JP2016133153A - 多段変速機 - Google Patents

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直也 神内
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Abstract

【課題】動力の伝達効率とドライバビリティーとの双方を向上させると共に、コストアップや重量増を抑制することができる多段変速機の提供。
【解決手段】自動変速機20において、クラッチC3は、直結段である前進第7速段および第7速段よりも高速側の変速段の形成時に係合させられ、第7速段へのアップシフトに際しては、前進第6速段および前進第8速段が形成されている際に解放されるクラッチC2を係合させることにより、クラッチC3によって接続されるべき第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23rとが回転同期させられ、第2リングギヤ22rと第3リングギヤ23rとが回転同期した状態でクラッチC3が係合させられた後、クラッチC2が解放される。
【選択図】図1

Description

本発明は、入力部材に伝達された動力を変速して出力部材に伝達する多段変速機に関する。
従来、この種の多段変速機として、2つのシングルピニオン式の遊星歯車と、いわゆるシンプソン型の複合遊星歯車列と、4つのクラッチと、2つのブレーキとを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この多段変速機は、4つのクラッチおよび2つのブレーキのうちの何れか3つを選択的に係合させることにより、第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを提供する。
米国特許第8,202,190号明細書
上記従来の多段変速機のように、第1速段から第10速段までの前進段を提供し得る多段変速機によれば、動力の伝達効率(車両の燃費や加速性能)とドライバビリティーとの双方を向上させることができるであろう。ただし、4つのクラッチおよび2つのブレーキのすべてを高精度に制御しようとすると、多段変速機のコストや重量の増加を招いてしまうおそれがある。
そこで、本発明は、動力の伝達効率とドライバビリティーとの双方を向上させると共に、コストアップや重量増を抑制することができる多段変速機の提供を主目的とする。
本発明による多段変速機は、入力部材と、出力部材と、複数の遊星歯車機構と、第1、第2、第3および第4クラッチと、2つのブレーキとを含み、前記第1、第2、第3および第4クラッチ並びに前記2つのブレーキのうちの何れか3つを選択的に係合させることにより、前記入力部材および前記出力部材が同一の回転速度で回転する直結段を含む複数の前進変速段並びに後進段を形成する多段変速機において、前記直結段は、前記第1、第2、第3および第4クラッチのうちの少なくとも3つを係合させることにより形成され、前記第1クラッチは、前記直結段よりも1段低速側の変速段が形成されている際に解放されると共に、該直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に係合させられ、前記第2クラッチは、前記直結段よりも1段低速側の変速段および該直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に解放され、前記直結段へのアップシフトに際して、前記第2クラッチを係合させることにより前記直結段が形成された後に前記第1クラッチが係合させられ、該第1クラッチの係合後に前記第2クラッチが解放されることを特徴とする。
この多段変速機では、第1、第2、第3および第4クラッチ並びに2つのブレーキのうちの何れか3つを選択的に係合させることにより直結段を含む複数の前進変速段並びに後進段が形成され、それにより、動力の伝達効率とドライバビリティーとの双方を向上させることができる。また、この多段変速機において、直結段は、第1、第2、第3および第4クラッチのうちの少なくとも3つを係合させることにより形成される。更に、第1クラッチは、直結段よりも1段低速側の変速段が形成されている際に解放されると共に、直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に係合させられる。また、第2クラッチは、直結段よりも1段低速側の変速段および直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に解放される。そして、直結段へのアップシフトに際しては、第2クラッチを係合させることにより直結段が形成された後に第1クラッチが係合させられ、当該第1クラッチの係合後に第2クラッチが解放される。これにより、直結段や当該直結段よりも1段高速側の変速段を形成するために第1クラッチを係合させる際に、係合ショックが発生しないように当該第1クラッチを徐々に係合させる必要がなくなる。この結果、第1クラッチを制御するための構成を簡素化して多段変速機のコストアップや重量増を抑制することが可能となる。
本発明による多段変速機を含む動力伝達装置の概略構成図である。 図1の多段変速機における各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を示す作動表である。 図1の多段変速機における入力回転速度に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図である。 図1の多段変速機を示す要部拡大断面図である。 図1の動力伝達装置に含まれる油圧制御装置の系統図である。
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による多段変速機である自動変速機20を含む動力伝達装置10の概略構成図である。同図に示す動力伝達装置10は、後輪駆動車両の前部に縦置きに搭載される駆動源としての図示しないエンジン(内燃機関)のクランクシャフトおよび/または電気モータのロータに接続されると共にエンジン等からの動力(トルク)を図示しない左右の後輪(駆動輪)に伝達可能なものである。図示するように、動力伝達装置10は、エンジン等から入力軸(入力部材)20iに伝達された動力を変速して出力軸(出力部材)20oに伝達する自動変速機20に加えて、トランスミッションケース(静止部材)11や、発進装置(流体伝動装置)12、オイルポンプ17等を含む。
発進装置12は、図示しないドライブプレート等を介してエンジンのクランクシャフトおよび/または電気モータのロータに連結されるフロントカバー13や、当該フロントカバー13に密に固定されるポンプシェルを有する入力側のポンプインペラ14p、自動変速機20の入力軸20iに連結される出力側のタービンランナ14t、ポンプインペラ14pおよびタービンランナ14tの内側に配置されてタービンランナ14tからポンプインペラ14pへの作動油の流れを整流するステータ14s、図示しないステータシャフトより支持されると共にステータ14sの回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ14o等を有するトルクコンバータを含む。
