JP2016130206A - 吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリート - Google Patents

吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリート Download PDF

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Abstract

【課題】安定した凝結時間と硬化後の高い強度発現が確保できる吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートを提供する。
【解決手段】セメントと、水と、細骨材と、凝結遅延剤の石灰硫黄合剤と、カルシウムアルミネートを含有する急硬性混和材とを配合してなる吹付けセメントモルタルであり、石灰硫黄合剤が、セメント100部に対し0.01〜10部である前記吹付けセメントモルタルであり、硫酸アルミニウムを含有する液体急結剤を配合してなる前記吹付けセメントモルタルであり、液体急結剤が、さらに、フッ素原料、ジエタノールアミン、硫酸マグネシウム、シュウ酸、尿素から選ばれた少なくとも1種以上を含有してなる前記吹付けセメントモルタルであり、尿素を液体急結剤100部中、5〜35部含有してなる前記吹付けセメントモルタルであり、前記吹付けセメントモルタルに、粗骨材を配合してなる吹付けセメントコンクリート、である。
【選択図】なし

Description

主に土木・建築業界で、法面、地下構造物やトンネルなどに使用される吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートに関する。
セメントの凝結遅延剤は、セメントの水和反応を遅らせることにより、凝結、硬化を遅延させるために用いられている。凝結遅延剤は、無機質系及び有機質系の2種類に分類され、無機質系としては、リン酸塩、珪フッ化物、酸化亜鉛、塩化亜鉛、炭酸化亜鉛、一酸化鉛、水酸化銅、マグネシア塩、ホウ砂、酸化ホウ素などが挙げられ、有機質系としては、ホスホン酸誘導体、糖類やその誘導体、オキシカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩などが挙げられる。
吹付けコンクリート(特許文献1)やコンクリートの凝結時間調整(特許文献2)には凝結遅延剤や硬化促進剤が種々使用されている。
セメント凝結遅延剤と硬化促進剤とを組合せて用いた技術(特許文献3、特許文献4、及び特許文献5)には、戻りコンクリートの有効利用が記載されている。
近年、吹付け工法において、吹付けコンクリートの物性目標は高まっており、低粉じん、低リバウンドでかつ、硬化直後から高い強度が求められる。また、凝結遅延剤による安定した作業時間の確保と、硬化促進剤などの添加直後の強度発現が同時に求められている。
石灰硫黄合剤は、主に果樹の農薬として知られ、生石灰と硫黄と水を原料とし、オートクレーブで反応させ、固液分離した黄褐色の液体として製造されている。石灰硫黄合剤は、CaとSと水を主成分とし、多硫化カルシウム(CaSx)が主生成物である。化学組成は、石灰硫黄合剤を100部としたとき、T−Ca換算で5〜10部、T−S換算で15〜30部、MgO換算で0.5〜2.0部の範囲でMgを含む。石灰硫黄合剤のpHは10.0以上であることを特長とする。また、酸化還元電位も特異的であり、石灰硫黄合剤の酸化還元電位(ORP)は−450mv以下である。
しかしながら、石灰硫黄合剤を吹付セメントモルタルや吹付セメントコンクリートに適用した例は見当たらない。
特許第2812562号公報 特開平10−305418号公報 特許第2694883号公報 特開平5−221700号公報 特開平9−286651号公報
本発明は、石灰硫黄合剤を配合することにより、安定した凝結時間と硬化後の高い強度発現が確保できる吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートを提供する。
