JP2016123078A - コンテンツ適応型多焦点ディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】コンテンツ適応型多焦点ディスプレイを提供する。【解決手段】多焦点ディスプレイは、異なる焦点面に位置する一連の2次元画像により3次元シーンを表現する。焦点面の位置は、多焦点ディスプレイによりレンダリングされるべき3次元シーンの分析に基づき選択する。【選択図】図1

Description

[関連出願の参照]
本願は、35U.S.C.§119(e)に基づき、米国仮特許出願番号第62/084,264号、「Content−Adaptive Multi−Focal Display」、2014年11月25日出願、の優先権を主張する。該仮出願の全ての内容は、参照することによりその全体がここに組み込まれる。
本開示は、概して、多焦点ディスプレイに関する。
多焦点ディスプレイ(Multi−focal display:MFD)は、通常、一連の2次元画像の高速時間及び焦点変調を用いて、特定の3次元(3D)体積を占める3Dシーンをレンダリングする。この一連の画像は、通常、観察者からの異なる分離した距離に位置する平行面に焦点を合わせられる。焦点面の数は、観察者の目の調節及び表示されたシーンの3D知覚品質に直接影響を与える。所与の3Dシーンが深さにおいて連続している場合、面が少なすぎるとMFDレンダリングは面間の不連続により区分的に見え、或いはコントラスト損失を生じる。面が多いほど、通常、知覚品質の点で良好であるが、実装するのにより多くのコストがかかり、帯域幅及び焦点変調速度を含む実際のディスプレイ制限のために達成できない場合が多い。
したがって、MFDについて考慮すべき重要なことは、焦点面の数及び焦点面の位置(つまり、観察者からの距離)を含む焦点面構成である。多焦点ディスプレイは、通常、焦点面の数及び位置が固定されている焦点面構成を用いる。多くの場合、焦点面は、均一に間隔を開けられる。この画一的なアプローチは、表示されるべきシーンの相違を考慮せず、空間解像度及び知覚精度の損失を生じ得る。
したがって、焦点面構成を決定するより良いアプローチが必要である。
本開示は、多焦点ディスプレイによりレンダリングされるべきシーンの分析に基づき、多焦点ディスプレイの焦点面の位置を選択することにより、従来技術の制限を克服する。一例では、三次元シーンの理想的なレンダリングと多焦点ディスプレイの中の限られた数の焦点面によるレンダリングとの間の歪みを測る歪みメトリックが定められる。焦点面の位置は、歪みメトリックを最適化することにより選択される。1つの歪みメトリックは、理想的なレンダリングの中の点の位置と、多焦点ディスプレイの最も近い焦点面の位置との間の差に基づく。別の歪みメトリックは、理想的なレンダリングの多焦点ディスプレイによるレンダリングに対するピンぼけブラーにおける差に基づく。
本発明の他の態様は、コンポーネント、装置、システム、改良、方法、処理、アプリケーション、コンピュータ可読媒体、及び上記に関連する他の技術を含む。
本開示の実施形態は、添付の図面と関連して以下の詳細な説明及び添付の特許請求の範囲から直ちに明らかになる他の利点及び特徴を有する。
本発明による多焦点ディスプレイの図である。 均一焦点面間隔、K平均焦点面間隔、及び加重K平均焦点面間隔の焦点面位置にオーバレイされた、3Dシーンからのz位置のヒストグラムである。 異なる種類の焦点面間隔の効果を示す画像である。 深さ融合ピンぼけ伝達関数のグラフである。 入力空間周波数に対するメトリックβを最大化する調整状態のグラフである。 空間周波数に対する(βmax−βmin)/βmaxのグラフである。 深さ融合を用いる面間でレンダリングされた異なる空間周波数による刺激のシミュレートした目の応答を示す。 異なる種類の多焦点ディスプレイを示す図である。 図は種々の実施形態を説明のみを目的として図示する。当業者は、本願明細書に示された構造及び方法の代替の実施形態が本願明細書に記載された原理から逸脱することなく用いられてもよいことを以下の議論から直ちに認識するだろう。
図及び以下の説明は、説明のみのために好適な実施形態を参照する。以下の議論から、本願明細書に開示された構造及び方法の代替の実施形態は特許請求の範囲で請求された原理から逸脱することなく用いられてもよい変形の代替として直ちに認識されることに留意すべきである。
<序論>
図1は、本発明による多焦点ディスプレイ100の図である。MFD100は、ディスプレイ110、調整可能光学要素120、シーンレンダリング及び焦点面制御のためのモジュール130−160を有する。光学要素120の例は、変形可能レンズ、調整可能な屈折率を有するレンズ、及び変形可能ミラーを含む。モジュール130−160は、ハードウェア、ソフトウェア又は両者の組み合わせで実施され得る。光学要素120は調整可能である。異なる調整で、ディスプレイ110は、異なる位置(焦点面)に現れる。これは、図1の破線により表現される。このように、3Dシーンは、異なる焦点面においてレンダリングされる一連の2D画像により近似できる。