更に、発進装置12は、エンジンのクランクシャフト等に連結されたフロントカバー13と自動変速機20の入力軸20iとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するロックアップクラッチ15と、フロントカバー13と自動変速機20の入力軸20iとの間で振動を減衰するダンパ機構16とを含む。本実施形態において、ロックアップクラッチ15は、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)を有する多板摩擦式油圧クラッチとして構成される。ただし、ロックアップクラッチ15は、単板摩擦式油圧クラッチであってもよい。また、発進装置12は、ステータ14sを有さない流体継手を含むものであってもよい。
オイルポンプ17は、ポンプボディとポンプカバーとを含むポンプアッセンブリ、チェーンまたはギヤ列を介して発進装置12のポンプインペラ14pに連結された外歯ギヤ(インナーロータ)、当該外歯ギヤに噛合する内歯ギヤ(アウターロータ)等を有するギヤポンプとして構成される。オイルポンプ17は、エンジンからの動力により駆動され、図示しないオイルパンに貯留されている作動油(ATF)を吸引して油圧制御装置50へと圧送する。
自動変速機20は、10段変速式の変速機として構成されており、図示するように、入力軸20iや図示しないデファレンシャルギヤおよびドライブシャフトを介して左右の後輪に連結される出力軸20oに加えて、自動変速機20(入力軸20iや出力軸20o)の軸方向に並べて配設されるシングルピニオン式の第1遊星歯車(第3遊星歯車機構)21および第2遊星歯車(第2遊星歯車機構)22と、ダブルピニオン式遊星歯車とシングルピニオン式遊星歯車とを組み合わせて構成される複合遊星歯車列としてのラビニヨ式遊星歯車機構(第1遊星歯車機構)25とを含む。更に、自動変速機20は、入力軸20iから出力軸20oまでの動力伝達経路を変更するためのクラッチC1(第3クラッチ)、クラッチC2(第2クラッチ)、クラッチC3(第1クラッチ)、クラッチC4(第4クラッチ)、ブレーキB1(第1ブレーキ)およびブレーキB2(第2ブレーキ)を含む。
本実施形態において、第1および第2遊星歯車21,22並びにラビニヨ式遊星歯車機構25は、発進装置12すなわちエンジン側(図1における左側)から、ラビニヨ式遊星歯車機構25、第2遊星歯車22、第1遊星歯車21、すなわち、ラビニヨ式遊星歯車機構25を構成するシングルピニオン式遊星歯車、ラビニヨ式遊星歯車機構25を構成するダブルピニオン式遊星歯車、第2遊星歯車22、第1遊星歯車21という順番で並ぶようにトランスミッションケース11内に配置される。これにより、ラビニヨ式遊星歯車機構25は、発進装置12に近接するように車両の前部側に配置される。また、第1遊星歯車21は、出力軸20oに近接するように車両の後部側に配置される。更に、第2遊星歯車22は、入力軸20iや出力軸20o等の軸方向におけるラビニヨ式遊星歯車機構25と第1遊星歯車21との間に配置される。
第1遊星歯車21は、外歯歯車である第1サンギヤ21sと、第1サンギヤ21sと同心円上に配置される内歯歯車である第1リングギヤ21rと、それぞれ第1サンギヤ21sおよび第1リングギヤ21rに噛合する複数の第1ピニオンギヤ21pと、複数の第1ピニオンギヤ21pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第1キャリヤ21cとを有する。本実施形態において、第1遊星歯車21のギヤ比λ1(第1サンギヤ21sの歯数/第1リングギヤ21rの歯数)は、例えば、λ1=0.277と定められている。
第1遊星歯車21の第1キャリヤ21cは、図1に示すように、入力軸20iに連結された自動変速機20の中間軸(インターミディエイトシャフト)20mに常時連結(固定)される。これにより、エンジンから入力軸20iに動力が伝達されている際、第1キャリヤ21cには、エンジンからの動力が入力軸20iおよび中間軸20mを介して常時伝達される。また、第1キャリヤ21cは、クラッチC4の係合時に第1遊星歯車21の入力要素として機能し、クラッチC4の解放時には空転する。更に、第1リングギヤ21rは、クラッチC4の係合時に当該第1遊星歯車21の出力要素として機能する。
第2遊星歯車22は、外歯歯車である第2サンギヤ22sと、第2サンギヤ22sと同心円上に配置される内歯歯車である第2リングギヤ22rと、それぞれ第2サンギヤ22sおよび第2リングギヤ22rに噛合する複数の第2ピニオンギヤ22pと、複数の第2ピニオンギヤ22pを自転(回転)自在かつ公転自在に保持する第2キャリヤ(プラネタリキャリヤ)22cとを有する。本実施形態において、第2遊星歯車22のギヤ比λ2(第2サンギヤ22sの歯数/第2リングギヤ22rの歯数)は、例えば、λ2=0.244と定められている。
第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sは、図1に示すように、第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sと一体化(常時連結)されており、当該第1サンギヤ21sと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。ただし、第1サンギヤ21sと第2サンギヤ22sとは、別体に構成されると共に図示しない連結部材(第1連結部材)を介して常時連結されてもよい。また、第2遊星歯車22の第2キャリヤ22cは、出力軸20oに常時連結されており、当該出力軸20oと常時一体(かつ同軸)に回転または停止する。これにより、第2キャリヤ22cは、第2遊星歯車22の出力要素として機能する。更に、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rは、当該第2遊星歯車22の固定可能要素として機能する。
ラビニヨ式遊星歯車機構25は、外歯歯車である第3サンギヤ23sおよび第4サンギヤ24sと、第3サンギヤ23sと同心円上に配置される内歯歯車である第3リングギヤ23rと、第3サンギヤ23sに噛合する複数の第3ピニオンギヤ(ショートピニオンギヤ)23pと、第4サンギヤ24sおよび複数の第3ピニオンギヤ23pに噛合すると共に第3リングギヤ23rに噛合する複数の第4ピニオンギヤ(ロングピニオンギヤ)24pと、複数の第3ピニオンギヤ23pおよび複数の第4ピニオンギヤ24pを自転自在(回転自在)かつ公転自在に保持する第3キャリヤ23cとを有する。
