JP2016125723A - 蓄熱式空気調和機 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)は、室内の冷房と暖房とを切り換えて行う。蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒の冷熱を蓄熱媒体に蓄え、この冷熱を冷房に利用する。蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒の温熱を蓄熱媒体に蓄え、この温熱を暖房に利用する。
図1に示すように、蓄熱式空気調和機(10)は、室外ユニット(20)と、蓄熱ユニット(40)と、複数の室内ユニット(70)とを備えている。室外ユニット(20)及び蓄熱ユニット(40)は、室外に設置される。複数の室内ユニット(70)は、室内に設置される。なお、図1では便宜上、1台の室内ユニット(70)のみを図示している。
室外ユニット(20)には、冷媒回路(11)の一部を成す室外回路(21)が設けられる。室外回路(21)には、圧縮機(22)、室外熱交換器(23)、室外膨張弁(24)、及び四方切換弁(25)が接続される。室外回路(21)には、第1過冷却回路(30)と、中間吸入管(35)とが接続されている。
実施形態の圧縮機(22)は、単段式の1台の圧縮機であり、冷媒を圧縮して吐出する圧縮部を構成している。圧縮機(22)では、ケーシング(22a)の内部にモータ及び圧縮機構(図示省略)が収容されている。実施形態の圧縮機構は、スクロール式の圧縮機構で構成されている。しかし、圧縮機構は、揺動ピストン式、ローリングピストン式、スクリュー式、ターボ式等の種々の方式を採用できる。圧縮機構では、渦巻き状の固定スクロールと可動スクロールの間に圧縮室が形成され、この圧縮室の容積が徐々に小さくなることで冷媒が圧縮される。圧縮機(22)のモータは、インバータ部によって運転周波数が可変に構成されている。つまり、圧縮機(22)は、回転数(容量)が可変なインバータ式の圧縮機である。
室外熱交換器(23)は、例えばクロスフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成されている。室外熱交換器(23)の近傍には、室外ファン(26)が設けられている。室外熱交換器(23)では、室外ファン(26)が搬送する空気と、室外熱交換器(23)を流れる冷媒とが熱交換する。
室外膨張弁(24)は、室外熱交換器(23)の液側端部と連絡配管(12)の接続端の間に配置されている。室外膨張弁(24)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の流量を調節する。
四方切換弁(25)は、第1から第4までのポートを有している。四方切換弁(25)の第1ポートは、圧縮機(22)の吐出管(27)に接続され、四方切換弁(25)の第2ポートは、圧縮機(22)の吸入管(28)(低圧吸入部)に接続されている。四方切換弁(25)の第3ポートは、室外熱交換器(23)のガス側端部に繋がり、四方切換弁(25)の第4ポートは、連絡配管(14)の接続端に繋がっている。
第1過冷却回路(30)は、第1導入管(31)と第1過冷却熱交換器(32)とを有している。第1導入管(31)の一端は、室外膨張弁(24)と連絡配管(12)の接続端との間に接続される。第1導入管(31)の他端は、圧縮機(22)の吸入管(28)に接続される。つまり、第1導入管(31)は、液ライン(L1)と圧縮機(22)の低圧側の吸入管(28)とを繋ぐ低圧導入管を構成している。ここで、液ライン(L1)は、室外熱交換器(23)の液側端部と室内熱交換器(72)の液側端部に亘るまでの流路である。第1導入管(31)には、その一端から他端に向かって順に、第1減圧弁(EV1)、第1伝熱流路(33)が接続されている。第1減圧弁(EV1)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで第2伝熱流路(34)の出口の冷媒の過冷却度を調節する。第1過冷却熱交換器(32)は、第2伝熱流路(34)を流れる冷媒と、第1伝熱流路(33)を流れる冷媒とを熱交換させる第1熱交換器を構成する。第2伝熱流路(34)は、冷媒回路(11)の液ライン(L1)のうち、室外膨張弁(24)と連絡配管(12)の接続端との間に設けられる。
中間吸入管(35)は、中間圧の冷媒を圧縮機(22)の圧縮室の圧縮途中に導入する中間吸入部を構成している。中間吸入管(35)の始端は、連絡配管(13)の接続端に接続され、中間吸入管(35)の終端は、圧縮機(22)の圧縮機構の圧縮室に接続されている。中間吸入管(35)は、圧縮機(22)のケーシング(22a)の内部に位置する内側配管部(36)を有している。中間吸入管(35)の内圧は、基本的に、冷媒回路(11)の高圧と低圧の間の中間圧力に相当する。中間吸入管(35)には、上流側から下流側に向かって順に、第1電磁弁(SV1)、逆止弁(CV1)が接続される。第1電磁弁(SV1)は、流路を開閉する開閉弁である。逆止弁(CV1)は、主蓄熱用流路(44)(詳細は後述する)から圧縮機(22)へ向かう方向(図1の矢印方向)の冷媒の流れを許容し、圧縮機(22)から主蓄熱用流路(44)へ向かう方向の冷媒の流れを禁止する。
蓄熱ユニット(40)は、室外ユニット(20)と室内ユニット(70)に介在する中継ユニットを構成している。蓄熱ユニット(40)には、冷媒回路(11)の一部を成す中間回路(41)が設けられる。中間回路(41)には、主液管(42)、主ガス管(43)、及び主蓄熱用流路(44)が接続されている。中間回路(41)には、第2過冷却回路(50)が接続されている。蓄熱ユニット(40)には、蓄熱装置(60)が設けられる。
