JP2016125722A - 蓄熱式空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱回路での包接水和物の生成を抑制しつつ、暖房を継続できる運転を可能とする蓄熱式空気調和機を提供する。
【解決手段】冷媒回路(11)は、利用暖房運転において、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より高い状態にあるときのみ、蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する第1動作を行うように構成される。
【選択図】図10
【解決手段】冷媒回路(11)は、利用暖房運転において、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より高い状態にあるときのみ、蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する第1動作を行うように構成される。
【選択図】図10
Description
本発明は、蓄熱式空気調和機に関するものである。
従来より、室内の冷房や暖房を行う空気調和機が知られている。特許文献1には、蓄熱媒体を用いた蓄熱式空気調和機が開示されている。この蓄熱式空気調和機は、圧縮部、室外熱交換器、及び室内熱交換器が接続された冷媒回路と、冷媒回路の冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させる蓄熱部とを有している。例えば同文献の図9には、蓄熱媒体に蓄熱された温熱を暖房に利用する利用暖房運転が記載されている。この利用暖房運転では、圧縮機で圧縮された冷媒が、複数の室内熱交換器で凝縮し、蓄熱部を流れる。蓄熱部では、蓄熱媒体の熱が冷媒に付与される。
また、同文献の蓄熱式空気調和機では、蓄熱媒体として例えば臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetra Butyl Ammonium Bromide)水溶液が用いられる。つまり、蓄熱媒体は、水溶液の温度が所定温度(水和物生成温度)未満に至ると、包接水和物が生成される。包接水和物は、比較的大きな潜熱を有する微細な水和物結晶を構成する。
蓄熱媒体に蓄えた温熱を暖房に利用する利用暖房運転では、水和物生成温度より高い温度(例えば40℃)の蓄熱媒体が冷媒と熱交換することで、蓄熱媒体に蓄えられた温熱が冷媒に付与される。ところが、このような利用暖房運転を継続して行うと、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度(例えば12℃)を下回り、蓄熱媒体から包接水和物が生成され、微細な結晶が発生してしまう。このような微細な結晶が熱交換器や配管の内壁に付着して蓄積されていくと、例えば熱交換効率が低下したり、蓄熱回路の閉塞を招いたりする、という問題が生じる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、蓄熱回路での包接水和物の生成を抑制しつつ、暖房を継続できる運転を可能とする蓄熱式空気調和機を提供することである。
第1の発明は、蓄熱式空気調和機を対象とし、冷媒を圧縮する圧縮部(22,80)と、室外熱交換器(23)と、室内熱交換器(72)とが接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる冷媒回路(11)と、冷却されることによって包接水和物が生成される蓄熱媒体と上記冷媒回路(11)の冷媒とを熱交換させる蓄熱用熱交換器(63)と、該蓄熱媒体を循環させるポンプ(67)と、該蓄熱媒体が貯留される蓄熱タンク(62)とが接続される蓄熱回路(61)と、上記蓄熱媒体に蓄えられた冷熱が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して上記冷媒に付与され、且つ上記室内熱交換器(72)で冷媒が蒸発する利用冷房運転と、上記冷媒が上記蓄熱媒体と熱交換せず、且つ上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮する単純暖房運転と、上記蓄熱媒体に蓄えられた温熱が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒に付与され、且つ上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮する利用暖房運転とを切り換えて実行させるように構成される運転制御部(100)とを備え、上記冷媒回路(11)は、上記利用暖房運転において、上記蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より高い状態にあるときのみ、該蓄熱媒体が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する第1動作を行うように構成されていることを特徴とする。
第1の発明では、運転制御部(100)によって利用冷房運転と、単純暖房運転と、利用暖房運転とが切り換えられる。利用冷房運転では、蓄熱媒体に蓄熱された冷熱が室内の冷房に利用される。蓄熱媒体は、冷却されると包接水和物が生成されるため、包接水和物の潜熱を冷房に利用できる。単純暖房運転では、蓄熱媒体に蓄熱された温熱が利用されず、通常の冷凍サイクルにより室内の暖房が行われる。
利用暖房運転では、冷媒が室内熱交換器(72)で凝縮して暖房が行われるとともに、蓄熱媒体に蓄えられた温熱が低圧冷媒の蒸発熱として利用される。これにより、暖房負荷の軽減が図られる。本発明の利用暖房運転では、第1動作が実行可能となる。第1動作では、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より高い状態にあるときのみ、蓄熱用熱交換器(63)で冷媒と蓄熱媒体とが熱交換する。つまり、蓄熱用熱交換器(63)では、蓄熱媒体の顕熱が冷媒に付与され、蓄熱媒体の温度が徐々に下がっていくが、この蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より低くなると、蓄熱媒体と冷媒との熱交換を行わない。このため、利用暖房運転の第1動作では、蓄熱媒体から包接水和物が生成することを抑制でき、蓄熱回路(61)において微小な結晶が発生することも防止できる。
第2の発明は、第1の発明において、上記冷媒回路(11)は、上記利用暖房運転において、上記蓄熱媒体の温度が上記水和物生成温度より低い状態にあっても、該蓄熱媒体が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する第2動作を行うことを特徴とする。
第2の発明の利用暖房運転では、第1動作に加えて、第2動作も実行可能となる。第2動作では、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より低い状態にあっても、蓄熱媒体と冷媒とが継続して熱交換し、冷媒が加熱される。つまり、第2動作では、蓄熱媒体から包接水和物の結晶を生成する際の潜熱が、冷媒の加熱に利用される。従って、蓄熱媒体から冷媒に付与される熱量が大きくなり、利用暖房運転の実行時間を長期化できる。
第3の発明は、第2の発明において、上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転において、外気温度が高いことを示す条件が成立すると上記第1動作を実行させ、該外気温度が低いことを示す条件が成立すると上記第2動作を実行させることを特徴とする。
第3の発明では、外気温度が高いことを示す条件が成立すると第1動作が実行される。つまり、外気温度が高い条件下では、低圧冷媒の蒸発圧力が高くなる。このような条件下において、蓄熱媒体が潜熱領域に至る低温状態に至るまで、冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させると、低圧冷媒の蒸発圧力が低下し、効率が向上しない。これに対し、第1動作では、蓄熱媒体が潜熱領域に至らない高温状態に至るまでしか、冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させないため、低圧冷媒が低下することがなく、効率を向上できる。そこで、このような条件下では、自動的に第1動作が実行される。
一方、室外温度が低いことを示す条件が成立すると第2動作が実行される。つまり、室外温度が低い条件下では、低圧冷媒の蒸発圧力が低くなる。このような条件下では、蓄熱媒体が潜熱領域に至る低温状態に至るときに冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させても、低圧冷媒の蒸発圧力を高くすることができ、効率を向上できる。そこで、このような条件下では、自動的に第2動作が実行される。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記蓄熱媒体の温度を検出する蓄熱媒体温度検出部(S2)を備え、上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第1動作中に、上記蓄熱媒体温度検出部(S2)で検出した蓄熱媒体の温度が上記水和物生成温度以上の基準温度より低くなると、上記単純暖房運転を実行させることを特徴とする。
第4の発明では、利用暖房運転の第1動作中において、蓄熱媒体温度検出部(S2)で検出した蓄熱媒体の温度が水和物生成温度以上の基準温度より低くなると、利用暖房運転から単純暖房運転へ移行する。つまり、検出された蓄熱媒体の温度が基準温度より低くなると、蓄熱媒体から包接水和物が生成し、これが微小な結晶として蓄熱回路(61)内に付着する可能性が高くなる。そこで、この条件が成立すると、単純暖房運転が行われる。単純暖房運転では、冷媒と蓄熱媒体とが熱交換することがないため、蓄熱媒体がこれ以上冷却されることがない。従って、蓄熱回路(61)では、包接水和物の生成を未然に回避できる。
第5の発明は、第4の発明において、上記蓄熱媒体温度検出部(S2)は、上記蓄熱タンク(62)の流入部(65)の蓄熱媒体の温度を検出するように構成されることを特徴とする。
第5の発明では、蓄熱媒体温度検出部(S2)が、蓄熱タンク(62)の流出部(66)の蓄熱媒体の温度を検出する。この検出温度は、蓄熱回路(61)において、蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(63)で冷却された後の最も低い温度といえる。従って、この検出温度が基準温度より低くなるかを判定することで、蓄熱回路(61)の全体の蓄熱媒体が水和物生成温度より低くなってしまうことを確実に防止できる。
第6の発明は、第2乃至第5のいずれか1つの発明において、上記利用暖房運転の上記第2動作中に、上記蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積の開始を検知する蓄積検知部(S2)を備え、上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知すると、上記第2動作を終了させることを特徴とする。
第6の発明では、蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積の開始を検知すると、第2動作が終了する。つまり、第2動作では、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度よりも低くなるため、包接水和物が生成され、更にこの包接水和物が結晶化し蓄熱回路(61)に蓄積しやすい。しかし、蓄積検知部(S2)は、このことを検知すると、速やかに第2動作を終了させるため、蓄熱媒体がこれ以上冷却されることを回避でき、蓄熱回路(61)で水和物の結晶が閉塞してしまうことを未然に回避できる。
第7の発明は、第6の発明において、上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知すると、上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮すると同時に冷媒回路(11)の高圧冷媒が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して上記蓄熱媒体を加熱する暖房蓄熱運転を実行させることを特徴とする。
第7の発明では、蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積の開始を検知すると、第2動作が終了し、暖房蓄熱運転が実行される。暖房蓄熱運転では、室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮して暖房が行われると同時に、高圧冷媒が蓄熱用熱交換器(63)を流れて蓄熱媒体を加熱する。これにより、蓄熱回路(61)では、包接水和物の結晶が融解し、該結晶の蓄積を速やかに防止できる。
第8の発明は、第7の発明において、上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知し、且つ上記室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立すると、上記圧縮部(22)で圧縮された高圧ガス冷媒の全量を上記室内熱交換器(72)で凝縮させ、凝縮した冷媒の全量を上記蓄熱用熱交換器(63)に流す第1の上記暖房蓄熱運転を実行させることを特徴とする。
第8の発明では、包接水和物の蓄積の開始が検知され、且つ室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立すると、第1暖房蓄熱運転が実行される。つまり、この条件が成立する場合、室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度と、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体との温度差が比較的大きいとみなすことができる。そこで、この条件が成立すると、圧縮部(22)で圧縮された冷媒の全量が、室内熱交換器(72)、蓄熱用熱交換器(63)を直列に流通する。これにより、室内熱交換器(72)の暖房で余った冷媒の熱を蓄熱媒体に付与でき、消費電力の増加を比較的小さく抑えることができる。
