JP2016121422A - 紙製造装置及び排水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】防臭性をよりいっそう高めるための酸化剤の添加条件を見出すとともに、紙製造装置の腐食を抑え、コストの低減を図る。
【解決手段】本発明の紙製造装置1は、原料から紙を製造する紙製造部10から排水された水を処理する排水処理部30と、処理水、スカム及び汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上(以下、「処理水等」ともいう。)を、紙製造部10と同一の紙製造部10又は他の紙製造部10’に供給する処理水等供給部40と、排水処理部30又は処理水等供給部40における処理水等に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤を供給する弱酸化剤供給部50と、一以上の紙製造部10,10’等のうち、処理水等供給部40によって処理水等が供給される紙製造部10,10’の少なくとも一つに殺菌剤を供給する殺菌剤供給部60とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、紙製造装置及び排水処理方法に関する。
製紙工場において、紙製造工程とその後段の排水処理工程は、pHが中性で多量の澱粉を含み、水温も30〜40℃前後の環境が多いことから、非常に微生物が繁殖しやすく、腐敗しやすい傾向にある。さらに、紙製造工程と排水処理工程では、一般的に硫酸アルミニウムを原料・薬品の定着剤・凝集剤として多量に使用しているため、硫酸根が、紙製造工程あるいはその後段の排水工程に多量に含まれている。このような環境の中では、硫酸塩還元菌の活動が活発になり、硫酸根が硫化水素に還元され、異臭の原因となり得る。また、硫化水素以外にも、異臭の原因としては、主に微生物による澱粉の代謝物として発生する有機酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸等)も含まれる。これらは、工場内の作業環境のほか、近隣環境にも影響を及ぼし得るため、異臭の原因となり得る物質の発生を抑えることは、極めて重要である。
これまで、製紙工場における異臭の発生は、主に排水処理工程に由来すると考えられ、亜塩素酸ソーダに例示される弱酸化剤の使用等、一般的な消臭・防臭の対策がなされていた。しかしながら、紙製造工程の消臭・防臭対策については、費用に見合う適切な技術が確立されていない。
紙製造工程の消臭・防臭対策に関し、白水系統水槽又は回収スカム系統水槽に、pH4以上の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を投入し、いずれかの槽中の有効塩素濃度を100〜10ppmに調整し、それぞれの槽を防臭処理することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−336636号公報
しかしながら、特許文献1記載の手法では、酸化剤として用いられる次亜塩素酸ナトリウムは、白水系統水槽及び回収スカム系統水槽の内部に残留するデンプンや、汚泥及びスカムに含まれる有機物等と反応し、酸素と塩化ナトリウムに分解する。このため、防臭処理の管理者は、次亜塩素酸ナトリウムが分解することを見越して、次亜塩素酸ナトリウムを過剰に投入することを要する。この過剰な投入が、循環水に含まれる塩類の高濃度化、ポリマー薬品(粘剤、消泡剤、ろ水性及び歩留向上剤等)の品質劣化を誘因し得る。さらに、次亜塩素酸ナトリウムは、高い酸化力を有することから、次亜塩素酸ナトリウムの過剰な投入が、白水系統水槽、回収スカム系統水槽をはじめとした装置及び配管の金属類を腐食し、紙製造系の操業に影響を及ぼし得る。そして、紙製造工程は数多くのタンク、チェストを保有した複雑な工程であり、どこにどのように消臭・防臭薬品を添加するのかを検討することが費用対効果を最大限にするのに重要になるが、当該発明では十分に検討されていない。
以上のことから、紙製造装置において、酸化剤の添加条件が防臭性に寄与するため、酸化剤の添加条件をよりいっそう好適にすることが求められている。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、防臭性をよりいっそう高めるための酸化剤の添加条件を見出すとともに、紙製造装置の腐食を抑え、コストの低減を図ることである。
本発明者らは、以上のような課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、原料から紙を製造する紙製造部からの排水を処理することによって生じる処理水、スカム及び汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤を供給することで、酸化剤の使用量を抑えることができるだけではなく、紙製造部における硫酸塩還元菌や酢酸菌などの殺菌をするために用いる殺菌剤の添加効果を高めることができ、結果として、防臭性をよりいっそう高めつつ、紙製造装置の腐食を抑え、コストの低減に寄与することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明は、原料から紙を製造する紙製造部から排水された水を処理する排