによって、負イオンを生成するための原子、分子、電子が部材の貫通孔を通過してプラズマ電極側へ移動することができる。
本発明によれば、負イオンの生成量を増加させることができる。
図1は、中性子捕捉療法装置を概略的に示す図である。 図2は、第1実施形態に係る負イオン源装置を示す図である。 図3(a)は、プラズマ電極をチャンバ内部より軸方向から見た図であり、図3(b)は、図3(a)のAで示す部分の拡大図である。 図4(a)〜(c)は、凹凸部の断面形状の一例を示す図である。 図5は、第2実施形態に係る負イオン源装置を示す図である。 図6(a),(b)は、促進物質付着面積増加部材及び支持部の構成の一例を示す図である。 図7は、変形例に係る負イオン源装置を示す図である。 図8は、変形例に係る負イオン源装置を示す図である。
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係る負イオン源装置100を備える中性子捕捉療法装置1を例にとり、中性子捕捉療法装置1の概要について図1を参照しつつ説明する。中性子捕捉療法装置1は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)を用いたがん治療などを行うために用いられる装置であり、ホウ素(10B)が投与された患者50の腫瘍へ中性子線Nを照射する。
中性子捕捉療法装置1は、サイクロトロン2を備える。サイクロトロン2は、負イオン源装置100で生成された負イオン(陰イオンともいう)を加速して、荷電粒子線Rを作り出す加速器である。このサイクロトロン2は、例えば、ビーム半径40mm、60kW(=30MeV×2mA)の荷電粒子線Rを生成する能力を有している。中性子捕捉療法装置1は、加速器として、サイクロトロン2に限られず、シンクロトロン、シンクロサイクロトロン、ライナックなどを用いてもよい。
サイクロトロン2から出射された荷電粒子線Rは、ビームダクト3を通り、ターゲット6へ向かって進行する。このビームダクト3に沿って複数の四極電磁石4及び走査電磁石5が設けられている。走査電磁石5は、荷電粒子線Rを走査し、ターゲット6に対する荷電粒子線Rの照射位置を制御する。
中性子捕捉療法装置1は、制御部(算出手段)Sを備える。制御部Sは、CPU、ROM、RAM等を有する電子制御ユニットであり、中性子捕捉療法装置1を総合的に制御する。
制御部Sは、ターゲット6に照射される荷電粒子線Rの電流値(すなわち、電荷、照射線量率)をリアルタイムで測定する電流モニタMに接続されており、その測定結果に応じて中性子捕捉療法装置1の各部の制御を行う。電流モニタMとしては、例えば、荷電粒子線Rに影響を与えずに測定可能な非破壊型のDCCT(Direct Current Current Transformer)を用いることができる。
ターゲット6は、荷電粒子線Rの照射を受けて中性子線Nを生成する。ターゲット6は、例えば、直径160mmの円板状を呈する。ターゲット6は、例えば、ベリリウム(Be)、リチウム(Li)、タンタル(Ta)、又はタングステン(W)で形成してもよい。ターゲット6は、板状(固体)に限られず、液状であってもよい。
遮蔽体7は、発生した中性子線Nや、当該中性子線Nの発生に伴って生じたガンマ線等が、中性子捕捉療法装置1の外部へ放出されないように遮蔽する。減速材8は、中性子線Nを減速(中性子線Nのエネルギーを減衰)させる機能を有する。減速材8は、第1及び第2の減速材8A,8Bが積層されて構成されている。第1の減速材8Aは、中性子線Nに含まれる速中性子を主に減速させる。第2の減速材8Bは、中性子線Nに含まれる熱外中性子を主に減速させる。
コリメータ9は、中性子線Nの照射野(中性子線Nの進行方向に直交する平面における照射範囲)を成形するものであり、中性子線Nが通過する開口9aを有している。ターゲット6で発生した中性子線Nは、減速材8を通り抜けた後、一部がコリメータ9の開口9aを通過する一方で、残部がコリメータ9の開口9aを確定する周辺部により遮蔽される。その結果、コリメータ9を通過した中性子線Nは、開口9aの形状に対応した形状に成形される。
中性子線量測定装置10は、治療台51上の患者50に照射される中性子線Nの線量及び線量分布を測定する装置である。
続いて、負イオン源装置100の構成について、図2を参照しつつ説明する。負イオン源装置100は、負イオン源102と、真空ボックス104とを備える。負イオン源102と真空ボックス104とは、絶縁フランジ106によって接続されている。
負イオン源102は、チャンバ108と、原料ガス供給部109と、磁石110と、プラズマ生成部112と、促進物質供給部115と、プラズマ電極116と、促進物質付着面積増加部117とを有する。
