以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る雄コネクタを備えるコネクタ付ケーブルの概略構成を示す分解斜視図である。図2、図8は、実施形態に係る雄コネクタを備えるコネクタ付ケーブルの概略構成を示す斜視図である。図3、図9は、実施形態に係る雄コネクタを備えるコネクタ付ケーブルの概略構成を示す軸方向に沿った断面図である。図4は、実施形態に係る雄コネクタのロックの軸方向係止側の端面の正面図である。図5は、実施形態に係る雄コネクタの固定リングの軸方向係止側の端面の正面図である。図6は、実施形態に係る雄コネクタの固定リング近傍の部分断面斜視図である。図7は、実施形態に係る雄コネクタのロックの装着方法の一例を説明する流れ図である。
図1〜図9に示す本実施形態に係るコネクタとしての雄コネクタ1は、雄雌一対のコネクタの一方、ここでは雄側を構成するものであり、いわゆるケーブル対ケーブル接続用接続機構を構成するものである。雄コネクタ1は、相手方コネクタとして、雄雌一対のコネクタの他方、ここでは雌側を構成する雌コネクタ301(図10、図11等参照)と嵌合することによって、それぞれの内部に収容される雄端子2と雌端子302とを導電接続するものである。雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、雄端子2と雌端子302とを導電接続することによって、雄端子2、雌端子302それぞれに連結されるケーブル(電線)101、201同士を電気的に接続する。雄コネクタ1とケーブル101とは、雄側のコネクタ付ケーブル100を構成し、雌コネクタ301とケーブル201とは、雌側のコネクタ付ケーブル200を構成する。なお、ここでは一例として、コネクタ付ケーブル100とコネクタ付ケーブル200とは、比較的に大きな電流が流れる大電流用ケーブルであるものとして説明するがこれに限らない。
具体的には、コネクタ付ケーブル100は、図1、図2、図3、図4、図5、図6に示すように、ケーブル101と、雄コネクタ1とを備える。ケーブル101は、導電性の導体を絶縁性の絶縁体や保護被覆で覆った電線であり、端部に雄端子2が設けられる。雄コネクタ1は、ケーブル101に設けられた雄端子2を保持する。
雄コネクタ1は、図1、図2、図3、図4、図5、図6に示すように、端子としての雄端子2と、ハウジング3と、押え部材4と、ボディ5と、外殻部材としてのロック6と、規制部材としての固定リング7と、Cリング8と、ワッシャ9と、板バネ10とを備える。本実施形態の雄コネクタ1は、ロック6の交換可能性やメンテナンス性の観点から当該ロック6が容易に着脱可能に構成される。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、雄コネクタ1の説明において、円筒状に形成されるハウジング3の中心軸線X1に沿った方向を軸方向といい、中心軸線X1に直交する方向、すなわち、軸方向に直交する方向を径方向といい、中心軸線X1周りの方向を周方向という。軸方向は、典型的には、雄端子2を雌端子302に挿入する際の端子挿入方向に沿った方向である。軸方向において一方側を係止側といい、他方側を解除側という。軸方向係止側は、典型的には、雄コネクタ1を雌コネクタ301に係止する際にロック6が移動する側に相当し、雌コネクタ301が位置する側である。軸方向解除側は、典型的には、雄コネクタ1と雌コネクタ301との係止を解除する際にロック6が移動する側に相当し、雄コネクタ1からケーブル101が延在する側である。また、径方向において中心軸線X1側を径方向内側といい、反対側を径方向外側という。なお、中心軸線X1は、ハウジング3の中心軸線であると共に、雄コネクタ1全体の中心軸線となる。
雄端子2は、雌端子302と接続されるものである。雄端子2は、円筒状部2aと、フランジ部2bと、接点部2cとを有し、これらが一体で形成される(図3等参照)。雄端子2は、全体が導電性の金属材料等で構成され、接点部2cの表面に導電性のめっき等が施されている。円筒状部2aは、円筒状に形成され、内側にケーブル101の導体が挿入され電気的に接続される部分である。フランジ部2bは、外径が円筒状部2aの外径より大径の円板状に形成され、後述するハウジング3と押え部材4とによって軸方向に挟持され、保持される部分である。接点部2cは、円柱状に形成され、相手側端子である雌端子302の接点部302a(図10、図11等参照)と接触し導通接続される部分である。雄端子2は、フランジ部2bの軸方向解除側の面から軸方向解除側に円筒状部2aが突出し、フランジ部2bの軸方向係止側の面から軸方向係止側に接点部2cが突出すると共に、円筒状部2a、フランジ部2b、及び、接点部2cの中心軸線が相互に一致するような位置関係で、一体で形成される。
ハウジング3は、円筒状に形成され内側に雄端子2を保持し、導電部分を絶縁保護するものである。ハウジング3は、第1円筒状部3aと、フランジ部3bと、第2円筒状部3cと、螺合溝としての第1螺合溝(ハウジング側螺合溝)3dと、第2螺合溝3eとを有し、これらが一体で形成される(図3等参照)。ハウジング3は、全体が絶縁性の樹脂材料等で構成される。第1円筒状部3a、フランジ部3b、及び、第2円筒状部3cは、雄端子2を保持する部分である。第1円筒状部3aは、円筒状に形成され、内側に嵌合空間部3fを区画する部分である。嵌合空間部3fは、雄端子2と雌端子302とを導通接続する際に後述の雌コネクタ301の第2円筒状部303b(図10、図11等参照)が嵌合すると共に雄端子2の接点部2cが露出する空間部である。言い換えれば、第1円筒状部3aは、雄端子2の接点部2cの外周側を所定の間隔をあけて覆う部分である。