JP2016121272A - チキソトロピー性付与剤、及びそれを用いた塗料用溶剤、塗料 - Google Patents

チキソトロピー性付与剤、及びそれを用いた塗料用溶剤、塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】塗料に添加することにより色調や質感に影響を与えることなく高チキソトロピー性を付与することができる新規のチキソトロピー性付与剤を提供する。
【解決手段】本発明のチキソトロピー性付与剤は、下記式(1)
1−(CONH−R2n (1)
(式中、R1はベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ナフタレン、シクロヘキサン又はブタンの構造式からn個の水素原子を除いた基を示す。R2は炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示す。nは3以上の整数を示す。n個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい)
で表される化合物を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、チキソトロピー性付与剤、及び前記チキソトロピー性付与剤によりチキソトロピー性が付与された塗料用溶剤、及び塗料に関する。
表面塗装用塗料としては、高チキソトロピー性を有するものが、塗布時には機械的に撹拌することにより見かけ粘度を低下させて流動性を向上させることができるため塗布し易く、塗布後は静止した状態となるため見かけ粘度が増大して流動性が急激に低下し、タレ落ちを抑制することができる点で好ましい。
表面塗装用塗料に使用されるチキソトロピー性付与剤としては顔料が知られている(非特許文献1)。しかし、顔料を多量に添加すると得られる塗膜の色調や質感が変わってくるため、求められる色調や質感を達成する為には、高チキソトロピー性を付与するのに十分な顔料を添加することが困難となる場合があった。
また、プラスチックで形成された構造物の塗装を行う場合、プラスチック素材に対する溶解性に優れた溶剤を使用すると塗料の付着性を向上させることができるが、構造物の表面が侵食され、塗膜の縮みや荒れの原因となることが問題であった。
色材用ポリマー応用技術(シーエムシー出版)
従って、本発明の目的は、塗料に添加することにより色調や質感に影響を与えることなく高チキソトロピー性を付与することができる新規のチキソトロピー性付与剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、塗料主材と混合することにより、塗布性に優れた塗料を形成することができる塗料用溶剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、塗料主材と混合することにより、塗布性に優れ、且つ被塗布体表面に塗布することにより前記被塗布体表面を浸食することなく平滑性に優れた塗膜を形成することができる塗料のための溶剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、塗布し易くタレ落ち難い高チキソトロピー性を有する塗料を提供することにある。
本発明の他の目的は、塗布し易くタレ落ち難い高チキソトロピー性を有し、且つ被塗布体表面を浸食することなく平滑性に優れた塗膜を形成することができる塗料を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記塗料を塗布・乾燥して得られる塗膜を備えた構造物を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記式(1)で表される化合物は、得られる塗膜の色調や質感に影響を与えることなく高チキソトロピー性を付与することができること、前記化合物を添加して得られた高チキソトロピー性を有する塗料は、塗布し易くタレ落ち難いため塗布性に優れ、且つ、被塗布体に染み込み難く、被塗布体表面の浸食を抑制することができるため、平滑性に優れた塗膜を形成することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
1−(CONH−R2n (1)
(式中、R1はベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ナフタレン、シクロヘキサン、又はブタンの構造式からn個の水素原子を除いた基を示す。R2は炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示す。nは3以上の整数を示す。n個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい)
で表される化合物を含むチキソトロピー性付与剤を提供する。
本発明は、また、前記のチキソトロピー性付与剤と揮発性有機溶剤(1気圧下における沸点が200℃以下である有機溶剤)とを含有する塗料用溶剤を提供する。
本発明は、また、チキソトロピー性付与剤を揮発性有機溶剤100重量部に対して1〜10重量部含有する前記の塗料用溶剤を提供する。
本発明は、また、前記の塗料用溶剤と、塗布・乾燥することにより塗膜を形成することができる塗膜形成成分とを含有する塗料を提供する。
本発明は、また、20℃におけるTI値[6rpmにおける粘度/60rpmにおける粘度]が1.5以上である前記の塗料を提供する。
本発明は、また、プラスチック表面を塗装する用途に使用する前記の塗料を提供する。
本発明は、また、前記の塗料を塗布・乾燥して得られる塗膜を備えた構造物を提供する。
本発明のチキソトロピー性付与剤は式(1)で表される化合物を含有する為、塗料に添加することにより、得られる塗膜の色調や質感に影響を及ぼすことなく高チキソトロピー性を付与することができ、それにより使用性を向上することができ、且つ塗料に含まれる溶剤による被塗布体表面の浸食を抑制することができる。
また、前記チキソトロピー性付与剤を含有する本発明の塗料は塗布性に優れ、タレ落ちを抑制することができる。また、プラスチック素材に対する溶解性に優れた溶剤を使用しても、前記溶剤による被塗布体表面の浸食を抑制することができる。そのため、平滑性、付着性に優れ、色調や質感に優れた塗膜を形成することができる。
[チキソトロピー性付与剤]
