JP2016125417A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】可変圧縮比機構を備えた内燃機関において、燃焼安定性の悪化を抑制しつつ、触媒暖機のために後燃えを促進させる。【解決手段】内燃機関は、触媒と、点火プラグ6と、過給器28と、可変バルブタイミング機構Bと、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構Aと、制御装置30と、を備え、制御装置は、機関負荷が予め定められた基準負荷以下である場合、触媒が活性していないと判定したときには、触媒が活性していると判定したときに比べて、点火時期を遅角させ、バルブオーバーラップ中に混合気が燃焼室を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように過給器の動作及びバルブオーバーラップ量を制御し、燃焼室に供給される空気の圧力が増大するように過給器の動作を制御し、吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御し、吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように機械圧縮比を増大させるように制御する。【選択図】図10
Description
本発明は内燃機関に関する。
従来、排気通路に配置された触媒によって、燃焼室から排出される排気ガス中の有害物質(CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)等)を浄化することが知られている。触媒において排気ガス中の有害物質を効率良く浄化するためには、触媒の温度を活性温度以上にして触媒を活性化させる必要がある。しかしながら、始動直後の内燃機関では、触媒の温度が活性温度よりも低いことがある。
そこで、特許文献1に記載の排気浄化装置では、内燃機関始動後のアイドリング中に、排気ポートにおける未燃燃料の燃焼、いわゆる後燃えを促進することで、触媒の早期暖機を図っている。斯かる排気浄化装置では、点火時期の遅角、吸入空気の過給及びバルブオーバーラップを組み合わせることで後燃えが促進される。具体的には、点火時期の遅角によって後燃えが発生し、バルブオーバーラップ時に吸入空気を過給することによって吸気ポートから排気ポートへと空気が筒内を吹き抜ける。この結果、排気ポート内に流入した空気によって後燃えが促進される。
しかしながら、吸入空気の過給が行われると、燃焼室に吸入される吸入空気量が増加する。また、燃焼室に供給される燃料量は、燃焼室内で燃焼される混合気の空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)となるように制御される。このため、吸入空気量が増加すると、燃焼室に供給される燃料量も増加し、燃焼トルクが増大する。しかしながら、触媒の暖機はアイドリング中に行われるため、必要な燃焼トルクは非常に小さい。このため、触媒暖機のために後燃えを促進させるためには、吸入空気の過給による燃焼トルクの増大を低減する必要がある。
そこで、特許文献1に記載の排気浄化装置では、アイドリング中に必要なトルクまで燃焼トルクを減少させるために、点火時期を圧縮上死点から大幅に遅角させた時期(例えば30°ATDC)にしている。しかしながら、点火時期を圧縮上死点から大幅に遅角させることは燃焼安定性を悪化させる。このため、斯かる排気浄化装置では、燃焼安定性の悪化を抑制するために、スプレーガイド方式やウォールガイド方式といった直噴方式による成層燃焼が行われる。
ところで、可変圧縮比機構を備えた内燃機関では、機械圧縮比の最大値をできるだけ高めるために、圧縮上死点における燃焼室の容積が小さくなるようにピストンの頂面形状が設計されることが多い。このため、ピストン形状の設計自由度が小さく、スプレーガイド方式やウォールガイド方式といった直噴方式を採用することが困難である。したがって、可変圧縮比機構を備えた内燃機関において、吸入空気の過給によって後燃えを促進し、過給による燃焼トルクの増大を点火時期の大幅遅角によって低減することは、燃焼安定性の悪化をもたらす。
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、可変圧縮比機構を備えた内燃機関において、燃焼安定性の悪化を抑制しつつ、触媒暖機のために後燃えを促進させることにある。
上記課題を解決するために、第1の発明では、排気通路に配置された触媒と、燃焼室に配置された点火プラグと、前記燃焼室に供給される空気を過給することができる過給器と、吸気弁の閉弁時期及び前記吸気弁と排気弁とのバルブオーバーラップ量を変更可能な可変バルブタイミング機構と、機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、前記点火プラグ、過給器、可変バルブタイミング機構及び可変圧縮比機構を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、機関負荷が予め定められた基準負荷以下である場合、前記触媒が活性していないと判定したときには、前記触媒が活性していると判定したときに比べて点火時期を遅角させ、前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記バルブオーバーラップ中に混合気が前記燃焼室を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように前記過給器の動作及びバルブオーバーラップ量を制御し、前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記燃焼室に供給される空気の圧力が増大するように前記過給器の動作を制御し、前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御し、前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように前記触媒が活性していると判定したときに比べて機械圧縮比を増大させるように制御する、内燃機関が提供される。
第2の発明では、第1の発明において、前記制御装置は、機関負荷が予め定められた基準負荷以下である場合、前記触媒が活性していると判定したときには、前記燃焼室に供給される空気の圧力が大気圧よりも低くなる程度に前記過給器を作動させるか又は前記過給器を停止させ、前記触媒が活性していないと判定したときには、前記燃焼室に供給される空気の圧力が大気圧以上になるように前記過給器を作動させ、該過給器の作動によって前記触媒が活性していないと判定したときに比べて前記燃焼室に供給される空気の圧力が増大しても前記触媒が活性していないと判定したときに比べて吸入空気量が変化しないように、前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御する。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記制御装置は、前記触媒が活性していないと判定したときには前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下をゼロにすべく機械圧縮比を増大させるように前記可変圧縮比機構を制御する。
第4の発明では、第1〜第3のいずれか一つの発明において、可変圧縮比機構によって変更可能な機械圧縮比の最大値が20以上である。
本発明によれば、可変圧縮比機構を備えた内燃機関において、燃焼安定性の悪化を抑制しつつ、触媒暖機のために後燃えを促進させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
<内燃機関全体の説明>
図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。