第9の発明は、第7の発明において、上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知し、且つ上記室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立しないと、上記圧縮部(22)で圧縮された高圧冷媒が上記室内熱交換器(72)と上記蓄熱用熱交換器(63)とに並行に流れて凝縮する第2の上記暖房蓄熱運転を実行させることを特徴とする。
第9の発明では、包接水和物の蓄積の開始が検知され、且つ室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の温度が高いことを示す条件が成立しないと、第2暖房蓄熱運転が実行される。つまり、この条件が成立する場合、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の温度と、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体との温度差が比較的小さいとみなすことができる。そこで、この条件が成立すると、圧縮部(22)で圧縮された冷媒が、室内熱交換器(72)と蓄熱用熱交換器(63)とに並行に分流し、蓄熱用熱交換器(63)に高温の高圧冷媒が供給される。これにより、蓄熱用熱交換器(63)では、冷媒によって蓄熱媒体を確実に昇温させることができ、包接水和物が結晶化してしまうことを確実に防止できる。
第1の発明の利用暖房運転の第1動作によれば、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度以上の基準温度より高い状態でのみ、蓄熱媒体から冷媒へ熱が付与されるため、蓄熱媒体が水和物生成温度より低くなることを防止できる。この結果、包接水和物の結晶化に伴い蓄熱回路(61)の配管が閉塞したり、蓄熱用熱交換器(63)の伝熱効率が低下したりすることを防止できる。また、このような包接水和物の結晶化を未然に回避できれば、この結晶を融解させるための運転を行う必要もなくなる。従って、融解運転の運転頻度の低減、運転期間の短縮化を図ることができ、蓄熱式空気調和機の省エネ化を図ることができる。
第2の発明の利用暖房運転の第2動作によれば、蓄熱媒体の顕熱だけでなく潜熱も利用して冷媒を加熱できる。このため、暖房に利用可能な蓄熱量(温熱量)を実質的に増大でき、例えば蓄熱タンク(62)の小型化を図ることができる。
第3の発明によれば、外気温度が比較的高い条件下では、第1動作により、蓄熱媒体の顕熱のみを利用して冷媒を十分に加熱できる。この場合、蓄熱媒体が水和物生成温度よりも低くなってしまうこともさほどなく、第1動作を継続して行うことができる。一方、外気温度が比較的低く、暖房負荷が比較的大きい条件下では、第2動作により、蓄熱媒体の潜熱と顕熱との双方を利用して冷媒を十分に加熱できる。従って、蓄熱媒体に蓄えた温熱を室内の暖房に十分に活用でき、蓄熱式空気調和機の省エネ性の向上を図ることができる。
第4の発明によれば、第1動作において、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が基準温度より低くなると、単純暖房運転へ移行するため、暖房運転を継続しつつ、蓄熱回路(61)での包接水和物の発生を確実に防止できる。特に、第5の発明によれば、蓄熱回路(61)のうち比較的温度が低い蓄熱媒体の温度を基準として、単純暖房運転への移行を判定しているので、蓄熱回路(61)での包接水和物の発生を一層確実に防止できる。
第6の発明によれば、蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積が開始されることが検知されると、第2動作を終了し、蓄熱媒体の冷却が終了するため、蓄熱回路(61)が水和物の結晶により閉塞してしまうことを未然に回避できる。特に、第7の発明によれば、第2動作が終了した後、暖房蓄熱運転が実行される。これにより、高圧冷媒が蓄熱用熱交換器(63)を流れて蓄熱媒体が加熱されるため、包接水和物の結晶を速やかに融解でき、蓄熱回路(61)の閉塞を一層確実に回避できる。また、暖房運転を継続して行うことができ、室内の快適性を維持できる。
第8の発明によれば、第2動作において、包接水和物の結晶の開始が検出され、且つ室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立すると、室内熱交換器(72)の暖房で余った冷媒の熱を蓄熱媒体に付与する第1暖房蓄熱運転が行われる。これにより、暖房運転を継続しながら余剰の冷媒の熱を蓄熱媒体に回収でき、且つ蓄熱回路(61)で包接水和物が結晶化してしまうのを未然に回避できる。
第9の発明によれば、第2動作において、包接水和物の結晶の開始が検出され、且つ室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立しないと、室内熱交換器(72)と蓄熱用熱交換器(63)との双方へ高圧冷媒を並列に流す第2暖房蓄熱運転が行われる。これにより、蓄熱回路(61)で包接水和物が結晶化してしまうのを確実に回避できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る蓄熱式空気調和機(10)は、室内の冷房と暖房とを切り換えて行う。蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒の冷熱を蓄熱媒体に蓄え、この冷熱を冷房に利用する。蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒の温熱を蓄熱媒体に蓄え、この温熱を暖房に利用する。
本発明の実施形態1に係る蓄熱式空気調和機(10)は、室内の冷房と暖房とを切り換えて行う。蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒の冷熱を蓄熱媒体に蓄え、この冷熱を冷房に利用する。蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒の温熱を蓄熱媒体に蓄え、この温熱を暖房に利用する。
〈全体構成〉
図1に示すように、蓄熱式空気調和機(10)は、室外ユニット(20)と、蓄熱ユニット(40)と、複数の室内ユニット(70)とを備えている。室外ユニット(20)及び蓄熱ユニット(40)は、室外に設置される。複数の室内ユニット(70)は、室内に設置される。なお、図1では便宜上、1台の室内ユニット(70)のみを図示している。
図1に示すように、蓄熱式空気調和機(10)は、室外ユニット(20)と、蓄熱ユニット(40)と、複数の室内ユニット(70)とを備えている。室外ユニット(20)及び蓄熱ユニット(40)は、室外に設置される。複数の室内ユニット(70)は、室内に設置される。なお、図1では便宜上、1台の室内ユニット(70)のみを図示している。
室外ユニット(20)には室外回路(21)が、蓄熱ユニット(40)には中間回路(41)が、室内ユニット(70)には室内回路(71)がそれぞれ設けられる。蓄熱式空気調和機(10)では、室外回路(21)と中間回路(41)とが3本の連絡配管(12,13,14)を介して互いに接続され、中間回路(41)と複数の室内回路(71)とが2本の連絡配管(15,16)を介して互いに接続される。これにより、蓄熱式空気調和機(10)では、充填された冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる冷媒回路(11)が構成される。蓄熱式空気調和機(10)は、後述する各機器を制御するコントローラ(100)(運転制御部)を有している。
〈室外ユニット〉
室外ユニット(20)には、冷媒回路(11)の一部を成す室外回路(21)が設けられる。室外回路(21)には、圧縮機(22)、室外熱交換器(23)、室外膨張弁(24)、及び四方切換弁(25)が接続される。室外回路(21)には、第1過冷却回路(30)と、中間吸入管(35)とが接続されている。
室外ユニット(20)には、冷媒回路(11)の一部を成す室外回路(21)が設けられる。室外回路(21)には、圧縮機(22)、室外熱交換器(23)、室外膨張弁(24)、及び四方切換弁(25)が接続される。室外回路(21)には、第1過冷却回路(30)と、中間吸入管(35)とが接続されている。
〔圧縮機〕
実施形態の圧縮機(22)は、単段式の1台の圧縮機であり、冷媒を圧縮して吐出する圧縮部を構成している。圧縮機(22)では、ケーシング(22a)の内部にモータ及び圧縮機構(図示省略)が収容されている。実施形態1の圧縮機構は、スクロール式の圧縮機構で構成されている。しかし、圧縮機構は、揺動ピストン式、ローリングピストン式、スクリュー式、ターボ式等の種々の方式を採用できる。圧縮機構では、渦巻き状の固定スクロールと可動スクロールの間に圧縮室が形成され、この圧縮室の容積が徐々に小さくなることで冷媒が圧縮される。圧縮機(22)のモータは、インバータ部によって運転周波数が可変に構成されている。つまり、圧縮機(22)は、回転数(容量)が可変なインバータ式の圧縮機である。
実施形態の圧縮機(22)は、単段式の1台の圧縮機であり、冷媒を圧縮して吐出する圧縮部を構成している。圧縮機(22)では、ケーシング(22a)の内部にモータ及び圧縮機構(図示省略)が収容されている。実施形態1の圧縮機構は、スクロール式の圧縮機構で構成されている。しかし、圧縮機構は、揺動ピストン式、ローリングピストン式、スクリュー式、ターボ式等の種々の方式を採用できる。圧縮機構では、渦巻き状の固定スクロールと可動スクロールの間に圧縮室が形成され、この圧縮室の容積が徐々に小さくなることで冷媒が圧縮される。圧縮機(22)のモータは、インバータ部によって運転周波数が可変に構成されている。つまり、圧縮機(22)は、回転数(容量)が可変なインバータ式の圧縮機である。
〔室外熱交換器〕
室外熱交換器(23)は、例えばクロスフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成されている。室外熱交換器(23)の近傍には、室外ファン(26)が設けられている。室外熱交換器(23)では、室外ファン(26)が搬送する空気と、室外熱交換器(23)を流れる冷媒とが熱交換する。室外熱交換器(23)の近傍には、室外空気の温度を検出する外気温度センサ(S1)が設けられる。なお、外気温度センサ(S1)は、便宜上、図1のみに図示し、他の図の図示は省略している。
室外熱交換器(23)は、例えばクロスフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成されている。室外熱交換器(23)の近傍には、室外ファン(26)が設けられている。室外熱交換器(23)では、室外ファン(26)が搬送する空気と、室外熱交換器(23)を流れる冷媒とが熱交換する。室外熱交換器(23)の近傍には、室外空気の温度を検出する外気温度センサ(S1)が設けられる。なお、外気温度センサ(S1)は、便宜上、図1のみに図示し、他の図の図示は省略している。
〔室外膨張弁〕
室外膨張弁(24)は、室外熱交換器(23)の液側端部と連絡配管(12)の接続端の間に配置されている。室外膨張弁(24)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の流量を調節する。
室外膨張弁(24)は、室外熱交換器(23)の液側端部と連絡配管(12)の接続端の間に配置されている。室外膨張弁(24)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の流量を調節する。
〔四方切換弁〕
四方切換弁(25)は、第1から第4までのポートを有している。四方切換弁(25)の第1ポートは、圧縮機(22)の吐出管(27)に接続され、四方切換弁(25)の第2ポートは、圧縮機(22)の吸入管(28)(低圧吸入部)に接続されている。四方切換弁(25)の第3ポートは、室外熱交換器(23)のガス側端部に繋がり、四方切換弁(25)の第4ポートは、連絡配管(14)の接続端に繋がっている。
四方切換弁(25)は、第1から第4までのポートを有している。四方切換弁(25)の第1ポートは、圧縮機(22)の吐出管(27)に接続され、四方切換弁(25)の第2ポートは、圧縮機(22)の吸入管(28)(低圧吸入部)に接続されている。四方切換弁(25)の第3ポートは、室外熱交換器(23)のガス側端部に繋がり、四方切換弁(25)の第4ポートは、連絡配管(14)の接続端に繋がっている。
四方切換弁(25)は、第1ポートと第3ポートが連通し且つ第2ポートと第4ポートが連通する状態(図1の実線で示す第1の状態)と、第1ポートと第4ポートが連通し且つ第2ポートと第3ポートが連通する状態(図1の破線で示す第2の状態)とに切換可能に構成されている。
〔第1過冷却回路〕
第1過冷却回路(30)は、第1導入管(31)と第1過冷却熱交換器(32)とを有している。第1導入管(31)の一端は、室外膨張弁(24)と連絡配管(12)の接続端との間に接続される。第1導入管(31)の他端は、圧縮機(22)の吸入管(28)に接続される。つまり、第1導入管(31)は、液ライン(L1)と圧縮機(22)の低圧側の吸入管(28)とを繋ぐ低圧導入管を構成している。ここで、液ライン(L1)は、室外熱交換器(23)の液側端部と室内熱交換器(72)の液側端部に亘るまでの流路である。第1導入管(31)には、その一端から他端に向かって順に、第1減圧弁(EV1)、第1伝熱流路(33)が接続されている。第1減圧弁(EV1)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで第2伝熱流路(34)の出口の冷媒の過冷却度を調節する。第1過冷却熱交換器(32)は、第2伝熱流路(34)を流れる冷媒と、第1伝熱流路(33)を流れる冷媒とを熱交換させる第1熱交換器を構成する。第2伝熱流路(34)は、冷媒回路(11)の液ライン(L1)のうち、室外膨張弁(24)と連絡配管(12)の接続端との間に設けられる。
