JP2016124852A - ヒアルロン酸産生促進剤 - Google Patents

ヒアルロン酸産生促進剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2016124852A
JP2016124852A JP2015002408A JP2015002408A JP2016124852A JP 2016124852 A JP2016124852 A JP 2016124852A JP 2015002408 A JP2015002408 A JP 2015002408A JP 2015002408 A JP2015002408 A JP 2015002408A JP 2016124852 A JP2016124852 A JP 2016124852A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fraction
hyaluronic acid
acid production
basic protein
milk
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015002408A
Other languages
English (en)
Inventor
義彦 高野
Yoshihiko Takano
義彦 高野
聡志 日暮
Satoshi Higure
聡志 日暮
裕子 春田
Hiroko Haruta
裕子 春田
敏也 小林
Toshiya Kobayashi
敏也 小林
幸男 門岡
Yukio Kadooka
幸男 門岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority to JP2015002408A priority Critical patent/JP2016124852A/ja
Publication of JP2016124852A publication Critical patent/JP2016124852A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Cosmetics (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課 題】
安全性の点で問題のないヒアルロン酸産生促進剤を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような物質を配合したヒアルロン酸産生促進用サプリメント、飲食品及びヒアルロン酸産生促進用化粧料を提供することを課題とする。
【解決手段】
SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物をヒアルロン酸産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進用サプリメント、飲食品及びヒアルロン酸産生促進用化粧料の有効成分とする。このSDF−1には、ヒアルロン酸量を増加させる働きがある。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚の荒れ、シワ、弾性低下、関節機能低下等を防止するのに有用なヒアルロン酸産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進用サプリメント、飲食品及びヒアルロン酸産生促進用化粧料に関する。
近年、光老化という、長年において肌に紫外線が照射され続けることによる、しみ、皺、たるみなどの肌の障害を防止することに関して、多くの研究がなされている。
皮膚はおおまかに皮膚表面に存在する表皮と表皮の下部に存在する真皮からなる。表皮は主に外部からの異物や病原菌、紫外線から保護するバリアー機能や、生体内からの物質の漏洩を防護する機能を有する。また真皮は表皮の約15〜40倍の厚さを持ち、皮膚の力学的強度を保つ役割を担っている。真皮はその乾燥重量の70%がコラーゲンからなる繊維成分であるが、真皮の線維と皮膚線維芽細胞との間には、糖蛋白質や、プロテオグリカンといった基質が存在する。プロテオグリカンは、糖蛋白質とグリコサミノグリカンといったムコ多糖とが結合した分子量10〜10kDa以上の巨大分子であり、真皮のグリコサミノグリカンは、主にヒアルロン酸やデルマタン硫酸からなるため、ヒアルロン酸は真皮における主要なマトリックス成分であると言える。
老化などの生理的要因や、太陽光などの紫外線、乾燥、酸化等などの外的環境の変化により皮膚の水分含量や真皮のヒアルロン酸量が低下すると、皮膚に皺が発生し、たるんだ状態を引き起こす。ヒアルロン酸は、主に皮膚の水分を保持する機能を有していることから、真皮中のヒアルロン酸含量を高めることによって、皮膚の水分含量の低下を防ぐことができると考えられ、皮膚における水分保持機能の改善剤として、ヒアルロン酸を配合した化粧料が数多く提案されている。しかしながら、これらの皮膚表面に塗布されたヒアルロン酸は、皮膚表面の保湿効果を発揮するのみであり、肌の機能低下を本質的に改善し得るものではない。
また、ヒアルロン酸は、高い相対分子量や低い脂溶性、生体膜障壁の通過困難性、大量の多糖分解酵素の存在といった理由から、経口投与した際の消化管からの吸収が悪いことが報告されている(特許文献1)。したがって、肌の機能低下を本質的に改善するためには、真皮層のヒアルロン酸の生合成を促進させる必要があり、これによって皮膚のシワやたるみを防止でき、しかも安全性の点でも問題のないヒアルロン酸産生促進剤が望まれていた。
これまで、ヒアルロン酸産生促進剤としては、インシュリン様成長因子−1(IGF-1)や上皮成長因子(EGF)、血漿由来成長因子(PDGF)-BB、インターロイキンン−1(IL-1)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β1などが知られているが、いずれも飲食品や化粧品、医薬品等として実用化に至っていない。
一方、関節液中のヒアルロン酸は、関節軟骨の表面を覆い、関節機能の円滑な作動に役立っている。正常人関節液中のヒアルロン酸濃度は約2.3mg/mLであるが、例えば、関節リウマチの場合、関節液中のヒアルロン酸濃度は約1.2mg/mLへと低下し、同時に関節液の粘度も著しく低下する。また、化膿性関節炎や痛風性関節炎などでも関節リウマチの場合と同様、ヒアルロン酸含量の低下が起こることが知られている(非特許文献1)。