任意的な前処理モジュール130は、レンダリングされるべき3Dシーンを表すデータを受信し、該データをレンダリング要件に適応する。例えば、前処理モジュール130は、拡大、トリミング、及び鮮鋭化のような機能を実行しても良い。焦点面配置モジュール140は、3Dシーンのコンテンツを分析し、コンテンツ分析に基づき焦点面の位置を選択する。選択は、レンダリング要件にも基づいても良い。シーン分離モジュール150は、3Dシーンを、レンダリングされるべき成分2D画像に分離する。これは、通常、後述するように深さ融合を含む。各2D画像のコンテンツは、焦点面位置に依存する。レンダリングエンジン160は、次に、異なる焦点面を達成するために、光学要素120の調整と連携して、2D画像をディスプレイ上でレンダリングする。追加の後処理も実行され得る。例えば、スムージング制約(時間的及び/又は空間的)が適用されても良く、或いは、知覚品質を更に向上するために閉鎖エッジが処理されても良い。
図1では、MFDは、例えば深さ融合に帰属するコントラスト損失を最小化するために及び/又はレンダリングされる3Dシーンの知覚品質を最大化するために、シーンのコンテンツ及び/又はレンダリング要件に基づき、焦点面設定を動的に調整する。焦点面は、均一に間隔を開けられる必要はない。或いは、焦点面は、静的に位置付けられる必要もない。位置は、シーンコンテンツ及び/又はレンダリング要件に依存して動的に調整できる。例えば、多焦点ディスプレイで用いられる最新のDMD(digital micromirror device)チップは、約6個の焦点面を面あたり60Hzで多重化することにより、フリッカの無いディスプレイを達成できる。この例では、観察者は、表示された3Dシーンを見ることができ、これらの6個の面におけるシーンコンテンツに正しく調整できる。この焦点面の数は、通常、単一ユーザのニアアイ(near−the−eye)多焦点ディスプレイの場合に十分である。この速度は、リアルタイムにビデオをレンダリングするのに十分である。GPUは、計算を高速化するために用いられても良い。焦点面構成は、ビデオのフレーム毎に、又はより小さい頻度で、例えば特定数のフレーム毎に又はシーン毎に、調整されても良い。
<深さ融合(Depth blending)>
MFD技術は、深さ融合として知られる概念により、異なる焦点面にある一連の2D画像により3Dシーンを提示できる。2つの隣接する焦点面を同時に照射することにより、焦点キューは、面と面の間の任意の軸方向距離においてレンダリングされても良い。2つの焦点面は視線に沿って存在するので、隣接する焦点面の各々により提供される輝度は、キューが最も高くなる場所(目が最高視覚品質を感じる場所、又は目により観察される変調伝達関数(modulation transfer function:MTF)が最高になる場所)を決定する。
深さ融合に用いられる輝度重み付けの単純な形式は、隣接する焦点面について各ピクセルにより観察される輝度値の線形補間である。これを例として用いるが、他の種類の深さ融合も使用できる。w及びwは、近位及び遠位焦点面に与えられる輝度重みを表すとする。これらの値は、目により知覚される正しい輝度を保つために加算されると1になり、次式のように計算される。
Figure 2016123078
ここで、z及びzは、近位及び遠位焦点面の位置であり、zは、3Dシーンの中のオブジェクトの実際の位置であり、z及びzの間である。この一次式では、z=z(近位焦点面にあるオブジェクト点)の場合、w=0及びw=1である。これは、全ての輝度が近位焦点面に割り当てられることを意味する。反対に、z=z(遠位焦点面にあるオブジェクト)の場合、w=1及びw=0であり、全ての輝度が遠位焦点面に割り当てられる。z=(z+z)/2のような中間位置では、w=1/2及びw=1/2であり、輝度は遠位焦点面と近位焦点面との間で分割される。このように、仮想オブジェクトは、焦点面z及びzにおいてレンダリングされる2つの画像の間で輝度を分割することにより、zとzの間の任意の位置zにおいてレンダリングできる。
<問題の明確化>
私達は、所与の目的関数に基づき、焦点面の配置の問題を明確化し、次に、異なる目的関数の2つの例を示す。目的関数は、通常、3Dシーンの理想的なレンダリングとMFDによるレンダリングとの間の歪みを測定する一種の歪み測定基準(メトリック)である。
(x,y,z)は、2つの横軸次元、及びMFDによりレンダリングされる3Dシーンの軸次元を表すとする。実際には、通常、以下の量が与えられる。