図1に火花点火式内燃機関の側面断面図を示す。図1を参照すると、1はクランクケース、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は燃焼室5の頂面中央部に配置された点火プラグ、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。
吸気ポート8は吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、各吸気枝管11にはそれぞれ対応する吸気ポート8内に向けて燃料を噴射するための燃料噴射弁13が配置される。すなわち、本実施形態の内燃機関はポート噴射式内燃機関である。なお、内燃機関は筒内噴射式内燃機関であってもよく、この場合、燃料噴射弁13は各吸気枝管11に取付けられる代りに各燃焼室5内に配置される。サージタンク12は吸気ダクト14を介してエアクリーナ15に連結され、吸気ダクト14内にはアクチュエータ16によって駆動されるスロットル弁17と例えば熱線を用いた吸入空気量検出器18とが配置される。吸気ポート8、吸気枝管11、サージタンク12及び吸気ダクト14は、空気及び燃料を含む混合気を燃焼室5に導く吸気通路を形成する。
また、吸気ダクト14のスロットル弁17と吸入空気量検出器18との間には、過給器28及びインタークーラ29が配置されている。過給器28は、ターボチャージャ又はスーパーチャージャのコンプレッサであり、燃焼室5に供給される空気を過給することができる。過給器28の作動は電磁クラッチ等を使用して制御される。インタークーラ29は、吸気通路において過給器28の下流側に配置され、過給器28により加圧された吸気の温度を低下させることができる。
一方、排気ポート10は排気マニホルド19を介して例えば三元触媒20を内蔵した触媒ケーシング22に連結され、排気マニホルド19内には空燃比センサ21が配置される。排気ポート10、排気マニホルド19及び触媒ケーシング22は、燃焼室5における混合気の燃焼によって生じた排気ガスを排出する排気通路を形成する。
また、図1に示される実施形態ではクランクケース1とシリンダブロック2との連結部にクランクケース1とシリンダブロック2のシリンダ軸線方向の相対位置を変化させることによりピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更可能な可変圧縮比機構Aが設けられている。さらに、本実施形態の内燃機関には、吸気弁7の開弁時期及び閉弁時期を制御可能な可変バルブタイミング機構Bと、排気弁9の開弁時期及び閉弁時期を制御可能な可変タイミング機構Cとが設けられている。
電子制御ユニット(ECU)30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備する。吸入空気量検出器18の出力信号、空燃比センサ21の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。また、アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。さらに入力ポート35にはクランクシャフトが例えば10°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して点火プラグ6、燃料噴射弁13、スロットル弁駆動用アクチュエータ16、過給器28、可変圧縮比機構A、可変バルブタイミング機構B及び可変バルブタイミング機構Cに接続される。
<可変圧縮比機構の説明>
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内にはそれぞれ断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これら各突出部52内にもそれぞれ断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2は図1に示す可変圧縮比機構Aの分解斜視図を示しており、図3は図解的に表した内燃機関の側面断面図を示している。図2を参照すると、シリンダブロック2の両側壁の下方には互いに間隔を隔てた複数個の突出部50が形成されており、各突出部50内にはそれぞれ断面円形のカム挿入孔51が形成されている。一方、クランクケース1の上壁面上には互いに間隔を隔ててそれぞれ対応する突出部50の間に嵌合せしめられる複数個の突出部52が形成されており、これら各突出部52内にもそれぞれ断面円形のカム挿入孔53が形成されている。
図2に示されるように一対のカムシャフト54、55が設けられており、各カムシャフト54、55上には一つおきに各カム挿入孔51内に回転可能に挿入される円形カム56が固定されている。これら円形カム56は各カムシャフト54、55の回転軸線と共軸をなす。一方、各円形カム56間には図3においてハッチングで示すように各カムシャフト54、55の回転軸線に対して偏心配置された偏心軸57が延びており、この偏心軸57上に別の円形カム58が偏心して回転可能に取付けられている。図2に示されるようにこれら円形カム58は各円形カム56間に配置されており、これら円形カム58は対応する各カム挿入孔53内に回転可能に挿入されている。
図3(A)に示すような状態から各カムシャフト54、55上に固定された円形カム56を図3(A)において実線の矢印で示されるように互いに反対方向に回転させると偏心軸57が下方中央に向けて移動するために円形カム58がカム挿入孔53内において図3(A)の破線の矢印に示すように円形カム56とは反対方向に回転し、図3(B)に示されるように偏心軸57が下方中央まで移動すると円形カム58の中心が偏心軸57の下方へ移動する。
図3(A)と図3(B)とを比較するとわかるようにクランクケース1とシリンダブロック2の相対位置は円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離によって定まり、円形カム56の中心と円形カム58の中心との距離が大きくなるほどシリンダブロック2はクランクケース1から離れる。シリンダブロック2がクランクケース1から離れるとピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積は増大し、したがって各カムシャフト54、55を回転させることによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を変更することができる。
図2に示されるように各カムシャフト54、55をそれぞれ反対方向に回転させるために駆動モータ59の回転軸にはそれぞれ螺旋方向が逆向きの一対のウォームギア61、62が取付けられており、これらウォームギア61、62と噛合する歯車63、64がそれぞれ各カムシャフト54、55の端部に固定されている。本実施形態では駆動モータ59を駆動することによってピストン4が圧縮上死点に位置するときの燃焼室5の容積を広い範囲に亘って変更することができる。なお、図1から図3に示される可変圧縮比機構Aは一例を示すものであっていかなる形式の可変圧縮比機構でも用いることができる。
<可変バルブタイミング機構の説明>
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70に対して設けられている可変バルブタイミング機構Bを示している。図4に示したように可変バルブタイミング機構Bはカムシャフト70の一端に取付けられてカムシャフト70のカムの位相を変更するためのカム位相変更部B1と、カムシャフト70と吸気弁7のバルブリフタ26との間に配置されてカムシャフト70のカムの作用角を異なる作用角に変更して吸気弁7に伝達するカム作用角変更部B2とから構成されている。なお、カム作用角変更部B2については図4に側面断面図と平面図とが示されている。
一方、図4は図1において吸気弁7を駆動するためのカムシャフト70に対して設けられている可変バルブタイミング機構Bを示している。図4に示したように可変バルブタイミング機構Bはカムシャフト70の一端に取付けられてカムシャフト70のカムの位相を変更するためのカム位相変更部B1と、カムシャフト70と吸気弁7のバルブリフタ26との間に配置されてカムシャフト70のカムの作用角を異なる作用角に変更して吸気弁7に伝達するカム作用角変更部B2とから構成されている。なお、カム作用角変更部B2については図4に側面断面図と平面図とが示されている。