このようなラビニヨ式遊星歯車機構25は、ダブルピニオン式遊星歯車(第3遊星歯車)とシングルピニオン式遊星歯車(第4遊星歯車)とを組み合わせて構成される複合遊星歯車列である。すなわち、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23s、第3キャリヤ23c、第3および第4ピニオンギヤ23p,24p、並びに第3リングギヤ23rは、ダブルピニオン式の第3遊星歯車を構成する。更に、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第4サンギヤ24s、第3キャリヤ23c、第4ピニオンギヤ24p、および第3リングギヤ23rは、シングルピニオン式の第4遊星歯車を構成する。そして、本実施形態において、ラビニヨ式遊星歯車機構25は、ダブルピニオン式の第3遊星歯車のギヤ比λ3(第3サンギヤ23sの歯数/第3リングギヤ23rの歯数)が、例えば、λ3=0.488となり、かつシングルピニオン式の第4遊星歯車のギヤ比λ4(第4サンギヤ24sの歯数/第3リングギヤ23rの歯数)が、例えば、λ4=0.581となるように構成される。
また、ラビニヨ式遊星歯車機構25(第3および第4遊星歯車)を構成する回転要素のうち、第4サンギヤ24sは、ラビニヨ式遊星歯車機構25の固定可能要素(自動変速機20の第2固定可能要素)として機能する。更に、第3キャリヤ23cは、図1に示すように、入力軸20iに常時連結(固定)されると共に、連結部材(第2連結部材)としての中間軸20mを介して第1遊星歯車21の第1キャリヤ21cに常時連結される。これにより、エンジンから入力軸20iに動力が伝達されている際、第3キャリヤ23cには、エンジンからの動力が入力軸20iを介して常時伝達されることになる。従って、第3キャリヤ23cは、ラビニヨ式遊星歯車機構25の入力要素として機能する。また、第3リングギヤ23rは、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第1出力要素として機能し、第3サンギヤ23sは、当該ラビニヨ式遊星歯車機構25の第2出力要素として機能する。
クラッチC1は、常時連結された第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第1出力要素である第3リングギヤ23rとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC2は、常時連結された第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとラビニヨ式遊星歯車機構25の第2出力要素である第3サンギヤ23sとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC3は、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとラビニヨ式遊星歯車機構25の第1出力要素である第3リングギヤ23rとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。クラッチC4は、第1遊星歯車21の出力要素である第1リングギヤ21rと出力軸20oとを互いに接続すると共に両者の接続を解除するものである。
ブレーキB1は、ラビニヨ式遊星歯車機構25の固定可能要素である第4サンギヤ24sを静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に当該第4サンギヤ24sをトランスミッションケース11に対して回転自在に解放するものである。ブレーキB2は、第2遊星歯車22の固定可能要素である第2リングギヤ22rをトランスミッションケース11に対して回転不能に固定(接続)すると共に当該第2リングギヤ22rを静止部材としてのトランスミッションケース11に対して回転自在に解放するものである。
本実施形態では、クラッチC1,C2およびC4として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、それぞれ作動油が供給される係合油室および遠心油圧キャンセル室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)が採用される。これに対して、変速比が1.00となって入力軸20iおよび出力軸20oが同一の回転速度で回転する直結段である前進第7速段および当該第7速段よりも高速側の前進第8速から第10速並びに後進段の形成時に係合させられるクラッチC3(第1クラッチ)としては、遠心油圧キャンセル室が省略された多板摩擦式油圧クラッチ(摩擦係合要素)が採用される。また、ブレーキB1およびB2として、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される係合油室等により構成される油圧サーボを有する多板摩擦式油圧ブレーキが採用される。そして、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2は、油圧制御装置50によって作動油が給排されることで動作する。
図2に自動変速機20の各変速段とクラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2の作動状態との関係を表した作動表を示し、図3に自動変速機20における入力軸20iの回転速度(入力回転速度)に対する各回転要素の回転速度の比を示す速度線図を示す。自動変速機20は、クラッチC1〜C4、ブレーキB1およびB2を図2の作動表に示す状態とすることで、第1速段から第10速段までの前進段と後進段とを提供する。
図3に示すように、第1および第2遊星歯車21,22並びにラビニヨ式遊星歯車機構25の10個の回転要素(ただし、第1サンギヤ21sと第2サンギヤ22sとが常時連結されているので、実質的には合計9個の回転要素)は、これらのギヤ比λ1,λ2,λ3,λ4に応じた間隔をおいて図3における左側から図示される順番で並ぶ。このような速度線図上での並び順に従い、本実施形態では、第1サンギヤ21sを自動変速機20の第1回転要素とし、第1キャリヤ21cを自動変速機20の第2回転要素とし、第1リングギヤ21rを自動変速機20の第3回転要素とする。また、第2サンギヤ22sを自動変速機20の第4回転要素とし、第2キャリヤ22cを自動変速機20の第5回転要素とし、第2リングギヤ22rを自動変速機20の第4回転要素とする。更に、第4サンギヤ24sを自動変速機20の第7回転要素とし、第3キャリヤ23cを自動変速機20の第8回転要素とし、第3リングギヤ23rを自動変速機20の第9回転要素とし、第3サンギヤ23sを自動変速機20の第10回転要素とする。
図4は、自動変速機20のクラッチC3周辺の構成を示す要部拡大断面図である。クラッチC3は、上述のように、クラッチC1と同様にラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23rを共通の接続対象要素とする。このため、クラッチC1およびC3は、第3リングギヤ23rに常時連結(固定)されると共にクラッチC1のクラッチドラムおよびクラッチC3のクラッチハブとして機能するドラム部材130を共用する。また、クラッチC3およびブレーキB2は、上述のように、第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rを接続対象要素または固定対象要素とする。このため、クラッチC3およびブレーキB2は、クラッチC3のクラッチドラムおよびブレーキB2のブレーキハブとして機能するドラム部材360を共用する。