フランジ部3bは、外径が第1円筒状部3a、第2円筒状部3cの外径より大径の円環板状に形成され、軸方向に対して後述する固定リング7との間にワッシャ9、板バネ10等を保持するための部分である。第2円筒状部3cは、円筒状に形成され、外周面に後述の押え部材4が装着される部分である。第2円筒状部3cは、外径が雄端子2のフランジ部2bの外径とほぼ同等になるように形成される。第1螺合溝3dは、第1円筒状部3aの外周面に螺旋状に形成される溝であり、後述の固定リング7が螺合される部分である。第2螺合溝3eは、第2円筒状部3cの外周面に螺旋状に形成される溝であり、後述の押え部材4が螺合される部分である。ハウジング3は、フランジ部2bの軸方向係止側の面から軸方向係止側に第1円筒状部3aが突出し、フランジ部3bの軸方向解除側の面から軸方向解除側に第2円筒状部3cが突出すると共に、第1円筒状部3a、フランジ部3b、第2円筒状部3c、第1螺合溝3d、及び、第2螺合溝3eの中心軸線X1が相互に一致するような位置関係で、一体で形成される。ここでは、第1螺合溝3dは、第1円筒状部3aにおけるフランジ部3b側の基端部(言い換えれば、軸方向解除側の端部)に形成される。一方、第2螺合溝3eは、第2円筒状部3cにおけるフランジ部3bとは反対側の先端部(言い換えれば、軸方向解除側の端部)に形成される。
そして、ハウジング3は、第2円筒状部3c側から雄端子2の接点部2cが挿入され、当該接点部2cが第2円筒状部3c、フランジ部3b、及び、第1円筒状部3aの内周面側を軸方向に沿って貫通し、第1円筒状部3aの内側の嵌合空間部3fに位置するような位置関係で当該雄端子2を保持する。つまり、ハウジング3は、軸方向に沿って雄端子2を保持する。雄端子2は、中心軸線がハウジング3の中心軸線X1と一致し同軸となるような位置関係でハウジング3に保持される。ハウジング3は、雄端子2を保持した状態で第1円筒状部3aが軸方向係止側に位置し、第2円筒状部3cが軸方向解除側に位置する。雄端子2は、ハウジング3に保持された状態でフランジ部2bの軸方向係止側の面が第2円筒状部3cの軸方向解除側の端面と当接する。なお、ハウジング3は、第1円筒状部3a、第2円筒状部3cの外周面にそれぞれ止水用のOリング3g、3hが装着されている。
押え部材4は、雄端子2をハウジング3側に保持するための部材、さらに言えば、ハウジング3に保持された雄端子2を軸方向解除側から押えるためのキャップ状の部材である。押え部材4は、第1円筒状部4aと、第2円筒状部4bと、段付き部4cと、螺合溝(押え部材側螺合溝)4dとを有し、これらが一体で形成される(図3等参照)。押え部材4は、全体が絶縁性の樹脂材料等で構成される。第1円筒状部4aは、円筒状に形成され、ハウジング3の第2円筒状部3cの一部、及び、雄端子2のフランジ部2bの外周面を覆う部分である。第1円筒状部4aは、内径が第2円筒状部3c、フランジ部2bの外径より若干大きく形成され、内側に第2円筒状部3cの一部、及び、フランジ部2bが挿入される。第2円筒状部4bは、円筒状に形成され、雄端子2の円筒状部2aの一部の外周面を覆う部分である。第2円筒状部4bは、内外径が第1円筒状部4aの内外径より小径に形成されると共に、内径が円筒状部2aの外径より若干大きく形成され、内側に円筒状部2aの一部が挿入される。段付き部4cは、外径が第1円筒状部4aの外径とほぼ同等で、かつ、内径が第2円筒状部4bの内径とほぼ同等に形成された円環板状に形成される。螺合溝4dは、第1円筒状部4aの内周面に螺旋状に形成される溝であり、上述のハウジング3の第2螺合溝3eに螺合する部分である。押え部材4は、段付き部4cの軸方向係止側の面から軸方向係止側に第1円筒状部4aが突出し、段付き部4cの軸方向解除側の面から軸方向解除側に第2円筒状部4bが突出すると共に、第1円筒状部4a、第2円筒状部4b、及び、段付き部4cの中心軸線が相互に一致するような位置関係で、一体で形成される。ここでは、螺合溝4dは、第1円筒状部4aにおける段付き部4c側とは反対側の先端部(言い換えれば、軸方向係止側の端部)に形成される。
そして、押え部材4は、螺合溝4dがハウジング3の第2螺合溝3eに螺合することで当該ハウジング3に装着される。押え部材4は、中心軸線がハウジング3の中心軸線X1と一致し同軸となるような位置関係でハウジング3に装着される。押え部材4は、ハウジング3に装着された状態で、第1円筒状部4aが軸方向係止側に位置し、第2円筒状部4bが軸方向解除側に位置する。押え部材4は、ハウジング3に装着された状態で段付き部4cの軸方向係止側の面が雄端子2のフランジ部2bの軸方向解除側の面と当接する。これにより、押え部材4は、ハウジング3に保持されている雄端子2のフランジ部2bを、段付き部4cによって軸方向解除側から第2円筒状部3cの端面側に押えることができる。言い換えれば、ハウジング3と押え部材4とは、軸方向に対して第2円筒状部3cの軸方向解除側の端面と段付き部4cの軸方向係止側の面との間にフランジ部2bを挟持することで、雄端子2を保持することができる。
ボディ5は、雄端子2の一部、ハウジング3の一部、押え部材4、ケーブル101の一部の外側を覆い、外圧からの保護や防水を行うモールド部である。ボディ5は、全体が絶縁性の樹脂材料等で構成され、モールド成形される。より詳細には、ボディ5は、雄端子2の円筒状部2a、フランジ部2bの全体、及び、接点部2cの一部、ハウジング3の第2円筒状部3cの全体、押え部材4の全体、ケーブル101の雄端子2側の一部の外側を覆う円錐台筒状に形成される。