まず初めに可変バルブタイミング機構Bのカム位相変更部B1について説明すると、このカム位相変更部B1は機関のクランク軸によりタイミングベルトを介して矢印方向に回転せしめられるタイミングプーリ71と、タイミングプーリ71と一緒に回転する円筒状ハウジング72と、カムシャフト70と一緒に回転し且つ円筒状ハウジング72に対して相対回転可能な回転軸73と、円筒状ハウジング72の内周面から回転軸73の外周面まで延びる複数の仕切壁74と、各仕切壁74の間で回転軸73の外周面から円筒状ハウジング72の内周面まで延びるベーン75とを具備しており、各ベーン75の両側にはそれぞれ進角用油圧室76と遅角用油圧室77とが形成されている。
各油圧室76、77への作動油の供給制御は作動油供給制御弁78によって行われる。この作動油供給制御弁78は各油圧室76、77にそれぞれ連結された油圧ポート79、80と、油圧ポンプ81から吐出された作動油の供給ポート82と、一対のドレインポート83、84と、各ポート79、80、82、83、84間の連通遮断制御を行うスプール弁85とを具備している。
カムシャフト70のカムの位相を進角すべきときは図4においてスプール弁85が下方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート79を介して進角用油圧室76に供給されると共に遅角用油圧室77内の作動油がドレインポート84から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印X方向に相対回転せしめられる。
これに対し、カムシャフト70のカムの位相を遅角すべきときは図4においてスプール弁85が上方に移動せしめられ、供給ポート82から供給された作動油が油圧ポート80を介して遅角用油圧室77に供給されると共に進角用油圧室76内の作動油がドレインポート83から排出される。このとき回転軸73は円筒状ハウジング72に対して矢印Xと反対方向に相対回転せしめられる。
回転軸73が円筒状ハウジング72に対して相対回転せしめられているときにスプール弁85が図4に示した中立位置に戻されると回転軸73の相対回転動作は停止せしめられ、回転軸73はそのときの相対回転位置に保持される。したがって、カム位相変更部B1によってカムシャフト70のカムの位相を所望の量だけ進角又は遅角させることができる。すなわち、図5(A)に破線で示したように、カム位相変更部B1によって吸気弁7の位相角を任意に進角又は遅角させることができることになる。なお、カムの位相のみを変更した場合、図5(A)に示したように、作用角は変化しない。なお、本明細書において、位相角とは作用角の中心の角度を意味する。
次に可変バルブタイミング機構Bのカム作用角変更部B2について説明すると、このカム作用角変更部B2は、カムシャフト70と平行に並列配置され且つアクチュエータ91によって軸線方向に移動せしめられる制御ロッド90と、カムシャフト70のカム92と係合し且つ制御ロッド90上に形成された軸線方向に延びるスプライン93に摺動可能に嵌合せしめられている中間カム94と、吸気弁7を駆動するためにバルブリフタ26と係合し且つ制御ロッド90上に形成された螺旋状に延びるスプライン95に摺動可能に嵌合する揺動カム96とを具備しており、揺動カム96上にはカム97が形成されている。
カムシャフト70が回転するとカム92によって中間カム94が常に一定の角度だけ揺動せしめられ、このとき揺動カム96も一定の角度だけ揺動せしめられる。一方、中間カム94及び揺動カム96は制御ロッド90の軸線方向には移動不能に支持されており、したがって制御ロッド90がアクチュエータ91によって軸線方向に移動せしめられたときに揺動カム96は中間カム94に対して相対回転せしめられることになる。
中間カム94と揺動カム96との相対回転位置関係によりカムシャフト70のカム92が中間カム94と係合し始めたときに揺動カム96のカム97がバルブリフタ26と係合し始める場合には図5(B)においてaで示したように吸気弁7の作用角及びリフト量は最も大きくなる。これに対し、アクチュエータ91によって揺動カム96が中間カム94に対して図4の矢印Y方向に相対回転せしめられると、カムシャフト70のカム92が中間カム94に係合した後、暫らくしてから揺動カム96のカム97がバルブリフタ26と係合する。この場合には図5(B)においてbで示したように吸気弁7の作用角及びリフト量はaに比べて小さくなる。
揺動カム96が中間カム94に対して図4の矢印Y方向にさらに相対回転せしめられると図5(B)においてcで示したように吸気弁7の作用角及びリフト量はさらに小さくなる。すなわち、アクチュエータ91により中間カム94と揺動カム96の相対回転位置を変更することによって吸気弁7の作用角を任意に変えることができる。ただし、この場合、吸気弁7のリフト量は吸気弁7の作用角が短くなるほど小さくなる。
このようにカム位相変更部B1によって吸気弁7の位相角を任意に変更することができ、カム作用角変更部B2によって吸気弁7の作用角を任意に変更することができる。したがって、カム位相変更部B1とカム作用角変更部B2とを有する可変バルブタイミング機構Bによって、吸気弁7の位相角及び作用角、すなわち吸気弁7の開弁時期及び閉弁時期を任意に変更することができることになる。
なお、図1及び図4に示した可変バルブタイミング機構Bは一例を示すものであって、図1及び図4に示した例以外の種々の形式の可変バルブタイミング機構を用いることができる。また、排気弁9の可変バルブタイミング機構Cも、吸気弁7の可変バルブタイミング機構Bと同様な構成を有し、排気弁9の位相角及び作用角、すなわち排気弁9の開弁時期及び閉弁時期を任意に変更することができる。
<触媒の暖機>
ところで、触媒ケーシング22に内蔵された三元触媒のような触媒20において排気ガス中の有害物質(CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)等)を効率良く浄化するためには、触媒20の温度を活性温度以上にして触媒20を活性化させる必要がある。しかしながら、始動直後の内燃機関では、触媒20の温度が活性温度よりも低いことがある。そこで、本実施形態の内燃機関では、アイドリング中のような無負荷又は軽負荷運転中に、触媒20が活性していない場合、触媒20を活性化させるために触媒20の暖機が行われる。
ところで、触媒ケーシング22に内蔵された三元触媒のような触媒20において排気ガス中の有害物質(CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)等)を効率良く浄化するためには、触媒20の温度を活性温度以上にして触媒20を活性化させる必要がある。しかしながら、始動直後の内燃機関では、触媒20の温度が活性温度よりも低いことがある。そこで、本実施形態の内燃機関では、アイドリング中のような無負荷又は軽負荷運転中に、触媒20が活性していない場合、触媒20を活性化させるために触媒20の暖機が行われる。
本実施形態では、未燃燃料が排気ポート10において燃焼する後燃えという現象を利用して触媒20の暖機が行われる。後燃えが発生すると、燃焼による酸化熱によって排気ポート10を流通する排気ガスが加熱される。その後、加熱された排気ガスが触媒ケーシング22に流入するので、触媒ケーシング22内の触媒20が加熱される。詳細は後述するが、本実施形態では、点火時期の遅角、吸入空気の過給及びバルブオーバーラップを組み合わせることで後燃えを促進させる。なお、バルブオーバーラップとは、吸気弁7の開弁期間と排気弁9の開弁期間とが部分的に重なることを意味する。