水処理部と、前記排水処理部で処理が施された処理水、前記排水処理部に存在するスカム及び前記排水処理部に存在する汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上を、前記紙製造部と同一の又は他の紙製造部に供給する処理水等供給部と、前記排水処理部又は前記処理水等供給部における前記処理水、前記スカム及び前記汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤を供給する弱酸化剤供給部と、一以上の紙製造部のうち、前記処理水等供給部によって前記処理水、前記スカム及び前記汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上が供給される紙製造部の少なくとも一つに殺菌剤を供給する殺菌剤供給部とを備える紙製造装置である。
(2)また、本発明は、前記排水処理部に含まれる水に対し、第1の酸化還元電位を測定する第1酸化還元電位測定部と、前記第1酸化還元電位測定部での測定結果が第1の閾値以上になるように前記弱酸化剤の供給条件を制御する弱酸化剤制御部とをさらに備える、(1)に記載の紙製造装置である。
(3)また、本発明は、前記第1の閾値が−250mV以上の所定の値である、(2)に記載の紙製造装置。
(4)また、本発明は、前記殺菌剤が、次亜塩素酸塩と、アンモニウム塩、アミン、アミド及びイミドからなる群から選択される1以上の化合物との反応生成物である結合型塩素化合物を含む、(1)から(3)のいずれかに記載の紙製造装置。
(5)また、本発明は、前記処理水等供給部によって前記処理水、前記スカム及び前記汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上が供給される紙製造部に含まれる水に対し、第2の酸化還元電位を測定する第2酸化還元電位測定部と、前記第2酸化還元電位測定部での測定結果が第2の閾値以上になるように前記殺菌剤の供給条件を制御する殺菌剤制御部とをさらに備える、(1)から(4)のいずれかに記載の紙製造装置である。
(6)また、本発明は、前記第2の閾値が−250mV以上の所定の値である、(5)に記載の紙製造装置である。
(7)また、本発明は、原料から紙を製造する紙製造部からの排水を処理することによって生じる処理水、スカム及び汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤で処理するとともに、一以上の紙製造部のうち、前記弱酸化剤で処理された弱酸化剤処理水が供給される紙製造部の少なくとも一つに対して殺菌剤を供給する、排水処理方法である。
本発明によると、防臭性がよりいっそう高まるとともに、紙製造装置の腐食が抑えられ、コストの低減にも寄与できる。
本実施形態に係る紙製造装置1の概略構成を説明するためのブロック図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、この実施形態が本発明を限定するものではない。
<紙製造装置1>
図1は、本発明の一実施形態に係る紙製造装置1の概略構成を示す。紙製造装置1は、原料から紙を製造する紙製造部10から排水部20を介して排水された水を処理する排水処理部30と、排水処理部30で処理が施された処理水、前記排水処理部に存在するスカム及び前記排水処理部に存在する汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上(以下、「処理水等」ともいう。)を、紙製造部10と同一の紙製造部10又は他の紙製造部10’に供給する処理水等供給部40と、排水処理部30又は処理水等供給部40における処理水等に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤を供給する弱酸化剤供給部50と、一以上の紙製造部10,10’のうち、処理水等供給部40によって処理水等が供給される紙製造部10,10’の少なくとも一つに殺菌剤を供給する殺菌剤供給部60とを備える。
〔紙製造部10〕
紙製造部10は、原料である木材及び古紙等から紙を製造する機能を有する。紙製造部10の構成は、特に限定されるものでなく、一般的な構成であれば足りる。例えば、紙製造部10は、原料からパルプを製造するパルプ製造部11と、このパルプ製造部11で製造されたパルプを調成し、抄紙する調成・抄紙部12と、調成・抄紙の過程で生じる白水を回収する白水回収部13とを有する。
[パルプ製造部11]
パルプ製造部11は、原料からパルプを製造し、このパルプを調成・抄紙部12に供給する機能を有する。一例として、パルプ製造部11は、古紙を離解し、古紙パルプを製造する古紙パルパ111と、損紙をパルプ化したブロークパルプを収容するブロークタンク112と、古紙パルパ111及びブロークタンク112から供給された原料を混合するミキシングチェスト113と、ミキシングチェスト113で混合された混合原料に粘剤等の抄紙薬品を加え、パルプとするマシンチェスト114と、マシンチェスト114から送られたパルプを貯留する種箱115とを含んで構成される。
[調成・抄紙部12]