ドラム部材130は、クラッチC1により利用される図示しないドラム部と、ドラム部から径方向内側に延出された環状壁部132と、クラッチC3により利用されるハブ部133と、筒状の支持部135とを含む。ドラム部材130のドラム部は、クラッチC1およびC3の接続対象要素であるラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23rに常時連結(固定)される開口側端部を有する。また、ドラム部の内周面には、クラッチC1の摩擦係合プレート(複数のセパレータプレート)の外周部が嵌合されるスプラインが形成されている。ドラム部材130のハブ部133は、環状壁部132からドラム部の開口側端部とは反対側(図4における右側)に延出され、本実施形態では、ドラム部よりも小さい外径を有する筒状に形成されている。また、ハブ部133の外周面には、スプラインが形成されている。支持部135は、ブッシュあるいはラジアル軸受等を介して、クラッチC1およびC2により共用されるドラム部材と両者の接続対象要素である第1遊星歯車21の第1サンギヤ21sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22sとを繋ぐ連結部材の外周面により回転自在に支持される。
ドラム部材360は、一端(図4における左端)が開口した有底円筒状に形成されたドラム部361と、クラッチC3およびブレーキB2の接続対象要素(固定対象要素)である第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rと一体に回転する図示しないリングギヤフランジに常時連結(固定)される連結部365とを含む。ドラム部材360のドラム部361は、円筒部および当該円筒部の一端(図4における右端)から径方向内側に延出された環状側壁部を有する。ドラム部361(円筒部)の内周面および外周面には、スプラインが形成されており、ドラム部361(環状側壁部)の内周部には、連結部365の外周部が溶接等により強固に固定される。ドラム部材360の連結部365は、ドラム部361と第2遊星歯車22との間に位置するようにトランスミッションケース11に固定されて当該トランスミッションケース11(静止部材)の一部を構成する環状のセンターサポート(中間の支持部)により径方向に支持(調心)される。
上述のドラム部材130,360に加えて、クラッチC3は、複数の摩擦プレート(摩擦係合プレート)301と、摩擦プレート301と交互に配設される複数のセパレータプレート(摩擦係合プレート)302およびバッキングプレートと、摩擦プレート301およびセパレータプレート302を押圧して摩擦係合させるピストン340と、ピストン340を摩擦プレート301およびセパレータプレート302から離間するように付勢する複数のリターンスプリング(コイルバネ)SP3と、スプリングシート370とを含む。
クラッチC3の複数の摩擦プレート301(それぞれの内周部)は、ドラム部材130のハブ部133の外周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数の摩擦プレート301は、ハブ部133と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるようにクラッチハブとして機能するドラム部材130により支持される。また、クラッチC3の複数のセパレータプレート302(それぞれの外周部)は、ドラム部材130のハブ部133を囲むように配置されるドラム部材360のドラム部361の内周面に形成されたスプラインに嵌合される。これにより、複数のセパレータプレート302は、ドラム部361と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるようにクラッチドラムとして機能するドラム部材360により支持される。
ピストン340は、ドラム部材130とドラム部材360のドラム部361との間に配置され、ドラム部材360と一体に回転すると共に軸方向に移動自在となるように当該ドラム部材360の連結部365により支持される。そして、ピストン340は、ドラム部材360と共にクラッチC3の係合油室(第3係合油室)350を画成する。クラッチC3の係合油室350には、センターサポートや、ドラム部材360の連結部365等に形成された油路を介して油圧制御装置50により調圧されたクラッチC3への係合油圧(作動油)が供給される。
また、スプリングシート370は、ピストン340とドラム部材130の環状壁部132との間に配置され、スナップリングを用いてドラム部材360の連結部365に固定される。複数のリターンスプリングSP3は、ピストン340とスプリングシート370との間に位置するように、当該ピストン340とドラム部材130の環状壁部132との間に画成される空間内に周方向に間隔をおいて配設される。なお、クラッチC3のリターンスプリングSP3としては、複数のコイルバネの代わりに単一の板バネが用いられてもよい。
そして、クラッチC3では、ピストン340に排油弁380が設けられている。排油弁380は、油圧制御装置50から係合油室350に供給される係合油圧が高まるのに伴って閉弁すると共に、クラッチC3の非係合時に遠心力が高まるのに伴って開弁して係合油室350からピストン340と環状壁部132との間の空間に作動油を排出(係合油室350を大気解放)させる周知の逆止弁(ドリフトオンボール弁)である。これにより、クラッチC3の非係合時に係合油室350内で高い遠心油圧が発生しないようにして当該クラッチC3の引き摺り等を良好に抑制することが可能となる。加えて、係合油室350内で発生する遠心油圧をキャンセルする遠心油圧キャンセル室が不要となるので、当該遠心油圧キャンセル室を構成するためのキャンセル室画成部材(キャンセルプレート)等を省略して自動変速機20をより軽量化することができる。
図5は、油圧制御装置50を示す系統図である。油圧制御装置50は、エンジン12からの動力により駆動されてオイルパンから作動油を吸引して吐出する上述のオイルポンプ17に接続されるものであり、発進装置12や自動変速機20により要求される油圧を生成すると共に、各種軸受などの潤滑部分に作動油を供給する。油圧制御装置50は、図示しないバルブボディに加えて、図5に示すように、オイルポンプ17からの作動油を調圧してライン圧PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51や、リニアソレノイドバルブSLT,SL1,SL2,SL4,SL5およびSL6、オンオフソレノイドバルブS3、アプライコントロールバルブ(切替バルブ)55等を含む。
プライマリレギュレータバルブ51は、リニアソレノイドバルブSLTからの油圧を信号圧として用いてライン圧を生成し、図示しないマニュアルバルブ(あるいはパーキングシリンダ)に供給する。リニアソレノイドバルブSLTは、オイルポンプ17側(例えばライン圧PLを調圧して一定の油圧を出力するモジュレータバルブ)からの作動油を調圧してアクセル開度あるいは図示しないスロットルバルブの開度に応じた油圧を出力するように変速電子制御装置(以下、「変速ECU」という)30により制御される。
リニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL4,SL5およびSL6は、それぞれ図示しないマニュアルバルブ(あるいはパーキングシリンダ)から供給される元圧としてのライン圧PLを調圧して対応するクラッチ等への油圧を生成する。リニアソレノイドバルブSL1は、印加される電流に応じて元圧であるライン圧PLを調圧してクラッチC1への油圧(係合油圧)を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。リニアソレノイドバルブSL2は、印加される電流に応じて元圧であるライン圧PLを調圧してクラッチC2への油圧(係合油圧)を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。リニアソレノイドバルブSL4は、印加される電流に応じて元圧であるライン圧PLを調圧してクラッチC4への油圧(係合油圧)を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。リニアソレノイドバルブSL5は、印加される電流に応じて元圧であるライン圧PLを調圧してブレーキB1への油圧(係合油圧)を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。リニアソレノイドバルブSL6は、印加される電流に応じて元圧であるライン圧PLを調圧してブレーキB2への油圧(係合油圧)を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。すなわち、自動変速機20のクラッチC1,C2およびC4並びにブレーキB1およびB2への油圧は、それぞれに対応するリニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL4,SL5またはSL6により直接制御(設定)される。
オンオフソレノイドバルブS3は、図示しないマニュアルバルブ(あるいはパーキングシリンダ)から供給される元圧としてのライン圧PLのクラッチC3への供給を許容および遮断可能な常閉型開閉弁である。すなわち、オンオフソレノイドバルブS3が開弁すると、自動変速機20のクラッチC3の係合油室350には、当該オンオフソレノイドバルブS3を介してライン圧PLが供給される。
アプライコントロールバルブ55は、オンオフソレノイドバルブS3からの油圧をクラッチC3に供給可能にすると共にリニアソレノイドバルブSL4からの油圧をクラッチC4に供給可能にする第1状態と、オンオフソレノイドバルブS3からの油圧をクラッチC3に供給不能にすると共にリニアソレノイドバルブSL4からの油圧をクラッチC4に供給不能にし、かつリニアソレノイドバルブSL4からの油圧をクラッチC3に供給可能にする第2状態とを選択的に形成可能なスプールバルブである。本実施形態において、アプライコントロールバルブ55は、図示しないシフトレバーがドライブレンジにセットされると第1状態を形成し、かつシフトレバーがドライブレンジ以外のシフトレンジ(パーキングレンジ、ニュートラルレンジおよびリバースレンジ)にセットされると第2状態を形成するように構成される。なお、アプライコントロールバルブ55の信号圧は、ライン圧PLやモジュレータバルブにより生成されるモジュレータ圧等であってもよく、図示しないデューティソレノイドバルブから出力されてもよい。
上述のリニアソレノイドバルブSL1,SL2,SL4,SL5およびSL6(それぞれに印加される電流の値)は、変速ECU30により制御される。また、オンオフソレノイドバルブS3は、変速ECU30によりオンオフ(開閉)制御される。変速ECU30は、予め定められた図示しない変速線図から取得されるアクセル開度および車速に対応した目標変速段が形成されるように、変速段の変更に伴って係合させられるクラッチ等に対応したリニアソレノイドバルブSL1〜SL6への油圧指令値(係合圧指令値)と、当該変速段の変更に伴って解放されるクラッチ等に対応したリニアソレノイドバルブSL1〜SL6への油圧指令値(解放圧指令値)を設定する。更に、変速ECU30は、変速段の変更中や変速完了後に、係合したクラッチやブレーキ(係合要素)に対応したリニアソレノイドバルブSL1〜SL6への油圧指令値(保持圧指令値)を設定する。また、クラッチC3が係合または解放される変速段の変更に際し、変速ECU30は、オンオフソレノイドバルブS3をオンオフ制御する。このため、変速ECU30には、CPUやROM,RAMといったハードウエアと、ROMにインストールされた制御プログラムといったソフトウェアとの協働により、上述の油圧指令値、すなわち係合圧指令値、解放圧指令値、および保持圧指令値を設定したり、オンオフソレノイドバルブS3への信号を設定したりする図示しない変速制御モジュールが機能ブロックとして構築される。
引き続き、自動変速機20の動作について説明する。ここでは、まず、自動変速機20における前進第6速段から直結段である前進第7速段へのアップシフトについて説明する。図2からわかるように、クラッチC3は、直結段である前進第7速段よりも1段低速側の前進第6速段が形成されている際に解放されると共に、前進第7速段よりも1段高速側の前進第8速段(並びに前記第9速および第10速段)が形成されている際に係合させられる。また、クラッチC2は、前進第6速段および前進第8速段が形成されている際に解放され、クラッチC1およびC4は、前進第7速段および前進第8速段が形成されている際に係合させられる。
従って、クラッチC1,C4およびブレーキB1の係合により形成される前進第6速段から、クラッチC1,C3およびC4の係合により形成される前進第7速段へのアップシフトに際しては、クラッチC1およびC4を係合状態に維持しながら、ブレーキB1を解放させると共にクラッチC3を係合させる必要がある。ただし、自動変速機20では、クラッチC3に専用のリニアソレノイドバルブが設けられておらず、当該クラッチC3を係合させるべく、それに対応したオンオフソレノイドバルブS3を直ちに開弁させると、クラッチC3の係合ショックが発生してしまうおそれがある。
ここで、クラッチC2は、ラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23sと第2遊星歯車22の第2サンギヤ22s(および第1遊星歯車21の第1サンギヤ21s)とを接続するものである。また、クラッチC2は、直結段である前進第7速よりも1段低速側の前進第6速段が形成されている際に解放されている。従って、クラッチC1およびC4の係合が維持された状態で、前進第6速段および第7速段の形成に関与しないクラッチC2を係合させれば、クラッチC3の接続対象であるラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23rと第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rとを回転同期させることができる。すなわち、自動変速機20では、直結段である前進第7速段は、クラッチC1、C2、C3およびC4のうちの少なくとも3つを係合させることにより形成可能である。このため、前進第6速段から前進第7速段へのアップシフトに際し、変速ECU30は、ブレーキB1を解放させると共に、クラッチC3の代わりに、まずクラッチC2を係合させる。
