以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例に係る電気部品が搭載されたモータを詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る電気部品が搭載されたモータの外観を示す3面図である。(A)が正面図、(B)が側面図、(C)が底面図に相当している。図2は、上記3面図の防水ケースの全部または一部を破断して示した部分破断3面図である。
この実施形態においては、モータM1は、縦置き(モータ軸10が鉛直方向に延在する状態)で使用される。ただし、後述するように、本発明に係るモータの使用は、縦置きでの使用のみに限定されるものではない。モータの下部には図示せぬ減速機が配置され、減速機の下部に被駆動機器(図示略)が配置される。モータM1は、3相の誘導モータである。ただし、モータは、電気部品が搭載されるモータであるならば、必ずしも誘導モータに限定されない。モータは、例えば、制御装置等の電気部品が搭載された磁石モータ等であってもよい。
モータM1には、速度制御を行うためのインバータ装置12が搭載されている。インバータ装置12は、モータM1に供給する駆動周波数を変えてモータM1の回転速度を制御するもので、電気部品の一例である。
モータM1は防水ケース20を有している。インバータ装置12は、これ自体は、通常の非防水タイプのものである。インバータ装置12は、防水ケース20に収納されることで、雨水等から隔離される。防水ケース20内には、端子台13がボルト15によって固定されている。インバータ装置12は、端子台13にボルト16によって固定されている。
防水ケース20は、インバータ装置12を収納する第1ケース体21と、該第1ケース体21と連結される第2ケース体22と、を備える。
第1ケース体21と第2ケース体22の連結構造については後に詳述する。
図3を合わせて参照して、インバータ装置12は、設定スイッチS11〜S13を有している。設定スイッチS11〜S13は、具体的には、インバータ装置12からモータM1への電力供給をオン−オフする電源スイッチS11、該インバータ装置12の駆動周波数を設定するためのアップスイッチS12、およびダウンスイッチS13である。インバータ装置12は、設定状況等を確認するためのディスプレイ(モニタ手段)14を有している。
防水ケース20は、このディスプレイ14を視認可能な窓32を備える。窓32は、防水ケース20上において、インバータ装置12のディスプレイ14に対応した位置に設けられている。具体的には、窓32は、該防水ケース20の第2ケース体22の(後述する)第2閉塞面22Cに露出して設けられている。窓32は、窓穴32Kに透明なアクリル板(またはガラス)32Aを嵌め込んだ窓枠32Bを有している。窓枠32Bは、窓孔シール部材32Cを介してボルト34にて防水ケース20の第2ケース体22に固定されている。窓32を介して、防水ケース20の外部から、防水ケース20内に収納されているインバータ装置12のディスプレイ14が視認可能である。
防水ケース20は、インバータ装置12に設けられた前記設定スイッチS11〜S13の一つである電源スイッチS11と同じ機能を有する外部電源スイッチ(外部設定スイッチ)S21を備える。
外部電源スイッチS21は、防水ケース20の外部に露出して設けられている。外部電源スイッチS21は、防水仕様とされている。外部電源スイッチS21は、オン−オフ兼用である。外部電源スイッチS21は、インバータ装置12の電源スイッチS11と同じ機能を有するように、当該電源スイッチS11と結線されている(図3参照)。つまり、防水ケース20の外部電源スイッチS21からの信号が、(電源スイッチS11の信号として)インバータ装置12に入力されるように接続されている。これにより、当該外部電源スイッチS21を操作することで、インバータ装置12の電源スイッチS11を操作可能である。
なお、インバータ装置12には、電源スイッチS11のほかに、アップスイッチS12とダウンスイッチS13が設けられている。アップスイッチS12は、モータM1の駆動周波数を高めるためのスイッチである。ダウンスイッチS13は、モータM1の駆動周波数を低めるためのスイッチである。しかし、本実施形態では、これら設定スイッチS12、S13に対応する外部設定スイッチは、防水ケース20には配置されていない。