調成・抄紙部12は、パルプ製造部11で製造されたパルプを調成し、抄紙する機能を有する。一例として、調成・抄紙部12は、種箱115に収容されたパルプを白水とともに、スクリーン122、クリーナ123へと順次移送するポンプ121と、パルプに含まれる異物を除去するスクリーン122及びクリーナ123と、ワイヤーパート125のワイヤに、適正な濃度、供給速度及び供給角度でパルプを供給するインレット124と、パルプの脱水を行うワイヤーパート125及びプレスパート126と、ワイヤーパート125及びプレスパート126でパルプから脱水された水等を白水として受容する白水サイロ127とを含んで構成される。白水サイロ127に受容された白水の一部は、ポンプ121へと供給され、残りは、回収部13へと供給される。
[回収部13]
回収部13は、調成・抄紙部12から供給された白水を回収する機能を有する。一例として、回収部13は、調成・抄紙部12から供給された白水を回収装置132へと移送するシールピット131と、白水をろ過し、回収水として回収する回収装置132と、この回収装置132で回収された回収水を回収する回収水タンク133とを含んで構成される。回収水の一部は、さらにろ過され、古紙パルパ111やブロークタンク112へと戻される等によって再利用される。そして、残りの回収水は、排水部20に移送された後、排水処理部30に供される。
〔排水部20〕
紙製造部10の説明に続き、排水部20について説明する。排水部20は、回収水タンク133に貯められた回収水の一部を排水する機能を有する。
〔排水処理部30〕
排水処理部30は、排水部20から排水された水を処理する機能を有する。排水処理部30として、沈殿法、加圧浮上法、活性汚泥法等によって処理されるための槽のほか、槽に発生する汚泥及びスカムの貯留部、並びに処理水の貯留部等も含まれる。なお、「スカム」とは、微生物、菌、懸濁物質、繊維質等が浮上したものをいう。
必須ではないが、弱酸化剤制御部51における弱酸化剤の供給条件を好適に制御するため、排水処理部30は、異臭物質に係るパラメータを測定する異臭パラメータ測定部31を有することが好ましい。異臭パラメータ測定部31の詳細については、後に説明する。
〔処理水等供給部40〕
処理水等供給部40は、排水処理部30で処理が施された処理水のほか、排水処理部30に存在するスカム及び排水処理部30に存在する汚泥を、上述した紙製造部10と同一の紙製造部10又は他の紙製造部10’に供給する機能を有する。本実施形態では、紙製造部10と排水処理部30との間で水が循環する構成となっているが、これに限るものではない。紙製造部10からの排水を排水処理部30で処理し、処理水等を、処理水等供給部40を介して他の紙製造部10’に直列的に供給する態様であってもよい。
〔弱酸化剤供給部50〕
弱酸化剤供給部50は、排水処理部30又は処理水等供給部40における処理水、スカム及び汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤を供給する機能を有する。図1では、弱酸化剤供給部50は、排水処理部30における処理水、スカム及び汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対して弱酸化剤を供給する態様となっているが、これに限るものではなく、弱酸化剤供給部50は、処理水等供給部40における処理水等に対して弱酸化剤を供給する態様であってもよい。
[弱酸化剤]
本明細書において、「弱酸化剤」とは、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも低い酸化剤をいう。このとき、弱酸化剤の水溶液の濃度と、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の濃度とは等しいものとする。水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも高いと、酸化剤が、排水処理部30等の内部に残留するデンプンや、汚泥及びスカムに含まれる有機物等と反応し、分解する。このため、硫化物や硫化水素等を分解するには、多量の酸化剤を要することになり、排水処理部30に多量の酸化剤を供給しないと、硫化水素の発生を好適に抑制できない可能性があるため、好ましくない。
弱酸化剤の水溶液の酸化還元電位は、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも低ければ特に限定されるものでないが、少ない供給量で硫化水素の発生を持続的に抑制できるようにするため、弱酸化剤の水溶液の酸化還元電位は、濃度100mg/L、pH7、25℃(純水、10mmol/L pH7リン酸バッファ添加)の条件において、500mV以下であることが好ましく、400mV以下であることがより好ましい。
弱酸化剤の具体例として、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(BNP)、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノール(DBNE)、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、過酸化水素、亜塩素酸塩、クロロスルファミン酸塩又は過酢酸等が挙げられる。参考までに、これらの弱酸化剤の特性を表1に示す。中でも、実施例に挙げたように弱酸化剤は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、過酸化水素、亜塩素酸塩が好ましい。適切な弱酸化剤は対象水に含まれる有機物や還元物質、細菌の種類等によって異なり、用途に応じて適宜選択すればよい。