投影されるべきNボクセル3Dシーン、S={(p,l),n=1,...,N}、ここで、p=(x,y,z)は、3D点の3D座標のベクトルを表し、lは、該3D点の強度又は色値を表す。これらの点は、例えば、3Dカメラにより得られ、又はコンピュータグラフィックエンジンにより生成され得る。
利用可能な深さ面の数、M
これらの量が与えられると、以下の未知の変数を推定したい。
焦点面の位置、q=(q,q,...,q)。値qは、実際には、焦点面のz座標であること、及び焦点面は前額平行面であることに留意する。焦点面の位置を他のz値から明確に分けるために、zの代わりにqを用いる。
焦点面の最適位置を推定するために、以下の最適化問題を定式化する。
Figure 2016123078
目的関数D(S,q)は、q=(q,q,...,q)に位置するM個の焦点面に、3DシーンSを提示するための歪み誤りメトリックを表す。これは、通常、完璧なレンダリングと比べて誤りを最小化する任意のメトリックであり得る。
代替で、Q(S,q)をレンダリングする3Dシーンの品質を最大化する焦点面配置のための解を見付けるように、最適化問題を提起できる。
Figure 2016123078
以下では、自動焦点面配置の2つの特別な例を示す。第1の例では、誤りメトリックD(S,q)を用い、それを最小化して、qを得る。第2の例では、焦点面配置のために用いることができる品質メトリックQ(S,q)を用いる。他の誤り又は品質メトリックを含む他の歪みメトリック関数も同様に使用できる。
<ソリューション例1:3D点クラスタリングに基づく焦点面配置>
目的関数の第1の例は、焦点面配置の問題をクラスタリング問題として考えることにより導出できる。シーンの中の全ての3Dデータ点のz座標が与えられる。つまり、z,z,...,zが与えられ、M個の焦点面の最適な配置を見付けるためにK平均アルゴリズムを用いることができる。この場合、最適化問題は次のようになる。
Figure 2016123078
K平均アルゴリズムを用いてこの問題を解くと、3Dデータを提示するために用いられる焦点面がデータの実際の位置に近くなるように、焦点面の配置が与えられる。したがって、多くの場合に、この最適化問題は、均一な焦点面間隔の従来の方針と異なる解を与える。上述の最適化では、距離の増大に伴う深さ知覚の感度の減少を考慮に入れるために、メートル単位の距離zの代わりに、ダイオプタ(diopter、メートルの逆数)単位の距離、又は光パワーの他の単位を用いることができる。
コンテンツの空間周波数も、深さ融合が用いられるとき、調整応答に影響を与える。低周波数刺激(例えば、4サイクル毎度、又はcpd(cycle per degree))では、線形深さ融合は、面間の調整を比較的正確に導出できる。しかし、高周波数刺激(例えば、21cpd)及び広帯域刺激(例えば、0−30cpd)では、調整は、刺激重みw、wが分散していることに関係なく、殆ど常に焦点面に又はその近くにある。したがって、加重K平均アルゴリズムは、この空間周波数依存性を考慮に入れるために使用できる。例えば、点の近くの空間周波数又は空間勾配値が閾より高い場合、大きな重みが割り当てられ、その他の場合には、小さな重みが割り当てられる。各データ点に関連する重みを
Figure 2016123078
として表すと、式(7)は次式のようになる。
Figure 2016123078
図2は、上述のK平均及び加重K平均焦点面割り当てアルゴリズムを用いた実験結果を示す。図2は、図3(A)に示す3Dチェスシーンからの実際のz位置のヒストグラムを示す。図3(B)は、同じz位置をグレイスケール画像として示す。この特定の例では、3Dシーンは、範囲(+1.0,+1.6)Dに幾つかのしかし少数の点を有し、範囲(+1.6,+2.0)Dにより密集した点の分布を有する。後者の範囲の密度は、シーンが、それぞれ異なる深さに位置する限られた数の別個のチェスピースしか含ないためである。
以下の表1は、均一な焦点面間隔を用いた、K平均焦点面間隔を用いた、及び加重K平均焦点面間隔を用いた、焦点面位置を示す。
[表1]焦点面位置(単位:ダイオプタ)
Figure 2016123078
これらの焦点面位置は、図2の上の矢印によっても示される。均一構成は、文献に従って選択された。様々な異なるシーンに適応するために、0Dから+3.00Dまでの均一間隔である。しかしながら、このシーンは、+1.00Dから+2.00Dまでにのみ及ぶので、焦点面のうちの多くは無駄である。見て分かるように、コンテンツ適応型アルゴリズムは、焦点面をコンテンツ深さ分布に適応させ、データが存在する場所に焦点面を集中させるようにする。これに対して、均一焦点面間隔は、コンテンツに関係なく、より多くのコントラスト損失を生じ得る。