ロック6は、円筒状に形成されに雌コネクタ301側に係止されるものであると共に、雄コネクタ1において最も径方向外側に位置する部材である。ロック6は、内側にハウジング3が挿入された状態でハウジング3の軸方向に沿ってハウジング3と相対移動可能に設けられると共に相手方コネクタとしての雌コネクタ301に係止可能である。ロック6は、第1円筒状部6aと、第2円筒状部6bと、段付き部6cと、突起部6dとを有し、これらが一体で形成される(図3等参照)。ロック6は、全体が絶縁性の樹脂材料等で構成される。第1円筒状部6aは、円筒状に形成され、ハウジング3、ボディ5の外周面の一部を覆う部分である。第1円筒状部6aは、内径がハウジング3のフランジ部3b、ボディ5の外径より大きく形成され、内側にハウジング3、及び、ボディ5の一部が挿入される。第1円筒状部6aは、内周面とボディ5の外周面との間に所定の間隙6eを有している。第2円筒状部6bは、円筒状に形成され、ボディ5の一部の外周面を覆う部分である。第2円筒状部6bは、内外径が第1円筒状部6aの内外径より小径に形成されると共に、内径がフランジ部3b、ボディ5の外径より若干大きく形成され、内側にボディ5の一部が挿入される。ここでは、第2円筒状部6bは、内径が間隙6eの分だけ第1円筒状部6aの内径より小径となっている。段付き部6cは、外径が第1円筒状部6aの外径とほぼ同等で、かつ、内径が第2円筒状部6bの内径とほぼ同等に形成された円環板状に形成される。突起部6dは、ロック6の内周面に形成される。ここでは、突起部6dは、第1円筒状部6aの内周面に形成される(図4参照)。より詳細には、突起部6dは、ロック6において、軸方向の端部であって雌コネクタ301に係止される側の端部、すなわち、第1円筒状部6aの軸方向係止側の端部の内周面に形成される。突起部6dは、雌コネクタ301に係止可能な部位であり、第1円筒状部6aの内周面から径方向内側に向けて突出するようにして形成される。突起部6dは、径方向に沿った断面形状、及び、軸方向に沿った断面形状が略矩形状に形成され、すなわち、略直方体状に形成される。突起部6dは、第1円筒状部6aの内周面に沿って周方向に等間隔で複数、ここでは4つが設けられる。すなわち、突起部6dは、ロック6の中心軸線周りに90°毎に1つずつ形成される。
そして、ロック6は、第1円筒状部6a、第2円筒状部6b、及び、段付き部6cの内周面側に軸方向に沿ってハウジング3、及び、ボディ5の一部が挿入されるような位置関係でハウジング3等に装着される。ロック6は、中心軸線がハウジング3の中心軸線X1と一致し同軸となるような位置関係でハウジング3に装着される。ロック6は、ハウジング3に装着された状態で、第1円筒状部6aが軸方向係止側に位置し、第2円筒状部6bが軸方向解除側に位置する。ロック6は、内周面側にハウジング3等が挿入された状態でハウジング3の軸方向に沿ってハウジング3と相対移動可能、かつ、ハウジング3に対して軸方向周りに相対回転可能に設けられる。
固定リング7は、ロック6の雌コネクタ301側への離脱を規制するためのロックストッパ部材であり、ここでは、ハウジング3に対して着脱可能に構成される。固定リング7は、ロック6の内側に第1螺合溝3dと螺合して設けられ、ロック6の内側にハウジング3が挿入された状態で当該ロック6の雌コネクタ301側への離脱を規制する。固定リング7は、円環板状に形成されると共に、螺合溝(規制部材螺合溝)7aと、切り欠き部7bとを有し、全体が絶縁性の樹脂材料等で構成される。固定リング7は、外径がロック6の第1円筒状部6aの内径より若干小さく形成され、第1円筒状部6aの内側に挿入可能に構成される。固定リング7は、内径がハウジング3の第1円筒状部3aの外径より若干大きく形成される。固定リング7は、軸方向の長さがロック6と比較して十分に短く形成される。螺合溝7aは、固定リング7の内周面に螺旋状に形成される溝であり、上述のハウジング3の第1螺合溝3dに螺合する部分である。固定リング7は、螺合溝7aが第1螺合溝3dに螺合することで、ロック6の内側にハウジング3に対して着脱可能に設けられる。固定リング7は、中心軸線がハウジング3の中心軸線X1と一致し同軸となるような位置関係でハウジング3に組み付けられる。切り欠き部7bは、ロック6の突起部6dが嵌合する部分である(図5等参照)。切り欠き部7bは、固定リング7の外周面に形成される。切り欠き部7bは、固定リング7の外周面が径方向内側に向けて略矩形状に窪むようにして形成される。言い換えれば、切り欠き部7bは、固定リング7を軸方向に貫通する。切り欠き部7bは、突起部6dと対応した形状で、当該突起部6dより若干大きく形成される。切り欠き部7bは、突起部6dに対応して、固定リング7の外周面に沿って周方向に等間隔で複数、ここでは4つが設けられる。すなわち、切り欠き部7bは、固定リング7の中心軸線周りに90°毎に1つずつ形成される。各切り欠き部7bは、軸方向に沿ったロック6と固定リング7との相対移動に伴って、各突起部6dが通過可能な形状、大きさ、位置に形成される。これにより、固定リング7は、軸方向に沿ったロック6の相対移動を所定の範囲内で許容することができる。また、固定リング7は、各切り欠き部7bに各突起部6dが嵌合した状態で、ロック6の軸方向周りの回転に伴って一体回転することができる。
そして、固定リング7は、ハウジング3に組み付けられた状態で、軸方向解除側の面がロック6の段付き部6cの軸方向係止側の面と後述のワッシャ9、板バネ10を挟んで対向する(図6等参照)。これにより、固定リング7は、ハウジング3に組み付けられた状態で、ロック6が軸方向係止側に移動した場合、当該固定リング7がワッシャ9、板バネ10等を挟んで段付き部6cの軸方向係止側への移動を規制することで、ロック6の軸方向係止側への相対移動を所定の位置で規制することができる。これにより、固定リング7は、ロック6が軸方向に沿ってハウジング3から雌端子302側へ離脱することを規制することができる。