主液管(42)は、液ライン(L1)の一部を構成している。主液管(42)は、連絡配管(12)の接続端と連絡配管(15)の接続端とを接続している。主液管(42)には、第2電磁弁(SV2)が接続される。第2電磁弁(SV2)は、流路を開閉する開閉弁である。主液管(42)は、単純暖房運転(1)において、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒が蓄熱用熱交換器(63)をバイパスして室外熱交換器(23)へ送る第2バイパス流路を構成している。
主ガス管(43)は、ガスライン(L2)の一部を構成している。ここで、ガスライン(L2)は、四方切換弁(25)の第4ポートから室内熱交換器(72)のガス側端部に亘るまでの流路である。主ガス管(43)は、連絡配管(14)の接続端と連絡配管(16)の接続端とを連結している。
主蓄熱用流路(44)は、主液管(42)と主ガス管(43)との間に接続されている。主蓄熱用流路(44)の一端は、連絡配管(12)の接続端と第2電磁弁(SV2)の間に接続されている。主蓄熱用流路(44)には、主液管(42)側から主ガス管(43)側に向かって順に、第3電磁弁(SV3)、予熱側冷媒流路(64b)、蓄熱用膨張弁(45)、蓄熱側冷媒流路(63b)、第4電磁弁(SV4)が接続されている。第3電磁弁(SV3)及び第4電磁弁(SV4)は、流路を開閉する開閉弁である。蓄熱用膨張弁(45)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の圧力を調節する。
第2過冷却回路(50)は、第2導入管(51)と第2過冷却熱交換器(52)とを有している。第2導入管(51)の一端は、第2電磁弁(SV2)と連絡配管(15)の接続端との間に接続される。第2導入管(51)の他端は、主ガス管(43)に接続される。主ガス管(43)において、第2導入管(51)の接続部は、主蓄熱用流路(44)の接続部と連絡配管(16)の接続端の間に位置している。第2導入管(51)には、その一端から他端に向かって順に、第2減圧弁(EV2)、第3伝熱流路(53)が接続されている。第2減圧弁(EV2)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで第4伝熱流路(54)の出口の冷媒の過冷却度を調節する。第2過冷却熱交換器(52)は、第4伝熱流路(54)を流れる冷媒と、第3伝熱流路(53)を流れる冷媒とを熱交換させる。第4伝熱流路(54)は、主液管(42)のうち第2電磁弁(SV2)と連絡配管(15)の接続端の間に設けられる。第2過冷却回路(50)は、詳細は後述する利用冷房運転や利用蓄冷運転において、連絡配管(15)を流れる冷媒が気化してフラッシュするのを防止するための過冷却器を構成する。
中間回路(41)には、中間中継管(46)と、第1分岐管(47)と、第2分岐管(48)と、第3分岐管(49)とが接続される。中間中継管(46)の一端は、主蓄熱用流路(44)における第3電磁弁(SV3)と予熱側冷媒流路(64b)との間に接続される。中間中継管(46)の他端は、連絡配管(13)を介して中間吸入管(35)と接続している。第1分岐管(47)の一端は、主蓄熱用流路(44)における蓄熱側冷媒流路(63b)と第4電磁弁(SV4)との間に接続される。
蓄熱装置(60)は、冷媒回路(11)の冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させる蓄熱部を構成している。蓄熱装置(60)は、蓄熱回路(61)と、該蓄熱回路(61)に接続される蓄熱タンク(62)とを有している。蓄熱装置(60)は、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)を有している。
蓄熱回路(61)に充填される蓄熱媒体について詳細に説明する。蓄熱媒体には、冷却によって包接水和物が生成される蓄熱材、即ち流動性を有する蓄熱材が採用される。蓄熱媒体の具体例としては、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetra Butyl Ammonium Bromide)水溶液、トリメチロールエタン(TME:Trimethylolethane)水溶液、パラフィン系スラリーなどが挙げられる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、安定的に冷却されて当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも低くなった過冷却状態でもその水溶液の状態を維持するが、この過冷却状態にて何らかのきっかけが与えられると、過冷却の溶液が包接水和物を含んだ溶液(即ちスラリー)へと遷移する。即ち、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、過冷却状態を解消して、臭化テトラnブチルアンモニウムと水分子とからなる包接水和物(水和物結晶)が生成されて粘性の比較的高いスラリー状となる。ここで、過冷却状態とは、蓄熱媒体が水和物生成温度以下の温度となっても包接水和物が生成されずに溶液の状態を保っている状態を言う。逆に、スラリー状となっている臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、加熱により当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも高くなると、包接水和物が融解して流動性の比較的高い液状態(溶液)となる。