上記疾患において、潤滑機能の改善、関節軟骨の被覆・保護、疼痛抑制及び病的関節液の性状改善をするために、関節液中のヒアルロン酸量を増加させることが行われている。例えば、関節リウマチ患者にヒアルロン酸ナトリウムの関節注入療法を行うと、上記の性状の改善が認められている(非特許文献2)。同様に、外傷性関節症、骨関節炎や変形性関節症においても、ヒアルロン酸の関節注入療法による改善効果が報告されている(非特許文献3)。
以上のことから、ヒアルロン酸産生の促進は、肌荒れ等の皮膚疾患、関節リウマチや外傷性関節症、骨関節炎、変形性関節症といった関節疾患の予防、治療に有効である。しかしながら、上記疾患の治療は長期にわたり、しかも医師の処方を必要とする。したがって、日常の生活の中で手軽に治療できるヒアルロン酸産生促進剤を含有するサプリメント、クリームあるいは飲食品が望まれていた。
ケモカインであるstromal cell derived factor 1 (SDF−1またはCXCL12、PBSF)は、Gタンパク質共役受容体であるCXCR4のリガンドであるが、そのSDF−1/CXCR4シグナル伝達系は、発生過程における造血・血管形成などの生理作用を有することが知られている。また、近年では、SDF−1はマウス背部の真皮に発現していることや、表皮の細胞増殖を促すことが報告されている。しかし、ヒアルロン酸を産生する機能についての報告はない。
特開 2009-500503
Journal of Cell Science, 第118巻, 1981頁, 2005年
本発明は、安全性の点で問題のないヒアルロン酸産生促進剤を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような物質を配合したヒアルロン酸産生促進用サプリメント、飲食品及びヒアルロン酸産生促進用化粧料を提供することを課題とする。
本発明者らは、これらの課題を解決するために、広く食品素材に含まれているヒアルロン酸産生促進作用を示す物質について、鋭意、探索を進めたところ、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物がヒアルロン酸産生量を増加させることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の態様を含むものである。
(1)乳塩基性タンパク質画分の分画物を有効成分とするヒアルロン酸生成促進剤。
(2)乳または乳由来の原料を陽イオン交換樹脂に接触させて塩基性タンパク質画分を吸着させ、前記樹脂に吸着した画分を塩濃度0.1M〜1.0Mの溶出液で溶出することによって第一の画分を得る第一工程と、
前記第一の画分を陽イオン交換樹脂に接触させて塩基性タンパク質を吸着させ、前記樹脂に吸着した画分を塩濃度1.0M〜2.0Mの溶出液で溶出することによって第二の画分を得る第二工程と、
前記第二の画分を、陽イオン交換樹脂に接触させて塩基性タンパク質を吸着させ、前記樹脂に吸着した画分を塩濃度1.0M〜2.0Mの溶出液で溶出することによって乳塩基性タンパク質画分を得る第三工程とを有する
(1)に記載のヒアルロン酸生成促進剤
(3)(1)又は(2)に記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を有効成分とするスキンケア剤。
(4)スキンケアが、肌荒れの予防及び/又は改善であることを特徴とする(3)に記載のスキンケア剤。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を配合したヒアルロン酸産生促進用サプリメント。
(6)(1)〜(4)のいずれかに記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を配合したヒアルロン酸産生促進用飲食品。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を配合したヒアルロン酸産生促進用化粧料。
本発明により、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を有効成分とするヒアルロン酸産促進剤、ヒアルロン酸産生促進用飲食品及びヒアルロン酸産生促進用化粧料が提供される。本発明のヒアルロン酸産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進用サプリメント、飲食品及びヒアルロン酸産生促進用化粧料は、皮膚のヒアルロン酸産生を促進させる作用を有し、皮膚のシワやたるみ、乾燥感や肌荒れの予防や治療に有用である。
実施例1の第二工程で得られたクロマトグラフである。 実施例1の第三工程で得られたクロマトグラフである。 SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物がヒアルロン酸合成酵素遺伝子(Has2)のmRNA発現へ及ぼす影響について比較したものである。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤の特徴は、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を有効成分とすることにある。本発明のSDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物はどのような由来のものであっても使用可能である。たとえば、SDF−1はウシ初乳中に含有されており、乳から回収したものであっても良く、生乳や粉乳、脱脂乳、還元乳等を原料として使用することも出来る。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、経口投与あるいは塗布することにより、ヒアルロン酸産生促進効果を発揮する。本発明のヒアルロン酸産生促進剤を経口投与するに際しては、有効成分であるSDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物をそのままの状態で用いることもできるが、常法に従い、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等に製剤化して用いることもできる。本発明において、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の経口剤は、例えば、澱粉、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法によって製剤化することが可能である。