Cリング8は、固定リング7の緩み止め部材である。Cリング8は、金属材料等によって円環状に形成される。Cリング8は、ハウジング3に形成された凹部3i(図6等参照)に装着される。凹部3iは、ハウジング3の第1円筒状部3aにおいて、第1螺合溝3dの軸方向係止側に隣接する位置に、当該第1円筒状部3aの外周面に沿って環状に形成される。Cリング8は、径方向に沿って切れ目を有しており、当該切れ目側から凹部3i内に装着される。Cリング8は、中心軸線がハウジング3の中心軸線X1と一致し同軸となるような位置関係で凹部3i内に装着される。Cリング8は、固定リング7の軸方向係止側の端面に当接することで固定リング7の緩みを防止する。
ワッシャ9、及び、板バネ10は、軸方向に対して、ハウジング3のフランジ部3bと固定リング7との間に介在する円環状の部材である(図6等参照)。ワッシャ9、板バネ10は、ともに金属材料等によって円環板状に形成され、内側にハウジング3の第1円筒状部3aが挿入される。ここでは、ワッシャ9、板バネ10は、第1円筒状部3aの第1螺合溝3dが形成された部分と上記フランジ部3bとの間に設けられ、ここではワッシャ9がフランジ部3b側に位置し、板バネ10が固定リング7側に位置する。板バネ10は、ロック6が軸方向係止側の所定の位置(典型的には、ロック6が雌コネクタ301に係止される位置)にある状態で、ワッシャ9を介してロック6の段付き部6cの軸方向係止側の面に軸方向解除側への付勢力を作用させることで、ロック6を軸方向解除側に付勢する(引き戻す)弾性部材である。このとき、固定リング7は、板バネ10からの付勢反力を受ける部材として機能する。
次に、図7の流れ図を参照して雄コネクタ1のロック6の装着方法の一例について説明する。
まず、作業者は、ハウジング3と押え部材4とによって雄端子2が保持され、かつ、これらの外側にボディ5がモールドされた状態で、ロック組付工程として、ロック6をハウジング3に組み付ける(ステップST1)。この場合、作業者は、ロック6の内周面側にハウジング3、ボディ5の一部が挿入されるような位置関係で、ハウジング3の第1円筒状部3a側からロック6をハウジング3に装着する。作業者は、ロック6の第1円筒状部6aが軸方向係止側に位置し、第2円筒状部6bが軸方向解除側に位置するような位置関係で、ロック6をハウジング3に装着する。このとき、作業者は、ワッシャ9、板バネ10も、ハウジング3のフランジ部3bとロック6の突起部6dとの間に介在するような位置関係で、一緒に当該ハウジング3に組み付ける。その後、作業者は、フランジ部3bによってワッシャ9、板バネ10を介してロック6の突起部6dの軸方向解除側への移動が規制される位置まで、当該ロック6を軸方向解除側に移動させておく。
次に、作業者は、固定リング組付工程として、固定リング7をハウジング3に組み付ける(ステップST2)。この場合、作業者は、固定リング7をハウジング3の第1螺合溝3dと軸方向係止側で隣接する位置に組み付ける。作業者は、この時点で固定リング7を第1螺合溝3dに多少螺合させておいてもよい。
次に、作業者は、ロック6による締結準備工程として、固定リング7の各切り欠き部7bとロック6の各突起部6dとが嵌合する螺合操作位置(図2、図3等参照)にロック6を位置決めする(ステップST3)。このとき、板バネ10は、各切り欠き部7bと各突起部6dとが嵌合する螺合操作位置で、板バネ10がロック6の各突起部6dと当接し軸方向に対してロック6を位置決めする位置決め部材として機能する。板バネ10は、固定リング7とフランジ部3bとの間に介在し、フランジ部3bによって軸方向解除側への移動が規制された状態となっており、この状態で各切り欠き部7bに嵌合された各突起部6dが当該板バネ10に突き当てられることで、ロック6の軸方向解除側への移動を規制することができる。これにより、ロック6は、板バネ10(間接的にはさらにワッシャ9、及び、フランジ部3b)によって軸方向解除側に対して位置決めされる。この結果、作業者は、ロック6を、各切り欠き部7bと各突起部6dとが嵌合する螺合操作位置で維持させやすくすることができる。
そして、作業者は、ロック6による締結工程として、各切り欠き部7bと各突起部6dとが嵌合した状態で、ロック6を軸方向周りに回転させることで、当該ロック6の回転に伴って固定リング7も軸方向周りに回転させる。これにより、作業者は、固定リング7の螺合溝7aをハウジング3の第1螺合溝3dに螺合させ、固定リング7をハウジング3に締結する(ステップST4)。つまり、作業者は、ロック6自体を、固定リング7を回転させハウジング3に締結するための締結用工具として兼用する。その後、作業者は、固定リング7を規定位置まで締め終わった後、Cリング8をハウジング3の凹部3iに装着し、固定リング7の緩み止めの措置を施し、当該ロック6の装着方法を終了する。なお、作業者は、ロック6を取り外す際には、上述の逆の工程を行えばよい。このようにして、雄コネクタ1は、ロック6が着脱可能に構成される。
上記のように構成される雄コネクタ1は、ロック6がハウジング3に装着された状態で、軸方向に沿って係止位置と、螺合操作位置と、解除位置とに移動可能である。ここでは、係止位置は、軸方向係止側の位置であり、螺合操作位置は、軸方向解除側の位置であり、解除位置は、係止位置と螺合操作位置との間の位置である。