具体的には、触媒20の暖機中には、ECU30によって点火プラグ6の点火時期が圧縮上死点から遅角した時期(例えば5°〜20°ATDC)にされる。したがって、触媒20の暖機中には、触媒20の暖機完了後に比べて点火時期が遅角せしめられる。このことによって、点火時期から排気弁9の開弁時期までのクランク角が小さくなるので、燃焼室5に供給された燃料の一部が未燃状態で排気ポート10に流入し、後燃えが発生する。
また、触媒20の暖機中には、燃焼室5に供給される空気、すなわち吸入空気の過給(吸入空気の圧力の増大)が行われると共にバルブオーバーラップ量が増大せしめられる。したがって、触媒20の暖機中には触媒20の暖機完了後に比べて、吸入空気の圧力が高められると共にバルブオーバーラップ量が増大せしめられる。吸入空気の過給は、ECU30によって過給器28を作動させることによって行われる。吸入空気の過給は、吸気ポート8内の空気の圧力が排気ポート10内の排気ガスの圧力よりも高くなるように行われる。特に、本実施形態では、過給器28による吸入空気の過給は、吸入空気の圧力が大気圧よりも高くなるように行われる。
また、バルブオーバーラップ量は、ECU30によって吸気弁7の可変バルブタイミング機構B及び排気弁9の可変バルブタイミング機構Cの少なくともいずれか一方を制御することによって増大せしめられる。具体的には、バルブオーバーラップ量の増大は、吸気弁7の開弁時期を進角させること及び排気弁9の閉弁時期を遅角させることの少なくともいずれか一方によって行われる。
触媒20の暖機中に過給器28の動作及びバルブオーバーラップ量をこのように制御することにより、後燃えを促進させることができる。すなわち、過給器28による過給が行われると、吸気ポート8内の圧力が排気ポート10内の圧力よりも高くなる。このため、過給時にバルブオーバーラップ量を増大させると、吸気ポート8から排気ポート10へと吹き抜ける混合気の量(吹き抜け量)が増大する。この結果、排気ポート10内に流入する混合気が増大し、このことによって後燃えが促進される。
なお、吸気ポート8から排気ポート10へ燃焼室5を通って混合気が吹き抜ける吹き抜け量は、バルブオーバーラップが発生していれば、過給器28によって吸入空気の圧力を高めることのみによっても増大させることができる。したがって、触媒20の暖機中に混合気の吹き抜け量を増大させることができれば、必ずしも触媒20の暖機完了後に比べてバルブオーバーラップ量を増大させる必要はない。
<可変圧縮比機構を備えた内燃機関における過給の問題点>
上述したように、過給器28による空気の過給が行われると、混合気の吹き抜け量が増大し、排気ガスの後燃えが促進される。しかしながら、過給器28による空気の過給が行われると、燃焼室5に吸入される吸入空気量も増加する。また、燃焼室5に供給される燃料量は、燃焼室5内で燃焼される混合気の空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)となるように制御される。このため、吸入空気量が増加すると、燃焼室5に供給される燃料量も増加し、燃焼トルクが増大する。しかしながら、触媒20の暖機がアイドリング中のような無負荷又は軽負荷運転中に行われると、必要な燃焼トルクは非常に小さい。このため、触媒20の暖機のために後燃えを促進させるためには、空気の過給による燃焼トルクの増大を低減する必要がある。
上述したように、過給器28による空気の過給が行われると、混合気の吹き抜け量が増大し、排気ガスの後燃えが促進される。しかしながら、過給器28による空気の過給が行われると、燃焼室5に吸入される吸入空気量も増加する。また、燃焼室5に供給される燃料量は、燃焼室5内で燃焼される混合気の空燃比が目標空燃比(例えば理論空燃比)となるように制御される。このため、吸入空気量が増加すると、燃焼室5に供給される燃料量も増加し、燃焼トルクが増大する。しかしながら、触媒20の暖機がアイドリング中のような無負荷又は軽負荷運転中に行われると、必要な燃焼トルクは非常に小さい。このため、触媒20の暖機のために後燃えを促進させるためには、空気の過給による燃焼トルクの増大を低減する必要がある。
例えば、点火時期を圧縮上死点から大幅に遅角させた時期(例えば30°ATDC)にすることで、アイドリング中に必要なトルクまで燃焼トルクを減少させることができる。しかしながら、点火時期を圧縮上死点から大幅に遅角させることは燃焼安定性を悪化させる。このため、燃焼安定性の悪化を抑制するためには、スプレーガイド方式やウォールガイド方式といった直噴方式による成層燃焼を行う必要がある。
ところで、可変圧縮比機構Aを備えた内燃機関では、その燃焼効率を高めるためには、変更可能な機械圧縮比の最大値が高いことが好ましい。本実施形態では、例えば、可変圧縮比機構Aによって変更可能な機械圧縮比の最大値は20以上とされる。ところが、機械圧縮比の最大値をできるだけ高めるためには、圧縮上死点における燃焼室5の容積が小さくなるようにピストンの頂面形状を設計することが必要になる。このため、変更可能な機械圧縮比の最大値が20以上となるような可変圧縮比機構Aを備えた内燃機関では、ピストン形状の設計自由度が小さく、スプレーガイド方式やウォールガイド方式といった直噴方式を採用することが困難である。したがって、可変圧縮比機構Aを備えた内燃機関では、燃焼安定性の悪化を抑制すべく、点火時期の大幅遅角以外の方法で空気の過給による燃焼トルクの増大を低減することが望ましい。
<暖機中の制御>
そこで、本実施形態では、可変圧縮比機構Aを備えた内燃機関において、上述したように後燃えを利用して触媒20の暖機を行う際に、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御すると共に可変圧縮比機構Aによって機械圧縮比を増大させるように制御している。以下では、吸気弁7の閉弁時期及び機械圧縮比の制御について詳細に説明する。
そこで、本実施形態では、可変圧縮比機構Aを備えた内燃機関において、上述したように後燃えを利用して触媒20の暖機を行う際に、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御すると共に可変圧縮比機構Aによって機械圧縮比を増大させるように制御している。以下では、吸気弁7の閉弁時期及び機械圧縮比の制御について詳細に説明する。
<可変バルブタイミング機構の制御>
本実施形態では、燃焼室5に供給される空気の過給による燃焼トルクの増大を低減するために、触媒20の暖機を行う場合には、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように遅角された時期に制御される。このように、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように遅角させると、吸気弁7が閉弁するときの燃焼室5の容積が小さくなるため、吸気弁7の閉弁時に燃焼室5内に吸入されている空気量、すなわち吸入空気量が減少する。したがって、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように遅角させると、吸入空気量が減少し、その結果、燃焼トルクが減少することになる。
本実施形態では、燃焼室5に供給される空気の過給による燃焼トルクの増大を低減するために、触媒20の暖機を行う場合には、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように遅角された時期に制御される。このように、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように遅角させると、吸気弁7が閉弁するときの燃焼室5の容積が小さくなるため、吸気弁7の閉弁時に燃焼室5内に吸入されている空気量、すなわち吸入空気量が減少する。したがって、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように遅角させると、吸入空気量が減少し、その結果、燃焼トルクが減少することになる。