この種の製剤には、前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、着色料、香料等を適宜使用してもよい。結合剤としては、例えば、澱粉、デキストリン、アラビアガム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、結晶性セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドンが挙げられ、崩壊剤としては、例えば、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶性セルロース等が挙げられる。また、界面活性剤としては、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステル等、滑沢剤としては、タルク、ロウ、蔗糖脂肪酸エステル、水素添加植物油等、流動性促進剤としては無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
さらには、これらのSDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物をそのままあるいは製剤化した後、これをサプリメント、栄養剤や飲食品等に配合することも可能である。なお、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物は、比較的熱に対して安定であるので、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を含む原料を通常行われるような条件で加熱殺菌することも可能である。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤を塗布するに際しては、その使用目的に応じて、通常用いられる公知の成分に配合することによって、液剤、固形剤、半固形剤等の各種剤形に調製することが可能で、好ましい組成物として軟膏、ゲル、クリーム、スプレー剤、貼付剤、ローション、粉末等が挙げられる。例えば、本発明のヒアルロン酸産生促進剤をワセリン等の炭化水素、ステアリルアルコール、ミリスチン酸イソプロピル等の高級脂肪酸低級アルキルエステル、ラノリン等の動物性油脂、グリセリン等の多価アルコール、グリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸、ポリエチレングリコール等の界面活性剤、無機塩、ロウ、樹脂、水及び、要すればパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル等の保存料に混合することによって、ヒアルロン酸産生促進用化粧料や医薬品を製造することができる。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤の塗布による有効量は、剤形により異なるが、適用する組成物全量を基準として、好ましくは、0.001〜2重量%となるように、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を配合すれば良い。ただし、入浴剤のように使用時に希釈されるものは、さらに配合量を増やすことができる。
第一工程
陽イオン交換樹脂のスルホン化キトパール(富士紡績社製)400gを充填したカラム
(直径5cm×高さ30cm)を脱イオン水で十分洗浄した後、このカラムに未殺菌脱脂
乳40l(pH6.7)を流速25ml/分で通液した。通液後、このカラムを脱イオン
水で十分洗浄し、0.98M塩化ナトリウムを含む0.02M炭酸緩衝液(pH7.0)
で樹脂に吸着した塩基性タンパク質画分を溶出した。そして、この溶出液を逆浸透膜(R
O膜)により脱塩して、濃縮した後、凍結乾燥して、乳由来塩基性タンパク質画分粉末2
1gを得た。
第二工程
陽イオン交換樹脂SP SepharoseFFを充填したカラム(60ml)に、第一工程で得られた乳由来塩基性タンパク質2.5 gを25ml の10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0) (A溶媒)に溶解した液を通液し、1.5Mの塩化ナトリウム(B溶媒)の直線濃度勾配にて以下の条件で溶出した。流速は5ml/minで、最初の120分間にA溶媒100%、B溶媒0%からA溶媒60%、B溶媒40%のグラジエントをかけ、続く60分間でA溶媒60%、B溶媒40%からA溶媒0%、B溶媒100%までグラジエントをかけた。得られたクロマトグラフを図1に示した。図1の矢印の範囲内を画分として抽出した。
第三工程
HiTrap SP sepharose HPを充填したカラム(66ml)に、第二工程で得られたSDF-1を含む溶出画分を10mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した液を通液し、1.5Mの塩化ナトリウムの直線濃度勾配にて以下の条件で溶出した。流速は5ml/minで、最初の125分間にA溶媒100%、B溶媒0%からA溶媒60%、B溶媒40%のグラジエントをかけ、続く75分間でA溶媒60%、B溶媒40%からA溶媒0%、B溶媒100%までグラジエントをかけた。得られたクロマトグラフを図2に示した。図2の矢印の範囲内を画分として抽出した。
第一工程〜第三工程を繰り返し、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を2000mg(画分A)得た。
なお、このようにして得られたSDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物は、そのままヒアルロン酸産生促進剤として使用可能である。
[試験例1]
・LC-MS/MSによる分析
実施例1により得られた乳塩基性タンパク質画分の分画物をサーモフィッシャーサインティフィック株式会社のLC-MS/MSLTQ Velosで解析した。
・サンプル処理(トリプシン消化)
