JP2016125856A - 車両速度検出装置および該装置を搭載した車両並びに列車 - Google Patents

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Abstract

【課題】線路上を走行する車両の下部に設置され、線路上に照射した電波等の反射波に基づいて車両の速度情報を検出する複数の速度検出手段を用いて、走行上の路面状態の影響を抑制し、安定かつ高精度で車両速度を検出する。【解決手段】車両は、線路上に照射したミリ波の反射波により車両の速度情報を検出するミリ波センサを有し、2つのミリ波センサは、レール上方にある車両下部、およびレールとは別の線路部分上方にある車両下部に、反射したミリ波を受信可能な範囲に固定される。2つのセンサが検出した車両の速度情報を比較して、一方のミリ波センサが反射波を検出できない場合、ある時点およびその直後に連続して検出した速度情報から算出した速度差に基づいて得られる加速度または減速度が車両性能を逸脱している場合は、他方のセンサの反射波を選択する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に設置したセンサを用いて車両速度および走行距離の演算を行う車両速度検出装置、および該装置を搭載した車両並びに列車に関する。
鉄道車両における速度検出手段として、速度発電機のような回転センサがある。これによる速度検出手法は、車軸に取り付けた速度発電機から、車輪の回転数、つまり速度に比例した周波数の信号を検出し、この周波数信号を短形波に変換してパルス数を計測することにより、列車の速度や移動距離を演算する。この手法を用いる場合、車輪の空転および滑走の影響により、検出した速度および位置に誤差が生じてしまうという問題がある。
このような問題に対して、車輪の回転に左右されない非接触型の速度検出手段を用いることにより、車輪の空転および滑走の影響を受けない速度検出手段が提案されている。例えば、特開平8−320378号公報(特許文献1)には、車両の前後に取り付けたセンサから超音波を地面に対し俯角を持たして照射して、前後どちらの反射波を受信するかを切り替えて車速を演算するシステムが述べられている。これにより、路面の水溜りなどにより片方のセンサの反射波が全反射してしまう事象に対しても、他方のセンサの反射波を採用することで速度を検出することができる。
特開平8−320378号公報
鉄道車両が走行する線路上において、センサの取付け位置や照射角度によっては、橋梁など地面との距離が長い場合に、反射波を検出できない可能性がある。また、線路面上に存在する恐れのある水溜り、線路上に放置されたままの草木またはバラストなどの影響によっても、反射波の検出が阻害され、反射波を安定して検出できない場合がある。
そこで、本発明は、走行する線路の路面状態の影響を抑制し、反射波を安定して検出できる速度検出装置を提案する。
上記課題を解決するために、本発明で提案する車両速度検出装置は、線路上を走行する車両の下部に設置され、線路上に照射した電波または超音波の反射波に基づいて車両の速度情報を検出する複数の速度検出手段と、複数の速度検出手段が検出した速度情報を比較して車両速度の演算に用いる速度情報を選択または算定する速度比較手段とを備え、複数の速度検出手段は、車両が走行するレール面からの反射波に基づいて速度情報を検出する第1の速度検知手段と、車両が走行するレールを含まない線路部分からの反射波に基づいて速度情報を検出する第2の速度検知手段とから構成される。
本発明で提案する速度検出装置は、走行する線路の路面状態に左右されることなく、車両速度と列車(車両を連結した編成体)の走行距離を算出することが可能となる。
図1は、本発明の実施例1に係るセンサの配置構成を平面、側面および正面から示す図である。 図2は、本発明の実施例1に係るセンサが検出する車両速度の概要を示す図である。 図3は、本発明の実施例1による速度および走行距離を演算する制御装置の構成概要を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例を説明する。
実施例1では、図1に示すように、2つのミリ波センサ101および102が、車両11の進行方向に対して横並びに設置される(平面図)。2つのミリ波センサ101および102それぞれは、線路上に向け俯角を持つ方向にミリ波を照射し、その反射波を受信することにより車両の速度を検出する。
また、図1に示すように、2つのミリ波センサ101および102の内、一方のミリ波センサ101は、レール12上方の車両下部に設置され、他方のミリ波センサ102は、当該レール12とは別の線路部分(例えば、レール12間に挟まれた部分)上方の車両下部に設置される。そして、両方とも反射したミリ波を受信可能な範囲内に設置されている。
