JP2016129520A - 蛍光in situハイブリダイゼーションによる癌抑制遺伝子の欠失を検出するための方法、プローブセットおよびキット - Google Patents

蛍光in situハイブリダイゼーションによる癌抑制遺伝子の欠失を検出するための方法、プローブセットおよびキット Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光in situハイブリダイゼーションによる癌抑制遺伝子の欠失を検出するための方法、プローブセットおよびキットの提供。【解決手段】遺伝子欠失アッセイのための方法、プローブセット、キット、および組成物が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、欠失アッセイのためのプローブを調製すること、欠失アッセイを実行すること、または欠失アッセイを最適化することに関する。いくつかの実施形態では、たとえば、切断によるアーチファクトを受ける試料を分析する場合、方法およびプローブセットは、低下したアーチファクト欠失頻度を提供することができる。いくつかの実施形態では、方法およびプローブセットは、小さな欠失と大きな欠失とを区別することができる。【選択図】図2

Description

この出願は、2010年3月15日に出願された米国仮特許出願第61/313,916号および2010年3月15日に出願されたカナダ国特許出願第2,696,545号(これらの両方の全体の内容は、参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
本発明は、癌抑制遺伝子の欠失を検出するためのアッセイにおける使用のための方法、プローブセット、およびキットならびにそのようなプローブセットを調製し、そのようなアッセイを最適化するための方法に関する。本発明の実施形態は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)薄切片、細針吸引(FNA)生検材料、スミアなどにおけるように、血液または固形腫瘍などのような試料において、欠失、増幅、転座、および他の染色体事象などのような染色体事象を検出するための方法をさらに含む。いくつかの実施形態では、染色体事象は、癌抑制因子、関連する癌遺伝子、および/または癌原遺伝子などのような遺伝子を含む。
癌性または前癌性細胞が癌抑制遺伝子について欠失しているかどうかについての認識は、診断上のおよび/もしくは予後の正確度を改善するのにまたは治療の選択に一般に有用である。腫瘍、新生物、過形成などを含む癌性または前癌性であることが疑われている増殖物由来のなどのように、癌性または前癌性であることが疑われている細胞の試料について、たとえば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料などのように、固定され、保存された試料として、検査室での分析が行われるのは、一般的である。特に、そのような試料の保存はまた、遡及研究が実行されることも可能にし、これは、将来の予測および治療選択を行うのに有用な情報を提供することができる。癌抑制遺伝子の欠失は、試料を対象の遺伝子に対するプローブ、一般に、少なくとも1つの対照プローブと接触させる蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)および/または核の対比染色によってFFPE試料においてアッセイすることができる。癌抑制遺伝子の例は、PTEN、p53、p16(CDKN2Aとしても公知)、RB1、DCC、BRCA1、BRCA2、およびAPCを含む。プローブは、蛍光で可視化することができ、結果として生じるFISHシグナルは、欠失が存在するかどうかを決定するために分析される。
固形増殖物由来の試料が、固定され、保存された試料として提供される場合、それらは、厚さが数ミクロンの切片として一般に提供される。そのため、癌抑制遺伝子を含有する核の一部は、試料の切出しの間に切除され得る。この現象は、多くの場合、核の切断によるアーチファクトをもたらし、それにより、癌抑制遺伝子の欠失を実際に有していなかった細胞が、あたかも癌抑制遺伝子の少なくとも1つのコピーが欠けているかのように現れることになる。切断によるアーチファクトは、染色体が脱凝縮し、球状の形状の核の三次元体積内に分布する間期細胞において生じ得、間期細胞は、通常の病理組織切片を構成している。中期細胞では、約46本の染色体は、平らで、ロッド状の直線状構造で存在し、一般に、切断を伴うことなく、顕微鏡スライドガラスの表面上に置くことができる。実際、固形腫瘍などのような癌性または前癌性であることが疑われている固形増殖物由来の試料を含む臨床試料において、大多数の細胞は、一般に、間期にある。中期細胞の代表試料は、遡及分析に使用される試料から、または患者から採取され、固定され、保存され、分析のために離れた検査室に送られた試料から得るのが困難または不可能であり得る。
核の切断によるアーチファクトは、したがって、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイの性能にマイナスに影響を与える。偽陽性(つまり癌抑制因子欠失が生じているという間違った結論)の可能性を防止するために、見かけ上の欠失頻度に対する最小閾値を設定することができ、見かけ上の欠失頻度が閾値を超えない場合、結果は、欠失について陰性であるか、またはせいぜい決定的でないと考えられる。閾値は、対照細胞を使用して行われたアーチファクト欠失頻度の推定値に基づくものとすることができ、欠失の観察レベルが有意であると考えられるには、アーチファクト欠失頻度を、アーチファクト欠失頻度の3標準偏差などのような量の差で、超える必要があり得る。しかしながら、たとえば、欠失を有する、試料における細胞の数が少ない場合にまたは試料における細胞が遺伝的に不均一である場合に、欠失と考えるのが困難となり得るまたは不可能となり得るという点で、そのような最小閾値の使用は、感度のトレードオフをもたらし得る。
ホスファターゼテンシンホモログ(PTEN)は、ヒトにおいてPTEN遺伝子によってコードされるタンパク質である。この癌抑制遺伝子の不活性化は、多くのタイプの癌において(非特許文献1)、およびカウデン病として公知の遺伝性の発生欠損において(非特許文献2)、観察されてきた。近年、PTENにハイブリダイズする368kbのプローブの使用に基づいて、PTEN座のまわりの368kb以上のゲノムの欠失が前立腺癌において共通しており(非特許文献3)、それらの存在は、予後不良を伴う(非特許文献4;非特許文献5)ことが明らかになってきた。したがって、PTENなどのような癌抑制遺伝子の欠失についての正確なアッセイは、臨床的に重要である。
さらに、サイズによって欠失を区別する様式で欠失を検出する、より優れた性能が必要とされる。ホモ接合性のPTEN欠失があり、欠失事象の少なくとも1つが、PTENそのものよりも大きな染色体のエリアおよびそのすぐまわりの環境を除去する前立腺の腫瘍は、転移腫瘍である可能性がより高いか、または転移の可能性が増加している。したがって、そのような欠失についてのプローブセットおよび方法は、予後においておよび治療に関して決定するためにならびに前立腺癌の進行および分類についてのさらなる調査において役立ち得る。
Cristofano ADら、PTEN is essential for embryonic development and tumour suppression、Nature Genetics 1998年;19巻:348〜355頁 Marsh DJら、Germline PTEN mutations in Cowden syndrome−like families、J. Med. Genet. 1998年;35巻:881〜885頁 Yoshimotoら、Cancer Genetics and Cytogenetics 2006年;169巻:128〜137頁 Yoshimotoら、British Journal of Cancer 2007年;97巻:678〜685頁 Yoshimotoら、Modern Pathology 2008年;21巻:1451〜1460頁
したがって、核の切断によるアーチファクトの発生を低下させる、たとえばPTENなどのような癌抑制遺伝子の欠失を検出するためのアッセイにおける使用のための方法、プローブセット、およびキットならびにそのようなプローブセットを調製し、そのようなアッセイを最適化するための方法が必要とされる。
本発明の方法および組成物は、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイの性能(特異性、感度、および/または統計的有意性)が、切断によるアーチファクトなどのような誤差の原因を減少させることができるプローブセットを提供することによって最適化することができるという発見に部分的に基づく。プローブセットは、それぞれ、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側(centromeric)の位置、癌抑制遺伝子のまたは癌抑制遺伝子に隣接する位置、および癌抑制遺伝子に対してテロメア側(telomeric)の位置でハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、標的プローブ、および第2のフランキングプローブを含む。癌抑制遺伝子は、あるタイプの癌性または前癌性細胞において欠失の傾向があり得、たとえば、PTENは、少なくとも、前立腺の新生物において欠失の傾向がある。第1または第2のフランキングプローブおよび標的プローブのハイブリダイゼーション部位の間の距離は、細胞遺伝学的な長さのスケールに基づいて短いものとすることができる、たとえば、500kb〜10または20Mbの範囲の距離とすることができる。
いくつかの実施形態では、第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、それぞれ、第1の境界ゾーンおよび任意選択で第2の境界ゾーンによって、標的プローブのハイブリダイゼーション部位と分離されている(たとえば、セグメント重複およびコピー数多型などのような、これらの部位の近くのゲノム構造の特徴;下記にさらに説明される)。第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、細胞遺伝学的な長さのスケールに基づいて、それぞれ、第1の境界ゾーン内および第2の境界ゾーン内(存在する場合)にあり得るまたはそれに隣接し得る。
プローブセットは、それらのハイブリダイゼーション部位の位置により、ゲノムの異常についてのFISHベースのアッセイの性能を最適化することができる。標的プローブのハイブリダイゼーション部位の近くにおよび/または境界ゾーンに比べてアッセイ標的から遠位にあるが、境界ゾーンに隣接するようにフランキングプローブを位置づけることは、核切断に起因する偽陽性を含む決定的でない結果および/またはアーチファクトの観察を最小限にするのに役立ち得る。
したがって、本開示は、FISHベースのアッセイを行う方法、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイのためのプローブを調製する方法、および癌抑制因子欠失についてのFISHベースのアッセイにおいて核切断の影響を測定するための方法を提供する。本開示はまた、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイに有用なプローブセットおよび組成物ならびにプローブを含むキットを提供する。
本発明のある実施形態は、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイのためのプローブセットを調製する方法であって、
(a)癌抑制遺伝子を含む染色体上の少なくとも1つの境界ゾーンを同定するステップであって、少なくとも1つの境界ゾーンが、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーンを含むステップ、
(b)第1の境界ゾーン内の核酸配列に、または第1の境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のフランキングプローブを提供するステップ、
(c)癌抑制遺伝子に対してテロメア側の核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のフランキングプローブを提供するステップ、および
(d)境界ゾーンの間の癌抑制遺伝子における核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを提供するステップ
を含む方法である。
本発明の他の実施形態は、癌抑制遺伝子の欠失についてのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)複数の細胞を含む細胞試料についてプローブセットを用いてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを含むステップ、
(b)複数の細胞において、少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブならびに少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)(i)アーチファクトヘミ接合性欠失頻度および(ii)アーチファクトホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、(d)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、(i)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および(ii)見かけ上のホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、ステップ(c)においてアーチファクトホモ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度が、見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を含み、ステップ(c)においてアーチファクトヘミ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度が、見かけ上のホモ接合性欠失頻度を含むステップ、ならびに
(e)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度がアーチファクトヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、癌抑制遺伝子のヘミ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するか、または見かけ上のホモ接合性欠失頻度がアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、癌抑制遺伝子のホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む方法である。
本発明の他の実施形態は、癌抑制遺伝子の小さな欠失および大きな欠失を識別可能に検出するためのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)プローブセットを用いて複数の細胞を含む細胞試料についてFISHを実行するか、またはプローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行し、前記プローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを含むステップ、
(b)複数の細胞または複数の複数の細胞において、少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブ、少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、
(d)癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、エンドポイントの少なくとも1つが、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、
(e)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度を決定するステップ、
(f)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、エンドポイントの少なくとも1つが、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップならびに
(g)少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度が、少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、癌抑制遺伝子の小さな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定し、少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度が、少なくとも1つの第2のアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、癌抑制遺伝子の大きな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む方法である。
本発明の他の実施形態は、癌抑制遺伝子の欠失についてのFISHベースのアッセイを最適化するための方法であって、
(a)複数の候補プローブセットを提供するステップであって、それぞれの候補プローブセットは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを含むステップ、
(b)それぞれの候補プローブセットについて、
(i)癌抑制遺伝子の完全なコピーの正倍数性の数を含む複数の細胞を含む少なくとも1つの細胞試料について、候補プローブセットを用いてFISHを実行し、
(ii)少なくとも1つの試料の複数の細胞において候補プローブセットの少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブならびに少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数え、
(iii)ステップ(ii)の数えられたFISHシグナルからアーチファクト欠失頻度を決定するステップ、ならびに
(c)癌抑制遺伝子の欠失について最適化されたFISHベースのアッセイにおける使用のための候補プローブセットからプローブセットを選択するステップであって、選択されたプローブセットは、ステップ(iii)において好ましいアーチファクト欠失頻度を有すると決定されたステップ
を含む方法である。
本発明の他の実施形態は、第21染色体のバンド21q22.13−21q22.3における欠失についてのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)複数の細胞を含む細胞試料についてプローブセットを用いてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、
TMPRSS2とERGとの間に位置する、またはその代わりに、TMPRSS2およびERG遺伝子によって包含される領域内に位置する少なくとも1つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ、
少なくとも1つの標的遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なく
とも第1のフランキングプローブ、および
少なくとも1つの標的遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブを含むステップ、
(b)複数の細胞において、少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブならびに少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)(i)アーチファクトヘミ接合性欠失頻度および(ii)アーチファクトホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、(d)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、(i)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および(ii)見かけ上のホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、アーチファクトホモ接合性欠失頻度がステップ(c)において提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を含み、アーチファクトヘミ接合性欠失頻度がステップ(c)において提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のホモ接合性欠失頻度を含むステップ、ならびに
(e)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度がアーチファクトヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、標的遺伝子の少なくとも1つのヘミ接合性欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するか、または見かけ上のホモ接合性欠失頻度がアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、標的遺伝子の少なくとも1つのホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む方法である。
本発明の他の実施形態は、第21染色体のバンド21q22.13−21q22.3における小さな欠失および大きな欠失を識別可能に検出するためのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)プローブセットを用いて複数の細胞を含む細胞試料についてFISHを実行するか、またはプローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行し、前記プローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、
TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも2つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも2つの標的プローブ、
少なくとも2つの標的遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、
少なくとも2つの標的遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、
ならびに、任意選択で、第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを含むステップ、
(b)複数の細胞または複数の複数の細胞において、少なくとも2つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブ、少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに存在する場合、少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、エンドポイントの1つは、2つの標的遺伝子の間にあるステップ、
(d)標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、(i)どのエンドポイントも2つの標的遺伝子の間に存在しないか、または(ii)少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つが使用される場合、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、
(e)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、エンドポイントの1つは、2つの標的遺伝子の間にあるステップ、
(f)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、(i)どのエンドポイントも2つの標的遺伝子の間に存在しないか、または(ii)少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つが使用される場合、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップならびに
(g)少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度が少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、細胞試料または第1の細胞試料および第2の細胞試料が、標的遺伝子の少なくとも1つの小さな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定し、少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度が少なくとも1つの第2のアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、細胞試料または第1の細胞試料および第2の細胞試料が、標的遺伝子の少なくとも1つの大きな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む方法である。
本発明の他の実施形態は、PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセットである。
本発明の他の実施形態は、TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも1つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、DYRK1AまたはERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、ならびにTMPRSS2またはU2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセットである。
本願は特定の実施形態において例えば以下の項目を提供する:
(項目1)
FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイのためのプローブセットを調製する方法であって、
(a)癌抑制遺伝子を含む染色体上の少なくとも1つの境界ゾーンを同定するステップであって、前記少なくとも1つの境界ゾーンが、前記癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーンを含むステップ、
(b)前記第1の境界ゾーン内の核酸配列に、または前記第1の境界ゾーンに比べて前記癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のフランキングプローブを提供するステップ、
(c)前記癌抑制遺伝子に対してテロメア側の核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のフランキングプローブを提供するステップ、および
(d)前記境界ゾーンの間の前記癌抑制遺伝子における核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを提供するステップ
を含む、方法。
(項目2)
癌抑制遺伝子の欠失についてのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)複数の細胞を含む細胞試料について、プローブセットを用いてFISHを実行するステップであって、前記プローブセットは、前記癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、前記癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および前記癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを含む、ステップ、
(b)前記複数の細胞において、前記少なくとも第1のフランキングプローブおよび前記少なくとも第2のフランキングプローブならびに前記少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)(i)アーチファクトヘミ接合性欠失頻度および(ii)アーチファクトホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、
(d)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、(i)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および(ii)見かけ上のホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、ステップ(c)においてアーチファクトホモ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、前記少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を含み、ステップ(c)においてアーチファクトヘミ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、前記少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のホモ接合性欠失頻度を含む、ステップ、ならびに
(e)前記見かけ上のヘミ接合性欠失頻度が前記アーチファクトヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記試料が、前記癌抑制遺伝子のヘミ接合性欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するか、または前記見かけ上のホモ接合性欠失頻度が前記アーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記試料が、前記癌抑制遺伝子のホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む、方法。
(項目3)
癌抑制遺伝子の小さな欠失および大きな欠失を識別可能に検出するためのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)プローブセットを用いて、複数の細胞を含む細胞試料についてFISHを実行するか、またはプローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて、複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行し、前記プローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて前記第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップであって、前記プローブセットは、前記癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ、前記癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、前記癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに前記第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブおよび前記第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを含む、ステップ、
(b)前記複数の細胞または複数の前記複数の細胞において、前記少なくとも1つの標的プローブならびに前記少なくとも第1のフランキングプローブ、前記少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに前記少なくとも第3のフランキングプローブおよび前記少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する前記癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、
(d)前記癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、前記エンドポイントの少なくとも1つが、前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、
