JP2016122536A - 燃料電池システム - Google Patents

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恵美子 森
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Abstract

【課題】小型化できる燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】ファン54と、ファン54の送風方向の下流側に配置されるラジエータ55と、ラジエータ55の送風方向の下流側に配置され、ラジエータ55により冷却される燃料電池3とを備え、燃料電池3は、ラジエータ55を通過するファン54からの送風を受けるように、ラジエータ55の近傍に配置される。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、電解質膜と、電解質膜を挟んで対向するアノードおよびカソードとを備える単位セルが積層されるセルスタックを備えており、アノードに燃料が供給され、カソードに空気が供給されることにより、電気化学反応が生じ、それによって発電している。
このような燃料電池システムでは、ラジエータとファンとを備え、ファンからラジエータに送風することによりラジエータを冷却するとともに、ラジエータとセルスタックとの間において、冷却水を循環させることにより、セルスタックを冷却することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009−99273号公報
近年、単位セルの発電能力の向上に伴って、セルスタックが高温になる場合がある。セルスタックの温度が高くなると、それに伴い、ラジエータの冷却性能(熱交換容量)を向上させる必要がある。そうすると、ラジエータ、ひいては、燃料電池システムが大型化し、とりわけ、燃料電池システムを車載する際には不具合を生じる。
本発明の目的は、小型化できる燃料電池システムを提供することにある。
本発明の燃料電池システムは、ファンと、前記ファンの送風方向の下流側に配置されるラジエータと、前記ラジエータの前記送風方向の下流側に配置され、前記ラジエータにより冷却される燃料電池とを備え、前記燃料電池は、前記ラジエータを通過する前記ファンからの送風を受けるように、前記ラジエータの近傍に配置されていることを特徴としている。
本発明の燃料電池システムでは、ファンからの送風によりラジエータだけでなく燃料電池も冷却することができる。
そのため、要求されるラジエータの冷却性能を低減することができ、その結果、ラジエータ、ひいては、燃料電池システムを小型化することができる。
図1は、本発明の燃料電池システムの一実施形態を示す概略構成図である。 図2は、図1に示す燃料電池システムの要部拡大図である。
1.電動車両の全体構成
図1に示すように、電動車両1は、モータ42を動力源とし、燃料電池3およびバッテリ44を電源としてモータ42を駆動させる電動車両である。電動車両1は、燃料電池システム2を搭載している。
燃料電池システム2は、燃料電池3と、燃料給排部4と、空気給排部5と、制御部7と、動力部8とを備えている。
(1)燃料電池
燃料電池3は、電動車両1の前端部に配置されている。
燃料電池3は、燃料成分を含む液体燃料が直接供給される直接液体燃料形燃料電池であり、カチオン交換型燃料電池またはアニオン交換型燃料電池として構成されている。
燃料成分としては、例えば、メタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテルなどのエーテル類、ヒドラジンなどのヒドラジン類などが挙げられ、好ましくは、アルコール類およびヒドラジン類が挙げられ、さらに好ましくは、ヒドラジン類が挙げられる。
液体燃料としては、燃料成分をそのまま用いてもよいが、燃料成分を、例えば、水などで希釈して用いることができる。
燃料電池3は、燃料電池セル11を備えている。なお、燃料電池3は、複数の燃料電池セル11が積層されたスタック構造として構成される。
燃料電池セル11は、膜電極接合体12と、燃料供給部材13、空気供給部材14とを備えている。
膜電極接合体12は、電解質膜15と、アノード電極16と、カソード電極17とを備えている。
電解質膜15は、カチオン交換型またはアニオン交換型の高分子電解質膜から形成されている。