In-Solution Tryptic Digesstion and Guanidination Kit (Termo Scientific #89895)を使用した。すなわち、Digestion Buffer 15ul、Reducing Buffer 1.5ulを1.5ml tube に取り、さらにサンプルを10.5ul以下、0.0025〜10ugの範囲のタンパク量になるように添加し、全量を27ulになるようMili-Q水を添加した。沸騰水中にて5分間加熱後、サンプルを室温に戻した。Alkylation Buffer 3ulを添加し、暗所、室温にて20分間反応させた。Activated Trypsin 1ulを加え、37℃、3時間反応させ、さらにActivated trypsin 1ulを追加し、37℃、2時間反応させた。これをサンプルとして、LC-MS/MS解析に供した。解析ソフトはProteome Discovererを用いた。結果を表1に示す。
Figure 2016124852
[試験例1]
実施例1で得られた乳塩基性タンパク質画分の分画物を試料Aとし、ラットを用いた動物実験によりヒアルロン酸産生促進作用を調べた。7週齢のWistar系雄ラットを、生理食塩水投与群(対照群)、試料Aをラット体重1kg当たり10μg投与する群(A−1群)、試料Aをラット体重1kg当たり100μg投与する群(A−2群)、に分け、それぞれを毎日1回ゾンデで経口投与して10週間飼育した。皮膚のヒアルロン酸量については、試験前日に剃毛したラットを屠殺後速やかに回収した皮膚組織(各300mg)を測定に供した。加熱によりタンパク変性させた皮膚組織をアクチナーゼによりタンパク質分解した。得られた分解物を、更にヒアルロニダーゼにてヒアルロン酸に分解した。ヒアルロン酸をHPLC法にて測定した。
その結果を表2に対照群との相対値にて示す。
Figure 2016124852
この結果、10週間後の可溶性画分中ヒアルロン酸量は、対照群に比べ、すべての試験群で有意に高い値を示した。このことから、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物には、ヒアルロン酸産生促進作用があることが明らかとなり、ヒアルロン酸産生促進剤として有用であることが示された。また、このヒアルロン酸産生促進作用はSDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物をラット体重1kg当たり少なくとも10.0μg投与した場合に認められることが明らかとなった。
[試験例2]
試料Aついて、正常ヒト線維芽細胞株〔白人女性の皮膚より採取されたCCD45SK(ATCCRL 1506)〕を用いた実験によりヒアルロン酸産生促進作用を調べた。10容量%ウシ胎児血清(以下FBSと略記)含有変法イーグル培地(MEM、10‐101、大日本製薬社製)を用いて、正常ヒト線維芽細胞株を4×10cells/ウエル/0.4mlとなるように24ウエルプレートに播種して、5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37℃で24時間培養した後、0.6容量%FBS含有MEM培地に置換した。そして、試料Aを、各ウエルに0.1容量%となるように添加(n=6)して、72時間培養して培養液を得た。このようにして得られた培養液中の、ヒアルロン酸量(バイオテック トレーディング パートナーズ社製)を測定した。なお、対照として、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を添加せずに同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2016124852
表2の結果、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を添加した群は、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を添加していない群(対照)に比べて2倍以上のヒアルロン酸産生促進能を示した。このことから、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物には、皮膚線維芽細胞に働きかけ、ヒアルロン酸産生を促進する作用があることが明らかとなり、ヒアルロン酸産生促進剤として有用であることが示された。
[試験例3]
SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物がヒアルロン酸合成酵素遺伝子(Has2)のmRNA発現へ及ぼす影響について、正常ヒト新生児包皮皮膚線維芽細胞(NHDF(NB))を用いた細胞実験及びリアルタイムPCR法を用いて確認した。具体的には、NHDF(NB)細胞を24穴プレートに0.5×10cells/wellになる様に播種し、MEDIUM106培地(GIBCO社製)にて37℃、5%CO環境下にて7日間培養した。7日間の培養期間のうち最終の24時間について、試料Aを100μg/mlになるようにMEDIUM106培地に溶解したものを細胞に添加した後、total RNAを回収しcDNAを合成した。培養した細胞にRNA抽出剤であるISOGEN(ニッポンジーン社製)を0.5ml添加し5分間静置した後、ピペッティングにて可溶化させた細胞液を1.5ml容チューブに回収した。細胞液に0.1mlのクロロホルムを添加し、十分に攪拌した後、二層に分離した上層(水層)を新たな1.5ml容チューブに回収した。回収液に0.25mlの2−プロピルアルコールを添加し、10分間静置後、15,000rpm、4℃にて15分間遠心し、total RNAの沈殿物を得た。得られた沈殿物は、70%エタノールにて洗浄した後、DEPC水に溶解しRNA液とした。1μg分のRNAからTakara PrimeScriptTM RT reagent Kit を用いてcDNAを合成した。得られたcDNAをテンプレートとして、SYBR Green (Takara SYBR Prime Ex Taq II)を使用したリアルタイムPCRを行った。反応条件は、95℃、30秒の初期変性後、95℃、5秒の変性、57℃、15秒のアニーリング、72℃、20秒の伸張であり、合計40サイクル反応させた。プライマーは表4に記載のHas2遺伝子発現確認用プライマーを使用した。結果を図3に示す。
Figure 2016124852
図3により、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物をNHDF(NB)細胞に添加した時に、Has2遺伝子のmRNA発現量は、有意に亢進されたことが分かる。
表5に示す配合のヒアルロン酸産生促進用飲料を常法により製造した。製造した飲料の風味は良好で沈殿等の問題もなかった。
Figure 2016124852