(e)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する前記癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度を決定するステップ、
(f)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、前記癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、前記エンドポイントの少なくとも1つが、前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、ならびに
(g)前記少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度が、前記少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記試料が、前記癌抑制遺伝子の小さな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定し、前記少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度が、少なくとも1つの第2のアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記試料が、前記癌抑制遺伝子の大きな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む、方法。
(項目4)
癌抑制遺伝子の欠失についてのFISHベースのアッセイを最適化する方法であって、
(a)複数の候補プローブセットを提供するステップであって、それぞれの候補プローブセットは、前記癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、前記癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および前記癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを含む、ステップ、
(b)それぞれの候補プローブセットについて、
(i)前記癌抑制遺伝子の完全なコピーの正倍数性の数を含む複数の細胞を含む少なくとも1つの細胞試料について前記候補プローブセットを用いてFISHを実行し、
(ii)前記少なくとも1つの試料の前記複数の細胞において前記候補プローブセットの前記少なくとも第1のフランキングプローブおよび前記少なくとも第2のフランキングプローブならびに前記少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数え、そして
(iii)ステップ(ii)の数えられたFISHシグナルからアーチファクト欠失頻度を決定するステップ、ならびに
(c)癌抑制遺伝子の欠失について最適化されたFISHベースのアッセイに使用するための前記候補プローブセットからプローブセットを選択するステップであって、選択されたプローブセットは、ステップ(iii)において好ましいアーチファクト欠失頻度を有すると決定された、ステップ
を含む、方法。
(項目5)
第21染色体のバンド21q22.13−21q22.3における欠失についてのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)複数の細胞を含む細胞試料について、プローブセットを用いてFISHを実行するステップであって、
前記プローブセットは、
TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも1つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ、
前記少なくとも1つの標的遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、ならびに、
前記少なくとも1つの標的遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ
を含む、ステップ、
(b)前記複数の細胞において、前記少なくとも第1のフランキングプローブおよび前記少なくとも第2のフランキングプローブならびに前記少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)(i)アーチファクトヘミ接合性欠失頻度および(ii)アーチファクトホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、
(d)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、(i)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および(ii)見かけ上のホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、ステップ(c)においてアーチファクトホモ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、前記少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を含み、ステップ(c)においてアーチファクトヘミ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、前記少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のホモ接合性欠失頻度を含む、ステップ、ならびに
(e)前記見かけ上のヘミ接合性欠失頻度が前記アーチファクトヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記試料が、前記標的遺伝子の少なくとも1つのヘミ接合性欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するか、または前記見かけ上のホモ接合性欠失頻度が前記アーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記試料が、前記標的遺伝子の少なくとも1つのホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む、方法。
(項目6)
第21染色体のバンド21q22.13−21q22.3における小さな欠失および大きな欠失を識別可能に検出するためのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)プローブセットを用いて、複数の細胞を含む細胞試料についてFISHを実行するか、またはプローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて、複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行し、前記プローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて前記第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップであって、
前記プローブセットは、
TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも2つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも2つの標的プローブ、
前記少なくとも2つの標的遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、
前記少なくとも2つの標的遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに必要に応じて
前記第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブおよび前記第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つ
を含む、ステップ、
(b)前記複数の細胞または複数の前記複数の細胞において、前記少なくとも2つの標的プローブならびに前記少なくとも第1のフランキングプローブ、前記少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに存在する場合、前記少なくとも第3のフランキングプローブおよび前記少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する前記標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、前記エンドポイントの1つは、2つの標的遺伝子の間にある、ステップ、
(d)前記標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、(i)どのエンドポイントも2つの標的遺伝子の間に存在しないか、または(ii)前記少なくとも第3のフランキングプローブおよび前記少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを使用した場合、前記エンドポイントの少なくとも1つは、前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、
(e)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する、前記標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、前記エンドポイントの1つは、2つの標的遺伝子の間にある、ステップ、
(f)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、前記標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、(i)どのエンドポイントも2つの標的遺伝子の間に存在しないか、または(ii)前記少なくとも第3のフランキングプローブおよび前記少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを使用した場合、前記エンドポイントの少なくとも1つは、前記少なくとも第1のフランキングプローブと前記少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、ならびに
(g)前記少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度が前記少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記細胞試料が、前記標的遺伝子の少なくとも1つの小さな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定し、そして前記少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度が少なくとも1つの第2のアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、前記細胞試料が、前記標的遺伝子の少なくとも1つの大きな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップを含む、方法。
(項目7)
PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセット。
(項目8)
TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも1つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、DYRK1AまたはERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、ならびにTMPRSS2またはU2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセット。
(項目9)
PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびWAPALにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセット。
前述の全般的な説明および実施形態の以下の説明の両方は、単に、例示的かつ説明的なものであり、特許請求されるように、本発明を限定するものではないことが理解されたい。
本明細書において組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を例証し、説明と共に、本発明の原理について説明するのに役立つ。
図1は、染色体腕の一部の大きな介在欠失を示す図である。この例において、欠失が起こった後に、いくつかのサイトバンドが失われる。 図2は、プローブセットの配置(パネルA)および核の3色間期FISH分析を使用する典型的な観察(パネルB)を示す図である。パネルAは、図式的な染色体上のプローブのハイブリダイゼーション部位の配置を示す。プローブAは、ハッチングとして示される、第1の色を用いて標識され(たとえば蛍光顕微鏡法では、この色は赤色とすることができる)、標的プローブ(「Tum Sup」)は、白色として示される、第2の色を用いて標識され(たとえば蛍光顕微鏡法では、この色は緑色とすることができる)、プローブBは、黒色として示される、第3の色を用いて標識される(たとえば蛍光顕微鏡法では、この色は青色とすることができる)。パネルBでは、正常な核(左)は、3対のそれぞれの色のシグナルを有するであろう。Tum Sup遺伝子の単純なヘミ接合性の損失(中央の核)について、「白色の」FISHシグナルは、欠けており(つまり、1つのシグナルのみが存在する)が、癌抑制遺伝子の側面に位置するプローブAおよびBは、二つ組みで存在したままである。ホモ接合性の損失(右の核)については、フランキングプローブは保持されているが、両方の「白色の」FISHシグナルは、欠失している。 図3は、複雑な再構成を受けた細胞からの可能性のあるFISHシグナルを示す図である。この図におけるFISHシグナルは、図2と同じプローブセットによって生成される。左のパターンは、フランキングプローブAのハイブリダイゼーション部位を含む領域の2つの倍加およびフランキングプローブBのハイブリダイゼーション部位を含む領域の1つの倍加が生じた細胞によって生成され得る。右のパターンは、癌抑制因子が、ヘミ接合性に欠失し、プローブBのハイブリダイゼーション部位を含む領域の3つの余分なコピーが倍加事象から結果として生じた細胞によって生成され得る。 図4は、対照正常前立腺細胞を使用して欠失をスコアリングするための閾値および一方のプローブがPTENにハイブリダイズし、他方のプローブがセントロメア側のハイブリダイゼーション部位を有する第10染色体についての染色体計数プローブである2色プローブセット(Vysis Inc.)を使用するPTEN欠失検出を示す図である。 図5は、TSPAN15、PTEN、およびFASにハイブリダイズするプローブを使用するFISHアッセイ設計を示す図である。パネルAは、PTEN欠失事象を検出するために使用することができるプローブのハイブリダイゼーション部位の図である。3つのプローブセットは、セントロメア側の紫色のTSPAN15およびテロメア側の緑色のFAS遺伝子が側面に位置する赤色のPTENプローブを含む。パネルBは、核当たり2つの赤色(PTEN;白色として示される)、緑色(FAS;斜めのハッチングとして示される)、青色(第10染色体計数プローブ;交差ハッチング)、および紫色(TSPAN15;黒色として示される)のスポットを有することが予想されるであろう正常な細胞を使用する、4色間期FISHの三次元の図である。青色のセントロメアプローブは、モノソミー10が存在し得るかどうかを決定するために使用される。標的プローブのハイブリダイゼーション部位にフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位が接近しているために、切断は、フランキングプローブおよび標的プローブにともに影響を与える傾向があり、欠失についてのスコアリングアルゴリズムは、フランキングプローブおよび標的プローブに影響を与えない実際の欠失事象ならびに切出しによって引き起こされる切断の間での識別の改善を伴って設計することができる。ここに示される図のセクションにおいてなどのように正常な核のアッセイ分析では、切出しの間の切断による排除によるそれぞれのプローブについてのアーチファクト欠失頻度の閾値レベルを提供するために使用することができる。 図6は、核当たり1つの赤色(PTEN;白色として示される)、2つの緑色(FAS;斜めのハッチングとして示される)、2つの青色(第10染色体計数プローブ;交差ハッチング)、および2つの紫色(TSPAN15;黒色として示される)のスポットを有することが予想されるであろう、PTENについてヘミ接合性に欠失した細胞を使用する4色間期FISHの三次元の図を示す図である。 図7は、核当たり1つの赤色(PTEN;白色として示される)、1つの緑色(FAS;斜めのハッチングとして示される)、2つの青色(第10染色体計数プローブ;交差ハッチング)、および2つの紫色(TSPAN15;黒色として示される)のスポットを有することが予想されるであろう、PTENおよびFASを含む領域についてヘミ接合性に欠失した細胞を使用する4色間期FISHの三次元の図を示す図である。 図8は、小さなホモ接合性のPTEN欠失を有する細胞からの染色体上の3つのプローブを用いる中期FISHを示す図である。図8Aは、10q23.2にハイブリダイゼーション部位を有するRP11−420K10に由来するセントロメア側のフランキングプローブからのFISHシグナルを示す図である。2つのダブレットFISHシグナルがこのプローブについて観察された。図8Bは、10q25.1にハイブリダイゼーション部位を有するRP11−246B13に由来するテロメア側のフランキングプローブからのFISHシグナルを示す図である。2つのダブレットFISHシグナルが、このプローブについて同様に観察された。図8Cは、存在する場合、PTENにハイブリダイズするであろうRP11−846G17からのFISHシグナルの不在を示す図である。DAPIチャネルからの非特異的なDNA染色のいくらかの表面滲みのみが目に見えた。図8Dは、パネルA〜Cにおいて示される3つのチャネルおよびDAPIチャネルのオーバーレイを示す図である。 図9は、BMPR1A、PTEN、FAS、および第10染色体のセントロメア側のプローブからの多数のFISHシグナルを含む2つの核を示す図である。上位の核は、2つのセントロメア側のシグナル(C)およびBMPR1A/PTEN/FAS(B/P/F)シグナルの2つのクラスターを示す。下位の核は、BMPR1A/PTEN/FASおよびセントロメア側のシグナル(B/P/F/C)の2つのクラスターならびに一方がセントロメア側のシグナルに近い、2つのB/P/Fクラスターがある、複製後の核であるように思われる。2つのセントロメア側のシグナルが分解されていないまたは1つが切断事象により失われた可能性がある。 図10は、CGHデータからの前立腺癌試料対正常参照DNAについてのコピー数プロファイルを示す図である。左側のプロファイルは、癌試料における損失の程度を示し、右側のプロファイルは、獲得の程度を示す。矢じりは、PTENの位置に対応する損失プロファイルにおけるピークを示す。さらなる説明については、実施例1を参照されたい。 図11は、ヘミ接合性のPTEN欠失を有する82の前立腺癌試料についてのFISH結果を示す図である。1つの欠けているFISHシグナルを有するプローブは陰影によって示し、したがって、たった1つのPTENシグナルを失った試料は、PTEN列においてのみ陰影を有し、両方のフランキングプローブが同様に失われた試料は、3つの列すべてにおいて陰影を有する。さらなる説明については、実施例3を参照されたい。 図12は、ホモ接合性のPTEN欠失を有する50の前立腺癌試料についてのFISH結果を示す図である。陰影がホモ接合性の損失を示し、斜めのハッチングがヘミ接合性の損失を示すという点を除いて、プロットは、図11におけるとおりである。さらなる説明については、実施例3を参照されたい。 図13は、様々なPTEN欠失ステータスについての代表的なFISH顕微鏡検査法の画像を示す図である。白色の矢じりは、PTEN FISHシグナルを示す。PTENに加えて、使用されるプローブは、図9におけるとおりである。パネルAにおける細胞は、2つのそれぞれのFISHシグナルを有した(正常)。パネルBにおける細胞は、1つのPTEN FISHシグナルを頻繁に欠いた(小さなヘミ接合性のPTEN欠失)。パネルCにおける細胞は、1つのPTEN FISHシグナルおよび1つのプローブA FISHシグナルを頻繁に欠いた(大きなヘミ接合性のPTEN欠失)。パネルDにおける細胞は、PTENおよびプローブBについてのFISHシグナルの両方を頻繁に欠いた(大きなホモ接合性の欠失)。パネルEにおける細胞は、2つのPTEN FISHシグナルを頻繁に欠いた(小さなホモ接合性の欠失)。 図14は、セグメント重複が円の内部で曲線によって結び付けられる染色体10qの環状記号を示す図である。円の外側の3つの矢じりは、下から上に、プローブA、PTENプローブ、およびプローブBのハイブリダイゼーション部位をそれぞれ示す。 図15は、第10染色体を、円で囲まれたPTENの位置と共に示す図である。実施例1のCGHコピー数データから生成された損失および獲得のプロットを染色体の図の下に示す。下の2列は、CNVおよびセグメント重複の部位である。 図16は、PTENの付近にある図15からのデータの拡大を示す図である。図13その他からのプローブAおよびプローブBの位置を示す。CNVおよびセグメント重複は、CGHデータの下の3および5列目に示す。その下に、個々の前立腺癌試料における欠失エリアを示す(太い線は欠失を示す)。 図17は、小さなおよび大きなPTEN欠失を区別する2部の方法のためのプローブサブセットを示す図である。方法の第1の部では、FISHは、TSPAN15にハイブリダイズするフランキングプローブ、PTENにハイブリダイズする標的プローブ、およびFASにハイブリダイズするフランキングプローブを用いて実行することができる。セントロメア側のプローブもまた、使用することができる。小さな欠失のブレークポイントが最も頻繁に生じるように思われる境界ゾーンは、点線によって示す。セグメント重複クラスター(SD)の位置もまた、示す。第2の部(「反射的なアッセイ」)では、フランキングプローブは、BMPR1AおよびSUFUにハイブリダイズする。アッセイのそれぞれの部は、一方の側のPTENに比較的近い領域が、大きな欠失によって影響を与えられるかどうかを調べ、さらに大きな欠失において影響を与えられるであろう他方の側の、より遠く離れているプローブを提供し、SUFUの場合には、損失は、PTENからテロメアまでずっと及ぶ欠失によって引き起こされ得る。 図18は、小さなおよび大きなPTEN欠失を区別するための2部のアッセイのための、完全な染色体に結合した図17におけるプローブからのFISHシグナルを示す図である。 図19は、第10染色体に沿った図17における2部のアッセイのプローブについてのプローブハイブリダイゼーション部位およびプローブが由来し得るBACを示す図である。パネルAは、第1のサブセットのプローブを示し、パネルBは、第2のサブセットのプローブを示す(反射的なアッセイについて)。 図20は、PTEN、BMPR1A、SUFU、TSPAN15、およびFASの近くのCNVおよびセグメント重複の座の相対的地位を示す図である。 図21は、95%の同一性および長さ>10000bpによるblastファイルからのヒットの抽出のためのパイソンスクリプト言語ソースコードを示す図である。 図22は、より小さなおよびより大きな欠失を検出するための4色fishを使用するプローブセット配置を示す図である。これは、領域21q22.2の引き伸ばしたセクション上のプローブのハイブリダイゼーション部位を示す。垂直線を用いて示された標的プローブA(DSCAM)は、第1の色(たとえば水色)で標識する。水平方向の線を用いて示された標的プローブB(HMGN1)は、第2の色(たとえば金色)で標識する。格子縞模様で示すフランキングプローブC(ERG)は、第3の色(たとえばオレンジ色)で標識する。むくで示すフランキングプローブD(5’TMPRSS2)は、第4の色(たとえば緑色)で標識する。図はまた、第1の4つのプローブのうちの3つのシグナルが失われ、より大きな欠失境界が有効となる場合において使用されるドットのセントロメア側のフランキングプローブE(たとえば緑色の蛍光で標識されたDYRK1A)および斜交平行線模様のテロメア側のフランキングプローブF(たとえば金色の蛍光で標識されたU2AF1)をも示す。4色試験では、プローブAおよびBが失われる場合、プローブCおよびD(オレンジ色および緑色の蛍光)は残るであろう。プローブA、B、およびCが失われる場合、プローブD(緑色の蛍光)は残り、さらなるフランキングプローブのいずれかを用いる追跡3色の試験は、欠失境界を決定するために使用することができる。 図23は、遺伝子および例示的なプローブ位置を示す21q22.13−21q22.3領域のマップならびに欠失が生じ得るゾーンの指標を示す図である。
A.概要
本発明の実施形態は、FISHベースのアッセイを行う方法、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイのためのプローブを調製する方法、癌抑制遺伝子の欠失についてのFISHベースのアッセイを最適化するための方法、ならびにFISHベースの癌抑制因子欠失アッセイに有用なプローブセット、組成物、およびプローブを含むキットを含む。
いくつかの実施形態では、癌抑制因子は、PTEN、p53、p16(CDKN2Aとしても公知)、RB1、DCC、BRCA1、BRCA2、およびAPCから選ばれる。たとえば、これらの癌抑制因子は、たとえばChang Hら、Multiple myeloma involving central nervous system: high frequency of chromosome 17p13.1 (p53) deletions、British Journal of Haematology 2004年;127巻:280〜284頁;Kohno TおよびYokota J、Molecular processes of chromosome 9p21 deletions causing inactivation of the p16 tumor suppressor gene in human cancer: Deduction from structural analysis of breakpoints for deletions、DNA Repair 2006年;5巻:1273〜1281頁;Friend SHら、A human DNA segment with properties of the gene that predisposes to retinoblastoma and osteosarcoma、Nature 1986年;323巻:643〜6頁;Popat SおよびHoulston RS、A systematic review and meta−analysis of the relationship between chromosome 18q genotype, DCC status and colorectal cancer prognosis、European Journal of Cancer 2005年;41巻:2060〜2070頁;Becker Kら、Deletions of BRCA1/2 and p53 R248W gain−of−function mutation suggest impaired homologous recombination repair in fragile histidine triad negative sebaceous gland carcinomas、British Journal of Dermatology 2008年;159巻:1282〜1289頁;ならびにCastellsague Eら、Detection of APC gene deletions using quantitative multiplex PCR of short fluorescent fragments、Clin. Chem. 2008年;54巻:1132〜40頁において説明されている。
いくつかの実施形態では、癌抑制因子は、10q23、17p13、13q14、9q24、および9p21から選ばれる染色体バンドのヒト染色体上に位置する癌抑制因子から選ばれる。いくつかの実施形態では、癌抑制因子は、10q、17p、13q、9p、1p、5q、19q、20q、8p、12p、および16qから選ばれるヒト染色体腕上に位置する癌抑制因子から選ばれる。たとえば、前述のバンドおよび腕における癌抑制因子の存在は、たとえばKolomietz Eら、Quantitative PCR identifies a minimal deleted region of 120kb extending from the Philadelphia chromosome ABL translocation breakpoint in chronic myeloid leukemia with poor outcome、Leukemia 2003年;17巻:1313〜1323頁、2003年;Haase D、Cytogenetic features in myelodysplastic syndromes、Ann. Hematol. 2008年;87巻:515〜526頁;Reifenberger Jら、Molecular genetic analysis of oligodendroglial tumors shows preferential allelic deletions on 19q and 1p、Am. J. Pathol. 1994年;145巻:1175〜1190頁;Chang Bら、Integration of Somatic Deletion Analysis of Prostate Cancers and Germline Linkage Analysis of Prostate Cancer Families Reveals Two Small Consensus Regions for Prostate Cancer Genes at 8p、Cancer Research 2007年;67巻:4098〜4103頁;およびReiner Mら、Microarray comparative genomic hybridization analysis of tubular breast carcinoma shows recurrent loss of the CDH13locus on 16q、Human Pathology 2008年;39巻:1621〜1629頁において説明されている。
ヒト染色体腕およびバンドは、ISCN 2009年. An International System for Human Cytogenetics Nomenclature、編集者:Shaffer LG、Slovak ML、Campbell LJ.、2009年;第2章、S. Karger Publishers Inc.において定義されるとおりである。
下記の定義は、本発明の実施形態を理解するのに有用な用語および概念の定義であり、詳細な実施形態の説明およびそれらの実施形態の実施例が続く。実施形態の説明がセクションおよびサブセクションに構成されているが、1つのサブセクションにおいて説明される多くの態様は、他のセクションにおける実施形態に関連がある、たとえば、プローブのタイプの説明は、プローブを使用する方法に関連することが理解されたい。
B.定義
本明細書において使用されるように、「境界ゾーン」は、欠失のエンドポイントが高頻度で生じる染色体の領域である。染色体上の癌抑制遺伝子の近くの境界ゾーンの位置は、多くの試料について欠失のエンドポイントを測定し、多くのエンドポイントが密集する領域を同定することによって決定することができる。試料の集団における欠失エンドポイントは、FISHまたは比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)を使用するアレイなどのような技術によって測定することができ、これは、セクションC.1において下記にさらに説明される。いくつかの実施形態では、境界ゾーンのサイズは、50kb、100kb、200kb、300kb、400kb、500kb、もしくは1Mb以上および/または1.5Mb、2Mb、3Mb、4Mb、もしくは5Mb以下である。境界ゾーンは、CGHによって同定される壊れやすい領域を含む。
対象(たとえば前立腺癌)の所与の癌抑制遺伝子、ゾーンサイズ、および状態について、癌抑制遺伝子を含む染色体は、いくつかの実施形態では、「主要な境界ゾーン」を含んでいてもよい。主要な境界ゾーンは、最も大きな頻度で欠失エンドポイントを含む、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側またはテロメア側の領域である。癌抑制遺伝子の各側に対して1つある、2つの主要な境界ゾーンがあり得る。