すなわち、本発明は、(1)セメントと、水と、細骨材と、凝結遅延剤の石灰硫黄合剤と、カルシウムアルミネートを含有する急硬性混和材とを配合してなる吹付けセメントモルタル、(2)石灰硫黄合剤が、セメント100部に対し0.01〜10部である(1)の吹付けセメントモルタル、(3)硫酸アルミニウムを含有する液体急結剤を配合してなる(1)又は(2)の吹付けセメントモルタル、(4)液体急結剤が、さらに、フッ素原料、ジエタノールアミン、硫酸マグネシウム、シュウ酸、尿素から選ばれた少なくとも1種以上を含有してなる(3)の吹付けセメントモルタル、(5)尿素を液体急結剤100部中、5〜35部含有してなる(4)の吹付けセメントモルタル、(6)(1)〜(5)のいずれかの吹付けセメントモルタルに、粗骨材を配合してなる吹付けセメントコンクリート、である。
本発明の吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートは、石灰硫黄合剤を配合することにより、安定した凝結時間と硬化後の高い強度発現の確保が可能となり、さらに六価クロムの低減効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における部や% は特に規定しない限り質量基準で示す。
本発明で用いるセメントは、市販されている、普通ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、早強セメント、超早強セメントやエコセメントなどであり、またこれらセメントの2種以上を併用することもできる。
本発明では、セメントの凝結遅延剤として、石灰硫黄合剤を用いる。
石灰硫黄合剤とは、CaとSと水を主成分とし、成分は多硫化カルシウム(CaSx)が主であり、石灰硫黄合剤を100部としたとき、T−Ca換算で2〜20部、T−S換算で5〜40部、MgO換算で0.1〜4.0部の範囲でMgを含む。石灰硫黄合剤のpHは10.0以上であることを特長とする。また、酸化還元電位も特異的である。石灰硫黄合剤の酸化還元電位(ORP)は−450mv以下である。pHがアルカリ性領域であることは、極めて重要である。pHが10.0未満では、本発明の効果、 すなわち、流動性の保持効果や六価クロムの還元効果、さらには自己収縮の低減効果が十分に得られない場合がある。石灰硫黄合剤の添加量を増やすと、遅延時間が長くなり、状況に応じて硬化時間設定が可能である。
石灰硫黄合剤の各成分は、石灰硫黄合剤を100部としたとき、T−Ca換算で2〜20部が好ましく、5〜15部がより好ましく、2部未満であると優れた遅延効果が確認されない場合があり、20部を超えると、溶液安定性が悪く、液状を保持できない場合がある。また、T−S換算で5〜40部が好ましく、10〜30部がより好ましく、5部未満であると、溶液安定性が悪い場合があり、40部を超えると、遅延効果が強すぎる場合がある。MgOは0.1〜4.0部が好ましく、0.5〜2.0部がより好ましく、MgOが0.1〜4.0部の範囲外であると、溶液安定性が下がり、析出する場合がある。
本発明で用いる石灰硫黄合剤は、セメント100部に対して0.01〜10部が好ましい。本発明は、セメントモルタルやコンクリート調製時にカルシウムアルミネートを主成分とする急硬性混和材を配合するため、石灰硫黄合剤が0.01部未満では充分な遅延効果が得られない場合がある。
本発明で用いるカルシウムアルミネートとは、カルシアを含む原料と、アルミナを含む原料とを混合して、キルンでの焼成や、電気炉での溶融などの熱処理をして得られる、CaOとAlとを主たる成分とし、水和活性を有する物質の総称であり、CaO及び/又はAlの一部が、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化鉄、アルカリ金属ハロゲン化合物、アルカリ土類金属ハロゲン化合物、アルカリ金属硫酸塩及びアルカリ土類金属硫酸塩などと置換した化合物、あるいはCaOとAl2O3とを主たる成分とするものに、これらが少量固溶した物質である。カルシウムアルミネートの鉱物形態は、結晶質、非晶質いずれであっても、また、混在してもよい。
カルシウムアルミネートのガラス化率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。ガラス化率60%未満であると、吹付け施工などの吹付けた後に急激な凝結、硬化が必要な場合、その効果が少ない。
カルシウムアルミネートのCaO/Alのモル比は、2.0〜2.5が好ましく、モル比が2.0未満であると、液体急結剤添加後の凝結、硬化が充分でない場合があり、モル比が2.5を超えると、凝結、硬化が早すぎる場合がある。