一方、防水ケース20には、LEDランプ36が、外部に露出して設けられている。LEDランプ36は、インバータ装置12からの出力信号に基づいて報知を行う。この実施形態では、LEDランプ36は、インバータ装置12(モータM1)の「オン」と共に点灯する。また、インバータ装置12のモータM1への電流または電圧が予め設定された値を超えた場合に、点滅する。すなわち、LEDランプ36は、この実施形態では、電源ランプの機能と異常ランプの機能が兼ねられている。もちろん、電源ランプの機能を有するLEDランプと異常ランプの機能を有するLEDランプを別々に備えるように構成してもよい。
例えば、インバータ装置12の電源用のランプが、窓から視認可能な位置に配置されているようなときは、電源ランプ相当の報知手段は不要である。しかし、この実施形態では、インバータ装置12の電源ランプ12Lがディスプレイ14から離れた位置にあって、窓32から視認可能な位置に配置されていない。そのため、LEDランプ36にインバータ装置12の電源ランプ相当の報知機能を持たせている。
なお、防水ケース20の第1ケース体21の下部には、配線孔20Gが形成されている。配線孔20Gには、モータM1に対する配線38が挿通される。モータM1に対する配線38とは、この実施形態では電源用配線および制御用配線のことである。配線孔20Gは、配線38が防水ケース20から鉛直下向きに貫通・延在するように形成されている。
ここで、本実施形態における防水ケース20の防水構造について詳細に説明する。
前述したように、防水ケース20は、インバータ装置12を収納する第1ケース体21と、該第1ケース体21と連結される第2ケース体22と、を備える。
第1ケース体21は、モータM1のモータケース(モータケーシング)24と連結される。第1ケース体21は、モータケース24と連結される第1底面21Cと、該第1底面21Cから垂直に反モータケース24側に立ち上げられた第1側面21Sと、を備える。
第1底面21Cは、モータM1のモータ軸10と平行に延在された長方形状とされている。第1側面21Sは、第1底面21Cの長方形の4つの辺から垂直に立ち上げられた4つの側面で構成され、該第1側面21Sと直角の断面がほぼ長方形である。第1ケース体21は、第1側面21Sの反モータケース24側に、第1開口21Aを有する。
第2ケース体22は、全体が第1ケース体21の第1開口21Aを閉塞する蓋形状とされている。第2ケース体22は、第1ケース体21の第1底面21Cと平行な長方形状の第2閉塞面22Cと、該第2閉塞面22Cから垂直にモータケース24側に立ち上げられた第2側面22Sと、を備える。
第2ケース体22の第2側面22Sは、第2閉塞面22Cの長方形の4つの辺から垂直に立ち上げられた4つの側面で構成され、該第2側面22Sと直角の断面が、第1ケース体21の第1側面21Sとほぼ同形の(やや大きい形状の)長方形である。第2ケース体22は、第2側面22Sのモータケース24側に第2開口22Aを有する。
図4は、防水ケース20の第1ケース体21および第2ケース体22の連結部J20の近傍の要部拡大断面図である。第1ケース体21は、第1合わせ面21Fを構成する第1合わせ面部材21Gを有している。第1合わせ面21Fは、第1合わせ面部材21Gの第2ケース体22側の面に相当する。以下、第1合わせ面部材21Gを第1合わせ面21Fに着目した表現で説明することがある。
第1合わせ面21F(第1合わせ面部材21G)は、第1ケース体21の第1側面21Sから外側に突出している。この実施形態では、第1合わせ面21Fを構成する第1合わせ面部材21Gは、第1側面21Sに外嵌される長方形リング状の部材であり、溶接によって第1ケース体21と一体化されている。
第1合わせ面21Fは、第1ケース体21の第1側面21Sの第2ケース体22側の端部21Eよりも、L(21E−21F)だけ反第2ケース体22側の位置から突出している。第1合わせ面21Fは、第1ケース体21の第1側面21Sと直角である。
第2ケース体22は、第2合わせ面22Fを構成する第2合わせ面部材22Gを有している。第2合わせ面22Fは、第2合わせ面部材22Gの第1ケース体21側の面に相当する。以下、第2合わせ面部材22Gを第2合わせ面22Fに着目した表現で説明することがある。