第1過冷却回路(30)は、第1導入管(31)と第1過冷却熱交換器(32)とを有している。第1導入管(31)の一端は、室外膨張弁(24)と連絡配管(12)の接続端との間に接続される。第1導入管(31)の他端は、圧縮機(22)の吸入管(28)に接続される。つまり、第1導入管(31)は、液ライン(L1)と圧縮機(22)の低圧側の吸入管(28)とを繋ぐ低圧導入管を構成している。ここで、液ライン(L1)は、室外熱交換器(23)の液側端部と室内熱交換器(72)の液側端部に亘るまでの流路である。第1導入管(31)には、その一端から他端に向かって順に、第1減圧弁(EV1)、第1伝熱流路(33)が接続されている。第1減圧弁(EV1)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで第2伝熱流路(34)の出口の冷媒の過冷却度を調節する。第1過冷却熱交換器(32)は、第2伝熱流路(34)を流れる冷媒と、第1伝熱流路(33)を流れる冷媒とを熱交換させる第1熱交換器を構成する。第2伝熱流路(34)は、冷媒回路(11)の液ライン(L1)のうち、室外膨張弁(24)と連絡配管(12)の接続端との間に設けられる。
〔中間吸入管〕
中間吸入管(35)は、中間圧の冷媒を圧縮機(22)の圧縮室の圧縮途中に導入する中間吸入部を構成している。中間吸入管(35)の始端は、連絡配管(13)の接続端に接続され、中間吸入管(35)の終端は、圧縮機(22)の圧縮機構の圧縮室に接続されている。中間吸入管(35)は、圧縮機(22)のケーシング(22a)の内部に位置する内側配管部(36)を有している。中間吸入管(35)の内圧は、基本的に、冷媒回路(11)の高圧と低圧の間の中間圧力に相当する。中間吸入管(35)には、上流側から下流側に向かって順に、第1電磁弁(SV1)、逆止弁(CV1)が接続される。第1電磁弁(SV1)は、流路を開閉する開閉弁である。逆止弁(CV1)は、主蓄熱用流路(44)(詳細は後述する)から圧縮機(22)へ向かう方向(図1の矢印方向)の冷媒の流れを許容し、圧縮機(22)から主蓄熱用流路(44)へ向かう方向の冷媒の流れを禁止する。
中間吸入管(35)は、中間圧の冷媒を圧縮機(22)の圧縮室の圧縮途中に導入する中間吸入部を構成している。中間吸入管(35)の始端は、連絡配管(13)の接続端に接続され、中間吸入管(35)の終端は、圧縮機(22)の圧縮機構の圧縮室に接続されている。中間吸入管(35)は、圧縮機(22)のケーシング(22a)の内部に位置する内側配管部(36)を有している。中間吸入管(35)の内圧は、基本的に、冷媒回路(11)の高圧と低圧の間の中間圧力に相当する。中間吸入管(35)には、上流側から下流側に向かって順に、第1電磁弁(SV1)、逆止弁(CV1)が接続される。第1電磁弁(SV1)は、流路を開閉する開閉弁である。逆止弁(CV1)は、主蓄熱用流路(44)(詳細は後述する)から圧縮機(22)へ向かう方向(図1の矢印方向)の冷媒の流れを許容し、圧縮機(22)から主蓄熱用流路(44)へ向かう方向の冷媒の流れを禁止する。
〈蓄熱ユニット〉
蓄熱ユニット(40)は、室外ユニット(20)と室内ユニット(70)に介在する中継ユニットを構成している。蓄熱ユニット(40)には、冷媒回路(11)の一部を成す中間回路(41)が設けられる。中間回路(41)には、主液管(42)、主ガス管(43)、及び主蓄熱用流路(44)が接続されている。中間回路(41)には、第2過冷却回路(50)が接続されている。蓄熱ユニット(40)には、蓄熱装置(60)が設けられる。
蓄熱ユニット(40)は、室外ユニット(20)と室内ユニット(70)に介在する中継ユニットを構成している。蓄熱ユニット(40)には、冷媒回路(11)の一部を成す中間回路(41)が設けられる。中間回路(41)には、主液管(42)、主ガス管(43)、及び主蓄熱用流路(44)が接続されている。中間回路(41)には、第2過冷却回路(50)が接続されている。蓄熱ユニット(40)には、蓄熱装置(60)が設けられる。
〔主液管〕
主液管(42)は、液ライン(L1)の一部を構成している。主液管(42)は、連絡配管(12)の接続端と連絡配管(15)の接続端とを接続している。主液管(42)には、第2電磁弁(SV2)が接続される。第2電磁弁(SV2)は、流路を開閉する開閉弁である。
主液管(42)は、液ライン(L1)の一部を構成している。主液管(42)は、連絡配管(12)の接続端と連絡配管(15)の接続端とを接続している。主液管(42)には、第2電磁弁(SV2)が接続される。第2電磁弁(SV2)は、流路を開閉する開閉弁である。
〔主ガス管〕
主ガス管(43)は、ガスライン(L2)の一部を構成している。ここで、ガスライン(L2)は、四方切換弁(25)の第4ポートから室内熱交換器(72)のガス側端部に亘るまでの流路である。主ガス管(43)は、連絡配管(14)の接続端と連絡配管(16)の接続端とを連結している。
主ガス管(43)は、ガスライン(L2)の一部を構成している。ここで、ガスライン(L2)は、四方切換弁(25)の第4ポートから室内熱交換器(72)のガス側端部に亘るまでの流路である。主ガス管(43)は、連絡配管(14)の接続端と連絡配管(16)の接続端とを連結している。
〔主蓄熱用流路〕
主蓄熱用流路(44)は、主液管(42)と主ガス管(43)との間に接続されている。主蓄熱用流路(44)の一端は、連絡配管(12)の接続端と第2電磁弁(SV2)の間に接続されている。主蓄熱用流路(44)には、主液管(42)側から主ガス管(43)側に向かって順に、第3電磁弁(SV3)、予熱側冷媒流路(64b)、蓄熱用膨張弁(45)、蓄熱側冷媒流路(63b)、第4電磁弁(SV4)が接続されている。第3電磁弁(SV3)及び第4電磁弁(SV4)は、流路を開閉する開閉弁である。蓄熱用膨張弁(45)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の圧力を調節する。
主蓄熱用流路(44)は、主液管(42)と主ガス管(43)との間に接続されている。主蓄熱用流路(44)の一端は、連絡配管(12)の接続端と第2電磁弁(SV2)の間に接続されている。主蓄熱用流路(44)には、主液管(42)側から主ガス管(43)側に向かって順に、第3電磁弁(SV3)、予熱側冷媒流路(64b)、蓄熱用膨張弁(45)、蓄熱側冷媒流路(63b)、第4電磁弁(SV4)が接続されている。第3電磁弁(SV3)及び第4電磁弁(SV4)は、流路を開閉する開閉弁である。蓄熱用膨張弁(45)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の圧力を調節する。
主蓄熱用流路(44)には、蓄熱用膨張弁(45)をバイパスする第1バイパス管(44a)が接続されている。第1バイパス管(44a)には、蓄熱用膨張弁(45)と並列に第5電磁弁(SV5)が接続されている。第5電磁弁(SV5)は、流路を開閉する開閉弁である。また、主蓄熱用流路(44)には、蓄熱用膨張弁(45)と並列に圧力逃がし弁(RV)が接続されている。
〔第2過冷却回路〕
第2過冷却回路(50)は、第2導入管(51)と第2過冷却熱交換器(52)とを有している。第2導入管(51)の一端は、第2電磁弁(SV2)と連絡配管(15)の接続端との間に接続される。第2導入管(51)の他端は、主ガス管(43)に接続される。主ガス管(43)において、第2導入管(51)の接続部は、主蓄熱用流路(44)の接続部と連絡配管(16)の接続端の間に位置している。第2導入管(51)には、その一端から他端に向かって順に、第2減圧弁(EV2)、第3伝熱流路(53)が接続されている。第2減圧弁(EV2)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで第4伝熱流路(54)の出口の冷媒の過冷却度を調節する。第2過冷却熱交換器(52)は、第4伝熱流路(54)を流れる冷媒と、第3伝熱流路(53)を流れる冷媒とを熱交換させる。第4伝熱流路(54)は、主液管(42)のうち第2電磁弁(SV2)と連絡配管(15)の接続端の間に設けられる。第2過冷却回路(50)は、詳細は後述する利用冷房運転や利用蓄冷運転において、連絡配管(15)を流れる冷媒が気化してフラッシュするのを防止するための過冷却器を構成する。
第2過冷却回路(50)は、第2導入管(51)と第2過冷却熱交換器(52)とを有している。第2導入管(51)の一端は、第2電磁弁(SV2)と連絡配管(15)の接続端との間に接続される。第2導入管(51)の他端は、主ガス管(43)に接続される。主ガス管(43)において、第2導入管(51)の接続部は、主蓄熱用流路(44)の接続部と連絡配管(16)の接続端の間に位置している。第2導入管(51)には、その一端から他端に向かって順に、第2減圧弁(EV2)、第3伝熱流路(53)が接続されている。第2減圧弁(EV2)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで第4伝熱流路(54)の出口の冷媒の過冷却度を調節する。第2過冷却熱交換器(52)は、第4伝熱流路(54)を流れる冷媒と、第3伝熱流路(53)を流れる冷媒とを熱交換させる。第4伝熱流路(54)は、主液管(42)のうち第2電磁弁(SV2)と連絡配管(15)の接続端の間に設けられる。第2過冷却回路(50)は、詳細は後述する利用冷房運転や利用蓄冷運転において、連絡配管(15)を流れる冷媒が気化してフラッシュするのを防止するための過冷却器を構成する。
〔その他の配管〕
中間回路(41)には、中間中継管(46)と、第1分岐管(47)と、第2分岐管(48)と、第3分岐管(49)とが接続される。中間中継管(46)の一端は、主蓄熱用流路(44)における第3電磁弁(SV3)と予熱側冷媒流路(64b)との間に接続される。中間中継管(46)の他端は、連絡配管(13)を介して中間吸入管(35)と接続している。第1分岐管(47)の一端は、主蓄熱用流路(44)における蓄熱側冷媒流路(63b)と第4電磁弁(SV4)との間に接続される。
中間回路(41)には、中間中継管(46)と、第1分岐管(47)と、第2分岐管(48)と、第3分岐管(49)とが接続される。中間中継管(46)の一端は、主蓄熱用流路(44)における第3電磁弁(SV3)と予熱側冷媒流路(64b)との間に接続される。中間中継管(46)の他端は、連絡配管(13)を介して中間吸入管(35)と接続している。第1分岐管(47)の一端は、主蓄熱用流路(44)における蓄熱側冷媒流路(63b)と第4電磁弁(SV4)との間に接続される。
第1分岐管(47)の他端は、主ガス管(43)における主蓄熱用流路(44)の接続部と第2導入管(51)の接続部との間に接続される。第1分岐管(47)には、第3減圧弁(EV3)が接続される。第3減圧弁(EV3)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の圧力を調節する。第3減圧弁(EV3)は、室内熱交換器(72)が蒸発器となる運転時において、連絡配管(16)の圧力損失や室内ユニット(70)と室外ユニット(20)の設置条件によるヘッド差に起因して、室内熱交換器(72)の蒸発圧力とガス管(41)の圧力差により、蓄熱用熱交換器(63)の圧力が過剰に低くならないように、その開度が調節される。
第2分岐管(48)と第3分岐管(49)とは、主液管(42)と主蓄熱用流路(44)との間に並列に接続されている。第2分岐管(48)及び第3分岐管(49)の一端は、主蓄熱用流路(44)における蓄熱側冷媒流路(63b)と第4電磁弁(SV4)との間に接続される。第2分岐管(48)及び第3分岐管(49)の他端は、主液管(42)における第2電磁弁(SV2)と第2導入管(51)の接続部との間に接続される。第2分岐管(48)には、第4減圧弁(EV4)が接続される。第4減圧弁(EV4)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の圧力を調節する。第3分岐管(49)には、第6電磁弁(SV6)が接続されている。第6電磁弁(SV6)は、流路を開閉する開閉弁である。
[蓄熱装置]
蓄熱装置(60)は、冷媒回路(11)の冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させる蓄熱部を構成している。蓄熱装置(60)は、蓄熱回路(61)と、該蓄熱回路(61)に接続される蓄熱タンク(62)とを有している。蓄熱装置(60)は、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)を有している。
蓄熱装置(60)は、冷媒回路(11)の冷媒と蓄熱媒体とを熱交換させる蓄熱部を構成している。蓄熱装置(60)は、蓄熱回路(61)と、該蓄熱回路(61)に接続される蓄熱タンク(62)とを有している。蓄熱装置(60)は、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)を有している。
蓄熱回路(61)は、充填された蓄熱媒体が循環する閉回路である。蓄熱タンク(62)は、中空筒状の容器である。蓄熱タンク(62)は開放容器であってもよい。蓄熱タンク(62)には、蓄熱媒体が貯留される。蓄熱タンク(62)の上部には、蓄熱タンク(62)内の蓄熱媒体を流出させる流出管(65)(流出部)が接続される。蓄熱タンク(62)の下部には、蓄熱タンク(62)の外部の蓄熱媒体を蓄熱タンク(62)内に流入させる流入管(66)(流入部)が接続される。つまり、蓄熱タンク(62)では、流出管(65)の接続部がW流入管(66)の接続部よりも高い位置にある。蓄熱回路(61)には、流出管(65)から流入管(66)に向かって順に、予熱側蓄熱流路(64a)、ポンプ(67)、蓄熱側蓄熱流路(63a)が接続されている。