具体的には、ロック6の係止位置とは、ロック6の各突起部6dが雌コネクタ301に係止される位置である。ロック6は、係止位置では、図8、図9等に示すように、固定リング7によって、ワッシャ9、板バネ10等を介して、段付き部6cの軸方向係止側への移動が規制され、これにより、軸方向係止側への相対移動を規制される。そして、ロック6は、固定リング7によって、軸方向に沿ってハウジング3から雌端子302側へ離脱することが規制される。ロック6は、係止位置では、各突起部6dが実際に後述の雌コネクタ301に係止されている状態で、板バネ10によって段付き部6cを介して軸方向解除側に付勢される。
ロック6の螺合操作位置とは、図2、図3等に示すように、固定リング7の各切り欠き部7bとロック6と各突起部6dとが嵌合する位置であり、ロック6自体を、固定リング7をハウジング3に締結するための締結用工具として兼用するための位置である。ロック6は、螺合操作位置では、典型的には、各突起部6dが各切り欠き部7bに嵌合した状態で位置決め部材として機能する板バネ10等によって軸方向解除側への移動が規制され、軸方向解除側に対して位置決めされる。
ロック6の解除位置とは、係止位置と螺合操作位置との間に位置し、各突起部6dと雌コネクタ301との係止が解除され、かつ、各突起部6dと各切り欠き部7bとの嵌合が解除された位置である。
そして、ロック6は、軸方向係止側へ移動する際には、段付き部6cがワッシャ9に当接し板バネ10等を介して、固定リング7によって当該段付き部6cの軸方向係止側への移動が規制されることで、軸方向係止側への離脱が規制される。一方、ロック6は、軸方向解除側へ移動する際には、各突起部6dの軸方向解除側の面が固定リング7、又は、板バネ10の軸方向係止側の面に当接し当該突起部6dの軸方向解除側への移動が規制されることで、軸方向解除側への離脱が規制される。このように、ロック6は、ハウジング3に装着された状態で所定の範囲で軸方向に沿って係止位置と、螺合操作位置と、解除位置とに移動可能に構成される。
ここで、図10、図11を参照して雄コネクタ1が嵌合する雌コネクタ301についても簡単に説明しておく。
図10は、実施形態に係る雌コネクタを備えるコネクタ付ケーブルの概略構成を示す斜視図である。図11は、実施形態に係る雌コネクタを備えるコネクタ付ケーブルの概略構成を示す軸方向に沿った断面図である。
なお、以下の説明では、特に断りのない限り、雌コネクタ301の説明において、円筒状に形成されるハウジング303の中心軸線X2に沿った方向を軸方向といい、中心軸線X2に直交する方向、すなわち、軸方向に直交する方向を径方向といい、中心軸線X2周りの方向を周方向という。軸方向は、典型的には、雄端子2が雌端子302に挿入される際の端子挿入方向に沿った方向である。軸方向において一方側を嵌合側といい、他方側を非嵌合側という。軸方向嵌合側は、典型的には、雄コネクタ1と雌コネクタ301とを嵌合させる際に雄コネクタ1が位置する側である。軸方向非嵌合側は、典型的には、雌コネクタ301からケーブル201が延在する側である。また、径方向において中心軸線X2側を径方向内側といい、反対側を径方向外側という。なお、中心軸線X2は、ハウジング303の中心軸線であると共に、雌コネクタ301全体の中心軸線となる。
雌コネクタ301は、雌端子302と、ハウジング303と、押え部材304と、ボディ305とを備える。雌コネクタ301は、雄端子2にかえて雌端子302を備えると共に、ロック6、固定リング7を備えない点で雄コネクタ1とは異なり、それ以外の部分については概略的には雄コネクタ1とほぼ同様の構成をなしている。ここでは、雌コネクタ301は、雄コネクタ1との嵌合で関係する部分について主に説明し、その他の説明ではできるだけ省略する。
雌端子302は、雄端子2と接続されるものである。雌端子302は、軸方向非嵌合側にケーブル101の導体が挿入され電気的に接続され、軸方向嵌合側に雄端子2との接点部302aが形成される。接点部302aは、円筒状に形成され、内周面側に雄端子2の接点部2cが嵌合することで、当該接点部2cと接触し導通接続される部分である。雌端子302は、全体が導電性の金属材料等で構成され、接点部2cの表面に導電性のめっき等が施されている。
ハウジング303は、円筒状に形成され内側に雌端子302を保持し、導電部分を絶縁保護するものである。ハウジング303は、軸方向非嵌合側に押え部材304が装着されることで当該押え部材304との間に雌端子302を挟み込んで保持すると共に、軸方向嵌合側に第1円筒状部303a、及び、第2円筒状部303bが形成される。ハウジング303、押え部材304は、全体が絶縁性の樹脂材料等で構成される。第1円筒状部303a、第2円筒状部303bは、共に同軸の円筒状に形成され、第1円筒状部303aの内周面側に第2円筒状部303bが位置する。第2円筒状部303bは、内周面側に雌端子302の接点部302aを収容する。
第1円筒状部303aは、外周面に、複数のガイドリブ部303cと、各突起部6dが係止される複数の係止凹部303dとが形成されている。ガイドリブ部303cは、雄コネクタ1の各突起部6dを係止凹部303dに係止する際に、ロック6の軸方向周りの回転に伴って各突起部6dを各係止凹部303d側に案内する突状部である。ガイドリブ部303cは、複数の係止凹部303dに対応してそれぞれ1つずつ設けられる。ここでは、ガイドリブ部303cは、周方向に等間隔で4つ設けられる。各ガイドリブ部303cは、ロック6を軸方向周りの一方側に回転させた際にロック6を軸方向非嵌合側に引き付けながら、各突起部6dを各係止凹部303d側に案内するようなテーパ状に形成される。各係止凹部303dは、各ガイドリブ部303cの軸方向非嵌合側の端部に形成された凹部状の部分である。各係止凹部303dは、各突起部6dが嵌合することで、ロック6の軸方向解除側への移動、及び、軸方向周りの一方側へのさらなる回転を規制可能な形状に形成される。ここでは、各係止凹部303dは、軸方向に沿って軸方向嵌合側に窪んだような形状になっている。一方、各ガイドリブ部303cは、各突起部6dが各係止凹部303dに嵌合している状態、すなわち、ロック6が雌コネクタ301のハウジング303に係止された状態でロック6を軸方向周りの他方側に回転させた際に、当該ロック6を軸方向解除側に引き離しながら、各突起部6dを各係止凹部303dとは反対側に案内し、これにより、ロック6とハウジング303との係止を解除する。