チャンバ108は、図示しない真空ポンプと接続されており、内部を真空状態に保持可能である。チャンバ108は、円筒状を呈する本体部108aと、本体部108aの他端側に設けられた蓋部108bとを有する。本体部108aは、チャンバ108の側壁をなしている。チャンバ108の一端側には、後述のプラズマ生成部112及び真空ボックス104が設けられている。本体部108aの両端には、外方に向けて突出する鍔部108c,108dがそれぞれ設けられている。
蓋部108bは、本体部108aの他端側に位置する鍔部108cに着脱自在に取り付けられており、本体部108aの他端(開放端)を開放又は閉塞する。蓋部108bの略中央部には、円形状を呈する貫通孔108eが形成されている。貫通孔108eは、蓋部108bが本体部108aの他端を閉塞しているときに、チャンバ108の内外を連通する。
原料ガス供給部109は、後述のプラズマ電極116の近傍に設けられた配管116bと、配管116bに接続されたガス供給源122と、を備えている。配管116bは、チャンバ108の他端側に位置している。ガス供給源122は、原料ガス源(水素ガス源)及び不活性ガス源(アルゴンガス源)を含む。すなわち、ガス供給源122の原料ガスや不活性ガスは、配管116bを通じて本体部108aの他端側からチャンバ108内に供給される。
磁石110は、プラズマ閉じ込め部110Aと、フィルター磁場生成部110Bと、を備えている。プラズマ閉じ込め部110Aは、チャンバ108の他端側の領域に設けられている。プラズマ閉じ込め部110Aは、チャンバ108内で生成されたプラズマをチャンバ108に閉じ込めるように磁場を生成する。フィルター磁場生成部110Bは、チャンバ108の一端側に設けられ、所定のエネルギー以上の電子を遮断する磁場を生成する。チャンバ108の軸方向において、フィルター磁場生成部110Bに比してプラズマ閉じ込め部110Aの方が広い範囲を占めている。高いエネルギーの電子(高温電子)は、フィルター磁場生成部110Bによって生成される磁場領域内には侵入することはできず、プラズマ閉じ込め部110Aに囲まれる領域に閉じ込められる。この領域をプラズマ生成領域E1(図2に示す一点鎖線よりも左側領域)と称する。一方、所定のエネルギーより低いエネルギーの電子(低温電子)は、フィルター磁場生成部110Bに囲まれる磁場領域を通過することができる。負イオンは高温電子によって容易に破壊されるが、フィルター磁場生成部110Bの磁場領域には高温電子の侵入が防止されると共に低温電子は進入可能とされるため、当該磁場領域にて負イオンが生成される。従って、フィルター磁場生成部110Bによる磁場領域を負イオン生成領域E2(図2に示す一点鎖線よりも右側領域)と称する。
磁石110は、本体部108aの外周面側に複数配置されている。より詳しくは、磁石110は、本体部108aの外周面から離間した状態でチャンバ108の外周側に位置する。プラズマ閉じ込め部110Aは、周方向にS極とN極を交互に配置することによって構成される。フィルター磁場生成部110Bは、周方向における一部の領域にS極を集めて配置し、周方向における他の領域にN極を集めて配置する。磁石110と本体部108aの外周面との間には、図示しない冷却路が設けられている。磁石110又は本体部108aの壁部を冷却するために、当該冷却路内には水などの冷媒が循環される。なお、冷却路が設けられる位置は、磁石110と本体部108aの外周面との間に限らず、他の位置としてもよい。例えば、磁石110の外周面に冷却路を設けてもよい。
プラズマ生成部112は、円柱形状を呈する本体部112aと、本体部112aの端面から外方(チャンバ108の他端側、プラズマ電極116側)に延びる一対のフィラメント112bとを有する。本体部112aは、蓋部108bの貫通孔108eに対応する外形を有し、蓋部108b(貫通孔108e)に対して着脱可能である。本体部112aが蓋部108b(貫通孔108e)に取り付けられている場合、本体部112aと貫通孔108eとの間にOリング等を介在させることにより、チャンバ108内の気密が保たれる。本体部112aには、図示しない直流電源が接続されている。当該直流電源は、フィラメント112bに電圧及び電流を印加し、フィラメント112bを発熱させると共に、フィラメント112bとチャンバ108(本体部108a)との間に電位差を生じさせる。
促進物質供給部115は、負イオンの生成を促進する促進物質を導入する促進物質導入部114と、促進物質導入部114に接続された促進物質供給源118と、を備えている。促進物質導入部114は、蓋部108bを貫通するように蓋部108bに設けられている。促進物質導入部114の先端は、チャンバ108内に位置している。促進物質として、セシウム、そのほかのアルカリ物質等の負イオンの生成の促進効果を有する物質を採用してよい。また、促進物質は、気体、液体、固体の何れの状態でチャンバ108内に供給されてもよい。