表6に示す配合のドウを常法により作製し、成形した後、焙焼してヒアルロン酸産生促進用ビスケットを製造した。
Figure 2016124852
表7に示す配合のヒアルロン酸産生促進剤を常法により製造した。
Figure 2016124852
表8に示す配合の化粧水を常法により製造した。
Figure 2016124852
表9に示す配合のクリームを常法により製造した。
Figure 2016124852
[試験例5]
実施例5で得られた化粧水及び実施例6で得られたクリームを用いて、実使用テストを行った。比較品としては、SDF−1を含有する乳塩基性タンパク質画分の分画物を除いた以外は実施例5及び6と同じ配合のものを用いた。顔面のたるみや小ジワが認められ、なおかつ乾燥感を有する成人女性20人を、それぞれ10人ずつ無作為に2群(A、B群)に、また、手に肌荒れが認められる女性20人を、それぞれ10人ずつ無作為に2群(C、D群)に分け、A群の顔面には本発明品の化粧水2gを、B群の顔面には比較品の化粧水2gを、C群の手指には本発明品のクリーム2gを、D群の手指には比較品のクリーム2gを、それぞれ1日2回通常の使用状態と同様に10日間塗布した。結果を表10に示す。
Figure 2016124852
表10の結果より、本発明品の化粧水は、比較品の化粧水に比べて、乾燥感の改善、シワ等の改善が顕著であり、ヒアルロン酸産生促進効果に優れていることが実証された。また、本発明品のクリームについても、比較品のクリームに比べて、乾燥感の改善、肌荒れに顕著な改善がみられ、肌荒れ等の自然増悪抑制効果を有することが明らかとなった。
[試験例6]
変形性関節炎による軽度の痛みを有する患者20名を対象に、実施例4の飲料を1日1回100g飲用し、1年間の臨床試験を行った。関節の疼痛および機能の評価を、疼痛に対するビジュアルアナログスケール(VAS)、及び、関節炎の関節における疼痛、機能、および硬直に関するWestern Ontario and McMaster Universities(WOMAC)指標にて変形性関節症の評価を行った。結果を表11に示す。
Figure 2016124852
本発明は、皮膚の荒れ、シワ、弾性低下、関節機能低下等を防止するのに有用なヒアルロン酸産生促進剤、ヒアルロン酸産生促進用サプリメント、飲食品及びヒアルロン酸産生促進用化粧料に関する。