特に、本実施形態では、触媒20の暖機中に触媒20の暖機完了後に比べて過給によって燃焼室に供給される空気の圧力が増大しても、触媒20の暖機完了後に比べて吸入空気量が変化しないように、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように遅角される。換言すると、本実施形態では、過給器28の使用に伴う吸入空気の増大分を吸気弁7の閉弁時期の遅角によって相殺することができるように吸気弁7の閉弁時期が遅角せしめられる。
なお、上記実施形態では、触媒20の暖機を行う場合には、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期が遅角される。しかしながら、触媒20の暖機を行う場合には、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように進角された時期に制御されてもよい。このように吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように進角させたときも、吸気弁7が閉弁するときの燃焼室5の容積が小さくなるため、燃焼室5に吸入される吸入空気量が減少する。したがって、これらを総合して勘案すると、本実施形態では、触媒20の暖機を行う場合には、暖機完了後に比べて吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御しているといえる。
上述したように、触媒20の暖機を行う場合には、触媒20の暖機完了後に比べて、バルブオーバーラップ量が増大せしめられる。これに加えて、本実施形態では、触媒20の暖機を行う場合には、触媒20の暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように制御される。以下では、図6を参照して、バルブオーバーラップ量の増大と吸気下死点から離れた時期になるような吸気弁7の閉弁時期の制御とを同時に行った場合の可変バルブタイミング機構Bの制御の例について説明する。
図6(A)は、触媒20の暖機完了後における吸気弁7の閉弁時期及び吸気弁7と排気弁9とのバルブオーバーラップを示している。図示した例では、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点に一致すると共に、バルブオーバーラップが発生しておらず、よってバルブオーバーラップ量はゼロとされている。図6(B)は、触媒20の暖機中における吸気弁7の閉弁時期及びバルブオーバーラップを示している。図6(B)に示した例では、触媒20の暖機中には、可変バルブタイミング機構Bのカム作用角変更部B2を制御することによって、触媒20の暖機中に比べて吸気弁7の作用角が増大せしめられる。この結果、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように遅角される。加えて、吸気弁7の開弁時期が進角されており、これにより吸気弁の暖機中に比べて、バルブオーバーラップ量が増大せしめられる。なお、図6(B)における吸気弁7の位相角は図6(A)の例と同一である。
なお、触媒20の暖機中には、図6(C)に示したように、吸気弁7の閉弁時期及びバルブオーバーラップ量を設定することも可能である。図6(C)に示した例では、可変バルブタイミング機構Bのカム位相変更部B1を制御することによって、吸気弁7の位相角が図6(A)の例よりも進角されている。この結果、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように進角される。加えて、吸気弁7の開弁時期も進角されており、これにより図6(A)に示した吸気弁の暖機中に比べて、バルブオーバーラップ量が増大せしめられる。なお、図6(C)における吸気弁7の作用角は図6(A)の例と同一である。
なお、バルブオーバーラップ量を増大させると共に吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御するために、可変バルブタイミング機構Bのカム位相変更部B1及びカム作用角変更部B2の両方を制御して吸気弁7の位相角及び作用角の両方を制御してもよい。また、バルブオーバーラップ量を増大させると共に吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御するために、吸気弁7の可変バルブタイミング機構B及び排気弁9の可変バルブタイミング機構Cの両方を制御してもよい。
<機械圧縮比の変更>
本実施形態では、触媒20の暖機を行う場合には、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御することに加えて、機械圧縮比が増大せしめられる。すなわち、本実施形態では、触媒20の暖機を行う場合には、吸気弁7の閉弁時期の変更に伴う実圧縮比の低下が小さくなるように、暖機完了後に比べて機械圧縮比が増大せしめられる。特に、本実施形態では、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下がゼロになるように機械圧縮比が増大せしめられる。
本実施形態では、触媒20の暖機を行う場合には、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御することに加えて、機械圧縮比が増大せしめられる。すなわち、本実施形態では、触媒20の暖機を行う場合には、吸気弁7の閉弁時期の変更に伴う実圧縮比の低下が小さくなるように、暖機完了後に比べて機械圧縮比が増大せしめられる。特に、本実施形態では、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下がゼロになるように機械圧縮比が増大せしめられる。
最初に、図7を参照して、機械圧縮比及び実圧縮比について説明する。図7は、機械圧縮比及び実圧縮比を説明するための図である。図7には、説明のために燃焼室容積が50mlでピストンの行程容積が500mlである内燃機関が示されている。なお、図7において、燃焼室容積とはピストンが圧縮上死点に位置するときの燃焼室の容積を表している。
図7(A)は機械圧縮比について説明している。機械圧縮比は、圧縮行程時のピストンの行程容積及び燃焼室容積から機械的に定まる値であり、(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。図7(A)に示される例ではこの機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11となる。
図7(B)は実圧縮比について説明している。実圧縮比は、実際に圧縮作用が開始されたときからピストンが上死点に達するまでの実際のピストン行程容積と燃焼室容積から定まる値であり、(燃焼室容積+実際の行程容積)/燃焼室容積で表される。すなわち、図7(B)に示されるように圧縮行程においてピストンが上昇を開始しても吸気弁が開弁している間は圧縮作用は行われず、吸気弁が閉弁したときから実際の圧縮作用が開始される。この結果、図7(B)に示される例では実圧縮比は(50ml+450ml)/50ml=10となる。
吸気弁の閉弁時期が吸気下死点に一致している場合、ピストンの行程容積と実際の行程容積とが同一であるため、機械圧縮比と実圧縮比とは同一である。一方、図7(B)に示されるように、吸気弁の閉弁時期が吸気下死点から遅角された場合、ピストンの実際の行程容積がピストンの行程容積よりも小さくなるため、実圧縮比は機械圧縮比よりも小さくなる。また、吸気弁の閉弁時期が吸気下死点から進角された場合も、ピストンの実際の行程容積がピストンの行程容積よりも小さくなるため、実圧縮比は機械圧縮比よりも小さくなる。
次に図8を参照して、可変圧縮比機構Aによって機械圧縮比を増大させることで、吸気弁7の閉弁時期を遅角させたとしても、実圧縮比を維持することができる原理について説明する。図8(A)は、触媒20の暖機完了後に行われるサイクル、すなわち吸気弁7が吸気下死点近傍で閉弁する場合のサイクルを示している。図8(B)は、可変圧縮比機構Aによって機械圧縮比が増大せしめられると共に、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から遅角される場合のサイクルを示している。