本発明のチキソトロピー性付与剤は、下記式(1)で表される化合物を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて含む。
1−(CONH−R2n (1)
式中、R1はベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ナフタレン、シクロヘキサン、又はブタンの構造式からn個の水素原子を除いた基を示す。R2は炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示す。nは3以上の整数(例えば3〜6、好ましくは4)を示す。n個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
2は炭素数1以上(なかでも1〜20が好ましく、特に高チキソトロピー性を付与することができる点で4〜20が好ましく、特に好ましくは4〜18、最も好ましくは6〜18、更に好ましくは8〜18)の脂肪族炭化水素基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ラウリル、ミリスチル、ステアリル、ノナデシル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基[特に、炭素数4〜10(より好ましくは6〜10)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基];エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、7−オクテニル、9−デセニル、11−ドデセニル、オレイル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基[特に、炭素数12〜20(より好ましくは16〜18)の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基];エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニル、デシニル、ペンタデシニル、オクタデシニル基等の直鎖状又は分岐鎖状アルキニル基等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基が好ましい。
n個のR2は、2種以上の異なる基[特に、2種の異なる基(R21、R22);R21、R22は、互いに異なって炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示し、上記R2と同様の例を挙げることができる]であることが好ましく、前記基が直鎖状アルキル基と直鎖状アルケニル基の組み合わせ、又は分岐鎖状アルキル基と直鎖状アルケニル基の組み合わせであることが好ましい。最も好ましくは、分岐鎖状アルキル基と直鎖状アルケニル基の組み合わせである。
式(1)で表される化合物のうち、nが4である化合物としては、例えば、下記式で表される化合物等を挙げることができる。下記式中のR21、R22は前記に同じ。一分子中に複数のR21が存在する場合、それらは同一の基である。R22についても同様である。nが4以外の整数(例えば、n=3)である化合物は、下記式で表される化合物に対応する化合物等を挙げることができる。
Figure 2016121272
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式(1)で表される化合物は、例えば、下記方法等により製造することができる。
1.カルボン酸(R1−(COOH)n;R1、nは前記に同じ)を塩化チオニルと反応させてカルボン酸クロライドを得、得られたカルボン酸クロライドにアミン(R2−NH2;R2は前記に同じ)を反応させる方法
2.前記カルボン酸に対応するカルボン酸無水物にアミン(1)(R2−NH2;R2は前記に同じ)を反応させてアミック酸を得、更にアミン(2)(R2−NH2;R2は前記に同じ。アミン(1)のR2と同一であってもよく異なっていてもよい)を縮合剤を用いて縮合させる方法
前記カルボン酸としては、具体的には、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、2,4,5−ベンゾフェノントリカルボン酸、3,4,3’−ベンゾフェノントリカルボン酸、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,1’−ビフェニル−2,4,4’−トリカルボン酸、1,1’−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸、1,6,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,3−ナフタレントリカルボン酸、1,3,8−ナフタレントリカルボン酸、1,4,6−ナフタレントリカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等を挙げることができる。
アミン(R2−NH2)としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、へキシルアミン、オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記1の方法において、カルボン酸クロライドとアミンの反応は、例えばアミンを仕込んだ系内にカルボン酸クロライドを滴下することにより行うことができる。ここで、アミンとして、互いに異なる2種以上のアミンを使用すると、式(1)で表される化合物であってn個のR2が2種以上の異なる基である化合物を得ることができる。
アミンの使用量(2種以上使用する場合はその総量)は、カルボン酸クロライド1モルに対して、例えば4〜8モル程度、好ましくは4〜6モルである。
カルボン酸クロライドとアミンの反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。前記溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル等の飽和又は不飽和炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;スルホラン等のスルホラン系溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒;シリコーンオイル等の高沸点溶媒等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記溶媒の使用量としては、カルボン酸クロライドとアミンの総量に対して、例えば50〜300重量%程度である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