第2合わせ面22F(第2合わせ面部材22G)は、第1合わせ面21Fと対向して、第2ケース体22の第2側面22Sから外側に突出している。この実施形態では、第2合わせ面部材22Gは、第2ケース体22の第2側面22Sの先端部を外側に折り曲げて形成され、(溶接等による連結によってではなく、始めから一部材として)第2ケース体22と一体化されている。第2合わせ面22Fは、第2ケース体22の第2側面22Sと直角である。
防水ケース20は、第1合わせ面21Fと第2合わせ面22Fとの間に、防水部材(シール部材)25を有している。防水部材25は、第1ケース体21の第1側面21Sの外周に沿った内周を有する長方形のリング状の部材で構成されている。つまり、防水部材25は、第1ケース体21の第1側面21Sに隙間なく当接している。別言するならば、防水部材25は、第1ケース体21の第1側面21Sによって径方向(第1側面21Sと直角の方向)の位置決めがなされている。防水部材25の肉厚はT25である。第1ケース体21と第2ケース体22は、第1合わせ面21Fと第2合わせ面22Fとの間に防水部材25を介在させた状態で連結されている。
第1ケース体21と第2ケース体22は、連結ボルト26によって連結されている。より詳細に説明すると、第1合わせ面部材21Gの肉厚(第1合わせ面21Fを構成する部分の肉厚)は、T21Gである。第2合わせ面部材22Gの肉厚(第2合わせ面22Fを構成する部分の肉厚)は、T22Gである。第1合わせ面部材21Gの肉厚T21Gは、第2合わせ面部材22Gの肉厚T22Gよりも大きい(T21G>T22G)。そして、この肉厚を大きくした第1合わせ面部材21G(第1合わせ面21Fを構成する部分)に、タップ穴21Tが設けられている。第1ケース体21と第2ケース体22は、このタップ穴21Tに連結ボルト26をねじ込むことによって連結されている。
連結ボルト26は、十字溝26A付きの六角ボルトで構成されている。連結ボルト26は、連結部J20に、水平に組み込まれている。連結ボルト26は、頭部26Bの外周に図示せぬ六角レンチを係合させることにより締め付けることができる。また、連結ボルト26は、頭部26Bに形成された十字溝26Aの部分に、図示せぬプラスのスクリュードライバを係合させることにより締め付けることもできる。
連結ボルト26の頭部26Bと第2ケース体22との間には、座金28およびシールワッシャ29が配置されている。具体的には、連結ボルト26とシールワッシャ29との間に座金28が配置されている。座金28と第2ケース体22との間にシールワッシャ29が配置されている。
なお、図示せぬナットを用いて第1ケース体21と第2ケース体22とを連結する場合は、第1ケース体21とナットとの間にも、座金およびシールワッシャを配置するようにしてもよい。要するならば、連結ボルトと、第1ケース体および第2ケース体の少なくとも一方との間に、座金およびシールワッシャを配置するのが好ましい。
防水部材25の第2ケース体22側の面25Uは、第2合わせ面22Fと当接している。第2合わせ面22Fは、第1ケース体21の第1側面21Sの第2ケース体22側の端部21EよりもL(21E−25U)だけ第1ケース体21側に位置している。つまり、第1ケース体21の第1側面21Sの第2ケース体22側の端部21Eは、第1ケース体21が第2ケース体22と連結された状態で、防水部材25の第2ケース体22側の面25UよりもL(21E−25U)だけ、第2ケース体22側に位置している。
第2ケース体22の第2合わせ面22F(具体的には、第2側面22Sから連続している第2合わせ面部材22G)は、先端が第1ケース体21側に屈曲している屈曲部22Mを有している。屈曲部22Mは、第2合わせ面部材22Gから一体的に連続形成されている。屈曲部22Mの長さは、L22Mである。
屈曲部22Mの先端22Eは、第1合わせ面21FよりもL(22E−21F)だけ反第2ケース体22側にまで延在されている。つまり、屈曲部22Mの先端22Eから第1合わせ面21Fまでには、寸法L(22E−21F)が確保されている。防水部材25の肉厚は、T25であるため、屈曲部22Mの先端22Eから防水部材25の第2ケース体22側の面25Uまでには、寸法L22M=T25+L(22E−21F)が確保されていることになる。
次に、この電気部品たるインバータ装置12を搭載したモータM1の作用を説明する。
本実施形態に係るモータM1の電気部品たるインバータ装置12は、第1ケース体21と第2ケース体22とを連結した防水ケース20内に収納される。