図8(A)に示す例でも、図7に示す例と同様に燃焼室容積が50mlとされ、ピストンの行程容積が500mlとされている。図8(A)からわかるように通常のサイクルでは機械圧縮比は(50ml+500ml)/50ml=11であり、実圧縮比もほぼ11となる。すなわち、通常の内燃機関では機械圧縮比と実圧縮比とがほぼ等しくなる。
一方、図8(B)の例では、可変圧縮比機構Aによってシリンダブロック2とクランクケース1との相対距離を小さくした結果、燃焼室容積が50mlから20mlに減少している。また、可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように遅角させた結果、実際のピストン行程容積が500mlから200mlに減少している。この結果、この例では機械圧縮比は(20ml+500ml)/20ml=26となる。また、実圧縮比は、(20ml+200ml)/20ml=11となり、図8(A)に示す例と等しい。したがって、可変圧縮比機構Aによって機械圧縮比を増大させることで、吸気弁7の閉弁時期を遅角させたとしても、実圧縮比を維持することができる。なお、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から進角させた場合についても同様である。
ここで、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御すると、実圧縮比が低下するため、燃焼安定性が悪化する。しかしながら、本実施形態では、触媒20の暖機中において、触媒20の暖機完了後に比べて可変圧縮比機構Aによって機械圧縮比が高くされる。これにより、吸気弁7の閉弁時期の変更に伴う実圧縮比の低下、ひいては燃焼安定性の悪化を抑制することができる。また、本実施形態では、点火時期が圧縮上死点から遅角されるので、機械圧縮比を高くしても燃焼トルクはほとんど増大しない。
以上をまとめると、本実施形態の内燃機関によれば、無負荷運転中又は軽負荷運転中において、触媒20の暖機中には暖機完了後に比べて点火時期が遅角せしめられると共にバルブオーバーラップ中に混合気が燃焼室を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように過給器28の動作及びバルブオーバーラップ量が制御される。また、燃焼室5に供給される空気の圧力が増大するように過給器28の動作が制御される。このため、排気ガスの後燃えを促進させることができる。加えて、本実施形態の内燃機関によれば、触媒20の暖機中には、暖機完了後に比べて、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点から離れるように制御されると共に、暖機完了後に比べて吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように機械圧縮比が増大せしめられる。これにより、過給器28の動作に伴う燃焼トルクの増大を抑制しつつ、燃焼安定性の悪化を抑制することができる。したがって、触媒20の温度を適切に上昇させることができる。
<触媒暖機処理のタイムチャート>
以下、図9を参照して、内燃機関始動後の触媒暖機処理について説明する。図9は、内燃機関始動後における機関回転数Ne、吸気管圧力Pm、スロットル開度、過給のオンオフ、点火時期SA、吸気弁閉弁時期IVC、機械圧縮比、実圧縮比、バルブオーバーラップ量、触媒温度の概略的なタイムチャートである。なお、吸気管圧力Pmとは、スロットル弁17の下流側の吸気通路、例えば吸気ポート8内の圧力を意味する。
以下、図9を参照して、内燃機関始動後の触媒暖機処理について説明する。図9は、内燃機関始動後における機関回転数Ne、吸気管圧力Pm、スロットル開度、過給のオンオフ、点火時期SA、吸気弁閉弁時期IVC、機械圧縮比、実圧縮比、バルブオーバーラップ量、触媒温度の概略的なタイムチャートである。なお、吸気管圧力Pmとは、スロットル弁17の下流側の吸気通路、例えば吸気ポート8内の圧力を意味する。
図9の例では、時刻0において内燃機関が始動される。内燃機関が始動されると、スタータモータによってクランクシャフトが回転せしめられる。その後、時刻t1において混合気の燃焼が発生し、機関回転数Neが急上昇する。エンジンの吹き上がりが終了すると、時刻t2において、触媒20が活性しているか否かが判定される。なお、図9の例では、時刻t2において、内燃機関はアイドリング状態にあり、機関負荷は無負荷である。
時刻t2において、触媒20が活性していない場合、触媒20の暖機処理が開始される。最初に、過給器28が作動され、燃焼室5に供給される空気の過給が行われる。また、点火時期SAが圧縮上死点から徐々に遅角される。点火時期SAが遅角されると、燃焼室5に供給された燃料の一部が未燃状態で排気ポート10に流入し、後燃えが発生する。このとき、過給器28の作動に伴って吸入空気量が増大することによる燃焼トルクの増大は、点火時期SAを遅角させることによる燃焼トルクの減少によって相殺され、燃焼トルクは一定のまま維持される。
時刻t3において吸気管圧力Pmが大気圧に到達すると、可変バルブタイミング機構B及び可変バルブタイミング機構Cの少なくともいずれか一方によってバルブオーバーラップ量が大きくされる。その後、吸気管圧力Pmが排気ポート10内の圧力よりも高くなるため、吸気ポート8から排気ポート10へと混合気が流入し、後燃えが促進される。
空気の過給によって燃焼トルクが増大するため、時刻t3において可変バルブタイミング機構Bによって吸気弁閉弁時期IVCが遅角される。このことによって燃焼トルクの増大が抑制される。また、吸気弁閉弁時期IVCの遅角のみが行われると、実圧縮比が低下し、燃焼安定性が悪化する。燃焼安定性の悪化を抑制するために、時刻t3において可変圧縮比機構Aによって機械圧縮比が増大せしめられる。このことによって実圧縮比が一定の値に維持される。
時刻t4において、吸気管圧力Pmが飽和すると、その後、吸気弁閉弁時期IVC、機械圧縮比及びバルブオーバーラップ量は一定の値に維持される。その後、触媒20が暖機され、t5において触媒温度が活性化温度以上になると、触媒20の暖機処理が終了する。
時刻t5において、触媒20の暖機処理が終了すると、もはや後燃えを発生させる必要がなくなり、よって混合気の吹き抜け量を多く維持する必要がなくなる。このため、時刻t5において触媒20の暖機処理が終了すると、このときの機関負荷が無負荷又は軽負荷であることから、過給器28の作動が停止される。この結果、過給器28による過給が行われなくなる。また、触媒20の暖機処理が終了すると、バルブオーバーラップ量が減少せしめられる。図9に示した例では、時刻t5においてバルブオーバーラップ量はゼロにされる。
一方、過給器28の作動が停止されると、燃焼室5に吸入される吸入空気量が減少せしめられる。そこで、時刻t5においては、過給器28の作動停止に伴う吸入空気量の減少を補償すべく、吸気弁7の閉弁時期が吸気下死点に近づくように進角される。また、吸気弁7の閉弁時期を進角させると、これに伴って実圧縮比が増大する。そこで、時刻t5においては、吸気弁7の閉弁時期の進角に伴う実圧縮比の増大を抑制すべく、機械圧縮比が低下せしめられる。
上記のように、点火時期の遅角、燃焼室5に供給される空気の過給及びバルブオーバーラップを組み合わせることで後燃えが促進される。また、空気の過給による燃焼トルクの増大が吸気弁閉弁時期IVCの遅角によって抑制される。さらに、機械圧縮比を増大させることで、吸気弁閉弁時期IVCを遅角させても実圧縮比を維持することができる。この結果、可変圧縮比機構Aによって変更可能な機械圧縮比の最大値が20以上であったとしても、燃焼安定性の悪化が抑制される。