図3(A)〜(D)は、異なる種類の焦点面間隔の効果を示す画像である。均一焦点面間隔と適応型焦点面間隔を比較するために、これらの画像を用いる。図3(A)は入力3Dシーンを示す。図3(B)は3Dシーンの深さマップをダイオプタ単位で示す。ビショップ(図3(A)で矢印により示す)は、約1.63Dにあるシミュレートされた調整目標である。図3(C)は、3Dシーンが6面MFDによりレンダリングされるとき、シミュレートされた網膜像を示す。ここで、焦点面は、上述の表1に示したように均一に間隔を開けられる。図3(D)はレンダリングを示す。ここで、焦点面位置は、K平均クラスタリングを用いて決定される。図3(D)のレンダリングされた画像は、図3(C)の画像より鮮鋭にピントが合って見える。これは、ビショップが、均一間隔により配置された焦点面よりも、K平均アルゴリズムにより配置された焦点面により近いからである。
K平均は、単に一例として用いられる。他のクラスタリング技術が適用可能である。例えば、GMM(Gaussian Mixture Models)又はSVM(support vector machines)に基づくクラスタリングである。
<ソリューション例2:ピンぼけメトリックに基づく焦点面配置>
連続する深さ値を有する所与の3Dシーンが有限数の焦点面により多焦点ディスプレイに表示されるとき、人間の目は、該3Dシーンを、理想的な連続する3Dレンダリングに比べて特定量のピンぼけを有すると知覚するだろう。ここで、ピンぼけのモデルを説明する。次に、これを焦点面配置のための私達の目的関数の中で用いる。つまり、私達の目的関数は、ピンぼけを最小化することにより3Dシーンレンダリングの品質を最大化するように、焦点面を配置する。
光学的ピンぼけは、通常、連続的波形ドメインにおいて、フーリエ光学理論を通じてモデル化される。したがって、所与の3Dシーンが、連続3Dシーン関数f(x,y,z)からのサンプルのセットであるとする。ここで、3Dシーンの中の点が与えられると、I=f(x,y,z)、n=1,2,...,Nである。先ず、ピンぼけに対する人間の目の感度のフーリエ微分を提供し、次に、導出された理論を用いて、所与の3Dシーンの品質メトリックを定める。
ダッシュを付した座標(x’,y’)は網膜座標を示すとする。目が距離zに適応するとき、2D網膜画像g(x’,y’)は、距離z−zにおいて求められた3Dブラーカーネルh(x,y,z)による3Dオブジェクトの畳み込み、その後の軸次元に沿った積分として表すことができる。
Figure 2016123078
ピントの合った面から面への画像化(z−z=0)の場合に、畳み込みカーネルhは、目のインパルス応答を減少する。この構成は、最大コントラストを生じる。ここで、コントラストは、空間周波数ドメインにおいて従来の方法で定められる。このピントの合った画像化からの微分は、コントラストの低減を生じる。失われたコントラストの重大性は、ピンぼけの量に依存する。
ピンぼけの効果を定量化するために、目の光学系の瞳孔機能を参照する。焦点長Fと直径Aの円形瞳孔とを有する回転対称光学系では、射出瞳孔を通るレンズ透過は、次のようにモデル化される。
Figure 2016123078
ここで、瞳孔関数Pは次式により与えられる。
Figure 2016123078
私達のシステムでは、瞳孔直径Aは、〜2−8mmの間で照明条件に基づき変化し得る。目は、通常、回転対称ではないが、本例においては式を簡略化するために、回転対称であると近似する。
収差が存在するので、瞳孔を通過する波面は、一般化された瞳孔関数G(x,y)=P(x,y)exp(iΦ(x,y))により従来通り表せる。ここで、収差関数Φは、Seidel又はZernike収差理論に従う多項式である。ピンぼけ収差は、一般に、Φの係数w20により測定される。ピンぼけ歪みは、代替で、瞳孔関数に歪み項θを含め、軸次元において距離θだけ焦点のずれたシステムの瞳孔関数を定めることにより、次のようにモデル化できる。
Figure 2016123078
ここで、θ=1/z+1/z−1/F、zは瞳孔と網膜との間の距離である。θと従来のピンぼけ収差係数w20との間の関係は、θ=2w20/Aにより与えられる。この式を用いて、私達は、ピンぼけ伝達関数を定式化できる。このピンぼけ伝達関数は、ピンぼけシステムの瞳孔関数の自動補正が次式に従うとき、ピンぼけシステムの光学伝達関数である。
Figure 2016123078
ここで、ピンぼけ歪み距離θを1/z−1/zで置換し、目の正規化ピンぼけ伝達関数(defocus transfer function:DTF)を次式のように定める。
Figure 2016123078
目の光学収差及び/又はMFDシステムも、DTFにモデル化できる。
網膜上に形成されるとき画像は、ピンぼけ伝達関数と、目からの距離zにおいて表示されるオブジェクトを表す関数f(u,v,z)のフーリエ変換との乗算により、次式のように表される。
Figure 2016123078