アノード電極16は、電解質膜15の厚み方向一方側の表面に、薄層として積層されている。アノード電極16は、例えば、触媒を担持した触媒担体により形成されている。なお、アノード電極16は、触媒担体を用いずに、触媒から、直接形成することもできる。
カソード電極17は、電解質膜15に対してアノード電極16の反対側、すなわち、電解質膜15の厚み方向他方側の表面に、薄層として積層されている。カソード電極17は、例えば、触媒を担持した触媒担体により形成されている。なお、カソード電極17は、触媒担体を用いずに、触媒から、直接形成することもできる。
燃料供給部材13は、膜電極接合体12の厚み方向一方側に配置されている。燃料供給部材13は、ガス不透過性の導電性材料から形成されている。燃料供給部材13には、燃料流路18が形成されている。なお、膜電極接合体12と燃料供給部材13との間には、図示しないガス拡散層が介在されている。
燃料流路18は、燃料供給部材13の厚み方向他方面に形成されている。燃料流路18は、燃料供給部材13の厚み方向他方面から厚み方向一方へ凹む凹溝であり、幅方向に折り返されながら、上下方向に延びる葛折り形状に形成されている。燃料流路18は、アノード電極16に向かい合っている。
空気供給部材14は、膜電極接合体12の厚み方向他方側に配置されている。空気供給部材14は、ガス不透過性の導電性材料から形成されている。空気供給部材14には、空気流路19が形成されている。なお、膜電極接合体12と空気供給部材14との間には、図示しないガス拡散層が介在されている。
空気流路19は、空気供給部材14の厚み方向一方面に形成されている。空気流路19は、空気供給部材14の厚み方向一方面から厚み方向他方へ凹む凹溝であり、幅方向に折り返されながら、上下方向に延びる葛折り形状に形成されている。空気流路19は、カソード電極17に向かい合っている。
(2)燃料給排部
燃料給排部4は、第1タンク21(原料タンク)、第2タンク22(濃度調整タンク)、第1燃料供給ライン23、第1ポンプ28、開閉弁29、第2燃料供給ライン24、第2ポンプ31、還流ライン26、気液分離器32および排気ライン27を備えている。
第1タンク21は、上記した液体燃料を貯蔵する。
第1タンク21内における液体燃料の燃料成分濃度は、燃料成分の種類によっても異なるが、燃料成分がヒドラジンである場合には、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、60質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
第2タンク22には、第1タンク21からの液体燃料が希釈された状態で貯蔵されている。第2タンク22には、図示しない温度センサーが設けられている。
第2タンク22内における液体燃料の燃料成分濃度は、第1タンク21内における液体燃料の燃料成分濃度よりも低い。より具体的には、第2タンク22内における液体燃料の燃料成分濃度は、電動車両1の走行状態に応じて調整されるが、電動車両1が一定の速度で走行している場合には、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、20質量%以下、好ましくは、15質量%以下である。
第1燃料供給ライン23は、第1タンク21から第2タンク22へ液体燃料を供給するための配管である。第1燃料供給ライン23の供給方向上流端は、第1タンク21の下端部に接続されている。第1燃料供給ライン23の供給方向下流端は、第2タンク22の下端部に接続されている。
第1ポンプ28は、第1燃料供給ライン23の途中に介在されている。第1ポンプ28としては、例えば、ロータリーポンプ、ギヤポンプなどの回転式ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプなどの往復式ポンプなど、公知の送液ポンプが挙げられる。
開閉弁29は、第1燃料供給ライン23の途中において、第1タンク21と第1ポンプ28との間に介在されている。開閉弁29としては、例えば、電磁弁など、公知の開閉弁が挙げられる。
第2燃料供給ライン24は、第2タンク22内の液体燃料を燃料流路18に供給するための配管である。第2燃料供給ライン24の供給方向上流端は、第2タンク22の下端部に接続されている。第2燃料供給ライン24の供給方向下流端は、燃料流路18の下端部(供給口)に連通するように、燃料供給部材13の下端部に接続されている。