カルボン酸クロライドとアミンの反応(=滴下)は、通常、常圧下で行われる。また、上記反応(=滴下時)の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。反応温度(=滴下時温度)は、例えば30〜60℃程度である。反応時間(=滴下時間)は、例えば0.5〜20時間程度である。反応(=滴下)終了後は、熟成工程を設けてもよい。熟成工程を設ける場合、熟成温度は例えば30〜60℃程度、熟成時間は例えば1〜5時間程度である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
上記2の製造方法では、例えば、カルボン酸無水物とアミン(1)及び下記溶媒を系内に仕込み、熟成させることによりアミック酸を形成し、その後、アミン(2)(アミン(1)と同一であってもよく、異なっていてもよい)と縮合剤(例えば、カルボジイミド又はその塩)を仕込み、熟成させることにより式(1)で表される化合物を製造することができる。ここで、アミン(1)、(2)として、互いに異なる2種以上のアミンを使用すると、式(1)で表される化合物であってn個のR2が2種以上の異なる基である化合物を得ることができる。
前記カルボン酸無水物としては、例えば、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸−3,4:3’,4’−二無水物、1,1’−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸−2,3:3’,4’−二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸−1,8:4,5−二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物、meso−ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
前記アミン(1)、(2)としては、上記1の製造方法で使用されるアミンと同様の化合物を使用することができる。
アミン(1)の使用量(2種以上使用する場合はその総量)としては、カルボン酸無水物1モルに対して、例えば2〜4モル程度、好ましくは2〜3モルである。また、アミン(2)の使用量(2種以上使用する場合はその総量)としては、カルボン酸無水物1モルに対して、例えば2〜4モル程度、好ましくは2〜3モルである。
前記カルボジイミドは下記式で表される。
R−N=C=N−R’
上記式中、R、R’としては、例えば、ヘテロ原子含有置換基を有していてもよい、炭素数3〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、又は3〜8員のシクロアルキル基である。R、R’は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、RとR’は互いに結合して−N=C=N−基と共に環を形成していてもよい。
前記炭素数3〜8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、s−ペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、s−ヘキシル、t−ヘキシル基等を挙げることができる。
前記3〜8員のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル基等を挙げることができる。
前記ヘテロ原子含有置換基としては、アミノ基、ジメチルアミノ基等のジ(C1-3)アルキルアミノ基等の窒素原子含有置換基を挙げることができる。
カルボジイミドとしては、例えば、ジイソプロピルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド等を挙げることができる。また、カルボジイミドの塩としては、例えば、塩酸塩(具体的には、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩等)等を挙げることができる。
カルボジイミドの使用量としては、カルボン酸無水物1モルに対して、例えば2〜6モル程度、好ましくは2〜4モルである。
前記溶媒としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミック酸の溶解性に優れるプロトン受容性溶媒を使用することが好ましい。これらは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
前記溶媒の使用量としては、アミック酸の総量に対して、例えば50〜300重量%程度、好ましくは100〜250重量%である。溶媒の使用量が上記範囲を上回ると反応成分の濃度が低くなり、反応速度が低下する傾向がある。
上記反応は、通常、常圧下で行われる。また、上記反応の雰囲気としては反応を阻害しない限り特に限定されず、例えば、空気雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の何れであってもよい。熟成温度(反応温度)は、例えば30〜70℃程度である。カルボン酸無水物とアミンの熟成時間は、例えば0.5〜5時間程度であり、アミック酸とアミンの熟成時間は、例えば0.5〜20時間程度である。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、得られた反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
