JP2020161228A - 負イオン源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】負イオンの生成効率を向上する。【解決手段】負イオン源装置100は、チャンバ108と、チャンバ108内に原料ガスを供給する原料ガス供給部としてのガス供給源122と、チャンバ108の一端側に位置すると共に、供給された原料ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成部112と、負イオンの生成を促進する促進物質を前記チャンバ内に供給する促進物質供給部としてのセシウム供給源118及びセシウム導入部114と、チャンバ108の他端側に位置していると共に、チャンバ108内で生成された負イオンをチャンバ外に引き出すことが可能な貫通孔を有するプラズマ電極116と、チャンバ108の外側に設けられてチャンバ108を冷却する冷却部130と、を備え、冷却部130は、チャンバ108の他端側と比べて一端側の温度が高い温度勾配を形成してチャンバ108を冷却する。【選択図】図2
Description
本発明は、負イオン源装置に関する。
加速器等に用いられるイオン源装置として、例えば、特許文献1記載の負イオン源装置が知られている。この負イオン源装置では、原料ガスを用いてチャンバ内でプラズマを生成すると共に、負イオンの生成を促進する促進物質をチャンバ内に供給して負イオンを生成することが開示されている。また、特許文献1では、温度調整部を設けて促進物質が所定の領域で液化または固化させやすくすることで、当該領域での負イオンの生成を促進している。また、特許文献1では、チャンバ内に所定の磁場を形成する磁石を冷却部により冷却する構成が開示されている。
しかしながら、磁石を冷却することによってチャンバが冷えると、チャンバの内面等に促進物質が付着して固化する場合がある。その場合、装置としての負イオンの生成効率に影響を与える可能性がある。
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、負イオンの生成効率が高められた負イオン源装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る負イオン源装置は、チャンバと、前記チャンバ内に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、前記チャンバの一端側に位置すると共に、前記原料ガス供給部により供給された原料ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成部と、負イオンの生成を促進する促進物質を前記チャンバ内に供給する促進物質供給部と、前記チャンバの他端側に位置していると共に、前記チャンバ内で生成された負イオンを前記チャンバ外に引き出すことが可能な貫通孔を有する電極と、前記チャンバの外側に設けられて前記チャンバを冷却する冷却部と、を備え、前記冷却部は、前記チャンバの他端側と比べて一端側の温度が高い温度勾配を形成して前記チャンバを冷却する。
上記の負イオン源装置によれば、冷却部がチャンバの他端側と比べて一端側の温度が高い温度勾配を形成してチャンバを冷却する。そのため促進物質供給部及びプラズマ生成部が設けられるチャンバの一端側では、チャンバの冷却により促進物質がチャンバ内に固着すること等を防ぐことができると共に、電極が設けられるチャンバの他端側では促進物質の液化または固化を促進する程度に冷却することが可能となるので、促進物質を利用した負イオンの生成を行うことができ、生成効率が向上する。
ここで、前記冷却部は、前記チャンバの他端側から一端側へ前記チャンバの外側を周回する螺旋状に形成され、前記他端側から前記一端側へ冷媒を流す冷媒流路を含む態様とすることができる。
冷却部を上記の構成とすることで、温度勾配を有する冷却部を簡便な構造で実現することができる。
本発明によれば、負イオンの生成効率が高められた負イオン源装置が提供される。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず、本発明の一つの形態に係る負イオン源装置100を備える中性子捕捉療法装置1を例にとり、中性子捕捉療法装置1の概要について図1を参照しつつ説明する。中性子捕捉療法装置1は、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)を用いたがん治療などを行うために用いられる装置であり、ホウ素(10B)が投与された患者50の腫瘍へ中性子線Nを照射する。
