JP2016126959A - 異方性導電体膜とその製造方法、デバイス、電子放出素子、フィールドエミッションランプ、及びフィールドエミッションディスプレイ - Google Patents

異方性導電体膜とその製造方法、デバイス、電子放出素子、フィールドエミッションランプ、及びフィールドエミッションディスプレイ Download PDF

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典生 齋藤
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Abstract

【課題】複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された導電体とを備え、FEデバイス等に用いたときの電子放出性能及び耐久性を向上することが可能な異方性導電体膜を提供する。【解決手段】異方性導電体膜1は、複数の貫通孔21Hを有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体21と、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された第1の導電体22とを備える。異方性導電体膜1において、第1の導電体22上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23が形成されている。【選択図】図1A

Description

本発明は、異方性導電体膜とその製造方法、及び、この異方性導電体膜を用いたデバイス/電子放出素子/フィールドエミッションランプ/フィールドエミッションディスプレイに関するものである。
フィールドエミッション(Field Emission:FE、電界電子放出)デバイスは、低消費電力で高輝度が得られることが期待されている。FEデバイスは、フィールドエミッションランプ(Field Emission Lump:FEL、照明装置)あるいはフィールドエミッションディスプレイ(Field Emission Display:FED、表示装置)等として利用できる。
FEデバイスでは、カソード基板に備えられたエミッタ(電子源)から放出された電子線によりアノード基板に備えられた蛍光体層が励起されて、発光が得られる。
従来、エミッタとしては、スピント型エミッタ及びカーボンナノチューブ(CNT)エミッタ等が用いられている。しかしながら、スピント型エミッタは、作製プロセスが複雑で大面積化が困難である。CNTエミッタは、結晶性が高いCNTを、長さを揃えて規則的に配列する構造設計が困難である。
Al等の被陽極酸化金属体の少なくとも一部を陽極酸化して、複数の針状の非貫通孔とバリア層とを有する陽極酸化金属膜を得ることができる。この陽極酸化金属膜のバリア層側を部分的に除去することにより、面方向に対して交差方向に延びた複数の針状の貫通孔を有する細孔構造体を得ることができる。この細孔構造体の一方の面に導電体膜を形成し、複数の貫通孔の内部に電解メッキにより針状導電体を形成することができる。貫通孔の内部に形成された針状導電体の先端には、電界中で局所的に高電界を発生させることができる。
非特許文献1等には、上記構造体のFEデバイスへの利用が提案されている。
細孔構造体の一方の面に形成された導電体膜は電極層として、貫通孔の内部に形成された針状導電体はエミッタとして、それぞれ用いることができる。
陽極酸化金属膜を用いることで、電子放出素子を簡易なプロセスで形成でき、その大面積化も容易である。エミッタとして機能する針状導電体の成長方向等を制御しやすいので、構造設計も容易である。
本明細書では、電極層上に面方向に並んだ複数のエミッタの層を「エミッタ層」と称す。また、電極層とエミッタ層とを備えた素子を、「電子放出素子」と称す。
特許5158809号公報(特開2010-205458号公報) 特願2013-162364号(本件出願時において未公開) 特願2013-247354号(本件出願時において未公開)
Electrochemistry Communications 11 (2009) 660-663.
一般に、電子放出素子においては、エミッタ間隙が狭くなりすぎると、各エミッタ先端にかかる電界が遮蔽され、電子放出性能が平面電極に近づくことが知られている。
例えば、特許文献1には、CNTエミッタ層に貫通孔を設けた構成が開示されている(図1)。特許文献1には、貫通孔の径(W)を80μmに固定したとき、CNTエミッタ層のパターン幅(S)を小さくして、相対的にスペースを大きくすることで、電子放出性能が向上することが示されている(図7)。
通常の条件で製造される陽極酸化金属膜では、貫通孔の径は例えば20〜200nm程度であり、互いに隣接する貫通孔の間隔は例えば20〜200nm程度である。そのため、非特許文献1等で提案されている陽極酸化金属膜を用いた電子放出素子では、素子全体を通じてエミッタ間隙が非常に狭く、高い電子放出性能を得ることが難しい。
本発明者らは、先の出願である特許文献2(本件出願時において未公開)において、複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体の一方の面に、針状導電体の材料をメッキ可能な第1の導電体膜と針状導電体の材料をメッキ難な第2の導電体膜とを形成することにより、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に針状導電体を形成することに成功している。
特許文献2に開示の異方性導電体膜をFEデバイス等のデバイスに使用する場合、エミッタ間隙を広範囲で制御することができる。その結果、エミッタ間隙が狭くなりすぎて、各エミッタ先端にかかる電界が遮蔽され、電子放出性能が低下することを抑制でき、高い電子放出性能を発現できる。
さらに本発明者らは、先の出願である特許文献3(本件出願時において未公開)において、未封孔部の少なくとも一部が除去された異方性導電体膜を開示している。
FEデバイス等において、針状導電体の電子を放出する先端の仕事関数は低い方が、電子放出性能を高くできる。
従来、陽極酸化金属膜からなる細孔構造体の複数の貫通孔内に形成される針状導電体は、通常メッキ法により形成され、Ni等のメッキ可能な金属からなる。すなわち、針状導電体の材料はメッキ可能な金属に限られ、材料の選択からの仕事関数の低下には制限がある。
また、針状導電体において、電子を放出する先端に水分等の吸着物があった場合、先端の仕事関数が高くなり、電子放出性能が低下する恐れがある。この場合、吸着物のある針状導電体と吸着物のない針状導電体とが混在して、電子放出性能の面内均一性が損なわれる恐れもある。
また、FEデバイス等の耐久性向上を考慮すれば、針状導電体の電子を放出する先端は、耐イオン衝撃性に優れることが好ましい。しかしながら、上記のように、針状導電体の材料はメッキ可能な金属に限られ、材料の選択からの耐イオン衝撃性の向上には制限がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された導電体とを備え、FEデバイス等に用いたときの電子放出性能及び耐久性を向上することが可能な異方性導電体膜とその製造方法を提供することを目的とするものである。
なお、本発明の異方性導電体膜はFEデバイス等に好ましく用いられるが、その用途は制限なく、任意である。
本発明の第1の異方性導電体膜は、
面方向に対して交差方向に延びた複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、前記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された第1の導電体とを備えた異方性導電体膜であって、
前記貫通孔の内部に前記第1の導電体が形成されていない未封孔部の少なくとも一部が除去され、前記第1の導電体の頭頂部が前記細孔構造体より突出しており、
前記第1の導電体の前記頭頂部上に、前記第1の導電体に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体が形成されたものである。
本発明の第2の異方性導電体膜は、