カルシウムアルミネートの粉末度は、ブレーン比表面積で4000〜10000cm/gが好ましく、4000cm/g未満であると、優れた急結性状が得られない場合があり、10000cm/gを超えると安定した凝結性状が得られない場合がある。
本発明で用いるカルシウムアルミネートを含有する急硬性混和材の使用量は、セメント100部に対して1〜20部が好ましい。急硬性混和材が1部未満では本発明の効果が充分得られない場合がある。
本発明で用いるカルシウムアルミネートを含有する急硬性混和材は、カルシウムアルミネートの他、本発明の効果を阻害しない物質であれば、特に限定されるものでなく、例えば、減水剤、AE剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、石灰硫黄合剤以外の遅延剤、発泡剤、凍寒材、高炉スラグ、フライアッシュ、石粉、石膏などが配合可能である。
本発明の吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートは、特に限定はされないが、セメント、水、骨材、凝結遅延剤や混和材などを事前に混合・練混ぜなどにより、ウエットモルタルまたはウエットコンクリートとした後、液体急結剤を配合することができる。
本発明で用いる細骨材や粗骨材は、本発明の効果を阻害するものでなければ、種類や品質は特に限定されるものではない。また、砕砂、砕石の使用も可能である。
本発明で使用する硫酸アルミニウムには、無水塩、6水塩、10水塩、18水塩、27水塩があり、いづれも使用可能である。
液体急結剤を製造する際、アルミ供給源とイオウ供給源から反応させて硫酸アルミニウムを調製することが可能であり、最終的に硫酸アルミニウムとして存在していれば、出発原料は問わない。
アルミ供給原料は特に限定されるものではないが、明礬類に代表されるアルミニウムの硫酸塩、アルミン酸塩、及びその他の無機アルミニウム化合物、有機アルミニウム化合物、並びにアルミニウム錯体が挙げられる。イオウ供給源は特に限定されるものではないが、アルミニウムの硫酸塩としては、カリウム明礬、ナトリウム明礬、及びアンモニウム明礬等の明礬類、ヒドロキシ硫酸アルミニウム、並びに硫酸アルミニウム等が挙げられる。アルミン酸塩としてはアルミン酸リチウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、及びアルミン酸マグネシウム等が挙げられる。その他の無機アルミニウム化合物としては、ボーキサイト、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アルミノ−シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、炭酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、及びメタケイ酸アルミニウム等が挙げられる。有機アルミニウム化合物としては、ステアリン酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、及びギ酸アルミニウム等が挙げられる。アルミニウム錯体としては、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム等が挙げられる。これらのアルミニウムの供給原料のうちの1種又は2種以上が使用可能である。本発明では、イオウの供給原料となる硫酸塩が好ましく、また、凝結性状が優れる点から各種明礬がより好ましい。
イオウ供給原料は特に限定されるものではないが、イオウ又は硫黄華のような元素状態のイオウの他に、硫化物、硫酸又は硫酸塩、亜硫酸又は亜硫酸塩、チオ硫酸又はチオ硫酸塩、及び有機イオウ化合物等が挙げられる。硫化物としては、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化鉄、及び五硫化リン等が挙げられる。硫酸塩としては、アンモニウム明礬、カリ明礬、及びナトリウム明礬に代表される各種明礬類、硫酸アニリン、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸ナトリウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、並びに硫酸ヒドロキシルアミン等が挙げられる。