MFDシステムでは、通常、人間の目により同時に表示されるとして知覚されるのに十分速くに、少数の焦点面しか表示できない。2つのオブジェクトが目から距離q及びqだけ離れて位置する2つの焦点面で表示される場合には、目は、目の光学システムを通じて画像化されるとき、2つのオブジェクトを統合する。つまり、目は、ピンぼけ伝達関数により表される目の光学システムを通過した後に、2つのオブジェクトから放出される光を統合する。網膜面におけるこの像形成次式により導出する。
Figure 2016123078
線形深さ融合が、係数w及びwを用いて、入力シーンf(x,y,z)に適用される場合、網膜上で知覚される画像のフーリエ変換は、次式により表される。
Figure 2016123078
この観察を用いて、システム全体の深さ融合ピンぼけ伝達関数を次のように定める。
Figure 2016123078
図4は、種々のレベルのピンぼけ{−0.3,−0.2,...,+0.3}Dについてこの関数を示す。図4は、1.2及び1.8Dに位置する2つの焦点面によりレンダリングされるとき、1.5Dに位置する刺激を観察している3mm瞳孔の深さ融合ピンぼけ伝達関数を示す。曲線400は理想的MTFである。曲線410は0DのピンぼけのDTFである。曲線411は+0.1D又は−0.1DのピンぼけのDRFである。曲線412は+/−0.2Dのピンぼけについてである。そして、曲線413は+/−0.3Dのピンぼけについてである。異なるDTF曲線が交差する空間周波数(本例では18cpd)が存在することに留意する。この変わり目の周波数より低い空間周波数は、適正な焦点キューを生成する。この周波数より上では、ピンぼけ0Dについての深さ融合ピンぼけ伝達関数曲線は、+/−0.3Dのピンぼけのものより低い。この周波数範囲の中の刺激では、目は、目標刺激位置ではなく、隣接焦点面のうちの1つに適応するよう焦点を合わせ、不適正な焦点キューを生じる。
次式のように、多焦点ディスプレイの実効又は融合伝達関数を導出するために、全ての表示面q,...,qを用いてこの融合関数を一般化することもできる。
Figure 2016123078
理想的DTF曲線に最も近い
Figure 2016123078
により、深さ融合は、焦点面への目の適応を引き出す。図4から、この適応面距離は、空間周波数に大いに依存することが分かる。したがって、コンテンツ認識メトリックを導出するために上述の理論を用い、焦点面配置及び深さ融合が実効解像度損失に与える影響を定量化する。
目は、DTFの下の領域を最大化する距離に適応する。しかしながら、その距離は空間周波数に依存するので、目が、このピンぼけ指標(DRFの下の領域)に基づき特定の品質メトリックQDM(S,q)を最大化する距離に適応すると更に仮定する。この距離は各パッチと共に変化するので、パッチの全部を単一メトリックに組み入れる解決法を探す。
1つのアプローチでは、表示される画像f(x,y,z)をN個のパッチf(x,y,z)、i=1,...,N、に区分化する。ここで、zは、i番目のパッチの平均オブジェクト距離を表す量(スカラー)である。重なり合うパッチが用いられても良い。各パッチのフーリエ変換を計算し、それを深さ融合DTFで乗算して、q={q,q,...,q}に位置する焦点面の配置、及び距離z0に位置する局所刺激に従って、刺激から目へ転送される情報を見付け、各パッチについてスカラー値βを計算しても良い。
Figure 2016123078
ここで、[u,u]及び[v,v]は関心の周波数間隔を示す。コントラスト、エントロピー、又は他の変形メトリックのような、オブジェクトの情報コンテンツを表す他のメトリックも、β(z,q)を定めるために用いられ得る。
全てのパッチからのメトリックをベクトルβに格納する場合、最大M個の焦点面について焦点面配置を変更できる。次の最適化問題を解いて、利用可能な焦点面を配置するために、屈折距離の最適なセットqを見付けようとする。
Figure 2016123078
上式は、現実的時間で解けない場合、緩和され又は調整され得る。
結果として生じるqのエントリは、M個の焦点面のセットをどこに配置するのが最適かを示す。例えば、1/z=0.6D、1/z=1.5D、1/z=2.0Dの屈折距離の当たりに群がる3個のオブジェクトを表すために2個の焦点面を最適化することは、1/q=1.1D、1/q=1.8Dの最適焦点面配置をもたらし得る。
qの解は、利用可能な焦点面に基づく均一焦点面間隔の最初の推測から始まり得る。例えば、0乃至3ダイオプタの間の作業空間を探す6面システムは、{0,0.6,1.2,1.8,2.4,3.0}Dで開始し得る。最適化アルゴリズムが反復kを通じて繰り返すとき、qのエントリは、次式である限り変化し得る。
Figure 2016123078
ここで、εは停止すべきときをアルゴリズムに教える許容パラメータである。実現可能な解のセットを制約するために、最適化アルゴリズムに更なる仕様も組み込まれ得る。