第2ポンプ31は、第2燃料供給ライン24の途中に介在されている。第2ポンプ31としては、上記した第1ポンプ28と同様の送液ポンプが挙げられる。
第2ポンプ31の最大吐出量は、例えば、5L/分以上、好ましくは、10L/分以上であり、また、例えば、100L/分以下、好ましくは、40L/分以下である。
還流ライン26は、燃料流路18から排出された液体燃料を第2タンク22に還流するための配管である。還流ライン26の還流方向上流端は、燃料流路18の上端部(排出口)に連通するように、燃料供給部材13の上端部に接続されている。還流ライン26の還流方向下流端は、第2タンク22の上端部に接続されている。これにより、第2タンク22から、第2燃料供給ライン24、燃料流路18および還流ライン26を順次介して第2タンク22に戻る循環ラインが形成される。
気液分離器32は、還流ライン26の途中に介在されている。気液分離器32は、燃料電池3の燃料流路18から排出された排出液中の液体燃料と、ガス(気体)とを分離する。
排気ライン27は、気液分離器32で分離されたガスを排気するための配管である。排気ライン27の排気方向上流端は、気液分離器32に接続されている。排気ライン27の排気方向下流端は、大気開放されている。なお、排気ライン27の途中には、ガスを無害化および無臭化するための図示しない浄化装置が介在されている。
(3)空気給排部
空気給排部5は、空気供給ライン33と、エアポンプ35と、空気排出ライン34とを備えている。
空気供給ライン33は、空気流路19内に空気を供給するための配管である。空気供給ライン33の供給方向上流端は、大気開放されている。空気供給ライン33の供給方向下流端は、空気流路19の上端部(供給口)に連通するように、空気供給部材14の上端部に接続されている。なお、空気供給ライン33は、図2に示すように、後述する導風部52の上方に配置されており、燃料電池3近傍において、後述する導風部52の外部と内部とを連通し、その供給方向下流端が燃料電池3に接続するように配置されている。
エアポンプ35は、空気供給ライン33の途中に介在され、後述する導風部52の上方に配置されている。エアポンプ35としては、例えば、エアコンプレッサなどの公知の送気ポンプが挙げられる。
空気排出ライン34は、空気流路19から空気を排出するための配管である。空気排出ライン34の排出方向上流端は、空気流路19の下端部(排出口)に連通するように、空気供給部材14の下端部に接続されている。空気排出ライン34の排出方向下流端は、大気開放されている。なお、空気排出ライン34は、後述する導風部52の下方に配置されており、燃料電池3近傍において、後述する導風部52の外部と内部とを連通し、その排出方向上流端が燃料電池3に接続するするように配置されている。
(4)制御部
制御部7は、ECU41を備えている。
ECU41は、電動車両1における電気的な制御を実行するコントロールユニット(すなわち、Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータから構成されている。ECU41は、第1ポンプ28、開閉弁29、第2ポンプ31、ファン57、冷却ポンプ62およびエアポンプ35に電気的に接続されており、それらを制御する。また、ECU41には、第2タンク22の温度センサー(図示せず)からの電気信号が入力される。
(5)動力部
動力部8は、電動車両1の前端部において、いわゆるエンジンルーム内に配置されている。動力部8は、モータ42と、インバータ43と、バッテリ44と、DC/DCコンバータ45とを備えている。
モータ42は、燃料電池3に電気的に接続されている。モータ42は、燃料電池3またはバッテリ44から出力される電気エネルギーを電動車両1の駆動力として機械エネルギーに変換する。モータ42としては、例えば、三相誘導電動機、三相同期電動機などの公知の三相電動機などが挙げられる。
インバータ43は、配線により、燃料電池3とモータ42との間に電気的に接続されている。インバータ43は、燃料電池3で発電された直流電力を交流電力に変換する。インバータ43としては、例えば、公知のインバータ回路が組み込まれた電力変換装置などが挙げられる。
バッテリ44は、燃料電池3とモータ42との間の配線に電気的に接続されている。バッテリ44としては、例えば、ニッケル水素電池や、リチウムイオン電池などの公知の二次電池などが挙げられる。バッテリ44は、燃料電池3からの電力を蓄電可能、かつ、モータ42に電力を供給可能である。