予熱用熱交換器(64)は、予熱側蓄熱流路(64a)を流れる蓄熱媒体と、予熱側冷媒流路(64b)を流れる冷媒とを熱交換させる。蓄熱用熱交換器(63)は、蓄熱側蓄熱流路(63a)を流れる蓄熱媒体と、蓄熱側冷媒流路(63b)を流れる冷媒とを熱交換させる。ポンプ(67)は、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体を循環させる。
蓄熱回路(61)では、蓄熱用熱交換器(63)と蓄熱タンク(62)の間の流路に蓄熱媒体温度センサ(S2)(蓄熱媒体温度検出部)が設けられる。具体的に、蓄熱媒体温度センサ(S2)は流入管(66)内の蓄熱媒体の温度を検出する位置に設けられる。蓄熱媒体温度センサ(S2)は、蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積の開始を検知する蓄積検知部を兼ねている。蓄熱媒体温度センサ(S2)の位置は、これに限らず蓄熱回路(61)の他の位置に設けてもよい。なお、蓄熱媒体温度センサ(S2)は、便宜上、図1のみに図示し、他の図の図示は省略している。
[蓄熱媒体]
蓄熱回路(61)に充填される蓄熱媒体について詳細に説明する。蓄熱媒体には、冷却によって包接水和物が生成される蓄熱材、即ち流動性を有する蓄熱材が採用される。蓄熱媒体の具体例としては、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetra Butyl Ammonium Bromide)水溶液、トリメチロールエタン(TME:Trimethylolethane)水溶液、パラフィン系スラリーなどが挙げられる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、安定的に冷却されて当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも低くなった過冷却状態でもその水溶液の状態を維持するが、この過冷却状態にて何らかのきっかけが与えられると、過冷却の溶液が包接水和物を含んだ溶液(即ちスラリー)へと遷移する。即ち、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、過冷却状態を解消して、臭化テトラnブチルアンモニウムと水分子とからなる包接水和物(水和物結晶)が生成されて粘性の比較的高いスラリー状となる。ここで、過冷却状態とは、蓄熱媒体が水和物生成温度以下の温度となっても包接水和物が生成されずに溶液の状態を保っている状態を言う。逆に、スラリー状となっている臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、加熱により当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも高くなると、包接水和物が融解して流動性の比較的高い液状態(溶液)となる。
蓄熱回路(61)に充填される蓄熱媒体について詳細に説明する。蓄熱媒体には、冷却によって包接水和物が生成される蓄熱材、即ち流動性を有する蓄熱材が採用される。蓄熱媒体の具体例としては、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetra Butyl Ammonium Bromide)水溶液、トリメチロールエタン(TME:Trimethylolethane)水溶液、パラフィン系スラリーなどが挙げられる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、安定的に冷却されて当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも低くなった過冷却状態でもその水溶液の状態を維持するが、この過冷却状態にて何らかのきっかけが与えられると、過冷却の溶液が包接水和物を含んだ溶液(即ちスラリー)へと遷移する。即ち、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、過冷却状態を解消して、臭化テトラnブチルアンモニウムと水分子とからなる包接水和物(水和物結晶)が生成されて粘性の比較的高いスラリー状となる。ここで、過冷却状態とは、蓄熱媒体が水和物生成温度以下の温度となっても包接水和物が生成されずに溶液の状態を保っている状態を言う。逆に、スラリー状となっている臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、加熱により当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも高くなると、包接水和物が融解して流動性の比較的高い液状態(溶液)となる。
本実施形態では、上記蓄熱媒体として、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液を採用している。特に、上記蓄熱媒体は、調和濃度の近傍の濃度を有する媒体であることが好ましい。本実施形態では、調和濃度を約40%とする。この場合の臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の水和物生成温度は、約12℃である。
〈室内ユニット〉
複数の室内ユニット(70)には、冷媒回路(11)の一部を成す室内回路(71)がそれぞれ設けられる。複数の室内回路(71)は、連絡配管(15)(液管)と連絡配管(16)(ガス管)との間に並列に接続されている。複数の室内回路(71)と上述した主蓄熱用流路(44)とは、液ライン(L1)とガスライン(L2)の間に並列に接続されている。各室内回路(71)には、ガス側端部から液側端部に向かって順に、室内熱交換器(72)と室内膨張弁(73)とがそれぞれ接続されている。
複数の室内ユニット(70)には、冷媒回路(11)の一部を成す室内回路(71)がそれぞれ設けられる。複数の室内回路(71)は、連絡配管(15)(液管)と連絡配管(16)(ガス管)との間に並列に接続されている。複数の室内回路(71)と上述した主蓄熱用流路(44)とは、液ライン(L1)とガスライン(L2)の間に並列に接続されている。各室内回路(71)には、ガス側端部から液側端部に向かって順に、室内熱交換器(72)と室内膨張弁(73)とがそれぞれ接続されている。
〔室内熱交換器〕
室内熱交換器(72)は、例えばクロスフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成されている。室内熱交換器(72)の近傍には、室内ファン(74)が設けられている。室内熱交換器(72)では、室内ファン(74)が搬送する空気と、室外熱交換器(23)を流れる冷媒とが熱交換する。
室内熱交換器(72)は、例えばクロスフィン・アンド・チューブ式の熱交換器で構成されている。室内熱交換器(72)の近傍には、室内ファン(74)が設けられている。室内熱交換器(72)では、室内ファン(74)が搬送する空気と、室外熱交換器(23)を流れる冷媒とが熱交換する。
室内回路(71)には、室内熱交換器(72)の液側端部に冷媒温度センサ(S3)が設けられる。冷媒温度センサ(S3)は、詳細は後述する単純暖房運転において、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の温度が高いことを示す条件、ないし該冷媒の温度が低いことを示す条件が成立するか否かの判定に用いられる。この判定に用いるセンサとして、室内熱交換器(72)で冷媒と熱交換した吹出空気の温度を検出する空気温度検出センサを用いてもよい。なお、冷媒温度センサ(S3)は、便宜上、図1のみに図示し、他の図の図示は省略している。
〔室内膨張弁〕
室内膨張弁(73)は、室内熱交換器(72)の液側端部と連絡配管(15)の接続端の間に配置されている。室内膨張弁(73)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の流量を調節する。
室内膨張弁(73)は、室内熱交換器(72)の液側端部と連絡配管(15)の接続端の間に配置されている。室内膨張弁(73)は、例えば電子膨張弁で構成され、その開度を変更することで冷媒の流量を調節する。
〈コントローラ〉
コントローラ(100)は、各機器を制御する運転制御部を構成している。具体的に、コントローラ(100)は、圧縮機(22)のON/OFFの切換、四方切換弁(25)の状態の切換、各電磁弁(SV1-6)の開閉の切換、各膨張弁(24,45,73)や減圧弁(EV1-4)の開度の調節、各ファン(26,74)のON/OFFの切換、ポンプ(67)のON/OFFの切換等を行う。また、蓄熱式空気調和機(10)には、図示を省略した各種のセンサが設けられている。コントローラ(100)は、これらの検出値に基づいて、上述した各機器を制御する。
コントローラ(100)は、各機器を制御する運転制御部を構成している。具体的に、コントローラ(100)は、圧縮機(22)のON/OFFの切換、四方切換弁(25)の状態の切換、各電磁弁(SV1-6)の開閉の切換、各膨張弁(24,45,73)や減圧弁(EV1-4)の開度の調節、各ファン(26,74)のON/OFFの切換、ポンプ(67)のON/OFFの切換等を行う。また、蓄熱式空気調和機(10)には、図示を省略した各種のセンサが設けられている。コントローラ(100)は、これらの検出値に基づいて、上述した各機器を制御する。
〈蓄熱式空気調和機の運転動作〉
実施形態1に係る蓄熱式空気調和機(10)の運転動作について説明する。蓄熱式空気調和機(10)は、単純冷房運転、蓄冷運転、利用冷房運転、冷房蓄冷運転、単純暖房運転、蓄熱運転、暖房蓄熱運転、及び利用暖房運転を切り換えて行う。コントローラ(100)は、これらの各運転を切り換えるように、各機器を制御する。
実施形態1に係る蓄熱式空気調和機(10)の運転動作について説明する。蓄熱式空気調和機(10)は、単純冷房運転、蓄冷運転、利用冷房運転、冷房蓄冷運転、単純暖房運転、蓄熱運転、暖房蓄熱運転、及び利用暖房運転を切り換えて行う。コントローラ(100)は、これらの各運転を切り換えるように、各機器を制御する。
〔単純冷房運転〕
単純冷房運転では、蓄熱装置(60)が停止し、室内ユニット(70)で室内の冷房が行われる。図2に示す単純冷房運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第4電磁弁(SV4)、及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りは閉状態になる。第2減圧弁(EV2)及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第1減圧弁(EV1)及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が停止状態となり作動しない。単純冷房運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、第1過冷却熱交換器(32)が過冷却器となり、室内熱交換器(72)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。単純冷房運転では、低圧側のガスライン(L2)と主蓄熱用流路(44)とが連通する。これにより、主蓄熱用流路(44)の内部での液溜まりを回避できる。
単純冷房運転では、蓄熱装置(60)が停止し、室内ユニット(70)で室内の冷房が行われる。図2に示す単純冷房運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第4電磁弁(SV4)、及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りは閉状態になる。第2減圧弁(EV2)及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第1減圧弁(EV1)及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が停止状態となり作動しない。単純冷房運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、第1過冷却熱交換器(32)が過冷却器となり、室内熱交換器(72)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。単純冷房運転では、低圧側のガスライン(L2)と主蓄熱用流路(44)とが連通する。これにより、主蓄熱用流路(44)の内部での液溜まりを回避できる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(23)で凝縮する。凝縮した冷媒の多くは、第2伝熱流路(34)を流れ、残りは第1減圧弁(EV1)で減圧された後、第1伝熱流路(33)を流れる。第1過冷却熱交換器(32)では、第2伝熱流路(34)の冷媒が第1伝熱流路(33)の冷媒によって冷却される。液ライン(L1)に流入した冷媒は、室内膨張弁(73)で減圧された後、室内熱交換器(72)で蒸発する。ガスライン(L2)を流れる冷媒は、第1導入管(31)を流入した冷媒と合流し、圧縮機(22)に吸入される。
〔蓄冷運転〕
蓄冷運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)の蓄熱媒体に冷熱が蓄えられる。図3に示す蓄冷運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、及び第4電磁弁(SV4)が開状態になり、残りは閉状態になる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、蓄熱用膨張弁(45)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)は作動し、室内ファン(74)は停止する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄冷運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)が放熱器(冷媒冷却器)となり、蓄熱用熱交換器(63)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。蓄冷運転では、高圧の液ライン(L1)から室内ユニット(70)までに亘る流路に余剰の冷媒を保持することができる。