最後に、メトリックQDM(S,q)は、ピンぼけに関して、所与の3Dシーンのレンダリングの品質を定量化することに留意する。したがって、焦点面配置に加えて、このメトリックは、MFDにおける品質評価をレンダリングするためにも使用できる。
図5−6は、上述のアプローチのシミュレーション結果を示す。この実験は、式(19)のメトリックβの振る舞いを確認する。実験中、2個の焦点面は、距離1/q=1.2D、1/q=1.8Dに設定された。刺激、つまり、1cpdだけ空間周波数の増大する余弦波のセットは、観察者から仮想距離1/z0=1.5Dだけ離れて、又はちょうど2つの焦点面の間で、シミュレートされた。
目の適応は、これらの2つの焦点面の間の0.1Dの増大で変化した。適応は、−0.3乃至+0.3Dの間であり、+0Dはq及びqにある焦点面の光屈折中点に対応する。図5Aは、入力空間周波数に対するメトリックβを最大化する調整状態のグラフである。図5Bは、空間周波数に対する(βmax−βmin)/βmaxのグラフであり、図4の深さ融合ピンぼけ伝達関数グラフに示したように、u=0及びu=18周期毎度(cycles per degree)で最小化する。他のメトリックも使用できる。これらのグラフは、メトリックが低い及び中間の空間周波数の2つの焦点面の屈折中点において最高になることを示す。局所刺激スペクトルが遷移周波数より高いとき、メトリックは、焦点面のうちの1つにおいて最大化するだろう。
図6A〜Cは、深さ融合を用いる面間でレンダリングされた異なる空間周波数による刺激のシミュレートした目の応答を示す。図6(A)は、9cpd画像の画像である7個の正方形を示す。図中の各正方形では、目は、表2に示す状態に適応する。
[表2]目の適応
Figure 2016123078
つまり、左上の正方形は、目が−0.3Dに適応する9cpd画像の画像である。上中央の正方形では、目は−0.2Dに適応する、等である。下中央及び右下の正方形は、使用されない。したがって、それらは空白のままである。図6(B)及び(C)は、目の適応の同じ構成を示すが、それぞれ18cpd及び25cpd画像についてである。
以上の記載は多くの詳細を含むが、これらは本発明の範囲を制限しない。これらは単に本発明の異なる例及び態様の説明と考えられる。本発明の範囲は、上述の詳細に記載されていない他の実施形態を含むことが理解される。例えば、図1は、図7(A)に再現されるように、ディスプレイの片側に全て配置される有限数の平坦な焦点面を有する多焦点ディスプレイを示す。図7(A)で、破線のボックス700は、レンダリングされるべき3D焦点体積を表し、本例では、実線710により表される焦点面に位置する画像によりレンダリングされる。代替の実施形態では、焦点面は、ディスプレイの両側に分散され、それらは平坦でなくても良い。例えば、図7(B)に示すように、多数の焦点面712が存在し、湾曲するか又は他の非平坦形状を有する。さらに、図7(C)で、焦点面714は異なる形状を有する。図7(D)は、多焦点ディスプレイが有限数の表面より多くの点でレンダリングできる例を示す。本例では、716は、体積を有するスライスであり、多焦点ディスプレイは該体積の中で点をレンダリングできる。これは、示される体積の各々について真である。しかしながら、集合の中の体積は、焦点体積700の中の各々の点を解決しない。つまり、スライスの外側に位置する点は、異なるスライス間の深さ融合により表される。便宜上、用語「レンダリング可能な体積」は、図7(A)−(C)に示すような2D表面と図7(D)に示すような3D体積の両者を表すために用いられる。
別の態様では、レンダリング可能な体積の位置を選択することに加えて、多焦点ディスプレイは、レンダリング可能な体積の数も選択する。6個の焦点面を有する最初の例では、多焦点ディスプレイは焦点面の数Mを決定し、ここでMは最大6であり得る。最大より少ない数は、種々の理由により、例えば電力消費を低減するために、選択される場合がある。
更に別の態様では、図1は、片目のための多焦点ディスプレイを示す。両目及び立体システムも使用できる。さらに、ビームスプリッタのような追加光学系は、多焦点ディスプレイによりレンダリングされたシーンを他のシーン又は周囲環境と結合するために用いられても良い。
当業者に明らかな種々の他の修正、変更、及び変形が、添付の特許請求の範囲に定められた本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本願明細書に開示された本発明の方法及び装置の配置、動作及び詳細について行われてもよい。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的等価物により定められるべきである。
