JP2016128378A - 窒化ホウ素多結晶体および工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い硬度で、耐亀裂伝搬性を有する窒化ホウ素多結晶体及びその製造方法、並びに工具の提供。
【解決手段】ウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)を95体積%以上含み、残部がwBNとは結晶構造の異なる立方晶窒化ホウ素(cBN)と不可避不純物とで構成され、ヌープ硬度が40GPa以上、破壊靭性値K1cが8.0MPa・m1/2以上である窒化ホウ素多結晶体。出発原料として、X線回折法による黒鉛化指数(GI値)が3.5未満の六方晶窒化ホウ素(hBN)(S21)を、8GPa以上の圧力下で、1300〜2200℃未満の温度の条件の元、加熱・加圧して(S21)、当該条件を一定期間維持し(S22)、hBNをwBNに相転移させ、焼結する(S20)hBNの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、窒化ホウ素多結晶体およびその製造方法、ならびに工具に関し、特にウルツ鉱型窒化ホウ素を主成分とする、窒化ホウ素多結晶体および工具に関する。
従来、切削工具や耐摩工具として用いられる立方晶窒化ホウ素(cBN)焼結体には、焼結助剤あるいは結合材として窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、コバルト(Co)などが用いられている。これらは、cBN粉末を焼結助剤や結合材とともに4〜5GPa程の圧力下で焼結することで得られる。この焼結体には10〜40%程度のバインダーが含まれており、このバインダーが、焼結体の強度、耐熱性、および熱拡散性に大きく影響を与える。特に鉄系材料を切削する工具として用いた場合には、刃先の欠損や亀裂が生じやすく、工具としての寿命が短くなる。
工具寿命を長くする手法として、バインダーを含まずに窒化ホウ素焼結体を製造する方法が知られている。この方法では、ホウ窒化マグネシウムなどの触媒を用いた六方晶窒化ホウ素(hBN)を原料とし、これを反応焼結させる。この方法ではバインダーを含まないため、cBN同士が強く結合しており熱伝導率が6〜7W/cm℃と高くなる。そのため、該窒化ホウ素焼結体は、ヒートシンク材やTAB(Tape Automated Bonding)ボンディングツールなどに用いられている。
しかし、この焼結体の中には触媒がいくらか残留しているため、熱を加えると触媒とcBNとの熱膨張差による微細クラックが入りやすい。このため、その耐熱温度は700℃程度と低く、切削工具としては大きな問題となる。また、粒径が10μm前後と大きいため、熱伝導率が高いものの、強度は弱く、負荷の大きい切削には耐えられない。
一方、hBNなどの常圧型BNを超高圧高温下で、直接変換焼結させることによっても窒化ホウ素焼結体は得られる。たとえば、特開昭47−34099号公報(特許文献1)や特開平3−159964号公報(特許文献2)にhBNを超高圧高温下で、cBNに変換させ窒化ホウ素焼結体を得る方法が示されている。
また、BNの高圧相にはcBNの他に、ウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)が知られており、wBNはcBNと同様に優れた機械的強度が期待されている材料である。しかし、窒化ホウ素は、高圧においてcBNが安定相であり、wBNは準安定相である。そのため、wBNは作製が極めて困難である。特公昭58−23459号公報には、爆薬の爆発などの衝撃圧縮により、常圧型hBNからwBNへ相転移させ、微細なwBN粉末を作製する方法が記載されている。さらに特公昭58−23459号公報には、このwBN粉末を結合材と共に焼結した窒化ホウ素焼結体や、wBN粉末とcBNと結合材を焼結した窒化ホウ素焼結体が記載されている。
特開昭47−34099号公報 特開平3−159964号公報 特公昭63−394号公報 特公昭58−23459号公報
しかしながら、衝撃圧縮によるwBNの合成に要する時間は100万分の1秒単位の極めて短い時間であるため、クラックや欠陥の無いバルク状の多結晶体は得られず、粉末状のものしか製造できない。また得られるwBN粉末も結晶内に多くの格子欠陥を含んでおり、硬度、強度が不十分であった。そのため、このようなwBN粉末と結合材とを混合、焼結して得られた窒化ホウ素焼結体も、工具(特に、切削工具、耐摩工具、および研削工具)用部材としては、硬度、強度が不十分であった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、高い硬度で、かつ耐亀裂伝搬性を有する窒化ホウ素多結晶体およびその製造方法、ならびに工具を提供することにある。
