JP2016131775A - 義歯床およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような場合に、有床義歯に装着者を識別する情報があると、装着者の判別が容易となる。例えば、特許文献1には、レーザーを用いた義歯または義歯床への印字方法が記載されている。
この印字方法を用いて装着者の氏名を印字して、装着者に関する情報を義歯または義歯床に担持させれば、介護者による取り違いも防止することができる。
また、本発明の義歯床の製造方法によれば、良好な舌触りの義歯床を得ることができる。
表面層が透明層または半透明層により形成されていると、レーザー光を透過させることができる。従って、表面層を透過したレーザー光は、表面層の下層の半透明層または不透明層を変性させることで刻印を施すことができる。
図1に示す有床義歯10は、部分義歯である。有床義歯10は、第1義歯部20と第2義歯部30とを備えている。
第1義歯部20は、左下4番(第一小臼歯)から左下7番(第二大臼歯)までの歯牙の人工歯21が、樹脂製の第1義歯床22(義歯床)によって支持されている。第1義歯部20には、左下3番(犬歯)を支台歯として引っ掛けて、第1義歯部20の装着を安定させる左側クラスプ23が配置されている。
第1義歯部20と第2義歯部30とは、バー40により繋がっている。
第1義歯床22および第2義歯床32は、毛細血管を模した赤く着色した化学繊維(毛細血管擬似繊維)を透明なアクリル系樹脂に含有させた義歯床形成用材料により形成されている。透明樹脂に毛細血管擬似繊維を含有させることで義歯床形成用材料を半透明樹脂とすることができる。義歯床形成用材料を半透明樹脂とするときには、透明樹脂に顔料や染料を分散させて透明度を低下させることができる。また、義歯床形成用材料の表面に粗面加工を施して、透明度を低下させてもよい。
ここで、透明とは、レーザーを照射しても義歯床形成用材料を透過して、義歯床形成用材料が変性しない状態を言う。また、不透明とは、レーザーを照射すると、義歯床形成用材料の内部にレーザー光が進行できずに、義歯床形成用材料の表面が変性する状態を言う。更に、半透明とは、レーザーを照射すると、義歯床形成用材料の内部にレーザー光が進行して一部は透過するものもあるが、義歯床形成用材料の内部が変性する状態を言う。
なお、レーザー光は、炭酸ガスや、ヘリウム・ネオンなどの気体レーザー、YAGやルビーなどの固体レーザー、半導体レーザーなどによるものが使用できる。
義歯床を複数の層により形成するときには、まず、有床義歯の装着者となる患者から歯型模型を採得する。次に、複数の層となる義歯床形成用材料により形成された板材のそれぞれを重ね合わせた状態とする。最後に、重ね合わせた板状の義歯床形成用材料に歯型模型の輪郭形状を転写させる。
義歯床形成用材料が熱可塑性樹脂で形成されていれば、義歯床形成用材料を加熱する共に圧力を加えて、義歯床形成用材料に歯型模型の輪郭形状を転写させる。このようにして、複数の層の義歯床を製造することができる。
図2(C)に示す義歯床222は、表面層Sおよび下層Uの両方が半透明層L2であるが透明度を変更することができる。表面層Sの半透明層L2に対して、下層Uの半透明層L2の透明度が低いと、レーザー光が下層Uの半透明層L2を透過し難くなるため、下層Uの半透明層L2の表面や内部に刻印505,506を形成しやすい。
また、図2(B)に示すように、義歯床221の表面層Sを透明層L1とし、下層Uを不透明層L3した場合には、レーザー光が不透明層L3を透過できないため、刻印503を不透明層L3の表面に形成することができる。
また、レーザー光を表面層Sの透明層L1を透過させて、半透明層L2の表面、または不透明層L3の表面に刻印501,503を形成すればよいため、レーザー照射装置の微調整が不要であるため、容易に刻印501,503を形成することができる。
また、刻印502を半透明層L2の内部に形成した場合でも、表面層Sが透明層L1であるため、外部から刻印502を視認することができる。
更に、義歯床221については、下層Uが半透明層L2であるため、刻印501,502を、義歯床221の粘膜側からも視認することができる。
レーザー光を表面層Sの半透明層L2を透過させて、義歯床222の下層Uとなる半透明層L2の表面(図2(C)参照)、または不透明層L3の表面(図2(D)参照)に刻印505,508を形成すればよいため、レーザー照射装置の微調整が不要であるため、容易に刻印505,508を形成することができる。
