JPH069629Y2 - 義 歯 - Google Patents

義 歯

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JPH069629Y2
JPH069629Y2 JP1989028320U JP2832089U JPH069629Y2 JP H069629 Y2 JPH069629 Y2 JP H069629Y2 JP 1989028320 U JP1989028320 U JP 1989028320U JP 2832089 U JP2832089 U JP 2832089U JP H069629 Y2 JPH069629 Y2 JP H069629Y2
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【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、着用者を識別し得る歯冠継続架工義歯若しく
は有床義歯に関する。
(従来の技術) 義歯は、本来損失した歯の機能と外観を回復すること、
つまり、安定した上下顎の咬合関係を再現して、食物摂
取、咀嚼、嚥下、発音等の機能を回復すると共に、歯
列、外貌等の様な形体と審美の回復および改善を図るこ
とを目的としている。
ところで、歯科用補綴物である義歯は、むし歯の治療と
同様に歯科医や歯科技工士の手になるものであり、装着
者名と共に製作データが一定の期間記録保持されるもの
である。このため、これら補綴物は、近時犯罪捜査や大
災害時の死体の身元確認に大きく寄与している。例え
ば、死体が発見された場合、死者の肉体が破壊されてい
たり、腐乱状態になっていても、歯は最後まで残される
ことが多い。従って、採取された歯や補綴物を歯科医、
歯科技工士に広く照会することにより、肉体的特徴では
識別し難い身元が判明することがあるものである。
また、義歯の場合は高齢者が着用することが多いことか
ら、老人ホーム等で着脱するような際、間違いが生じた
り紛失する場合もある。
(考案が解決しようとする課題) このため、義歯の義歯床に都道府県のマークや氏名のイ
ニシャル等を刻印し、装着者および作成者の識別を可能
とする方法を考えた。
しかし、義歯床に刻印することで大まかな識別はできる
が、この程度の簡単な個人情報では装着者のより具体的
な身元は不明で、例えば死体の検証に際して直ちに身元
が判明するわけではなく、依然身元確認に時間がかか
り、犯罪捜査の負担軽減につながるとは必ずしもいえな
い。
このため、氏名、住所、生年月日、血液型その他の識別
情報を詳細に刻印することを考えたが、義歯に多数の文
字・記号等を刻印するには、手数がかかるうえ加工費用
も高くなるという難点がある。
また、前記刻印法は義歯床の床表面に凹溝を設けるもの
であり、印字が増えると床表面における凹凸も増加す
る。従って、義歯の使用時に舌が刻印部分に触れたと
き、ザラザラした感触となって不快感が生じたり、舌先
が荒れる不具合もある。また、床表面に凹溝が形成され
ていると、食後に食砕物が付着して凹溝に滞まり、これ
から雑菌が発生して口腔内が不潔になる問題も残され
る。
本考案は、上記課題につき、さらに考案の結果なされた
もので、義歯の原形を損なうことなく、装着者の個人情
報を記すことにより、義歯装着者の識別を容易にすると
共に、身元確認を簡単にし得ることを目的としている。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本考案に係る義歯は、歯冠継
続架工義歯若しくは有床義歯に、氏名・住所・生年月日
・血液型等特定人の識別表示が印刷若しくは転写されて
なることを特徴としている。
(作用) 上記構成により、歯冠継続架工義歯若しくは有床義歯に
装着者を特定し得る情報が印刷され若しくは転写されて
いるので、名前や住所等を判読することにより、装着者
の識別および特徴が直ちに明らかとなる。
また、義歯の、装着者を特定し得る情報が印刷若しくは
転写された部分に凹凸等が生じないから、義歯の使用時
に舌が触れても、違和感や不快感はない。しかも、食砕
物が義歯床に付着することがないから、口腔内が清潔に
保たれる。
(実施例) 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は義歯の装着状態を一部切開して示す顔の側面断
面図、第2図は同義歯の斜視図である。
本考案に係る義歯1は、顔aの上顎b側の歯を構成する
人工歯2を設けてなる上顎用総義歯であって、該人工歯
を植設した歯槽部3に連結する義歯床4に、識別表示部
5が印刷により形成され、この識別表示部を含む床表面
4aにコーティング6が施された構成となっている。
前記人工歯2は、陶材で作られた陶歯やアクリル樹脂に
て製作されたレジン歯が用いられ、歯槽部3の周縁に列
設される。この歯槽部は、義歯床4と共にアクリル樹
脂、ポリエーテルサルホン樹脂(PES樹脂)、ポリサ
ルホン樹脂等の樹脂材料にて一体形成される。前記義歯
床4は、皿状のレジン床または金合金・チタンその他の
金属床であって、床表面4aが粘膜cに合わせて曲面に
形成されている。
しかして、上記義歯1は、印象採取から模型作製、蝋義
歯作成、埋設、重合、研磨等の各工程を経て、従来周知