プラズマ電極116は、本体部108aの一端側に位置する鍔部108dに設けられた絶縁フランジ125と、真空ボックス104側の絶縁フランジ106との間に配置されている。プラズマ電極116は、電圧が可変の電源(図示せず)に接続されている。当該電源を制御してプラズマ電極116に印加される電圧の大きさを制御することにより、チャンバ108内のプラズマ分布を制御し、チャンバ108から引き出される負イオンの量を制御する。プラズマ電極116は、チャンバ108内で生成された負イオンをチャンバ108外(本実施形態では真空ボックス104側)に引き出すことが可能な引出孔116aを有している。なお、本実施形態に係るプラズマ電極116は、平板形状であるが、特に形状は限定されず、テーパー状等に構成されていてもよい。
真空ボックス104は、チャンバ108のうち負イオンビームが引き出される下流側(チャンバ108の一端側)に位置している。真空ボックス104は、チャンバ108と同様に、内部を真空状態に保持可能である。真空ボックス104内には、引出電極等の電極124、負イオンビームのビーム量を計測するファラデーカップ(図示せず)、負イオンビームの軌道を変化させるステアリングコイル(図示せず)等が配置されている。
促進物質付着面積増加部117は、磁場が生成される磁場領域(負イオン生成領域E2)内に設けられ、促進物質を付着させる部分の面積を増加させる構造である。図3(a)に示すように、本実施形態では、促進物質付着面積増加部117は、プラズマ電極116の表面116c(チャンバ108の内部空間側の面)をチャンバ108の軸方向から見たときに、表面116cに対して設定される所定の領域F(ハッチングを付した領域)に形成されている。ここで、従来の負イオン源装置は、負イオン生成領域E2内において促進物質を付着させる部分として、プラズマ電極116の表面116cと、本体部108aの内周面と、を有していた。また、プラズマ電極116の表面116cは略全域が平面として形成されており、本体部108aの内周面は、少なくとも負イオン生成領域E2内では略全域が平滑(溝や段差が形成されていない)な面として形成されていた。このような従来の負イオン源装置の負イオン生成領域E2内における促進物質を付着させる部分の面積を「付着面積SP1」とする。一方、本実施形態に係る負イオン源装置100は、促進物質付着面積増加部117が形成されることにより、負イオン生成領域E2内における促進物質を付着させる部分の付着面積SP2が付着面積SP1よりも大きくなる。
図3(a)に示す例では、促進物質付着面積増加部117が形成される領域Fは、プラズマ電極116の中央位置における一部に円形状に設定されている。領域Fの直径Dは、チャンバ108のサイズ、ガス圧等に基づいて設定される。例えば、領域Fの大きさは、負イオンの平均自由行程に基づいて設定されてよい。平均自由行程とは、生成した負イオンがチャンバ108内を飛行することができる距離である。例えば、引出孔116aから離れ過ぎた位置、すなわち平均自由行程よりも離れた位置で生成された負イオンは、引出孔116aから引き出されない。従って、促進物質付着面積増加部117が形成される領域Fは、引出孔116aから平均自由行程以内の範囲内に設定されていてよい。なお、領域Fの形状は特に限定されず、矩形状等のその他の形状であってもよい。チャンバ108の半径が平均自由行程よりも小さい場合、チャンバ108の本体部108aの内周面に形成されていてもよい。
本実施形態では、図3(b)に示すように、促進物質付着面積増加部117は、プラズマ電極116の表面116cに形成された複数の凹凸部120によって構成される。凹凸部120は、引出孔116aの周りに同心円状に複数の溝を並べることによって形成されている。凹凸部120が形成された領域F内の表面116cの表面積は、当該領域F内の表面116cが平面であった場合の表面積に比して大きい。したがって、本実施形態に係る負イオン源装置100においては、領域F内に平面に比して表面積の大きい凹凸部120が形成されることにより、負イオン生成領域E2内における促進物質を付着させる部分の付着面積SP2が従来の負イオン源装置の付着面積SP1よりも大きくなる。なお、凹凸部120は同心円状の溝によって形成されていなくともよく、直線状の溝を複数並べることで形成されてもよい。あるいは、凹凸部120は、複数の溝を網目状に並べることで形成されてもよい。あるいは、凹凸部120は、複数の突起部を並べることで形成されてもよい。
図4(a)〜(c)に示すように、凹凸部120の断面形状は特に限定されない。例えば、図4(a)に示すように、凹凸部120は、矩形状であってよい。また、図4(b)に示すように、凹凸部120は、波状であってよい。また、図4(c)に示すように、凹凸部120は、三角形状であってよい。なお、凹凸部120は、プラズマ電極116の平面状の表面116cに対して切削やレーザー加工等の溝加工を施すことによって構成される。これに代えて、プラズマ電極116の平面状の表面116cから複数の突出部が突出し、当該突出部同士の間の空間を凹凸部120として形成されてもよい。