DC/DCコンバータ45は、配線により、燃料電池3とインバータ43との間に電気的に接続されている。DC/DCコンバータ45は、ECU41にも電気的に接続されており、ECU41の制御により、燃料電池3の出力電圧を昇圧または降圧し、燃料電池3の電力およびバッテリ44の入出力電力を調整する。
2.発電動作
次いで、図1を参照しながら、燃料電池システム2における発電について説明する。
電動車両1のイグニッションスイッチがオンされると、まず、ECU41の制御により、開閉弁29が開放され、冷却ポンプ62が停止した状態で、第2ポンプ31、および、エアポンプ35が駆動される。
このとき、第2ポンプ31の吐出量は、例えば、40L/分である。また、エアポンプ35の吐出量は、例えば、1000L/分である。
すると、第2タンク22内の液体燃料は、第2燃料供給ライン24を介して燃料電池3の燃料流路18に供給される。
燃料流路18に供給された液体燃料は、アノード電極16と接触しながら燃料流路18内を下側から上側へ流れて、還流ライン26へ排出される。
なお、第1タンク21内の液体燃料は、ECU41の制御によって第1ポンプ28の送液量が調整されることにより、第2タンク22内の液体燃料の燃料成分濃度を調整するように、第2燃料供給ライン24を介して、逐次、第2タンク22に供給される。
また、電動車両1の外部からの空気は、空気供給ライン33を介して、燃料電池3の空気流路19に供給される。なお、空気は、酸素および水蒸気(つまり、水)を含んでいる。また、空気供給ライン33は、図2に示すように、後述する導風部52の上方にあるため、その導風部52の内部の送風により、空気供給ライン33内の空気は、温度が高くなることはない。
空気流路19に供給された空気は、カソード電極17と接触しながら空気流路19内を上側から下側へ流れて空気排出ライン34へ排出される。なお、空気排出ライン34は、図2に示すように、後述する導風部52の下方にあるため、その導風部52の内部の送風により、空気供給ライン33内の空気は冷却されない。すなわち、空気排出ライン34内の空気は、後述する燃料電池3での反応により温度が高いまま(例えば、60℃)空気排出ライン34から電動車両1の外部へ排出される。
このとき、燃料電池3では、電解質膜15がアニオン交換型の高分子電解質膜であり、燃料成分がヒドラジンである場合には、下記反応式(1)〜(3)で表される電気化学反応が生じ、発電が行なわれる。
(1) N+4OH→N+4HO+4e (アノード電極16での反応)
(2) O+2HO+4e→4OH (カソード電極17での反応)
(3) N+O→N+2HO (燃料電池3全体での反応)
なお、電解質膜15がアニオン交換型の高分子電解質膜であり、燃料成分がメタノールである場合には、下記反応式(4)〜(6)で表される電気化学反応が生じ、発電が行なわれる。
(4) CHOH+6OH→CO+5HO+6e (アノード電極16での反応)
(5) O+2HO+4e→4OH (カソード電極17での反応)
(6) CHOH+3/2O→CO+2HO (燃料電池3全体での反応)
これらの反応により、アノード電極16において燃料成分(NまたはCHOH)が消費され、カソード電極17において酸素(O)および水(HO)が消費されるとともに、生成物の一例としての水(HO)およびガス(NまたはCO)が生成され、起電力(e)が発生される。発生した起電力は、DC/DCコンバータ45によって変圧され、インバータ43により三相交流電力に変換された後、モータ42に供給されて、電動車両1の車輪を駆動させる機械エネルギーに変換される。なお、機械エネルギーに変換されなかった余剰の電力は、バッテリ44に蓄電される。
そして、燃料電池3から還流ライン26に排出された排出液は、上記の電気化学反応において残存した燃料成分と、上記の電気化学反応により生成する水とが含まれており、気液分離器32において、ガス成分(上記電気化学反応により生じるガス(NまたはCO))と分離されて、第2タンク22に供給される。
そして、第2タンク22に供給された排出液は、再度、第2燃料供給ライン24を介して燃料電池3の燃料流路18に供給される。
このようにして、燃料電池システム2において発電されるが、この燃料電池システム2では、発電の際、燃料電池3が発熱する。その燃料電池3、ひいては、燃料電池システム2を冷却するため、冷却部6を備えている。