亜硫酸塩としては、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。チオ硫酸塩としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウム、及びチオ硫酸バリウム等が挙げられる。有機イオウ化合物としては、スルホン酸誘導体又はその塩、メルカプタン、チオフェン又はその誘導体、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、及びポリフェニレンサルファイド等の樹脂が挙げられる。本発明では、これらのイオウの供給原料の1種又は2種以上が使用可能である。上記イオウ化合物の中では水への溶解性が高く、製造コストが安く、かつ凝結性状が優れる点から硫酸又は硫酸塩が好ましく、硫酸塩のうちアルミニウムの供給原料となる明礬類がより好ましい。
本発明で使用する尿素とは、一般的な試薬、工業原料のいずれも使用が可能であり、液体急結剤100部中に5〜35部の配合が好ましい。5部未満であると、セメントモルタルやコンクリートに液体急結剤として配合した場合、遅延性が強く、吹付け施工に必要な凝結や強度発現性が得られない場合がある。35部を超えると、尿素は吸熱物質であり、液温を下げてしまい、液体の安定性が保てず、液体中に固形分が析出する場合がある。
本発明で使用する液体急結剤は、硫酸アルミニウムや尿素以外に、液体急結剤の急結性能を損なうことがなければ、いずれの物質も配合可能である。その中でも、特にフッ化水素などのフッ素原料、ジエタノールアミンなどのアミン原料、硫酸塩、錯体形成剤、また液体の固形分濃度を高められるものであれば、いずれの物質も配合可能である。
フッ素原料は、フッ素またはフッ素化合物が好ましく、フッ化水素、氷晶石、珪フッ化物などフッ素化合物が使用可能である。アミン原料は、ジエタノールアミン、硫酸塩は、硫酸マグネシウム、錯体形成剤は、カルボン酸、ジカルボン酸、オキシカルボン酸、及びこれらの塩などが使用可能であり、特にシュウ酸の使用が好ましい。
本発明の液体急結剤の使用量は、吹付けに求められる性状が得られれば、特に限定されるものではないが、セメント100部に対して6〜10部が好ましい。6部未満であると、優れた強度発現性が得られない場合があり、10部を超えると、液体急結剤による初期強度発現性効果が頭打ちとなる場合がある。
本発明の吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートは、エア搬送、ポンプ搬送などいずれの搬送方式やこれらを組み合わせた搬送方式が可能である。
本発明の液体急結剤は、エア搬送、ポンプ搬送などいずれの搬送方式やこれらを組み合わせた搬送方式が可能であり、ポンプ搬送の場合、ギアポンプ、スクイズポンプ、プランジャーポンプ、ピストンポンプなどいずれのポンプによる搬送も可能である。
本発明では、特に限定されるものではないが、予めウエットモルタルやウエットコンクリートに調整した吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートに液体急結剤を添加する湿式吹付けが好ましい。
「実験例1」
セメント800g、水480g、細骨材2000g、表1に示す種類と量の遅延剤、カルシウムアルミネートAからなる急硬性混和材80gからなるセメントモルタルを混練してから120分経過後のモルタルフローを測定し、測定後、さらに、液体急結剤ア80gを添加して、プロクター貫入抵抗値、圧縮強度、六価クロム残存濃度を測定した。
<使用材料>
セメント:普通ポルトランドセメント、ブレーン比表面積3500cm/g、密度3.15g/cm、市販品
水:上水道水、密度1.00g/cm
細骨材:新潟県姫川水系川砂、密度2.62g/cm
遅延剤α:石灰硫黄合剤、市販品、pH10.5、酸化還元電位(ORP)が−500mv、MgO含有量1.0%、T−Ca量10%、T−S量22%
遅延剤β:無水クエン酸、試薬、密度1.67g/cm
カルシウムアルミネートA:CaO/Alモル比2.3、ガラス化率80%、ブレーン比表面積5800cm/g、密度2.60g/cm
液体急結剤ア:硫酸アルミニウム27%、水73%の液体急結剤、液状、密度1.34g/cm
<測定方法>