蓄冷運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)の蓄熱媒体に冷熱が蓄えられる。図3に示す蓄冷運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、及び第4電磁弁(SV4)が開状態になり、残りは閉状態になる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、蓄熱用膨張弁(45)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)は作動し、室内ファン(74)は停止する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄冷運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)が放熱器(冷媒冷却器)となり、蓄熱用熱交換器(63)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。蓄冷運転では、高圧の液ライン(L1)から室内ユニット(70)までに亘る流路に余剰の冷媒を保持することができる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(23)で凝縮する。凝縮した冷媒は、主蓄熱用流路(44)の予熱側冷媒流路(64b)を流れる。予熱用熱交換器(64)では、蓄熱媒体が冷媒によって加熱される。これにより、蓄熱タンク(62)から流出した包接水和物の核(微小な結晶)が融解する。予熱側冷媒流路(64b)で冷却された冷媒は、予熱用熱交換器(64)で減圧された後、蓄熱側冷媒流路(63b)を流れる。蓄熱用熱交換器(63)では、蓄熱媒体が冷媒によって冷却され、蒸発する。主蓄熱用流路(44)からガスライン(L2)に流入した冷媒は、圧縮機(22)に吸入される。蓄熱タンク(62)には、蓄熱用熱交換器(63)で冷却された蓄熱媒体が貯留される。
〔利用冷房運転〕
利用冷房運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に蓄えられた蓄熱媒体の冷熱が、室内の冷房に利用される。図4に示す利用冷房運転では、四方切換弁(25)が第1状態に第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第5電磁弁(SV5)、及び第6電磁弁(SV6)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第2減圧弁(EV2)及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。利用冷房運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)、蓄熱用熱交換器(63)、及び第2過冷却熱交換器(52)が放熱器(冷媒冷却器)となり、室内熱交換器(72)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
利用冷房運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に蓄えられた蓄熱媒体の冷熱が、室内の冷房に利用される。図4に示す利用冷房運転では、四方切換弁(25)が第1状態に第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第5電磁弁(SV5)、及び第6電磁弁(SV6)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第2減圧弁(EV2)及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。利用冷房運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)、蓄熱用熱交換器(63)、及び第2過冷却熱交換器(52)が放熱器(冷媒冷却器)となり、室内熱交換器(72)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(23)で凝縮する。凝縮した冷媒は、主蓄熱用流路(44)の予熱用熱交換器(64)で冷却され、第1バイパス管(44a)を通過した後、蓄熱用熱交換器(63)で更に冷却される。主蓄熱用流路(44)、第3分岐管(49)を流れて液ライン(L1)に流入した冷媒の多くは、第4伝熱流路(54)を流れ、残りは第2減圧弁(EV2)で減圧された後、第3伝熱流路(53)を流れる。第2過冷却熱交換器(52)では、第4伝熱流路(54)を流れる冷媒が第3伝熱流路(53)の冷媒によって冷却される。第2過冷却熱交換器(52)で冷却された冷媒は、室内膨張弁(73)で減圧された後、室内熱交換器(72)で蒸発する。ガスライン(L2)を流れる冷媒は、第2導入管(51)を流出した冷媒と合流し、圧縮機(22)に吸入される。
〔冷房蓄冷運転〕
冷房蓄冷運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱媒体に冷熱が蓄えられるとともに、室内ユニット(70)で室内の冷房が行われる。図5に示す冷房蓄冷運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、及び第4電磁弁(SV4)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第2減圧弁(EV2)、蓄熱用膨張弁(45)、及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。冷房蓄冷運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)及び第2過冷却熱交換器(52)が放熱器(冷媒冷却器)となり、蓄熱用熱交換器(63)及び室内熱交換器(72)が蒸発器となる。
冷房蓄冷運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱媒体に冷熱が蓄えられるとともに、室内ユニット(70)で室内の冷房が行われる。図5に示す冷房蓄冷運転では、四方切換弁(25)が第1状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、及び第4電磁弁(SV4)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室外膨張弁(24)が全開状態に、第2減圧弁(EV2)、蓄熱用膨張弁(45)、及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。冷房蓄冷運転の冷媒回路(11)では、室外熱交換器(23)が凝縮器となり、予熱用熱交換器(64)及び第2過冷却熱交換器(52)が放熱器(冷媒冷却器)となり、蓄熱用熱交換器(63)及び室内熱交換器(72)が蒸発器となる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(23)で凝縮する。凝縮した冷媒は、第2伝熱流路(34)を流れ、主蓄熱用流路(44)と主液管(42)とに分流する。主蓄熱用流路(44)の冷媒は、予熱用熱交換器(64)の蓄熱媒体によって冷却され、蓄熱用膨張弁(45)で減圧される。主液管(42)の冷媒の多くは、第4伝熱流路(54)を流れ、残りは第2減圧弁(EV2)で減圧された後、第3伝熱流路(53)を流れる。第2過冷却熱交換器(52)では、第4伝熱流路(54)を流れる冷媒が第3伝熱流路(53)の冷媒によって冷却される。第2過冷却熱交換器(52)で冷却された冷媒は、室内膨張弁(73)で減圧された後、室内熱交換器(72)で蒸発する。ガスライン(L2)を流れる冷媒は、第2導入管(51)を流出した冷媒と合流し、圧縮機(22)に吸入される。
〔単純暖房運転〕
単純暖房運転では、蓄熱装置(60)が停止し、室内ユニット(70)で室内の暖房が行われる。図6に示す単純暖房運転では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)が開状態となり、残りは全て閉状態なる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び蓄熱用膨張弁(45)が全閉状態に、室内膨張弁(73)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が停止状態となり作動しない。単純暖房運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。室内膨張弁(73)は、室内熱交換器(72)の出口冷媒の過冷却度を制御する。
単純暖房運転では、蓄熱装置(60)が停止し、室内ユニット(70)で室内の暖房が行われる。図6に示す単純暖房運転では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)が開状態となり、残りは全て閉状態なる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び蓄熱用膨張弁(45)が全閉状態に、室内膨張弁(73)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が停止状態となり作動しない。単純暖房運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。室内膨張弁(73)は、室内熱交換器(72)の出口冷媒の過冷却度を制御する。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、ガスライン(L2)を流れ、室内熱交換器(72)で凝縮する。液ライン(L1)に流出した冷媒は、室外膨張弁(24)で減圧された後、室外熱交換器(23)で蒸発し、圧縮機(22)に吸入される。
〔蓄熱運転〕
蓄熱運転では、蓄熱タンク(62)に温熱を蓄えた蓄熱媒体が貯留される。図7に示す蓄熱運転では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第4電磁弁(SV4)、及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び室内膨張弁(73)が全閉状態に、室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)は作動し、室内ファン(74)は停止する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
蓄熱運転では、蓄熱タンク(62)に温熱を蓄えた蓄熱媒体が貯留される。図7に示す蓄熱運転では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第4電磁弁(SV4)、及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び室内膨張弁(73)が全閉状態に、室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)は作動し、室内ファン(74)は停止する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、ガスライン(L2)を流れ、蓄熱用熱交換器(63)で放熱し、第2バイパス管(44a)を通過した後、予熱用熱交換器(64)で更に放熱する。主蓄熱用流路(44)を流出した冷媒は、室外膨張弁(24)で減圧された後、室外熱交換器(23)で蒸発し、圧縮機(22)に吸入される。蓄熱タンク(62)には、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)で加熱された蓄熱媒体が貯留される。
〔暖房蓄熱運転〕
暖房蓄熱運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に温熱が蓄えられるとともに、室内ユニット(70)で室内の暖房が行われる。暖房蓄熱運転は、第1暖房蓄熱運転(以下、暖房蓄熱運転(1)という)と、第2暖房蓄熱運転(以下、暖房蓄熱運転(2)という)とに大別される。
暖房蓄熱運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に温熱が蓄えられるとともに、室内ユニット(70)で室内の暖房が行われる。暖房蓄熱運転は、第1暖房蓄熱運転(以下、暖房蓄熱運転(1)という)と、第2暖房蓄熱運転(以下、暖房蓄熱運転(2)という)とに大別される。
[暖房蓄熱運転(1)]
図8に示す暖房蓄熱運転(1)では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第5電磁弁(SV5)、及び第6電磁弁(SV6)が開状態となり、残りが閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び蓄熱用膨張弁(45)が全閉状態に、室内膨張弁(73)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)が放熱器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