その冷却部6の構成、および、燃料電池システム2の冷却方法について、図2を参照して、以下で詳述する。
3.冷却部の詳細
冷却部6は、電動車両1のフロントエンドモジュール50の後側に配置されており、導風部52と、ファン54と、ラジエータ55と、冷却ライン61と、冷却ポンプ62とを備えている。
フロントエンドモジュール50は、フロントグリル51、ヘッドランプ(図示せず)およびバンパー(図示せず)を備えており、電動車両1の前端部に配置されている。
フロントグリル51は、電動車両1の前面部に配置される吸気口であり、空気を前側から冷却部6に取り込めるようにメッシュ状に形成されている。
導風部52と、ファン54と、ラジエータ55とは、電動車両1のフロントエンドモジュール50に設けられている。
導風部52は、図2に示すように、略角筒形状に形成されており、前後方向において開口され、フロントエンドモジュール50と連続して設けられている。導風部52は、その前端部が、フロントグリル51の吸気口を囲んでいる。導風部52は、前後方向に延びる上壁、下壁および両側壁を備えている。導風部52の上壁は、フロントグリル51の上端縁から後方に延び、導風部52の下壁は、前側から順に第1下壁52A、第2下壁52Bおよび第3下壁52Cを備え、フロントグリル51の下端縁から後方に延びている。なお、図示していないが、導風部52の両側壁は、フロントグリル51の左右(前後方向および上下方向に直交する方向)両端縁から後方に延びている。
第1下壁52Aに対して、第3下壁52Cは上方に配置されている。
第2下壁52Bは、前端部が第1下壁52Aの後端部に接続し、前側から後側に向かうに従って上方に傾斜しており、その後端部が、第3下壁52Cに接続している。
導風部52は、ファン54、ラジエータ55および燃料電池3を収容している。つまり、ファン54、ラジエータ55および燃料電池3は、導風部52の上壁と下壁との間に配置されている。
ファン54は、フロントグリル51の後側に配置され、導風部52の第1下壁52Aの上方に配置されている。ファン54は、回転することにより、フロントグリル51の吸気口から取り込んだ空気を前側から後側へと送風し、ラジエータ55および燃料電池3にその空気を送っている。ファン54としては、特に限定されず、公知のファンを適用することができる。
ラジエータ55は、ファン54の後側(送風方向の下流側)に配置され、導風部52の第1下壁52Aの上方に配置されている。ラジエータ55としては、特に限定されず、公知のラジエータを適用することができる。ラジエータ55は、複数のチューブ(図示せず)を有するラジエータコア(図示せず)を備え、冷却ライン61を介して供給される第2タンク22内の液体燃料を、複数のチューブ(図示せず)を通過するときに、空気との熱交換によって冷却する。
燃料電池3は、ラジエータ55の後側(送風方向の下流側)に配置され、その前側が導風部52の第2下壁52Bの上方に、その後側が導風部52の第3下壁52Cの上方に配置されている。そして、燃料電池3は、ラジエータ55を通過するファン54からの送風を受けるように、ラジエータ55の近傍に配置されている。
なお、フロントグリル51の前後方向における投影面は、ファン54、ラジエータ55および燃料電池3の前後方向における投影面と重なっており、ファン54およびラジエータ55の前後方向における投影面は、燃料電池3の前後方向における投影面に重なっている。
ラジエータ55の後端部と燃料電池3の前端部との距離は、例えば、3cm以上であり、また、例えば、30cm以下である。
ラジエータ55の後端部と燃料電池3の前端部との距離が上記範囲内であれば、燃料電池3の温度を比較的均一に保ちながら、燃料電池3を冷却することができる。
そのため、燃料電池3の温度を正確に管理することができる。
冷却ライン61は、図1を参照して、第2タンク22内の液体燃料をラジエータ54に通過させた後、ラジエータ55を通過した液体燃料を第2タンク22に再供給するための配管である。つまり、冷却ライン61は、第2タンク22内の液体燃料を循環させる配管である。冷却ライン61は、ラジエータ55よりも通過方向上流側に配置される上流側ライン63と、ラジエータ55よりも通過方向下流側に配置される下流側ライン64とを備えている。
上流側ライン63の通過方向上流端は、第2タンク22における高温の液体燃料が滞留している部分、具体的には、還流ライン26の還流方向下流端が接続されている部分の近傍に接続されている。上流側ライン63の通過方向下流端は、ラジエータ55の流入口56に接続されている。