面方向に対して交差方向に延びた複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、前記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された第1の導電体とを備えた異方性導電体膜であって、
前記第1の導電体は前記貫通孔内に窪んで形成されており、
前記第1の導電体上に、前記第1の導電体に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体が形成されたものである。
本発明の第1の異方性導電体膜の製造方法は、
上記の本発明の第1の異方性導電体膜を製造する方法であって、
前記細孔構造体を用意する工程(A1)と、
前記複数の貫通孔のうち一部の前記貫通孔の内部に前記第1の導電体を選択的に形成する工程(B1)と、
前記未封孔部の少なくとも一部を除去する工程(C1)と、
前記第1の導電体の前記頭頂部上に前記第2の導電体を形成する工程(D1)とを順次有するものである。
本発明の第2の異方性導電体膜の製造方法は、
上記の本発明の第2の異方性導電体膜を製造する方法であって、
前記細孔構造体を用意する工程(A2)と、
前記複数の貫通孔のうち一部の前記貫通孔の内部に窪むように前記第1の導電体を選択的に形成する工程(B2)と、
前記第1の導電体上に前記第2の導電体を形成する工程(D2)とを順次有するものである。
本発明のデバイスは、上記の本発明の第1又は第2の異方性導電体膜を備えたものである。
本発明の電子放出素子は、
上記の本発明の第1又は第2の異方性導電体膜を備えてなり、
前記貫通孔内に形成された前記第1の導電体及び前記第2の導電体からなる電子源と、
前記細孔構造体の一方の面に形成され、前記電子源に導通された電極層とを備えたものである。
本発明のフィールドエミッションランプ(FEL)は、
上記の本発明の電子放出素子を含む第1の電極基板と、
前記第1の電極基板に対して真空空間を介して対向配置され、電極層と蛍光体層とを含む第2の電極基板とを備えたものである。
本発明のフィールドエミッションディスプレイ(FED)は、
上記の本発明の電子放出素子を含む第1の電極基板と、
前記第1の電極基板に対して真空空間を介して対向配置され、電極層と蛍光体層とを含む第2の電極基板とを備え、
前記蛍光体層から発光される光の変調により表示を行うものである。
本発明によれば、複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された導電体とを備え、FEデバイス等に用いたときの電子放出性能及び耐久性を向上することが可能な異方性導電体膜とその製造方法を提供することができる。
本発明に係る第1実施形態の異方性導電体膜の構成を示す模式断面図である。 図1Aの異方性導電体膜の模式平面図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の製造方法を示す工程図である。 図1Aの異方性導電体膜の設計変更例を示す模式断面図である。 図1Aの異方性導電体膜の設計変更例を示す模式断面図である。 本発明に係る第2実施形態の異方性導電体膜の構成を示す模式断面図である。 本発明に係る一実施形態のFELの模式断面図である。 本発明に係る一実施形態のFEDの模式断面図である。 実施例1において、異方性導電体膜の未封孔部の溶解処理前のSEM表面写真である。 実施例1において、異方性導電体膜の未封孔部の10分間溶解処理後のSEM斜視写真及びSEM断面写真である。 実施例1において、異方性導電体膜の未封孔部の30分間溶解処理後のSEM斜視写真及びSEM断面写真である。 実施例1及び比較例1における真空中でのI−V特性の測定結果を示すグラフである。 実施例2及び比較例1における真空中でのI−V特性の測定結果を示すグラフである。 実施例1で得られた異方性導電体膜を用いたFELの発光写真である。
「第1実施形態の異方性導電体膜」
図面を参照して、本発明に係る第1実施形態の異方性導電体膜の構成について、説明する。
図1Aは、本実施形態の異方性導電体膜の模式断面図である。
図1Bは、本実施形態の異方性導電体膜の模式平面図であり、貫通孔21H及び針状導電体24の平面パターンを示す図である。
本実施形態の異方性導電体膜1は、フィールドエミッション(FE)デバイス等に用いられる電子放出素子に好ましく利用できる。
詳細については後述するが、FEデバイスは、エミッタ(電子源)と電極層とを含む電子放出素子を備えた第1の電極基板と、この第1の電極基板に対して真空空間を介して対向配置され、電極層と蛍光体層とを含む第2の電極基板とを備えたデバイスである。
図1Aに示すように、本実施形態の異方性導電体膜1は、面方向に対して交差方向に延びた複数の針状の貫通孔21Hを有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体21を備える。異方性導電体膜1においては、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に選択的に針状導電体24が形成されている。
針状導電体24は、第1の導電体22とその上に形成された第2の導電体23とからなる。
図中、符号21Sは細孔構造体21の一方の面(図示下面)であり、符号21Dは面21Sにおける貫通孔21Hの開口部である。
異方性導電体膜1において、貫通孔21Hの内部に針状導電体24が形成された部分を「封孔部SA」と称す。また、貫通孔21Hの内部に針状導電体24が形成されていない部分を「未封孔部NSA」と称す。
1つの封孔部SAに含まれる貫通孔21Hの数は単数でも複数でもよい。
本実施形態において、1つの封孔部SAには、互いに隣り合う複数の貫通孔21Hと、各貫通孔21Hの周りの陽極酸化部分と、各貫通孔21Hの内部に形成された針状導電体24とが含まれる。
本実施形態の異方性導電体膜1は、少なくとも1つの封孔部SAを有する。
図示例では、異方性導電体膜1は複数の封孔部SAを有し、1つの封孔部SAに2個×2個の内部に針状導電体24が形成された貫通孔21Hが含まれている。
1つの封孔部SAは、図1Bに示す後記第1の導電体膜31のパターン単位31Pに対応している。
本実施形態の異方性導電体膜1において、未封孔部NSAの少なくとも一部が除去されている。未封孔部NSAは、貫通孔21Hの開口側から厚み方向に少なくとも一部が除去されている。
細孔構造体21の除去は、陽極酸化部分を溶解可能な溶解液を用いて行うことができる。未封孔の貫通孔21Hの内部に溶解液に入る未封孔部NSAでは、封孔部SAよりも、陽極酸化部分の除去が速く進む。
図1Aに示す異方性導電体膜1では、未封孔部NSAの一部が除去され、封孔部SAの陽極酸化部分の一部が未封孔部NSAよりも少ない量で除去されている。
図3Aに示す設計変更例の異方性導電体膜2Aでは、未封孔部NSAがすべて除去され、封孔部SAの陽極酸化部分が一部除去されている。
異方性導電体膜1、2Aにおいて、封孔部SAの陽極酸化部分は部分的に除去されて、第1の導電体22の頭頂部22Tが細孔構造体21より突出している。
なお、1つの封孔部SAを構成する複数の第1の導電体22の突出した頭頂部22T同士が互いに密着する場合がある(図6CのSEM写真を参照)。
本実施形態において、第1の導電体22の細孔構造体21より突出した頭頂部22T上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23が形成されている。
第1の導電体22は、電解メッキ可能な材料からなる。
第1の導電体22は、Ag、Au、Cd、Co、Cu、Fe、Ni、Sn、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属又は金属化合物を含むことが好ましい。
上記の中で、製造容易で導電性が高い点からは、Ni及び/又はAgを含む金属又は金属化合物が特に好ましい。
金属は、単体の金属でもよいし、合金でもよい。
金属化合物としては、金属酸化物等が挙げられる。
第2の導電体23は、
Cr、Hf、Mo、Nb,Ta、Ti、W、及びZrからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属;
上記高融点金属の酸化物、炭化物、窒化物、硼化物、珪素化合物、及びアルカリ土類金属化合物;