図8に示す暖房蓄熱運転(1)では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)、第5電磁弁(SV5)、及び第6電磁弁(SV6)が開状態となり、残りが閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、第4減圧弁(EV4)、及び蓄熱用膨張弁(45)が全閉状態に、室内膨張弁(73)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)が放熱器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、ガスライン(L2)を流れ、その全量が室内熱交換器(72)を流れる。室内熱交換器(72)では、冷媒が室内空気へ放熱して凝縮する。室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒は、その全量が第3分岐管(49)を流れ、蓄熱用熱交換器(63)を流れる。蓄熱用熱交換器(63)では、冷媒が蓄熱媒体へ放熱し、蓄熱媒体が加熱される。蓄熱用熱交換器(63)を流れた冷媒は、予熱用熱交換器(64)で更に蓄熱媒体へ放熱し、液ライン(L1)を流れる。この冷媒は、室外熱交換器(23)で蒸発し、圧縮機(22)に吸入される。
以上のように、暖房蓄熱運転(1)では、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の全量が、蓄熱用熱交換器(63)を流れる。この結果、暖房に利用されなかった余剰の冷媒の熱を蓄熱媒体の温蓄熱に利用できる。
[暖房蓄熱運転(2)]
図9に示す暖房蓄熱運転(2)では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、第4電磁弁(SV4)、第5電磁弁(SV5)が開状態となり、残りが閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室内膨張弁(73)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)及び蓄熱用熱交換器(63)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
図9に示す暖房蓄熱運転(2)では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第2電磁弁(SV2)、第3電磁弁(SV3)、第4電磁弁(SV4)、第5電磁弁(SV5)が開状態となり、残りが閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)、及び第4減圧弁(EV4)が全閉状態に、室内膨張弁(73)及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。蓄熱運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)及び蓄熱用熱交換器(63)が凝縮器となり、室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、ガスライン(L2)を流れ、一部が室内熱交換器(72)を流れ、残りが主蓄熱用流路(44)を流れる。室内熱交換器(72)では、冷媒が室内空気へ放熱して凝縮する。室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒は、主液管(42)を流れる。
主蓄熱用流路(44)の冷媒は、蓄熱用熱交換器(63)で蓄熱媒体へ放熱して凝縮する。この冷媒は、高温高圧のガス冷媒であるため、冷媒と蓄熱媒体との温度差が大きくなり、蓄熱媒体に確実に温熱を付与することができる。蓄熱用熱交換器(63)で凝縮した冷媒は、主液管(42)を流れる冷媒と合流し、室外膨張弁(24)で減圧される。減圧後の冷媒は、室外熱交換器(23)で蒸発し、圧縮機(22)に吸入される。
以上のように、暖房蓄熱運転(2)では、圧縮機(22)から吐出された高温高圧のガス冷媒が、室内熱交換器(72)と蓄熱用熱交換器(63)との双方へ並列に流れ、各々で凝縮する。この結果、室内の暖房を継続しつつ、蓄熱媒体に温熱を確実に付与させることができる。
〔利用暖房運転〕
利用暖房運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に蓄えられた蓄熱媒体の温熱が低圧冷媒の蒸発熱として利用される。これにより、暖房負荷の軽減が図られる。利用暖房運転は、第1利用暖房運転(以下、利用暖房運転(1)という)と、第2利用暖房運転(以下、利用暖房運転(2)という)とに大別される。
利用暖房運転では、蓄熱装置(60)が作動し、蓄熱タンク(62)に蓄えられた蓄熱媒体の温熱が低圧冷媒の蒸発熱として利用される。これにより、暖房負荷の軽減が図られる。利用暖房運転は、第1利用暖房運転(以下、利用暖房運転(1)という)と、第2利用暖房運転(以下、利用暖房運転(2)という)とに大別される。
[利用暖房運転(1)]
利用暖房運転(1)は、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発する冷媒の圧力(MP)と、室外熱交換器(23)で蒸発する冷媒の圧力(LP)との差(MP−LP)が比較的小さくなるような条件下で実行される。例えば冬季において、外気温度が比較的高い一方、蓄熱装置(60)の蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が比較的低いような場合が、この条件に相当する。
利用暖房運転(1)は、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発する冷媒の圧力(MP)と、室外熱交換器(23)で蒸発する冷媒の圧力(LP)との差(MP−LP)が比較的小さくなるような条件下で実行される。例えば冬季において、外気温度が比較的高い一方、蓄熱装置(60)の蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が比較的低いような場合が、この条件に相当する。
図10に示す利用暖房運転(1)では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第3電磁弁(SV3)及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りが閉状態となる。第1減圧弁(EV1)及び室外膨張弁(24)が全開状態に、第2減圧弁(EV2)、第3減圧弁(EV3)が全閉状態に、第4減圧弁(EV4)及び室内膨張弁(73)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)及び室内ファン(74)は作動し、室外ファン(26)は停止する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。利用暖房運転(1)の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、蓄熱用熱交換器(63)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、ガスライン(L2)を流れ、室内熱交換器(72)で凝縮する。液ライン(L1)に流出した冷媒は、その全量が第2分岐管(48)に流入する。第2分岐管(48)では、第4減圧弁(EV4)によって冷媒が低圧まで減圧される。減圧された冷媒は、蓄熱用熱交換器(63)の蓄熱側冷媒流路(63b)を流れ、蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。蓄熱用熱交換器(63)で蒸発した冷媒は、第1バイパス管(44a)と通過し、予熱用熱交換器(64)の予熱側冷媒流路(64b)を流れ、蓄熱媒体から吸熱して更に蒸発する。この冷媒は、主蓄熱用流路(44)を流れ、第1導入管(31)と室外熱交換器(23)とに分流する。これらの冷媒は、吸入管(28)で合流し、圧縮機(22)に吸入される。このため、冷媒の圧力損失を低減でき、圧縮機(22)の動力を軽減できる。この際、第1導入管(31)を流れる冷媒は、第1過冷却熱交換器(32)を流れるが、第1過冷却熱交換器(32)は空気熱交換器でないため、熱ロスも少ない。また、室外ファン(26)は停止状態であるため、冷媒が室外熱交換器(23)を流れても、熱ロスが少ない。このように、利用暖房運転(1)では、低圧ガス冷媒の圧力損失や熱ロスの低減を図ることができる。また、第1導入管(31)は、冷媒を過冷却するための低圧インジェクション管を兼用するので、配管の本数を削減できる。
なお、利用暖房運転(1)において、第1減圧弁(EV1)と室外膨張弁(24)のうち室外膨張弁(24)だけを全閉状態とし、低圧ガス冷媒を第1導入管(31)だけに流してもよい。また、第1減圧弁(EV1)と室外膨張弁(24)のうち第1減圧弁(EV1)だけを全閉状態とし、低圧ガス冷媒を室外熱交換器(23)だけに流してもよい。
[利用暖房運転(2)]
利用暖房運転(2)は、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発する冷媒の圧力(MP)と、室外熱交換器(23)で蒸発する冷媒の圧力(LP)との差(MP−LP)が比較的大きくなるような条件下で実行される。例えば冬季において、外気温度が比較的低い一方、蓄熱装置(60)の蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が比較的高いような場合が、この条件に相当する。
利用暖房運転(2)は、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発する冷媒の圧力(MP)と、室外熱交換器(23)で蒸発する冷媒の圧力(LP)との差(MP−LP)が比較的大きくなるような条件下で実行される。例えば冬季において、外気温度が比較的低い一方、蓄熱装置(60)の蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が比較的高いような場合が、この条件に相当する。
図11に示す利用暖房運転(2)では、四方切換弁(25)が第2状態に、第1電磁弁(SV1)から第6電磁弁(SV6)のうち第1電磁弁(SV1)、第2電磁弁(SV2)、及び第5電磁弁(SV5)が開状態になり、残りは閉状態となる。第1減圧弁(EV1)、第2減圧弁(EV2)、及び第3減圧弁(EV3)が全閉状態に、第4減圧弁(EV4)、室内膨張弁(73)、及び室外膨張弁(24)の開度が適宜調節される。圧縮機(22)、室外ファン(26)、及び室内ファン(74)は作動する。蓄熱装置(60)は、ポンプ(67)が運転状態となり作動する。利用暖房運転の冷媒回路(11)では、室内熱交換器(72)が凝縮器となり、蓄熱用熱交換器(63)、予熱用熱交換器(64)、及び室外熱交換器(23)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
圧縮機(22)から吐出された冷媒は、ガスライン(L2)を流れ、室内熱交換器(72)で凝縮する。液ライン(L1)に流出した冷媒は、第2分岐管(48)と主液管(42)とに分流する。第2分岐管(48)の冷媒は、第4減圧弁(EV4)で中間圧(冷媒回路(11)の高圧圧力と低圧圧力との間の中間圧力)にまで減圧され、主蓄熱用流路(44)に流出する。主蓄熱用流路(44)の冷媒は、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)で加熱され、蒸発する。蒸発した冷媒は、中間中継管(46)、連絡配管(13)、及び中間吸入管(35)を順に流れ、圧縮機(22)の圧縮途中の圧縮室に吸入される。
主液管(42)の冷媒は、室外膨張弁(24)で減圧された後、室外熱交換器(23)で蒸発し、圧縮機(22)の吸入管(28)に吸入される。圧縮機(22)の圧縮室では、吸入管(28)から吸入された低圧冷媒が中間圧まで圧縮された後、中間吸入管(35)から吸入された中間圧冷媒と混合し、高圧圧力まで圧縮される。
利用暖房運転(2)では、外気温度が低く、蓄熱装置(60)の蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が比較的高い条件下で実行されるため、蓄熱用熱交換器(63)の冷媒の蒸発圧力MPと、室外熱交換器(23)の冷媒の蒸発圧力LPとの圧力差(MP−LP)とが比較的大きくなる。このため、圧縮機(22)の圧縮室の圧縮途中では、圧縮室の内圧が中間吸入管(35)より導入される冷媒の圧力より大きくなることを抑制でき、中間吸入管(35)の冷媒を圧縮室に確実に導入できる。
しかも、中間吸入管(35)には、圧縮機(22)から主蓄熱用流路(44)へ向かう逆流を禁止する逆止弁(CV1)が設けられている。このため、仮に中間吸入管(35)を流出する冷媒の圧力MPが、圧縮途中の圧縮室の内圧より低くなったとしても、圧縮室の冷媒が中間吸入管(35)を逆流してしまうことがない。なお、逆止弁(CV1)は、中間吸入管(35)のうち圧縮機(22)のケーシング(22a)内に位置する内側配管部(36)に設けてもよい。これにより、圧縮機構の圧縮途中の圧縮室から逆止弁(CV1)までの流路長さを最小限に抑えることができ、ひいては冷媒の圧縮に寄与しない死容積を最小限に抑えることができる。この結果、圧縮機(22)の圧縮効率の低下を防止できる。
また、MP−LPが比較的大きい条件下で冷媒が圧縮されると、圧縮機(22)で冷媒を高圧まで圧縮させるために要する総仕事量が軽減される。この結果、利用暖房運転(2)では、蓄熱媒体の温熱を冷媒に回収させつつ、省エネ性の高い暖房を行うことができる。
[利用暖房運転の第1動作]
上述した利用暖房運転(1)や利用暖房運転(2)では、コントローラ(100)が、外気温度センサ(S1)(図1を参照)で検出された外気温度Toと、所定の温度Taとを比較する。検出された外気温度Toが、所定温度Ta以上である場合、第1条件が成立したと判定し、第1動作が実行される。
上述した利用暖房運転(1)や利用暖房運転(2)では、コントローラ(100)が、外気温度センサ(S1)(図1を参照)で検出された外気温度Toと、所定の温度Taとを比較する。検出された外気温度Toが、所定温度Ta以上である場合、第1条件が成立したと判定し、第1動作が実行される。
第1動作は、利用暖房運転(1)や利用暖房運転(2)において、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より高い状態にあるときのみ、蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する運転である。つまり、利用暖房運転(1)では、蓄熱媒体に蓄えられた顕熱及び潜熱のうち顕熱のみが暖房に利用されるということができる。