の方法で製造された後、義歯床4に識別表示部5が印刷
され、かつコーティング6が施される。歯冠継続架工義
歯の場合は、舌側がわに印刷される。なお、一端使用さ
れた後の義歯に、印刷若しくは転写を施してもよい。
次に、印刷およびコーティングについて説明すると、ま
ず、義歯床4の床表面4aにおいて、人工歯2の中央寄
りに識別表示部5を印刷する。この識別表示部の内容と
しては、装着者の名前、住所、生年月日および血液型等
の様な特定個人を明確に識別し得る個人情報5aで、外
側から判読容易な大きさの文字、記号、数字等が印字さ
れる。ところで、この印刷には、シルクスクリーン印
刷、シーリング印刷等各種の印刷方法を採用し得る。
たとえば、剥離シールに、個人情報5aとなる転写文字
が印刷される。そして、これを義歯床に押し付けて義歯
床にインキを転移させ識別表示部5を形成する。次に、
前記識別表示部5を印刷した床表面4aにコーティング
6が施される。このコーティング材料としては、透明な
紫外線硬化型コーティング材が、耐摩耗性、耐水性、安
全性、視認性に優れると共に、一定の硬度を有する通常
の歯科治療用コーティング樹脂材が用いられる。例え
ば、パラシル、ライトロック、エバブライト、パーマリ
ンク等が用いられる。
なお、このようなコーティング6は、膜厚を薄くできる
ので、印刷された識別表示部5の文字はコーティング6
の上から容易に判読可能となる。また、床表面4は滑ら
かに形成されるものである。
従って、この義歯1の作成後は、床表面4を見ることに
より名前、生年月日、住所、血液型等が視認できるか
ら、多数個が作られ、また治療される場合であっても、
義歯装着者それぞれの識別が容易となり、従来の様に無
表示による間違いが生じることはなくなり、義歯1を紛
失した場合でも、持主が誰であるかが直ちに明らかとな
る。また、突発事故や本人が意識を喪失したり、痴呆性
老人症の場合にも、識別表示の血液型により、的確迅速
な輸血や救急手術に資することになる。
さらに、殺害、災害による死体や痴呆性老人のように身
元が明らかでない事態が生じた際、この義歯1を調べる
ことにより、直ちに装着者の身元が判明するものであ
る。特に、殺人死体に何ら手掛かりが見出せない場合で
あっても、この種の義歯1が装着されていると、困難な
捜査活動を要せず短時間で被害者の身元を確認すること
ができ、犯罪捜査に大きく寄与するものである。
一方、この義歯1を装着した場合、義歯床4の識別表示
部5は印刷によるものであり、かつコーティング6が施
されているから、床表面4aに凹凸や段差が生じること
はない。従って、舌cが触れても違和感や不快感がなく
なるうえ、舌先が荒れるような問題も防止される。ま
た、床表面4aに咀嚼後の食砕物が付着することもない
ので、口腔内に雑菌が発生する不具合もなく、不潔にな
る問題も回避される。
さらに、識別表示部5は、歯の近傍に印刷形成されてい
るので、口を開いた際に口腔内が見えても、外部から識
別表示部が視認されることはなく、審美観を損なう虞も
ない。
なお、本実施例は義歯床4に詳細な個人情報5aを印刷
する場合について説明したが、メタルボンド、前装鋳造
冠、ブリッジおよびポストクラウン等の歯科用補綴物の
舌側面に印刷を施し、さらにコーティングすることによ
り、特定人を識別し得る識別表示部5を形成してもよ
い。
(考案の効果) 以上説明したように、本考案に係る義歯は義歯床に名
前、住所、生年月日、血液型等特定人の識別表示部を印
刷若しくは転写にて形成しているので、義歯の義歯床を
見ることにより、装着者の名前や住所等が直ちに判読で
きる。よって、義歯装着者の特徴が明らかとなるので、
間違いが生じることなく、紛失した場合等の不具合が解
消される。また、突発事故や本人が意識を喪失したり、
痴呆性老人症の場合にも、識別表示の血液型により、的
確迅速な輸血や救急手術に資することになる。特に、痴
呆性老人の身元が不明であったり、殺害や災害によって
死体の身元探しが困難であっても、この義歯を装着して
いる場合は、直ちに身元が判明するから、人探しや犯罪
捜査等に大きく寄与する利点がある。
さらに、本願考案は、硬化完成した義歯に識別表示が印
刷若しくは転写されてなるものであるから、歯科技工士
によることなく製作でき、しかも高温を必要とするもの
でもないので、格別特殊の装置も必要としない。したが
って、すでに使用中の義歯をも対象とすることができ、
安価にて広汎な義歯に識別表示を設けることができ、身
元捜査等に効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本考案の実施例を示し、第1図は
義歯の装着状態を一部切開して示す顔の側面断面図、第
2図は同義歯の斜視図である。 1……義歯、2……人工歯 3……歯槽部、4……義歯床 4a……床表面、5……識別表示部 6……コーティング

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬化完成した歯冠継続架工義歯若しくは有
    床義歯に、氏名・住所・生年月日・血液型等特定人の識
    別表示が印刷若しくは転写されてなることを特徴とする
    義歯
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