及び、
ダイヤモンド、及びダイヤモンドライクカーボンからなる群より選択された少なくとも1種の炭素化合物
からなる群より選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。
第2の導電体23は、Mo及び/又はHfCを含むことが特に好ましい。
主な材料の仕事関数及び融点を表1に示しておく。
本実施形態においては、基本的に第1の導電体22の主成分元素と第2の導電体23の主成分元素とは異なる。
なお、本明細書において、「高融点金属の酸化物」には、自然酸化物は含まれないものとする。
通常、積極的に形成された酸化物の厚みは、自然酸化膜よりも厚い。また、自然酸化膜ではXRD分析において酸化物由来のピークが検出されないが、積極的に形成された酸化物では、XRD分析において酸化物に由来するピークが検出される。
本実施形態では、細孔構造体21の一部の貫通孔21内に選択的に形成された第1の導電体22の頭頂部22T上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23が形成されている。
かかる構成では、第1の導電体22と第2の導電体23とからなる針状導電体24の先端の仕事関数を低くすることができ、電子放出性能を高くできる。針状導電体24の先端に水分等の吸着物があっても、針状導電体24の先端の仕事関数を充分に低くすることができ、電子放出性能を充分に高くできる。仮に吸着物のある針状導電体24と吸着物のない針状導電体24とが混在しても、各針状導電体24の先端の仕事関数を充分に低くすることができるので、電子放出性能の面内均一性が良好に確保される。
本実施形態の構成では、針状導電体24の先端の融点を高くすることができるので、針状導電体24の先端の耐イオン衝撃性を向上することができる。
第2の導電体23が酸化物、炭化物、窒化物、又は珪素化合物を含む場合、針状導電体24の表面酸化による性能劣化も抑制することができる。
細孔構造体21の一方の面21Sには、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とからなる導電体膜30が形成されている。
細孔構造体21の面21Sには、内部に第1の導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体22の材料をメッキ可能な第1の導電体膜31と、内部に第1の導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体膜31に繋がって形成され、第1の導電体22の材料をメッキ難な第2の導電体膜32とが形成されている。
本実施形態において、第1の導電体膜31は、内部に第1の導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に第1の導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成されている。第2の導電体膜32は、内部に第1の導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第1の導電体膜31のパターン単位31P同士を繋ぐように形成されている。本実施形態において、第2の導電体膜32はパターンを有しないベタ膜である。
本実施形態において、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とを互いに繋がるように形成しているのは、これらを一体として電極層とするためである。これにより、互いに離間形成された第1の導電体膜31の複数のパターン単位31Pを第2の導電体膜32を介して導通することができる。
図1A及び図1Bに示す例において、平面視で、第1の導電体膜31のパターン単位31Pは、内部に第1の導電体22が形成された貫通孔21Hを2個×2個含む略矩形状パターンである。平面視で、互いに隣接する第1の導電体膜31のパターン単位31Pの間には、内部に第1の導電体22が形成されていない貫通孔21Hが2個×2個ある。上述のように、内部に第1の導電体22が形成されていない貫通孔21Hの直下には、第2の導電体膜32が形成されている。
なお、パターン設計は一例に過ぎず、複数の貫通孔21Hのうちいずれの内部に第1の導電体22を形成するかは、自在に設計可能である。本実施形態では、第1の導電体膜31のパターンを変更することで、内部に第1の導電体22を形成する貫通孔21Hを自在に選択できる。
第1の導電体膜31は、第1の導電体22の材料をメッキ可能な材料からなる。
第1の導電体膜31は、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Sn、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属又は金属化合物を含むことが好ましい。
上記の中で、標準電極電位が高い点から、Au及び/又Agを含む金属又は金属化合物が特に好ましい。
金属は、単体の金属でもよいし、合金でもよい。
金属化合物としては、金属酸化物等が挙げられる。
第2の導電体膜32は、第1の導電体22の材料をメッキ難な材料(難メッキ材料)からなる。難メッキ材料としては、表面に絶縁性が高い酸化皮膜が発生しやすい金属又は金属化合物が挙げられる。
第2の導電体膜32は、Al、Mg、Si、Ti、Mo、及びWからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属又は金属化合物、又はステンレスを含むことが好ましい。
上記の中で、製造容易で安価な点から、Alを含む金属又は金属化合物が特に好ましい。
金属は、単体の金属でもよいし、合金でもよい。
金属化合物としては、金属酸化物等が挙げられる。
ステンレスとしては、Fe−Ni−Cr合金等が挙げられる。
本実施形態の異方性導電体膜1、2Aは、FEデバイス等に用いられる電子放出素子として利用できる。この場合、第1の導電体22と第2の導電体23とからなる針状導電体24はエミッタ(電子源)として、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とからなる導電体膜30は電極層として、それぞれ利用できる。
電子放出素子における第1の導電体22と貫通孔21Hの好ましいサイズ設計は、以下の通りである。
電子放出性能が高くなることから、第1の導電体22の長さは1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
電子放出性能が高くなることから、第1の導電体22の径は1μm未満であり、500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが特に好ましい。
形成容易性を考慮すれば、第1の導電体22の径は20nm以上であることが好ましい。
電子放出性能が高くなることから、第1の導電体22の長さ/径は100以上であることが好ましい。
第2の導電体23の厚みは特に制限なく、ごく微小で充分な効果が得られる。
第2の導電体23の厚みが過大では、第2の導電体23の付着量が多くなって針状導電体24の先端径が拡大し、電子放出性能が低下してしまう恐れがある。
第2の導電体23の厚みは3〜100nmが好ましく、3〜20nmがより好ましく、3〜7nmが特に好ましい。
本実施形態では、第1の導電体膜31の1個のパターン単位31Pの直上に形成された複数の貫通孔21Hの内部に形成された針状導電体24が、1つの封孔部SAを構成している。平面視で、複数の封孔部SAは、未封孔部NSAを介して互いに離間されており、その間隔の制御も可能である。
本実施形態の異方性導電体膜1、2AをFEデバイス等に使用する場合、エミッタ間隙を広範囲で制御することができる。例えば、エミッタ間隙(本実施形態では、互いに隣接する封孔部SAの間隙)を100nm程度から数十μm程度の範囲で制御することができる。その結果、エミッタ間隙が狭くなりすぎて、各エミッタ先端にかかる電界が遮蔽され、電子放出性能が低下することを抑制でき、高い電子放出性能を発現できる。
上記したように、本実施形態では、細孔構造体21の複数の貫通孔21内に形成された第1の導電体22の頭頂部22T上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23が形成されている。