ここで、2つのミリ波センサ101および102を設置する車両の位置として、図1では、車両の進行方向前方部に設置した場合を示したが、これに限定されるものではなく、車両進行方向後方部、または車両の中間部であっても差し支えない。
また、レール12上方以外の線路部分に設置されるミリ波センサ102については、前述のように2本のレール12間に挟まれた部分ではなく、レール12の外側付近の車両下部に設置してもよい(図1の平面図および正面図に、(102)として破線枠で例示)。
速度検出手段として、実施例1ではミリ波センサを用いた例を説明したが、同様に、超音波による反射波を利用した速度センサを用いることもできる。
実施例1で使用するミリ波センサとは、周波数帯が30GHzから300GHz、波長としては1mmから10mm域までのミリ波帯の電波を用いたセンサである。ミリ波は、電波の中でも特に直進性が非常に高く、雨、霧、雪などの悪天候下においても安定した検出性能を有している。このような特徴から、ミリ波センサは、移動体に対する位置や速度の検出手段として多岐に渡って用いられている。
図3は、2つのミリ波センサからの速度情報を用いて車両速度および走行距離を演算処理する制御装置201の構成を示す図である。
ミリ波センサ1(101)およびミリ波センサ2(102)は、前述のように、線路上に向けて照射したミリ波から反射波として受信したミリ波を用いて移動体の速度検出を行う手段である。
速度情報確認部202は、ミリ波センサ1および2による速度検出の有無、および検出した速度情報1および2の確認処理を行い、その処理の中で、ミリ波センサがある時点およびその直後に連続して検出した速度情報の速度差を算出する。この確認処理により、一方のミリ波センサが反射波を検出できない場合、または上記算出した速度差に基づいて得られる加速度もしくは減速度が車両性能を逸脱している場合には、他方のミリ波センサの反射波を選択する。
速度比較演算部203は、速度情報確認部202で確認した2つの速度情報1および2を比較し、いずれのミリ波センサも速度情報を正常に検出できていれば速度情報が高い方を選択して車両速度の演算を行う。高い方を選択する理由は、列車(車両を連結した編成体)として認識する速度を高い方にしておけば、列車をより安全側に制御することができるからである。
また、速度情報が高い方のミリ波センサを選択するのではなく、2つのミリ波センサから取得した各速度情報の平均値を車両速度として採用することもできる。
速度比較演算部203で算出した車両速度を距離演算部204で積分することにより、所定の位置からの列車の走行距離を算出する。算出した走行距離から列車の位置を検出して列車間隔の制御などに利用することが可能となる。
ここにおいて、本発明が車両速度検出装置としている構成を図3に示す構成と照らし合わすと、2つのミリ波センサ1(101)および2(102)、速度情報確認部202および速度比較演算部203が、車両速度検出装置に対応する構成である。
次に、ミリ波センサ1および2の取付け位置によって検出される速度情報に違いが出る事象とそれに対する実施例1の対処について詳細に述べる。
ミリ波センサが照射するミリ波を反射する線路面の状態や外環境によっては、ミリ波センサがその反射波を検出できない事象、または、図2の(a)、(b)のように、ある時点およびその直後に連続して検出した速度情報の速度差に基づいて得られる加速度もしくは減速度が車両性能を逸脱するような検出をしてしまう事象(例えば、(a)ではミリ波センサ2の方、(b)ではミリ波センサ1の方)、が考えられる。
これら事象につながるケースとして、例えば以下の4つが挙げられる。
(ケース1)線路上に水溜りがある場合において、照射したミリ波が全反射してしまう。
(ケース2)線路上に草木などの障害物がある場合において、速度検出が阻害されてしまう。
(ケース3)橋梁などの線路部分において、車両と地面との距離が長くなり反射波を検出できない恐れがある。
(ケース4)レール間に隙間がある箇所やレールの構造が変化する踏切などの場所において、反射波を検出できない恐れがある。
これらの(ケース1)、(ケース2)および(ケース3)に対処するために、実施例1は、レール上方の車両下部にミリ波センサ(図1のミリ波センサ101)を取り付けることで、外環境の影響を受けることなくレール面から反射されるミリ波を確実に検出することが可能となる。
また併せて、前記レールとは別の線路部分上方の車両下部にもミリ波センサを設置することで、(ケース4)のようなレール面の状態変化にも左右されることなく速度情報を検出することが可能となる。
また、図2のように車両性能を逸脱する速度を検出した時刻および位置に関する情報を取得し、記録する記録手段を備えてもよい。そして、複数の列車から取得した前記位置に関する情報を収集することで、線路上の状態を推定することができる。例えば、複数の車両のミリ波センサ102のいずれもが、特定の線路の位置で車両性能を逸脱する速度を検出する場合には、(ケース2)のように、線路上に障害物があるなどの原因を推定し、線路保守のための補助情報として利用できる。