本発明の窒化ホウ素多結晶体は、ウルツ鉱型窒化ホウ素を95体積%以上含み、
残部がウルツ鉱型窒化ホウ素とは結晶構造の異なる他の窒化ホウ素と不可避不純物とで構成され、ヌープ硬度が40GPa以上であり、破壊靭性値K1cが8.0MPa・m1/2以上である。このように、本発明の窒化ホウ素多結晶体は、主としてウルツ鉱型窒化ホウ素により構成されており、高硬度で、かつ耐亀裂伝搬性を有することができる。
上記他の窒化ホウ素は、立方晶窒化ホウ素としてもよい。上記他の窒化ホウ素は、圧縮型六方晶窒化ホウ素としてもよい。ここで、「圧縮型六方晶窒化ホウ素」とは、通常のhBNと結晶構造が類似し、c軸方向の面間隔が、通常のhBNの面間隔(0.333nm)よりも小さいものをいう。
上記窒化ホウ素多結晶体は、外形の最大幅が0.3mm以上とすることができる。これにより、粉末としてではなくバルク状の外形を有するため、高硬度で、かつ耐亀裂伝搬性を有することができる。
本発明に係る工具は、上記窒化ホウ素多結晶体を備える。このようにすれば、高硬度で耐亀裂伝搬性に優れた工具を実現できる。
本発明に係る窒化ホウ素多結晶体は、主としてウルツ鉱型窒化ホウ素により構成されるため、高硬度で、かつ耐亀裂伝搬性を有することができる。
本実施の形態に係る工具を説明するための図である。 本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体の製造方法のフローを示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る窒化ホウ素(BN)焼結体は、ウルツ鉱型窒化ホウ素(wBN)を95体積%以上含み、残部を立方晶窒化ホウ素(cBN)と不可避不純物とで構成される。不可避不純物とは、たとえば窒素、水素、酸素などであり、含有率は0.1体積%以下である。このとき、wBNの平均粒径は500nm以下程度である。該焼結体は、実質的にバインダー、焼結助剤、触媒などを含んでいない。このため、wBN粒子同士、wBN粒子とcBN粒子、さらにcBN粒子同士がいずれも強固に結合しており、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体は緻密な複合組織を有している。
本実施の形態の窒化ホウ素多結晶体は、外形の最大幅が0.3mm以上ある。つまり、本実施の形態の窒化ホウ素多結晶体は、粉末状ではなく、バルク体(塊体)である。
従来、wBNは粉末状として作製できるのみで、バルク状体として作製することはできなかった。そのため、従来のwBNを含む窒化ホウ素多結晶体は、wBN粉末、cBN粉末および結合材と焼結して作製され、その硬度や耐亀裂伝搬性の検討は、wBNやcBNと結合材との比率、又は結合材の材質を調整することにより行われていた。その結果、wBNを含む窒化ホウ素多結晶体は、工具用部材として十分な硬度と耐亀裂伝搬性を有することができなかった。
本実施の形態の窒化ホウ素多結晶体は、上述のように、結合材等を含まずに構成された、バルク状体とすることができる。そのため、本実施の形態の窒化ホウ素多結晶体は、ヌープ硬度が40GPa以上とすることができ、さらに、破壊靭性値K1cを8.0MPa・m1/2以上とすることができる。
後述の実施例より、wBN、cBN、および不可避不純物からなる窒化ホウ素多結晶体は、室温でのヌープ硬度は48GPa以上、破壊靭性値K1cは8.6MPa・m1/2以上であった。このように、本実施の形態の窒化ホウ素多結晶体は、高い耐亀裂性を有することが確認できた。
本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体は、高硬度でかつ耐亀裂伝搬性に優れ、さらに外形の最大幅が0.3mm以上であるため、工具用部材に好適である。たとえば、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体は、切削工具、耐摩工具、および研削工具等に用いることができ、より具体的には、切削バイト、ダイス、およびマイクロ工具等の精密工具等に用いることができる。図1を参照して、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体を備えた切削工具の概略図を示す。台金2の所定の領域に、ろう付け層3およびメタライズ層4を介して窒化ホウ素多結晶体1が固定されている。このようにして作製された本実施の形態に係る工具は、従来の衝撃圧縮により作製されたwBN粉末と結合材とを混合、焼結して得られた窒化ホウ素多結晶体を備える工具よりも、長寿命である。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体の製造方法について説明する。本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体の製造方法は、出発物質として、X線回折法における黒鉛化指数が3.5未満である常圧型窒化ホウ素(BN)を準備する工程(S10)と、常圧型BNを熱処理する工程(S20)とを備える。