代替の実施形態では、本発明の態様は、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組合せで実施される。本発明の装置は、プログラマブルプロセッサによる実行のための、非一時的機械可読記憶装置内に有形に具現化されるコンピュータプログラムプロダクトで実施できる。また、本発明の方法のステップは、入力データに作用し出力データを生成することにより本発明の機能を実行するために命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサにより実行できる。本発明は、有利なことに、データ記憶システムからデータ及び命令を受信し及びデータ記憶システムへデータ及び命令を送信するために結合される少なくとも1つのプログラマブルプロセッサと、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置と、を含むプログラマブルシステムで実行可能な1又は複数のコンピュータプログラムで実施できる。各コンピュータプログラムは、高レベル手続型又はオブジェクト指向型プログラミング言語で、又は所望の場合アセンブラ若しくは機械語で、実装できる。いずれの場合にも、言語はコンパイルでき、又は言語をインタープリットされる。適切なプロセッサは、例として、汎用及び特定用途マイクロプロセッサの両方を含む。通常、プロセッサは、命令及びデータを読み出し専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリから受信する。通常、コンピュータは、データファイルを格納する1又は複数の大容量記憶装置を有する。このような大容量記憶装置は、内蔵ハードディスク及び取り外し可能ディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、及び光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令及びデータを有形に具現化するのに適する記憶装置は、例えば、EPROM、EEPROMのような半導体メモリ素子、及びフラッシュメモリ素子、内蔵ハードディスク若しくは取り外し可能ディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、及びCD−ROMディスクを含むあらゆる形式の不揮発性メモリを含む。前述のうち任意のものは、ASIC(application−specific integrated circuit)及び他の形式のハードウェアにより補われ又はそれに組み込むことができる。
用語「モジュール」は、特定の物理的形態に限定されることを意味しない。特定の用途に依存して、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はこれらの組合せとして実装できる。さらに、異なるモジュールは、共通コンポーネントを共有でき、同じコンポーネントによっても実装できる。異なるモジュールの間の明確な境界は存在してもしなくても良い。
100 多焦点ディスプレイ
110 ディスプレイ
120 調整可能レンズ
130 前処理モジュール
140 焦点面配置モジュール
150 シーン分離モジュール
160 レンダリングエンジン

Claims (20)

  1. 多焦点ディスプレイのためのレンダリング可能な体積の位置を選択する、コンピュータにより実施される方法であって、前記方法は、
    前記多焦点ディスプレイによりレンダリングされるべき三次元シーンの中のコンテンツを分析するステップと、
    前記コンテンツの分析に基づき、前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップと、
    を有する方法。
  2. 前記レンダリング可能な体積は焦点面である、請求項1に記載の方法。
  3. コンテンツを分析するステップ及び前記焦点面の前記位置を選択するステップは、リアルタイムに生じる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記焦点面の前記位置を選択するステップは、前記三次元シーンの理想的なレンダリングにおける点の位置と前記焦点面のうちの最も近い焦点面の位置との間の差に基づくメトリックの最適化に基づき、前記焦点面の前記位置を選択するステップを有する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記焦点面の前記位置を選択するステップは、前記三次元シーンの中の点の位置のK平均クラスタリングに基づき、前記位置を選択するステップを有する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記メトリックは、前記三次元シーンの理想的なレンダリングの中の点の位置と前記焦点面のうちの最も近い焦点面の位置との間の加重差に基づき、前記加重差の重みは、前記点の空間周波数の関数である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記焦点面の前記位置を選択するステップは、前記三次元シーンの理想的なレンダリングの伝達関数と前記多焦点ディスプレイによるレンダリングの実効伝達関数との間の差に基づくメトリックの最適化に基づき、前記焦点面の前記位置を選択するステップを有する、請求項2に記載の方法。