用語「欠失」は、染色体腕の一部が欠けている構造的染色体異常を説明するために細胞遺伝学的意味で、本明細書において使用される。したがって、欠失は、欠けているゲノムの特定の領域にマッピングされる染色体物質および遺伝子(複数可)の損失である。大まかに言えば、細菌人工染色体(BAC)由来のDNAを標識することによって調製されるプローブなどのようなFISHプローブは、細胞試料にハイブリダイズされ、FISHシグナルの存在または不在は、欠失が存在するかどうかを決定するために使用される。臨床的に遭遇する最も単純なタイプの欠失は、介在欠失である(図1を参照されたい)。いくつかの欠失は、約5Mb DNAである、古典的な細胞遺伝学的分析の分解能未満である微小欠失であると考えられる。DNAのそのような超顕微鏡的な介在損失は、染色体の内部から生じ、1つのサイトバンド(cytoband)内に生じる可能性がある。それらは、数百kbのDNAほどの小さいものとなり得、典型的に、FISH法によって検出される。
本明細書において使用されるように、「プローブセット」は、異なって標識されたDNA配列のグループであるまたはマルチカラーFISHアッセイにおいて使用するために異なって標識することができる。プローブセットのプローブは、蛍光顕微鏡法によって目に見えるシグナルを生成するために、限定を伴うことなく、宿主株からのBACもしくはコスミドDNAの単離;ゲノムもしくはクローニングDNAの増幅(たとえばポリメラーゼ連鎖反応もしくはローリングサークル増幅);またはたとえば、標的ゲノムにおける十分に大きな領域(たとえば少なくとも50kbもしくは少なくとも100kb)を網羅するオリゴヌクレオチドのセットの人工合成によるものを含む、当業者らに公知の様々な手順によって調製することができる。所与の領域に対するプローブは、複数の細菌人工染色体(BAC)、コスミド、増幅産物、オリゴヌクレオチドなどに由来してもよいことに注目されたい。ある場合には、プローブはまた、ゲノムの他の領域にもハイブリダイズする反復配列を含有しないように設計されてもよい。特定のBAC「に由来する」プローブ「を含む」プローブセットは、明確に列挙されるプローブに寄与するまたはさらなるプローブを提供するもしくそれに寄与する、使用されているさらなるBACに関して排他的でない(open)ことが理解されたい。対照的に、特定のBAC「に由来する」プローブ「から成る」プローブセットは、使用されているさらなるBACに関して排他的である(closed)。特定の遺伝子「にハイブリダイズする」プローブは、少なくとも部分的に、特定の遺伝子に重複する結合部位を有する。プローブはまた、近隣の遺伝子の一部にハイブリダイズしてもよいまたはしなくてもよい。用語「遺伝子」は、GeneCards(登録商標)データベース、v3.05、2011年2月13日(たとえばhttp://www.genecards.orgを参照されたい)において所与の遺伝子について提供されるなどのように、染色体の座標によって境界を示されるゲノムDNAのエリアを参照して、一般に使用される。
本明細書において使用されるように、「FISHシグナル」は、その標的へのプローブのハイブリダイゼーションから結果として生じる、FISHアッセイにおいて観察される蛍光のスポットである。FISHシグナルは、多くの場合、点状であるが、観察下の細胞におけるクロマチンの縮合状態に依存して、必ずしも、全体として密集して現れ得るとは限らない。
所与の特徴を有する複数の細胞を含む細胞試料について説明される場合、必ずしも、細胞試料における細胞がすべて、所与の特徴を有するというわけではないことに注目されたい。
本明細書において使用されるように、「アーチファクト欠失頻度」は、FISHシグナルの欠乏が、試料調製の間の核の切断または試料における細胞の遺伝子型と関連しない任意の他の原因などのような、誤差の原因により観察される、欠失アッセイにおける頻度を指す。アーチファクト欠失頻度は、FISHアッセイにおいて標的にされる遺伝子の欠失を含有していない陰性対照試料を使用して決定することができる。
本明細書において使用されるように、「見かけ上の欠失頻度」は、FISHシグナルの欠乏が観察される欠失アッセイにおける頻度を指し、それは、したがって、試料における実際の欠失頻度とのアーチファクト欠失頻度(試験試料について一般に未知であるが、上記に説明されるように対照試料から推定することができる)の組み合わせである。見かけ上の欠失頻度は、1つもしくは複数のFISHシグナルの特定のセットの不在の頻度、標的プローブからの1つのFISHシグナルが欠けている全体の頻度、標的プローブからの2つのFISHシグナルが欠けている全体の頻度、または標的プローブからの少なくとも1つのFISHシグナルが欠けている全体の頻度を指すことができる。
本明細書において使用されるように、「正倍数性の数」は、所与のタイプの細胞について正常な遺伝子のコピーの数を指す。正倍数性の数が4である場合の複製後および分裂前を除いて、正倍数性の数の典型的な値は、体細胞における体細胞染色体の座について2である。当業者らに公知である正倍数性の数が異なる他の状況があり、たとえば、正倍数性の数は、還元減数分裂を受けた生殖系列細胞においておよびX染色体座について雄性細胞において半分に低下する。Y染色体座についての正倍数性の数は、雌性細胞において0、雄性細胞において1(または複製後および分裂前に2)である。
「染色体計数プローブ(chromosome enumeration probe)」は、核において特定の染色体の数を決定するために使用されるプローブを指し、一般的なタイプの染色体計数プローブは、セントロメア側またはセントロメア周囲の(pericentromeric)座でハイブリダイズするプローブを含む。
候補プローブセットによって与えられるアーチファクト欠失頻度および/または感度値に関して使用される場合の「好ましい」は、値が、試験される候補プローブセットの平均値よりも少なくとも、好適であることを意味する。アーチファクト欠失頻度および/または感度値が、少なくとも60パーセンタイル、70パーセンタイル、80パーセンタイル、90パーセンタイル、または95パーセンタイルにあるといった、よりストリンジェントな基準を適用することによって、候補プローブセットを選択することもまた、もちろん可能であり、より高度なパーセンタイルは、より好適な性能を示すことが理解されたい(つまり高感度またはより低いアーチファクト欠失頻度)。
第1の座が第2の座よりもセントロメアに対して近い場合、第1の座は、第2の座に対して「セントロメア側に」ある。
第1の座が、第1の座が存在する腕のテロメアに対して第2の座よりも近い場合、第1の座は、第2の座に対して「テロメア側に」ある。
第1の座が、境界ゾーンに比べて癌抑制因子から遠位にあるハイブリダイゼーション部位などのような第3の座に比べて第2の座から「遠位にある」場合、第1の座が、第3の座からよりも、第2の座からさらに遠いことを意味し、したがって、ハイブリダイゼーション部位が、癌抑制因子に対してセントロメア側にある境界ゾーンに比べて、癌抑制因子から遠位にある場合、ハイブリダイゼーション部位は、癌抑制因子に対して必ずセントロメア側にある。同様に、ハイブリダイゼーション部位が、癌抑制因子に対してテロメア側にある境界ゾーンに比べて、癌抑制因子から遠位にある場合、ハイブリダイゼーション部位は、癌抑制因子に対して必ずテロメア側にある。
C.プローブを調製する方法
本発明は、欠失検出のための3色以上のFISHアッセイのためのプローブの調製に部分的に関する。プローブは、たとえば、ヒト癌において頻繁に欠失しているDNAの0.5〜10メガベース(mb)の間のゲノム区間内におよびその末端にまたはその末端の近くにハイブリダイゼーション部位を有するように設計することができる。癌抑制遺伝子にハイブリダイズする標的プローブが、調製され、癌抑制遺伝子に対してテロメア側にあるおよびセントロメア側にあるハイブリダイゼーション部位を有するフランキングプローブが提供される(図2A)。
本発明の方法によって調製されるフランキングプローブは、同定された境界ゾーン内のおよび/または境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にあるハイブリダイゼーション部位を有することができる。いくつかの実施形態では、フランキングプローブは、境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にあるハイブリダイゼーション部位を有し、ハイブリダイゼーション部位の中心は、境界ゾーンの近位端に近い、たとえば、境界ゾーンの近位端から2Mb、1.5Mb、1Mb、500kb、200kb、または100kb以下である。
1.境界ゾーン同定
境界ゾーンは、Beroukhim Rら、The landscape of somatic copy−number alteration across human cancers、Nature 2010年;463巻:899〜905頁において記載されている[http://www.broadinstitute.org/tumorscape/pages/portalHome.jsf]で入手可能なものなどのようなパブリックドメインデータセットに由来する比較ゲノムハイブリダイゼーションデータを使用して同定することができる;Liu Wら、Copy number analysis indicates monoclonal origin of lethal metastatic prostate cancer, Nat Med 2009年;15巻:559〜65頁およびFerreira BIら、Array CGH and gene−expression profiling reveals distinct genomic instability patterns associated with DNA repair and cell−cycle checkpoint pathways in Ewing’s sarcoma, Oncogene 2008年;27巻:2084〜2090頁もまた、参照されたい。典型的に、これらのデータセットは、欠失を含まない正常な細胞由来の識別可能に標識された参照DNAと共に、高解像度ゲノムマイクロアレイに対して、対象の癌抑制因子の欠失を含む可能性がある複数の癌性試料、たとえば腫瘍試料由来の標識DNAを用いて比較ハイブリダイゼーション実験を実行することによって得られた。一度、複数の試料由来のゲノムDNAが、対象の癌抑制因子の頻繁な欠失を有するサブセットを含むように決定されたら、境界ゾーンは、個々の試料における別個のコピー数変化として同定される欠失ブレークポイントのクラスターがある領域として同定することができる。これは、対象の癌抑制因子に近づく位置と共に、コピー数における著しい減少として、癌性試料の集団における位置ごとの平均存在量から同定することができる。たとえば、参照に比べた平均コピー数は、500kb、750kb、1Mb、1.5Mb、または2Mbなどのような長さにわたり、15%、20%、または25%などのような量、減少してもよい。
大きな一連のアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(たとえば50、75、100、またはそれ以上)の分析が、複数の試料を個々にアッセイするために実行される場合、境界ゾーンもまた、コピー数変化が各試料において生じる場所を決定し、これらの位置をビニングし(binning)(たとえば、50kb、100kb 200kb 300kb、400kb、500kb、1Mb、1.5Mb、または2MbなどのようなサイズのDNAのストレッチに対応するビン(bin)において)、コピー数変化について有意に豊富であるビンを同定することによって、同定することができる。個々の試料におけるコピー数変化は、たとえばFerreira BIら、Array CGH and gene−expression profiling reveals distinct genomic instability patterns associated with DNA repair and cell−cycle checkpoint pathways in Ewing’s sarcoma, Oncogene 2008年;27巻:2084〜2090頁において記載されるように同定することができる。ランクセグメンテーションは、獲得および損失のセグメントを同定するために使用することができ、このプロセスは、たとえば、ユーザーマニュアルにおいて記載されるように、市販で入手可能なソフトウェアNexus Copy Number version 4 or 5(2010年2月)(BioDiscovery、El Seg
undo、CA)において実行される。
「セグメント重複」と呼ばれる配列マイクロホモロジーの境界ゾーン決定クラスの上記のモードに加えて、「コピー数多型」(CNV)と呼ばれる他のクラスは、上記に記載されるように同定されたコピー数変化の近くに存在し得る。いくつかの実施形態では、これらのクラスの少なくとも1つまたはそのような配列の両方のクラスが、コピー数変化に隣接してまたはその近くに(たとえば25、50、75、または100kb以内に)存在する場合、領域は、下記に記載されるようにFISHプローブ分析のために選択されるであろう。セグメント重複位置は、Segmental Duplication Databaseから得ることができる(She Xら、Shotgun sequence assembly and recent segmental duplications within the human genome、Nature 2004年;431巻:927〜930頁)。CNVデータは、Sanger InstituteのCNV Projectから得ることができる(http://www.sanger.ac.uk/humgen/cnv/);たとえばRedon Rら、Global variation in copy number in the human genome, Nature 2006年;444巻:444〜454頁およびKomura Dら、Genome−wide detection of human copy number variations using high−density DNA oligonucleotide arrays, Genome Res. 2006年;16巻:1575〜84頁を参照されたい。CNVおよびセグメント重複はまた、Stankiewicz P、Lupski JR、Genome architecture, rearrangements and genomic disorders, Trends Genet. 2002年;18巻:74〜82頁、Beroukhim Rら、The landscape of somatic copy−number alteration across human cancers、Nature 2010年;463巻:899〜905頁、およびCasci T、Genome evolution: CNV evolution revisited、Nature Reviews Genetics 2008年;9巻:814〜815頁においても記載されている。
いくつかの実施形態では、セグメント重複のクラスターが、コピー数変化の近くに存在するかどうかが決定される。クラスターは、500kb、1Mb、または2Mb領域内に少なくとも3、4、5、6、またはそれ以上のセグメント重複を含むことができる。
その代わりにまたは境界ゾーン決定のための上記のモードに加えて、境界ゾーンは、染色体の正常な配列に沿って間を置いて配置されるハイブリダイゼーション部位を有する一連のプローブを用いて、対象の癌抑制因子の欠失を含む可能性がある大きな複数のもの(たとえば300またはそれ以上の試料)をアッセイすることによって、FISHを使用して同定することができる。一連のプローブは、それらの間に結合するプローブがない場合、近いと考えられる。対象の癌抑制因子からより遠いプローブが、対象の癌抑制因子により近いプローブよりも有意に多く、欠失を含む試料においてFISHシグナルを生成する場合、境界ゾーンは、2つの近くのプローブの間に存在することが決定される。有意性閾値は、下記に説明される。
2.ハイブリダイゼーション部位
プローブは、プローブが、50%ホルムアミドを有する2×SSCにおける45℃などのような低ストリンジェンシー条件下でFISHによって検出に十分な程度まで塩基対を安定して形成する場合、部位にハイブリダイズすると考えられる。一般に、より低いストリンジェンシーは、低温および高塩濃度に関連する(Bayani J、Squire JA, Fluorescence in situ Hybridization (FISH), Curr Protoc Cell Biol. 2004年;第22章:Unit 22.4)。
本発明の方法によって調製されるプローブのハイブリダイゼーション部位は、以下の1つまたは複数を含む様々な方法で位置づけることができる。
(a)標的および他のハイブリダイゼーション部位に関する位置づけ
本発明によるプローブセットを調製する方法は、典型的に、癌抑制遺伝子における核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブおよび少なくとも2つのフランキングプローブを提供するステップを含み、一方は、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側にある部位にハイブリダイズし、一方は、癌抑制遺伝子に対してテロメア側にハイブリダイズする。
(b)第1および第2の境界ゾーンに関する位置づけ
フランキングプローブは、境界ゾーンに関して位置づけることができる。あるフランキングプローブは、第1の境界ゾーン内の核酸配列に、または第1の境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズすることができ、別のフランキングプローブは、第2の境界ゾーン内の核酸配列に、または第2の境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施形態では、これらの配列は、第1の境界ゾーンまたは第2の境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子に対して遠位にある。
(c)さらなる境界ゾーンに関する位置づけ
方法は、さらなる境界ゾーン(第3の境界ゾーン、第4の境界ゾーン、または第5の境界ゾーンなど)を同定するステップおよびそれぞれのさらなる境界ゾーンに対して、さらなる境界ゾーン内の核酸配列に、またはさらなる境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズするプローブを提供するステップをさらに含むことができ、ハイブリダイゼーション部位は、境界ゾーンに近くてもよい。3つ以上の境界ゾーンが同定される場合、欠失サイズは、試料の間で変動する傾向があることが予想される。プローブセットは、標的プローブにより近い、1つまたは複数のフランキングプローブからのFISHシグナルが、標的プローブ自体からのFISHシグナルと同様に欠けているかどうかに基づいて欠失のサイズに関する情報を得るために使用することができる。
3.プローブサイズおよび起源
境界ゾーンを同定することに加えて、プローブセットを調製する方法は、プローブを提供するステップを含む。プローブとして使用されるDNAは、たとえば、蛍光顕微鏡法によって目に見えるシグナルを生成するために、1つもしくは複数の先在する宿主株もしくはBAC/コスミドライブラリーからBACもしくはコスミドDNAを単離するまたは1つもしくは複数の新しいBACもしくはコスミドを構築すること;ゲノムまたはクローニングDNAを増幅すること(たとえばポリメラーゼ連鎖反応またはローリングサークル増幅);またはたとえば、標的ゲノムにおける十分に大きな領域(たとえば少なくとも50kbもしくは少なくとも100kb)を網羅するオリゴヌクレオチドのセットなどDNAを人工的に合成することによって得ることができる。プローブがハイブリダイズする領域のサイズは、50kbもしくは100kb以上および/または150kb、200kb、300kb、400kb、もしくは500kb以下である。
4.プローブ機能性
いくつかの実施形態では、本発明の方法に従って調製される少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1および第2のフランキングプローブは、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイにおいて使用することができ、アッセイは、5μmの厚さを有し、5μm未満の平均核直径を有するホルマリン固定パラフィン包埋細胞性試料に対して、20%、25%、30%、または35%未満のアーチファクト欠失頻度プラス3標準偏差として決定される有意性閾値を有する。癌性前立腺試料などのような試料由来のFFPE切片における完全な核は、完全な球体として存在しないが、切片調製の間に圧縮されてわずかに楕円形になる傾向があってもよい。
D.プローブセットおよびキット
本発明は、上記に記載される方法に従って調製されるプローブセットに関する。
本発明はまた、PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセットにも関する。そのような実施形態では、PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、標的プローブとして役立ち、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブおよびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、フランキングプローブとして役立つ。いくつかの実施形態では、プローブセットは、BMPR1Aにハイブリダイズする少なくとも1つのさらなるフランキングプローブを含む。ある実施形態では、プローブセットは、WAPALにハイブリダイズする少なくとも1つのさらなるフランキングプローブを含む。
いくつかの実施形態では、PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、BAC RP11−846G17に由来するプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、BAC RP11−399O19およびRP11−360H20の少なくとも1つに由来するFASにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、BAC RP11−404C6およびRP11−6P16の少なくとも1つに由来するTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−141D8およびRP11−52G13の少なくとも1つに由来するBMPR1Aにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−351D13、RP11−661D10、RP11−141D8、およびRP11−52G13の少なくとも1つに由来するWAPALおよび/またはBMPR1Aにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−141D8およびRP11−661D10の少なくとも1つに由来するWAPALにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−18I14およびRP11−2F13の少なくとも1つに由来するSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。本明細書において言及されるこれらのおよび他のすべてのBACは、Roswell Park Cancer Institute、Buffalo、New YorkおよびBACPAC Resources Center at Children’s Hospital and Research Center at Oakland、Californiaから入手可能である。たとえば、配列情報は、NCBI Clone Registry(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ projects/genome/clone/)から入手可能である。
下記は、本開示によるプローブセットにおいて使用することができる、選択されるBACについての第10染色体上のハイブリダイゼーション部位の位置に関する情報を提供する表である(座標は、version NCBI36/hg18、2006年3月におけるものである)。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、PTEN、FAS、およびTSPAN15にハイブリダイズするプローブを含み、PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、BAC RP11−846G17に由来するプローブを含み、FASにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、BAC RP11−399O19およびRP11−360H20に由来するプローブを含み、TSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、BAC RP11−404C6およびRP11−6P16に由来するプローブを含む。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、少なくとも1つのセントロメア側のまたはセントロメア周囲のプローブを含む。これは、染色体計数に使用することができる。セントロメア周囲のプローブの例は、BAC RP11−89J23、RP11−1044H3、および/またはRP11−80C16に由来するプローブを含む。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−846G17、RP11−399O19およびRP11−360H20の少なくとも1つならびにRP11−404C6およびRP11−6P16の少なくとも1つに由来するプローブから成る。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−846G17、RP11−399O19およびRP11−360H20の少なくとも1つならびにRP11−141D8およびRP11−52G13の少なくとも1つに由来するプローブから成る。
一般に、プローブは、プローブを生成するために、ニックトランスレーションなどのような標識反応を実行することによって、BACに由来することができる。しかしながら、由来は、プローブが非標識形態で提供される場合、単に、BACを成長させ、単離することであってもよい、言いかえれば、BACの由来物は、BAC自体を含む。
1.プローブ標識
本発明のプローブセットは標識することができる。非標識形態であるが、ハイブリダイゼーションに先立ってプローブの識別可能な標識を可能にする様式(たとえば別々の溶液または凍結乾燥体として)でプローブセットを提供することもまた、可能である。
標識は、直接の蛍光標識とすることができる。これは、直接標識されたヌクレオチドアナログの存在下においてニックトランスレーションまたはランダムプライミングなどのような周知の方法によって達成することができる。間接的な標識もまた、可能であり、それ自体蛍光団を有していないが、蛍光団の共有結合または非共有結合の付着を後で可能にする部分を有するヌクレオチドアナログが、ニックトランスレーションまたはランダムプライミング反応などのような標識反応において提供される。たとえばBayani J、Squire JA. Fluorescence in situ Hybridization (FISH)、Curr Protoc Cell Biol. 2004年;第22章:Unit 22.4を参照されたい。たとえば、アミノアリル部分を有するヌクレオチドアナログは、蛍光団と共有結合することができ、ビオチンまたはジゴキシゲニン部分を有するヌクレオチドアナログは、それぞれアビジンまたは抗ジゴキシゲニンなどのような結合パートナーと非共有結合することができ、結合パートナーは、蛍光でタグ付けされている。第1の結合パートナーを認識し、また標識される第2の結合パートナー(たとえば抗体)および場合により、次いで、第2を認識する第3の結合パートナーなどのような多数の層の結合パートナーを提供することによってシグナルを増幅することが可能である。
本明細書において記載されるプローブおよび方法と共に標識として使用することができる蛍光団の例は、SpectrumGreen、SpectrumOrange、SpectrumRed、およびSpectrumAqua(すべてAbbott Molecularから、Inter Medico、Markham、ON、Canada);7−アミノ−4−メチルクマリン−3−酢酸(AMCA);Texas Red(商標)(Molecular Probes,Inc.、Eugene、Oreg.);5−(および−6)−カルボキシ−X−ローダミン;リサミンローダミンB;5−(および−6)−カルボキシフルオレセイン;フルオレセイン−5−イソチオシアネート(FITC);7−ジエチルアミノクマリン−3−カルボン酸;テトラメチルローダミン−5−(および−6)−イソチオシアネート;5−(および−6)−カルボキシテトラメチルローダミン;7−ヒドロキシクマリン−3−カルボン酸;6−[フルオレセイン5−(および−6)−カルボキサミド]ヘキサン酸;N−(4,4−ジフルオロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−3a,4aジアザ−3−インダセンプロピオン酸;エオシン−5−イソチオシアネート;エリトロシン−5−イソチオシアネート;5−(および−6)−カルボキシローダミン6G;ならびにCascade(商標)ブルーアセチルアジド(Molecular Probes,Inc.、Eugene、Oreg.)である。LAVysionプローブセットでは、異なる色の蛍光団は、セットにおける染色体のプローブがそれぞれ別個に可視化することができるように使用される。これらの蛍光団の多くは、たとえばdCTPおよび/またはdUTPへのヌクレオチドコンジュゲート形態で市販で入手可能である。
プローブセットにおいてそれぞれのプローブと共に使用されることとなる蛍光団は、一般に、それらが蛍光顕微鏡法によって区別されるのを可能にするように選ばれるべきである。たとえば、4つの相互に識別可能な蛍光団は、SpectrumGreen、SpectrumOrange、SpectrumRed、およびSpectrumAquaである。5色FISHは、混合性の第5のプローブ、たとえばSpectrumAquaプラスSpectrumOrangeを使用することによって実行することができる。
2.染色体計数プローブ
いくつかの実施形態では、本発明のプローブセットは、上記に定義されるように、染色体計数プローブを含む。いくつかの実施形態では、染色体計数プローブ、たとえばCEP10プローブ(Vysis Abbott Molecular、Des Plaines、IL、USA)は、第10染色体上にハイブリダイゼーション部位を有する。
3.キット
本発明は、上記に記載されるプローブセットを含むキットに関する。キットはまた、プロテアーゼ(たとえばプロテイナーゼKもしくはペプシン)、バッファー(たとえばクエン酸ナトリウム)、および/またはチオシアン酸ナトリウムなどのような試料前処理のための化学物質などのような、FISHアッセイを実行するのに有用な他の試薬を含んでいてもよい。
4.組成物
本発明は、上記に記載されるようなプローブセットを含む組成物を提供し、プローブセットのプローブは、識別可能に標識される。組成物は、水性組成物とすることができ、バッファー(たとえばTris、重炭酸ナトリウム、MOPS、HEPES)、塩、および/またはキレート化作用物質(たとえばEDTA、EGTA)などのようなさらなる物質を含むことができる。
E.アッセイ方法
本発明は、FISHによって癌抑制因子の欠失についてアッセイするための方法を提供する。そのような方法において使用することができるプローブセットは、上記セクションCにおけるように調製されたプローブセットおよびセクションDのプローブセットを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、セクションC.2(b)およびC.2(c)において説明されるような境界ゾーンに関して位置づけられたハイブリダイゼーション部位を有する。
概して言えば、FISHによって癌抑制因子の欠失についてアッセイするための方法は、プローブセットを用いてFISHを実行するステップを含む。プローブセットは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを含む。フランキングプローブおよび標的プローブ(複数可)からのFISHシグナルが数えられる。少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度が、提供され、これは、陰性対照として役立つ。アーチファクト欠失頻度を、癌抑制遺伝子の欠失を有する細胞を含まない対照試料を用いて先に決定することおよびアーチファクト欠失頻度を多数のアッセイにおいて再度使用することが可能である。数えられたFISHシグナルに基づいて、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度が決定される。試料が癌抑制遺伝子の欠失を有する細胞を含むかどうかは、見かけ上の欠失頻度がアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて決定される。見かけ上の欠失頻度が比較されるアーチファクト欠失頻度は、欠失頻度がヘミ接合性またはホモ接合性かどうかおよびどのプローブハイブリダイゼーション部位が欠失によって影響を与えられるかの点から一致するはずである。