更に、義歯床222については、下層Uが半透明層L2であるため、刻印505,506を、義歯床222の粘膜側からも視認することができる。また、表面層Sが半透明層L2であるため、刻印504においても、義歯床222の粘膜側からも視認することができる。
図3(A)および同図(B)に示す義歯床224,225では、口腔側の表面層S1と、粘膜側(顎堤側)の表面層S2とが透明層L1で、表面層S1,S2の下層U(内層)が半透明層L2としたり、不透明層L3としたりしている。
この刻印509,511〜513は、レーザー照射を、義歯床224,225の口腔側からと、粘膜側からの両方で行うことで形成することができる。
また、刻印509,511〜513は、下層Uの両方の表面に形成されているため、刻印する面積を2倍にすることができるため情報量を増加させることができる。
図4(A)および同図(B)に示す義歯床226,227は、同じ深さの層で半透明層L2と不透明層L3とを組み合わせている。
図4(A)に示す義歯床226は、表面層Sが透明層L1により形成され、下層Uが不透明層L3および半透明層L2により形成されている。
図4(B)に示す義歯床227は、口腔側の表面層S1および粘膜側の表面層S2が透明層L1により形成され、下層U(中間層)が不透明層L3および半透明層L2により形成されている。
このように、下層Uが不透明層L3および半透明層L2により形成されていることで、同じレーザー照射でも、不透明層L3は表面を変性させて刻印514,516を形成することができ、半透明層L2は内部を変性させて刻印515,517を形成することができる。
このように、半透明層L2や不透明層L3を段違いな位置に配置しても、刻印518〜521を異なる深さに形成することができる。
刻印を異なる深さに形成することで、文字や図形を浮き上がらせて表現するこができるため、表現の幅を拡げることができる。
例えば、図6(A)および同図(B)に示すように、「特許太郎」と表記された不透明板60を、一方が透明樹脂L1、他方が半透明樹脂L2した2枚の板状の義歯床形成用材料に挟み込み、装着者から最得した歯型模型の形状を転写して義歯床230を作製する。そして、レーザー照射して、半透明層L2に刻印522を形成する。
そうすることで、義歯床230は、下層Uとした半透明層L2に形成された刻印522だけでなく、文字や図形、写真などの情報が形成された不透明板60を一緒に内蔵させることができる。なお、不透明板は、例えば、金属板や樹脂板、ジルコニアなどによる非金属板とすることができる。
20 第1義歯部
21 人工歯
22 第1義歯床
23 左側クラスプ
30 第2義歯部
31 人工歯
32 第2義歯床
33 右側クラスプ
40 バー
50,501〜522 刻印
60 不透明板
220〜230 義歯床
L1 透明層
L2 半透明層
L3 不透明層
S,S1,S2 表面層
U 下層
Claims (7)
- レーザー照射により義歯床形成用材料を変性させた刻印が、内部に形成された義歯床。
- 前記義歯床形成用材料は、透明樹脂に毛細血管擬似繊維を含有させて半透明に形成されている請求項1記載の義歯床。
- 前記義歯床形成用材料による複数の層により形成され、
前記複数の層は、表面層が透明層または半透明層により形成されていると共に、前記表面層の下層が少なくとも半透明層または不透明層を一層有する請求項1記載の義歯床。 - 前記複数の層は、粘膜側の表面層と口腔側の表面層とが透明層であり、内層に半透明層または不透明層を備えた請求項3記載の義歯床。
- 前記複数の層の間に、情報が形成された不透明板が設けられた請求項3また4記載の義歯床。
- 義歯床形成用材料により義歯床を形成する工程と、
前記義歯床にレーザー照射して変性させて、前記義歯床の内部に刻印を形成する工程とを含む義歯床の製造方法。 - 前記義歯床を複数の板状の義歯床形成用材料による形成するときに、粘膜側の表面層と口腔側の表面層とを透明層とし、内層に半透明層または不透明層とし、
前記粘膜側の表面層から、および前記口腔側の表面層から前記レーザー照射して、前記内層の半透明層または不透明層の表面に刻印を形成する請求項6記載の義歯床の製造方法。
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