第1ケース体21と第2ケース体22は、各ケース体21、22の側面21S、22Sから外側に突出した第1合わせ面21Fと第2合わせ面22Fとの間に、防水部材25を介在させた状態で連結される。第1合わせ面21Fは、第1ケース体21の第2ケース体22側の端部21Eよりも反第2ケース体22側の位置から突出している。このため、たとえ第1合わせ面21Fと第2合わせ面22Fとの間に雨水等が浸入してきたとしても、第1ケース体21の第1側面21Sにより、この浸入してきた雨水等が、そのまま防水ケース20内に直接的に入ってしまうのが防止される。
また、第1合わせ面21Fと第2合わせ面22Fとの間には、防水部材25が配置されているため、そもそも雨水等が第1合わせ面21Fあるいは第2合わせ面22Fに沿って防水ケース20内に浸入し難い。加えて第1合わせ面21Fを伝って浸入してきた雨水等は、防水部材25と第1ケース体21の第1側面21Sとの間を通過しないと防水ケース20内に入れない。このことから、雨水等の浸入を一層効果的に防止することができる。
本構成例では、上記基本的な作用に加え、さらに以下のような作用が得られる。
先ず、本構成例では、第1ケース体21の第1側面21Sの第2ケース体22側の端部21Eは、第1ケース体21が第2ケース体22と連結された状態で、防水部材25の第2ケース体22側の面25Uよりも第2ケース体22側に位置している。つまり、防水部材25の第2ケース体22側の面25Uと第1ケース体21の第1側面21Sの第2ケース体22側の端部21Eとの間には寸法L(21E−25U)が確保されている。このため、たとえ防水ケース20の第2ケース体22側の面25Uを伝って雨水等が浸入してきたとしても、当該雨水等がそのまま防水ケース20内に落下せず、一度第1ケース体21の第1側面21Sによって受け止められる。このため、防水ケース20の第2ケース体22側の面25Uを伝って流れ込むのをより抑制できる。
また、本構成例では、第2合わせ面22Fは、先端に第1ケース体21側に屈曲されている屈曲部22Mを有する。このため、該屈曲部22Mがいわゆる「傘」の機能を果たし、雨水等が、第1合わせ面21Fや防水部材25に直接降り注ぐのが防止される。
さらに、第2合わせ面22Fの屈曲部22Mの先端22Eは、第1合わせ面21Fよりも反第2ケース体22側にまで延在されている。つまり、屈曲部22Mの先端22Eから第1合わせ面21Fまでには、寸法L(22E−21F)が確保されている。そのため、この屈曲部22Mの「傘」としての効果は、非常に大きい。
また、本構成例では、第1ケース体21の第1合わせ面21Fを構成する部分の肉厚T21Gは、第2ケース体22の第2合わせ面22Fを構成する部分の肉厚T22Gよりも大きい。そして、肉厚が大きく形成された第1合わせ面部材21Gには、第1ケース体21と第2ケース体22とをボルト連結するためのタップ穴21Tが設けられている。つまり、本構成例では、第1ケース体21と第2ケース体22とのボルト連結に当たって、ナット連結ではなく、タップ穴連結を採用している。この構成により、主に、以下のような多くの作用効果が得られる。
(1)ナット連結は、大きな接触面積を有するナットによって挟持力を発生させるため、両合わせ面間に強い挟持力を確保し難い。タップ穴連結は、ねじによる締め込み力を直接活用するため、より強力な挟持力が得られる。
(2)ナット連結は、第1合わせ面21Fの側の孔が(雌ねじではなく)ストレート孔となる。このため、連結ボルト26と第1合わせ面部材21Gとの間に、連結ボルト26のねじ26Sの外径と谷径との間の隙間が形成され、これが雨水等の通路となる。タップ穴連結は、連結ボルト26と第1合わせ面部材21Gとの間が、雄ねじと雌ねじとの係合となるため、上記雨水等の通路となる隙間が殆ど生じない。
(3)タップ穴連結は、ナットを必要としないため。部品点数が少ない。
(4)タップ穴連結は、ナットを支えながら連結ボルト26を締め込む必要がなく、締め込みの操作性に優れる。
(5)(ナット連結と比較して、一般に)、タップ穴連結の方が経時的な緩みが発生し難い傾向がある。
本構成例の作用の説明に戻って、本構成例では、第1ケース体21と第2ケース体22とを連結する連結ボルト26と、第2ケース体22との間に、座金28およびシールワッシャ29が配置される。このため、連結ボルト26と第2合わせ面部材22Gとの間の隙間から雨水等が浸入するのをより抑制することもできる。