まず、工程(S10)では、出発物質として六方晶窒化ホウ素(hBN)を準備する。hBNは、X線回折法における黒鉛化指数(GI値)が3.5未満であり、高結晶性である。GI値とは、hBNのX線回折の3本のピーク、すなわち(100)、(101)、(102)のピークの面積を数式1に導入することによって導き出される値である。
Figure 2016128378
hBNの結晶性が向上するとGI値は小さくなる。ここで、I(XXX)はhBN結晶の(XXX)面の回折ピークの面積のことである。
次に、工程(S20)では、常圧型BNを熱処理することにより、wBNに相転移させ、さらにこれを焼結することにより窒化ホウ素多結晶体を作製する。具体的には、工程(S20)は、常圧型BNを圧力8GPa以上かつ温度1300℃以上2200℃未満の条件にまで加圧および加熱する工程(S21)と、当該条件を維持する工程(S22)とを含む。このとき、合成圧力の上限値については、wBNが熱力学的に安定な値であればよく、実際には使用する超高圧高温発生装置により圧力の上限値は決められる(例えば、25GPa程度)。また、工程(S22)において、工程(S21)の圧力温度条件を維持する時間は、120秒以上である。
本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体の製造方法において、特に重要であるのは、工程(S01)にて準備される出発物質(hBN)の黒鉛化指数(GI値)と、工程(S02)における温度圧力条件である。
出発物質のGI値が3.5以上であり、かつ圧力が20GPa程度である場合には、工程(S02)において生成されるwBNの含有率が減少する。
工程(S02)における加熱温度が2200℃以上である場合には、準安定相であるwBNは安定相であるcBNに相転移してしまう。また、加熱温度が1300℃未満である場合には、得られる窒化ホウ素多結晶体には未変換の出発物質が残ってしまう。
本実施の形態の窒化ホウ素多結晶体を合成するために適切な加熱温度は、合成圧力と出発物質のGI値によって変化する。たとえば、出発物質のGI値が低い場合には、合成圧力が低く、かつ加熱温度が高い圧力温度条件でも、wBNを95体積%以上含んだ窒化ホウ素多結晶体を得ることができる。逆に、出発物質のGI値が高い場合には、合成圧力が高く、加熱温度の低い圧力温度条件にすることで、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体を得ることができる。
このようにすることで、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体の製造方法は、衝撃圧縮法によらず、かつ焼結助剤や触媒等を添加せずに、wBN、cBNおよび不可避不純物からなる窒化ホウ素多結晶体を、外形の最大幅が0.3mm以上のバルク状体として得ることができる。
後述する実施例より、出発物質に黒鉛化指数が3.5未満の高結晶性のhBNを用いて、工程(S02)において、圧力16〜20GPa程度、温度1300〜1800℃程度の圧力温度条件で焼結して得られた窒化ホウ素多結晶体は、室温におけるヌープ硬度が、試験荷重4.9Nの条件下において、45GPa以上、破壊靭性値K1cは8.2MPa・m1/2以上であった。このように、本実施の形態の窒化ホウ素多結晶体は、高い耐亀裂伝搬性を有することが確認できた。しかし、圧力8GPa以上程度、かつ2200℃未満程度の焼結条件においても、同様の特性を有する窒化ホウ素多結晶体を得ることができると考えられる。
以上のように、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体は、wBN、cBNと不可避不純物からなり、かつ外形の最大幅が0.3mm以上であるため、高硬度でかつ破壊靭性値が高く、耐亀裂伝搬性に優れている。そのため、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体は切削工具、耐摩工具、および研削工具等に用いることができる。また、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体の製造方法によれば、工程(S01)において出発物質として高結晶性のhBNを準備し、工程(S02)において当該出発物質を所定の圧力温度条件で加圧および加熱し、さらにその条件を維持することにより、上記のような窒化ホウ素多結晶体を作製することができる。