第1円筒状部303aと第2円筒状部303bは、第1円筒状部303aの内周面と第2円筒状部303bの外周面との間に円環状の嵌合空間部303eを区画する。嵌合空間部303eは、雄端子2と雌端子302とを導通接続する際に雄コネクタ1のハウジング3の第1円筒状部3aが嵌合する空間部である。雌コネクタ301は、雌端子302の接点部302a、ハウジング303の第1円筒状部303a、第2円筒状部303b、押え部材304等の中心軸線がハウジング303の中心軸線X2と一致し同軸となるように構成される。ボディ305は、雌端子302の一部、ハウジング303の一部、押え部材304、ケーブル201の一部の外側を覆い、外圧からの保護や防水を行うモールド部である。ボディ305は、全体が絶縁性の樹脂材料等で構成され、モールド成形される。
次に、図12、図13、図14、図15を参照して雄コネクタ1と雌コネクタ301との嵌合動作について説明する。図12、図14は、実施形態に係る雄コネクタと雌コネクタとの嵌合動作を説明する斜視図である。図13、図15は、実施形態に係る雄コネクタと雌コネクタとの嵌合動作を説明する軸方向に沿った断面図である。
上記のように構成される雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、雄端子2と雌端子302とを導通接続する場合、図12、図13に示すように、雄コネクタ1のロック6が解除位置、又は、螺合操作位置にある状態で、下記のような位置関係で相互に嵌合される。すなわち、雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、雌コネクタ301の嵌合空間部303eに雄コネクタ1の第1円筒状部3aが嵌合し、雄コネクタ1の嵌合空間部3fに雌コネクタ301の第2円筒状部303bが嵌合する位置関係で相互に嵌合される。この状態で、雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、中心軸線X1と中心軸線X2とが一致すると共に、雄端子2の接点部2cが雌端子302の接点部302aの内周面側に嵌合し、当該接点部2cと接点部302aが接触し導通接続され、雄端子2、雌端子302それぞれに連結されるケーブル101、201同士が電気的に接続される。
そして、雄コネクタ1は、ロック6の各突起部6dを周方向に隣接するハウジング303のガイドリブ部303cの間に突き当てるようにしながら当該ロック6を軸方向係止側に移動させつつ軸方向周りの一方側に回転させる。これにより、雄コネクタ1は、ガイドリブ部303cの作用により当該ロック6が軸方向非嵌合側、言い換えれば、係止位置側に引き付けられながら、各突起部6dが各係止凹部303d側に案内され、最終的に各突起部6dが各係止凹部303d内に嵌合される。この結果、雄コネクタ1は、図14、図15に示すように、ロック6が雌コネクタ301のハウジング303に係止され、雌コネクタ301との嵌合状態が維持され、すなわち、雄端子2と雌端子302との導電接続が維持される。
ここで、雄コネクタ1は、ロック6が係止位置にある状態、すなわち、各突起部6dが各係止凹部303d内に嵌合し、ロック6がハウジング303に係止された状態で、板バネ10の作用により当該ロック6が軸方向解除側に付勢されている。これにより、雄コネクタ1は、各突起部6dが各係止凹部303dを区画する軸方向解除側の壁面側に確実に押圧されるので、ロック6がハウジング303に係止された状態を確実に維持することがきる。この結果、雄コネクタ1は、例えば、振動等によってロック6が軸方向係止側に移動することを抑制し、ロック6とハウジング303との係止が解除されることを抑制することができる。
また、雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、ロック6の外周面、及び、ハウジング303の外周面にそれぞれ、各突起部6dが各係止凹部303d内に完全に嵌合し、ロック6がハウジング303に完全に係止された状態で、軸方向に連続する確認ライン11、311が設けられている。ここでは、確認ライン11、311は、それぞれ各突起部6d、各係止凹部303dの位置に対応して設けられている。これにより、雄コネクタ1は、ロック6を軸方向周りの一方側に回転させた際に、確認ライン11と確認ライン311とが軸方向に連続する位置まで回転させることで、作業者等に対して、各突起部6dが各係止凹部303d内に完全に嵌合し、ロック6がハウジング303に完全に係止されたことを、目視にて簡単に確認させることができる。
一方、雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、ロック6とハウジング303との係止を解除し、雄端子2と雌端子302との導通接続を解除する場合、ロック6を一旦軸方向係止側に移動させた後、軸方向周りの他方側に回転させることで、ガイドリブ部303cの作用によりロック6がハウジング303から軸方向解除側に引き離されながら、各突起部6dが各係止凹部303dとは反対側に案内される。これにより、雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、ロック6とハウジング303との係止が解除され、この状態で雄コネクタ1全体を雌コネクタ301から引く抜くことで雄端子2と雌端子302との導通接続が解除される。