なお、本構成例では、モータM1は、縦置きで使用されており、防水ケース20の連結ボルト26は、水平に配置されている。したがって、雨水等の浸入の大きな原因の一つである「連結ボルト26の外周を伝った浸入」が、そもそも発生しにくい。
また、モータM1が縦置きで設置され、かつ負荷(被駆動機器)D1が、モータM1の鉛直方向下側に位置するように配置されている。そのため、モータM1のモータ軸10がモータM1のモータケース24から露出している部分からモータM1内に雨水等が浸入するのを、より効果的に防止できる。
また、本構成例では、モータM1の配線38を挿通するための配線孔20Gが、当該配線38が防水ケース20から鉛直下向きに貫通・延在するように形成されている。そのため、当該配線孔20Gを介して防水ケース20内に雨水等が浸入する恐れがほとんどなく、また、仮に防水ケース20内に何らかの理由で雨水等が入り込んだ場合であっても、該配線孔20Gを介して入り込んだ雨水等を速やかに排出させることもできる。
また、本構成例では、第2ケース体22の第2側面22Sと第2合わせ面22Fを構成する第2合わせ面部材22Gが、(一部材で)連続的に形成されている。このため、連結ボルト26と座金28との間から浸入してきた雨水等は、そのまま第2側面22Sの外表面へと導かれ、防水ケース20内に入り込むのが防止される。同様に、座金28とシールワッシャ29との間、更には、シールワッシャ29と第2合わせ面部材22Gとの間から浸入してきた雨水等も、そのまま第2側面22Sの外表面へと導かれ、雨水等が防水ケース20内に入り込むのが防止される。
また、本構成例では、第1合わせ面部材21Gは、第1ケース体21と溶接によって一体化されている。このため、第1合わせ面部材21Gの反第2ケース体22側から雨水等が浸入することも確実に防止されている。
ところで、本構成例では、インバータ装置(電気部品)12全体を、そっくり防水ケース20に収納している。そのため、種々の設定や操作をする場合に、その都度防水ケース20の第1ケース体21と第2ケース体22とを分解する(開ける)必要があり、操作性が損なわれる。特に本実施形態においては、第2ケース体22が屈曲部22Mを有し、かつ第1合わせ面21Fと第2合わせ面22Fとの間に防水部材25を介在させた状態で第1ケース体21と第2ケース体22を連結している。そのため、設定等の操作性は、(単純な連結と比較して)より損なわれる可能性がある。
しかし、本構成例によれば、インバータ装置12を収納した防水ケース20は、インバータ装置12に設けられた設定スイッチS11〜S13の一つである電源スイッチS11と同じ機能を有する外部電源スイッチS21を有している。外部電源スイッチS21からの信号は、インバータ装置12に(その電源スイッチS11の信号として)入力されるように接続されている。したがって、防水ケース20を分解しなくてもインバータ装置12の設定(電源のオン−オフ)を行うことができ、一層操作性がよい。
また、本構成例によれば、インバータ装置12からの出力信号に基づいて報知を行うLEDランプ(報知手段)36が、防水ケース20の外部に露出して設けられている。このLEDランプ36は、電源スイッチS11(外部電源スイッチS21)がオンとされたときに点灯する。このため、防水ケース20が装着されたままでも、「電源オン」の状態であることを確認できる。特に、この構成例に係るインバータ装置12は、たまたま、その電源ランプ12Lが防水ケース20の窓32からは、視認できない位置に隠れてしまっている。そのため、LEDランプ36の点灯により、防水ケース20の外部からインバータ装置12の電源のオン−オフ状態を確実に視認できるメリットは大きい。
さらには、本構成例では、該LEDランプ36の点滅によって、インバータ装置12の異常発生を、防水ケース20を分解しなくても視認可能である。この意味で、本構成例に係る防水ケース20は、単に防水機能、およびインバータ装置12の設定の補助機能を有するだけでなく、「インバータ装置12を搭載したモータM1」の運転状況を報知可能な簡易制御盤としての機能を兼ねていることになる。
また、本構成例では、防水ケース20の窓32が、該防水ケース20の第2ケース体22の鉛直な平面である第2側面22Sの上側に形成されている。したがって、インバータ装置12のディスプレイ14を第2側面22Sの上側に縦に設けられた窓32から視認することになるため、該ディスプレイ14の情報が見易い。