1.試料
FISHによって癌抑制因子の欠失についてアッセイするための方法において使用される試料は、細胞性の試料である。いくつかの実施形態では、試料は、ホルマリン、エタノール、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド−グルタルアルデヒド、またはカコジル酸ナトリウム、ホルマリン、およびグルタルアルデヒドの組み合わせなどのような保存剤を使用して、化学的に固定され、パラフィンまたは凍結組織マトリックス、たとえば最適切削温度(OCT)化合物などのような不活性固形物質中に包埋される。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%が非中期(たとえば間期)細胞である細胞を含む。たとえばWick MR、Mills NC、Brix WK. Tissue Procurement, Processing, and Staining Techniques. 第1章 1〜10頁 Diagnostic Histochemistry Wick MR.編 Cambridge University Press 2008年)を参照されたい。
一般に、試料は、固体支持体(たとえば、試料が包埋されているパラフィンマトリックスおよび/またはスライドガラスもしくはマイクロタイターウェルの壁)と共に提供される。
2.FISHの実行
本発明の欠失アッセイ方法は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を含む。用語「in situハイブリダイゼーション」は、一般に、細胞学的または組織学的調製物の一部である核酸標的に対する核酸プローブのハイブリダイゼーションを指す。典型的に、FISH方法は、以下のステップを含む:(a)上記に説明されるように固体支持体に固定された試料を提供するステップ;(b)たとえば化学的な処理またはプロテアーゼ処理を用いる標的DNAへのプローブDNAの到達性を増加させるための試料の処理(たとえば8%チオシアン酸ナトリウムを有する10mMクエン酸バッファー pH6.0;0.2N HCl;または25μg/mlのプロテイナーゼKもしくは750U/mlのペプシン)、(c)特異的なハイブリダイゼーション複合体を形成するためにプローブセットの標識プローブと標的DNAを含有する組織または物質を接触させるステップ、(d)標的に特異的にハイブリダイズしていないプローブを選択的に除去するための、複合体のハイブリダイゼーション後の洗浄、および(e)標的DNA分子とハイブリダイゼーション複合体を形成したプローブからのFISHシグナルを検出するステップ。そのような方法は、GallおよびPardue、Methods of Enzymology 1981年;21巻:470〜480頁;Henderson、International Review of Cytology、1982年;76巻:1〜46頁;Angererら、in Genetic Engineering: Principles and Methods(SetlowおよびHollaender編)1985年;7巻、43〜65頁、Plenum Press、New York;ならびにVarella−Garcia Mら、EGFR fluorescence in situ hybridisation assay: guidelines for application to non−small−cell lung cancer、J. Clin. Pathol. 2009年;62巻:970〜977頁を含む多くの資料において記載されている。
いくつかの実施形態では、プロテイナーゼKまたはトリプシンなどのようなタンパク質分解酵素を用いる核の処理は、完全な固定された核におけるタンパク質への標識DNAの非特異的な結合を軽減してもよい。さらに、CCD(電荷結合素子)などのような装置を使用する画像取り込み。さらに、CCD(電荷結合素子)カメラなどのような装置を使用する画像取り込みは、非特異的なハイブリダイゼーションから生じるバックグラウンド蛍光を低下させるために画像処理ソフトウェアを使用して画像の処理と連結することができる。さらに、ゲノムにおける反復配列とのプローブにおける反復配列のクロスハイブリダイゼーションは、複雑な蛍光シグナルに至り得る。Cot−1 DNA抑制ステップは、この問題を改善するためにハイブリダイゼーションプロトコールに含むことができる。Cot−1画分における核酸が、高頻度反復配列(たとえばAlu配列、α−サテライト、およびβ−サテライト配列)を含有することによって特徴付けられるので、これらの核酸は、ゲノムにおける反復配列に結合し、それによって、そのような配列へのプローブの結合を遮断する(たとえばBenjamin Lewin、Genes V、1994年、Oxford University Pressを参照されたい)。さらに、反復配列が除去されたプローブは、物理的な除去または直接的な合成によって調製されてもよい;たとえばRoganら、Sequence−Based Design of Single−Copy Genomic DNA Probes for Fluorescence In Situ Hybridization、Genome Res. 2001年;11巻:1086〜1094頁、Navinら、PROBER: oligonucleotide FISH probe design software、Bioinformatics 2006年;22巻:2437〜2438頁、および米国特許出願公開第2003/0022166号(Collinsら)を参照されたい。
以下は、試料を調製し、FISHを実行するための手順の例である。組織は、ホルマリンなどのような固定剤を用いて固定し、次いで、パラフィン中に包埋することができる。次いで、切片は、ミクロトームを使用してカットされ、顕微鏡スライドガラスに適用される。試料は、分析されることとなる癌性または前癌性細胞のタイプに依存して、生検材料または他の供給源から調製することができる、たとえば、供給源は、前立腺腫瘍、乳房腫瘍、黒色腫、および他の固形腫瘍:針生検試料、細針吸引生検材料、根治的前立腺全摘除術、転移性試料(たとえば骨またはリンパ節由来の)、細胞診調製物(尿または腹水などのような体液由来の)、ならびに末梢血から単離された循環腫瘍細胞から選ぶことができる。いくつかの実施形態では、検体は、細胞遠心と組み合わせられたエタノールもしくはメタノール:酢酸における細胞の固定、薄層析出法(たとえばThinPrep、Cytyc Corp.)、スミア、または顕微鏡スライドガラス上へのピペッティングによって調製することができる。
任意の適したin situハイブリダイゼーション方法を使用することができる。in situハイブリダイゼーション前に、細胞内に含有される染色体DNAは、それぞれ、変性させる。変性は、高pH、熱(たとえば、70℃〜95℃の温度、たとえば83℃)、ホルムアミドおよびテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物またはその組み合わせなどのような有機溶媒の存在下においてインキュベートすることによって典型的に実行される。たとえば、染色体DNAは、70℃を超える温度(たとえば73℃または83℃、約5分間のインキュベート)ならびに70%ホルムアミドおよび2×SSC(0.3Mの塩化ナトリウムおよび0.03Mのクエン酸ナトリウム)を含有する変性バッファーの組み合わせによって変性させることができる。変性条件は、典型的に、細胞形態が保存されるように確立される。たとえば、染色体プローブは、たとえば、約5分間、約73℃または83℃までプローブを加熱することによって、熱によって変性させることができる。
スライドにマウントされたFFPE試料についての処理手順の例は、以下の表において示される。
プローブセットのプローブが二本鎖形態で提供されるなどのようないくつかの実施形態では、プローブセットのプローブはまた、in situハイブリダイゼーション前に変性させてもよい。上記に記載されるものなどのような変性条件を使用することができる。
変性化学薬品または条件の除去の後に、プローブは、ハイブリダイズ条件下で染色体DNAにアニールされる。「ハイブリダイズ条件」は、プローブおよび標的染色体DNAの間のアニーリングを促進する条件である。ハイブリダイゼーション条件は、プローブの濃度、塩基組成、複雑さ、および長さならびにインキュベーションの塩濃度、温度、および長さに依存して変動する。たとえば、in situハイブリダイゼーションは、1×〜2×SSC、50〜55%ホルムアミド、ハイブリダイゼーション促進剤(たとえば10%デキストラン硫酸)、および非特異的なハイブリダイゼーションを抑制するための非標識遮断DNAを含有するハイブリダイゼーションバッファーにおいて実行することができる。一般に、ハイブリダイゼーション条件は、上記に記載されるように、25℃〜55℃の温度、および0.5時間〜96時間のインキュベーションの長さを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションは、2〜16時間、32℃〜約45℃の温度で実行することができる。
標的領域の外部のDNAへの染色体のプローブの非特異的な結合は、食塩水を用いる一連の洗浄によって除去することができる。それぞれの洗浄における塩の温度および濃度は、所望のストリンジェンシーに依存する。たとえば、高度なストリンジェンシー条件については、洗浄は、0.2×〜2×SSCおよびNP−40などのような0.1%〜1%の非イオン性界面活性剤を使用して、約65℃〜約80℃で実行することができる。ストリンジェンシーは、洗浄の温度を減少させることによってまたは洗浄における塩の濃度を増加させることによって低下させることができる。組織試料へのプローブのハイブリダイゼーションは、手動でまたはThermoBrite hybridization oven、VP 2000 Processor、もしくはXMatrix(商標)processing instrument(すべてAbbott Molecular,Inc.から市販で入手可能)などのような機器の補助により実行することができる。
ハイブリダイズさせ、洗浄された試料からのFISHシグナルの検出は、顕微鏡で直接、蛍光を観察するオペレーターによってなどのようにリアルタイムでの後の分析を可能にするためにまたは画像を記録することによる後の分析を可能にするために行うことができる。検出は、一般に、アッセイにおける使用においてそれぞれの蛍光団に対する励起光の適切な供給源の使用を伴い(たとえば、適切なフィルターを通過する光または適切な波長のレーザーからの光)、蛍光で放射された光は、次いで、適切なフィルターを通過し、それは、オペレーターによって直接、観察するおよび/またはコンピューターに接続されてもよいフィルムベースのもしくはデジタルカメラなどのようなカメラを用いて撮影することができる。
3.計数
試料における複数の核のFISHシグナルが、数えられる。いくつかの実施形態では、複数の核は、少なくとも50、75、または100の核を含む。計数は、たとえば、それぞれの検査される核についてのエントリーおよびそれがそれぞれのFISHシグナルをいくつ含有したかを含有するリストを作製することによってならびに/またはそれぞれ、FISHシグナル量の観察された組み合わせを有した核の数を数えることによって達成することができる。いくつかの実施形態では、そのようなリストは、同様に、FISHシグナル量の可能であるが観察されなかった組み合わせを含有することができる。リストは、それらの頻度を加えて、FISHシグナル量のそれぞれの観察された組み合わせについてのエントリーを作製することによって再編成することができる(たとえば下記の表2を参照されたい)。FISHシグナルを数えることによって得られた情報は、下記に説明される、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を考慮して解釈されたい。
4.アーチファクト欠失頻度
欠失アッセイ方法は、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップを含む。核は、欠失以外の理由で、標的プローブからのFISHシグナルを欠き得、たとえば、ホルマリン固定パラフィン包埋試料を含む切片化試料の場合には、試料におけるいくつかの核は、切断され得る。また、核の画分における標的ハイブリダイゼーション部位が、FISH手順のハイブリダイゼーションステップの間に十分に到達できないかもしれないこともあり得る。さらに、FISHシグナルが観察される頻度は、研究されている組織調製物の品質およびそれに対する経年変化の影響によって影響を及ぼされ得る。したがって、標的プローブからのFISHシグナルを欠くすべての核が、実際の遺伝的な欠失を示すとは限らない。
そのため、偽陽性(誤って欠失と考えられる)についての可能性を軽減するために、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度は、アッセイの標的の欠失を有する細胞を示す試料からの結果および標的プローブシグナルの不在の原因が、上記に説明された誤差の技術的根拠などのように、根底にある遺伝子型以外にある可能性がある試料からの結果を区別するために提供される。
アーチファクト欠失頻度は、標的遺伝子の欠失を有していないことが公知の細胞の試料を使用する対照アッセイに基づいて決定することができる。対照試料から決定されたアーチファクト欠失頻度の正確度は、試料調製方法に関して細胞の試験試料に厳密に一致した細胞の対照試料を使用することによって、試験試料に関連して最適化されてもよい。たとえば、癌抑制遺伝子の損失について試験されることとなる前癌性/癌性/可能性として癌性の試料と同じ組織タイプの良性の過形成などのような非新生物の組織試料は、対照として役立ち得る。前立腺癌に対するアッセイの場合には、非新生物の組織試料は、単に、管理目的のために良性の前立腺肥大(BPH)のための手術を受けている、癌を有していない患者から得ることができる。アーチファクト欠失頻度はまた、FISHシグナルおよび腫瘍切片における相対的な核体積の両方に影響を与える他の生物学的変数によっても影響を及ぼされる。DNAの縮合、核のサイズおよび形状、試料切片の厚さ、アッセイ設計(3または4色FISHアッセイにおけるシグナル距離は、部分的に、プローブのゲノムの距離に依存する)、ならびに増殖速度および倍数性ステータス(より高度なレベルの倍数性の可能性が高いほど、より大きな体積の核を示唆する)。これらの核の変数に加えて、実際のFISHシグナル自体(「スポットサイズ」)、ゲノムの凝縮した領域(たとえば、抑制された遺伝子のDNA)と比較して、脱凝縮した核染色質(発現される遺伝子の典型的な開いたDNA詰め込み)においてより大きな三次元空間を占め得る。さらに、個々のFISHシグナルは、G2の核が、細胞のDNAの倍加により、「ダブレット」のまたは対になったスポットカウントを示すので、DNA複製が既に起こっている場合、解釈するのがより困難となり得る。これらのダブレットは、物理的に連結された、対になったスポットとなる、つまり、接しているもしくは糸によって連結されているまたは隣接している(最大のシグナルまたはスポットの直径よりも小さな隙間で)。いくつかの実施形態では、スコアリング基準は、この影響がアッセイの結果を歪めないことを保証するために調節されてもよい(Varella−Garcia Mら、EGFR fluorescence in situ hybridisation assay: guidelines for application to non−small−cell lung cancer、J Clin Pathol. 2009年;62巻:970〜977頁を参照されたい)。これは、物理的に連結した、対になったスポットおよび/または隣接するスポットを1つのシグナルのみとして数えることを含むことができる。隣接するが、少なくとも、最大のシグナルの直径によって分離されるスポットは、別々のシグナルとして数えることができる。他方では、DNA複製前に、シグナルはそれぞれ、単一のドット様のハイブリダイゼーションシグナル(「シングレット」)を示し、これらもまた、1つのシグナルのみとして数えられる。倍数性、核サイズ、および染色質凝縮などのようなこれらの変数のいくつかのものは、正常な対照試料および腫瘍検体の間で変動し得る。したがって、これらの因子は、間期FISHアッセイについてのアーチファクト欠失頻度を確立するために使用される陰性対照において完全に説明するのが困難になり得、これは、低い腫瘍細胞の含有量またはさらなるサブクローンのゲノム変化を有する試料において特に重要になり得る。したがって、欠失を考えるために比較的ストリンジェントな統計閾値を使用することは望ましいこととなり得、さらに下記に説明される。
いくつかの実施形態では、少なくとも2つまたはそれ以上のアーチファクト欠失頻度が提供される。たとえば、ヘミ接合性およびホモ接合性の欠失についてのアーチファクト欠失頻度を提供することができる。さらに、別々のアーチファクト欠失頻度が、プローブの異なる組み合わせからのFISHシグナルの不在に至る欠失、たとえば、標的プローブのみに影響を与える欠失、標的プローブおよび標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、標的プローブおよび標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、ならびに標的プローブ、標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブ、および標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失について提供される。3つ以上のフランキングプローブを含むプローブセットが使用される実施形態では、アーチファクト欠失頻度は、標的プローブからより遠く離れているフランキングプローブに影響を与える欠失を同様に考慮することができるように、所与のセット内のそれぞれのプローブについて提供することができる。
別々のアーチファクト欠失頻度を提供するという利点は、切断事象などのような誤差の原因により欠けているFISHシグナルが、クローン集団の遺伝子型よりも、核によって変化しやすくなり得ることであり、任意の所定のタイプの欠失(たとえば、標的プローブおよび標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与えるヘミ接合性の欠失)についてのアーチファクト欠失頻度は、切断事象などのような誤差の原因のうちのいくつかが、同様に、少なくとも1つのセントロメア側のフランキングプローブに影響を与え得るので、少なくとも1つのセントロメア側のフランキングプローブもまたアッセイにおいて使用されない場合よりも低い。
アーチファクト欠失頻度の低下は、いくつかの細胞型がとりわけ切断によるアーチファクトの傾向があるという点で、分析中の細胞型に依存して非常に役立ち得る。たとえば、5ミクロン組織学的切片における間期FISHによるシグナルの切断による損失に関する最近の研究において、正常な骨髄核の約20%が切断によるシグナル損失を示したことが分かった。対照的に、正常な肝臓切片における核の約60%が、切断による損失を示した(Wilkens Lら 2005年 Standardised fluorescence in situ hybridisation in cytological
and histological specimens. Virchows Arch 2005年;447巻:586〜592頁)。損失を検出するための偽陽性率におけるこの変化は、非常に大きく不規則な形状の肝細胞核が5ミクロンの切片の調製の間に、より頻繁に切断される場合に、ますます影響を有する切断による切削アーチファクトによるものと考えられる。
5.少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度の決定
FISHシグナルを数えることによって得られた情報は、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するために分析される。見かけ上の頻度は、どれくらい多くの標的プローブが試料において欠けているかについての観察値である。このステップは、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップに関連して任意のタイミングで行われてもよいことに注目されたい。アーチファクト欠失頻度と同じくらい多く、いくつかの実施形態では、少なくとも2またはそれ以上の見かけ上の欠失頻度が、決定される。効率のために、見かけ上の欠失頻度を決定することは、一般に望ましく、比較に適用可能な対においてアーチファクト欠失頻度を提供する(たとえば、標的プローブおよび標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与えるヘミ接合性の欠失についてのアーチファクトおよび見かけ上の欠失頻度)。いかなる場合も、次のステップを実行するために、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度と同じタイプの欠失事象についてのものでなければならない。
6.癌抑制遺伝子欠失の検出
試料が欠失を有する細胞を含むかどうかは、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度が少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて決定される。有意性についての閾値は、特異度対感度の所望のレベルに従って選ぶことができる;一般的な値は、t検定(片側もしくは両側)などのような統計的検定に従って0.05以下のp値またはアーチファクト欠失頻度からの少なくとも3標準偏差の差異を含む。いくつかの実施形態では、アーチファクト欠失頻度プラス少なくとも2.5、3、または3.5標準偏差などのような有意性閾値は少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度が、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかを決定するために使用される。
上記に説明されるように、多数のアーチファクト欠失頻度を提供することができ、多数の見かけ上の欠失頻度を決定することができる。したがって、このステップは、多数のタイプの欠失が存在するかどうかを決定することを含むことができる。たとえば、フランキングおよび標的プローブからの2セットのFISHシグナルの存在は、核が標的癌抑制因子の欠失を有していないことを示す(図2B、左の略図において図式化)。標的プローブFISHシグナルの一方または両方の不在は、見かけ上のヘミ接合性(図2B、中央)またはホモ接合性(図2B、右)の欠失をそれぞれ示す。見かけ上の欠失のサイズに関する情報もまた、1つまたは複数のフランキングプローブが不在であるかどうかから得ることができる。図2B右および中央の例は、標的プローブのみが影響を与えられている比較的小さな欠失を示す。
したがって、いくつかの実施形態では、方法は、試料が、標的プローブのみに影響を与える欠失、標的プローブおよび標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、標的プローブおよび標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、ならびに標的プローブ、標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブ、および標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失から選ばれる欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップを含む。
図2Bにおいて示される単純な欠失配置に加えて、フランキング対照プローブを含有する領域の近くのさらなる再構成のために、シグナルの獲得または損失を含むより複雑なパターンが見られてもよい。たとえば、進行型の前立腺癌において観察されるPTEN遺伝子損失のうちのいくつかは、欠失事象と関連する、PTENに密接に連結される遺伝子を含む複雑な損失を有するように思われる(下記に説明される)。さらに、さらなるスポットを有する複雑なシグナル配置はまた、不平衡転座、多染色体性、または倍数性による複雑な染色体の獲得からも生じ得る。正常な核において観察される単純なパターンと異なる任意のパターンもまた、それが細胞の有意な割合において現れる場合、異常であると通常考えられる。異常なパターンにおけるシグナルの数および位置の注意深い評価は、根底にある染色体の変化の有益な情報を提供することができる。
7.境界ゾーン
アッセイにおいて使用される1つまたは複数のフランキングプローブは、境界ゾーンにおけるまたは境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子に対して遠位のハイブリダイゼーション部位を有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーン内のまたはそれに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の第2の境界ゾーン内のまたはそれに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする。このように位置づけられたフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位が、それが境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子に対して近位にある場合よりも、欠失する可能性が低いので、そのように位置づけられたハイブリダイゼーション部位を有するフランキングプローブの使用は、役立ち得る。そのようなプローブセットの使用は、図2Bの中央および右におけるようなパターンを与える欠失頻度を高めることができる。これらのパターンは、(推定上、部分的にまたは完全に欠失した)癌抑制遺伝子に対してセントロメア側およびテロメア側にハイブリダイズするフランキングプローブからのシグナルを有し、フランキングプローブハイブリダイゼーション部位ではなく癌抑制遺伝子を含有するクロマチンのループのみが、切除される核体積に及ぶように染色体が配置されることが必要であるので、これらのパターンは、核の体積の切断面が切除される切断によるアーチファクトを通して繰り返し生じる可能性が低い。境界ゾーンおよびそれへのハイブリダイゼーション部位の位置は、上記セクションC.2においてより詳細に説明され、その議論は、同様にここに関連する。
F.小さなおよび大きな欠失を識別可能に検出するためのアッセイ
癌抑制遺伝子の両方のコピーが欠失している細胞が、異なるサイズの2つの別々の欠失事象を受けている可能性がある。本発明は、異なるサイズの欠失事象を識別可能に検出するための方法に関する。
1.プローブセット
これらの方法では、少なくとも4つのプローブのプローブセットが、使用される。プローブセットは、癌抑制遺伝子に対してハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする、少なくとも第3のフランキングプローブ、または第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブ少なくとも1つを含む。プローブセットは、セントロメア側のまたはセントロメア周囲のプローブをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、部分的に重複するプローブを含む2つのサブセットを含む。2つのサブセットは、少なくとも1つの異なって位置づけられたフランキングプローブがアッセイの第2のまたは反射的な(reflex)部分において使用される、2部のアッセイにおいて使用することができる。たとえば、図17は、セントロメア側のプローブ、TSPAN15プローブ、PTENプローブ、およびFASプローブが、第1の部において使用され、セントロメア側のプローブ、BMPR1Aプローブ、PTENプローブ、およびSUFUプローブが、第2の部において使用される、小さなおよび大きなPTEN欠失のための2部のアッセイのためのプローブの1つの可能な配置の例を提供する。欠失が、図17における垂直方向の点線によって境界を示される領域を超える場合、1つまたは複数のフランキングプローブが影響を与えられるはずであり、TSPAN15またはSUFUのプローブが影響を与えられる場合、非常に大きな欠失が示されるであろう。たとえば、欠失が、PTENからテロメアまでの全領域の損失をもたらす可能性があり、これは、PTEN、FAS、およびSUFUプローブに影響を与えるであろう。より一般に、プローブセットは、部分的に重複するプローブを含む、少なくとも2つのサブセットを含むことができ、第1のサブセットは、少なくとも1つの標的プローブ、少なくとも1つのセントロメア側のフランキングプローブ、少なくとも1つのテロメア側のフランキングプローブ、および任意選択で、セントロメア側のまたはセントロメア周囲のハイブリダイゼーション部位を有する少なくとも1つのプローブを含み、第2のサブセットは、少なくとも1つの標的プローブ、少なくとも1つのセントロメア側のフランキングプローブ、少なくとも1つのテロメア側のフランキングプローブ、および任意選択で、セントロメア側のまたはセントロメア周囲のハイブリダイゼーション部位を有する少なくとも1つのプローブを含み、第2のサブセットの少なくとも1つのセントロメア側のフランキングプローブおよび少なくとも1つのテロメア側のフランキングプローブのうちの少なくとも1つは、第1のサブセットにおけるその対応物とは異なっている。
2.計数;アーチファクトのおよび見かけ上の欠失頻度
FISHシグナルを数えるステップ、アーチファクト欠失頻度を提供するステップ、および見かけ上の欠失頻度を決定するステップは、数えるためのより多くのプローブがあり、より多くのタイプの欠失についてのアーチファクトおよび見かけ上の頻度がそれぞれ提供され、決定され得るという点を除いて、上記のセクションE.3〜E.5において説明されるものに類似する。たとえば、少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度は、少なくとも第1および少なくとも第2のフランキングプローブ(つまり、セントロメア側およびテロメア側の、標的プローブに最も近いフランキングプローブ)の間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失のために提供することができ、少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度は、2つの最も遠位のフランキングプローブの間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失のために提供することができ、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にない。上記の議論は、少なくとも3つのフランキングプローブがともにまたは2部のアッセイにおいて試料(複数可)に対してハイブリダイズするかどうかにかかわらず適用可能である。
同様に、少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度は、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失のために決定することができ、少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度は、2つの最も遠位のフランキングプローブの間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失のために決定することができ、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にない。
3.試料が小さなまたは大きな欠失を有する細胞を含むかどうかの決定
試料が、使用されるフランキングプローブのいずれかのハイブリダイゼーション部位に影響を与える癌抑制遺伝子の欠失を有する細胞を含むかどうかは、セクションE.6において上記に記載されるように、関連する見かけ上の欠失頻度が、関連するアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて決定される。
標的プローブが、適切なアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のヘミ接合性またはホモ接合性欠失頻度を有する試料は、フランキングプローブのいずれも、適切なアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上の欠失頻度を有しない場合、小さな欠失(複数可)のみ(いかなるフランキングプローブにも影響を与えない)を含むことが決定される。
標的プローブおよび少なくとも1つのフランキングプローブが、適切なアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上の欠失頻度を有する場合、大きな欠失が存在する可能性が高い。