本発明のチキソトロピー性付与剤には、上記式(1)で表される化合物以外にも、チキソトロピー性を付与する効果を有する他の化合物を含有していてもよいが、本発明のチキソトロピー性付与剤に含まれる全てのチキソトロピー性を付与する効果を有する化合物(100重量%)における上記式(1)で表される化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。尚、上記式(1)で表される化合物の含有量の上限は100重量%である。すなわち、上記式(1)で表される化合物以外のチキソトロピー性を付与する効果を有する化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば95重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは70重量%以下、特に好ましくは50重量%以下、最も好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。含有量の下限はゼロである。
本発明のチキソトロピー性付与剤の剤型としては、例えば、粉末状、顆粒状、液状、乳液状等の種々の剤型を採用することが可能である。
本発明のチキソトロピー性付与剤は、溶剤等と混合したものを静止した状態で保持すると、式(1)で表される化合物がアミド結合部位において水素結合により自己会合してファイバー状の自己組織体を形成するため、見かけ粘度が増大して流動性が急激に低下する。そして、せん断応力を付与(例えば、撹拌する等)すると前記水素結合が容易に切断されて見かけ粘度が低下し、流動性が急激に上昇する。本発明のチキソトロピー性付与剤はこの作用により溶剤等にチキソトロピー性を付与することができる。
[塗料用溶剤]
本発明の塗料用溶剤は、上記チキソトロピー性付与剤と揮発性有機溶剤とを含有し、これらを混合することにより調製することができる。
前記揮発性有機溶剤には、通常塗料用溶剤として用いられる有機溶剤であって、1気圧下における沸点が200℃以下(例えば50〜200℃、好ましくは50〜180℃)である有機溶剤が含まれ、被塗布物や塗料主材の種類に応じて適宜選択して使用することができる。例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルアミル等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル(=セロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(=ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;ヘキサン、へプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ターペンチン、ジペンチン等のテルペン類等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
一般に、プラスチックで形成された構造物の塗装を行う場合、プラスチック素材に対する溶解性に優れた溶剤を選択することによって塗料の付着性を向上させることができる。しかし、溶解性が大きすぎるとプラスチックで形成された構造物の表面が侵食され、塗膜の縮みや荒れの原因となる場合がある。そのため、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド樹脂等のプラスチックで形成された構造物の表面に塗装する用途に使用する場合は、アルコール類、エステル類、グリコールエーテル類及び炭化水素類から選択される1種又は2種以上の溶剤が好ましく用いられる。ケトン系溶剤は素材表面を侵食するため好ましくない。ケトン系溶剤の含有量は、本発明の塗料用溶剤に含まれる全溶剤の例えば10重量%以下、好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下、最も好ましくは1重量%以下である。
本発明の塗料用溶剤におけるチキソトロピー性付与剤の含有量は、例えば1重量%以上(例えば、1〜10重量%)、好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
また、本発明の塗料用溶剤における式(1)で示される化合物の含有量は、例えば1重量%以上(例えば、1〜10重量%)であり、好ましくは2〜10重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。式(1)で示される化合物の含有量が1重量%以上であると高チキソトロピー性を付与することができる点で好ましい。また、式(1)で示される化合物の含有量が10重量%以下であると、特にプラスチック表面の塗装に用いる場合にプラスチック表面への侵食が少ない点で好ましい。
本発明の塗料用溶剤における揮発性有機溶剤の含有量は、例えば80〜99重量%、好ましくは90〜97重量%、特に好ましくは90〜95重量%である。
本発明の塗料用溶剤におけるチキソトロピー性付与剤の含有量は、揮発性有機溶剤100重量部に対して、例えば1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、特に好ましくは2.5〜5.5重量部である。
[塗料]
本発明の塗料は、上記塗料用溶剤と、塗布・乾燥することにより塗膜を形成することができる塗膜形成成分とを少なくとも含有する。
上記塗布・乾燥することにより塗膜を形成することができる塗膜形成成分としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂(熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、超耐候性樹脂を含む)、ポリエステル、ポリイソシアネート、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、塩素化ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ブチラール、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエン系、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリブタジエン、ウレタンプレポリマー、ウレタン樹脂、セラック樹脂、ロジンフェノール樹脂、各種石油樹脂、各種合成ゴム、ポリブテン、ポリイソブチレン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリプロピレングリコール、EVA樹脂、PE樹脂、各種ワックス、各種エマルジョン樹脂等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の塗料全量(100重量%)における上記塗膜形成成分の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば5〜50重量%程度であり、上限は、好ましくは45重量%、特に好ましくは40重量%、最も好ましくは35重量%である。下限は、好ましくは10重量%、より好ましくは20重量%、特に好ましくは25重量%、最も好ましくは30重量%である。