中性子捕捉療法装置1は、サイクロトロン2を備える。サイクロトロン2は、負イオン源装置100で生成された負イオン(陰イオンともいう)を加速して、荷電粒子線Rを作り出す加速器である。このサイクロトロン2は、例えば、ビーム半径40mm、60kW(=30MeV×2mA)の荷電粒子線Rを生成する能力を有している。中性子捕捉療法装置1は、加速器として、サイクロトロン2に限られず、シンクロトロン、シンクロサイクロトロン、ライナックなどを用いてもよい。
サイクロトロン2から出射された荷電粒子線Rは、ビームダクト3を通り、ターゲット6へ向かって進行する。このビームダクト3に沿って複数の四極電磁石4及び走査電磁石5が設けられている。走査電磁石5は、荷電粒子線Rを走査し、ターゲット6に対する荷電粒子線Rの照射位置を制御する。
中性子捕捉療法装置1は、制御部(算出手段)Sを備える。制御部Sは、CPU、ROM、RAM等を有する電子制御ユニットであり、中性子捕捉療法装置1を総合的に制御する。
制御部Sは、ターゲット6に照射される荷電粒子線Rの電流値(すなわち、電荷、照射線量率)をリアルタイムで測定する電流モニタMに接続されており、その測定結果に応じて中性子捕捉療法装置1の各部の制御を行う。電流モニタMとしては、例えば、荷電粒子線Rに影響を与えずに測定可能な非破壊型のDCCT(Direct Current Current Transformer)を用いることができる。
ターゲット6は、荷電粒子線Rの照射を受けて中性子線Nを生成する。ターゲット6は、例えば、直径160mmの円板状を呈する。ターゲット6は、例えば、ベリリウム(Be)、リチウム(Li)、タンタル(Ta)、又はタングステン(W)で形成してもよい。ターゲット6は、板状(固体)に限られず、液状であってもよい。
遮蔽体7は、発生した中性子線Nや、当該中性子線Nの発生に伴って生じたガンマ線等が、中性子捕捉療法装置1の外部へ放出されないように遮蔽する。減速材8は、中性子線Nを減速(中性子線Nのエネルギーを減衰)させる機能を有する。減速材8は、第1及び第2の減速材8A,8Bが積層されて構成されている。第1の減速材8Aは、中性子線Nに含まれる速中性子を主に減速させる。第2の減速材8Bは、中性子線Nに含まれる熱外中性子を主に減速させる。
コリメータ9は、中性子線Nの照射野(中性子線Nの進行方向に直交する平面における照射範囲)を成形するものであり、中性子線Nが通過する開口9aを有している。ターゲット6で発生した中性子線Nは、減速材8を通り抜けた後、一部がコリメータ9の開口9aを通過する一方で、残部がコリメータ9の開口9aを確定する周辺部により遮蔽される。その結果、コリメータ9を通過した中性子線Nは、開口9aの形状に対応した形状に成形される。
中性子線量測定装置10は、治療台51上の患者50に照射される中性子線Nの線量及び線量分布を測定する装置である。
続いて、負イオン源装置100の構成について、図2を参照しつつ説明する。負イオン源装置100は、負イオン源102と、真空ボックス104とを備える。負イオン源102と真空ボックス104とは、絶縁フランジ106によって接続されている。
負イオン源102は、チャンバ108と、磁石110と、プラズマ生成部112と、セシウム導入部114と、プラズマ電極116と、温度調整部128とを有する。
チャンバ108は、図示しない真空ポンプと接続されており、内部を真空状態に保持可能である。チャンバ108は、円筒状を呈する本体部108aと、本体部108aの一端側に設けられた蓋部108bとを有する。本体部108aは、チャンバ108の側壁をなしている。本体部108aの両端には、外方に向けて突出する鍔部108c,108dがそれぞれ設けられている。蓋部108bは、本体部108aの一端側に位置する鍔部108cに着脱自在に取り付けられており、本体部108aの一端(開放端)を開放又は閉塞する。
磁石110は、チャンバ108内で生成されたプラズマをチャンバ108に閉じ込める機能を有する。磁石110は、本体部108aの外周面側に複数配置されている。より詳しくは、磁石110は、本体部108aの外周面とは離間した状態でチャンバ108の外周側に位置する。磁石110と本体部108aの外周面との間には、冷却部130が設けられている。本体部108aの壁部を冷却するために、当該冷却部130内には水などの冷媒が循環される。なお、磁石110と冷却部130との間には、空間断熱用の空間が設けられる態様とすることができる。