複数の室内ユニット(70)には、冷媒回路(11)の一部を成す室内回路(71)がそれぞれ設けられる。複数の室内回路(71)は、連絡配管(15)(液管)と連絡配管(16)(ガス管)との間に並列に接続されている。複数の室内回路(71)と上述した主蓄熱用流路(44)とは、液ライン(L1)とガスライン(L2)の間に並列に接続されている。各室内回路(71)には、ガス側端部から液側端部に向かって順に、室内熱交換器(72)と室内膨張弁(73)とがそれぞれ接続されている。
室内熱交換器(72)は、例えばクロスフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成されている。室内熱交換器(72)の近傍には、室内ファン(74)が設けられている。室内熱交換器(72)では、室内ファン(74)が搬送する空気と、室内熱交換器(72)を流れる冷媒とが熱交換する。
室内膨張弁(73)は、室内熱交換器(72)の液側端部と連絡配管(15)の接続端の間に配置されている。室内膨張弁(73)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の流量を調節する。
コントローラ(100)は、各機器を制御する運転制御部を構成している。具体的に、コントローラ(100)は、圧縮機(22)のON/OFFの切換、四方切換弁(25)の状態の切換、各電磁弁(SV1-6)の開閉の切換、各膨張弁(24,45,73)や減圧弁(EV1-4)の開度の調節、各ファン(26,74)のON/OFFの切換、ポンプ(67)のON/OFFの切換等を行う。また、蓄熱式空気調和機(10)には、図示を省略した各種のセンサが設けられている。コントローラ(100)は、これらの検出値に基づいて、上述した各機器を制御する。
実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)の運転動作について説明する。蓄熱式空気調和機(10)は、単純冷房運転、蓄冷運転、利用冷房運転、冷房蓄冷運転、単純暖房運転、蓄熱運転、利用暖房運転、及び暖房蓄熱運転を切り換えて行う。コントローラ(100)は、これらの各運転を切り換えるように、各機器を制御する。
単純冷房運転では、蓄熱装置(60)が停止し、室内ユニット(70)で室内の冷房が行われる。図2に示す単純冷房運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第4電磁弁(SV4)、及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りは閉状態になる。第2減圧弁(EV2)及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第1減圧弁(EV1)及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が停止状態となり作動しない。単純冷房運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、第1過冷却熱交換器(32)が過冷却器となり、室内熱交換器(72)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。単純冷房運転では、低圧側のガスライン(L2)と主蓄熱用流路(44)とが連通する。これにより、主蓄熱用流路(44)の内部での液溜まりを回避できる。
蓄冷運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)の蓄熱媒体に冷熱が蓄えられる。図3に示す蓄冷運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、及び第4電磁弁(SV4)が開状態になり、残りは閉状態になる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び室内膨張弁(73)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、蓄熱用膨張弁(45)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)は作動し、室内ファン(74)は停止する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄冷運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)が放熱器(冷媒冷却器)となり、蓄熱用熱交換器(63)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。蓄冷運転では、高圧の液ライン(L1)から室内ユニット(70)までに亘る流路に余剰の冷媒を保持することができる。
利用冷房運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に蓄えられた蓄熱媒体の冷熱が、室内の冷房に利用される。図4に示す利用冷房運転では、四方切換弁(25)が第1状態に第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第5電磁弁(SV5)、及び第6電磁弁(SV6)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第2減圧弁(EV2)及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。利用冷房運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)、蓄熱用熱交換器(63)、及び第2過冷却熱交換器(52)が放熱器(冷媒冷却器)となり、室内熱交換器(72)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