かかる構成では、第1の導電体22と第2の導電体23とからなる針状導電体24の先端に水分等の吸着物があっても、電子放出性能を高くでき、その面内均一性が良好に確保される。また、針状導電体24の先端の耐イオン衝撃性を向上することができる。
第2の導電体23が酸化物、炭化物、窒化物、又は珪素化合物を含む場合、針状導電体24の表面酸化による性能劣化も抑制することができる。
FEデバイス等においては、電子を放出するエミッタである針状導電体24に熱が発生する。
異方性導電体膜1では、個々の針状導電体24は陽極酸化部分に囲まれて保護されているため、電子放出による熱により損傷されるのが抑制されると考えられる。
本実施形態では、1つの封孔部SAには、複数の針状導電体24が含まれている。
1つの封孔部SAを構成する複数の針状導電体24に着目した場合、あるタイミングにおいて、電子を放出するのは、1つの封孔部SAを構成する一部の針状導電体24であると考えられる。あるタイミングにおいて電子を放出する針状導電体24には熱が発生するが、互いに隣接する針状導電体24は陽極酸化部分を介して繋がっているので、発生した熱は、陽極酸化部分、及び、同じ封孔部SAを構成し、そのタイミングでは電子を放出しない他の針状導電体24に拡散していくと考えられる。
すなわち、異方性導電体膜1では、電子放出により熱が発生しても、発生した熱は拡散しやすく、電子を放出した針状導電体24の熱による損傷が抑制されると考えられる。
封孔部と未封孔部とを有する異方性導電体膜においては、未封孔部の貫通孔の開口部が製造工程で発生する研磨屑あるいは吸着水等の異物によって閉口され、FEデバイス等を構成したときに、未封孔部の貫通孔内が良好に減圧されない場合がある。未封孔部の貫通孔内が良好に減圧されないままFEデバイス等を作動すると、電子放出中に発生した熱やイオン衝突等により、未封孔部の貫通孔内に残ったガスが真空空間に放出される。真空空間に放出されたガスはイオン化され、生成されたイオンが異方性導電体膜にプラズマ衝撃を与え、異常放電により異方性導電体膜が損傷される恐れがある。
異方性導電体膜1、2Aでは、未封孔部NSAの少なくとも一部が除去されているので、製造過程で未封孔部NSAの貫通孔21Hの開口部を閉口する異物が生じたとしても、この異物は完全に除去されている。したがって、異方性導電体膜1、2AによりFEデバイス等を構成したときに、異常放電による異方性導電体膜1、2Aの損傷が抑制される。
未封孔部NSAを完全除去する場合、FEデバイス等において未封孔部NSAの貫通孔21H内の減圧が不要となる。未封孔部NSAを部分的に残す場合にも、未封孔部NSAの貫通孔21Hは長さが短くなるので、FEデバイス等において未封孔部NSAの貫通孔21Hの内部が減圧されやすい。
以上の効果が相俟って、本実施形態の異方性導電体膜1、2Aでは、FEデバイス等を構成したときの電子放出性能及び耐久性を向上することができる。
「設計変更例」
図3Bは、異方性導電体膜の設計変更例を示す模式断面図である。上記実施形態の異方性導電体膜1、2Aと同じ構成要素には同じ参照符号を付してある。
図3Bに示す異方性導電体膜2Bにおいては、第2の導電体膜32は、内部に第1の導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に第1の導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成されている。第1の導電体膜31は、内部に第1の導電体22が形成された貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第2の導電体膜32のパターン単位32P同士を繋ぐように形成されている。この例において、第1の導電体膜31はパターンを有しないベタ膜である。
この設計変更例においても、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とを互いに繋がるように形成しているのは、これらを一体として電極層とするためである。これにより、互いに離間形成された第2の導電体膜32の複数のパターン単位32Pを第1の導電体膜31を介して導通することができる。
図3Bに示す設計変更例においても、複数の貫通孔21Hのうちいずれの内部に第1の導電体22を形成するかは、自在に設計可能ある。この設計変更例では、第2の導電体膜32のパターンを変更することで、内部に第1の導電体22を形成する貫通孔21Hを自在に選択できる。
この設計変更例においても、複数の封孔部SAの間が互いに離間され、その間隔の制御も可能である。
異方性導電体膜2Bにおいても、未封孔部NSAの少なくとも一部が除去され、第1の導電体22の頭頂部22Tが細孔構造体21より突出している。
また、第1の導電体22の頭頂部22T上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23が形成されている。
本実施形態においても、第1の導電体22及び第2の導電体23により針状導電体24が形成されている。
異方性導電体膜2Bにおいても、異方性導電体膜1、2Aと同様の効果が得られる。
「第1実施形態の異方性導電体膜の製造方法」
図面を参照して、第1実施形態の異方性導電体膜の製造方法の例について説明する。
図2A〜図2Hは工程図である。図2A及び図2Bは模式斜視図であり、図2C〜図2Hは模式断面図である。
(工程(A1))
以下のようにして、複数の貫通孔21Hを有する細孔構造体21を用意する。
<工程(AX)>
はじめに図2Aに示すように、被陽極酸化金属体Mを用意する。
被陽極酸化金属体Mの主成分としては特に制限なく、Al、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、W、Nb、及びZn等が挙げられる。被陽極酸化金属体はこれらを1種又は複数種含むことができる。
被陽極酸化金属体の主成分としては、Al等が特に好ましい。
本明細書において、「被陽極酸化金属体の主成分」は99質量%以上の成分と定義する。
被陽極酸化金属体Mの形状は制限されず、板状等が挙げられる。また、支持体の上に被陽極酸化金属体Mが層状に成膜されたものなど、支持体付きの形態で用いることも差し支えない。
図2Bに示すように、被陽極酸化金属体Mの少なくとも一部を陽極酸化すると、金属酸化物膜からなる細孔構造体21Xが生成される。例えば、被陽極酸化金属体MがAlを主成分とする場合、Alを主成分とする細孔構造体21Xが生成される。
板状等の被陽極酸化金属体Mを用いる場合、通常、被陽極酸化金属体Mの一部を残して、被陽極酸化金属体Mの一部を陽極酸化する。図中、符号10が被陽極酸化金属体Mの残部である。この場合、通常、被陽極酸化金属体Mの残部10に対して、生成される細孔構造体21は薄いが、図面では、視認しやすくするため、細孔構造体21Xを大きく図示してある。
陽極酸化は例えば、被陽極酸化金属体Mを陽極とし、カーボンあるいはアルミニウム等を陰極(対向電極)とし、これらを陽極酸化用電解液に浸漬させ、陽極と陰極との間に電圧を印加することで実施できる。
電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、及びアミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
被陽極酸化金属体Mを陽極酸化すると、図2Bに示すように、表面(図示上面)からこの面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、金属酸化物膜が生成される。
陽極酸化により生成される金属酸化物膜は、略正六角柱状の複数の柱状体21Cが互いに隙間なく隣接して配列した構造を有するものとなる。各柱状体21Cの略中心部には、表面から深さ方向に延びた針状の非貫通孔21Aが開孔される。非貫通孔21Aの底面と金属酸化物膜の底面との間には、バリア層21Bが生成される。
図示するように、非貫通孔21Aは被陽極酸化金属体Mの表面に対して概ね垂直方向に開孔されるが、多少斜め方向に開孔される場合もある。
<工程(AY)>