Figure 2016121422
なお、弱酸化剤の種類は、1種類を単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
[弱酸化剤制御部51]
必須の態様ではないが、弱酸化剤供給部50は、弱酸化剤供給部50における弱酸化剤の供給条件を制御する弱酸化剤制御部51を有することが好ましい。本明細書において、「弱酸化剤の供給条件」とは、単位時間あたりの添加量、添加時間、添加頻度又は添加を行う箇所等をいう。
弱酸化剤の供給条件は、異臭を生じ得る物質に係るパラメータに基づいて決定してもよい。異臭を生じ得る物質に係るパラメータとしては、水の酸化還元電位、水中の溶存硫化物濃度、空気中の硫化水素濃度の測定値等が挙げられる。これらのパラメータについては、いずれか1つのパラメータを用いても、2つ以上のパラメータを組み合わせて用いてもよい。1つのパラメータを用いる場合、より簡易な系で防臭することができるため好ましい。2つ以上のパラメータを組み合わせる場合、総合的に供給条件を検討することができ、よりいっそう正確に弱酸化剤の供給条件を見積もることができるため好ましい。
弱酸化剤の供給条件決定の手法は特に制限されるものではないが、酸化還元電位の低下により有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌が繁殖することを未然に防ぐため、後述するパラメータ測定部31での測定結果が任意の閾値以上になるように弱酸化剤の供給条件を制御するのが好ましい。以下、酸化還元電位の例をもとに、弱酸化剤の供給条件の制御の手法を説明する。ここで、後述する第1酸化還元電位測定部における酸化還元電位の測定結果に対する閾値を「第1の閾値」と呼ぶ。
第1の閾値は、特に限定されるものでないが、硫酸塩還元菌が、硫酸イオンを還元し、異臭の原因となり得る硫化水素を発生することを好適に抑制できるようにするため、第1の閾値は、−250mV以上であることが好ましく、−200mV以上であることがより好ましく、−100mV以上であることがさらに好ましい。とりわけ、硫酸塩還元菌の繁殖のみならず、有機酸生成微生物の繁殖も抑制し、硫化水素のみならず、有機酸の生成も好適に抑制できることから、第1の閾値は、0mV以上であることが特に好ましい。
第1の閾値の上限は特に限定されるものでないが、弱酸化剤の過剰添加によって、殺菌剤のコスト及び環境負荷のリスクが増加することを抑えるため、第1の閾値は、300mV以下であることが好ましく、200mV以下であることがより好ましい。
[異臭パラメータ測定部31]
ここで、いったん排水処理部30の説明に戻る。必須ではないが、弱酸化剤制御部41における弱酸化剤の供給条件を好適に制御するため、排水処理部30は、異臭物質に係るパラメータを測定する異臭パラメータ測定部31を有することが好ましい。なお、異臭パラメータ測定部31と異臭パラメータ測定部70とを区別するため、異臭パラメータ測定部31を「第1異臭パラメータ測定部31」ともいい、異臭パラメータ測定部70を「第2異臭パラメータ測定部70」ともいう。
第1パラメータ測定部31で測定されたパラメータは、弱酸化剤制御部51における弱酸化剤の供給条件の制御に供されてもよい。第1パラメータ測定部31の例として、第1酸化還元電位測定部、第1溶存硫化物濃度測定部、第1硫化水素濃度測定部等が挙げられる。以下、これら3種のパラメータ測定部31について説明する。
(第1酸化還元電位測定部)
第1酸化還元電位測定部は、排水処理部30及び/又は再供給部50内の水の酸化還元電位を測定する機能を有する。第1酸化還元電位測定部の設置箇所は特に制限されるものではないが、微生物や菌の繁殖による水の変化に素早く対応できるようにするため、有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌の繁殖が起こりやすい箇所にするのが好ましい。また、第1酸化還元電位測定部は、排水処理部30の水の酸化還元電位を直接測定してもよいし、排水処理部30から採取した水の酸化還元電位を測定してもよい。なお、排水処理部30から水を採取する場合、ろ過等の処理を施してもよい。
(第1溶存硫化物濃度測定部)
第1溶存硫化物濃度測定部は、排水処理部30及び/又は再供給部50内の水の溶存硫化物濃度を測定する機能を有する。第1溶存硫化物濃度測定部の設置箇所は特に制限されるものではないが、微生物や菌の繁殖による水の変化に素早く対応できるようにするため、有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌の繁殖が起こりやすい箇所にするのが好ましい。また、第1溶存硫化物濃度測定部は、排水処理部30部の水の溶存硫化物濃度を直接測定してもよいし、排水処理部30から採取した水の溶存硫化物濃度を測定してもよい。なお、排水処理部30から水を採取する場合、ろ過等の処理を施してもよい。
(第1硫化水素濃度測定部)