モルタルフロー:JIS R5201に準じて測定した。
プロクター貫入抵抗値測定:JSCE D−102−1999に準じて始発時間、終結時間をそれぞれ測定し
た。尚、プロクター貫入抵抗値は急硬性混和材添加からの時間(分)で表記。
圧縮強度測定:JSCE D−102−1999に準じて圧縮強度を測定した。
材齢は10分、24時間、28日とした。
六価クロム残存濃度:セメントモルタルの六価クロム低減能力を確認するために、六価クロム標準溶液を希釈して、六価クロム濃度が100mg/lの溶液を調製し、この六価クロム溶液50ccに各セメントモルタル1000gを入れて攪拌し、7日後に固液分離して液相中の残存六価クロム濃度を測定することによって評価した。ただし、六価クロムの残存濃度は、JISK 0102に準じ、ICP発光分光分析法により測定した。
Figure 2016130206
表1の結果より、石灰硫黄合剤を遅延剤として用いたモルタルに液体急結剤を添加すると、添加した直後から、凝結が起こり、材齢に伴う強度発現性が良い。一方、遅延剤として、無水クエン酸を用いた場合、急結剤を加えても、凝結が遅く、強度発現性も悪い。また、凝結遅延剤を併用しない実験No.1-1においては、モルタル調製直後より、凝結が発生し、測定不可となった。また、遅延剤αを用いた場合、添加率がC×0.01%以上であると、モルタルフローが遅延剤添加なしに比べて持続し、また、六価クロム濃度も低く、六価クロム低減効果もあることが確認された。
「実験例2」
実験例1と同様にセメント800g、水480g、細骨材2000g、凝結遅延剤αがセメント100部中1.0部、表2に示す種類のカルシウムアルミネートからなる急硬性混和材80gからなるセメントモルタルを混練してから120分経過後のモルタルフローを測定し、測定後、さらに、液体急結剤ア80gを添加して、プロクター貫入抵抗値、圧縮強度、六価クロム残存濃度を測定した。
<使用材料>
カルシウムアルミネートB:CaO/Alモル比2.0、ガラス化率85%、ブレーン比表面積5500cm/g、密度2.60g/cm
カルシウムアルミネートC:CaO/Alモル比2.5、ガラス化率60%、ブレーン比表面積6700cm/g、密度2.60g/cm
カルシウムアルミネートD:CaO/Alモル比1.9、ガラス化率99%、ブレーン比表面積5800cm/g、密度2.60g/cm
カルシウムアルミネートE:CaO/Alモル比2.65、ガラス化率50%、ブレーン比表面積7200cm/g、密度2.60g/cm
カルシウムアルミネートF:CaO/Alモル比2.80、ガラス化率0%、ブレーン比表面積8600cm/g、密度2.60g/cm
Figure 2016130206
表2の結果より、カルシウムアルミネートのモル比が2.65を超えると、凝結が遅れ、10分、24時間の圧縮強度が低下し、六価クロム残存濃度も増えた。理由として、カルシウムアルミネートのモル比が2.65を超えたことで、凝結が早く、液体急結剤との混合が不十分であったと考える。よって、カルシウムアルミネートはガラス化率50%以上が好ましく、CaO/Alモル比は2.80未満が好ましい。
「実験例3」
実験例1、2と同様にセメント800g、水480g、細骨材2000g、遅延剤αがセメント100部に対して1.0部、カルシウムアルミネートAからなる急硬性混和材80gからなるセメントモルタルを混練し、さらに、表3に示す種類の液体急結剤80gに尿素を表3に示す量を加えた液体急結剤を添加して、プロクター貫入抵抗値、圧縮強度、六価クロム残存量、長さ変化を測定した。
尚、尿素は配合した分、水に置き換えている。
<使用材料>
液体急結剤イ:硫酸アルミニウム27%、フッ化水素2%、水71%の水溶液
液体急結剤ウ:硫酸アルミニウム27%、フッ化水素2%、ジエタノールアミン1.5%、水69.5%
の水溶液
液体急結剤エ:硫酸アルミニウム27%、硫酸マグネシウム2%、フッ化水素2%、ジエタノールアミン1.5%、水67.5%の水溶液
液体急結剤オ:硫酸アルミニウム35%、しゅう酸1%、フッ化水素1%、水63%の水溶液
尿素:試薬、市販品
<試験方法>
長さ変化試験:JIS A1129−3に準じて測定した。尚、材齢は28日とした。
Figure 2016130206