また、本発明の塗料全量(100重量%)における上記式(1)で表される化合物の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば0.5〜10重量%程度、好ましくは1〜8重量%、特に好ましくは1〜7重量%、最も好ましくは1〜4重量%である。
さらに、本発明の塗料全量(100重量%)における上記揮発性有機溶剤の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば20〜75重量%程度である。上限は、好ましくは70重量%、特に好ましくは65重量%である。下限は、好ましくは30重量%、より好ましくは40重量%、特に好ましくは50重量%、最も好ましくは55重量%である。
本発明の塗料は上記成分以外にも必要に応じて、色素、上記揮発性有機溶剤以外の溶剤、分散剤、乾燥剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、安定剤、皮はり防止剤、防かび剤、防腐剤、凍結防止剤等の添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。本発明の塗料全量(100重量%)における前記添加剤の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば10重量%以下程度、好ましくは0.5〜8重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
前記色素には顔料や染料が含まれる。また、顔料には着色顔料、体質顔料、防錆顔料、金属顔料等が含まれる。
上記顔料としては、塗料に使用される顔料であれば特に制限なく使用することができ、例えば、無機顔料[カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、銅クロム系ブラック、銅鉄マンガン系ブラック、コバルト鉄クロム系ブラック、酸化ルテニウム、グラファイト、金属微粒子(例えば、アルミニウム等)、金属酸化物微粒子、複合酸化物微粒子、金属硫化物微粒子、金属窒化物微粒子等]、有機顔料[アゾ系顔料、アニリンブラック、アントラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、インダンスレン系顔料、インディゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、テトラアザポルフィリン系顔料、トリアリールメタン系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ローダミン系顔料等]、無機顔料の表面が樹脂等の有機材料によって被覆された顔料等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記染料としては、塗料に使用される染料であれば特に制限なく使用することができ、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、インディゴ系染料、カルボニル系染料、キサンテン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、テトラアザポルフィリン系染料、トリアリールメタン系染料、ナフトキノン系染料、ニトロ系染料、フタロシアニン系染料、フルオラン系染料、ペリレン系染料、メチン系染料、ローダミン系染料等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の塗料全量(100重量%)における前記色素の含有量(2種以上含有する場合はその総量)は、例えば10重量%以下程度、好ましくは0.5〜8重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
本発明の塗料は、チキソトロピー性付与剤、揮発性有機溶剤、塗膜形成成分、及び必要に応じて添加剤を混合することにより調製することができ、揮発性有機溶媒にチキソトロピー性付与剤を添加して混合することにより塗料用溶剤を調製し、これに塗膜形成成分と必要に応じて添加剤を含有する塗料主材を混合する方法等を採用することができる。
本発明の塗料の被塗布体としては、特に制限されることがなく、例えば、金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、アスファルト、無機質素材等を挙げることができる。
本発明の塗料の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、デイッピング法、スプレー法、カーテンフローコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、グラビアコート法等を挙げることができる。
本発明の塗料は本発明のチキソトロピー性付与剤を含有するため高チキソトロピー性を有し、下記式で算出されるチキソトロピーインデックス(TI値)(20℃における)は、例えば1.5以上(好ましくは1.5〜50、より好ましくは2〜30、特に好ましくは10〜30、最も好ましくは13〜30、更に好ましくは15〜25)である。
TI値=6rpmにおける粘度/60rpmにおける粘度
また、本発明の塗料の粘度[25℃、せん断速度20(1/s)における]は、例えば2〜30Pa・s(好ましくは5〜30Pa・s、特に好ましくは10〜30Pa・s、最も好ましくは15〜30Pa・s)の範囲であることが、良好な塗布性と分散安定性を兼ね備えることができる点で好ましい。塗料の粘度は塗膜形成成分と揮発性有機溶剤の含有量でコントロールすることができる。