フランキングプローブのハイブリダイゼーションのみが第10染色体の一方のコピー上で欠失しており、標的プローブのハイブリダイゼーション部位のみが第10染色体の他方のコピー上で欠失している、まれな対の小さな欠失の可能性は、同じ染色体からのFISHシグナルが互いに近くにある傾向に基づいて一般に除外することができ、したがって、ヘミ接合性の大きな欠失の場合には、影響を与えられない染色体からのFISHシグナルは、互いに近くにあるはずであることに注目されたい。
小さなおよび大きな欠失が存在し得、これらの場合には、標的プローブは、対応するアーチファクトのホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のホモ接合性欠失頻度を有し、少なくとも1つのフランキングプローブは、対応するアーチファクトのヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を有する。大きな欠失が2つのフランキングプローブハイブリダイゼーション部位の損失をもたらしている場合には、(たとえば、癌抑制因子に対してテロメア側のハイブリダイゼーション部位を有する2つのフランキングプローブに影響を与える、癌抑制因子からテロメアまでの全領域の損失)、2つのフランキングプローブは、対応するアーチファクトのヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を有するであろう。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの大きな欠失がある癌抑制遺伝子のホモ接合性の欠失は、転移または転移性腫瘍を示し、転移腫瘍は、身体における他の位置に少なくとも1つの第2の腫瘍を生じさせ得、第2の腫瘍は、転移性腫瘍である。いくつかのそのような実施形態では、癌抑制遺伝子の1つのコピーは、小さな欠失により欠けており、1つのコピーは、大きな欠失により欠けている。いくつかの実施形態では、癌抑制遺伝子の両方のコピーは、大きな欠失により欠けている。いくつかの実施形態では、癌抑制因子に対してテロメア側に位置する少なくとも2つのフランキングプローブハイブリダイゼーション部位に影響を与える、少なくとも1つの大きな欠失がある。いくつかの実施形態では、より遠位(癌抑制遺伝子に関して)の当該少なくとも2つのフランキングプローブハイブリダイゼーション部位は、癌抑制遺伝子から少なくとも5、7.5、10、または12.5Mbにある。
いくつかの実施形態では、小さなおよび大きな欠失を検出するための方法は、プローブセットによって含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞性の試料についてFISHを実行するステップおよびプローブセットによって含まれる第2のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞性の試料と同じ個体由来の第2の細胞性の試料についてFISHを実行するステップを含み、癌抑制遺伝子は、PTENであり、第1のプローブサブセットは、TSPAN15にハイブリダイズするフランキングプローブおよびFASにハイブリダイズするフランキングプローブを含み、第2のプローブサブセットは、BMPR1AまたはWAPALにハイブリダイズするフランキングプローブ(BMPR1AまたはWAPALのうちの1つにハイブリダイズするプローブはまた、それらが近くの遺伝子であるので、他方にハイブリダイズしてもよいことが理解されたい)およびSUFUにハイブリダイズするフランキングプローブを含む。PTEN欠失がこの方法において検出される場合、フランキングプローブのハイブリダイゼーション部位の少なくとも1つが、PTENと共に欠失しているかどうかの分析は、欠失が大きな欠失であるかどうかを決定するために使用することができる。
4.境界ゾーン
セクションEの方法におけるように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーン内のまたはそれに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、および/または少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の第2の境界ゾーン内のまたはそれに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする。
第3のおよび/または第4のフランキングプローブが、境界ゾーン内にまたは境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子に対して遠位に位置することもまた、可能である。すなわち、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第3のフランキングプローブは、少なくとも1つの第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の第1の遠位の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズするおよび/または少なくとも1つの第4のフランキングプローブは、少なくとも1つの第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の第2の遠位の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする。
境界ゾーンおよびそれへのハイブリダイゼーション部位の位置は、上記セクションC.2においてより詳細に説明され、その議論は、同様にここに関連する。
G.アッセイ最適化のための方法
本発明は、癌抑制遺伝子の欠失のためのFISHベースのアッセイを最適化するための方法に関する。これらの方法では、複数の候補プローブセットが、提供され、プローブセットはそれぞれ、癌抑制遺伝子の完全なコピーの正倍数性の数を含む複数の細胞を含む少なくとも1つの試料についてFISHを実行するために使用される。FISHシグナルは数えられ、アーチファクト欠失頻度が決定される。好ましいアーチファクトの欠失率を有すると決定されたプローブセットは、癌抑制遺伝子の欠失のための最適化されたFISHベースのアッセイにおける使用のために候補プローブセットから選択される。
1.候補プローブセット
いくつかの実施形態では、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5以上の候補プローブセットが提供される。候補プローブセットは、いくつかのプローブを共通して有することができ、たとえば、少なくとも2つの候補プローブセットは、少なくとも1つの同一の標的プローブおよび/または少なくとも1つの同一のフランキングプローブを含むことができる。もちろん、少なくとも1つのプローブは、それぞれの候補セットの間で異なるべきである。いくつかの実施形態では、フランキングプローブの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4つは、境界ゾーン内に位置するまたは境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子に対して遠位にあり、プローブは、それに対して近くてもよい。
2.アーチファクト欠失頻度決定
アーチファクト欠失頻度は、癌抑制遺伝子の完全なコピーの正倍数性の数を含む複数の細胞を含む少なくとも1つの試料についてFISHを実行することによってそれぞれの候補プローブセットについて決定される。アーチファクト欠失頻度は、上記に記載されるようにFISHシグナルを数えることによって決定される。いくつかの実施形態では、FISHは、測定されるアーチファクト欠失頻度のより統計的に正確な比較を可能にするために、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5つなどのような複数の試料についてそれぞれのプローブセットを用いて実行される。
3.好ましいアーチファクト欠失頻度を有するプローブセットの選択
好ましいアーチファクト欠失頻度を示すことが分かったプローブセットは、最適化されたアッセイにおける使用のために選択される。いくつかの実施形態では、選択されるプローブセットのアーチファクト欠失頻度は、少なくとも60パーセンタイル、70パーセンタイル、80パーセンタイル、90パーセンタイル、または95パーセンタイルにあり、より高度なパーセンタイルは、より好適な性能を示すことが理解されたい(つまり、より低いアーチファクト欠失頻度)。
4.欠失を有する試料の使用
いくつかの実施形態では、FISHはまた、癌抑制遺伝子のホモ接合性またはヘミ接合性の欠失を含む複数の細胞を含む複数の細胞性の試料について、それぞれの候補プローブセットを用いてまたは好ましいアーチファクト欠失頻度を示すことが分かった候補プローブセットのサブセットを用いて実行される。FISHシグナルは、数えられ、見かけ上の欠失頻度は、上記に記載されるように決定される。
(a)感度
試料が、癌抑制遺伝子のホモ接合性またはヘミ接合性の欠失を含む細胞を含むことが公知である場合、感度値は、複数の試料のうちのいくつが、候補プローブセットについて決定されたアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上の欠失頻度を有すると決定されたかに基づいて決定される。候補プローブセットのアーチファクト欠失頻度についての標準偏差は、上記に記載されるように通常の方法で決定されてもよい、ただし、アーチファクト欠失頻度が、癌抑制遺伝子の完全なコピーの正倍数性の数を含む複数の細胞を含む少なくとも3つの試料について決定されることを条件とする。あるいは、アーチファクト欠失頻度の標準偏差は、感度を評価するために、有意性を決定する際に使用するために推定されてもよい(たとえば、候補プローブセットの全体のアーチファクト欠失頻度に基づいてまたは他のプローブセットについて公知の標準偏差に基づいて)。有意性を決定するための閾値に対する選択肢は、上記に説明されるとおりである。
(b)感度値およびアーチファクト欠失頻度を考慮するプローブセットの選択
感度が、少なくとも候補プローブセットのうちのいくつかについて決定される場合、好ましい感度値および好ましいアーチファクト欠失頻度の両方を有した候補プローブセットは、最適化されたアッセイにおける使用のために選択することができる。いくつかの実施形態では、アーチファクト欠失頻度および/または感度値は、少なくとも60パーセンタイル、70パーセンタイル、80パーセンタイル、90パーセンタイル、または95パーセンタイルにあり、より高度なパーセンタイルは、より好適な性能を示すことが理解されたい(つまり高感度またはより低いアーチファクト欠失頻度)。
H.癌原遺伝子および癌遺伝子座の特徴付けのためのアッセイ方法
PTENなどのような癌抑制遺伝子は、様々な方法で細胞増殖を阻害するタンパク質をコードするものである。これらの「細胞性のブレーキ」の1つまたは複数の損失は、細胞周期の解放を通して多くの癌の進行の一因となり、損失事象を「腫瘍形成性」にする。多くのタンパク質は、p16サイクリンキナーゼ阻害剤;分泌ホルモン(たとえば腫瘍由来の増殖因子β)に対する受容体;DNAが損傷を受けているまたは染色体が異常な場合、細胞周期を阻止するチェックポイント制御タンパク質;アポトーシスを促進するタンパク質;およびさらに、DNA修復に参加する酵素などのような細胞内タンパク質を含めて、癌抑制遺伝子によってコードされるとして一般に認識される(DNAにおけるエラー、ギャップ、または破壊された末端を修復するための能力を失った細胞は、細胞の成長および増殖の制御において決定的なものを含む、多くの遺伝子における突然変異を蓄積する)。
癌抑制遺伝子の1つのコピーが細胞増殖を制御するのに十分となり得るので、通常、癌抑制遺伝子の両方の対立遺伝子は、腫瘍発生を促進するために失われるまたは不活性化されるはずである。したがって、癌抑制遺伝子における腫瘍形成性の機能喪失型の突然変異は、劣性に作用する傾向がある。多くの癌において、欠失または点突然変異は、任意のタンパク質の生産を予防する1つもしくは複数の癌抑制遺伝子において生じているまたは突然変異した癌抑制遺伝子からの非機能性のタンパク質の生産に至る。しかしながら、癌抑制因子の1つのコピーの損失さえ、第2の腫瘍形成性の事象を細胞に起こしやすくさせ得る。たとえば、そのような関係は、TMPRSS2−ERGおよびPTEN損失ならびにAKTとのさらなる関連の間で存在するように思われる。Squire, JA、TMPRSS−ERG and PTEN loss in prostate cancer、Nat Genetics(2009年)41巻、509〜510頁を参照されたい。異常なERG発現は、PTEN損失と関連するマウスにおいて腫瘍形成性の事象として特徴付けられた。Carver, BS、Tran J、Gopalan A、Chen Zら、Aberrant ERG expression cooperates with loss of PTEN to promote cancer progression in prostate. Nat Genetics(2009年)41巻、619〜624頁を参照されたい。Carverらは、PTENの1つのコピーの損失が細胞増殖を促進し得るが、ERGが過剰発現されない限り、細胞は、侵襲性の疾患に進行しなかったことを示唆した。同書を参照されたい。同様に、ヒトERG過剰発現構築物のみを有するマウスは前立腺腫瘍を発症しないように思われるが、PTEN欠失を有するマウスとの交雑からの子孫は、腫瘍を発症した。King JCら Nat Genetics(2009年)41巻、524〜526頁。
前立腺癌は最も一般的な新生物であり、北アメリカの男性における癌死亡の第2の主要原因であるが、最近の発見でさえ、前立腺の発癌現象におけるそのような腫瘍形成性の事象について実際にほとんど知られていない。Carver, BS、Tran J、Gopalan A、Chen Zら、Aberrant ERG expression cooperates with loss of PTEN to promote cancer progression in prostate. Nat Genetics(2009年)41巻、619〜624頁を参照されたい。PTEN関連性の腫瘍形成性の事象に関して、ERG1は、悪性の前立腺組織において過剰発現される癌原遺伝子としての役割と一致して、前立腺癌(CaP)トランスクリプトームにおいて観察された。Jemal Aら、Cancer statistics、2005年 CA Cancer J Clin. 2005年;55巻:10〜30頁を参照されたい。また、Tomlinsら、Recurrent fusion of TMPRSS2 and ETS transcription factor genes in prostate cancer、Science、2005年;310巻:644〜648頁は、TMPRSS2のプロモーター領域へのERGの転座をもたらす、前立腺癌における第1の再発性遺伝子再構成について記載している。さらに、現在、ERG1過剰発現のメカニズムの根底にあると考えられているように、他の遺伝子もまた、アンドロゲン応答性または他の強力なプロモーターに転座することが示された。同書を参照されたい。現在まで記載されている遺伝子融合物は、アンドロゲン感受性TMPRSS2遺伝子ならびに転写因子のETSファミリーの3つの前述のメンバー(ERG、ETV1、およびETV4)を含む。上記の研究は、発現の検出から始まり、続いて、欠失または他の再構成を介しての過剰発現をもたらす再構成を発見する。
そのため、前立腺癌において同定される癌抑制因子の欠失または癌原遺伝子(たとえばERG)の続く過剰発現に至る染色体の再構成の同定は、一般に、非特異的な染色体異常のみによって先に特徴付けられた上皮性腫瘍を理解するための新たな機会を示す。
最近の研究では、染色体21q22.2−3のおよそ2Mbの共通の欠失の存在は上記に説明されるようにTMPRSS2:ERG再構成を引き起こすとしておよび疾患進行と関連するとして記載された。Yoshimoto M,ら、Three−Color FISH Analysis of TMPRSS2/ERG Fusions in Prostate Cancer Indicates That Genomic Microdeletion of Chromosome 21 Is Associated with Rearrangement. Neoplasia(2006年)8巻、465〜469頁を参照されたい。さらに、break−apart三色FISHは、第21染色体上のTMPRSS2およびERGの間の欠失が遺伝子融合事象と関連することを確認するために使用された。
したがって、およそ2Mbの領域は、欠失させると、ERGの過剰発現がもたらされる。この共通の欠失は、有効なインフレーム融合遺伝子形成をもたらす。しかしながら、前立腺癌の進行に対する、13遺伝子介在性のTMPRSS2およびERGを失う結果について利用可能な情報は、あるとしてもほとんどない。
実際に、TMPRSS2−ERG融合物および結果として生ずる過剰発現をもたらす第21染色体の再構成に至る事象または融合もしくは過剰発現が、ゲノムの欠失によるPTEN発現の低下と関連するかどうかについてほとんどまたは全く知られていない。ほとんどすべての重点は、ERGの融合および結果として生ずる過剰発現にある。したがって、本発明はまた、PTENステータスに関連する続く事象の性質を特徴付けるために使用されてもよい。
いくつかの実施形態では、本発明は、FISHによって、対象の癌抑制因子(複数可)、癌遺伝子(複数可)、癌原遺伝子(複数可)、または他の遺伝子の欠失または他の再構成についてアッセイするための方法を提供する。これらは、13の遺伝子(たとえばERG、ETS2、FSMG1、B3GALT5、HMGN1、DSCAM、BACE2、およびTMPRSS2を含有する21q22.2領域)を含有するDNAの約2Mbの損失をもたらすTMPRSS2−ERG融合遺伝子が形成される場合に共通して欠失する染色体領域において、対象の特異的な標的遺伝子をアッセイするための方法を含む。そのような方法において使用することができるプローブセットは、上記セクションCまたはEにおけるように調製されたプローブセットおよびセクションDのプローブセットを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、セクションC.2(b)およびC.2(c)において説明される境界ゾーンに関して位置づけられたハイブリダイゼーション部位を有する。
概して言えば、FISHによって対象の少なくとも1つの遺伝子の欠失についてアッセイするための方法は、プローブセットを用いてFISHを実行するステップを含む。プローブセットは、対象の遺伝子(複数可)に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のフランキングプローブ、対象の遺伝子(複数可)に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のフランキングプローブ、および対象の遺伝子(複数可)に対してハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ(複数可)を含む。フランキングプローブおよび標的プローブ(複数可)からのFISHシグナルが数えられる。核切断によって引き起こされる少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度が、提供され、これは、陰性対照として役立つ。アーチファクト欠失頻度を、対象の遺伝子(複数可)の欠失または再構成を有する細胞を含まない対照試料を用いて先に決定することおよびアーチファクト欠失頻度を多数のアッセイにおいて再度使用することが可能である。数えられたFISHシグナルに基づいて、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度が決定される。試料が対象の遺伝子(複数可)の欠失を有する細胞を含むかどうかは、見かけ上の欠失頻度がアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて決定される。見かけ上の欠失頻度が比較されるアーチファクト欠失頻度は、欠失頻度がヘミ接合性またはホモ接合性かどうかおよびどのプローブハイブリダイゼーション部位が欠失によって影響を与えられるかの点から一致するはずである。
1.試料
FISHによって対象の少なくとも1つの遺伝子の欠失についてアッセイするための方法において使用される試料は、細胞性の試料である。いくつかの実施形態では、試料は、ホルマリン、エタノール、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド−グルタルアルデヒド、またはカコジル酸ナトリウム、ホルマリン、およびグルタルアルデヒドの組み合わせなどのような保存剤を使用して、化学的に固定され、パラフィンまたは凍結組織マトリックス、たとえば最適切削温度(OCT)化合物などのような不活性固形物質中に包埋される。いくつかの実施形態では、試料は、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%が非中期(たとえば間期)細胞である細胞を含む。たとえばWick MR、Mills NC、Brix WK. Tissue Procurement, Processing, and Staining Techniques. 第1章 1〜10頁 Diagnostic Histochemistry Wick MR.編
Cambridge University Press 2008年を参照されたい。
一般に、試料は、固体支持体(たとえば、試料が包埋されているパラフィンマトリックスおよび/またはスライドガラスもしくはマイクロタイターウェルの壁)と共に提供される。
2.FISHの実行
本発明の欠失アッセイ方法は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を含む。用語「in situハイブリダイゼーション」は、一般に、細胞学的または組織学的調製物の一部である核酸標的に対する核酸プローブのハイブリダイゼーションを指す。典型的なFISH方法は、上記セクションF.2において説明される。
試料を調製し、FISHを実行するための手順の例は、当技術分野において周知であり、セクションFにおいて説明される。説明されるように、試料は、分析されることとなる癌性または前癌性細胞のタイプに依存して、多くの供給源から調製することができ、たとえば、供給源は、前立腺腫瘍、乳房腫瘍、黒色腫、および他の固形腫瘍から選ぶことができる。試料は、細胞遠心と組み合わせられたエタノールもしくはメタノール:酢酸における細胞の固定、薄層析出法(たとえばThinPrep、Cytyc Corp.)、スミア、または顕微鏡スライドガラス上へのピペッティングのための標準的な調製物を使用して、針生検材料、細針吸引生検材料、根治的前立腺全摘除術、転移性試料(たとえば骨またはリンパ節由来の)、細胞診調製物(尿または腹水などのような体液由来の)、および末梢血から単離された循環腫瘍細胞から得ることができる。
適したin situハイブリダイゼーション方法は、使用することができ、セクションE2において説明される。in situハイブリダイゼーション前に、細胞内に含有される染色体DNAは、典型的に、高pH、熱(たとえば、70℃〜95℃の温度)、ホルムアミドおよびテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物またはその組み合わせなどのような有機溶媒の存在下においてインキュベートすることによって変性させる。変性条件は、典型的に、細胞形態が保存されるように確立される。たとえば、染色体DNAは、70℃を超える温度(たとえば73℃)ならびに70%ホルムアミドおよび2×SSC(0.3Mの塩化ナトリウムおよび0.03Mのクエン酸ナトリウム)を含有する変性バッファーの組み合わせによって変性させることができる。その代わりに、たとえば、細針生検試料から得られた染色体DNAは、5分間、83℃で変性させてもよい。
プローブセットのプローブが二本鎖形態で提供されるなどのようないくつかの実施形態では、プローブセットのプローブはまた、in situハイブリダイゼーション前に変性させてもよい。上記に記載されるものなどのような変性条件を使用することができる。
変性化学薬品または条件の除去の後に、プローブは、ハイブリダイズ条件下で染色体DNAにアニールされる。「ハイブリダイズ条件」は、プローブおよび標的染色体DNAの間のアニーリングを促進する条件である。ハイブリダイゼーション条件は、プローブの濃度、塩基組成、複雑さ、および長さならびにインキュベーションの塩濃度、温度、および長さに依存して変動する。たとえば、in situハイブリダイゼーションは、1×〜2×SSC、50〜55%ホルムアミド、ハイブリダイゼーション促進剤(たとえば10%デキストラン硫酸)、および非特異的なハイブリダイゼーションを抑制するための非標識遮断DNAを含有するハイブリダイゼーションバッファーにおいて実行することができる。一般に、ハイブリダイゼーション条件は、上記に記載されるように、25℃〜55℃の温度、および0.5時間〜96時間のインキュベーションの長さを含む。いくつかの実施形態では、ハイブリダイゼーションは、2〜16時間、32℃〜約45℃の温度で実行することができる。
標的領域の外部のDNAへの染色体のプローブの非特異的な結合は、食塩水を用いる一連の洗浄によって除去することができる。それぞれの洗浄における塩の温度および濃度は、所望のストリンジェンシーに依存する。たとえば、高度なストリンジェンシー条件については、洗浄は、0.2×〜2×SSCおよびNP−40などのような0.1%〜1%の非イオン性界面活性剤を使用して、約65℃〜約80℃で実行することができる。ストリンジェンシーは、洗浄の温度を減少させることによってまたは洗浄における塩の濃度を増加させることによって低下させることができる。組織試料へのプローブのハイブリダイゼーションは、手動でまたはThermoBrite hybridization oven、VP 2000 Processor、もしくはXMatrix(商標)processing instrument(すべてAbbott Molecular,Inc.から市販で入手可能)などのような機器の補助により実行することができる。
ハイブリダイズさせ、洗浄された試料からのFISHシグナルの検出は、顕微鏡で直接、蛍光を観察するオペレーターによってなどのようにリアルタイムでの後の分析を可能にするためにまたは画像を記録することによる後の分析を可能にするために行うことができる。検出は、一般に、アッセイにおける使用においてそれぞれの蛍光団に対する励起光の適切な供給源の使用を伴い(たとえば、適切なフィルターを通過する光または適切な波長のレーザーからの光)、蛍光で放射された光は、次いで、適切なフィルターを通過し、それは、オペレーターによって直接、観察するおよび/またはコンピューターに接続されてもよいフィルムベースのもしくはデジタルカメラなどのようなカメラを用いて撮影することができる。
3.計数
試料における複数の核のFISHシグナルが、数えられる。いくつかの実施形態では、複数の核は、少なくとも50、75、または100の核を含む。計数は、たとえば、それぞれの検査される核についてのエントリーおよびそれがそれぞれのFISHシグナルをいくつ含有したかを含有するリストを作製することによってならびに/またはそれぞれ、FISHシグナル量の観察された組み合わせを有した核の数を数えることによって達成することができる。いくつかの実施形態では、そのようなリストは、同様に、FISHシグナル量の可能であるが観察されなかった組み合わせを含有することができる。リストは、それらの頻度を加えて、FISHシグナル量のそれぞれの観察された組み合わせについてのエントリーを作製することによって再編成することができる(たとえば下記の表2を参照されたい)。FISHシグナルを数えることによって得られた情報は、下記に説明される、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を考慮して解釈されたい。
4.アーチファクト欠失頻度
欠失アッセイ方法は、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供することを含む。上記セクションF.4において説明されるように、あらゆる試料についての核は、欠失または再構成以外の理由で、1つまたはいくつかの標的プローブからのFISHシグナルを欠き得、たとえば、ホルマリン固定パラフィン包埋試料を含む細針吸引生検材料試料の場合には、試料におけるいくつかの核は、切断され得る。また、核の画分における標的ハイブリダイゼーション部位が、細針生検技術から生じる細胞圧縮または他のアーチファクトのためにFISH手順のハイブリダイゼーションステップの間に十分に到達できないかもしれないこともあり得る。さらに、FISHシグナルが観察される頻度は、研究されている組織調製物の品質およびそれに対する経年変化の影響によって影響を及ぼされ得る。したがって、標的プローブからのFISHシグナルを欠くすべての核が、実際の遺伝的な欠失を示すとは限らない。
そのため、偽陽性(誤って欠失と考えられる)についての可能性を軽減するために、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度は、アッセイの標的の欠失を有する細胞を示す試料からの結果および標的プローブシグナルの不在の原因と、上記に説明された誤差の技術的根拠などのように、根底にある遺伝子型以外にある可能性がある試料からの結果とを区別するために提供される。
アーチファクト欠失頻度は、標的遺伝子(複数可)の欠失を有していないことが公知の細胞の試料を使用する対照アッセイに基づいて決定することができる。対照試料から決定されたアーチファクト欠失頻度の正確度は、試料調製方法に関して細胞の試験試料に厳密に一致した細胞の対照試料を使用することによって、試験試料に関連して最適化されてもよい。
たとえば、対象の遺伝子(複数可)の損失について試験されることとなる、前癌性/癌性/可能性として癌性の試料と同じ組織タイプの非新生物の組織試料は、対照として役立ち得る。前立腺癌に対するアッセイの場合には、非新生物の組織試料は、単に、管理目的のために良性の前立腺肥大(BPH)のための手術を受けている、癌を有していない患者から得ることができる。乳癌の場合には、試料は、予防的なまたは縮小の目的のために単独で手術を受けている患者から得ることができる。
とりわけセクションBおよびE.4において上記に説明されるように、アーチファクト欠失頻度はまた、DNAの縮合、核のサイズおよび形状、試料切片の厚さ、アッセイ設計(3または4色FISHアッセイにおけるシグナル距離は、部分的に、プローブのゲノムの距離に依存する)、ならびに増殖速度および倍数性ステータス(より高度なレベルの倍数性の可能性が高いほど、より大きな体積の核を示唆する)などのような、FISHシグナルおよび腫瘍切片における相対的な核体積の両方に影響を与える他の生物学的変数によっても影響を及ぼされる。これらの核の変数に加えて、実際のFISHシグナルは、それ自体(「スポットサイズ」)、ゲノムの凝縮した領域(たとえば、抑制された遺伝子のDNA)と比較して、脱凝縮した核染色質(発現される遺伝子の典型的な開いたDNA詰め込み)においてより大きな三次元空間を占め得る。さらに、個々のFISHシグナルは、G2の核が、細胞のDNAの倍加により、「ダブレット」のまたは対になったスポットカウントを示すので、DNA複製が既に起こっている場合、解釈するのがより困難となり得る。これらのダブレットは物理的に連結される、スポットである、つまり、接しているもしくは糸によって連結されているまたは隣接している(最大のシグナルまたはスポットの直径よりも小さな隙間により)。いくつかの実施形態では、スコアリング基準は、この影響がアッセイの結果を歪めないことを保証するために調節されてもよい(Varella−Garcia Mら、EGFR fluorescence in situ hybridisation assay: guidelines for application to non−small−cell lung cancer、J Clin Pathol. 2009年;62巻:970〜977頁を参照されたい)。これは、物理的に連結した、対になったスポットおよび/または隣接するスポットを1つのシグナルのみとして数えることを含むことができる。隣接するが、少なくとも、最大のシグナルの直径によって分離されるスポットは、別々のシグナルとして数えることができる。他方では、DNA複製前に、シグナルはそれぞれ、単一のドット様のハイブリダイゼーションシグナル(「シングレット」)を示し、これらもまた、1つのシグナルのみとして数えられる。倍数性、核サイズおよび染色質凝縮などのようなこれらの変数のいくつかのものは、正常な対照試料および腫瘍検体の間で変動し得る。したがって、これらの因子は、間期FISHアッセイについてのアーチファクト欠失頻度を確立するために使用される陰性対照において完全に説明するのが困難になり得、これは、低い腫瘍細胞の含有量またはさらなるサブクローンのゲノム変化を有する試料において特に重要になり得る。したがって、欠失を考えるために比較的ストリンジェントな統計閾値を使用することは望ましいこととなり得、さらに下記に説明される。