工程(AX)後に被陽極酸化金属体Mの残部10がある場合にはこの残部10とバリア層21Bとを除去し、工程(AX)後に被陽極酸化金属体Mの残部10がない場合にはバリア層21Bを除去して、非貫通孔21Aを貫通孔21Hとする。
被陽極酸化金属体Mの残部10は例えば、陽極酸化の方法において逆方向に電圧を印加する逆電解剥離によって除去できる。
被陽極酸化金属体Mの残部10及びバリア層21Bは、リン酸等の酸性液に浸漬することでも除去できる。
被陽極酸化金属体Mの残部10及びバリア層21Bは、切削等により物理的に除去することができる。
以上のようにして、図2Cに示す、複数の貫通孔21Hを有する細孔構造体21が得られる。
(工程(B1))
以下のようにして、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に第1の導電体22を選択的に形成する。
<工程(BX)>
工程(A)において得られた細孔構造体21の一方の面(図示下面)21Sに、第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とからなる導電体膜30を形成する。
この工程においては、細孔構造体21の面21Sに、内部に第1の導電体22を形成する貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体22の材料をメッキ可能な第1の導電体膜31と、内部に第1の導電体22を形成しない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体膜31に繋がって形成され、第1の導電体22の材料をメッキ難な第2の導電体膜32とを形成することができる。
細孔構造体21において、導電体膜30を形成する面は、非貫通孔21Aの開口部があった側でもよいし、バリア層21Bがあった側でもよい。
図2D及び図2Eに示すように、第1の導電体膜31を形成してから、第2の導電体膜32を形成することができる。この場合、第1の導電体膜31は、内部に第1の導電体22が形成される貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に第1の導電体22が形成されない貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成することができる。例えば、金属メッシュ等のマスクを用いた金属蒸着等により、第1の導電体膜31をパターン形成することができる。第2の導電体膜32は、内部に第1の導電体22が形成されない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第1の導電体膜31のパターン単位31P同士を繋ぐように形成することができる。図示する例では、第2の導電体膜32は、パターンを有しないベタ膜である。
上記プロセスとは逆に、第2の導電体膜32を形成してから、第1の導電体膜31を形成してもよい。この場合、図3Bに示したように、第2の導電体膜32は、内部に第1の導電体22が形成されない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、内部に第1の導電体22を形成する貫通孔21Hの開口部21Dを覆わないパターンで、複数の領域に分かれて形成することができる。第1の導電体膜31は、内部に第1の導電体22が形成される貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、かつ、複数の領域に分かれて形成された第2の導電体膜32のパターン単位32P同士を繋ぐように形成することができる。
<工程(BY)>
次に図2Fに示すように、第1の導電体膜31及び第2の導電体膜32からなる導電体膜30を電極層として、細孔構造体21に対して電解メッキを実施する。これにより、直下に第1の導電体膜31が形成された貫通孔21Hの内部に選択的に第1の導電体22を形成することができる。
なお、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に第1の導電体22を選択的に形成することができれば、上記以外の方法を採用しても構わない。
(工程(C1))
次に図2G又は図3Aに示すように、未封孔部NSAの少なくとも一部を除去する。
未封孔部NSAの除去方法としては、陽極酸化部分が溶解する液(以下、溶解液という。)を用いた溶解除去が好ましい。
溶解液としては、水酸化ナトリウム水溶液もしくはリン酸及びクロム酸の混合水溶液等が挙げられる。
例えば、工程(B1)後に得られた構造体を上記溶解液に浸漬させることで、未封孔部NSAの少なくとも一部を除去することができる。
この工程においては、未封孔の貫通孔21Hの内部に溶解液に入る未封孔部NSAでは、封孔部SAよりも、陽極酸化部分の除去が速く進む。したがって、未封孔部NSAの少なくとも一部を溶解除去することができる。
未封孔部NSAがすべて除去された後、さらに溶解処理を続けることで、封孔部SAの陽極酸化部分をすべて除去することも可能である。
図2Gに示す異方性導電体膜では、未封孔部NSAの一部が除去され、封孔部SAの陽極酸化部分の一部が未封孔部NSAよりも少ない量で除去されている。
図3Aに示す異方性導電体膜では、未封孔部NSAがすべて除去され、封孔部SAの陽極酸化部分が一部除去されている。
未封孔部NSAの少なくとも一部を溶解除去する際には、図2G及び図3Aに示すように、封孔部SAの陽極酸化部分が部分的に除去されて、第1の導電体22の頭頂部22Tが細孔構造体21より突出する。なお、1つの封孔部SAを構成する複数の第1の導電体22の突出した頭頂部22T同士が互いに密着する場合がある(図6CのSEM写真を参照)。
(工程(D1))
次に図2Hに示すように、第1の導電体22の頭頂部22T上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23を形成する。
工程(C1)後に得られた構造体の表面に、スパッタ法等の気相成膜法により、第2の導電体23の材料を成膜するなどして、第1の導電体22の頭頂部22T上に第2の導電体23を形成することができる。
上記したように、第2の導電体23の厚みが過大では、第2の導電体23の付着量が多くなって針状導電体24の先端径が拡大し、電子放出性能が低下してしまう恐れがある。
第2の導電体23の厚みは3〜100nmが好ましく、3〜20nmがより好ましく、3〜7nmが特に好ましい。
この工程においては、細孔構造体21上にも、第2の導電体23の材料が多少付着する場合があるが、針状導電体24の形状に影響を与えない程度であれば特に問題はない。本実施形態では、未封孔部NSAの少なくとも一部が除去され、細孔構造体21より突出した第1の導電体22の頭頂部22T上に第2の導電体23を形成するので、第2の導電体23は第1の導電体22上に優先的に成長する。
以上のようにして、異方性導電体膜1、2A、2Bが製造される。
「第2実施形態の異方性導電体膜」
図面を参照して、本発明に係る第2実施形態の異方性導電体膜の構成について、説明する。
図4は、第1実施形態の図1に対応する模式断面図である。
なお、第1実施形態の異方性導電体膜1、2A、2Bと同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明が適宜省略する。
本実施形態の異方性導電体膜3は、第1実施形態と同様、面方向に対して交差方向に延びた複数の貫通孔21Hを有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体21と、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された第1の導電体22とを備えている。
この設計変更例においても、細孔構造体21の一方の面21Sには、第1の導電体22の材料をメッキ可能な第1の導電体膜31と、内部に第1の導電体22が形成されていない貫通孔21Hの開口部21Dを覆い、第1の導電体膜31に繋がって形成され、第1の導電体22の材料をメッキ難な第2の導電体膜32とからなる導電体膜30が形成されている。かかる構成によって、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔の内部に第1の導電体22が選択的に形成されている。