なお、本構成例に係る電気部品が搭載されたモータの各部材の配置は、上記配置例に限定されない。
例えば、図5で示されるモータM2は、横置きで設置されている。モータM2が横置きで設置される場合は、防水ケース40を、モータM2の上側に配置するとよい。これにより、モータM2に対する配線41を挿通するための配線孔40Gや、インバータ装置45とモータM2との間のケーブル等(図示略)を通す連通孔40Cを、防水ケース40の下面40Aに形成することができる。また、配線41やケーブル等が防水ケース40から鉛直下向きに貫通・延在するように構成することができる。したがって、配線孔40Gや連通孔40Cを介して雨水等が防水ケース40内に浸入するのをより防止することができる。
そして、このように、モータM2を横置きで設置する場合においても、防水ケース40については、先の実施形態と全く同様の構成を採用することができる。図5の円内に拡大図示された連結部J40の構成は、図4を用いて詳細に説明した連結部J20の構成と、向きが90度回転しているほかは、全く同一である。そのため、既に説明した連結部J20の構成と対応する部位に、あえてJ20の説明で用いられていた符号と同一の符号を付すこととし、重複説明を省略する。
モータM2を横置きで設置する場合、上記構成例における「第1合わせ面21Fは、第1ケース体21の第2ケース体22側の端部21Eよりも反第2ケース体22側の位置から突出する」という構成は、「第1合わせ面21Fは、第1ケース体21の上端部より、鉛直方向下側の位置から突出している」と読み替えることができる。つまり、モータM2を横置きで設置する場合、第1ケース体21は、第1合わせ面21Fを伝って浸入してきた雨水等に対して、鉛直に立つ高さL(21E−21F)の壁として立ちはだかることになる。このため、雨水等の浸入に関して、非常に有効な構成となり得る。
また、モータM2を横置きで設置する場合(第1ケース体21と第2ケース体22とが水平面上で連結される場合)、上記構成例における「第1ケース体21の第1側面21Sの第2ケース体22側の端部21Eは、第1ケース体21が第2ケース体22と連結された状態で、防水部材25の第2ケース体22側の面よりも第2ケース体22側に位置している」という構成は、「第1ケース体21の第1側面21Sの上端は、第1ケース体21が第2ケース体22と連結された状態で、防水部材25の上面よりも上側に位置している」と読み替えることができる。そのため、モータM2を横置きで設置する場合、第1ケース体21は、防水部材25の上面を伝って浸入してきた雨水等に対して、鉛直に立つ壁として立ちはだかることになる。このため、雨水等の浸入に関して、非常に有効な構成となり得る。
さらに、モータM2を横置きで設置する場合、上記構成例における「第2合わせ面22Fの屈曲部22Mの先端22Eは、第1合わせ面21Fよりも反第2ケース体22側にまで延在されている」という構成は、「第2合わせ面22Fの屈曲部22Mの下端は、第1合わせ面21Fよりも下側にまで延在されている」と読み替えることができる。つまり、屈曲部22Mは、鉛直方向において、防水部材25や第1合わせ面21Fを完全に覆うことになる。このため、この構成も、雨水等の浸入に関して、非常に有効な構成となり得る。
なお、このようにモータM2を横置きにする場合も、インバータ装置45のディスプレイ47は縦に配置し、防水ケース40の窓49が、該防水ケース40の鉛直方向の面の上側(つまり第2側面22S上)に位置するように構成するとよい。これにより、ディスプレイ47の良好な視認性を維持することができる。
尤も、図1、図2の配置や、図5の配置は、一例であり、モータや防水ケース等の各部材の配置関係は、上記例に限定されない。例えば、モータに対する配線を挿通するための配線孔は、必ずしも、当該配線が防水ケースから鉛直下向きに貫通・延在するように形成されている必要はなく、例えば、当該配線が防水ケースから水平に貫通・延在するように形成されていてもよい。また、防水ケースの窓も、必ずしも該防水ケースの鉛直方向の面の上側に形成される必要はなく、例えば、防水ケースの上面(水平面)に形成されていてもよい。さらに、LEDランプ(報知手段)の配置位置も、上記配置位置に限定されるものではなく、そもそも、設置自体が省略されてもよい。