変速ECU30は、ブレーキB1を解放させると共にクラッチC2を係合させるべく、ブレーキB1に対応したリニアソレノイドバルブSL5に対する油圧指令値(解放圧指令値)を設定すると共に、クラッチC2に対応したリニアソレノイドバルブSL2に対する油圧指令値(係合圧指令値)を設定する。また、変速ECU30は、クラッチC2の係合によりラビニヨ式遊星歯車機構25の第3サンギヤ23sおよび第2遊星歯車22の第2サンギヤ22s、すなわちラビニヨ式遊星歯車機構25の第3リングギヤ23rおよび第2遊星歯車22の第2リングギヤ22rが回転同期したタイミングで、クラッチC3に対応したオンオフソレノイドバルブS3を開弁させる。具体的には、変速ECU30は、イナーシャフェーズが完了したタイミング(入力軸20iの回転数と出力軸20oの回転数とに基づくギヤ比が1.00に概ね一致したタイミング)でオンオフソレノイドバルブS3を開弁させる。そして、変速ECU30は、オンオフソレノイドバルブS3の開弁後に所定時間が経過してクラッチC3が完全係合したとみなされるタイミングからクラッチC2を解放させる。
このように、自動変速機20における直結段すなわち前進第7速段へのアップシフトに際しては、クラッチC2を係合させることにより前進第7速段が形成された後にクラッチC3が係合させられ、クラッチC3の係合後にクラッチC2が解放される。これにより、自動変速機20では、直結段である前進第7速段および当該第7速段よりも高速側の第8速段から第10速段を形成するために係合させられるクラッチC3を係合させる際に、係合ショックが発生しないように当該クラッチC3を徐々に係合させる必要がなくなる。従って、クラッチC3専用のリニアソレノイドバルブをより安価かつ軽量なオンオフソレノイドバルブS3に置き換えて当該クラッチC3を制御するための構成を簡素化し、それにより油圧制御装置50のコストをより低減化することができる。この結果、自動変速機20のコストアップや重量増を抑制することが可能となる。
一方、自動変速機20では、前進第7速段よりも高速側の第8速段、第9速段および第10速段(以下、適宜「高速段」という)から当該第7速段よりも低速側の変速段(第6速段以下の変速段、以下、適宜「低速段」という)へのダウンシフトに際して、クラッチC3を解放させる必要がある。ただし、この場合も、クラッチC3を解放させるべく、それに対応したオンオフソレノイドバルブS3を直ちに閉弁させると、クラッチC3の解放ショックが発生してしまうおそれがある。
このため、第8速段以上の高速段から第6速段以下の低速段へのダウンシフトに際し、変速ECU30は、クラッチC3の解放に先立って、クラッチC2を係合させる。すなわち、変速ECU30は、高速段から低速段へのダウンシフト指令に応じて、クラッチC2に対応したリニアソレノイドバルブSL2に対する油圧指令値(係合圧指令値)を設定する。また、変速ECU30は、クラッチC2が概ね完全係合してトルク容量をもったタイミングで、クラッチC3に対応したオンオフソレノイドバルブS3を閉弁させる。そして、変速ECU30は、オンオフソレノイドバルブS3の閉弁後に所定時間が経過してクラッチC3が完全に解放したとみなされるタイミングから、第6速段以下の目標段への変速を実行する。このように、自動変速機20では、第8速段以上の高速段から第6速段以下の低速段へのダウンシフトに際して、第7速段が一旦(一瞬)形成され、その後、クラッチC3の解放を伴う第6速段以下の低速段へのダウンシフトが実行される。これにより、クラッチC3の解放ショックを発生させることなく、第8速段以上の高速段から第6速段以下の低速段へのダウンシフトを実行することが可能となる。
また、自動変速機20において、クラッチC3は後進段の形成時に係合させられるが、シフトレンジがニュートラルレンジからリバースレンジへと切り替えられた際に当該クラッチC3を係合させるべく、それに対応したオンオフソレノイドバルブS3を直ちに開弁させると、クラッチC3の係合ショックが発生してしまうおそれがある。このため、油圧制御装置50には、クラッチC4に対応したリニアソレノイドバルブSL4からの油圧をクラッチC3およびC4の一方に選択的に供給可能とするアプライコントロールバルブ55が設けられている。これにより、シフトレンジがニュートラルレンジからリバースレンジへと切り替えられた際には、ドライブレンジが選択された状態での停車時、すなわち発進段(例えば第1速段から第3速段の何れか)の形成時に解放されるクラッチC4に対応したリニアソレノイドバルブSL4により調圧された油圧をクラッチC3に供給することが可能となる。従って、自動変速機20では、シフトレンジがニュートラルレンジからリバースレンジへと切り替えられた際に、クラッチC2,C3およびブレーキB2に対してリニアソレノイドバルブSL2,SL4またはSL6により調圧された油圧を供給し、係合ショックを発生させることなく後進段をスムースに形成することができる。
以上説明したように、本発明による多段変速機は、入力部材と、出力部材と、複数の遊星歯車機構と、第1、第2、第3および第4クラッチと、2つのブレーキとを含み、前記第1、第2、第3および第4クラッチ並びに前記2つのブレーキのうちの何れか3つを選択的に係合させることにより、前記入力部材および前記出力部材が同一の回転速度で回転する直結段を含む複数の前進変速段並びに後進段を形成する多段変速機において、前記直結段は、前記第1、第2、第3および第4クラッチのうちの少なくとも3つを係合させることにより形成され、前記第1クラッチは、前記直結段よりも1段低速側の変速段が形成されている際に解放されると共に、該直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に係合させられ、前記第2クラッチは、前記直結段よりも1段低速側の変速段および該直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に解放され、前記第3および第4クラッチは、前記直結段および前記直結段より1段低速側の変速段が形成されている際に係合させられ、前記直結段へのアップシフトに際して、前記第2クラッチを係合させることにより前記直結段が形成された後に前記第1クラッチが係合させられ、該第1クラッチの係合後に前記第2クラッチが解放されることを特徴とする。