いくつかの実施形態では、少なくとも2つまたはそれ以上のアーチファクト欠失頻度が提供される。たとえば、ヘミ接合性およびホモ接合性の欠失についてのアーチファクト欠失頻度を提供することができる。さらに、別々のアーチファクト欠失頻度が、プローブの異なる組み合わせからのFISHシグナルの不在に至る欠失、たとえば、標的プローブのみに影響を与える欠失、標的プローブおよび標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、標的プローブおよび標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、ならびに標的プローブ、標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブ、および標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失について提供される。2つを超えるフランキングプローブを含むプローブセットが使用される実施形態では、アーチファクト欠失頻度は、標的プローブからより遠く離れているフランキングプローブに影響を与える欠失を同様に考慮することができるように、所与のセット内のそれぞれのプローブについて提供することができる。
別々のアーチファクト欠失頻度を提供するという利点は、切断事象などのような誤差の原因により欠けているFISHシグナルが、クローン集団の遺伝子型よりも、核によって調整可能になり得ることであり、任意の所定のタイプの欠失(たとえば、標的プローブおよび標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与えるヘミ接合性の欠失)についてのアーチファクト欠失頻度は、切断事象などのような誤差の原因のうちのいくつかが、同様に、少なくとも1つのセントロメア側のフランキングプローブに影響を与え得るので、少なくとも1つのセントロメア側のフランキングプローブもまたアッセイにおいて使用されない場合よりも低い。
アーチファクト欠失頻度の低下は、いくつかの細胞型がとりわけ切断によるアーチファクトの傾向があるという点で、分析中の細胞型に依存して非常に役立ち得る。たとえば、5ミクロン組織学的切片における間期FISHによるシグナルの切断による損失に関する最近の研究において、正常な骨髄核の約20%が切断によるシグナル損失を示したことが分かった。対照的に、正常な肝臓切片における核の約60%が、切断による損失を示した(Wilkens Lら 2005年 Standardised fluorescence in situ hybridisation in cytological and histological specimens. Virchows Arch 2005年;447巻:586〜592頁)。損失を検出するための偽陽性率におけるこの差は、非常に大きく、不規則な形状の肝細胞核が5ミクロンの切片の調製の間により頻繁に切断される場合、ますます影響を有する切断の切削アーチファクトによると考えられる。
5.少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度の決定
FISHシグナルを数えることによって得られた情報は、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するために分析される。見かけ上の頻度は、どれくらい多くの標的プローブが試料において欠けているかについての観察である。このステップは、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップに比べて任意のタイミングで行われてもよいことに注目されたい。逆位などのような他の再構成が欠失をもたらすということもまた、事実である。アーチファクト欠失頻度と同じくらい多く、いくつかの実施形態では、少なくとも2またはそれ以上の見かけ上の欠失頻度が、決定される。効率のために、見かけ上の欠失頻度を決定することは、一般に望ましく、比較に適用可能な対においてアーチファクト欠失頻度を提供する(たとえば、標的プローブおよび標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与えるヘミ接合性の欠失についてのアーチファクトおよび見かけ上の欠失頻度)。いかなる場合も、次のステップを実行するために、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度と同じタイプの欠失事象についてのものでなければならない。
6.対象の遺伝子(複数可)の欠失または再構成の検出
試料が欠失または再構成(欠失をもたらす)を有する細胞を含むかどうかは、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度が少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて決定される。上記に説明されるように、有意性についての閾値は、多くの統計アプローチを使用して、特異度対感度の所望のレベルに従って選ぶことができる。したがって、多数のアーチファクト欠失頻度を提供することができ、多数の見かけ上の欠失頻度を決定することができる。このステップは、多数のタイプの欠失が存在するかどうかを決定することをさらに含むことができる。たとえば、フランキングおよび標的プローブからの2つの完全なセット(単一の標的遺伝子の場合には3つのうちの2セット)のFISHシグナルの存在は、核が標的癌抑制因子の欠失を有していないことを示す(図2B、左の略図において図式化)。単一の標的についての標的プローブFISHシグナルの一方または両方の不在は、見かけ上のヘミ接合性(図2B、中央)またはホモ接合性(図2B、右)の欠失をそれぞれ示す。見かけ上の欠失のサイズに関する情報もまた、1つまたは複数のフランキングプローブが不在であるかどうかから得ることができる。図2B右および中央の例は、標的プローブのみが影響を与えられている比較的小さな欠失を示す。
他の例では、フランキングおよび標的プローブからの2セット(第1および第2の標的遺伝子の場合には4つのうちの2セット)のFISHシグナルの存在は、核が標的癌抑制因子、癌遺伝子、または他の標的遺伝子の欠失を有していないことを示す。この例では、標的プローブFISHシグナルのうちの1つまたは2の不在は、見かけ上のヘミ接合性またはホモ接合性の欠失をそれぞれ示す。見かけ上の欠失のサイズに関する情報もまた、どのフランキングプローブまたは遺伝子標的が不在であるかどうかから得ることができる。
したがって、いくつかの実施形態では、方法は、試料が、標的プローブ(複数可)のみに影響を与える欠失、1つまたは2つの標的プローブおよび第1の標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、1つまたは2つの標的プローブおよび第2の標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失、ならびに標的プローブの両方、第1の標的プローブに最も近いセントロメア側のフランキングプローブ、および第2の標的プローブに最も近いテロメア側のフランキングプローブに影響を与える欠失から選ばれる欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップを含む。
図2Bにおいて示される単純な欠失の配置に加えて、フランキング対照プローブを含有する領域の近くのさらなる再構成のために、シグナルの獲得または損失を含むより複雑なパターンが観察されてもよい。たとえば、さらなるスポットを有する他の複雑なシグナル配置はまた、不平衡転座、多染色体性、またはトリソミー21におけるように、倍数性による複雑な染色体の獲得からも生じ得る。正常な核において観察される単純なパターンと異なる任意のパターンもまた、それが細胞の有意な割合において現れる場合、異常であると通常考えられる。PTENおよび他の遺伝子のように、異常なパターンにおけるシグナルの数および位置の注意深い評価は、根底にある染色体の変化の有益な情報を提供することができる。
7.境界ゾーン
2つ以上の標的遺伝子のアッセイにおいて使用される1つまたは複数のフランキングプローブは、境界ゾーンにおけるまたは境界ゾーンに比べて対象の遺伝子(複数可)に対して遠位のハイブリダイゼーション部位を有することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、対象の遺伝子(複数可)のうちの1つに対してセントロメア側の第1の境界ゾーン内のまたはそれに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、および/または少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、対象の同じまたは異なる遺伝子に対してテロメア側の第2の境界ゾーン内のまたはそれに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする。2つの標的遺伝子の場合には、一方の標的遺伝子は、第1の標的遺伝子と呼ばれ、他方は、第2の標的遺伝子と呼ばれる。PTENの例に関しては、このように位置づけられたフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位が、それが境界ゾーンに比べて対象の遺伝子(複数可)に対して近位にある場合よりも、欠失する可能性が低いので、そのように配置されたハイブリダイゼーション部位を有するフランキングプローブの使用は、役立ち得る。そのようなプローブセットの使用は、図2Bの中央および右におけるようなパターンを与える欠失頻度を高めることができる。これらのパターンは、(推定上、部分的にまたは完全に欠失した)対象の遺伝子(複数可)に対してセントロメア側およびテロメア側にハイブリダイズするフランキングプローブからのシグナルを有し、フランキングプローブハイブリダイゼーション部位ではなく対象の遺伝子(複数可)を含有するクロマチンのループが、切除される核体積に及ぶ様式で、染色体が配置されることが必要であるので、これらのパターンは、核の体積の切断面が切除される切断によるアーチファクトを通して繰り返し生じる可能性が低い。境界ゾーンおよびそれへのハイブリダイゼーション部位の位置は、上記により詳細に説明され、その議論は、同様にここに関連する。
I.小さなおよび大きな欠失を識別可能に検出するためのアッセイ
対象の少なくとも2つの遺伝子の両方のコピーが欠失している細胞が、異なるサイズの1つまたは複数の別々の欠失事象を受けている可能性がある。本発明は、異なるサイズの欠失事象を識別可能に検出するための方法に関する。
1.プローブセット
ヒトゲノム配列の現在の設計図に従って13もの遺伝子を含有する21q22−23染色体の約2Mb領域について存在するより複雑な配置に関する方法では、少なくとも4つのプローブのプローブセットが使用され、より細かいレベルの欠失検出を行うことができる。プローブセットは、対象の遺伝子(たとえばHMGN1遺伝子およびDSCAM遺伝子)にハイブリダイズする少なくとも2つの標的プローブ、対象の遺伝子(複数可)(たとえばERG)に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、対象の遺伝子(複数可)(たとえばTMPRSS2)に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに任意選択で、第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブ(たとえばDYRK1A)または第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブ(たとえばU2AF1)の少なくとも1つを含む。Amono, Kら「Association study between the Down syndrome cell adhesion molecule (DSCAM) gene and bipolar disorder」(2008年)Psychiatric Genetics 18巻(1号)1〜10頁;Cuddapah,Sら「Genomic profiling of HMGN1 Reveals and Association with Chromatin at Regulatory Regions」(2011年)Molecular and Cellular Biology 31巻、700〜709頁を参照されたい。プローブセットは、いくつかの実施形態では、セントロメア側のまたはセントロメア周囲のプローブをさらに含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、部分的に重複するプローブを含む2つのサブセットを含む。2つのサブセットは、少なくとも1つの異なって位置づけられたフランキングプローブが、アッセイの第2のまたは反射的な部分において使用される、2部のアッセイにおいて使用することができる。たとえば、図22は、セントロメア側のプローブ、TMPRSS2プローブ、DSCAMプローブ、およびERGプローブが、第1の部において使用され、セントロメア側のプローブ、DYRK1Aプローブ、DSCAMプローブ、およびU2AF1プローブが、第2の部において使用される、小さなおよび大きなDSCAM欠失のための2部のアッセイのための上記に記載されるプローブの1つの可能な配置の例を提供する。欠失が、図22において垂直方向の点線によって境界を示される領域を超える場合、1つまたは複数のフランキングプローブが影響を与えられるはずであり、TMPRSS2またはERGのプローブが影響を与えられる場合、非常に大きな欠失が示されるであろう。たとえば、欠失が、DSCAMからテロメアまでの全領域の損失をもたらす可能性があり、これは、DSCAM、TMPRSS2、およびU2AF1プローブに影響を与えるであろう。
2.計数;アーチファクトのおよび見かけ上の欠失頻度
FISHシグナルを数えるステップ、アーチファクト欠失頻度を提供するステップ、および上記の例について見かけ上の欠失頻度を決定するステップは、数えるための多数のプローブがあり、多数のタイプの欠失についてのアーチファクトおよび見かけ上の頻度がそれぞれ提供され、決定され得るので、比較的、複雑である。
たとえば、少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度は、少なくとも第1および少なくとも第2のフランキングプローブ(つまり、セントロメア側およびテロメア側の、標的プローブに最も近いフランキングプローブ)の間にエンドポイントを有するDSCAMまたはHMGN1の欠失のために提供することができ、少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度は、2つの最も遠位のフランキングプローブの間にエンドポイントを有する対象の遺伝子(複数可)の欠失のために提供することができ、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にない。すなわち、第1のアーチファクト欠失頻度は、第1および第2のフランキングプローブの結合部位ではなく、DSCAMまたはHMGN1の一方または両方を包含する欠失に対応し、第2のアーチファクト欠失頻度は、フランキングプローブ結合部位を包含する、より大きな欠失に対応する。
その代わりにまたはさらに、少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度は、エンドポイントのうちの1つがDSCAMおよびHMGN1の間にある、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有するDSCAMまたはHMGN1の欠失のために提供することができ、少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度は、エンドポイントがDSCAMおよびHMGN1の間にない対象の遺伝子(複数可)の欠失のために提供することができる。すなわち、第1のアーチファクト欠失頻度は、他方のではなく、DSCAMまたはHMGN1のうちの一方を包含する欠失に対応し、第2のアーチファクト欠失頻度は、両方を包含する欠失に対応する(どちらのエンドポイントも遺伝子の間にないので)。
上記の議論は、フランキングプローブが、ともにまたは2部のアッセイにおいて試料(複数可)に対してハイブリダイズするかどうかにかかわらず適用可能である。
3.試料が小さなまたは大きな欠失を有する細胞を含むかどうかの決定
試料が、使用されるフランキングプローブのいずれかのハイブリダイゼーション部位に影響を与える対象の遺伝子(複数可)の欠失を有する細胞を含むかどうかの決定は、上記に記載されるように、関連する見かけ上の欠失頻度が、関連するアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づく。
標的プローブが、適切なアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のヘミ接合性またはホモ接合性欠失頻度を有する試料は、フランキングプローブのいずれも、適切なアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上の欠失頻度を有しない場合、小さな欠失(複数可)のみ(いかなるフランキングプローブにも影響を与えない)を含むことが決定される。
標的プローブおよび少なくとも1つのフランキングプローブが、適切なアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上の欠失頻度を有する場合、大きな欠失が存在する可能性が高い。
たとえば、フランキングプローブのハイブリダイゼーションのみが第21染色体の一方のコピー上で欠失しており、標的プローブのハイブリダイゼーション部位のみが第21染色体の他方のコピー上で欠失している、まれな対の小さな欠失の可能性は、同じ染色体からのFISHシグナルが互いに近くにある傾向に基づいて一般に除外することができ、したがって、ヘミ接合性の大きな欠失の場合には、影響を与えられない染色体からのFISHシグナルは、互いに近くあるはずであることに注目されたい。
小さなおよび大きな欠失が存在し得、これらの場合には、標的プローブは、対応するアーチファクトのホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のホモ接合性欠失頻度を有し、少なくとも1つのフランキングプローブは、対応するアーチファクトのヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を有する。大きな欠失が2つのフランキングプローブハイブリダイゼーション部位の損失をもたらしている場合には(たとえば、対象の遺伝子(複数可)に対してテロメア側のハイブリダイゼーション部位を有する2つのフランキングプローブに影響を与える、対象の遺伝子(複数可)からテロメアまでの全領域の損失)、2つのフランキングプローブは、対応するアーチファクトのヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を有するであろう。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの大きな欠失がある対象の遺伝子(複数可)のホモ接合性の欠失は、転移または転移性腫瘍を示し、転移腫瘍は、身体における他の位置に少なくとも1つの第2の腫瘍を生じさせ得、第2の腫瘍は、転移性腫瘍である。いくつかのそのような実施形態では、対象の遺伝子(複数可)の1つのコピーは、小さな欠失により欠けており、1つのコピーは、大きな欠失により欠けている。いくつかの実施形態では、対象の遺伝子(複数可)の両方のコピーは、大きな欠失により欠けている。いくつかの実施形態では、対象の遺伝子(複数可)に対してテロメア側に位置する少なくとも2つのフランキングプローブハイブリダイゼーション部位に影響を与える、少なくとも1つの大きな欠失がある。いくつかの実施形態では、より遠位(対象の遺伝子(複数可)に関して)の当該少なくとも2つのフランキングプローブハイブリダイゼーション部位は、対象の遺伝子(複数可)から少なくとも5、7.5、10、または12.5Mbにある。
いくつかの実施形態では、小さなおよび大きな欠失を検出するための方法は、プローブセットによって含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞性の試料についてFISHを実行するステップおよびプローブセットによって含まれる第2のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞性の試料と同じ個体由来の第2の細胞性の試料についてFISHを実行するステップを含み、対象の遺伝子は、DSCAMおよびHMGN1であり、第1のプローブサブセットは、TMPRSS2にハイブリダイズするフランキングプローブおよびERGにハイブリダイズするフランキングプローブを含み、第2のプローブサブセットは、DYRK1AにハイブリダイズするフランキングプローブおよびU2AF1にハイブリダイズするフランキングプローブを含む。DSCAMおよび/またはHMGN1欠失がこの方法において検出される場合、フランキングプローブのハイブリダイゼーション部位の少なくとも1つが、DSCAMおよび/またはHMGN1と共に欠失しているかどうかの分析は、欠失が大きな欠失であるかどうかを決定するために使用することができる。
4.境界ゾーン
セクションHの方法におけるように、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、対象の遺伝子(複数可)に対してセントロメア側の第1の境界ゾーン内のまたはそれに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、および/または少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、対象の遺伝子(複数可)に対してテロメア側の第2の境界ゾーン内のまたはそれに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする。
第3のおよび/または第4のフランキングプローブが、境界ゾーン内にまたは境界ゾーンに比べて対象の遺伝子(複数可)に対して遠位に位置することもまた、可能である。すなわち、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第3のフランキングプローブは、少なくとも1つの第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の第1の遠位の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする、および/または少なくとも1つの第4のフランキングプローブは、少なくとも1つの第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の第2の遠位の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする。
境界ゾーンおよびそれへのハイブリダイゼーション部位の位置は、上記のセクションにおいてより詳細に説明され、その議論は、同様にここに関連する。
J.プローブセットおよびキット
本発明は、上記に記載される方法に従って調製されるプローブセットに関する。
本発明はまた、DSCAMまたはHMGN1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、TMPRSS2またはU2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセットに関する。そのような実施形態では、DSCAMまたはHMGN1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、標的プローブとして役立ち、TMPRSS2またはU2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブおよびERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、フランキングプローブとして役立つ。いくつかの実施形態では、プローブセットは、DYRK1Aにハイブリダイズする少なくとも1つのさらなるフランキングプローブを含む。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、BAC RP11−139D12、RP11−907P24、RP11−280O17、RP11−183I12、RP11−281F3、RP11−1113M13、およびRP11−123A7の少なくとも1つに由来するDSCAMにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、BAC RP11−137J13およびRP11−348C15の少なくとも1つに由来するHMGN1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、BAC RP11−35C4、CTD−3095D11、およびRP11−671L10の少なくとも1つに由来するTMPRSS2にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、BAC RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つに由来するERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−105O24、RP11−777J19、およびCTD−3140L2の少なくとも1つに由来するDYRK1Aにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−446L19およびCTD−2601A22の少なくとも1つに由来するU2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む。本明細書において言及されるこれらのおよび他のすべてのBACは、Roswell Park Cancer Institute、Buffalo、New YorkおよびBACPAC Resources Center at Children’s Hospital and Research Center at Oakland、Californiaから入手可能である。たとえば、配列情報は、NCBI Clone Registry(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/genome/clone/)から入手可能である。
下記は、本開示によるプローブセットにおいて使用することができる、選択されるBACについての第21染色体上のハイブリダイゼーション部位の位置に関する情報を提供する表である(座標は、version GRCh37/h19、2009年2月におけるものである)。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、DSCAM、HMGN1、TMPRSS2、およびERGにハイブリダイズするプローブを含み、DSCAMにハイブリダイズさせるプローブ(複数可)は、BAC RP11−846G17、RP11−907P24、RP11−280O17、またはその組み合わせに由来し、HMGN1にハイブリダイズするプローブ(複数可)は、BAC RP11−8137J13、RP11−348C15、またはその両方に由来し、TMPRSS2にハイブリダイズするプローブ(複数可)は、BAC RP11−35C4、CTD−3095D11、またはその両方に由来し、ERGにハイブリダイズするプローブ(複数可)は、BAC RP11−476D17、RP11−951I21、またはその両方に由来する。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、少なくとも1つのセントロメア側のまたはセントロメア周囲のプローブを含む。これは、染色体計数に使用することができる。セントロメア周囲のプローブの例は、BAC CTD−2251K12、RP11−47B13、CTD−2314J10、またはその組み合わせに由来するプローブを含む。
いくつかの実施形態では、プローブセットは、RP11−139D12、RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つ、ならびにRP11−35C4およびCTD−3095D11の少なくとも1つに由来するプローブから成る。
ここで、本発明の実施形態について詳細に言及することとし、これらの態様および結果は、添付の図面において例証される。
(実施例1)
第10染色体についてのコピー数多型、セグメント重複、および比較ゲノムハイブリダイゼーションデータの分析;プローブ部位選択
Liuら、Nat. Med. 2009年;15巻:559〜65頁からのCGHデータをin silicoで分析した。14人の患者からの58の転移性CaP試料における染色体10q領域のin silicoコピー数分析を(Liu Wら Copy number analysis indicates monoclonal origin of lethal metastatic prostate cancer、Nat. Med. 2009年;15巻:559〜65頁)、1.0×10−6の有意性閾値およびセグメント当たり最低5つのプローブを用い、ランクセグメンテーション(rank segmentation)を適用して実行した(Nexus Copy Number v.4;BioDiscovery、El Segundo、CA)。ゲノム不均衡は、獲得[log(3/2)もしくは0.2の閾値]または損失[log(1/2)もしくは−0.3の閾値、]として決めた、それぞれ、Ferreira BIら、Array CGH and gene−expression profiling
reveals distinct genomic instability patterns associated with DNA repair and cell−cycle checkpoint pathways in Ewing’s sarcoma、Oncogene 2008年;27巻:2084〜2090頁によって定義されるように、2つのコピー数変化(CNT)によって決定した。
PTENの近くの損失のエリアを示すデータを図16において示す。基準と比べた転移性CaP試料の集団における座の平均存在量もまた、決定し、プロットした(図15および16;図10もまた参照されたい)。存在量が、81.5Mb〜89.67Mbの(つまり、PTENに対して約8Mbセントロメア側の)領域において20%を超えて減少し、集団においてコピー数変化を示すことが決定された。
コピー数多型(CNV)データは、ASCIIテキスト形式でSanger Institute’s CNV Project(http://www.sanger.ac.uk/humgen/cnv/)から得た。入手可能なデータは、国際コンソーシアムHapMap(http://hapmap.ncbi.nlm.nih.gov/)によって収集された、269の別個の試料に相当した。次いで、ダウンロードしたファイルをフィルターにかけ、第10染色体に関する領域のみをスプレッドシートに転送した。重複領域は、Microsoft Excel上で手動で選択した。セグメント重複データは、参照データベースとして構築した第10染色体を使用し、Blast(Altschul SFら、J. Mol. Biol. 1990年;215巻:403〜410頁)アライメントを用いることによって得た。
Segmental Duplication Databaseから得た個々のセグメント重複(She Xら、Shotgun sequence assembly and recent segmental duplications within the human genome、Nature 2004年;431巻:927〜930頁、http://humanparalogy.gs.washington.edu/)は、次いで、自動的な方法で染色体に対してアライメントし、結果として生じるヒットを、データベースにおけるそれぞれのセグメントについて表に示した。Segmental Duplication Databaseにおける9000を超える配列についての表をフィルターにかけ、95%を超える相同性を有し、10キロベースよりも長いヒット(アライメント)のみを、コンピュータースクリプトによって自動的に選択した(図21)。次いで、近接する領域は、CNVセグメントと同じ方法で手動で選択した。近接するアライメント(ヒット)を分類するために考えたカットオフ値は、50キロベースの距離とした。100キロベースの距離の別のカットオフ値は、結果として生じるクラスターを分類するために用いた。
第10染色体は、表1において列挙される領域においてセグメント重複(SD)およびCNVのクラスターを含有したことが決定された。
表1. 第10染色体のセグメント重複およびCNV
表1における座標は、ヒトゲノムのUCSC version NCBI36/hg18(2006年3月)の第10染色体における位置を指す。
セグメント重複、CNV、および集団コピー数変化の位置に基づいて、TSPAN15およびBMPR1A座を、セントロメア側のフランキングプローブに対するハイブリダイゼーション部位として選択した。FASおよびSUFU座を、テロメア側のフランキングプローブに対するハイブリダイゼーション部位として選択した。
(実施例2)
ホモ接合性のPTEN欠失を有する試料を用いる3色FISH。
PC3細胞系の細胞からの中期染色体を(Beheshti Bら、Evidence