第1硫化水素濃度測定部は、排水処理部30及び/又は再供給部50付近の空気中の硫化水素濃度を測定する機能を有する。硫化水素濃度の測定部設置箇所は特に制限されるものではないが、硫酸塩還元菌の繁殖による硫化水素の発生に素早く対応できるようにするため、有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌の繁殖が起こりやすい箇所付近にするのが好ましい。
[殺菌剤供給部60、異臭パラメータ測定部70]
紙製造装置1は、一以上の紙製造部10,10’等のうち、処理水等供給部40によって処理水等が供給される紙製造部10,10’等の少なくとも一つに殺菌剤を供給する殺菌剤供給部60と、殺菌剤供給部60から送られる水に対し、異臭パラメータに係る値を測定する異臭パラメータ測定部70とをさらに有することが好ましい。
本発明は、弱酸化剤供給部50での弱酸化剤の供給によって、紙製造装置1における硫化水素の発生量を抑制することに加え、紙製造装置1に殺菌剤供給部14を設けることで、防臭性をよりいっそう高め、かつ、紙製造装置1の腐食を抑え、コストの低減を実現したことに意義を有する。
殺菌剤供給部60の設置箇所は特に制限されるものではないが、殺菌剤を紙製造部10,10’の内部で効率よく循環できるようにするため、殺菌剤供給部60を白水サイロ127、回収水タンク133に連通する箇所に設けることが好ましい。また、滞留時間が比較的長く、腐敗が進行しやすい箇所、すなわち古紙パルパ111、ブロークタンク112、ミキシングチェスト113に連通する箇所にも殺菌剤供給部60を設けることが好ましい。
(殺菌剤)
殺菌剤の一例として、結合塩素型の殺菌剤が挙げられる。結合塩素型の殺菌剤は、遊離塩素を放出する塩素ドナーと、アンモニア、アンモニウム塩又は有機窒素化合物のいずれかとを適当な条件で反応させることによって得られる。塩素ドナーは、特に制限されるものではないが、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。また、アンモニウム塩は特に制限されるものではないが、臭化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム等が好ましく、有機アミンは、スルファミン酸や尿素等が好ましい。これらは、その酸化力の高さによって紙製造部10の循環水の酸化還元電位を上昇させることで、有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌が活動できる嫌気状態になることを防止することができる。
また、殺菌剤の他の一例として、水中で次亜塩素酸及び/又は次亜臭素酸を生じる化合物が挙げられる。例えば、塩素、二酸化塩素、高度さらし粉、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸アンモニウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜臭素酸、次亜臭素酸ナトリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜臭素酸カルシウム、次亜臭素酸アンモニウム、次亜臭素酸マグネシウム、クロル化及び/又はブロム化ヒダントイン類、クロル化及び/又はブロム化イソシアヌル酸及びそのナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。これらも、その酸化力によって紙製造部10,10’の循環水の酸化還元電位を上昇させることで、有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌が活動できる嫌気状態になることを防止できる。
そして、殺菌剤の他の一例として、有機殺菌剤が挙げられる。有機殺菌剤として、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノール、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン等が挙げられる。
なお、殺菌剤の種類は、1種類を単独で用いてもよいし、複数種類を併用してもよい。
(殺菌剤制御部61)
必須ではないが、殺菌剤供給部60は、殺菌剤供給部14における殺菌剤の供給条件を制御する殺菌剤制御部61を含むことが好ましい。本明細書において、「殺菌剤の供給条件」とは、単位時間あたりの添加量、添加を行う時間、添加を行う頻度又は添加を行う箇所等をいう。
殺菌剤の供給条件は、異臭物質に係るパラメータに基づいて決定してもよい。異臭物質に係るパラメータとしては、水の酸化還元電位、水中の溶存硫化物濃度、空気中の硫化水素濃度の測定値等が挙げられる。これらのパラメータについては、いずれか1つのパラメータを用いても、2つ以上のパラメータを組み合わせて用いてもよい。1つのパラメータを用いる場合、より簡易な系で防臭することができるため好ましい。2つ以上のパラメータを組み合わせる場合、総合的に供給条件を検討することができ、よりいっそう正確に弱酸化剤の供給条件を見積もることができるため好ましい。
殺菌剤の供給条件決定の手法は、特に制限されるものではないが、酸化還元電位の低下により有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌が繁殖することを未然に防ぐため、後述するパラメータ測定部15での測定結果が第2の閾値以上になるように殺菌剤の供給条件を制御するのが好ましい。