Claims (7)

  1. 乳塩基性タンパク質画分の分画物を有効成分とするヒアルロン酸生成促進剤。
  2. 乳または乳由来の原料を陽イオン交換樹脂に接触させて塩基性タンパク質画分を吸着させ、前記樹脂に吸着した画分を塩濃度0.1M〜1.0Mの溶出液で溶出することによって第一の画分を得る第一工程と、
    前記第一の画分を陽イオン交換樹脂に接触させて塩基性タンパク質を吸着させ、前記樹脂に吸着した画分を塩濃度1.0M〜2.0Mの溶出液で溶出することによって第二の画分を得る第二工程と、
    前記第二の画分を、陽イオン交換樹脂に接触させて塩基性タンパク質を吸着させ、前記樹脂に吸着した画分を塩濃度1.0M〜2.0Mの溶出液で溶出することによって乳塩基性タンパク質画分を得る第三工程とを有する
    請求項1に記載のヒアルロン酸生成促進剤
  3. 請求項1又は請求項2に記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を有効成分とするスキンケア剤。
  4. スキンケアが、肌荒れの予防及び/又は改善であることを特徴とする請求項3に記載のスキンケア剤。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を配合したヒアルロン酸産生促進用サプリメント。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を配合したヒアルロン酸産生促進用飲食品。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の乳塩基性タンパク質画分の分画物を配合したヒアルロン酸産生促進用化粧料。
JP2015002408A 2015-01-08 2015-01-08 ヒアルロン酸産生促進剤 Pending JP2016124852A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015002408A JP2016124852A (ja) 2015-01-08 2015-01-08 ヒアルロン酸産生促進剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015002408A JP2016124852A (ja) 2015-01-08 2015-01-08 ヒアルロン酸産生促進剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016124852A true JP2016124852A (ja) 2016-07-11