表3の結果より、液体急結剤に尿素を加えない場合は、すべての液体急結剤において長さ変化が大きく、強度発現性が少ない。よって、尿素の混和は、凝結、強度、長さ変化の観点から、非常に好ましいことがわかる。
「実験例4」
セメント400kg/m、細骨材1058kg/m、粗骨材673kg/m、水200kg/m、高性能減水剤4kg/mのコンクリートに、実験例1で使用した表4に示す種類の遅延剤0.5kgと実験例1で使用したカルシウムアルミネートAからなる急硬性混和材40kgをセメントモルタルに混合、練り混ぜし、練り混ぜ直後と120分経過後のスランプを測定した。
スランプ試験終了後、このコンクリートを吹付け圧力4MPa、吹付け速度10m/hの条件下で、コンクリート圧送機「MKW−25SMT」(シンテック社製)によりポンプ圧送した。一方、セメントに対して液体急結剤が6部になるように、圧送圧力5MPaの条件下で、実験例3と同様に、尿素が液体急結剤100部中、表4に示す種類と量を配合した種々の液体急結剤を有光工業社製「TA−3DX」を用いてポンプ圧送し、この液体急結剤をY字管のもう一方からポンプ圧送されたコンクリートに混合合流し、吹付けセメントコンクリートとした。
この吹付けセメントコンクリートについて、実験例1と同様に、セメントコンクリート中のセメントモルタルの六価クロム残存量を測定し、さらに、長さ変化、圧縮強度、リバウンド率、及び粉塵量を測定した。
<使用材料>
高性能減水剤:グレースケミカルズ社製、商品名FTN−30、市販品
<試験方法>
長さ変化試験:JIS A1129−3に準じて測定した。尚、材齢は28日とした。
コンクリート圧縮強度:材齢3時間、1日の圧縮強度は、幅25cm×長さ25cmのプルアウト型枠に設置したピンを、プルアウト型枠表面から吹付け材料で被覆し、型枠の裏側よりピンを引き抜き、その時の引き抜き強度を求め、(圧縮強度)=(引き抜き強度)×4/(供試体接触面積)の式から圧縮強度を算出した。材齢28日以降の圧縮強度は、幅50cm×長さ50cm×厚さ20cmの型枠に吹付け材料を吹付け、採取した直径5cm×長さ10cmの供試体を20トン耐圧機で測定し、圧縮強度を求めた。
リバウンド率:6分間吹付けた時の跳ね返りをブルーシートに採取し、吹付けセメントコンクリートの使用量からブルーシートに採取した量から、リバウンド率を算出した。
粉塵量:吹付け位置から5m後方で粉塵測定器P−5L(柴田科学社製)を用いて粉塵量を測定した。尚、表4に示す粉塵量は、6分間吹付けた1分間当りの平均値を示している。
Figure 2016130206
表4の結果より、モルタル試験と同様に尿素を加える量を増やすことで、初期からの強度発現性が高まり、リバウンド量や粉塵量も低減した。遅延剤の種類を石灰硫黄合剤にすることで、120分経過したスランプも2cmの低下しか見られず、良好なコンクリート性状を確保していた。また、六価クロム残存量も検出下限を示しており、開発した吹付けセメントコンクリートにより、フレッシュ性状、硬化性状、吹付け性状、環境性状全てを満足する結果が得られた。
本発明の吹付けセメントモルタル及び吹付けセメントコンクリートは、石灰硫黄合剤を配合することにより、安定した凝結時間と硬化後の高い強度発現の確保が可能となり、さらに六価クロムの低減効果を奏するので、土木、建築分野で広範に使用される。

Claims (6)

  1. セメントと、水と、細骨材と、凝結遅延剤の石灰硫黄合剤と、カルシウムアルミネートを含有する急硬性混和材とを配合してなる吹付けセメントモルタル。
  2. 石灰硫黄合剤が、セメント100部に対し0.01〜10部である請求項1に記載の吹付けセメントモルタル。
  3. 硫酸アルミニウムを含有する液体急結剤を配合してなる請求項1又は2に記載の吹付けセメントモルタル。
  4. 液体急結剤が、さらに、フッ素原料、ジエタノールアミン、硫酸マグネシウム、シュウ酸、尿素から選ばれた少なくとも1種以上を含有してなる請求項3に記載の吹付けセメントモルタル。
  5. 尿素を液体急結剤100部中、5〜35部含有してなる請求項4記載の吹付けセメントモルタル。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の吹付けセメントモルタルに、粗骨材を配合してなる吹付けセメントコンクリート。
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