なお、雄コネクタ1と雌コネクタ301とは、図15に示すように各突起部6dが各係止凹部303d内に完全に嵌合し、ロック6がハウジング303に完全に係止された状態で、軸方向に対するロック6の軸方向係止側の端面とハウジング303との間に、円弧板状に形成されたガタ詰め部材12が装着されてもよい。これにより、雄コネクタ1は、各突起部6dが各係止凹部303d内に完全に嵌合し、ロック6がハウジング303に完全に係止された状態で、当該ガタ詰め部材12によってロック6が軸方向係止側に移動することを規制することができる。この結果、雄コネクタ1は、例えば、誤ってロック6とハウジング303との係止が解除されることを確実に抑制することができる。
以上で説明したコネクタ1によれば、筒状に形成され、内側に雄端子2を保持すると共に外面に第1螺合溝3dが形成されたハウジング3と、筒状に形成され、内側にハウジング3が挿入された状態でハウジング3の軸方向に沿ってハウジング3と相対移動可能に設けられると共に雌コネクタ301に係止可能であるロック6と、ロック6の内側に第1螺合溝3dと螺合して設けられ、ロック6の内側にハウジング3が挿入された状態で当該ロック6の雌コネクタ301側への離脱を規制する固定リング7とを備える。
以上で説明したコネクタ付ケーブル100によれば、端部に雄端子2が設けられたケーブル101と、筒状に形成され、内側に雄端子2を保持すると共に外面に第1螺合溝3dが形成されたハウジング3と、筒状に形成され、内側にハウジング3が挿入された状態でハウジング3の軸方向に沿ってハウジング3と相対移動可能に設けられると共に雌コネクタ301に係止可能であるロック6と、ロック6の内側に第1螺合溝3dと螺合して設けられ、ロック6の内側にハウジング3が挿入された状態で当該ロック6の雌コネクタ301側への離脱を規制する固定リング7とを有する雌コネクタ301とを備える。
したがって、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ハウジング3の第1螺合溝3dに螺合されロック6のハウジング3からの離脱を規制する固定リング7を当該第1螺合溝3dから取り外すことで、ロック6をハウジング3から容易に取り外すことができる。この結果、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ロック6を着脱可能に構成することができる。
ここで、雄コネクタ1では、例えば、ボディ5は、軟質プラスチックによって形成される一方、ハウジング3、押え部材4、ロック6、固定リング7等は、ボディ5より硬度が高い硬質プラスチックによって形成される。特に、ロック6は、雄コネクタ1と雌コネクタ301との接続状態を確実に維持することができる構成とするために、モールド部であるボディ5等と比較して相対的に硬度が高い硬質プラスチックによって形成される傾向がある。そして、雄コネクタ1は、ロック6が比較的に硬質の材料で形成され、また、雄コネクタ1における外殻部材を構成していることから、当該ロック6が他の部位と比較して外圧、衝撃等にさらされやすく破損しやすい傾向にある。
これに対して、本実施形態の雄コネクタ1は、ロック6を、固定リング7を介してハウジング3に組み付けると共に、当該固定リング7をハウジング3に対して脱着容易な構造とすることで、ロック6を容易に着脱可能に構成することができる。この結果、雄コネクタ1は、ロック6の交換可能性を確保することができるので、仮にロック6が破損した場合であっても当該破損したロック6だけを容易に交換することができる。これにより、雄コネクタ1は、例えば、仮にロック6が破損した場合であっても雄コネクタ1全体、あるいは、コネクタ付ケーブル100全体を交換しなくてもよいことから、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100自体の長寿命化を図ることができ、経済性を向上することができる。また、雄コネクタ1は、ロック6が破損した場合でなくても当該ロック6を容易に着脱可能であることから、当該ロック6を取り外してメンテナンスを行う等、メンテナンス性も向上することができる。
さらに、以上で説明した雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100によれば、ロック6は、内面に形成される突起部6dを有し、ハウジング3に対して軸方向周りに相対回転可能に設けられ、固定リング7は、外面に突起部6dが嵌合する切り欠き部7bを有し、当該切り欠き部7bに突起部6dが嵌合した状態で、ロック6の軸方向周りの回転に伴って一体回転する。したがって、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、切り欠き部7bと突起部6dとが嵌合した状態で、ロック6を軸方向周りに回転させることで、当該ロック6の回転に伴って固定リング7も軸方向周りに回転させることができ、これにより、固定リング7をハウジング3の第1螺合溝3dに対して着脱することができる。この結果、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ロック6自体を、固定リング7を回転させハウジング3に着脱するための締結用工具として兼用することができ、別途、専用の工具を用いる必要がないので、作業性の向上、作業工数の増加抑制、製造コストの抑制等を図ることができる。