更に、天候情報を組み合わせてもよい。例えば、雨天の場合に限って特定の線路の位置で車両性能を逸脱する速度が複数検出されるのであれば、当該位置には水溜りができやすい窪みが存在するなどの原因を推定し、線路保守に活かすこともできる。
なお、前記記録手段は、各車両に備えてもよい。また、リアルタイムで前記位置に関する情報を集める場合は、地上装置に無線等で情報を送信し、地上装置側で情報を収集および記録してもよい。天候情報の取得や線路位置の状態推定については、そのための処理手段を車両側または地上側のいずれに備えてもよい。地上装置を使わず、車両ごとに処理を行う場合は、車両間で通信を行うことで情報を共有すればよい。
複数の車両から成る編成列車の場合には、編成列車として、レール面からの反射波に基づいて速度検出可能な位置に1台、レールを含まない線路部分からの反射波に基づいて速度検出可能な位置に1台、ミリ波センサを少なくとも備えればよい。その際は、車上内で無線または有線にて通信を行い、速度情報を共有すればよい。
また、例えば、ミリ波センサ101および102を備えた車両を複数両備えた編成列車であれば、複数の各車両のミリ波センサのうち、ミリ波センサ101および102の少なくとも1ペアによって速度検出を行い、他のミリ波センサを停止させることができる。これにより省エネとなる。
一方、他のミリ波センサも活用すればするほど、速度検出の信頼性を高めることができる。レール面からの反射波に基づいて速度検出を行うミリ波センサ101を複数利用する場合、2本のレールのうち、それぞれのレールの反射波に基づくミリ波センサ101を選択することで、レール異常に対する冗長性はより向上する。そこで、例えばミリ波センサ101および102の2つのセンサを持つ車両を複数両連結させる際、ミリ波センサ101の対象とするレールが異なるように連結させればよい。また、先頭車両にミリ波センサ101および102を搭載した複数車両の編成列車の場合には、両端となる先頭車両に搭載された各々のミリ波センサ101により、互いに異なるレールからの反射波にて速度検出が可能となる。
片方のミリ波センサが速度検出できなかった場合に、他方のミリ波センサが検出した速度情報に基づいて車両を制御すれば対処できることは、実施例1で記述した。しかし、2つのミリ波センサが共に検出不可能に陥った場合においては、これらミリ波センサとは別の速度検出装置を併用した速度検出手段を講じる必要がある。
そこで、実施例2は、2つのミリ波センサとは別にミリ波センサとは検出方法が異なる、速度発電機をはじめとした別の速度検出手段を併用した構成を採用する。ミリ波センサの取付け位置などに関しては、実施例1で示した構成と同様とする。この場合、いずれかの速度検出装置で検出した速度を優先して選択する方法、もしくは、取得した速度情報の平均値を算定する方法などが考えられる。どちらの方法にせよ、速度検出の信頼性を向上させることが可能となる。
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施例については、本発明を分かりやすく説明するためのもので、必ずしも説明した構成や配置に限定されるものではない。
例えば、ミリ波センサではなく、超音波センサなどを利用することも可能である。また、車両におけるミリ波センサの取付け位置に関しては、ミリ波センサの取付け角度を調整することにより、レール表面、または当該レールとは別の線路部分から、それぞれ反射波を検出できる位置であれば、実施例1で示した配置構成に限定されず、車両の下部に設置する既存装備と共存可能な任意の箇所とすることができる。
実施例では、ミリ波センサが2つの場合について記述したが、3つ以上を設ける場合には、より速度検出の信頼性を向上させることも可能である。この場合、実際の車両速度は、例えば以下のように決定することができる。すなわち、3台以上の速度検出手段から検出した個々の速度情報からそれぞれの差の絶対値を求め、その絶対値が予め設定した基準値以下で、かつ、多数決の原理に従い多数派である速度情報の組み合わせを選択する。そして、選択した1以上の組み合わせの中で最も高位の速度情報を車両速度として採用する。これは前述のとおり、列車を安全側に制御するためである。
11: 車両
12: レール
101: ミリ波センサ1
102: ミリ波センサ2
201: 制御装置
202: 速度情報確認部
203: 速度比較演算部
204: 距離演算部

Claims (12)

  1. 線路上を走行する車両の下部に設置され、線路上に照射した電波または超音波の反射波に基づいて前記車両の速度情報を検出する複数の速度検出手段と、