第2の閾値は、特に限定されるものでないが、硫酸塩還元菌が、硫酸イオンを還元し、異臭の原因となり得る硫化水素を発生することを好適に抑制できるようにするため、第2の閾値は、−250mV以上であることが好ましく、−200mV以上であることがより好ましく、−100mV以上であることがさらに好ましい。とりわけ、硫酸塩還元菌の繁殖のみならず、有機酸生成微生物の繁殖も抑制し、硫化水素のみならず、有機酸の生成も好適に抑制できることから、第2の閾値は、0mV以上であることが特に好ましい。
第2の閾値の上限は特に限定されるものでないが、殺菌剤の過剰添加によって、殺菌剤のコスト及び環境負荷のリスクが増加することを抑えるため、第2の閾値は、500mV以下であることが好ましく、400mV以下であることがより好ましい。
[異臭パラメータ測定部70]
異臭パラメータ測定部70は、殺菌剤供給部60から送られる水に対し、異臭パラメータに係る値を測定する機能を有する。異臭パラメータ測定部70での測定値は、殺菌剤制御部61における殺菌剤の供給条件の制御に供されてもよい。異臭パラメータ測定部70は、酸化還元電位測定部、溶存硫化物濃度測定部、空気中の硫化水素濃度測定部等から選択される1以上を含む。
(酸化還元電位測定部)
酸化還元電位測定部は、紙製造部10,10’内の水の酸化還元電位を測定する機能を有する。酸化還元電位測定装置の設置箇所は、特に制限されるものではないが、微生物や菌の繁殖による水の変化に素早く対応できるようにするため、有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌の繁殖が起こりやすい箇所にするのが好ましい。また、酸化還元電位測定部は、紙製造部10,10’の水を直接測定してもよいし、紙製造部10,10’から採取した水を測定してもよい。なお、紙製造部10,10’から水を採取する場合、ろ過等の処理を施してもよい。
(溶存硫化物濃度測定部)
溶存硫化物濃度測定部は、紙製造部10,10’内の水の溶存硫化物濃度を測定する機能を有する。溶存硫化物濃度測定装置の設置箇所は特に制限されるものではないが、微生物や菌の繁殖による水の変化に素早く対応できるようにするため、有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌の繁殖が起こりやすい箇所にするのが好ましい。また、溶存硫化物濃度測定部は、紙製造部10,10’の水の溶存硫化物濃度を直接測定してもよいし、紙製造部10から採取した水の溶存硫化物濃度を測定してもよい。なお、紙製造部10,10’から水を採取する場合、ろ過等の処理を施してもよい。
(硫化水素濃度測定部)
硫化水素濃度測定部は、紙製造部10,10’内の付近の空気中の硫化水素濃度を測定する機能を有する。硫化水素濃度測定装置の設置箇所は特に制限されるものではないが、硫酸塩還元菌の繁殖による硫化水素の発生に素早く対応できるようにするため、硫酸塩還元菌の繁殖が起こりやすい箇所付近にするのが好ましい。
<排水処理方法>
次に、本実施形態に係る排水処理方法について説明する。本実施形態に係る排水処理方法は、原料から紙を製造する紙製造部10からの排水を処理することによって生じる処理水、スカム及び汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤で処理するとともに、一以上の紙製造部10,10’等のうち、弱酸化剤で処理された弱酸化剤処理水が供給される紙製造部10,10’等の少なくとも一つに対して殺菌剤を供給する工程を含む。
排水は、原料から紙を製造する装置から排水された水であれば特に限定されるものでなく、この装置が図1の紙製造部10,10’と同じ構成を有するか否かに限定されるものではない。また、排水は、汚泥及びスカムのように固形成分の含有量が多いものでもよいし、処理回収水のように固形成分の含有量が少ないものでもよい。また、排出後、薬剤処理等、さらなる処理を施されていてもよい。
弱酸化剤の供給方法は、特に限定されるものではなく、間欠的に行っても、連続的に行ってもよい。また、供給条件は、弱酸化剤供給装置50に、弱酸化剤の供給条件を制御する弱酸化剤制御部51を設けることに加え、排水処理部30に第1異臭パラメータ測定部31を設け、第1異臭パラメータ測定部31における酸化還元電位、溶存硫化物濃度、硫化水素濃度測定部等の測定結果に基づいて弱酸化剤制御部51を制御するようにしてもよい。
弱酸化剤の供給条件の決定手法は、特に制限されるものではないが、例えば、第1異臭パラメータ測定部31として酸化還元電位測定部を用いる場合、その測定結果が特定の閾値以上になるように弱酸化剤の供給条件を制御することが好ましい。より具体的には、酸化還元電位が第1の閾値を下回ると供給を開始することが好ましく、また、酸化還元電位が第1の閾値を上回るよう供給することが好ましい。酸化還元電位が低下し有機酸生成微生物や硫酸塩還元菌が繁殖することを未然に防ぐことができるからである。また、弱酸化剤の添加は、手動又は自動いずれによって行ってもよい。