下流側ライン64の通過方向上流端は、ラジエータ55の流出口57に接続されている。下流側ライン64の通過方向下流端は、第2タンク22における低温の液体燃料が滞留している部分、具体的には、第1燃料供給ライン23の供給方向下流端が接続されている部分の近傍に接続されている。
冷却ポンプ62は、上流側ライン63の途中に介在されている。冷却ポンプ62としては、上記した第1ポンプ28と同様の送液ポンプが挙げられる。なお、冷却ポンプ62は、下流側ライン64の途中に介在させることもできる。
冷却ポンプ62の最大吐出量は、第2ポンプ31の最大吐出量よりも少なく、例えば、1L/分以上、好ましくは、2L/分以上であり、また、例えば、20L/分以下、好ましくは、10L/分以下である。
4.燃料電池システムの冷却方法
次いで、冷却部6による燃料電池システム2の冷却方法について詳述する。
燃料電池3から排出された液体燃料が第2タンク22に供給されると、ECU41の制御により、冷却ポンプ62が駆動される。
このとき、冷却ポンプ62の吐出量は、例えば、10L/分である。
冷却ポンプ62が駆動されると、第2タンク22内の液体燃料は、冷却ライン61の上流側ライン63を介してラジエータ55の流入口56に供給される。
ラジエータ55の流入口56に供給された液体燃料は、ラジエータコア(図示せず)の複数のチューブ(図示せず)に分かれて供給され、複数のチューブ(図示せず)をラジエータ55の下側から上側に通過するときに、電動車両1の前方向からフロントグリル51から冷却部6に取り込まれた空気によって冷却(熱交換)される。
ラジエータ55に到達した空気の温度は、電動車両1の外部の気温(外気温)と同じである。
このとき、第2タンク22に設けられる温度センサーにより、第2タンク22内の液体燃料の温度が所定の温度(例えば、60℃)を超過していた場合には、ECU41の制御により、ファン54が駆動して、冷却部6には、さらなる空気が取り込まれる。そして、その空気によりラジエータ55がさらに冷却(熱交換)される。
これにより、ラジエータ55内の液体燃料の温度は、例えば、40℃以上、例えば、60℃未満に調整される。
ラジエータ55を冷却し、ラジエータ55と熱交換した空気は、拡散またはファン54による送風により、燃料電池3を通過して、燃料電池3が冷却(熱交換)される。
燃料電池3に到達した空気の温度は、ラジエータ55に到達した空気の温度よりも高く、燃料電池3の温度よりは低い。
このとき、図2に示すように、導風部52の下壁として、前側から後側に向かうに従って上方に傾斜した第2下壁52Bが形成されていることにより、ファン54から送風され、ラジエータ55を通過した空気は、第2下壁52Bに沿って、燃料電池3の周辺部を確実に通過する。
その後、ラジエータ55で冷却された液体燃料は、ラジエータ55の流出口57から、冷却ライン61の下流側ライン64を介して、再度、第2タンク22に供給される。
これにより、第2タンク22内の液体燃料の温度は、具体的には、60℃以上、好ましくは、65℃以上、例えば、70℃以下に調整される。
なお、第2タンク22内の液体燃料の温度が所定の温度(例えば、40℃)未満になった場合には、ECU41の制御により、ファン54が停止する。
そして、そのように冷却された第2タンク22内の液体燃料が供給されること、および、ラジエータ55で暖められた空気の送風により、燃料電池3(燃料電池セル11)の温度は、電動車両1の走行に十分な電力を発電可能となる定常運転において、具体的には、70℃以上、好ましくは、75℃以上、例えば、80℃以下に調整される。
すなわち、燃料電池3は、ラジエータ55および冷却部6内の空気により冷却されている。
なお、電動車両1の定速走行に十分な電力は、電動車両1の重量や、モータ42の出力などのバランスを考慮して適宜設定されるが、例えば、5kW以上、好ましくは、10kW以上、例えば、20kW以下、好ましくは、15kW以下である。
5.作用効果
この燃料電池システム2によれば、図1に示すように、第2タンク22内の液体燃料を燃料電池3に供給する第2燃料供給ライン24および第2ポンプ31と、第2タンク22内の液体燃料を循環させる冷却ライン61と、冷却ライン61に介在されるラジエータ55と、第2タンク22内の液体燃料をラジエータ55に搬送する冷却ポンプ62とを備えている。