本実施形態の異方性導電体膜3では、第1実施形態と異なり、未封孔部NSAは除去されていない。また、第1の導電体22は貫通孔21H内に窪んで形成されている。
本実施形態の異方性導電体膜3では、貫通孔21H内に窪んで形成された第1の導電体22上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23が形成されている。
本実施形態では、貫通孔21Hの内部に、第1の導電体22と第2の導電体23とからなる針状導電体24が形成されている。
第1の導電体と第2の導電体23の材料及び好ましいサイズは、第1実施形態と同様である。
なお、図示例では、第2の導電体23についても、貫通孔21H内に窪んで形成されているが、第2の導電体23の上端は細孔構造体21の上面と面一であってもよい。
本実施形態においても、細孔構造体21の複数の貫通孔21内に形成された第1の導電体22上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23が形成されている。
かかる構成では、第1実施形態と同様、第1の導電体22と第2の導電体23とからなる針状導電体24の先端に水分等の吸着物があっても、電子放出性能を高くでき、その面内均一性が良好に確保される。また、針状導電体24の先端の耐イオン衝撃性を向上することができる。
第2の導電体23が酸化物、炭化物、窒化物、又は珪素化合物を含む場合、針状導電体24の表面酸化による性能劣化も抑制することができる。
「第2実施形態の異方性導電体膜の製造方法」
以下、第2実施形態の異方性導電体膜3の製造方法について説明する。
(工程(A2))
図2A〜図2Cを参照して説明したように、第1実施形態の工程(A1)と同様の方法にて、細孔構造体21を用意する。
(工程(B2))
次に、図2D〜図2Fを参照して説明したように、第1実施形態の工程(B1)と同様の方法にて、複数の貫通孔21Hのうち一部の貫通孔21Hの内部に第1の導電体22を選択的に形成する。
ただし、第2実施形態では、第1の導電体22をメッキ形成する際に、メッキ時間を調整して、貫通孔21Hがすべて第1の導電体22で埋まる前に、メッキを終了する。これにより、図4に示したように、第1の導電体22を貫通孔21Hの内部に窪んで形成する。
第2実施形態では、工程(B2)の後、未封孔部NSAの少なくとも一部を除去する工程は実施しない。
(工程(D2))
次に、図2Hを参照して説明したように、第1実施形態の工程(D1)と同様の方法にて、貫通孔21Hの内部において、第1の導電体22上に、第1の導電体22に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体23を形成する。
第2の導電体23の形成方法及び好ましい厚みは、工程(D1)と同様である。
以上のようにして、異方性導電体膜3が製造される。
「FEデバイス」
図面を参照して、本発明に係る一実施形態のフィールドエミッションランプ(Field Emission Lump:FEL、照明装置)の構造について説明する。
図5Aは模式断面図である。
FEL4は、
基板本体110とカソード層(導電体膜30)とを有するカソード基板(第1の電極基板)100と、
基板本体210とアノード層220とを有するアノード基板(第2の電極基板)200とを備えている。
カソード層(導電体膜30)とアノード層220との間には電圧が印加されるようになっている。
本実施形態において、カソード基板100は、基板本体110の内面に、図1A及び図1Bに示した異方性導電体膜1を備えたものである。
基板本体110としては、金属板もしくはITO(インジウム錫酸化物)等の透光性導電体膜付きガラス基板等が用いられる。
カソード基板100は、上記実施形態の異方性導電体膜1に対して、基板本体110をはんだ付けする、もしくは導電性両面テープを用いて接着することで、得られる。
カソード基板100において、異方性導電体膜1における第1の導電体膜31と第2の導電体膜32とからなる導電体膜30がカソード層であり、細孔構造体21の一部の貫通孔21Hの内部に選択的に形成された針状導電体24がエミッタ(電子源)である。
図5Aでは、異方性導電体膜1の構造を簡略化して図示してあるが、図1A及び図1Bに示したのと同様の構造である。
アノード層220は、基板本体210の内面のほぼ全面に形成された、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性導電体膜である。
基板本体210としては、ガラス基板等が用いられる。
アノード層220の内面には、蛍光体層230が形成されている。
蛍光体層230の材料としては公知材料を用いることができる。
蛍光体層230の材料としては特に限定されないが、ZnS:Ag,Cl 、ZnS:Ag,Al、ZnGa、ZnO:Zn、ZnS:Cu,Al 、YSiO:Ce、 YSiO:Tb、Y(Al,Ga)12:Tb、Y:Eu、YS:Eu、RbVO、及びCsVO等が挙げられる。
蛍光体層230の発光色は任意である。
白色光源の場合、蛍光体層230の材料として、青色材料、緑色材料、及び赤色材料等の発光色の異なる複数種の公知の材料を任意に組み合わせて、白色光を得ることができる。
カソード基板100とアノード基板200との間にはスペーサ300が設けられ、カソード基板100とアノード基板200との間の空間は高真空になっている。
カソード基板100の針状導電体24(エミッタ)から放射される電子線により蛍光体層230が励起され、発光した光が出射される。
本実施形態のFEL4は、上記実施形態の異方性導電体膜1を用いたものであるので、電子放出性能及び耐久性に優れる。
本実施形態ではFELを例として説明したが、図5Bに示すように、蛍光体層230として、赤(R)の蛍光体層230R、緑(G)の蛍光体層230G、及び青(B)の蛍光体層230Bをパターン形成し、ドットごとに光変調を行う構成とすれば、フィールドエミッションディスプレイ(Field Emission Display:FED、表示装置)に適用することができる。
図5B中、符号5はFEDである。
図5B中、カソード層(導電体膜30)とアノード層220の図示を省略してある。
本発明は本明細書に記載の実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)
図2A〜図2Hに記載の方法に従って、図1A及び図1Bに示したような異方性導電体膜を製造した。
厚み3mmの100×100mmアルミニウム板に対して、以下の条件で陽極酸化処理を行い、複数の針状の非貫通孔とバリア層とを有するアルミナ膜を形成した。
・対向電極(陰極):アルミニウム
・電解液:0.3M硫酸
・浴温:15〜19℃
・電圧:直流電圧25V
・時間:8時間
得られたアルミナ膜について、走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所社製「S−4800」)を用いて表面及び断面を観察した。表面SEM像(80,000倍)において、細孔100個の細孔面積から平均細孔径を求めた。また、同表面SEM像中の細孔個数から細孔密度を求めた。断面SEM像 (10,000倍)において、細孔100個の細孔長から平均細孔長を求めた。
得られたアルミナ膜は、複数の針状の非貫通孔がほぼ規則正しく開孔しており、平均細孔径0.02μm、平均細孔長40μm、平均細孔密度300個/μmであった。
次に、アルミナ膜を陰極に、Pt-Ti電極を陽極に接続した状態で、直流5Vを印加して、アルミナ膜をAl基板から剥離させた。
次に、アルミナ膜をリン酸に浸漬することで、アルミナ膜底部のバリア層を溶解し、アルミナ膜の複数の非貫通孔をすべて貫通孔とした。
以上のようにして、複数の貫通孔を有する、厚み40μmの細孔構造体を得た。
次に、上記細孔構造体の一方の面(バリア層があった側の面)に対して、目開8μm、線径8μmの金属メッシュをマスクとして、真空蒸着装置(真空デバイス社製「VE−2030」)を用いて、60nm厚の金膜(Au膜、第1の導電体膜)を形成した。蒸着条件は以下の通りとした。
・蒸着源:99.9%金線(ニラコ社製)
・真空度:1×10−4Pa以下
・基板温度:25℃
・蒸着速度:5nm/min.