硫酸塩還元菌が、硫酸イオンを還元し、異臭の原因となり得る硫化水素を発生することを好適に抑制できるようにするため、第1の閾値は、−250mV以上であることが好ましく、−200mV以上であることがより好ましく、−100mV以上であることがさらに好ましい。とりわけ、硫酸塩還元菌の繁殖のみならず、有機酸生成微生物の繁殖も抑制し、硫化水素のみならず、有機酸の生成も好適に抑制できることから、第1の閾値は、0mV以上であることが特に好ましい。
第1の閾値の上限は特に限定されるものでないが、弱酸化剤の過剰添加によって、殺菌剤のコスト及び環境負荷のリスクが増加することを抑えるため、第1の閾値は、300mV以下であることが好ましく、200mV以下であることがより好ましい。
閾値を上述の下限以上、かつ、上述の上限以下の値に定めることで、弱酸化剤の種類にかかわらず、その弱酸化剤に応じた最小の供給量で硫酸塩還元菌及び有機酸生成微生物の繁殖を好適に抑制できるため、コストや環境負荷の観点からも好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<試験1>酸化剤によるスカムの防臭効果の検討
Figure 2016121422
〔試料の調製〕
図1に記載の紙製造装置1における排水部20に含まれる排水を、加圧浮上式分離装置スーパーセル(クロフタ社製)によって固液分離した後、排水ピットに1時間貯留し、スカムを得た。なお、スカムに含まれる硫化水素濃度を測定したところ、約10ppmであった。
続いて、スカム200mlを容量500mlの容器に収容し、表2に記載の酸化剤を表1に記載の濃度になるように添加し、撹拌することで、実施例及び比較例に係る試料を得た。
〔評価〕
酸化還元電位電極(製品名:TPX999Si,東興化学社製)を用い、実施例及び比較例に係る試料の酸化還元電位を、酸化剤添加後5分後、酸化剤添加後30分後、酸化剤添加後90分後のそれぞれについて測定した。結果を表3に示す。
Figure 2016121422
スカム試料に対して2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、過酸化水素又は亜塩素酸ナトリウムを加えると、次亜塩素酸ナトリウムを加える場合に比べ、高い酸化還元電位で推移することが確認された(実施例1〜3)。また、実施例1〜3において、弱酸化剤の種類ごとにそれぞれ比較すると、いずれの時間においても、弱酸化剤濃度が高い試料ほど高い酸化還元電位を有することが確認された。弱酸化剤の酸化力や添加する水の環境等により、弱酸化剤の最適添加量は異なるが、排水処理部に含まれる水の酸化還元電位の閾値を予め定め、この閾値に近い値で酸化還元電位が推移するように弱酸化剤の添加量を制御することで、弱酸化剤の種類に関わらず、弱酸化剤の使用量をできるだけ少なく抑えることができる。これにより、紙製造装置の腐食、コストの低減及び環境負荷を抑えることが可能である。
弱酸化剤の中でも、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール及び過酸化水素は、弱酸化剤をスカム試料に加えてからスカム試料の酸化還元電位が上昇するまでにやや時間を要するが、高い酸化還元電位をより長時間維持できる。一方、亜塩素酸ナトリウムは、弱酸化剤をスカム試料に加えた後、比較的短時間でスカム試料の酸化還元電位を上昇させることができるが、弱酸化剤が2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール又は過酸化水素である場合に比べ、スカム試料の酸化還元電位の低下が短時間で始まる。弱酸化剤の種類によるスカム試料の酸化還元電位の経時変化の相違は、弱酸化剤の酸化力の相違によるものと推察される。
<試験2>酸化剤及び殺菌剤の二段階添加によるスカムの防臭効果の検討
Figure 2016121422
〔試料の調製〕
まず、実施例4〜6及び比較例3に係る試料の調製方法について説明する。まず、実施例1〜3及び比較例1と同様の操作を行った。実施例1〜3及び比較例1と同様の操作によって得られるサンプルを酸化剤添加後サンプルという。続いて、この酸化剤添加後サンプルを40℃で2時間静置し、図1に記載の紙製造装置1を用いて製造される段ボール原紙の3%パルプスラリーに対し、静置後の酸化剤添加後サンプルを20%(w/w)の割合で混合、撹拌した。そして、撹拌後の酸化剤添加後サンプルに対し、臭化アンモニウムと次亜塩素酸ナトリウムとをモル比1:1で混合反応した結合塩素型殺菌剤(純水で2%(w/w)に調整した臭化アンモニウム水溶液と、純水でCl基準の有効塩素濃度を5000mg/Lに調整した次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを、重量比1:1で撹拌しながら混合することによって得られる結合塩素型殺菌剤)を添加し、40℃で1日静置した。このようにすることで、実施例4〜6及び比較例3に係る酸化剤・殺菌剤添加後試料を得た。
続いて、比較例4に係る試料の調製方法について説明する。まず、比較例2と同様の操作を行った。比較例2と同様の操作によって得られるサンプルを前処理サンプルという。続いて、この前処理サンプルを40℃で2時間静置し、図1に記載の紙製造装置1を用いて製造される段ボール原紙の3%パルプスラリーに対し、静置後の前処理サンプルを20%(w/w)の割合で混合、撹拌した。そして、撹拌後の前処理サンプルを40℃で1日静置した。このようにすることで、比較例4に係る試料を得た。
〔評価〕