この多段変速機では、第1、第2、第3および第4クラッチ並びに2つのブレーキのうちの何れか3つを選択的に係合させることにより直結段を含む複数の前進変速段並びに後進段が形成され、それにより、動力の伝達効率とドライバビリティーとの双方を向上させることができる。また、この多段変速機において、直結段は、第1、第2、第3および第4クラッチのうちの少なくとも3つを係合させることにより形成される。更に、第1クラッチは、直結段よりも1段低速側の変速段が形成されている際に解放されると共に、直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に係合させられる。また、第2クラッチは、直結段よりも1段低速側の変速段および直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に解放される。更に、第3および第4クラッチは、直結段および直結段より1段低速側の変速段が形成されている際に係合させられる。そして、直結段へのアップシフトに際しては、第2クラッチを係合させることにより直結段が形成された後に第1クラッチが係合させられ、当該第1クラッチの係合後に第2クラッチが解放される。これにより、直結段や当該直結段よりも1段高速側の変速段を形成するために第1クラッチを係合させる際に、係合ショックが発生しないように当該第1クラッチを徐々に係合させる必要がなくなる。この結果、第1クラッチを制御するための構成を簡素化して多段変速機のコストアップや重量増を抑制することが可能となる。
また、前記第2、第3および第4クラッチは、係合油室内で発生する遠心油圧をキャンセルするための遠心油圧キャンセル室をそれぞれ有してもよく、前記第1クラッチのピストンには、該第1クラッチの非係合時に係合油室から作動油を排出させる逆止弁が設けられてもよい。これにより、第1クラッチの非係合時に係合油室内で高い遠心油圧が発生しないようにして当該第1クラッチの引き摺り等を良好に抑制することが可能となる。加えて、第1クラッチの係合油室内で発生する遠心油圧をキャンセルする遠心油圧キャンセル室が不要となるので、当該遠心油圧キャンセル室を構成するためのキャンセル室画成部材を第1クラッチから省略して多段変速機をより軽量化することができる。
更に、前記第1クラッチは、第1遊星歯車機構の何れかの回転要素と、第2遊星歯車機構の何れかの回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除してもよく、前記第2クラッチは、第2遊星歯車機構の前記何れかの回転要素以外の回転要素と、第2遊星歯車機構の前記何れかの回転要素以外の回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除してもよい。これにより、第1クラッチにより接続されるべき2つの回転要素を第2クラッチの係合により回転同期させることが可能となる。
また、前記第1遊星歯車機構は、入力要素と、固定可能要素と、第1出力要素および第2出力要素とを有するラビニヨ式遊星歯車機構であってもよく、前記第2遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリヤおよびリングギヤを有してもよく、前記第1クラッチは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素と、前記第2遊星歯車機構の前記リングギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除してもよく、前記第2クラッチは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第2出力要素と、前記第2遊星歯車機構の前記サンギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除してもよい。
更に、前記複数の遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリヤおよびリングギヤを有する第3遊星歯車機構を更に含んでもよく、前記第3遊星歯車機構の前記サンギヤと前記第2遊星歯車機構の前記サンギヤとは、常時連結されてもよく、前記第3遊星歯車機構の前記キャリヤは、前記入力部材および前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記入力要素に常時連結されてもよく、前記第2遊星歯車機構の前記キャリヤは、前記出力部材に常時連結されてもよく、前記第3クラッチは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素と、常時連結された前記第2遊星歯車機構の前記サンギヤおよび前記第3遊星歯車機構の前記サンギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除してもよく、前記第4クラッチは、前記第2遊星歯車機構の前記キャリヤと前記第3遊星歯車機構の前記リングギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除してもよく、前記2つのブレーキは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記固定可能要素を静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除する第1ブレーキと、前記第2遊星歯車機構の前記リングギヤを前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除する第2ブレーキとを含んでもよい。
また、前記多段変速機は、前記第1、第2、第3および第4クラッチ並びに前記2つのブレーキに油圧を供給する油圧制御装置を更に備えてもよく、前記油圧制御装置は、それぞれ前記第2、第3および第4クラッチ並びに前記2つのブレーキの対応する何れかへの油圧を調圧する5つのリニアソレノイドバルブと、前記第1クラッチへの油圧の供給を許容および遮断可能なオンオフソレノイドバルブとを含んでもよい。すなわち、上述のように構成される多段変速機では、第1クラッチ専用のリニアソレノイドバルブをより安価かつ軽量なオンオフソレノイドバルブに置き換えることができるので、油圧制御装置のコストをより低減化することが可能となる。
更に、前記第1クラッチは、前記後進段の形成時に係合させられてもよく、前記油圧制御装置は、前記第4クラッチに対応した前記リニアソレノイドバルブからの油圧を前記第1および第4クラッチの一方に選択的に供給可能とする切替バルブを更に含んでもよく、シフトレンジがニュートラルレンジからリバースレンジへと切り替えられた際には、前記第4クラッチに対応した前記リニアソレノイドバルブにより調圧された油圧が前記第1クラッチに供給されてもよい。これにより、係合ショックを発生させることなく多段変速機の後進段をスムースに形成することが可能となる。
そして、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。更に、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。
本発明は、多段変速機の製造産業等において利用可能である。