第1動作では、比較的高温の蓄熱媒体の顕熱が、蓄熱用熱交換器(63)や余熱用熱交換器(64)を介して冷媒に付与される。従って、蓄熱媒体と冷媒とを熱交換させても、蒸発圧力を比較的高く維持でき、暖房効率を向上できる。ただし、第1動作中では、外気温度Toが高く、室外熱交換器(23)の低圧冷媒の蒸発圧力も高いため、第1動作が継続して行われ、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が徐々に低下していくと、蓄熱回路(61)での蒸発圧力も低下していき、第1動作を継続しても、暖房効率が向上しなくなる。そこで、蓄熱媒体温度センサ(S2)で検出した蓄熱媒体の温度が基準温度Tbより低くなると、コントローラ(100)は、利用暖房運転(1)を終了させ、単純暖房運転を実行させるように各機器を制御する。ここで、基準温度Tbは、蓄熱媒体の水和物生成温度(例えば12℃)以上の所定温度である。
単純暖房運転(図6)に移行すると、ポンプ(67)が停止し、冷媒が蓄熱用熱交換器(63)を流れない。従って、冷媒によって蓄熱媒体がこれ以上冷却されることがなく、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度以下になることもない。この結果、蓄熱回路(61)では、包接水和物が結晶化して配管内に蓄積してしまうことを未然に回避でき、蓄熱回路(61)の閉塞を確実に防止できる。しかも、単純暖房運転へ移行することで、室内の暖房が継続されるため、室内の快適性が損なわれてしまうこともない。
[利用暖房運転の第2動作]
上述した利用暖房運転(1)や利用暖房運転(2)において、検出された外気温度Toが、所定温度Taより小さい場合、第1条件が成立しないと判定し、第2動作が実行される。
上述した利用暖房運転(1)や利用暖房運転(2)において、検出された外気温度Toが、所定温度Taより小さい場合、第1条件が成立しないと判定し、第2動作が実行される。
第2動作は、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より低くなっても、蓄熱媒体が蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する動作を継続させる運転である。つまり、利用暖房運転(2)では、蓄熱媒体に蓄えられた顕熱と潜熱の双方が暖房に利用されるということができる。
第2動作では、比較的低温の蓄熱媒体の潜熱が、蓄熱用熱交換器(63)及び余熱用熱交換器(68)を介して冷媒に付与される。第2動作中では、外気温度Toが低く、室外熱交換器(23)の低圧冷媒の蒸発圧力も低い。従って、蓄熱媒体と冷媒とを熱交換させることで、蒸発圧力を高くすることができ、暖房効率を向上できる。
第2動作が継続して行われると、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が徐々に低下し、水和物生成温度よりも低くなる。これにより、蓄熱回路(61)では、包接水和物が生成し水和物の結晶が配管内に蓄積してしまう可能性がある。そこで、蓄熱装置(60)では、このような包接水和物の結晶の蓄積の開始を蓄熱媒体温度センサ(S2)で検出するようにしている。
具体的に、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体は、水和物生成温度より温度が低くなったとしても、過冷却状態となり、水和物の結晶は生成しない。しかし、この過冷却状態の蓄熱媒体に衝撃等の何らかのきっかけが与えられると、過冷却状態が解消され、水和物結晶が生成される。このように過冷却状態が解消されると、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度の近くまで上昇する。そこで、コントローラ(100)は、蓄熱媒体温度センサ(S2)で検出された蓄熱媒体の温度が上昇変化すると、包接水和物の結晶の蓄積が開始すると判定する。なお、包接水和物の結晶の蓄積の開始を検出する蓄積検出部として、例えば蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の循環量を検知する流量検知部を採用してもよい。つまり、流量検知部で検知する蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の循環量が所定値より低くなると、包接水和物の結晶の蓄積が開始すると検知してもよい。
このようにして包接水和物の結晶の蓄積の開始が検出されると、コントローラ(100)は、第2動作を停止させ、暖房蓄熱運転を実行させる。具体的に、包接水和物の結晶の蓄積の開始が検出されると、コントローラ(100)は、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の温度が高いことを示す条件が成立するか否かの判定を行う。
具体的に、コントローラ(100)の判定部は、第2動作から暖房蓄熱運転に移行する際、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の温度Tbと、予め設定された冷媒基準温度Tsとを比較する。ここで、冷媒の温度Tbが冷媒基準基準温度Tsより高いと、上記条件が成立したと判定する。この場合、図8に示すように、コントローラ(100)は、第1暖房蓄熱運転(暖房蓄熱運転(1))を実行させる。この結果、圧縮機(22)で圧縮された冷媒の全量が室内熱交換器(72)、蓄熱用熱交換器(63)を順に流れる暖房蓄熱運転(1)が実行される。この条件下の暖房蓄熱運転(1)では、室内熱交換器(72)を流れた冷媒の温度が十分に高いため、この冷媒により蓄熱媒体を十分に加熱することができ、且つ室内の暖房を継続して行うことができる。
一方、第2動作から暖房蓄熱運転へ移行する際、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の温度Tbが冷媒基準温度Ts以下であったとする。この場合、コントローラ(100)の判定部は、室内熱交換器(72)で凝縮した冷媒の温度が高いことを示す条件が成立しないと判定する。すると、図9に示すように、コントローラ(100)は、第2暖房蓄熱運転(暖房蓄熱運転(2))を実行させる。この結果、圧縮機(22)で圧縮された冷媒が室内熱交換器(72)と蓄熱用熱交換器(63)の双方に分流し、各々で蒸発する。この結果、室内の暖房を継続しつつ、蓄熱媒体を確実に昇温させることができる。
−実施形態1の効果−
利用暖房運転の第1動作では、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度以上の基準温度より高い状態でのみ、蓄熱媒体から冷媒へ熱が付与されるため、蓄熱媒体が水和物生成温度より低くなることを防止できる。この結果、包接水和物の結晶化に伴い蓄熱回路(61)の配管が閉塞したり、蓄熱用熱交換器(63)の伝熱効率が低下したりすることを防止できる。また、このような包接水和物の結晶化を未然に回避できれば、この結晶を融解させるための運転を行う必要もなくなる。従って、融解運転の運転頻度の低減、運転期間の短縮化を図ることができ、蓄熱式空気調和機の省エネ化を図ることができる。
利用暖房運転の第1動作では、蓄熱媒体の温度が水和物生成温度以上の基準温度より高い状態でのみ、蓄熱媒体から冷媒へ熱が付与されるため、蓄熱媒体が水和物生成温度より低くなることを防止できる。この結果、包接水和物の結晶化に伴い蓄熱回路(61)の配管が閉塞したり、蓄熱用熱交換器(63)の伝熱効率が低下したりすることを防止できる。また、このような包接水和物の結晶化を未然に回避できれば、この結晶を融解させるための運転を行う必要もなくなる。従って、融解運転の運転頻度の低減、運転期間の短縮化を図ることができ、蓄熱式空気調和機の省エネ化を図ることができる。
利用暖房運転の第1動作では、蓄熱回路(61)の蓄熱媒体の温度が基準温度より低くなると、単純暖房運転へ移行するため、暖房運転を継続しつつ、蓄熱回路(61)での包接水和物の発生を確実に防止できる。特に、蓄熱媒体温度センサ(S2)は、蓄熱タンク(62)の流入管(66)の蓄熱媒体の温度を検出している。この蓄熱媒体の温度は、蓄熱回路(61)のうち最も低いといえる。従って、この蓄熱媒体の温度を基準として、単純暖房運転への移行を判定することで、蓄熱回路(61)での包接水和物の発生を一層確実に防止できる。
蓄熱媒体温度センサ(S2)は、蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積の開始を検知する蓄積検知部を兼ねている。このため、センサの数量を減らすことができる。
利用暖房運転の第2動作では、蓄熱媒体の顕熱だけでなく潜熱も利用して冷媒を加熱できる。このため、暖房に利用可能な蓄熱量(温熱量)を実質的に増大でき、例えば蓄熱タンク(62)の小型化を図ることができる。
外気温度が比較的高い条件では、利用暖房運転の第1動作を実行することにより、蓄熱媒体の顕熱のみを利用して冷媒を十分に加熱できる。この場合、蓄熱媒体が水和物生成温度よりも低くなってしまうこともなく、蒸発圧力が低下して効率が下がってしまうことも防止できる。
一方、外気温度が比較的低い条件下では、利用暖房運転の第2動作を実行することにより、蓄熱媒体の潜熱と顕熱との双方を利用して冷媒を十分に加熱できる。従って、蓄熱媒体に蓄えた温熱を蒸発熱として利用でき、蓄熱式空気調和機(10)の省エネ性の向上を図ることができる
利用暖房運転の第2動作では、蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積が開始されることが検知されると、暖房蓄熱運転へ移行する。このため、蓄熱回路(61)が水和物の結晶により閉塞してしまうことを未然に回避できる。また、暖房運転が継続して行われるため、室内の快適性を維持できる。
利用暖房運転の第2動作では、蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積が開始されることが検知されると、暖房蓄熱運転へ移行する。このため、蓄熱回路(61)が水和物の結晶により閉塞してしまうことを未然に回避できる。また、暖房運転が継続して行われるため、室内の快適性を維持できる。
特に、第2動作において、包接水和物の結晶の開始が検出され、且つ室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立すると、室内熱交換器(72)の暖房で余った冷媒の熱を蓄熱媒体に付与する第1暖房蓄熱運転が行われる。これにより、暖房運転を継続しながら余剰の冷媒の熱を蓄熱媒体に回収でき、且つ蓄熱回路(61)で包接水和物が結晶化してしまうのを未然に回避できる。
また、第2動作において、包接水和物の結晶の開始が検出され、且つ室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立しないと、室内熱交換器(72)と蓄熱用熱交換器(63)との双方へ高圧冷媒を並列に流す第2暖房蓄熱運転が行われる。これにより、蓄熱回路(61)で包接水和物が結晶化してしまうのを確実に回避できる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒回路(11)において二段圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。つまり、蓄熱式空気調和機(10)は、例えば寒冷地向けに設計され、実施形態1と比較して定格の暖房能力が高い。以下には、実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)について、上記実施形態1と異なる点について説明する。
本発明の実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒回路(11)において二段圧縮式の冷凍サイクルを行うものである。つまり、蓄熱式空気調和機(10)は、例えば寒冷地向けに設計され、実施形態1と比較して定格の暖房能力が高い。以下には、実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)について、上記実施形態1と異なる点について説明する。
〈全体構成〉
図12に示すように、実施形態2の圧縮部(80)は、第1圧縮機(81)と第2圧縮機(82)とから構成される二段圧縮式の圧縮部である。第1圧縮機(81)は、低段側圧縮機を構成し、第2圧縮機(82)は、高段側圧縮機を構成している。第1圧縮機(81)は、室外回路(21)に接続されている。第1圧縮機(81)には、圧縮した中間圧冷媒が吐出される低段側吐出管(83)と、低圧冷媒が吸入される低段側吸入管(84)(低圧吸入部)とが接続される。第2圧縮機(82)は、中間回路(41)に接続されている。第2圧縮機(82)には、圧縮した高圧冷媒が吐出される高段側吐出管(85)と、中間圧冷媒が吸入される高段側吸入管(86)とが接続される。
図12に示すように、実施形態2の圧縮部(80)は、第1圧縮機(81)と第2圧縮機(82)とから構成される二段圧縮式の圧縮部である。第1圧縮機(81)は、低段側圧縮機を構成し、第2圧縮機(82)は、高段側圧縮機を構成している。第1圧縮機(81)は、室外回路(21)に接続されている。第1圧縮機(81)には、圧縮した中間圧冷媒が吐出される低段側吐出管(83)と、低圧冷媒が吸入される低段側吸入管(84)(低圧吸入部)とが接続される。第2圧縮機(82)は、中間回路(41)に接続されている。第2圧縮機(82)には、圧縮した高圧冷媒が吐出される高段側吐出管(85)と、中間圧冷媒が吸入される高段側吸入管(86)とが接続される。
つまり、圧縮部(80)では、第1圧縮機(81)と第2圧縮機(82)とが直列に接続されて二段圧縮式の圧縮部が構成されている。しかし、第1圧縮機(81)と第2圧縮機(82)の各圧縮機構を1つのケーシングに収容し、二段圧縮式の圧縮部(圧縮機(80))を構成してもよい。