実施例4〜6及び比較例3〜4に係る試料の酸化還元電位を、試験1と同様の手法にて測定した。また、検知管(製品名:No.4LL,ガステック社製)を用い、実施例4〜6及び比較例3〜4に係る試料の硫化水素濃度を測定した。結果を表5に示す。
Figure 2016121422
酸化剤が2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、過酸化水素又は亜塩素酸ナトリウム等の弱酸化剤である場合、試料の酸化還元電位が正の値であり、硫化水素の発生を好適に防止できることが確認された(実施例4〜6)。特に、弱酸化剤が2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール又は過酸化水素である場合、弱酸化剤の添加量が少なくても酸化還元電位が十分に高く、硫化水素の発生をより防止できることが確認された(実施例4、5)。
一方、酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムである場合、試料の酸化還元電位が−250mVを下回り、実施例1〜3ほど好適な硫化水素発生防止効果が認められなかった(比較例3)。特に、次亜塩素酸ナトリウムの添加量が少ないと、酸化還元電位の値は、酸化剤無添加である場合(比較例4)と略同等に低い(比較例3−1、3−2)。
以上の結果より、スカム等有機物を多量に含む試料に弱酸化剤を添加することによって、その後添加する殺菌剤の効果を十分に発揮できることが確認された。
加えて、実施例4〜6において、弱酸化剤の種類ごとにそれぞれ比較すると、弱酸化剤濃度及び殺菌剤濃度が高い試料ほど高い酸化還元電位を有することが確認された。弱酸化剤及び殺菌剤の酸化力や、弱酸化剤及び殺菌剤を添加する水の環境等により、弱酸化剤及び殺菌剤の最適添加量は異なるが、上述した第1の閾値及び第2の閾値を予め定め、これら第1の閾値及び第2の閾値に近い値で循環水の酸化還元電位が推移するように弱酸化剤及び殺菌剤の添加量を制御することで、弱酸化剤及び殺菌剤の種類に関わらず、弱酸化剤及び殺菌剤の使用量をできるだけ少なく抑えることができる。これにより、紙製造装置の腐食、コストの低減及び環境負荷を抑えることが可能である。
1 紙製造装置
10 紙製造部
20 排水部
30 排水処理部
40 処理水等供給部
50 弱酸化剤供給部
60 殺菌剤供給部

Claims (7)

  1. 原料から紙を製造する紙製造部から排水された水を処理する排水処理部と、
    前記排水処理部で処理が施された処理水、前記排水処理部に存在するスカム及び前記排水処理部に存在する汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上を、前記紙製造部と同一の又は他の紙製造部に供給する処理水等供給部と、
    前記排水処理部又は前記処理水等供給部における前記処理水、前記スカム及び前記汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤を供給する弱酸化剤供給部と、
    一以上の紙製造部のうち、前記処理水等供給部によって前記処理水、前記スカム及び前記汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上が供給される紙製造部の少なくとも一つに殺菌剤を供給する殺菌剤供給部とを備える紙製造装置。
  2. 前記排水処理部に含まれる水に対し、第1の酸化還元電位を測定する第1酸化還元電位測定部と、
    前記第1酸化還元電位測定部での測定結果が第1の閾値以上になるように前記弱酸化剤の供給条件を制御する弱酸化剤制御部とをさらに備える、請求項1に記載の紙製造装置。
  3. 前記第1の閾値が−250mV以上の所定の値である、請求項2に記載の紙製造装置。
  4. 前記殺菌剤が、次亜塩素酸塩と、アンモニウム塩、アミン、アミド及びイミドからなる群から選択される1以上の化合物との反応生成物である結合型塩素化合物を含む、請求項1から3のいずれかに記載の紙製造装置。
  5. 前記処理水等供給部によって前記処理水、前記スカム及び前記汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上が供給される紙製造部に含まれる水に対し、第2の酸化還元電位を測定する第2酸化還元電位測定部と、
    前記第2酸化還元電位測定部での測定結果が第2の閾値以上になるように前記殺菌剤の供給条件を制御する殺菌剤制御部とをさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の紙製造装置。
  6. 前記第2の閾値が−250mV以上の所定の値である、請求項5に記載の紙製造装置。
  7. 原料から紙を製造する紙製造部からの排水を処理することによって生じる処理水、スカム及び汚泥からなる群より選択される少なくとも一以上に対し、水溶液の酸化還元電位が次亜塩素酸ナトリウムの水溶液の酸化還元電位よりも小さい弱酸化剤で処理するとともに、一以上の紙製造部のうち、前記弱酸化剤で処理された弱酸化剤処理水が供給される紙製造部の少なくとも一つに対して殺菌剤を供給する、排水処理方法。
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