10 動力伝達装置、11 トランスミッションケース、12 発進装置、13 フロントカバー、14o ワンウェイクラッチ、14p ポンプインペラ、14s ステータ、14t タービンランナ、15 ロックアップクラッチ、16 ダンパ機構、17 オイルポンプ、20 自動変速機、20i 入力軸、20m 中間軸、20o 出力軸、21 第1遊星歯車、21c 第1キャリヤ、21p 第1ピニオンギヤ、21r 第1リングギヤ、21s 第1サンギヤ、22 第2遊星歯車、22c 第2キャリヤ、22p 第2ピニオンギヤ、22r 第2リングギヤ、22s 第2サンギヤ、23c 第3キャリヤ、23p 第3ピニオンギヤ、23r 第3リングギヤ、23s 第3サンギヤ、24p 第4ピニオンギヤ、24s 第4サンギヤ、25 ラビニヨ式遊星歯車機構、30 変速電子制御装置(変速ECU)、50 油圧制御装置、51 プライマリレギュレータバルブ、55 アプライコントロールバルブ、130 ドラム部材、132 環状壁部、133 ハブ部、135 支持部、301 摩擦プレート、302 セパレータプレート、340 ピストン、350 係合油室、360 ドラム部材、361 ドラム部、365 連結部、370 スプリングシート、380 排油弁、B1,B2 ブレーキ、C1,C2,C3,C4 クラッチ、S3 オンオフソレノイドバルブ、SL1,SL2,SL4,SL5,SL6,SLT リニアソレノイドバルブ、SP3 リターンスプリング。

Claims (7)

  1. 入力部材と、出力部材と、複数の遊星歯車機構と、第1、第2、第3および第4クラッチと、2つのブレーキとを含み、前記第1、第2、第3および第4クラッチ並びに前記2つのブレーキのうちの何れか3つを選択的に係合させることにより、前記入力部材および前記出力部材が同一の回転速度で回転する直結段を含む複数の前進変速段並びに後進段を形成する多段変速機において、
    前記直結段は、前記第1、第2、第3および第4クラッチのうちの少なくとも3つを係合させることにより形成され、
    前記第1クラッチは、前記直結段よりも1段低速側の変速段が形成されている際に解放されると共に、該直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に係合させられ、
    前記第2クラッチは、前記直結段よりも1段低速側の変速段および該直結段よりも1段高速側の変速段が形成されている際に解放され、
    前記第3および第4クラッチは、前記直結段および前記直結段より1段低速側の変速段が形成されている際に係合させられ、
    前記直結段へのアップシフトに際して、前記第2クラッチを係合させることにより前記直結段が形成された後に前記第1クラッチが係合させられ、該第1クラッチの係合後に前記第2クラッチが解放されることを特徴とする多段変速機。
  2. 請求項1に記載の多段変速機において、
    前記第2、第3および第4クラッチは、係合油室内で発生する遠心油圧をキャンセルするための遠心油圧キャンセル室をそれぞれ有し、
    前記第1クラッチのピストンには、該第1クラッチの非係合時に係合油室から作動油を排出させる逆止弁が設けられていることを特徴とする多段変速機。
  3. 請求項1または2に記載の多段変速機において、
    前記第1クラッチは、第1遊星歯車機構の何れかの回転要素と、第2遊星歯車機構の何れかの回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
    前記第2クラッチは、第2遊星歯車機構の前記何れかの回転要素以外の回転要素と、第2遊星歯車機構の前記何れかの回転要素以外の回転要素とを互いに接続すると共に、両者の接続を解除することを特徴とする多段変速機。
  4. 請求項3に記載の多段変速機において、
    前記第1遊星歯車機構は、入力要素と、固定可能要素と、第1出力要素および第2出力要素とを有するラビニヨ式遊星歯車機構であり、
    前記第2遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリヤおよびリングギヤを有し、
    前記第1クラッチは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素と、前記第2遊星歯車機構の前記リングギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
    前記第2クラッチは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第2出力要素と、前記第2遊星歯車機構の前記サンギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除することを特徴とする多段変速機。
  5. 請求項4に記載の多段変速機において、
    前記複数の遊星歯車機構は、サンギヤ、キャリヤおよびリングギヤを有する第3遊星歯車機構を更に含み、
    前記第3遊星歯車機構の前記サンギヤと前記第2遊星歯車機構の前記サンギヤとは、常時連結され、
    前記第3遊星歯車機構の前記キャリヤは、前記入力部材および前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記入力要素に常時連結され、
    前記第2遊星歯車機構の前記キャリヤは、前記出力部材に常時連結され、
    前記第3クラッチは、前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記第1出力要素と、常時連結された前記第2遊星歯車機構の前記サンギヤおよび前記第3遊星歯車機構の前記サンギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
    前記第4クラッチは、前記第2遊星歯車機構の前記キャリヤと前記第3遊星歯車機構の前記リングギヤとを互いに接続すると共に、両者の接続を解除し、
    前記2つのブレーキは、
    前記ラビニヨ式遊星歯車機構の前記固定可能要素を静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除する第1ブレーキと、
    前記第2遊星歯車機構の前記リングギヤを前記静止部材に接続して回転不能に固定すると共に、両者の接続を解除する第2ブレーキとを含むことを特徴とする多段変速機。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載の多段変速機において、
    前記第1、第2、第3および第4クラッチ並びに前記2つのブレーキに油圧を供給する油圧制御装置を更に備え、
    前記油圧制御装置は、
    それぞれ前記第2、第3および第4クラッチ並びに前記2つのブレーキの対応する何れかへの油圧を調圧する5つのリニアソレノイドバルブと、
    前記第1クラッチへの油圧の供給を許容および遮断可能なオンオフソレノイドバルブとを含むことを特徴とする多段変速機。
  7. 請求項6に記載の多段変速機において、
    前記第1クラッチは、前記後進段の形成時に係合させられ、
    前記油圧制御装置は、前記第4クラッチに対応した前記リニアソレノイドバルブからの油圧を前記第1および第4クラッチの一方に選択的に供給可能とする切替バルブを更に含み、
    シフトレンジがニュートラルレンジからリバースレンジへと切り替えられた際には、前記第4クラッチに対応した前記リニアソレノイドバルブにより調圧された油圧が前記第1クラッチに供給されることを特徴とする多段変速機。
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