なお、図9に示したタイムチャートは、説明を分かりやすくするための単なる例である。例えば、機関負荷が無負荷又は軽負荷である場合、触媒20が活性していると判定したときに比べて点火時期を遅角させ、触媒20が活性していると判定したときに比べてバルブオーバーラップ中に混合気が燃焼室5を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように過給器28の動作及びバルブオーバーラップ量を制御し、触媒20が活性していると判定したときに比べて燃焼室5に供給される空気の圧力が増大するように過給器28の動作を制御し、触媒20が活性していると判定したときに比べて吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御し、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように触媒20が活性していると判定したときに比べて機械圧縮比を増大させれば、点火時期SA、吸気弁閉時期IVC、バルブオーバーラップ及び機械圧縮比の制御は図9の例とは異なっていてもよい。例えば、時刻t3において吸気弁閉弁時期IVCを吸気下死点から離れるように遅角させる代わりに進角させてもよい。
<触媒暖機処理の制御ルーチン>
以下、図10を参照して、本発明の実施形態における触媒暖機処理の制御ルーチンについて説明する。本実施形態では、ECU30は、機関負荷が予め定められた基準負荷以下である場合、触媒20が活性していないと判定したときには、触媒20が活性していると判定したときに比べて点火時期を遅角させ、触媒20が活性していると判定したときに比べてバルブオーバーラップ中に混合気が燃焼室5を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように過給器28の動作及びバルブオーバーラップ量を制御し、触媒20が活性していると判定したときに比べて燃焼室5に供給される空気の圧力が増大するように過給器28の動作を制御し、触媒20が活性していると判定したときに比べて吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御し、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように触媒20が活性していると判定したときに比べて機械圧縮比を増大させるように制御する。
以下、図10を参照して、本発明の実施形態における触媒暖機処理の制御ルーチンについて説明する。本実施形態では、ECU30は、機関負荷が予め定められた基準負荷以下である場合、触媒20が活性していないと判定したときには、触媒20が活性していると判定したときに比べて点火時期を遅角させ、触媒20が活性していると判定したときに比べてバルブオーバーラップ中に混合気が燃焼室5を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように過給器28の動作及びバルブオーバーラップ量を制御し、触媒20が活性していると判定したときに比べて燃焼室5に供給される空気の圧力が増大するように過給器28の動作を制御し、触媒20が活性していると判定したときに比べて吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御し、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように触媒20が活性していると判定したときに比べて機械圧縮比を増大させるように制御する。
図10は、本発明の実施形態における触媒暖機処理の制御ルーチンを示すフローチャートである。図示した制御ルーチンは、内燃機関の始動後、一定時間間隔の割り込みによって実行される。
本実施形態では、まず、ステップS1において、機関負荷が算出される。機関負荷は、例えば、負荷センサ41の出力に基づいて算出される。
次いで、ステップS2では、機関負荷が予め定められた基準負荷以下であるか否かが判定される。機関負荷が基準負荷よりも大きいと判定された場合、本制御ルーチンは終了する。一方、機関負荷が予め定められた基準負荷以下であると判定された場合、例えば内燃機関がアイドリング状態にある場合には、ステップS3へと進む。
ステップS3では、触媒20が活性しているか否かが判定される。この判定は、例えば、触媒20の温度が予め定められた基準温度以上であるか否かを判定することによって行われる。触媒20の温度が予め定められた基準温度以上である場合、触媒20は活性していると判定される。触媒20の温度は、例えば触媒20の上流側の排気通路又は触媒20に設けられた温度センサ(図示せず)によって検出される。触媒20が活性していると判定された場合、ステップS4へと進む。
ステップS4では、触媒20の暖機が不要であるため、通常の制御が実施される。この制御では、燃焼室5に供給される空気の圧力が大気圧よりも低くなる程度に過給器28を作動させるか又は過給器28を停止させる。また、通常の制御では、例えば、点火時期を燃焼トルクが最大となる点火時期(MBT)に設定し、吸気弁閉弁時期を吸気下死点に設定し、バルブオーバーラップ量をゼロに設定し、機械圧縮比を目標実圧縮比に設定する。目標実圧縮比は例えば内燃機関の水温及び機関回転数に基づいて算出される。
一方、ステップS3において触媒20が活性していないと判定された場合、ステップS5へと進み、触媒20の暖機が開始される。
ステップS5では、目標点火時期が算出される。目標点火時期は内燃機関の水温及び機関負荷に基づいて算出される。内燃機関の水温は例えば水温センサによって検出される。目標点火時期の遅角量は、例えば、内燃機関の水温が低いほど遅角され、機関負荷が小さいほど遅角される。また、目標点火時期は、ステップS4の通常制御において設定される点火時期よりも遅角される。なお、目標点火時期は内燃機関の水温及び機関負荷の関数としてマップの形態で予めROM32に記憶されてもよい。
また、ステップS5では、目標過給圧が算出される。目標過給圧はスロットル開度に基づいて算出される。目標過給圧は、例えばスロットル開度が大きいほど高くされる。また、目標過給圧は、大気圧以上であり、ステップS4の通常制御において設定される過給圧よりも高くされる。なお、過給圧はスロットル開度の関数としてマップの形態で予めROM32に記憶されてもよい。
次いで、ステップS6では、ステップS5において算出された目標点火時期に基づいて点火プラグ6を制御することによって点火時期が遅角される。このことによって、燃焼室5に供給された燃料の一部が未燃状態で排気ポート10に流入し、後燃えが発生する。また、ステップS6では、ステップS5において算出された目標過給圧に基づいて過給器28が作動される。
次いで、ステップS7では、吸気管圧力が大気圧以上であるか否かが判定される。なお、吸気管圧力とは、スロットル弁17の下流側の吸気通路、例えば吸気ポート8内の圧力を意味する。吸気管圧力が大気圧未満であると判定された場合、本制御ルーチンは終了する。したがって、吸気管圧力が大気圧未満であるときには、主に点火時期の遅角による後燃えによって触媒20の暖機が促進される。一方、吸気管圧力が大気圧以上であると判定された場合、ステップS8へと進む。
次いで、ステップS8では、ステップS5において算出された目標点火時期に基づいて機関負荷率が補正される。このとき機関負荷率は、目標点火時期が遅角されるほど機関負荷率が大きく増大されるように補正される。次いで、ステップS9では、目標バルブオーバーラップ量が算出される。目標バルブオーバーラップ量は、ステップS5において算出された目標過給圧と、ステップS8において補正された機関負荷率とに基づいて算出される。目標バルブオーバーラップ量は、例えば、目標過給圧が低いほど大きく、補正された機関負荷率が大きいほど大きくされる。また、目標バルブオーバーラップ量は、ステップS4の通常制御中に比べてバルブオーバーラップ中に混合気が燃焼室5を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように設定される。なお、目標バルブオーバーラップ量は目標過給圧及び補正された機関負荷率の関数としてマップの形態で予めROM32に記憶されてもよい。