そのため、第2タンク22内の液体燃料を、ラジエータ55で冷却し、冷却された液体燃料を、第2燃料供給ライン24を介して燃料電池3に供給して、燃料電池3を冷却することができる。
これにより、第2タンク22からの燃料供給により、燃料電池3における発電と、燃料電池3の冷却とを同時に実現することができる。その結果、燃料電池3の小型化を図ることができる。
また、この燃料電池システム2によれば、図1に示すように、ファン54と、ファン54の送風方向の下流側に配置されるラジエータ55と、ラジエータ55の送風方向の下流側に配置され、ラジエータ55により冷却される燃料電池3とを備え、燃料電池3は、ラジエータ55を通過するファン54からの送風を受けるように、ラジエータ55の近傍に配置されている。
そのため、ファン54からの送風によりラジエータ55だけでなく、燃料電池3も冷却することができる。
これにより、要求されるラジエータ55の冷却性能を低減することができ、その結果、ラジエータ55、ひいては、燃料電池システム2を小型化することができる。
また、燃料電池3は、ファン54からの送風を、その前側(送風方向の上流側)でのみ受けるため、フロントグリル51により取り込んだ空気(例えば、20℃)をその温度のまま送風して、燃料電池3を冷却すると、燃料電池3の送風方向上流側のみが急激に冷却され、燃料電池3の送風方向上流側と送風方向下流側とで、温度差が生じ、液体燃料および燃料電池3の正確な温度管理に不具合を生じる場合がある。
しかし、この燃料電池システム2によれば、ファン54から送風された空気は、ラジエータ55を通過し、すぐに燃料電池3に到達する。
そのため、送風された空気は、ラジエータ55により暖められ、暖められたまま(例えば、40℃)燃料電池3に到達し、暖められ燃料電池3に到達した空気は、ラジエータ55に到達した空気の温度より高く、燃料電池3の温度よりも低いため、燃料電池3の送風方向上流側は、その空気により比較的緩やかに冷却される。
これにより、燃料電池3の送風方向上流側と送風方向下流側との温度差は、ラジエータ55を通過させずに送風して燃料電池3を冷却した場合と比べて小さくなる。
その結果、燃料電池3を送風により冷却できながら、燃料電池3の送風方向上流側を冷却しすぎず、液体燃料および燃料電池3の温度を比較的均一のままにすることができるため、液体燃料および燃料電池3の温度を正確に管理することができる。
また、この燃料電池システム2によれば、導風部52により、ラジエータ55を通過したファン54からの送風を、燃料電池3に誘導することができる。
そのため、ファン54からの送風を、燃料電池3に効率よく当てることができ、その結果、燃料電池3を効率よく冷却することができる。
なお、本実施形態においては、ラジエータ55に循環させる冷却媒体として、液体燃料を用いたが、別途、冷却水用の流路を燃料電池システム2内に形成し、燃料電池3とラジエータ55との間を冷却水で循環させてもよい。
また、本実施形態においては、導風部52の下壁として、前側から後側に向かうに従って上方に傾斜した第2下壁52Bを形成したが、前後方向に開口されており、燃料電池3にファン54からの送風ができる限り当たるようにできれば、導風部52の筒の形状については、特に制限されない。
2 燃料電池システム
3 燃料電池
4 燃料給排部
5 空気給排部
6 冷却部
16 アノード電極
17 カソード電極
22 第2タンク
24 第2燃料供給ライン
31 第2ポンプ
50 フロントエンドモジュール
51 フロントグリル
52 導風部
54 ファン
55 ラジエータ
61 冷却ライン
62 冷却ポンプ

Claims (1)

  1. ファンと、
    前記ファンの送風方向の下流側に配置されるラジエータと、
    前記ラジエータの前記送風方向の下流側に配置され、前記ラジエータにより冷却される燃料電池と
    を備え、
    前記燃料電池は、前記ラジエータを通過する前記ファンからの送風を受けるように、前記ラジエータの近傍に配置されていることを特徴とする、燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019142299A (ja) * 2018-02-19 2019-08-29 トヨタ自動車株式会社 車両用冷却装置

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