第1圧縮機(81)と第2圧縮機(82)とは、いずれもインバータ式の圧縮機で構成される。従って、各圧縮機(81,82)の運転周波数を調節することで、高段側吸入管(86)に吸入される冷媒の中間圧力を調節することが可能である。
中間吸入管(35)は、中間回路(41)に接続されている。具体的に、中間吸入管(35)の始端は、主蓄熱用流路(44)における第3電磁弁(SV3)と予熱側冷媒流路(64b)との間に接続している。中間吸入管(35)の終端は、高段側吸入管(86)に接続している。
中間回路(41)には、中間配管(87)と高段側バイパス管(88)とが接続されている。中間配管(87)は、連絡配管(14)と高段側吸入管(86)とを接続している。高段側バイパス管(88)の一端は、高段側吐出管(85)に接続し、高段側バイパス管(88)の他端は中間吸入管(35)に接続している。高段側バイパス管(88)には、第7電磁弁(SV7)が接続される。第7電磁弁(SV7)は、例えば冷房運転において開状態となり、冷媒が第2圧縮機(82)をバイパスするように構成される。
実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)は、図13に示す既設の空気調和機(10a)に対し、蓄熱ユニット(40)が接続されて構成される。つまり、図13に示す既設の空気調和機(10a)は、実施形態2と同様の室外ユニット(20)及び室内ユニット(70)が2本の連絡配管(15,16)を介して互いに接続されて構成される。これらの室外ユニット(20)と室内ユニット(70)の間に蓄熱ユニット(40)を介設することで、実施形態2の蓄熱式空気調和機(10)が構成される。
〈利用暖房運転(1)〉
実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)の利用暖房運転(1)について図14を参照しながら説明する。実施形態2では、例えば検出された外気温度が、所定温度Ta以上である場合、第1条件が成立したと判定し、利用暖房運転(1)が実行される。つまり、利用暖房運転(1)は、実施形態1と同様、暖房負荷が小さく、MP−LPが比較的小さくなるような条件下で実行される。
実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)の利用暖房運転(1)について図14を参照しながら説明する。実施形態2では、例えば検出された外気温度が、所定温度Ta以上である場合、第1条件が成立したと判定し、利用暖房運転(1)が実行される。つまり、利用暖房運転(1)は、実施形態1と同様、暖房負荷が小さく、MP−LPが比較的小さくなるような条件下で実行される。
利用暖房運転(1)では、第1圧縮機(81)及び第2圧縮機(82)で圧縮された冷媒は、室内熱交換器(72)で凝縮した後、その全部が蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)で蒸発する。蒸発した冷媒は、第1導入管(31)と室外熱交換器(23)とを分流し、再び合流して第1圧縮機(81)に吸入される。
なお、実施形態2においても、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発した冷媒を第1導入管(31)のみに流し、第1圧縮機(81)に吸入させてもよい。また、蓄熱用熱交換器(63)で蒸発した冷媒の全部を室外熱交換器(23)のみに流し、第1圧縮機(81)に吸入させてもよい。また、このような運転では、室外ファン(26)を停止することで、冷媒から室外空気への熱ロスを最小限に抑えることができる。
蓄熱媒体温度センサ(S2)で検出された蓄熱媒体の温度が基準温度Tbより低くなると、利用暖房運転(1)が終了し、単純暖房運転が行われる。これ以外の作用効果は実施形態1と同様である。
〈利用暖房運転(2)〉
実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)の利用暖房運転(2)について図15を参照しながら説明する。実施形態2では、例えば検出された外気温度が、所定温度Taより低くなる場合、第2条件が成立したと判定し、利用暖房運転(2)が実行される。つまり、利用暖房運転(2)は、実施形態1と同様、暖房負荷が大きく、MP−LPが比較的大きくなるような条件下で実行される。
実施形態2に係る蓄熱式空気調和機(10)の利用暖房運転(2)について図15を参照しながら説明する。実施形態2では、例えば検出された外気温度が、所定温度Taより低くなる場合、第2条件が成立したと判定し、利用暖房運転(2)が実行される。つまり、利用暖房運転(2)は、実施形態1と同様、暖房負荷が大きく、MP−LPが比較的大きくなるような条件下で実行される。
利用暖房運転(2)では、第1圧縮機(81)で中間圧まで圧縮された冷媒が、高段側吸入管(86)より第2圧縮機(82)に吸入される。第2圧縮機(82)で高圧まで圧縮された冷媒は、室内熱交換器(72)で凝縮し液ライン(L1)に流出する。液ライン(L1)の冷媒の一部は、第4減圧弁(EV4)で中間圧まで減圧され、蓄熱用熱交換器(63)及び予熱用熱交換器(64)で蒸発し、中間吸入管(35)へ流出する。
液ライン(L1)の冷媒の残りは、室外膨張弁(24)で低圧まで減圧され、室外熱交換器(23)で蒸発し第1圧縮機(81)に吸入される。第1圧縮機(81)で中間圧まで圧縮された冷媒は、高段側吸入管(86)において、中間吸入管(35)から導入された冷媒と合流し、第2圧縮機(82)に吸入される。
このような構成の各利用暖房運転においても、上記実施形態1と同様の第1動作や第2動作を実行でき、同一の作用効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明は、蓄熱式空気調和機について有用である。
10 蓄熱式空気調和機
11 冷媒回路
22 圧縮機(圧縮部)
23 室外熱交換器
28 吸入管(低圧吸入部)
35 中間吸入管(中間吸入部)
44 主蓄熱用流路
61 蓄熱回路
62 蓄熱タンク
63 蓄熱用熱交換器
65 流出管(流出部)
72 室内熱交換器
80 圧縮部(二段圧縮式)
81 第1圧縮機(低段側圧縮機)
82 第2圧縮機(高段側圧縮機)
84 低段側吸入管(低圧吸入部)
100 運転制御部(コントローラ)
S2 蓄熱媒体温度センサ(蓄熱媒体温度検出部、蓄積検知部)
11 冷媒回路
22 圧縮機(圧縮部)
23 室外熱交換器
28 吸入管(低圧吸入部)
35 中間吸入管(中間吸入部)
44 主蓄熱用流路
61 蓄熱回路
62 蓄熱タンク
63 蓄熱用熱交換器
65 流出管(流出部)
72 室内熱交換器
80 圧縮部(二段圧縮式)
81 第1圧縮機(低段側圧縮機)
82 第2圧縮機(高段側圧縮機)
84 低段側吸入管(低圧吸入部)
100 運転制御部(コントローラ)
S2 蓄熱媒体温度センサ(蓄熱媒体温度検出部、蓄積検知部)
Claims (9)
- 蓄熱式空気調和機であって、
冷媒を圧縮する圧縮部(22,80)と、室外熱交換器(23)と、室内熱交換器(72)とが接続され、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる冷媒回路(11)と、
冷却されることによって包接水和物が生成される蓄熱媒体と上記冷媒回路(11)の冷媒とを熱交換させる蓄熱用熱交換器(63)と、該蓄熱媒体を循環させるポンプ(67)と、該蓄熱媒体が貯留される蓄熱タンク(62)とが接続される蓄熱回路(61)と、
上記蓄熱媒体に蓄えられた冷熱が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して上記冷媒に付与され、且つ上記室内熱交換器(72)で冷媒が蒸発する利用冷房運転と、上記冷媒が上記蓄熱媒体と熱交換せず、且つ上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮する単純暖房運転と、上記蓄熱媒体に蓄えられた温熱が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒に付与され、且つ上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮する利用暖房運転とを切り換えて実行させるように構成される運転制御部(100)とを備え、
上記冷媒回路(11)は、上記利用暖房運転において、上記蓄熱媒体の温度が水和物生成温度より高い状態にあるときのみ、該蓄熱媒体が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する第1動作を行うように構成されている
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項1において、
上記冷媒回路(11)は、上記利用暖房運転において、上記蓄熱媒体の温度が上記水和物生成温度より低い状態にあっても、該蓄熱媒体が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して冷媒を加熱する第2動作を行う
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項2において、
上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転において、外気温度が高いことを示す条件が成立すると上記第1動作を実行させ、該外気温度が高いことを示す条件が成立すると上記第2動作を実行させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
上記蓄熱媒体の温度を検出する蓄熱媒体温度検出部(S2)を備え、
上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第1動作中に、上記蓄熱媒体温度検出部(S2)で検出した蓄熱媒体の温度が上記水和物生成温度以上の基準温度より低くなると、上記単純暖房運転を実行させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項4において、
上記蓄熱媒体温度検出部(S2)は、上記蓄熱タンク(62)の流入部(66)の蓄熱媒体の温度を検出するように構成される
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項2乃至5のいずれか1つにおいて、
上記利用暖房運転の上記2動作中に、上記蓄熱回路(61)での包接水和物の結晶の蓄積の開始を検知する蓄積検知部(S2)を備え、
上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知すると、上記第2動作を終了させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項6において、
上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知すると、上記室内熱交換器(72)で冷媒が凝縮すると同時に冷媒回路(11)の高圧冷媒が上記蓄熱用熱交換器(63)を介して上記蓄熱媒体を加熱する暖房蓄熱運転を実行させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項7において、
上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知し、且つ上記室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立すると、上記圧縮部(22)で圧縮された高圧ガス冷媒の全量を上記室内熱交換器(72)で凝縮させ、凝縮した冷媒の全量を上記蓄熱用熱交換器(63)に流す第1の上記暖房蓄熱運転を実行させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。 - 請求項7において、
上記運転制御部(100)は、上記利用暖房運転の第2動作中に上記蓄積検知部(S2)が蓄熱回路(61)での包接水和物の蓄積の開始を検知し、且つ上記室内熱交換器(72)で凝縮した後の冷媒の温度が高いことを示す条件が成立しないと、上記圧縮部(22)で圧縮された高圧冷媒が上記室内熱交換器(72)と上記蓄熱用熱交換器(63)とに並行に流れて凝縮する第2の上記暖房蓄熱運転を実行させる
ことを特徴とする蓄熱式空気調和機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014265606A JP2016125722A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 蓄熱式空気調和機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014265606A JP2016125722A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 蓄熱式空気調和機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2016125722A true JP2016125722A (ja) | 2016-07-11 |
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ID=56359203
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014265606A Pending JP2016125722A (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 蓄熱式空気調和機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016125722A (ja) |
-
2014
- 2014-12-26 JP JP2014265606A patent/JP2016125722A/ja active Pending
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