冷却部130の構成例について図3を参照しながら説明する。冷却部130は、チャンバ108の一端側と他端側との間に拡がる磁石110と本体部108aの壁部とについて、チャンバ108の他端側(プラズマ電極116側)のほうが温度が低く、チャンバ108の一端側(プラズマ生成部112側)へ向けて温度が徐々に高くなるように冷却する。冷却部130の構成例としては、例えば、図3に示すように、チャンバ108の本体部108aの外側で他端側から一端側へ螺旋状に形成された冷媒流路131とすることができる。冷媒流路131は、磁石110よりも内側に設けられる(図2も参照)。すなわち、冷媒流路131は、チャンバ108の本体部108aの外周と磁石110との間に設けられる態様とすることができる。図3では、チャンバ108の他端側が上流となり、一端側が下流となるように冷媒流路131を形成し、例えば冷媒流路131において冷水等の冷媒を流通させる状態を示している。冷媒流路131の上流側には冷媒の供給部132が設けられると共に、冷媒流路131の下流側には冷媒流路131を流れた冷媒の回収部133が設けられていてもよい。また、供給部132と回収部133との間が配管で接続されて冷媒が循環する構成としてもよい。この場合、供給部132、回収部133、または間の配管が冷媒の温度調整を行う機能を有していてもよい。
図3に示すような構成とすることで、上流から下流へ向かうにつれて冷媒流路131を流れる冷媒の温度が本体部108aの壁部から受ける熱によって上昇する。冷媒の温度上昇に伴って、冷媒による冷却効果も低くなるため、下流側となるチャンバ108の一端側は他端側と比較して温度が高くなる。すなわち、冷媒流路131を流れる冷媒の温度上昇によって冷却部130の温度勾配が形成される。
冷却部130により形成するチャンバ108の他端側(プラズマ電極116側)と一端側(プラズマ生成部112側)との温度勾配としては、例えば、低温側(チャンバ108の他端側)室温〜60℃程度とし、高温側(チャンバ108の一端側)では低温側よりも20℃〜50℃程度高温となるように設定し、低温側から高温側へ向かってチャンバ108の本体部108aに沿って一定の温度勾配が形成されている態様とすることができる。チャンバ108の中央付近での冷却部130による冷却温度は例えば60℃程度とすることができ、冷却部130の高温側での最高温度は、チャンバ108の鍔部108c付近において80℃程度とすることができる。冷却部130による冷却温度は上記の範囲から適宜選択することができる。
なお、冷却部130によるチャンバ108の温度勾配とは、チャンバ108の他端側から一端側に向かって徐々に温度が上昇する状態に限定されず、例えば、他端側と一端側との間に温度差があり、その間で段階的(例えば、3段階以上)に温度が上昇する構成であってもよい。
また、低温側から高温側へ向かう温度勾配は一様(一定)ではなくてもよく、例えば、低温側のプラズマ電極116側では温度勾配が小さく、高温側のプラズマ生成部112側では温度勾配が大きくなっていてもよい。チャンバ108の他端側から上流側へ向かってどのような温度勾配を形成するかは、チャンバ108の特性によっても適宜変更し得る。また、どのような温度勾配を形成するかに応じて、冷却部130の形状・配置等も適宜変更することができる。冷却部130を図3に示す冷媒流路131によって構成する場合、例えば、チャンバ108の他端側(低温側)から一端側(高温側)まで流路幅を一定とする必要はなく、例えば、一端側へ向けて徐々に細くなるような構成としてもよく、流路幅を利用して温度勾配を変化させてもよい。また、図3では、冷却部130を構成する冷媒流路131が隣接する流路同士で(周回毎に)離間している状態を示しているが、このような形状に限定されるものではない。隣接する冷媒流路131同士の間隔を変化させることで、温度勾配を変化させてもよい。
図2に戻り、プラズマ生成部112は、本体部112aと、本体部112aの端面から外方(チャンバ108の他端側、プラズマ電極116側)に延びる一対のフィラメント112bとを有する。本体部112aは、蓋部108bの内壁面に取り付けられている。本体部112aには、図示しない直流電源が接続されている。当該直流電源は、フィラメント112bに電圧及び電流を印加し、フィラメント112bを発熱させると共に、フィラメント112bとチャンバ108(本体部108a)との間に電位差を生じさせる。