Family

ID=56357522

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015002408A Pending JP2016124852A (ja) 2015-01-08 2015-01-08 ヒアルロン酸産生促進剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016124852A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018225728A1 (ja) 2017-06-05 2018-12-13 昭和電工株式会社 グリコサミノグリカン産生促進剤及びグリコサミノグリカン産生促進用組成物

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11335234A (ja) * 1998-05-22 1999-12-07 Shiseido Co Ltd ヒアルロン酸合成促進剤および老化防止用皮膚外用剤
WO2006030887A1 (ja) * 2004-09-17 2006-03-23 Cellgentech, Inc. 外用皮膚潰瘍治療剤
JP2013234129A (ja) * 2012-05-02 2013-11-21 Snow Brand Milk Products Co Ltd ヒアルロン酸産生促進剤
JP2013234130A (ja) * 2012-05-02 2013-11-21 Snow Brand Milk Products Co Ltd ヒアルロン酸産生促進剤
JP2013234131A (ja) * 2012-05-02 2013-11-21 Snow Brand Milk Products Co Ltd ヒアルロン酸産生促進剤
KR20140069569A (ko) * 2012-11-29 2014-06-10 장유민 초유유청을 유효성분으로 포함하는 피부 주름 및 탄력 개선용 화장료 조성물
JP2015000038A (ja) * 2013-06-17 2015-01-05 雪印メグミルク株式会社 ヒアルロン酸産生促進剤
CN104397183A (zh) * 2014-11-20 2015-03-11 广西大学 透明质酸牛奶的制备方法
JP2015229654A (ja) * 2014-06-05 2015-12-21 雪印メグミルク株式会社 ヒアルロン酸産生促進剤

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11335234A (ja) * 1998-05-22 1999-12-07 Shiseido Co Ltd ヒアルロン酸合成促進剤および老化防止用皮膚外用剤
WO2006030887A1 (ja) * 2004-09-17 2006-03-23 Cellgentech, Inc. 外用皮膚潰瘍治療剤
JP2013234129A (ja) * 2012-05-02 2013-11-21 Snow Brand Milk Products Co Ltd ヒアルロン酸産生促進剤
JP2013234130A (ja) * 2012-05-02 2013-11-21 Snow Brand Milk Products Co Ltd ヒアルロン酸産生促進剤
JP2013234131A (ja) * 2012-05-02 2013-11-21 Snow Brand Milk Products Co Ltd ヒアルロン酸産生促進剤
KR20140069569A (ko) * 2012-11-29 2014-06-10 장유민 초유유청을 유효성분으로 포함하는 피부 주름 및 탄력 개선용 화장료 조성물
JP2015000038A (ja) * 2013-06-17 2015-01-05 雪印メグミルク株式会社 ヒアルロン酸産生促進剤
JP2015229654A (ja) * 2014-06-05 2015-12-21 雪印メグミルク株式会社 ヒアルロン酸産生促進剤
CN104397183A (zh) * 2014-11-20 2015-03-11 广西大学 透明质酸牛奶的制备方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
BLOOD, vol. 103, no. 8, JPN6018007183, 2004, pages 2981 - 2989, ISSN: 0003903494 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018225728A1 (ja) 2017-06-05 2018-12-13 昭和電工株式会社 グリコサミノグリカン産生促進剤及びグリコサミノグリカン産生促進用組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6259209B2 (ja) コラーゲン産生促進剤
JP5890100B2 (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤
JP6259207B2 (ja) エラスチン産生促進剤
JP6259208B2 (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
KR101789355B1 (ko) 피부 콜라겐 생성 촉진제
JP5955499B2 (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤
JP4698935B2 (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤
JP6522286B2 (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
JP5955631B2 (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
JP2016124852A (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
JP5955630B2 (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
JP5955632B2 (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
JP5783484B2 (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤
WO2012043713A1 (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤
WO2012043711A1 (ja) 皮膚コラーゲン産生促進剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180906

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181026

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190225

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190225

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190403