また、上記構成例においては、モータに搭載される電気部品として、インバータ装置が例示されていたが、本発明においてモータに搭載される電気部品は、インバータ装置に限定されない。例えば、モータが磁石モータであった場合には、電気部品としてサーボアンプが搭載されることもある。その他、シーケンサを実現するための回路基板や、リレー、ブレーカー等の電気部品が搭載されることもある。これらの電気部品も、雨水等を嫌う点でインバータ装置と共通しており、これまでの構成例と同様に適用することができ、同様の作用効果を得ることができる。
また、上記構成例においては、インバータ装置(電気部品)の設定スイッチのうち、電源スイッチと同じ機能を有する外部電源スイッチだけが、防水ケースの外部に露出して設けられていた。この構成は、低コストであり、一度設定してしまえば、後で、設定の変更をする必要が殆どない用途の場合に有効である。しかし、この構成では、例えば、インバータ装置にもともと設けられているモータの回転速度のアップスイッチやダウンスイッチ等を操作するには、防水ケースの蓋体を外す必要がある。
この不具合を解消したのが、例えば、図6に示す構成例である。
始めに、この図6の構成例の防水ケース50の連結部J50においても、上記図5の連結部J40と同様な連結構成を採用している。これにより、防水ケース50の高い防水機能を確保することができる。
図6の構成例では、さらに、インバータ装置(電気部品)52の設定スイッチS51〜S54の全てに対応して、防水仕様の外部設定スイッチS61〜S64が、防水ケース50の外部に露出して設けられている。具体的には、インバータ装置52には、設定スイッチとして電源スイッチS51、駆動周波数のアップスイッチS52、ダウンスイッチS53、およびリセットスイッチS54が設けられる。そして、これらの設定スイッチS51〜S54と同じ機能を有する外部設定スイッチとして外部電源スイッチS61、駆動周波数の外部アップスイッチS62、外部ダウンスイッチS63、および外部リセットスイッチS64が、防水ケース50の外部に露出して設けられている。外部設定スイッチS61〜S64からの信号は、インバータ装置52の各設定スイッチS51〜S54相当の信号としてインバータ装置52に入力されるように接続されている。
なお、リセットスイッチS54(外部リセットスイッチS64)は、エラーが発生したときに、それまでの設定状況を初期化するためのスイッチである。
また、このインバータ装置52でも、電源オンの状態を報知する報知手段として、ランプ70を有している。但し、この構成例では、このランプ70は、インバータ装置52のディスプレイ72上に配置されている。そのため、該ランプ70の点灯状態を、当該ディスプレイ72を視認できる防水ケース50の窓42から直接確認することができる。したがって、防水ケース50には、電源ランプ相当の報知手段は、(先の実施形態のように)重複しては設けられていない。
一方、本構成例に係るインバータ装置52では、モータM3内に配置した温度センサ80の情報を受け取っており、該温度センサ80からの情報により、モータM3の特定の部分の温度が設定値以上となったと判断したときに、防水ケース50に露出して設けられたLEDランプ(報知手段)84の点灯によって、この高温状態を知ることができるように構成してある。本構成例では、このように、a)外部に露出して設けた外部設定スイッチS61〜S64によってインバータ装置52の全ての設定・操作を行い、また、b)防水ケース50の外部から視認できるランプ70およびLEDランプ84によって運転状況を視認し、さらに、c)必要に応じて外部リセットスイッチS64によって各種設定のリセットを行うことを、(防水ケース50を分解することなく)可能としている。
要するならば、本構成例においては、防水ケース50に、「電気部品が搭載されたモータ」に関する全ての設定・操作、および報知を、(防水機能の高い防水ケース50を採用していながら)可能とする制御盤としての機能を持たせるようにしている。
以上、防水ケースの付帯構成について説明した。しかし、防水ケースに、どのようなスイッチや報知手段等を配置するかについては、特に限定されない。
本発明に係る電気部品が搭載されたモータは、防水が必要な用途に使用されることを想定して創作されたものではあるが、防水が必要のない用途にも使用できる。