セシウム導入部114は、蓋部108bを貫通するように蓋部108bに設けられている。セシウム導入部114の先端は、チャンバ108内に位置している。セシウム導入部114には、セシウム供給源118が接続されており、本実施形態では、セシウムが気体(蒸気)の状態でチャンバ108に供給される。セシウム導入部114及びセシウム供給源118は、促進物質供給部としての機能を有する。また、セシウム導入部114は蓋部108bでなく、チャンバ108の他端側に設けても良い。図2では、セシウム導入部114の位置の変更例を破線で示している。
プラズマ電極116は、本体部108aの他端側に位置する鍔部108dに設けられた絶縁フランジ120と、真空ボックス104側の絶縁フランジ106との間に配置されている。プラズマ電極116は、電圧が可変の電源(図示せず)に接続されている。当該電源を制御してプラズマ電極116に印加される電圧の大きさを制御することにより、チャンバ108内のプラズマ分布を制御し、チャンバ108から引き出される負イオンの量を制御する。プラズマ電極116は、チャンバ108内で生成された負イオンをチャンバ108外(本実施形態では真空ボックス104側)に引き出すことが可能な貫通孔116aを有している。プラズマ電極116は、通電により、例えば250℃程度に発熱する。
プラズマ電極116の近傍には、ガス供給源122に接続された配管116bが設けられている。すなわち、配管116bは、チャンバ108の他端側に位置している。ガス供給源122は、原料ガス源(水素ガス源)及び不活性ガス源(アルゴンガス源)を含む。すなわち、ガス供給源122の原料ガスや不活性ガスは、配管116bを通じて本体部108aの他端側からチャンバ108内に供給される。ガス供給源122は、原料ガス供給部としての機能を有する。
温度調整部128は、チャンバ108(本体部108a)の内壁面に配置されている。温度調整部128は、例えば、水などの冷媒が内部を流れる冷却管である。温度調整部128は、チャンバ108の一端側における壁部の温度よりも低い温度を、チャンバ108の他端側において生じさせる機能を有する。温度調整部128は、チャンバ108(本体部108a)の軸方向における中央よりもチャンバ108の他端側(プラズマ電極116又は真空ボックス104側)に位置している。すなわち、温度調整部128は、チャンバ108(本体部108a)の軸方向における全長の1/2よりもチャンバ108の他端側に位置している。温度調整部128は、当該全長の1/3よりもチャンバ108の他端側に位置していてもよいし、当該全長の1/4よりもチャンバ108の他端側に位置していてもよい。あるいは、温度調整部128は、プラズマ電極116から直線距離で2cm以内に位置していてもよいし、1cm以内に位置していてもよい。
温度調整部128は、本体部108aの内周面に沿って周方向に延びる円環状を呈していてもよい。この場合、温度調整部128は、プラズマ生成部112とプラズマ電極116の貫通孔116aとを結ぶ仮想直線を囲んでいる。
真空ボックス104は、チャンバ108のうち負イオンビームが引き出される下流側(チャンバ108の他端側)に位置している。真空ボックス104は、チャンバ108と同様に、内部を真空状態に保持可能である。真空ボックス104内には、引出電極等の電極124、負イオンビームのビーム量を計測するファラデーカップ(図示せず)、負イオンビームの軌道を変化させるステアリングコイル(図示せず)等が配置されている。
上記の負イオン源装置100において、負イオンを生成する際には、まずチャンバ108及び真空ボックス104内を真空ポンプにより真空引きする。次に、ガス供給源122により原料ガス(水素ガス)をチャンバ108内に供給すると共に、セシウム供給源118によりセシウムガスをチャンバ108内に供給する。セシウム供給源118によるセシウムの供給量は、引き出したい負イオンビームのビーム量に応じて調整してもよい。セシウムが付着した物質の表面においては仕事関数が低下するので、セシウムは、負イオンの生成を促進する機能を有する。
次に、プラズマ生成部112に電流を流し、プラズマ生成部112とチャンバ108との間に電圧が印加される。電流が流れることにより加熱されたフィラメント112bとチャンバ108との間に電圧が印加されることにより、フィラメント112bからチャンバ108へ熱電子が放出され、アーク放電が起きる。当該熱電子は、チャンバ108内に充満している水素ガスと衝突して電子を弾き出し、当該水素ガスをプラズマ化させる。