本発明の塗料は上記特性を有するため、塗布する際には撹拌等によりせん断応力を付与することで見かけ粘度を低下させることができ、流動性を向上させて優れた塗布性を発揮することができる。また、塗布後は静止した状態となることにより、前記チキソトロピー性付与剤に含まれる式(1)で表される化合物がアミド結合部位において水素結合により自己会合してファイバー状の自己組織体を形成し、見かけ粘度が増大して流動性が急激に低下するため、タレ落ちを抑制することができる。更に、見かけ粘度が増大することにより塗料に含まれる溶剤が被塗布体に染み込み難くなり、被塗布体表面の浸食を抑制することができる。
また、本発明の塗料が揮発性有機溶剤としてアルコール類、エステル類、グリコールエーテル類、及び炭化水素類から選択される1種又は2種以上の溶剤を含有する場合は、塗料のプラスチック表面浸食性を低く抑制することができ、且つプラスチック表面への良好な付着性を有する、色調、質感、及び平滑性に優れた塗膜を形成することができるので、プラスチック用塗料として好適に使用することができ、家庭用品、電気部品、自動車部品、工芸品など広い用途に用いられる。
[構造物]
本発明の構造物は、上記塗料を塗布・乾燥して得られる塗膜を備えた構造物であり、前記塗膜は本発明の構造物の表面の一部に設けられていてもよく、全部に設けられていてもよい。
前記構造物の形成材料としては、特に制限されることがなく、例えば、金属等の無機質素材、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、アスファルト等を挙げることができる。本発明の構造物としては、なかでも、プラスチックで形成された構造物、すなわちプラスチック成形品(家庭用品、電気部品、自動車部品、及び工芸品を含む)が密着性に優れる点で好ましい。尚、構造物の形状は特に制限されない。
塗膜の厚みは、用途に応じて適宜調整することができ、例えば0.05〜0.2mm程度である。
本発明の構造物は上記塗料を塗布・乾燥して得られた、平滑性、色調、質感に優れ、品質のよい塗膜を有するため、美観に優れる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
調製例1(チキソトロピー性付与剤(1):1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラヘキシルアミドの合成)
ジムロート冷却管、窒素導入口、滴下ロート、熱電対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにクロロホルム20mL、ヘキシルアミン3.6g(0.036mol)を仕込んで、系内温度を40℃に設定した。
その後、ピロメリット酸テトラクロリド3g(0.009mol)の10mLクロロホルム溶液を2時間かけて滴下し、更に2時間熟成を行った。
その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、白色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラヘキシルアミドを3.5g得た(収率:67%)。反応生成物の構造は1H−NMRにより確認した。
調製例2(チキソトロピー性付与剤(2):1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラオクチルアミドの合成)
ヘキシルアミンに代えてオクチルアミン4.8g(0.036mol)を使用した以外は調製例1と同様にして、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸テトラオクチルアミドを3.7g得た(収率:59%)。
調製例3(チキソトロピー性付与剤(3):1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸ジ2−エチルヘキシルアミドジオレイルアミドの合成)
ジムロート冷却管、窒素導入口、滴下ロート、熱電対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにピリジン20mL、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,2:4,5−二無水物3.0g(0.014mol)、オレイルアミン7.4g(0.028mol)を仕込んだ。系内温度を50℃に設定し、3時間熟成した。
その後、2−エチルヘキシルアミン3.6g(0.028mol)、ジイソプロピルカルボジイミド7.0g(0.056mol)を仕込み、更に8時間熟成を行った。
その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、淡黄色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸ジ2−エチルヘキシルアミドジオレイルアミド[1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,4−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,5−ジ(オレイルアミド)と1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸−1,5−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,4−ジ(オレイルアミド)の混合物]を5.9g得た(収率:51%)。
調製例4(チキソトロピー性付与剤(4):1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ジ2−エチルヘキシルアミドジオレイルアミドの合成)
ジムロート冷却管、窒素導入口、滴下ロート、熱電対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにピリジン20mL、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸−1,2:3,4−二無水物4.2g(0.021mol)、オレイルアミン11.3g(0.042mol)を仕込んだ。系内温度を50℃に設定し、3時間熟成した。
その後、2−エチルヘキシルアミン5.4g(0.042mol)、ジイソプロピルカルボジイミド5.8g(0.048mol)を仕込み、更に8時間熟成を行った。