of chromosomal instability in prostate cancer determined by spectral karyotyping (SKY) and interphase fish analysis、Neoplasia 2001年;3巻:62〜9頁)、固定し、10q23.2にハイブリダイゼーション部位を有するRP11−420K10 BAC(緑色に標識);10q25.1にハイブリダイゼーション部位を有するRP11−246B13 BAC(赤色に標識);およびPTENにハイブリダイゼーション部位を有するRP11−846G17(水色に標識)を使用して調製した、3つの識別可能に標識したプローブをハイブリダイズさせた。染色体はまた、DAPI(青色)を用いて対比染色した。赤色、緑色、水色、および青色のチャネルにおける画像を、蛍光顕微鏡法によって得た。染色体の代表的なセットからの画像を、4つのFISHシグナルが緑色および赤色のチャネル(パネルAおよびB)で目に見えた図8に示す。二倍性のゲノムが複製されたが、中期でまだ分離していなかったので、4つのFISHシグナルがあった。わずかなDAPI蛍光がこのチャネルで目に見えたが、水色FISHシグナルは、PTENプローブについて観察されなかった(パネルC)。パネルDは、パネルA〜Cの3つの画像および青色のチャネルからのDAPI蛍光のオーバーレイを示す。
(実施例3)
4色間期FISHによる欠失マッピング
4色間期FISHを、PTENの少なくとも1つのコピーについて欠失した癌性前立腺組織の132の試料について実行した。132の試料は、McGill UniversityおよびUniversity of Torontoで採取された330の癌性前立腺臨床組織試料のサブセットであった。これらの試料に関する詳細は、下記表に掲載する。
合計330人の患者の内訳
ヘミまたはホモ接合性のPTEN欠失を有する132の試料の内訳
使用したプローブは、BAC RP11−141D8およびRP11−52G13に由来するプローブ(「プローブA」;PTENに対してセントロメア側のハイブリダイゼーション部位);BAC RP11−846G17に由来するPTENプローブ;ならびにBAC RP11−399O19およびRP11−360H20に由来するプローブ(「プローブB」;PTENに対してテロメア側のハイブリダイゼーション部位)とした。プローブは、ニックトランスレーションによって識別可能な蛍光団を用いて標識した。BACクローンについての位置情報は、UCSC Genome Browser 1のHuman(2006年3月)アセンブリから得ることができる。第10染色体セントロメア側のプローブSpectrumAqua標識CEP10、Vysis Abbott Molecular、Des Plaines、IL、USAもまた、使用した。
132の試料の分析は、細胞の少なくとも30%における1つまたは0のPTENプローブFISHシグナルの存在に基づいて、それらのうちの82がヘミ接合性のPTEN欠失を有し、50がホモ接合性のPTEN欠失を有したことを示した。さらに、プローブAおよびBの存在または不在は、欠失(複数可)が、これらのプローブのハイブリダイゼーション部位を同様に包含したかどうかを決定するために数えた。結果は、下記表2において列挙し、図11〜13に示す。
表2. 欠失の程度
ホモ接合性のPTEN欠失についてのカラムでは、括弧内の数は、所与のプローブからのFISHシグナルがいくつ存在したかを示し、したがって、たとえば、「プローブA(1)、PTEN(0)、プローブB(1)」は、一方の染色体が、PTENのみについて欠失しており、他方の染色体が、プローブA〜プローブBの全領域について欠失しているまたは一方の染色体が、PTENおよびプローブBについて欠失しており、他方の染色体が、プローブAおよびPTENについて欠失していることを示す。
PTENのみに影響を与える欠失の最小のサイズは、176kbと推定された。プローブA、PTEN、およびプローブBに影響を与える最大の欠失のサイズ範囲は、少なくとも2.5Mbと推定された。
(実施例4)
2色FISHによって解釈することが困難な試料におけるPTENステータスの分解能
研究時に未知の臨床の結果を有する根治的前立腺全摘除術由来の91のホルマリン固定パラフィン包埋試料のセットを、Abbott Inc.からの市販で入手可能なPTENおよびセントロメア側のプローブを用いる2色間期FISHならびにプローブAはBAC RP11−141D8およびRP11−52G13から調製し、PTENプローブおよびプローブBは実施例3におけるとおりとしたプローブセットを使用する4色FISHの両方を使用して分析した。結果が2つのアッセイの間で異なった6つの試料が同定された。これらの結果は、下記表3において列挙する。
2色アッセイについての分析基準は、2つのPTENシグナルおよび2つの第10染色体セントロメア側のプローブを有する少なくとも70%の核:コピー変化なし。同時に、1つのPTENシグナル欠けて、損失しているが、2つのセントロメア側のプローブが存在する、25%〜30%の核:決定的でない。1つのPTENシグナルが欠けており、両方のセントロメア側のプローブが保持されている30%を超える核:ヘミ接合性の欠失。2つのPTENシグナルが欠けており、セントロメア側のプローブが保持されている30%〜100%の核:ホモ接合性の欠失とした。
切断によるアーチファクトを所与のセットにおいてそれぞれのプローブについて確立した後、4色アッセイについての分析基準を確立した。それらは、2つのPTENシグナルを有し、フランキングプローブを保持する少なくとも80%の核:コピー変化なし。両方のフランキングプローブを保持しながら、1つのPTENシグナルが欠けている18%〜20%の核:決定的でない。1つのPTENシグナルが欠けているが、両方のフランキングプローブを同時に保持する20%以上:ヘミ接合性の欠失。一方、両方のフランキングプローブが同時に損失していてもよい、またはどちらも損失していなくてもよい、2つのPTENシグナルが欠けている20%〜100%の核:ホモ接合性の欠失とした。
これらの基準は、欠失と考えるために、見かけ上の頻度は、アーチファクト欠失頻度プラス3標準偏差よりも大きくなければならないという条件に基づくものとし、これらの値は2色アッセイについては30%、4色アッセイについては20%とした。2色および4色プローブセットについての対照結果を示す下記表を参照されたい。アーチファクト欠失頻度は、生検材料および/または良性前立腺肥大を有する患者に対して実行された根治的前立腺全摘除術からの非癌性前立腺試料由来の対照試料を使用して測定した。FISHアッセイにおける有意性閾値を設定するための3標準偏差の使用は、Venturaら、J. Mol. Diagn. 2006年;8巻:141〜151頁において説明されている。
表3. 対照結果−4色プローブセットを用いるアーチファクト欠失の頻度
表4. 対照結果−2色プローブセットを用いるアーチファクト欠失の頻度
表5. 2色および4色PTENプローブセットを使用するPTEN欠失の検出
「ヘミおよびホモ接合性の欠失」は、PTENの1つのコピーの最初の欠失、その後に続くクローン増殖、ホモ接合性欠失亜集団をもたらす第2の欠失事象と一致して、両方のタイプの欠失を有する有意な数の細胞が存在したことを示す。
したがって、4色アッセイは、2色アッセイによって決定的でなかった試料9〜17および19を分析することができた。さらに、いくつかの試料は、2色アッセイにおいて偽陽性結果を示したように思われ(推定上、平均以上の数の切断の影響による)、試料1、3、および4は偽陰性結果を示したように思われる。最後に、試料9では、2色アッセイは、細胞のヘミ接合性欠失集団を明らかに検出しなかった。
4つのプローブアッセイの改善された特異度および感度は、フランキングプローブAおよびBを、アッセイの標的(PTEN)の近くであるがなお、多くの欠失が、フランキングプローブからのFISHシグナルに影響を与えないはずである位置に位置づけることから結果として生じる、より低いアーチファクト欠失頻度から結果として生じると考えられる。
(実施例5)
p16についての境界ゾーン同定およびFISHプローブ調製物
参照細胞に対する黒色腫細胞試料からの平均のゲノムのコピー数を比較するCGHデータは、[Beroukhim Rら、The landscape of somatic copy−number alteration across human cancers、Nature 2010年;463巻:899〜905頁]において記載される[http://www.broadinstitute.org/tumorscape/pages/portalHome.jsf]から得る。111の黒色腫試料の集団における座の平均相対的コピー数が多くても15Mbの区間にわたり少なくとも20%減少する最も近いコピー数変化ゾーンは、9p21で、p16遺伝子(CDKN2Aとしても公知)のセントロメア側で同定される。
コピー数変化ゾーンおよび周囲の近辺のエリアにおけるコピー数多型の多型の座(CNV)[Casci T. Genome evolution: CNV evolution revisited、Nature Reviews Genetics 2008年;9巻:814〜815頁]についてのWellcome Trust Sanger Institute[http://www.sanger.ac.uk/humgen/cnv/]およびセグメント重複[Rudd MKら、Segmental duplications mediate novel, clinically relevant chromosome rearrangements、Hum. Mol. Genet. 2009年;18巻:2957〜62頁]についてのDepartment of Genome Sciences、University of Washington[http://humanparalogy.gs.washington.edu/]からのゲノムアノテーションを得た。
コピー数変化ゾーンにおけるまたはそれに対して5Mb以内のセントロメア側の少なくとも1つのCNVを同定する。p16に対する少なくとも1つのCNVの最も近いもののアノテートされたエンドポイントは、下記で、遠位および近位のCNVエンドポイントと呼ばれる(p16に対する接近に関して)。
コピー数変化ゾーンにおけるアノテートされたセグメント重複の1Mbの範囲内のまたはそれに対して5Mb以内のセントロメア側の少なくとも4つのアノテートされたセグメント重複を含有する少なくとも1つのクラスターを同定した。p16に最も近いセグメント重複クラスターのエンドポイントは、Segmental Duplication Databaseにおける高密度セグメント重複領域のアノテートされたエンドポイントによって(She Xら、Shotgun sequence assembly and recent segmental duplications within the human genome、Nature 2004年;431巻:927〜930頁、http://humanparalogy.gs.washington.edu/)またはp16に最も近位のおよび最も遠位の1Mbの範囲内の2つのセグメント重複座の位置によって定義される。
(1)CNVおよびセグメント重複クラスターのp16に対してより遠位の、遠位エンドポイントおよび(2)CNVおよびセグメント重複クラスターのp16に対してより近位の、近位エンドポイントによって境界を示される領域は、境界ゾーンとして同定される。
中央がp16に対して遠位にある境界ゾーンの端から1Mb以内にあり、セントロメア側に及ぶハイブリダイゼーション部位を有するセントロメア側のフランキングプローブを調製する。
p16のテロメア側の側で、少なくとも1つのCNVおよび/または少なくとも1つのセグメント重複クラスターは、p16座のテロメア側の末端の2Mb以内で同定される。中央がCNVまたはセグメント重複クラスターのテロメア側の末端から1Mb以内にあり、テロメア側に及ぶハイブリダイゼーション部位を有するテロメア側のフランキングプローブを調製する。
中央がp16座内またはp16座の一方の末端から100kb以内にあるハイブリダイゼーション部位を有する標的プローブを調製する。
セントロメア側のフランキングプローブ、テロメア側のフランキングプローブ、および標的プローブを含むFISHプローブセットは、間期FISHを介してp16の欠失のためにアッセイするために使用することができる。アッセイは、セントロメア側のフランキングプローブ、テロメア側のフランキングプローブ、および標的プローブのFISHシグナルに影響を与える切断によるアーチファクトが、テロメア側およびセントロメア側のフランキングプローブの間に少なくとも1つのエンドポイントを有する遺伝的な欠失によって影響を与えられる細胞と容易に区別されるので、ホルマリン固定パラフィン包埋試料により高精度を有する。
(実施例6)
4色間期FISHによる21q22.13−21q22.3領域の欠失マッピング
4色間期FISHを、上記に記載される方法を使用して、前立腺組織の(FFPE−FNA)試料:
1.正常な細胞
2.ヘミ接合性のPTEN欠失、および
3.ホモ接合性のPTEN欠失
に対して実行する。
21q22.13−21q22.3(特に21q22.2)領域は、TMPRSS2、HMGN1、DSCAM、およびERG1を含むいくつかの遺伝子を含む。使用されることとなるプローブは、BAC RP11−476D17に由来し(プローブA:HMGN1に対してセントロメア側)、BAC RP11−137J13およびRP11−348C15に由来するHMGN1プローブ、BAC RP11−139D12、RP11−907P24、RP11−280O17、RP11−183I12、RP11−281F3、RP11−1113M13、およびRP11−123A7に由来するDSCAMプローブ、ならびにRP11−35C4に由来するプローブ(プローブB;DSCAMに対してテロメア側)とする。プローブは、ニックトランスレーションによって識別可能に標識される(たとえば赤色、緑色、水色、および金色の蛍光団を用いて)。BACについての位置情報は、UCSC Genome BrowserのHuman(2009年2月)アセンブリから得ることができる。第21染色体セントロメア側のまたは中心周囲のプローブもまた、使用されてもよい。
試料の分析は、ヘミ接合性のPTEN欠失を有する細胞のサブセットはまた、HMGN1およびDSCAMのプローブの一方または両方ではなく、プローブAおよびプローブBからのハイブリダイゼーションシグナルの存在によって示されるように、HMGN1欠失もしくはDSCAM欠失またはその両方を有することを示す。ホモ接合性のPTEN欠失を示す細胞の他のサブセットは、さらなるまたは単一の欠失を示す。正常な細胞は、すべての遺伝子の存在を示す。
本明細書内の実施形態は、本発明の実施形態の例証を提供し、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。当業者は、他の多くの実施形態が本発明によって包含されることを容易に認識する。本開示において引用される刊行物および特許はすべて、参照によってそれらの全体が組み込まれる。参照によって組み込まれる物質は、本明細書と矛盾するまたは一致しない程度まで、本明細書は、任意のそのような物質に取って代わるであろう。あらゆる参考文献の引用は、本明細書においてそのような参考文献が本発明に対する先行技術となることを許可するものではない。
それと反対に他に示されない限り、請求項を含む本明細書において使用される、成分の量、反応条件などを表現するすべての数は、近似値であり、本発明によって得られることが求められる所望の特性に依存して変動してもよい。少なくとも、また、請求項の範囲への等価物の見解の適用を限定する試みとしてではなく、数のパラメーターは、それぞれ、有効数字の数および通常の丸めのアプローチを考慮して解釈されるべきである。
他に示されない限り、一連のエレメントに先行する用語「少なくとも」は、一連のすべてのエレメントを指すように理解されたい。当業者らは、通常の実験作業のみを使用して、本明細書において記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するまたは確認することができるであろう。そのような等価物は、以下の請求項によって包含されるように意図される。
(a)または(i)などのような標識を有するものを含めて、方法ステップが列挙される場合、たとえば、後に列挙されるステップが前に列挙されたステップの産物または結果を必要としない場合、請求項におけるステップの順序は必ずしも唯一の可能な順序ではないことが理解されたい。
例示的な実施形態:
1.FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイのためのプローブセットを調製する方法であって、
(a)癌抑制遺伝子を含む染色体上の少なくとも1つの境界ゾーンを同定するステップであって、少なくとも1つの境界ゾーンは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーンを含むステップ、
(b)第1の境界ゾーン内の核酸配列に、または第1の境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のフランキングプローブを提供するステップ、
(c)癌抑制遺伝子に対してテロメア側の核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のフランキングプローブを提供するステップ、および
(d)境界ゾーンの間の癌抑制遺伝子における核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを提供するステップ
を含む方法。
2.少なくとも1つの標的プローブ、少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブは、細菌人工染色体(BAC)、コスミド、もしくは増幅産物に由来するまたは合成オリゴヌクレオチドのセットとして提供される、実施形態1に記載の方法。
3.第1の境界ゾーンは、主要な境界ゾーンである、実施形態1〜2のいずれか1つに記載の方法。
4.癌抑制遺伝子は、PTENである、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
5.癌抑制遺伝子は、p16、RB1、およびp53から選ばれる、実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
6.少なくとも1つの境界ゾーンを同定するステップは、(1)コピー数変化が、癌抑制遺伝子の欠失を含むことが公知の試料の集団において生じるならびに(2)コピー数多型(CNV)およびセグメント重複のクラスターの少なくとも1つが生じる領域を同定するステップを含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。
7.少なくとも第2の境界ゾーンを同定するステップをさらに含み、第2の境界ゾーンは、癌抑制遺伝子に対してテロメア側にあり、第2のフランキングプローブは、第2の境界ゾーン内の核酸配列に、または第2の境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズする、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。
8.少なくとも第3の境界ゾーンを同定するステップおよび第3の境界ゾーン内の核酸配列に、または第3の境界ゾーンに比べて癌抑制遺伝子から遠位にある核酸配列にハイブリダイズするプローブを提供するステップをさらに含む、実施形態7に記載の方法。
9.少なくとも1つの染色体計数プローブを提供するステップをさらに含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
10.少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブは、FISHベースの癌抑制因子欠失アッセイにおいて使用することができ、アッセイは、5μmの厚さを有し、5μm未満の平均核直径を有するホルマリン固定パラフィン包埋細胞性試料について、30%以下のアーチファクト欠失頻度プラス3標準偏差として計算される有意性閾値を有する、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
11.少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、50〜200kbの範囲のサイズを有する、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
12.少なくとも1つの標的プローブのハイブリダイゼーション部位は、500kb〜20Mbの範囲の距離により、少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位から分離している、実施形態1〜11のいずれか1つに記載の方法。
13.少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、それぞれ、少なくとも第1の境界ゾーンおよび第2の境界ゾーン内にある、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の方法。
14.少なくとも第1の境界ゾーンおよび第2の境界ゾーンは、300kb〜2Mbの範囲のサイズを有する、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
15.少なくとも第1の境界ゾーンおよび第2の境界ゾーンの少なくとも1つは、癌性または前癌性細胞由来の比較ゲノムハイブリダイゼーションデータにおけるコピー数変化に基づいて同定される、実施形態1〜14のいずれか1つに記載の方法。
16.少なくとも第1の境界ゾーンおよび第2の境界ゾーンの少なくとも1つは、癌抑制遺伝子の欠失を含有していることが公知の複数の細胞試料のFISH分析に基づいて同定される、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。
17.実施形態1〜16のいずれか1つに記載の方法によって調製されるプローブセットを含む、癌抑制遺伝子における欠失を検出するためのキット。
18.癌抑制遺伝子の欠失についてのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)複数の細胞を含む細胞試料についてプローブセットを用いてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを含むステップ、
(b)複数の細胞において、少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブならびに少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)(i)アーチファクトヘミ接合性欠失頻度および(ii)アーチファクトホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、(d)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、(i)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および(ii)見かけ上のホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、ステップ(c)においてアーチファクトホモ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を含み、ステップ(c)においてアーチファクトヘミ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のホモ接合性欠失頻度を含むステップ、ならびに
(e)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度がアーチファクトヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、癌抑制遺伝子のヘミ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するか、または見かけ上のホモ接合性欠失頻度がアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、癌抑制遺伝子のホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む方法。
19.pが、t検定に従って0.05以下である場合に、見かけ上の頻度は、アーチファクトの頻度よりも有意に大きい、実施形態18に記載の方法。
20.見かけ上の頻度が、3標準偏差分、アーチファクトの頻度を超える場合に、見かけ上の頻度は、アーチファクトの頻度よりも有意に大きい、実施形態18に記載の方法。
21.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の境界ゾーン内の位置またはそれに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態18〜20のいずれか1つに記載の方法。
22.少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の境界ゾーン内の位置またはそれに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態18〜21のいずれか1つに記載の方法。
23.ステップ(c)においてアーチファクトヘミ接合性欠失頻度およびアーチファクトホモ接合性欠失頻度を提供するステップ、ステップ(d)において見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および見かけ上のホモ接合性欠失頻度を決定するステップ、ならびにステップ(e)において、試料が癌抑制遺伝子のヘミ接合性欠失を有する細胞を含むかどうかおよび試料が癌抑制遺伝子のホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかの両方を決定するステップを含む、実施形態18〜22のいずれか1つに記載の方法。
24.プローブセットは、癌抑制遺伝子を含む染色体に対して特異的な少なくとも1つの染色体計数プローブをさらに含み、少なくとも1つの染色体計数プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、見かけ上の異数体の頻度を決定するステップ、および見かけ上の異数体の頻度が、アーチファクトの異数体の頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料における細胞が、当該染色体について異数体かどうかを決定するステップをさらに含む、実施形態18〜23のいずれか1つに記載の方法。
25.細胞試料は、固定され、保存される、実施形態18〜24のいずれか1つに記載の方法。
26.細胞試料は、3〜6μmの範囲の厚さを有する、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である、実施形態25に記載の方法。
27.癌抑制遺伝子は、PTENである、実施形態18〜26のいずれか1つに記載の方法。
28.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、TSPAN15にハイブリダイズするプローブを含み、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、FASにハイブリダイズするプローブを含む、実施形態27に記載の方法。
29.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、BMPR1AまたはWAPALにハイブリダイズするプローブを含み、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、FASにハイブリダイズするプローブを含む、実施形態27または28に記載の方法。30.癌抑制遺伝子は、p16、RB1、およびp53から選ばれる、実施形態18〜26のいずれか1つに記載の方法。
31.少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、50〜200kbの範囲のサイズを有する、実施形態18〜30のいずれか1つに記載の方法。
32.少なくとも1つの標的プローブのハイブリダイゼーション部位は、500kb〜20Mbの範囲の距離、少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位から分離している、実施形態18〜31のいずれか1つに記載の方法。
33.癌抑制遺伝子の小さな欠失および大きな欠失を識別可能に検出するためのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)プローブセットを用いて複数の細胞を含む細胞試料についてFISHを実行するか、またはプローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行し、前記プローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくともの第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを含むステップ、
(b)複数の細胞または複数の複数の細胞において、少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブ、少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブ少なくとも1つからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、
(d)癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、
(e)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間にエンドポイントを有する癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度を決定するステップ、
(f)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、癌抑制遺伝子の欠失についての少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップ、ならびに
(g)少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度が、少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、細胞試料が、癌抑制遺伝子の小さな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定し、少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度が、少なくとも1つの第2のアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、細胞試料が、癌抑制遺伝子の大きな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む方法。
34.プローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行するステップおよびプローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップを含み、癌抑制遺伝子は、PTENであり、第1のプローブサブセットは、TSPAN15にハイブリダイズするフランキングプローブおよびFASにハイブリダイズするフランキングプローブを含み、第2のプローブサブセットは、BMPR1AまたはWAPALにハイブリダイズするフランキングプローブおよびSUFUにハイブリダイズするフランキングプローブを含む、実施形態33に記載の方法。
35.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の第2の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態33〜34のいずれか1つに記載の方法。
36.少なくとも1つの第3のフランキングプローブは、少なくとも1つの第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の第1の遠位の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズするまたは少なくとも1つの第4のフランキングプローブは、少なくとも1つの第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の第2の遠位の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態33〜35のいずれか1つに記載の方法。
37.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の第2の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態36に記載の方法。