また、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体は、wBNと結晶構造の異なる窒化ホウ素としてcBNを含んでいるが、これに限られるものではない。例えば、wBNとは結晶構造の異なる他の窒化ホウ素は、圧縮型六方晶窒化ホウ素であってもよい。また、cBNと圧縮型窒化ホウ素とが混在していてもよい。このようにしても、本発明の窒化ホウ素多結晶体は緻密な複合組織を有しており、工具用部材として十分な硬度と耐亀裂伝搬性を有することができる。
上述のように、本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体は、wBNを95体積%以上含み、残部をwBNとは結晶構造の異なる他の窒化ホウ素としてのcBNと、不可避不純物とで構成されている。しかし、本発明の窒化ホウ素多結晶体は、wBNと不可避不純物とで構成されることができる。このときも、不可避不純物は0.1体積%以下である。つまり、本発明の窒化ホウ素多結晶体は、不純物濃度を極めて低く抑えながら、wBNとは結晶構造の異なる他の窒化ホウ素を含まずに、窒化ホウ素としてwBNのみを含むことができる。このようにしても、本発明の窒化ホウ素多結晶体は緻密な複合組織を有しており、工具用部材として十分な硬度と耐亀裂伝搬性を有することができる。
wBNと不可避不純物のみからなる窒化ホウ素多結晶体の製造方法は、基本的には本実施の形態に係る窒化ホウ素多結晶体の製造方法と同等の構成を備えるが、出発物質のGI値および圧力温度条件の範囲がより限定される。たとえば、GI値が3.0以上3.4未満の場合には、合成圧力20GPa程度、加熱温度1300℃程度とすればよい。また、GI値が2.0以上3.0未満程度の場合には、合成圧力19GPa程度、加熱温度1400℃以上1500℃以下程度とすればよい。また、GI値が1.0以上2.0未満程度の場合には、合成圧力18GPa程度、加熱温度1400℃以上1800℃以下程度とすればよい。
後述の実施例より、窒化ホウ素としてwBNのみを含む窒化ホウ素多結晶体は、室温におけるヌープ硬度が、試験荷重4.9Nの条件下において、45GPa以上、破壊靭性値K1cは8.2MPa・m1/2以上であった。
以下、本発明の実施例を説明する。
実施例1、2に係る窒化ホウ素多結晶体を以下の方法で作製した。まず、出発原料として市販のペレット状であってGI値が3.1という高結晶性のhBNを使用した。その出発原料を高融点金属からなるカプセルに入れ、超高圧高温発生装置を用いて表1に記載の圧力、温度条件下において20分間保持し、窒化ホウ素多結晶体を作製した。
実施例3、4に係る窒化ホウ素多結晶体を以下の方法で作製した。まず、出発原料として市販のペレット状であってGI値が1.1という高結晶性のhBNを使用した。その出発原料を高融点金属からなるカプセルに入れ、超高圧高温発生装置を用いて表1に記載の圧力、温度条件下において20分間保持し、窒化ホウ素多結晶体を作製した。
比較例1に係る窒化ホウ素多結晶体を以下の方法で作製した。まず、出発原料として市販のペレット状であってGI値が3.6という高結晶性のhBNを使用した。その出発原料を高融点金属からなるカプセルに入れ、超高圧発生装置で7.7GPaの圧力を発生させ、2300℃の温度で15分間保持し、窒化ホウ素多結晶体を作製した。
比較例2、3に係る窒化ホウ素多結晶体を以下の方法で作製した。まず、出発原料として市販のペレット状であってGI値が1.1という高結晶性のhBNを使用した。その出発原料を、高融点金属からなるカプセルに入れ、超高圧高温発生装置を用いて表1に記載の圧力、温度条件下において20分間保持し、窒化ホウ素多結晶体を作製した。
上記の様にして得られた実施例1〜4および比較例1〜3の窒化ホウ素多結晶体の組成、粒径と硬度と破壊靭性値を下記の手法で測定した。
各相の組成は、X線回折装置により各相を同定することにより得られた。この装置のX線の線源はCuであり、波長1.54ÅのKα線である。