冷房蓄冷運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱媒体に冷熱が蓄えられるとともに、室内ユニット(70)で室内の冷房が行われる。図5に示す冷房蓄冷運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、及び第4電磁弁(SV4)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第2減圧弁(EV2)、蓄熱用膨張弁(45)、及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。冷房蓄冷運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)及び第2過冷却熱交換器(52)が放熱器(冷媒冷却器)となり、蓄熱用熱交換器(63)及び室内熱交換器(72)が蒸発器となる。
単純暖房運転では、蓄熱装置(60)が停止し、室内ユニット(70)で室内の暖房が行われる。図6に示す単純暖房運転では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)が開状態となり、残りは全て閉状態なる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び蓄熱用膨張弁(45)が全閉状態に、室内膨張弁(73)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が停止状態となり作動しない。単純暖房運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。室内膨張弁(73)は、室内熱交換器(72)の出口冷媒の過冷却度を制御する。
蓄熱運転では、蓄熱タンク(62)に温熱を蓄えた蓄熱媒体が貯留される。図7に示す蓄熱運転では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第4電磁弁(SV4)、及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び室内膨張弁(73)が全閉状態に、室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)は作動し、室内ファン(74)は停止する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
利用暖房運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に蓄えられた蓄熱媒体の温熱が、室内の暖房に利用される。利用暖房運転は、第1利用暖房運転(以下、利用暖房運転(1)という)と、第2利用暖房運転(以下、利用暖房運転(2)という)とに大別される。
利用暖房運転(1)は、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発する冷媒の圧力(MP)と、室外熱交換器(23)で蒸発する冷媒の圧力(LP)との差(MP−LP)が比較的小さくなるような条件下で実行される。例えば冬季において、外気温度が比較的高い一方、蓄熱装置(60)の蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が比較的低いような場合が、この条件に相当する。
利用暖房運転(2)は、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発する冷媒の圧力(MP)と、室外熱交換器(23)で蒸発する冷媒の圧力(LP)との差(MP−LP)が比較的大きくなるような条件下で実行される。例えば冬季において、外気温度が比較的低い一方、蓄熱装置(60)の蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が比較的高いような場合が、この条件に相当する。
暖房蓄熱運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に温熱が蓄えられるとともに、室内ユニット(70)で室内の暖房が行われる。暖房蓄熱運転は、第1動作(以下、暖房蓄熱運転(1)という)と、第2動作(以下、暖房蓄熱運転(2)という)とに大別される。
運転制御部(100)は、暖房蓄熱運転を開始する信号が入力されると、暖房蓄熱運転(1)が実行される。図10に示す暖房蓄熱運転(1)では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第5電磁弁(SV5)、及び第6電磁弁(SV6)が開状態となり、残りが閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室内膨張弁(73)、蓄熱用膨張弁(45)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)が放熱器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