  8. 前記メトリックは、前記三次元シーンの前記理想的なレンダリングの前記伝達関数に対する、前記多焦点ディスプレイによるレンダリングの前記実効伝達関数の劣化(degradation)に基づく、請求項7に記載の方法。
  9. 前記多焦点ディスプレイによるレンダリングの中の点の前記実効伝達関数は、前記理想的なレンダリングの中の点の位置に隣接する少なくとも2つの焦点面の伝達関数を融合することにより決定される、請求項7に記載の方法。
  10. 前記多焦点ディスプレイは、6個以下の焦点面を用いてシーンをレンダリングする、請求項2に記載の方法。
  11. 前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップは、前記三次元シーンの理想的なレンダリングと前記多焦点ディスプレイによるレンダリングとの間の歪みを測る歪みメトリックの最適化に基づき、前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップを有する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記歪みメトリックは、前記レンダリング可能な体積の前記選択された位置を用いた前記多焦点ディスプレイによるレンダリングと、前記三次元シーンの理想的なレンダリングとの間の誤差メトリックであり、前記歪みメトリックを最適化するステップは、前記誤差メトリックを最小化するステップを有する、請求項11に記載の方法。
  13. 前記歪みメトリックは、前記三次元シーンの理想的なレンダリングと比べた、前記レンダリング可能な体積の前記選択された位置を用いた前記多焦点ディスプレイによるレンダリングの品質に基づく品質メトリックであり、前記歪みメトリックを最適化するステップは、前記品質メトリックを最大化するステップを有する、請求項11に記載の方法。
  14. コンテンツを分析するステップは、空間領域において前記三次元シーンのコンテンツを分析するステップを有し、前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップは、前記空間領域における前記分析に基づき、前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップを有する、請求項1に記載の方法。
  15. コンテンツを分析するステップは、空間周波数領域において前記三次元シーンのコンテンツを分析するステップを有し、前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップは、前記空間周波数領域における前記分析に基づき、前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップを有する、請求項1に記載の方法。
  16. 前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップは、前記多焦点ディスプレイのレンダリング要件に更に基づく、請求項1に記載の方法。
  17. 前記コンテンツの分析に基づきレンダリング可能な体積の数Mを選択するステップ、を更に有する請求項1に記載の方法。
  18. 前記多焦点ディスプレイは、ニアアイ(near−eye)多焦点ディスプレイである、請求項1に記載の方法。
  19. 異なる位置にある複数のレンダリング可能な体積を用いることにより三次元シーンをレンダリングする多焦点ディスプレイであって、前記レンダリング可能な体積の前記位置は、レンダリングされるべき前記三次元シーンのコンテンツの分析に基づき決定される、多焦点ディスプレイ。
  20. コンピュータと共に使用するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、多焦点ディスプレイのためのレンダリング可能な体積の位置を選択するコンピュータプログラムコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体を有し、前記コンピュータプログラムコードは、
    前記多焦点ディスプレイによりレンダリングされるべき三次元シーンの中のコンテンツを分析するステップと、
    前記コンテンツの分析に基づき、前記レンダリング可能な体積の前記位置を選択するステップと、
    を実行する、コンピュータプログラム製品。
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