平均粒径は、走査電子顕微鏡によって測定した。平均粒径を求める方法として切断法を使用した。この方法では、まず走査電子顕微鏡(SEM)の画像に円を書き、円の中心から8本の直線を放射状に円の外周まで引き、円の中で直線が結晶粒界を横切る数を数える。そして、直線の長さをその横切る数で割ることで平均切片長さを求め、その平均切片長さに1.128をかけると平均結晶粒径が求められる。なお、比較例2の窒化ホウ素多結晶体の粒径は小さいものでも1000nm以上であったため、切断法を使用して平均粒径を算出することができなかった。
切断法を用いるのに使用したSEM画像の倍率は30000倍である。その理由は、これ以下の倍率では、円内の粒の数が多くなり粒界が見えにくく、数え間違いが発生する上に、線を引く際に板状組織を含める可能性が高くなるからである。また、これ以上の倍率では、円内の粒の数が少な過ぎて、正確な平均粒径が算出できないからである。
本実験においては、1つの試料に対して、別々の箇所を撮影した3枚のSEM画像を使用した。それぞれのSEM画像に対して切断法を使用して、その平均値を平均粒径とした。
硬度の測定として、ヌープ硬度を測定した。ヌープ硬度の測定には、マイクロヌープ圧子を使用した。このときの荷重を4.9Nとした。測定機器はミツトヨ社製VLPAK2000を用いた。測定は5回行い、その中で一番小さい値と大きい値を除いた3つの値の平均値を試料の硬度とした。
破壊靭性値K1CはJIS−R−1607に則り、ビッカース硬さを測定する際に発生する亀裂の長さより測定を行った。ビッカース硬さを測定するときの荷重は98Nとした。測定は5回行い、その中で一番小さい値と大きい値を除いた3つの値の平均値を試料の破壊靭性値とした。
実施例1〜4および比較例1〜3の窒化ホウ素多結晶体の組成、粒径、硬度の結果を表1に示す。なお、表1において、比較例2の粒径は平均粒径ではなく粒径の最小値を示す。
Figure 2016128378
表1に示すように、実施例1〜4の窒化ホウ素多結晶体は、wBNを95体積%以上含むことがわかった。具体的には、実施例1および3の窒化ホウ素多結晶体は、wBNの組成比が100体積%であった。実施例2の窒化ホウ素多結晶体は、wBNの組成比が97体積%程度であって、wBNと結晶構造の異なる他の窒化ホウ素としてhBNとcBNとを含んでいた。実施例4の窒化ホウ素多結晶体は、wBNの組成比が99.9体積%程度であり、wBNと結晶構造の異なる他の窒化ホウ素としてhBNを含んでいた。また、実施例1〜4の窒化ホウ素多結晶体において、粒状の結晶の平均粒径は、32〜101nmであった。また、実施例1〜4の窒化ホウ素多結晶体は、硬度が40GPa以上であり、かつ破壊靭性値が8.0MPa・m1/2以上であった。
一方、比較例1〜2の窒化ホウ素多結晶体はwBNを有さず、また比較例3の窒化ホウ素多結晶体はwBNの組成比が30体積%程度と少なかった。また、比較例1および3の窒化ホウ素多結晶体の硬度は、実施例1〜4の窒化ホウ素多結晶体と同程度であったが、破壊靭性値が7.9MPa・m1/2以下であった。比較例2の窒化ホウ素多結晶体は、硬度および破壊靭性値ともに実施例1〜4の窒化ホウ素多結晶体よりも低かった。なお、実施例1〜4および比較例1〜3の窒化ホウ素多結晶体は直接変換法により作製されているため、いずれも不可避不純物がX線回折法において検出限界以下であった。
表1より実施例1〜4の窒化ホウ素多結晶体は、比較例1〜3の窒化ホウ素多結晶体と比較して、耐亀裂伝搬性が向上していることが確認できた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の実施の形態および実施例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
1 窒化ホウ素多結晶体、2 台金、3 ろう付け層、4 メタライズ層。

Claims (5)

  1. ウルツ鉱型窒化ホウ素を95体積%以上含み、
    残部が前記ウルツ鉱型窒化ホウ素とは結晶構造の異なる他の窒化ホウ素と不可避不純物とで構成され、
    ヌープ硬度が40GPa以上であり、
    破壊靭性値K1cが8.0MPa・m1/2以上である、窒化ホウ素多結晶体。
  2. 前記他の窒化ホウ素は、立方晶窒化ホウ素である、請求項1に記載の窒化ホウ素多結晶体。
  3. 前記他の窒化ホウ素は、圧縮型六方晶窒化ホウ素である、請求項1に記載の窒化ホウ素多結晶体。
  4. 外形の最大幅が0.3mm以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化ホウ素多結晶体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化ホウ素多結晶体を備える工具。
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