プラズマ中に存在する電子のうち高速電子と低速電子とが、磁石によって弁別される。低速電子又はプラズマ電極116表面の電子と、プラズマ中の水素分子、水素原子、又は水素イオンと、が反応することにより、負イオンが生成される。こうして生成された負イオンは、プラズマ電極116の開口部を通じてチャンバ108の外に引き出され、真空ボックス104を介してサイクロトロン2に導入される。
以上の工程を通じて、温度調整部128の内部には水などの冷媒が流される。そのため、温度調整部128により、チャンバ108の一端側における壁部の温度よりも低い温度が、チャンバ108の他端側において生ずる。そのため、セシウム供給源118からチャンバ108内に供給されたセシウムガスは、チャンバ108の内壁面には付着し難い一方、温度調整部128の近傍には堆積しやすくなっている。
また、チャンバ108の本体部108aの周囲には冷却部130が設けられているため、温度調整部128による効果だけでなく、チャンバ108の一端側における壁部から、チャンバ108の他端側のプラズマ電極116近傍までの温度勾配をより高い精度で制御することができる。具体的には、例えば、チャンバ108の他端側に設けられた温度調整部128の近傍における温度は60℃以下であってもよい。チャンバ108の一端側における壁部の温度は、チャンバ内に生成されたプラズマからの熱などを受けて、100℃程度であってもよい。上記のように冷却部130によってチャンバ108の本体部108a内面の温度が制御されるため、セシウム供給源118からチャンバ108内に供給されたセシウムガスは、チャンバ108の内壁面への付着がさらに抑制されると共に、温度調整部128の近傍での体積がさらに促進される。
本実施形態に係る負イオン源装置100では、冷却部130がチャンバ108の他端側と比べて一端側の温度が高い温度勾配を形成してチャンバ108を冷却する。そのため、促進物質供給部としてのセシウム供給源118及びプラズマ生成部112が設けられるチャンバ108の一端側では、冷却部130による冷却温度が高温となるため、促進物質がチャンバ108内に固着すること等を防ぐことができる。一方、プラズマ電極116が設けられるチャンバ108の他端側ではセシウム(促進物質)の液化または固化を促進する程度に冷却することが可能となるので、促進物質を利用した負イオンの生成を行うことができ、生成効率が向上する。
従来の負イオン源装置では、チャンバ108の外側に設けられる磁石110を冷却する必要があったため、磁石110を一定の温度に保つための冷却機構等が設けられていた。この結果、磁石110の内側に設けられたチャンバ108も磁石110と同様に一定温度に冷却されることになり、チャンバ108の内部に促進物質が付着して固化することがあった。チャンバ108内部への促進物質の付着は、プラズマ電極116近傍へのセシウムガス(促進物質)の供給量の低減、または、プラズマ電極116への促進物質の供給のための所要時間の長期化を引き起こす可能性があり、負イオンの生成効率を低減させる可能性があった。これに対して、本実施形態に係る負イオン源装置100では、チャンバ108内部での促進物質の付着・固化を防ぐことが可能となることから、負イオンの生成効率を向上させることが可能となる。
また、冷却部130は、チャンバ108の他端側から一端側へチャンバの外側を周回する螺旋状に形成され、他端側から一端側へ冷媒を流す冷媒流路131として実現することができる。冷却部130をこのような構成とすることで、温度勾配を有する冷却部を簡便な構造で実現することができる。ただし、冷却部130の構造はこれに限定されるものではない。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、図3に示される冷却部130とは異なる形態の冷却部を利用してもよい。以下に、具体的に説明する。
図4は、冷却部の構成の変更例である。図3に示す例では、1つの冷媒流路131を有する冷却部130について説明したが、図4では、3つの冷媒流路131a,131b,131cがチャンバ108の周囲に設けられている。3つの冷媒流路131a,131b,131cには互いに異なる温度の冷媒を流す。すなわち、冷媒流路131a,131b,131cの順に徐々に温度が高くなる3段階の温度の冷媒を準備し、それぞれの流路に流す構成とされている。3段階の温度の冷媒を準備して、図4に示す構成とした場合でも、冷却部130は、チャンバ108の他端側から一端側に向かう温度勾配を形成して、チャンバ108を冷却することができる。3種類の冷媒については、同一の供給部132から供給されて同一の回収部133に回収される構成として、それぞれ流路の上流において温度調整を行う構成であってもよいし、互いに異なる温度の冷媒を供給する供給部及び回収部が設けられていてもよい。このように、複数の冷媒流路を組み合わせて冷却部130を構成してもよい。