38.細胞が癌抑制遺伝子の2つの欠失を含むことを決定するステップを含み、大きな欠失である欠失の少なくとも1つは、転移または転移性腫瘍を示す、実施形態33〜37のいずれか1つに記載の方法。
39.細胞試料は、固定され、保存される、実施形態33〜38のいずれか1つに記載の方法。
40.細胞試料は、3〜6μmの範囲の厚さを有する、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である、実施形態39に記載の方法。
41.癌抑制遺伝子は、PTENである、実施形態33および35〜40のいずれか1つに記載の方法。
42.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、BMPR1AまたはWAPALにハイブリダイズするプローブを含み、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、FASにハイブリダイズするプローブを含む、実施形態41に記載の方法。
43.TSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つの第3のフランキングプローブを提供するステップを含む、実施形態41〜42のいずれか1つに記載の方法。
44.SUFUにハイブリダイズする少なくとも1つの第4のフランキングプローブを提供するステップを含む、実施形態41〜43のいずれか1つに記載の方法。
45.癌抑制遺伝子は、p16、RB1、およびp53から選ばれる、実施形態33および35〜40のいずれか1つに記載の方法。
46.少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、50〜200kbの範囲のサイズを有する、実施形態33〜45のいずれか1つに記載の方法。
47.少なくとも1つの標的プローブのハイブリダイゼーション部位は、500kb〜20Mbの範囲の距離により、少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位から分離している、実施形態33〜46のいずれか1つに記載の方法。
48.癌抑制遺伝子の欠失についてのFISHベースのアッセイを最適化するための方法であって、
(a)複数の候補プローブセットを提供するステップであって、それぞれの候補プローブセットは、癌抑制遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、癌抑制遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、および癌抑制遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブを含むステップ、
(b)それぞれの候補プローブセットについて、
(i)癌抑制遺伝子の完全なコピーの正倍数性の数を含む複数の細胞を含む少なくとも1つの細胞試料について候補プローブセットを用いてFISHを実行し、
(ii)少なくとも1つの試料の複数の細胞において候補プローブセットの少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブならびに少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数え、
(iii)ステップ(ii)の数えられたFISHシグナルからアーチファクト欠失頻度を決定するステップならびに
(c)癌抑制遺伝子の欠失について最適化されたFISHベースのアッセイにおける使用のための候補プローブセットからプローブセットを選択するステップであって、選択されたプローブセットは、ステップ(iii)において好ましいアーチファクト欠失頻度を有すると決定されたステップを含む方法。
49.ステップ(b)前に、その後に、またはそれと並行して、それぞれの候補プローブセットについて、
(iv)癌抑制遺伝子のホモ接合性またはヘミ接合性欠失を含む複数の細胞を含む複数の細胞試料について候補プローブセットを用いてFISHを実行するステップ、
(v)複数の細胞において候補プローブセットの少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブならびに少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、
(vi)複数の試料のそれぞれについて、ステップ(v)の数えられたFISHシグナルから見かけ上の欠失頻度を決定するステップならびに
(vii)ステップ(vi)およびステップ(iii)の後に、複数の試料のうちのいくつが、ステップ(iii)のアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きな見かけ上の欠失頻度を有すると決定されたかに基づいて候補プローブセットの感度値を決定するステップをさらに含み、
ステップ(c)の選択されたプローブセットは、ステップ(vii)において好ましい感度値を有することが決定されている、実施形態48に記載の方法。
50.細胞試料は、固定され、保存される、実施形態48〜49のいずれか1つに記載の方法。
51.細胞試料は、3〜6μmの範囲の厚さを有する、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である、実施形態50に記載の方法。
52.PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセット。
53.実施形態52のプローブセットを含む、PTEN遺伝子における欠失を検出するためのキット。
54.PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブが、識別可能に標識される、実施形態52に記載のプローブセット。
55.BMPR1AまたはWAPALに結合する少なくとも1つのプローブをさらに含む、実施形態52および54のいずれか1つに記載のプローブセット。
56.プローブセットは、FASに結合するプローブを含む、実施形態52および54〜55のいずれか1つに記載のプローブセット。
57.SUFUに結合するプローブをさらに含む、実施形態52および54〜56のいずれか1つに記載のプローブセット。
58.少なくとも1つの染色体計数プローブをさらに含む、実施形態52および54〜57のいずれか1つに記載のプローブセット。
59.プローブセットは、細菌人工染色体に由来する、PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む、実施形態52および54〜58のいずれか1つに記載のプローブセット。
60.PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、RP11−846G17に由来するプローブを含み、FASにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、RP11−399019およびRP11−360H20の少なくとも1つに由来するプローブを含み、TSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、RP11−168B4およびRP11−124L5の少なくとも1つに由来するプローブを含む、実施形態59に記載のプローブセット。
61.プローブセットは、RP11−846617、RP11−399019およびRP11−360H20の少なくとも1つ、ならびにRP11−168B4およびRP11−124L5の少なくとも1つに由来するプローブから成る、実施形態60に記載のプローブセット。
62.PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTSPAN15にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブが、識別可能に標識される、実施形態52および54〜61のいずれか1つに記載のプローブセットを含む組成物。
63.第21染色体のバンド21q22.13−21q22.3における欠失についてのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)複数の細胞を含む細胞試料についてプローブセットを用いてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、
TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも1つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つの標的プローブ、
少なくとも1つの標的遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、
ならびに少なくとも1つの標的遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブを含むステップ、
(b)複数の細胞において、少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブならびに少なくとも1つの標的プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)(i)アーチファクトヘミ接合性欠失頻度および(ii)アーチファクトホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つのアーチファクト欠失頻度を提供するステップ、(d)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、(i)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および(ii)見かけ上のホモ接合性欠失頻度から選ばれる少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、ステップ(c)においてアーチファクトホモ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のヘミ接合性欠失頻度を含み、ステップ(c)においてアーチファクトヘミ接合性欠失頻度が提供されなかった場合、少なくとも1つの見かけ上の欠失頻度は、見かけ上のホモ接合性欠失頻度を含むステップ、ならびに
(e)見かけ上のヘミ接合性欠失頻度がアーチファクトヘミ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、標的遺伝子の少なくとも1つのヘミ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するか、または見かけ上のホモ接合性欠失頻度がアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、標的遺伝子の少なくとも1つのホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップを含む方法。
64.少なくとも1つの標的遺伝子は、ETS2、FSMG1、B3GALT5、HMGN1、DSCAM、およびBACE2から選ばれる、実施形態63に記載の方法。
65.pが、t検定に従って0.05以下である場合に、見かけ上の頻度は、アーチファクトの頻度よりも有意に大きい、実施形態63〜64のいずれか1つに記載の方法。
66.見かけ上の頻度が、3標準偏差分、アーチファクトの頻度を超える場合に、見かけ上の頻度は、アーチファクトの頻度よりも有意に大きい、実施形態63〜64のいずれか1つに記載の方法。
67.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、少なくとも1つの標的遺伝子に対してセントロメア側の境界ゾーン内のまたはそれに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態63〜66のいずれか1つに記載の方法。
68.少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、少なくとも1つの標的遺伝子に対してテロメア側の境界ゾーン内のまたはそれに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態63〜67のいずれか1つに記載の方法。
69.ステップ(c)においてアーチファクトヘミ接合性欠失頻度およびアーチファクトホモ接合性欠失頻度を提供するステップ、ステップ(d)において見かけ上のヘミ接合性欠失頻度および見かけ上のホモ接合性欠失頻度を決定するステップ、ならびにステップ(e)において、試料が少なくとも1つの標的遺伝子のヘミ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかおよび試料が少なくとも1つの標的遺伝子のホモ接合性の欠失を有する細胞を含むかどうかの両方を決定するステップを含む、実施形態63〜68のいずれか1つに記載の方法。
70.プローブセットは、染色体21に対して特異的な少なくとも1つの染色体計数プローブをさらに含み、少なくとも1つの染色体計数プローブからのFISHシグナルを数えるステップ、見かけ上の異数体の頻度を決定するステップ、および見かけ上の異数体の頻度が、アーチファクトの異数体の頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料における細胞が、当該染色体について異数体かどうかを決定するステップをさらに含む、実施形態63〜69のいずれか1つに記載の方法。
71.細胞試料は、固定され、保存される、実施形態63〜70のいずれか1つに記載の方法。
72.細胞試料は、3〜6μmの範囲の厚さを有する、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である、実施形態71に記載の方法。
73.少なくとも1つの標的遺伝子は、HMGN1を含む、実施形態63〜72のいずれか1つに記載の方法。
74.少なくとも1つの標的遺伝子は、DSCAMを含む、実施形態63〜73のいずれか1つに記載の方法。
75.プローブセットは、少なくとも2つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも2つの標的プローブを含む、実施形態63〜74のいずれか1つに記載の方法。
76.少なくとも2つの標的遺伝子は、HMGN1およびDSCAMを含む、実施形態75に記載の方法。
77.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、ERGにハイブリダイズするプローブを含む、実施形態63〜76のいずれか1つに記載の方法。
78.少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、TMPRSS2にハイブリダイズするプローブを含む、実施形態63〜77のいずれか1つに記載の方法。
79.少なくとも1つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、50〜200kbの範囲のサイズを有する、実施形態63〜78のいずれか1つに記載の方法。
80.少なくとも1つの標的プローブのハイブリダイゼーション部位は、500kb〜20Mbの範囲の距離により、少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位から分離している、実施形態63〜79のいずれか1つに記載の方法。
81.第21染色体のバンド21q22.13−21q22.3における小さな欠失および大きな欠失を識別可能に検出するためのFISHベースのアッセイを行う方法であって、
(a)プローブセットを用いて複数の細胞を含む細胞試料についてFISHを実行するか、またはプローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行し、前記プローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップであって、
プローブセットは、
TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも2つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも2つの標的プローブ、少なくとも2つの標的遺伝子に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第1のフランキングプローブ、
少なくとも2つの標的遺伝子に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第2のフランキングプローブ、
ならびに任意選択で、第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを含むステップ、
(b)複数の細胞または複数の複数の細胞において、少なくとも2つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブ、少なくとも第2のフランキングプローブ、ならびに存在する場合、少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つからのFISHシグナルを数えるステップ、
(c)少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブの間にエンドポイントを有する標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、エンドポイントの1つは、2つの標的遺伝子の間にあるステップ、
(d)標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第2のアーチファクト欠失頻度を提供するステップであって、(i)どのエンドポイントも2つの標的遺伝子の間に存在しないか、または(ii)少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つが使用される場合、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブの間にないステップ、
(e)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、少なくとも第1のフランキングプローブおよび少なくとも第2のフランキングプローブの間にエンドポイントを有する標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、エンドポイントの1つは、2つの標的遺伝子の間にあるステップ、
(f)ステップ(b)の数えられたFISHシグナルから、標的遺伝子の少なくとも1つの欠失についての少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度を決定するステップであって、(i)どのエンドポイントも2つの標的遺伝子の間にないまたは(ii)少なくとも第3のフランキングプローブおよび少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つが使用される場合、エンドポイントの少なくとも1つは、少なくとも第1のフランキングプローブと少なくとも第2のフランキングプローブとの間に存在しない、ステップならびに
(g)少なくとも1つの第1の見かけ上の欠失頻度が少なくとも1つの第1のアーチファクト欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、標的遺伝子の少なくとも1つの小さな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定し、少なくとも1つの第2の見かけ上の欠失頻度が少なくとも1つの第2のアーチファクトホモ接合性欠失頻度よりも有意に大きいかどうかに基づいて、試料が、標的遺伝子の少なくとも1つの大きな欠失を有する細胞を含むかどうかを決定するステップ
を含む方法。
82.少なくとも2つの標的遺伝子は、ETS2、FSMG1、B3GALT5、HMGN1、DSCAM、およびBACE2から選ばれる、実施形態81に記載の方法。
83.プローブセットは、第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第3のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の位置にハイブリダイズする少なくとも第4のフランキングプローブのうちの少なくとも1つを含む、実施形態81〜82のいずれか1つに記載の方法。
84.プローブセットに含まれる第1のプローブサブセットを用いて複数の細胞を含む第1の細胞試料についてFISHを実行するステップおよびプローブセットに含まれる第2のプローブサブセットを用いて第1の細胞試料と同じ個体に由来する複数の細胞を含む第2の細胞試料についてFISHを実行するステップを含み、少なくとも2つの標的遺伝子は、HMGN1およびDSCAMを含み、第1のプローブサブセットは、DYRK1AにハイブリダイズするフランキングプローブおよびTMPRSS2にハイブリダイズするフランキングプローブを含み、第2のプローブサブセットは、ERGにハイブリダイズするフランキングプローブおよびU2AF1にハイブリダイズするフランキングプローブを含む、実施形態81〜83のいずれか1つに記載の方法。
85.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、少なくとも2つの標的遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、少なくとも2つの標的遺伝子に対してテロメア側の第2の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態81〜84のいずれか1つに記載の方法。
86.(i)少なくとも1つの第3のフランキングプローブは、存在し、少なくとも1つの第1のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してセントロメア側の第1の遠位の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズする、または(ii)少なくとも1つの第4のフランキングプローブは、存在し、少なくとも1つの第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位に対してテロメア側の第2の遠位の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態81〜85のいずれか1つに記載の方法。
87.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、少なくとも2つの標的遺伝子に対してセントロメア側の第1の境界ゾーンに対してセントロメア側の位置にハイブリダイズし、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、少なくとも2つの標的遺伝子に対してテロメア側の第2の境界ゾーンに対してテロメア側の位置にハイブリダイズする、実施形態86に記載の方法。
88.細胞試料は、固定され、保存される、実施形態81〜87のいずれか1つに記載の方法。
89.細胞試料は、3〜6μmの範囲の厚さを有する、ホルマリン固定パラフィン包埋試料である、実施形態88に記載の方法。
90.少なくとも2つの標的遺伝子は、HMGN1およびDSCAMを含む、実施形態81〜83および85〜89のいずれか1つに記載の方法。
91.少なくとも1つの第1のフランキングプローブは、ERGにハイブリダイズするプローブを含み、少なくとも1つの第2のフランキングプローブは、TMPRSS2にハイブリダイズするプローブを含む、実施形態90に記載の方法。
92.DYRK1Aにハイブリダイズする少なくとも1つの第3のフランキングプローブを提供するステップを含む、実施形態81〜83および85〜91のいずれか1つに記載の方法。
93.U2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つの第4のフランキングプローブを提供するステップを含む、実施形態81〜83および85〜92のいずれか1つに記載の方法。
94.少なくとも2つの標的プローブならびに少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位は、50〜200kbの範囲のサイズを有する、実施形態81〜93のいずれか1つに記載の方法。
95.少なくとも2つの標的プローブのハイブリダイゼーション部位は、500kb〜20Mbの範囲の距離により、少なくとも第1のフランキングプローブおよび第2のフランキングプローブのハイブリダイゼーション部位から分離している、実施形態81〜94のいずれか1つに記載の方法。
96.TMPRSS2とERGとの間に位置する少なくとも1つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、DYRK1AまたはERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、ならびにTMPRSS2またはU2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセット。
97.少なくとも1つの標的遺伝子にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、DYRK1AまたはERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびTMPRSS2またはU2AF1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブは、識別可能に標識される、実施形態96に記載のプローブセット。
98.少なくとも1つの標的遺伝子は、ETS2、FSMG1、B3GALT5、HMGN1、DSCAM、およびBACE2から選ばれる、実施形態96〜97のいずれか1つに記載のプローブセット。
99.プローブセットは、HMGN1に結合するプローブを含む、実施形態96〜98のいずれか1つに記載のプローブセット。
100.プローブセットは、DSCAMに結合するプローブを含む、実施形態96〜99のいずれか1つに記載のプローブセット。
101.プローブセットは、DYRK1Aに結合するプローブを含む、実施形態96〜100のいずれか1つに記載のプローブセット。
102.プローブセットは、U2AF1に結合するプローブを含む、実施形態96〜101のいずれか1つに記載のプローブセット。
103.プローブセットは、TMPRSS2に結合するプローブを含む、実施形態96〜102のいずれか1つに記載のプローブセット。
104.プローブセットは、ERGに結合するプローブを含む、実施形態96〜103のいずれか1つに記載のプローブセット。
105.少なくとも1つの染色体計数プローブをさらに含む、実施形態96〜104のいずれか1つに記載のプローブセット。
106.プローブセットにおけるプローブの少なくとも3つは、細菌人工染色体に由来する、実施形態96〜105のいずれか1つに記載のプローブセット。
107.プローブセットは、RP11−137J13およびRP11−348C15の少なくとも1つに由来するHMGN1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つに由来するERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、ならびにRP11−35C4、CTD−3095D11、およびRP11−671L10の少なくとも1つに由来するTMPRSS2にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む、実施形態106に記載のプローブセット。
108.プローブセットは、RP11−139D12、RP11−907P24、RP11−280O17、RP11−183I12、RP11−281F3、RP11−1113M13およびRP11−123A7の少なくとも1つに由来するDSCAMにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つに由来するERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、ならびにRP11−35C4、CTD−3095D11、およびRP11−671L10の少なくとも1つに由来するTMPRSS2にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む、実施形態106に記載のプローブセット。
109.プローブセットは、RP11−137J13およびRP11−348C15の少なくとも1つに由来するHMGN1にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、RP11−139D12、RP11−907P24、RP11−280O17、RP11−183I12、RP11−281F3、RP11−1113M13、およびRP11−123A7の少なくとも1つに由来するDSCAMにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つに由来するERGにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、ならびにRP11−35C4、CTD−3095D11、およびRP11−671L10の少なくとも1つに由来するTMPRSS2にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含む、実施形態106に記載のプローブセット。
110.(i)RP11−446L19およびCTD−2601A22の少なくとも1つに由来するU2AF1にハイブリダイズするプローブまたは(ii)RP11−105O24、RP11−777J19、およびCTD−3140L2の少なくとも1つに由来するDYRK1Aにハイブリダイズするプローブのうちの少なくとも1つをさらに含む、実施形態106に記載のプローブセット。
111.プローブセットは、
(i)RP11−137J13、RP11−348C15、RP11−139D12、RP11−907P24、RP11−280O17、RP11−183I12、RP11−281F3、RP11−1113M13、およびRP11−123A7の少なくとも1つに由来するHMGN1またはDSCAMにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、
(ii)RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つに由来するERGにハイブリダイズするプローブ、
(iii)RP11−35C4、CTD−3095D11、およびRP11−671L10の少なくとも1つに由来するTMPRSS2にハイブリダイズするプローブ、ならびに(iv)任意選択で、(a)RP11−446L19およびCTD−2601A22の少なくとも1つに由来するU2AF1にハイブリダイズするプローブまたは(b)RP11−105O24、RP11−777J19、およびCTD−3140L2の少なくとも1つに由来するDYRK1Aにハイブリダイズするプローブのうちの少なくとも1つに由来するプローブから成る、実施形態96に記載のプローブセット。
112.(i)RP11−137J13およびRP11−348C15の少なくとも1つに由来するHMGN1にハイブリダイズするプローブ、
(ii)RP11−139D12、RP11−907P24、RP11−280O17、RP11−183I12、RP11−281F3、RP11−1113M13、およびRP11−123A7の少なくとも1つに由来するDSCAMにハイブリダイズするプローブ、
(iii)RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つに由来するERGにハイブリダイズするプローブ、
(iv)RP11−35C4、CTD−3095D11、およびRP11−671L10の少なくとも1つに由来するTMPRSS2にハイブリダイズするプローブ、
(v)RP11−446L19およびCTD−2601A22の少なくとも1つに由来するU2AF1にハイブリダイズするプローブならびに
(vi)RP11−105O24、RP11−777J19、およびCTD−3140L2の少なくとも1つに由来するDYRK1Aにハイブリダイズするプローブ
から成る、実施形態96に記載のプローブセット。
113.プローブセットは、RP11−139D12、RP11−476D17およびRP11−951I21の少なくとも1つ、ならびにRP11−35C4およびCTD−3095D11の少なくとも1つに由来するプローブから成る、実施形態96に記載のプローブセット。
114.PTENにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、FASまたはSUFUにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブ、およびWAPALにハイブリダイズする少なくとも1つのプローブを含むプローブセット。
115.実施形態96〜114のいずれか1つに記載のプローブセットを含む、第21染色体のバンド21q22.13−21q22.3における欠失を検出するためのキット。

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