暖房蓄熱運転(1)が継続して行われると、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が徐々に上昇していく。これにより、室内熱交換器(72)を流出した冷媒の温度と、蓄熱媒体の温度との差ΔTが小さくなっていく。運転制御部(100)は、この温度差ΔTが所定値より小さくなると、暖房蓄熱運転(1)から暖房蓄熱運転(2)へと運転を切り換える。
暖房蓄熱運転では、室内熱交換器(72)による暖房で余った熱を蓄熱用熱交換器(63)を介して蓄熱媒体に付与させる暖房蓄熱運転(1)と、高圧ガス冷媒を室内熱交換器(72)と蓄熱用熱交換器(63)との双方で並列的に凝縮させる暖房蓄熱運転(2)とが切り換えて実行される。このため、運転状況に応じて、暖房の余剰の熱を蓄熱媒体に回収させる動作と、蓄熱媒体に温熱を確実に蓄えることができる動作とを切り換えることができ、室内の暖房を継続しつつ、蓄熱媒体に効率よく温熱を蓄積させることができる。
上記実施形態では、蓄熱媒体の温度Taを検出することで、温度差ΔTが小さくなることを示す条件が成立したか否かを判定している。しかしながら、暖房蓄熱運転(1)において、蓄熱媒体の温度と、室内熱交換器(72)を流出した冷媒の温度との双方を検出し、温度差ΔTが小さくなったことを判定してもよい。
11 冷媒回路
22 圧縮機
23 室外熱交換器
42 主液管(第2バイパス流路)
44 主蓄熱用流路(第1バイパス流路)
49 第3分岐管(直列流路)
61 蓄熱回路
62 蓄熱タンク
63 蓄熱用熱交換器
65 流出管
67 ポンプ
72 室内熱交換器
100 運転制御部(コントローラ)
S1 温度センサ(温度検出部)
Claims (5)
- 蓄熱式空気調和機であって、
圧縮機(22)と、室外熱交換器(23)と、室内熱交換器(72)とが接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる冷媒回路(11)と、
冷却されることによって包接水和物が生成される蓄熱媒体と上記冷媒回路(11)の冷媒とを熱交換させる蓄熱用熱交換器(63)と、該蓄熱媒体を循環させるポンプ(67)と、該蓄熱媒体が貯留される蓄熱タンク(62)とが接続される蓄熱回路(61)と、
上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮し、且つ高圧冷媒が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して上記蓄熱媒体を加熱し、上記室外熱交換器(23)で冷媒が蒸発する暖房蓄熱運転と、上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮し、且つ上記蓄熱媒体が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して上記冷媒を加熱し、且つ蓄熱媒体が上記室外熱交換器(23)で蒸発する利用暖房運転とを切り換えて実行させるように構成される運転制御部(100)とを備え、
上記冷媒回路(11)は、上記暖房蓄熱運転において、
高圧ガス冷媒が上記室内熱交換器(72)で凝縮した後、上記蓄熱用熱交換器(63)を流れる第1動作と、
上記高圧ガス冷媒が上記室内熱交換器(72)と上記蓄熱用熱交換器(63)を並列に流れてそれぞれ凝縮する第2動作とを切り換えて行うように構成される
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項1において、
上記冷媒回路(11)には、
上記第1動作において、上記室内熱交換器(72)と上記蓄熱用熱交換器(63)とを直列に繋ぐ直列流路(49)と、
上記第2動作において、上記高圧冷媒が上記室内熱交換器(72)をバイパスして蓄熱用熱交換器(63)へ流れる第1バイパス流路(44)と、
上記第2動作において、上記室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒が上記蓄熱用熱交換器(63)をバイパスして室外熱交換器(23)を流れる第2バイパス流路(42)とを備えている
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項1又は2において、
上記運転制御部(100)は、上記暖房蓄熱運転の第1動作において、上記室内熱交換器(72)を流出した冷媒の温度と、上記蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度との温度差が小さいことを示す条件が成立すると、上記第1動作から上記第2動作へ移行させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項3において、
上記蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度を検出する温度検出部(S1)を備え、
上記運転制御部(100)は、上記暖房蓄熱運転の第1動作において、上記温度検出部(S1)で検出した蓄熱媒体の温度Taが所定値より高くなると、上記第1動作から上記第2動作へ移行させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項4において、
上記蓄熱タンク(62)には、蓄熱媒体を流出させる流出管(65)が接続され、
上記温度検出部(S1)は、上記流出管(65)の蓄熱媒体の温度を検出する
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
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