また、ステップS9では、目標吸気弁閉弁時期が算出される。目標吸気弁閉弁時期は、ステップS5において算出された目標過給圧と、ステップS8において補正された機関負荷率とに基づいて算出される。目標吸気弁閉弁時期の吸気下死点からの遅角量は、例えば、目標過給圧が高いほど大きく、補正された機関負荷率が小さいほど大きくされる。また、目標吸気弁閉弁時期は、ステップS4の通常制御において算出される吸気弁閉弁時期よりも吸気下死点から大きく遅角した時期に設定される。なお、目標吸気弁閉弁時期は目標過給圧及び補正された機関負荷率の関数としてマップの形態で予めROM32に記憶されてもよい。また、好ましくは、目標吸気弁閉弁時期は、過給器28の作動によってステップS4の通常制御中に比べて燃焼室5に供給される空気の圧力が増大してもステップS4の通常制御中に比べて吸入空気量が変化しないように、吸気下死点から遅角した時期に設定される。このことによって、過給器28の作動によってステップS4の通常制御中に比べて燃焼室5に供給される空気の圧力が増大することによる燃焼トルクの増大をゼロにすることができ、よってトルクショックの発生を抑制することができる。
さらに、ステップS9では、目標実圧縮比が算出される。目標実圧縮比は内燃機関の水温及び機関回転数に基づいて算出される。目標実圧縮比は、例えば、内燃機関の水温が低いほど高くされ、機関回転数が高いほど高くされる。なお、目標実圧縮比は内燃機関の水温及び機関回転数の関数としてマップの形態で予めROM32に記憶されてもよい。
次いで、ステップS10では、目標機械圧縮比が算出される。目標機械圧縮比は、ステップS9において算出された目標吸気弁閉弁時期及び目標実圧縮比に基づいて算出される。目標機械圧縮比は、例えば、目標吸気弁閉弁時期の吸気下死点からの遅角量が多いほど高くされ、目標実圧縮比が高いほど高くされる。また、目標機械圧縮比は、吸気弁閉弁時期を吸気下死点から遅角させたことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように、ステップS4の通常制御において設定される機械圧縮比よりも増大せしめられる。なお、目標機械圧縮比は目標吸気弁閉弁時期及び目標実圧縮比の関数としてマップの形態で予めROM32に記憶されてもよい。また、好ましくは、目標機械圧縮比は、吸気弁閉弁時期を吸気下死点から遅角させたことに伴う実圧縮比の低下がゼロになるように設定される。このことによって、目標吸気弁閉弁時期を通常制御のときよりも吸気下死点から離したとしても、実圧縮比が低下しないため、燃焼安定性が悪化しない。
次いで、ステップS11では、ステップS9において算出された目標バルブオーバーラップ量及び目標吸気弁閉弁時期に基づいて可変バルブタイミング機構Bが制御される。吸気管圧力が大気圧以上となっているため、目標バルブオーバーラップ量を発生させることによって、混合気が燃焼室5を吹き抜けるようになり、後燃えが促進される。また、吸気弁閉弁時期を吸気下死点から遅角させることによって、過給器28の作動による吸入空気量の増加、ひいては燃焼トルクの増大を低減することができる。なお、これらの制御は可変バルブタイミング機構B及び可変バルブタイミング機構Cの両方によって制御されてもよい。
また、ステップS11では、ステップS10において算出された目標機械圧縮比に基づいて可変圧縮比機構Aが制御される。このことによって、吸気弁7の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下を抑制することができる。
ステップS11の後、本制御ルーチンは終了する。本制御ルーチンの全ての制御はECU30によって行われる。なお、ステップS9において、目標吸気弁閉弁時期は、ステップS4の通常制御において算出される吸気弁閉弁時期よりも吸気下死点から進角した時期に設定されてもよい。すなわち、目標吸気弁閉弁時期は、ステップS4の通常制御において算出される吸気弁閉弁時期よりも吸気下死点から離れた時期であれば、吸気下死点から遅角した時期であっても進角した時期であってもよい。
以上、本発明に係る好適な実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載内で様々な修正及び変更を施すことができる。
1 クランクケース
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
6 点火プラグ
7 吸気弁
8 吸気ポート
9 排気弁
10 排気ポート
20 触媒
28 過給器
30 電子制御ユニット(ECU)
A 可変圧縮比機構
B、C 可変バルブタイミング機構
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 ピストン
5 燃焼室
6 点火プラグ
7 吸気弁
8 吸気ポート
9 排気弁
10 排気ポート
20 触媒
28 過給器
30 電子制御ユニット(ECU)
A 可変圧縮比機構
B、C 可変バルブタイミング機構
Claims (4)
- 排気通路に配置された触媒と、
燃焼室に配置された点火プラグと、
前記燃焼室に供給される空気を過給することができる過給器と、
吸気弁の閉弁時期及び前記吸気弁と排気弁とのバルブオーバーラップ量を変更可能な可変バルブタイミング機構と、
機械圧縮比を変更可能な可変圧縮比機構と、
前記点火プラグ、過給器、可変バルブタイミング機構及び可変圧縮比機構を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、機関負荷が予め定められた基準負荷以下である場合、前記触媒が活性していないと判定したときには、前記触媒が活性していると判定したときに比べて点火時期を遅角させ、前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記バルブオーバーラップ中に混合気が前記燃焼室を吹き抜ける吹き抜け量が多くなるように前記過給器の動作及びバルブオーバーラップ量を制御し、前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記燃焼室に供給される空気の圧力が増大するように前記過給器の動作を制御し、前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御し、前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下が小さくなるように前記触媒が活性していると判定したときに比べて機械圧縮比を増大させるように制御する、内燃機関。 - 前記制御装置は、機関負荷が予め定められた基準負荷以下である場合、前記触媒が活性していると判定したときには、前記燃焼室に供給される空気の圧力が大気圧よりも低くなる程度に前記過給器を作動させるか又は前記過給器を停止させ、
前記触媒が活性していないと判定したときには、前記燃焼室に供給される空気の圧力が大気圧以上になるように前記過給器を作動させ、該過給器の作動によって前記触媒が活性していないと判定したときに比べて前記燃焼室に供給される空気の圧力が増大しても前記触媒が活性していないと判定したときに比べて吸入空気量が変化しないように、前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離れるように制御する、請求項1に記載の内燃機関。 - 前記制御装置は、前記触媒が活性していないと判定したときには前記触媒が活性していると判定したときに比べて前記吸気弁の閉弁時期を吸気下死点から離したことに伴う実圧縮比の低下をゼロにすべく機械圧縮比を増大させるように前記可変圧縮比機構を制御する、請求項1又は2に記載の内燃機関。
- 前記可変圧縮比機構によって変更可能な機械圧縮比の最大値が20以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2014
- 2014-12-26 JP JP2014266593A patent/JP2016125417A/ja active Pending
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