次に、細孔構造体の金蒸着を実施した面に対して、ほぼ全面に、真空蒸着装置(真空デバイス社製「VE−2030」)を用いて、150nm厚のアルミニウム膜を形成した(Al膜、第2の導電体膜)。蒸着条件は以下の通りとした。
・蒸着源:99.99%アルミニウム線(ニラコ社製)
・真空度:1×10−4Pa以下
・基板温度:25℃
・蒸着速度:10nm/min.
次に、金膜とアルミニウム膜とからなる導電体膜を電極層として、細孔構造体に対してNi(第1の導電体)を電解メッキ析出させた。メッキ条件は以下の通りとした。
・電解浴:1.2M硫酸ニッケル・6水和物、0.2M塩化ニッケル、及び0.7M硼酸の混合液
・浴温:32〜37℃
・pH:4.0〜5.0
・電圧:−0.9V vs.Ag/AgCl
・処理時間:120分
電解メッキ後の細孔構造体のSEM表面観察及びSEM断面観察を実施した。
得られたSEM表面写真を図6Aに示す。
図6Aにおいて、左上図は倍率3000倍のSEM表面写真である。金蒸着に用いた金属メッシュの開口部のパターンに対応して、8μm×8μmの複数の略矩形状パターン単位がスペース8μmを空けてマトリクス状に形成されたパターンが見られた。
図6Aにおいて、右図は倍率20000倍のSEM写真である。この写真は上記略矩形状パターン単位の部分を拡大したものである。この部分は、貫通孔の直下に金膜(第1の導電体膜)が形成された部分である。貫通孔の内部にNiが形成されている様子が見られた(封孔部)。SEM断面観察を実施したところ、貫通孔内におけるNiの充填率は70〜100%であった。なお、右上図のSEM表面写真は表面を撮影したものであるので、Niの充填率が100%未満の貫通孔については空孔のように見えるが、実際には内部にNiが形成されている。
図6Aにおいて、下図は倍率20000倍のSEM表面写真である。この写真は上記複数の略矩形状パターン単位を除いた格子状パターンの部分を拡大したものである。この部分は、貫通孔の直下にアルミニウム膜(第2の導電体膜)が形成された部分である。貫通孔はすべて空孔のままであり、貫通孔内にNi形成は見られなかった(未封孔部)。
図1A及び図1Bに示したように、細孔構造体の複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的にNiが形成されていることが確認された。
得られた構造体を0.4質量%(0.1mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液に10〜30分間浸漬させて、未封孔部の一部を溶解除去した。
上記溶解除去を10分間実施した後のSEM斜視写真とSEM断面写真を図6Bに示す。貫通孔長40μmに対して、開口側より約10μmの深さまで未封孔部が除去されている様子が観察された。
上記溶解除去を30分間実施した後のSEM斜視写真とSEM断面写真を図6Cに示す。貫通孔長40μmに対して、開口側より約30μmの深さまで未封孔部が除去されている様子が観察された。この条件では、封孔部の陽極酸化アルミナが部分的に除去され、1つの封孔部を構成する複数の貫通孔内に形成された導電体の頭頂部が陽極酸化アルミナより突出して互いに密着し、封孔部の先端部が略錐状になった。
次に、スパッタ装置(アルバック社製「CS200」)を用いて、得られた構造体の表面にMoを成膜して、貫通孔の内部に形成されたNi(第1の導電体)の頭頂部上に、Mo(第2の導電体)を4nmの厚みで形成した。
以上のようにして、異方性導電体膜を得た。
(比較例1)
Moスパッタを実施しなかった以外は実施例1と同様にして、異方性導電体膜を製造した。
(実施例2)
実施例1のMoスパッタを膜厚20nmのHfCスパッタに変更した以外は実施例1と同様にして、異方性導電体膜を製造した。
実施例1、2及び比較例1の主な製造条件を表2に示す。
(真空中でのI−V特性の測定)
実施例1、2及び比較例1の各例において得られた異方性導電体膜について、真空中でのI−V特性を測定した。
ITO膜付きガラス基板に対して、得られた異方性導電体膜をインジウムを用いてはんだ付けで接着させて、カソード基板とした。
アノード基板として、ITO膜付きガラス基板を用意した。
上記カソード基板とアノード基板との間に、スペーサとしてアルミナ板を配置した。
異方性導電体膜とアノード基板との離間距離は0.5mmとした。
得られたサンプルを、真空チャンバー内に設置して、1×10−4Paの真空度以下とした。カソード電極とアノード電極との間に、直流電源(松定プレシジョン社製「HJPM−5N1.2−SP」)を用いて電圧を印加した。
実施例1、2及び比較例1における真空中でのI−V特性の測定結果を図7A、図7Bに示す。
図7A、図7Bに示すように、貫通孔の内部にNiを形成し、その頭頂部上にMo又はHfCをスパッタした実施例1、2では、第2の導電体をスパッタしなかった比較例1に対して、電子放出の開始電界強度が低減した。また、実施例1、2では、電子放出による電流量も向上し、真空中でのI−V特性が向上することが示された。
また、各例において、耐久性の評価として、印加電圧を初期電流値が3μA/cmとなる値に設定して、初期電流値(3μA/cm)に対する半減期を評価した。比較例1では半減期が5時間であったのに対して、実施例1、2では半減期が10時間に向上した。
実施例1、2及び比較例1の評価結果を表2に示す。
(FELの製造)
実施例1で得られた異方性導電体膜を用いて、FELを製造した。
ITO膜付きガラス基板に対して、得られた異方性導電体膜をインジウムを用いてはんだ付けで接着させて、カソード基板とした。
アノード基板として、ZnO:Zn蛍光体層が塗布されたITO膜付きガラス基板を用意した。
上記カソード基板とアノード基板との間に、スペーサとしてアルミナ板を配置した。
異方性導電体膜とアノード基板との離間距離は0.5mmとした。
得られたデバイスを、真空チャンバー内に設置して、1×10−4Paの真空度以下とした。カソード電極とアノード電極との間に、直流電源(松定プレシジョン社製「HJPM−5N1.2−SP」)を用いて電圧を印加した。
目視にて、青緑色の発光が確認された。光学顕微鏡による発光写真を図8に示す。
輝度計(トプコン社製「BM−9」)を用いて発光輝度を測定したところ、8000cd/mであった。