上記の負イオン源装置100において、負イオンを生成する際には、まずチャンバ108及び真空ボックス104内を真空ポンプにより真空引きする。次に、ガス供給源122により原料ガス(水素ガス)をチャンバ108内に供給すると共に、促進物質供給源118により促進物質をチャンバ108内に供給する。促進物質供給源118による促進物質の供給量は、引き出したい負イオンビームのビーム量に応じて調整してもよい。促進物質が付着した物質の表面においては仕事関数が低下するので、促進物質は、負イオンの生成を促進する機能を有する。図2には、チャンバ108の内壁面やプラズマ電極116の表面116cに付着した促進物質の堆積層Cを示している。
次に、プラズマ生成部112に電流を流し、プラズマ生成部112とチャンバ108との間に電圧が印加される。電流が流れることにより加熱されたフィラメント112bとチャンバ108との間に電圧が印加されることにより、フィラメント112bからチャンバ108へ熱電子が放出され、アーク放電が起きる。当該熱電子は、チャンバ108内に充満している水素ガスと衝突して電子を弾き出し、当該水素ガスをプラズマ化させる。
プラズマ中に存在する電子のうち高温電子と低温電子とが、磁石110によって弁別される。すなわち、高温電子は、プラズマ閉じ込め部110Aによってプラズマ生成領域E1に閉じ込められ、フィルター磁場生成部110Bの磁場で遮断されて負イオン生成領域E2への移動が遮断される。一方、低温電子は負イオン生成領域E2へ移動する。低温電子又はプラズマ電極116の表面116cの電子と、プラズマ中の水素分子、水素原子、又は水素イオンと、が反応することにより、負イオンが生成される。こうして生成された負イオンは、プラズマ電極116の引出孔116aを通じてチャンバ108の外に引き出され、真空ボックス104を介してサイクロトロン2に導入される。
次に、本実施形態に係る負イオン源装置100の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る負イオン源装置100は、所定のエネルギー以上の電子を遮断する磁場を生成するフィルター磁場生成部110Bと、磁場が生成される磁場領域(負イオン生成領域E2)内に設けられ、促進物質を付着させる部分の面積を増加させる促進物質付着面積増加部117と、を備えている。フィルター磁場生成部110Bによる磁場領域内には、所定のエネルギー以上の電子の侵入が遮断されるため、当該磁場領域では高いエネルギーの電子に破壊されることなく、負イオンが生成される。当該磁場領域のうち促進物質が付着する部分の表面では、促進物質により仕事関数が低下することで、負イオンの表面生成が行われる。従って、磁場領域に促進物質付着面積増加部117が設けられることによって、負イオンの表面生成が行われる部分の面積が増加する。以上によって、負イオンの生成量を増加させることができる。
本実施形態に係る負イオン源装置100において、促進物質付着面積増加部117は、プラズマ電極116の表面116cに形成された凹凸部120によって構成されている。これによって、別部材を用いることなく負イオンの表面生成に係る面積を増加させることができる。
[第2実施形態]
図5及び図6を参照して、第2実施形態に係る負イオン源装置200について説明する。第2実施形態に係る負イオン源装置200では、促進物質付着面積増加部217の構成が第1実施形態に係る負イオン源装置100の促進物質付着面積増加部117と異なっている。
図5及び図6に示すように、促進物質付着面積増加部217は、プラズマ電極116の表面116cから離間して設けられた促進物質付着面積増加部材218によって構成される。促進物質付着面積増加部材218は、負イオン生成領域E2内の空間内に配置される。促進物質付着面積増加部材218は、領域F(図3(a)参照)における表面116cを覆うように、当該表面116cから離間した位置に配置される。なお、促進物質付着面積増加部材218と表面116cとの間の離間距離は特に限定されないが、引出孔116aからの距離が平均自由行程よりも小さくなる位置に配置されることが好ましい。
促進物質付着面積増加部材218は、支持部材219によって支持される。支持部材219は絶縁材によって構成されている。従って、促進物質付着面積増加部材218は、プラズマシースを調整できるように、プラズマ電極116及びチャンバ108とは独立して電圧を印加できる。支持部材219の構成は特に限定されず、図6(a)に示すように複数の脚部材であってもよく、図6(b)に示すように筒状部材であってもよい。また、支持部材219はプラズマ電極116に連結されていてもよいが、チャンバ108に連結されてもよい。