その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、淡黄色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ジ2−エチルヘキシルアミドジオレイルアミド[1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸−1,4−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,3−ジ(オレイルアミド)と1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸−1,3−ジ(2−エチルヘキシルアミド)−2,4−ジ(オレイルアミド)の混合物]を16.7g得た(収率:83%)。
調製例5(チキソトロピー性付与剤(5):1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジブチルアミドジオレイルアミドの合成)
ジムロート冷却管、窒素導入口、滴下ロート、熱電対を備えた100mL4つ口セパラブルフラスコにピリジン20mL、1,2,4,5−シクロヘキサンカルボン酸−1,2:4,5−二無水物4.5g(0.02mol)、オレイルアミン10.7g(0.04mol)を仕込んだ。系内温度を50℃に設定し、3時間熟成した。
その後、ブチルアミン2.9g(0.02mol)、ジイソプロピルカルボジイミド5.5g(0.044mol)を仕込み、更に8時間熟成を行った。
その後、得られた粗液の低沸分をエバポレータにて除去し、メタノールで洗浄し、淡黄色の湿粉を得た。更に得られた湿粉についてCHCl3/CH3OH(70/30(v/v))で再結晶を行い、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジブチルアミドジオレイルアミド[1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,4−ジ(ブチルアミド)−2,5−ジ(オレイルアミド)と1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸−1,5−ジ(ブチルアミド)−2,4−ジ(オレイルアミド)の混合物]を11.6g得た(収率:67%)。
調製例6(塗料主材の調製)
四つ口フラスコに撹拌機、窒素ガス導入口、温度計、冷却管を設置し、トルエン500gおよびn−ブタノール500gを仕込んだ。そして、100℃に昇温し、メチルメタクリレート800g、n−ブチルメタクリレート200g、ベンゾイルパーオキサイド4gおよびt−ブチルパーオクトエート2gの混合物を滴下させ、その後も同温で10時間保持して共重合物を得た。次いで、この共重合物100重量部に対してアルミペースト10重量部を加えて分散させて、塗料主材を得た。
実施例1〜5、比較例1
下記表1に記載の処方(単位:重量部)に従って、調製例で得られたチキソトロピー性付与剤と揮発性有機溶剤とを混合して塗料用溶剤を得た。
Figure 2016121272
実施例6〜10、比較例2
下記表2に記載の処方(単位:重量部)に従って、塗料用溶剤と調製例6で得られた塗料主材とを混合して塗料を得た。
得られた塗料について、TI値と粘度を測定した。また、プラスチック(ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート)表面浸食性を評価した。
Figure 2016121272
*酢酸エチルの1気圧下における沸点:77.1℃
ブチルセロソルブの1気圧下における沸点:171〜172℃
トルエンの1気圧下における沸点:110.6℃
n−ブタノールの1気圧下における沸点:117℃
[TI値の測定方法]
下記式からチキソトロピーインデックス(TI値)を算出した。尚、回転数6rpm及び60rpmにおける粘度は、B型回転粘度計を使用して20℃においてそれぞれ2回ずつ測定し、それらの平均値を採用した。
TI値=(6rpmにおける粘度)/(60rpmにおける粘度)
[粘度の測定方法]
B型回転粘度計を使用し、25℃、せん断速度20(1/s)における粘度(Pa・s)を測定した。
[プラスチック表面浸食性の評価方法]
ポリ塩化ビニル樹脂板又はポリカーボネート板に、実施例及び比較例で得られた塗料を塗装して(厚み:100μm)、60℃で30分間焼き付けを行った。その後、室温(25℃)において3日間放置して塗装物を得た。
得られた塗装物の塗装表面の仕上りを確認し、下記基準で評価した。
評価基準
○:表面の凹凸がほとんどない
×:表面の凹凸が目立つ
表2の結果から明らかなように、本発明の塗料は高チキソトロピー性を有したため、塗布性に優れ、塗布後はタレ落ちを抑制することができた。また、プラスチック製の被着体表面の侵食を抑制することができた。そして、荒れや縮みの無い、平滑性に優れた塗膜を形成することができた。
一方、比較例2で得られた塗料はチキソトロピー性を有しておらず、塗布性の点で劣っていた。また、プラスチック表面を侵食し、平滑性に優れた塗膜を得ることができなかった。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    1−(CONH−R2n (1)
    (式中、R1はベンゼン、ベンゾフェノン、ビフェニル、ナフタレン、シクロヘキサン、又はブタンの構造式からn個の水素原子を除いた基を示す。R2は炭素数1以上の脂肪族炭化水素基を示す。nは3以上の整数を示す。n個のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい)
    で表される化合物を含むチキソトロピー性付与剤。
  2. 請求項1に記載のチキソトロピー性付与剤と揮発性有機溶剤(1気圧下における沸点が200℃以下である有機溶剤)とを含有する塗料用溶剤。
  3. チキソトロピー性付与剤を揮発性有機溶剤100重量部に対して1〜10重量部含有する請求項2に記載の塗料用溶剤。
  4. 請求項2又は3に記載の塗料用溶剤と、塗布・乾燥することにより塗膜を形成することができる塗膜形成成分とを含有する塗料。
  5. 20℃におけるTI値[6rpmにおける粘度/60rpmにおける粘度]が1.5以上である請求項4に記載の塗料。
  6. プラスチック表面を塗装する用途に使用する請求項4又は5に記載の塗料。
  7. 請求項4〜6の何れか1項に記載の塗料を塗布・乾燥して得られる塗膜を備えた構造物。
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