上記実施形態では、冷却部130が1つの冷媒流路131を含む場合について説明しているが、複数の冷媒流路を含んで構成されていてもよい。複数の冷媒流路は、それぞれがチャンバ108の他端側から一端側に向かうように構成されていてもよい。また、互いに異なる温度に調整された冷媒を流す複数の冷媒流路をチャンバ108の他端側から一端側に並行して設ける構成としてもよい。このような構成とした場合でも、冷却部130は、チャンバ108の他端側から一端側に向かう温度勾配を形成して、チャンバ108を冷却することができる。
また、上記実施形態では、冷媒流路131がチャンバ108の外側に別途設けられている場合について説明したが、冷媒流路131はチャンバ108に対して溝を設けることによって形成されていてもよい。すなわち、冷媒流路131を含む冷却部130はチャンバ108の構造を変化させることで形成されていてもよいし、チャンバ108とは別の部材と組み合わせて構成されていてもよい。
また、上記実施形態では温度調整部128が設けられている場合について説明したが、温度調整部128の構成は上記実施形態で説明した構成に限らず適宜変更することができる。さらに、温度調整部が設けられていない構成であってもよい。
本実施形態に係る負イオン源装置100は、チャンバ108の壁部を加熱する加熱部(例えば、ヒータ)をさらに備えてもよい。この場合、加熱部がチャンバ108(本体部108a)の温度を調整することで、チャンバ108(本体部108a)の温度が所定の目標値よりも低くなることを抑制できる。そのため、チャンバ108内のプラズマの温度を所定の値に保持することが可能となる。
1…中性子捕捉療法装置、100…負イオン源装置、108…チャンバ、108a…本体部、108b…蓋部、110…磁石、112…プラズマ生成部、112b…フィラメント、116…プラズマ電極、116a…貫通孔、118…セシウム供給源、122…ガス供給源、128…温度調整部、130…冷却部、131…冷媒流路、132…供給部、133…回収部。
Claims (2)
- チャンバと、
前記チャンバ内に原料ガスを供給する原料ガス供給部と、
前記チャンバの一端側に位置すると共に、前記原料ガス供給部により供給された原料ガスを用いてプラズマを生成するプラズマ生成部と、
負イオンの生成を促進する促進物質を前記チャンバ内に供給する促進物質供給部と、
前記チャンバの他端側に位置していると共に、前記チャンバ内で生成された負イオンを前記チャンバ外に引き出すことが可能な貫通孔を有する電極と、
前記チャンバの外側に設けられて前記チャンバを冷却する冷却部と、を備え、
前記冷却部は、前記チャンバの他端側と比べて一端側の温度が高い温度勾配を形成して前記チャンバを冷却する、負イオン源装置。 - 前記冷却部は、前記チャンバの他端側から一端側へ前記チャンバの外側を周回する螺旋状に形成され、前記他端側から前記一端側へ冷媒を流す冷媒流路を含む、請求項1に記載の負イオン源装置。
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JP (1) | JP2020161228A (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04354859A (ja) * | 1991-05-31 | 1992-12-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高温鋼帯の冷却用デフレクタロール |
JPH07126721A (ja) * | 1993-11-08 | 1995-05-16 | Nippon Steel Corp | 高炉炉底冷却配管および高炉炉底冷却方法 |
JP2015138640A (ja) * | 2014-01-22 | 2015-07-30 | 住友重機械工業株式会社 | 負イオン源装置 |
-
2019
- 2019-03-25 JP JP2019056536A patent/JP2020161228A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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