図6に示すように、促進物質付着面積増加部材218は、少なくとも電子を通過可能な大きさの貫通孔220を有している。具体的には、促進物質付着面積増加部材218は、網目状の金属部材によって構成されている。貫通孔220の一つ当たりの大きさは特に限定されず、電子が通過可能な大きさに設定されていればよい。また、促進物質付着面積増加部材218全体の面積に対して貫通孔220が占める割合は、電子及び負イオンが表面116c及び引出孔116a側へ移動することを妨げない範囲であればよい。なお、促進物質付着面積増加部材218は、金属ワイヤーを複数張り巡らせることによって構成されていてもよく、金属板に複数の貫通孔220を形成することによって構成されていてもよい。
以上のように、本実施形態に係る負イオン源装置200において、促進物質付着面積増加部217は、プラズマ電極116の表面116cから離間して設けられた促進物質付着面積増加部材218によって構成されている。これによって、プラズマ電極116に加工等を施さなくとも、別部材である促進物質付着面積増加部材218を設けることで容易に負イオンの表面生成に係る面積を増加させることができる。
本実施形態に係る負イオン源装置200において、促進物質付着面積増加部材218は、貫通孔220を有している。これによって、負イオンを生成するための原子、分子、電子が促進物質付着面積増加部材218の貫通孔220を通過してプラズマ電極116側へ移動することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、イオン源装置は、促進物質付着面積増加部として、プラズマ電極116に形成される凹凸部120と、プラズマ電極116の表面116cから離間する促進物質付着面積増加部材218と、の両方を採用してよい。
例えば、プラズマ生成部112は、フィラメント112bではなく、内部アンテナ型でもよい。この場合、アンテナに高周波を印加することにより、チャンバ108内にプラズマが生成される。
ガス供給源122に接続された配管116bがチャンバ108の他端側に位置するのではなく、他の箇所に設けられていてもよい。例えば、配管116bは、チャンバ108の他端側に設けられていてもよいし、チャンバ108の一端と他端との間に設けられていてもよい。
また、負イオン源装置の全体的な構成は図2,5に示すものに限定されず、図7に示すものを採用してもよい。図7に示す負イオン源装置300は、例えば、チャンバ308内に配置されるフィラメント312及びプラズマ電極316の形状、及びフィルター磁場生成部310Bの配置等が図1の負イオン源装置100と異なっている。この負イオン源装置300では、プラズマ電極316付近に負イオン生成領域E2が形成されており、当該領域内に促進物質付着面積増加部317が形成されている。図8示す負イオン源装置400は、例えば、プラズマ生成部412の構成、チャンバ408の形状、プラズマ電極416の形状等が図1の負イオン源装置100と異なっている。この負イオン源装置400では、プラズマ電極416付近に負イオン生成領域E2が形成されており、当該領域内に促進物質付着面積増加部417が形成されている。
1…中性子捕捉療法装置、100,200,300,400…負イオン源装置、108,308,408…チャンバ、110B,310B…フィルター磁場生成部、112…プラズマ生成部、115…促進物質供給部、116,316,416…プラズマ電極、116a…引出孔、116c…表面、117,217,317,417…促進物質付着面積増加部、120…凹凸部、218…促進物質付着面積増加部材(部材)。

Claims (4)

  1. 内部で負イオンを生成するチャンバと、
    前記チャンバ内に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
    前記原料ガス供給部により供給された前記原料ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成部と、
    前記チャンバの一端側に設けられ、生成された前記負イオンを引き出す引出孔を有するプラズマ電極と、
    前記負イオンの生成を促進する促進物質を前記チャンバ内に供給する促進物質供給部と、
    前記チャンバの前記一端側に設けられ、所定のエネルギー以上の電子を遮断する磁場を生成するフィルター磁場生成部と、
    前記磁場が生成される磁場領域内に設けられ、前記促進物質を付着させる部分の面積を増加させる促進物質付着面積増加部と、を備える、負イオン源装置。
  2. 前記促進物質付着面積増加部は、前記プラズマ電極の表面に形成された凹凸部によって構成される、請求項1に記載の負イオン源装置。
  3. 前記促進物質付着面積増加部は、前記プラズマ電極の表面から離間して設けられた部材によって構成される、請求項1又は2に記載の負イオン源装置。
  4. 前記部材は、貫通孔を有している、請求項3に記載の負イオン源装置。
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