    前記複数の速度検出手段が検出した前記速度情報を比較して車両速度の演算に用いる前記速度情報を選択または算定する速度比較手段と
    を備え、
    前記複数の速度検出手段は、少なくとも、
    前記車両が走行するレール面からの前記反射波に基づいて前記速度情報を検出する第1の速度検出手段と、
    前記車両が走行するレールを含まない線路部分からの前記反射波に基づいて前記速度情報を検出する第2の速度検出手段とから構成される
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  2. 請求項1に記載の車両速度検出装置であって、
    前記複数の速度検出手段は、ミリ波を線路上に照射して反射波を検出するミリ波センサを備えた
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  3. 請求項2に記載の車両速度検出装置であって、
    前記複数の速度検出手段それぞれは、車両進行方向に対して横並びに設置する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  4. 請求項2に記載の車両速度検出装置であって、
    前記複数の速度検出手段それぞれは、前記ミリ波センサの取付け角度を調整して、前記車両の下部に設置する既存装備と共存可能な任意の箇所に設置する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両速度検出装置であって、
    前記速度比較手段は、比較する前記速度情報がいずれも正常であれば、当該速度情報が高い方の速度検出手段を選択する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  6. 請求項2から請求項4のいずれかに記載の車両速度検出装置であって、
    1つ以上の前記センサから前記速度情報を検出することが不可の場合、または1つ以上の前記センサからある時点および当該時点直後に検出した速度情報の差分に基づいて得られる加速度ないしは減速度が前記車両の車両性能を逸脱している場合に、前記1つ以上のセンサ以外の前記センサを備える前記速度検出手段から検出した速度情報を選択する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  7. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両速度検出装置であって、
    前記複数の速度検出手段として、車軸に取り付けた速度発電機により前記車両の速度情報を検出する第3の速度検出手段を追加し、
    前記第1から第3の速度検出手段のいずれかが検出した前記速度情報を優先して選択するか、または、前記第1から第3の速度検出手段それぞれが検出した前記速度情報の平均値を算定する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  8. 請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両速度検出装置であって、
    前記複数の速度検出手段が3台以上である場合に、個々の速度検出手段が検出した個々の前記速度情報の差の絶対値が予め設定した基準値以下でかつ多数派である前記速度情報の組み合わせの中から、最も高位の速度情報を選択する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の車両速度検出装置であって、
    前記第1の速度検出手段および前記第2の速度検出手段の少なくとも一方が、
    前記速度情報を検出することが不可の場合、またはある時点および当該時点直後に検出した速度情報の差分に基づいて得られる加速度ないしは減速度が前記車両の車両性能を逸脱している場合に、前記不可となった時刻または前記逸脱した時刻および当該時刻時点の前記車両の位置を取得する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  10. 請求項9に記載の車両速度検出装置であって、
    前記時刻および前記位置に基づいて、或いは、前記時刻、前記位置および当該時刻時点の天候情報に基づいて、
    前記線路上の状態を推定する
    ことを特徴とする車両速度検出装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の車両速度検出装置を搭載したことを特徴とする車両および当該車両から編成される列車。
  12. 請求項11に記載の列車であって、
    当該列車の両端に前記車両速度検出装置を各々配置する
    ことを特徴とする列車。
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