本発明の異方性導電体膜とその製造方法は、FEL及びFED等のFEデバイス等に用いられる電子放出素子に好ましく適用することができる。
1、2A、2B、3 異方性導電体膜
21 細孔構造体
21A 非貫通孔
21B バリア層
21H 貫通孔
21D 開口部
21S 面
22 第1の導電体
22T 頭頂部
23 第2の導電体
24 針状導電体(エミッタ、電子源)
30 導電体膜(カソード層)
31 第1の導電体膜
31P パターン単位
32 第2の導電体膜
32P パターン単位
4 FEL
5 FED
100 カソード基板
200 アノード基板
220 アノード層
230、230R、230G、230B 蛍光体層
SA 封孔部
NSA 未封孔部
M 被陽極酸化金属体

Claims (14)

  1. 面方向に対して交差方向に延びた複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、前記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された第1の導電体とを備えた異方性導電体膜であって、
    前記貫通孔の内部に前記第1の導電体が形成されていない未封孔部の少なくとも一部が除去され、前記第1の導電体の頭頂部が前記細孔構造体より突出しており、
    前記第1の導電体の前記頭頂部上に、前記第1の導電体に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体が形成された、
    異方性導電体膜。
  2. 面方向に対して交差方向に延びた複数の貫通孔を有する陽極酸化金属膜からなる細孔構造体と、前記複数の貫通孔のうち一部の貫通孔の内部に選択的に形成された第1の導電体とを備えた異方性導電体膜であって、
    前記第1の導電体は前記貫通孔内に窪んで形成されており、
    前記第1の導電体上に、前記第1の導電体に比して仕事関数が低くかつ融点が高い第2の導電体が形成された、
    異方性導電体膜。
  3. 前記第1の導電体は、Ag、Au、Cd、Co、Cu、Fe、Mo、Ni、Sn、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属又は金属化合物を含み、
    前記第2の導電体は、
    Cr、Hf、Mo、Nb,Ta、Ti、W、及びZrからなる群より選択された少なくとも1種の高融点金属;
    前記高融点金属の酸化物、炭化物、窒化物、硼化物、珪素化合物、及びアルカリ土類金属化合物;
    及び、
    ダイヤモンド、及びダイヤモンドライクカーボンからなる群より選択された少なくとも1種の炭素化合物
    からなる群より選択された少なくとも1種を含む、
    請求項1又は2に記載の異方性導電体膜。
  4. 前記第2の導電体は、Mo及び/又はHfCを含む、
    請求項3に記載の異方性導電体膜。
  5. 前記第2の導電体の膜厚が3〜100nmである、
    請求項1〜4のいずれかに記載の異方性導電体膜
  6. 前記細孔構造体の一方の面に、内部に前記導電体が形成された前記貫通孔の開口部を覆い、前記導電体の材料をメッキ可能な第1の導電体膜と、内部に前記導電体が形成されていない前記貫通孔の開口部を覆い、前記第1の導電体膜に繋がって形成され、前記導電体の材料をメッキ難な第2の導電体膜とを備えた、
    請求項1〜5のいずれかに記載の異方性導電体膜。
  7. 前記第1の導電体膜は、Au、Ag、Cu、Fe、Ni、Sn、及びZnからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属又は金属化合物を含み、
    前記第2の導電体膜は、Al、Mg、Si、Ti、Mo、及びWからなる群より選択された少なくとも1種の金属元素を含む金属又は金属化合物、又はステンレスを含む、
    請求項6に記載の異方性導電体膜。
  8. 請求項1に記載の異方性導電体膜の製造方法であって、
    前記細孔構造体を用意する工程(A1)と、
    前記複数の貫通孔のうち一部の前記貫通孔の内部に前記第1の導電体を選択的に形成する工程(B1)と、
    前記未封孔部の少なくとも一部を除去する工程(C1)と、
    前記第1の導電体の前記頭頂部上に前記第2の導電体を形成する工程(D1)とを順次有する、
    異方性導電体膜の製造方法。
  9. 請求項2に記載の異方性導電体膜の製造方法であって、
    前記細孔構造体を用意する工程(A2)と、
    前記複数の貫通孔のうち一部の前記貫通孔の内部に窪むように前記第1の導電体を選択的に形成する工程(B2)と、
    前記第1の導電体上に前記第2の導電体を形成する工程(D2)とを順次有する、
    異方性導電体膜の製造方法。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の異方性導電体膜を備えた、デバイス。
  11. 請求項1〜5のいずれかに記載の異方性導電体膜を備えてなり、
    前記貫通孔内に形成された前記第1の導電体からなる電子源と、前記細孔構造体の一方の面に形成され、前記電子源に導通された電極層とを備えた、電子放出素子。
  12. 請求項6又は7に記載の異方性導電体膜を備えてなり、
    前記貫通孔内に形成された前記第1の導電体からなる電子源と、前記第1の導電体膜と前記第2の導電体膜とを含む電極層とを備えた、電子放出素子。
  13. 請求項11又は12に記載の電子放出素子を含む第1の電極基板と、
    前記第1の電極基板に対して真空空間を介して対向配置され、電極層と蛍光体層とを含む第2の電極基板とを備えた、
    フィールドエミッションランプ。
  14. 請求項11又は12に記載の電子放出素子を含む第1の電極基板と、
    前記第1の電極基板に対して真空空間を介して対向配置され、電極層と蛍光体層とを含む第2の電極基板とを備え、
    前記蛍光体層から発光される光の変調により表示を行う、
    フィールドエミッションディスプレイ。
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