さらに、以上で説明した雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100によれば、突起部6dは、少なくとも雌コネクタ301に軸方向に対して係止可能である。したがって、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、固定リング7をハウジング3に脱着する際に固定リング7の切り欠き部7bに嵌合させる突起部6dと、ロック6を雌コネクタ301に係止するための突起部6dとを兼用することができるので、ロック6の構成をよりシンプルにすることができ、例えば、製造コストの抑制等を図ることができる。
さらに、以上で説明した雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100によれば、突起部6dは、ロック6において、軸方向の端部であって雌コネクタ301側の端部に形成される。これにより、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ロック6自体を、固定リング7を回転させハウジング3に着脱するための締結用工具として用いる際に、突起部6dが切り欠き部7bに嵌合したことを目視しやすい位置に当該突起部6dを設けることができる。この点でも、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ロック6、固定リング7をハウジング3に着脱する際の作業性を向上することができる。
さらに、以上で説明した雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100によれば、切り欠き部7bと突起部6dとが嵌合する螺合操作位置で、ロック6と当接し軸方向に対してロック6を位置決めする板バネ10を備える。したがって、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ロック6自体を、固定リング7を回転させハウジング3に着脱するための締結用工具として用いる際に、切り欠き部7bに嵌合された突起部6dが当該板バネ10に突き当てられることで、ロック6の軸方向解除側への移動を規制することができる。この結果、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ロック6を締結用工具として用いる際に、当該ロック6が板バネ10によって軸方向解除側に対して位置決めされることから、ロック6の位置を、切り欠き部7bと突起部6dとが嵌合する螺合操作位置で維持させやすくすることができ、その状態で着脱作業をおこなうことができるので、この点でも作業性を向上することができる。
さらに、以上で説明した雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100によれば、ロック6は、軸方向に沿って、突起部6dが雌コネクタ301に係止される係止位置と、切り欠き部7bと突起部6dとが嵌合する螺合操作位置と、係止位置と螺合操作位置との間に位置し、突起部6dと雌コネクタ301との係止が解除され、かつ、突起部6dと切り欠き部7bとの嵌合が解除された解除位置とに移動可能である。したがって、雄コネクタ1、コネクタ付ケーブル100は、ロック6を軸方向に沿って係止位置、螺合操作位置、解除位置の各位置に移動させることで、当該ロック6と雌コネクタ301とを係止する状態と、当該ロック6を締結用工具として用いる状態と、当該ロック6と雌コネクタ301との係止を解除した状態とを簡単に切り替えることができる。
なお、上述した本発明の実施形態に係るコネクタ、及び、コネクタ付ケーブルは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
以上の説明では、雄コネクタ1は、いわゆるケーブル対ケーブル接続用接続機構を構成するものであるとして説明したがこれに限らず、機器対ケーブル接続用接続機構、機器対機器接続用接続機構を構成するものであってもよい。
以上の説明では、コネクタは、雄雌一対のコネクタのうちの雄コネクタを構成するものとして説明したがこれに限らず、雌コネクタを構成するものであってもよく、すなわち、螺合溝付のハウジング、外殻部材、規制部材等が雌コネクタ側に設けられていてもよい。
以上の説明では、ハウジング、外殻部材、規制部材は、円筒状に形成されるものとして説明したがこれに限らず、螺合溝が円筒状であれば他の部分は他の筒状であってもよい。
以上の説明では、突起部6dは、ロック6において、軸方向の端部であって雌コネクタ301に係止される側の端部、すなわち、第1円筒状部6aの軸方向係止側の端部の内周面に形成されるものとして説明したが、形成位置はこれに限らない。また、以上の説明では、突起部6dは、雌コネクタ301に係止可能であるものとして説明したがこれに限らない。つまり、コネクタは、固定リング7をハウジング3に着脱するための締結用工具を構成する突起部と、ロック6と雌コネクタ301とを係止するための突起部とが別々に形成されてもよい。
また、以上の説明では、固定リング7は、切り欠き部7bを備えるものとして説明したがこれに限らず、すなわち、固定リング7をハウジング3に着脱するための締結用工具としてロック6を兼用しなくてもよく、別途、専用の工具で固定リング7をハウジング3に着脱するように構成されてもよい。
また、以上の説明では、位置決め部材は、板バネ10であるものとして説明したがこれに限らず、例えば、ワッシャ9やハウジング3のフランジ部3b等であってもよい。