JP2016120949A - オープントップコンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、スクラップ搬送を原因とした各側壁の疲労破壊および各側壁の摩耗を抑制可能なオープントップコンテナを提供する。【解決手段】底壁12、前壁13、後壁14、一対の側壁を有し、天井部分が開口してその内部空間にスクラップSを積載するオープントップコンテナ10であって、一対の側壁を耐摩耗鋼板により形成するとともに、これと同一材料の帯状板からなる補強リブを、これらの側壁の外面にこの外面から垂直に突出させて固着するとともに、補強リブは、対応する側壁の外面にあって上下方向に対して所定角度傾斜してこの側壁の上端から下端まで直線状に延びるように構成した。【選択図】図1

Description

この発明はオープントップコンテナ、詳しくはトレーラに搭載され、産業廃棄物例えばスクラップを搬送するオープントップコンテナに関する。
廃自動車や建築廃材などを破砕処理するスクラップ加工処理工場からは、多量のスクラップが排出される。これらのスクラップを工場外へ搬出する際には、グラップルまたはマグネット付きのラフテレーンクレーンやスクラップローダーを利用し、スクラップヤードから廃棄物搬送用トレーラのオープントップコンテナに移載される。
従来のオープントップコンテナ(以下、コンテナとも言う)は、例えば特許文献1に示すように、底壁、前壁、後壁、左右一対の側壁を有し、天井部分が開口された箱体で構成されている。
実公昭63−18610号公報
しかしながら、従来のオープントップコンテナの各側壁は、上辺を除く各辺が、これらに当接した底壁、前壁および後壁に固着され、かつ各側壁の素材は、炭素含有量0.6wt%以下の軟らかい普通鋼であった。この結果、コンテナには、スクラップ全体を下方に向けて押圧して積載するため、各側壁の高さ方向の中央部(その長さ方向では中間部)がスクラップにより外方へ向かって押されて膨み、塑性変形が生じ易かった。このような側壁中央部の変形は、トレーラによるスクラップ搬送を長期間行うことで拡大し、その結果、各側壁の中央部の疲労による機械的強度も低下し、疲労破壊が発生していた。すなわち、各側壁の中央部に微小なクラックが発生し、繰り返し応力を受けることで割れ目が徐々に大きくなっていた。
さらに、例えばスクラップローダーを操縦し、廃自動車などの廃材を破砕したスクラップをコンテナに投入した場合において、スクラップが各側壁の内面に擦れ、各側壁の摩耗が激しかった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、各側壁の素材として、従来の普通鋼より弾性限界点が高くて各側壁の疲労破壊を防止でき、スクラップとの接触による各側壁の摩耗も低減可能な耐摩耗鋼板を採用し、また耐摩耗鋼板からなり、かつ上下方向に対して所定角度傾斜して側壁の上端から下端まで直線状に延びた補強リブを、各側壁の外面に対して垂直に突出させれば、上述した問題はすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、従来の普通鋼からなる側壁を有するものに比べて、スクラップ搬送を原因とした各側壁の疲労破壊および各側壁の摩耗を抑制することができるオープントップコンテナを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、底壁、前壁、後壁、一対の側壁を有し、天井部分が開口してその内部空間にスクラップを積載するオープントップコンテナであって、前記一対の側壁を耐摩耗鋼板により形成するとともに、これと同一材料の帯状板からなる補強リブを、これらの側壁の外面に、この外面から垂直に突出させて固着するとともに、前記補強リブは、対応する側壁の外面にあって上下方向に対して所定角度傾斜してこの側壁の上端から下端まで直線状に延びたオープントップコンテナである。
請求項1に記載の発明によれば、コンテナの各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、多量のスクラップを投入したときの各側壁の変形を抑制することができる。さらにはスクラップ満載状態でのトレーラ輸送の繰り返しを原因とした各側壁の疲労破壊を防止することができる。
また、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高いため、搬送先でスクラップを荷降ろしすれば、各側壁への応力が取り除かれ、各側壁は塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、多量のスクラップ投入による繰り返し応力を各側壁が受けても、各側壁の中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁の疲労破壊が抑制される。
さらに、各側壁は、側壁と同一素材の耐摩耗鋼板からなり、かつ、傾斜せずに上下方向に延びる補強リブよりも補強範囲が広い、傾斜した補強リブによりそれらの外面から補強されている。そのため、各側壁の中央部の変形量はより小さくなる。また、傾斜した補強リブにより側壁面全体として補強される範囲が広がることとなる(例えば垂直に補強リブを固着した場合に比較してもその側壁の面剛性が高くなっている)。また、側壁とその補強材とを同一素材で固着した構成とすることにより、これらに対して繰り返して外力が作用しても側壁および補強リブは一体として弾性変形を繰り返すこととなり、これらの間でクラックや剥離が生じるおそれを少なくすることができる。
さらにまた、各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗がしにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップをコンテナに投入した際、スクラップが各側壁の内面に衝突して擦れても、従来品より各側壁の摩耗を低減することができる。
ここで、オープントップコンテナは、底壁、前壁、後壁、左右一対の側壁を有し、天井部分が常時開口された金属製の箱体である。底壁、前壁、後壁の素材としては、例えば普通鋼などを採用することができるが、側壁と同一の耐摩耗鋼板で構成することが好ましい。
オープントップコンテナは、自走するトラクタ(牽引車)に連結された廃棄物搬送用のトレーラ(被牽引車)に搭載される。
ここではスクラップの種類は限定されない。例えば、廃自動車や建築廃材などの破砕物を採用することができる。もちろん、オープントップコンテナによって輸送可能な積載物は限定されない。例えば、スクラップを除く他の産業廃棄物でもよい。
側壁および補強リブの素材である耐摩耗鋼板は、鉄を主成分とし、これに炭素(C;0.21重量%以上)、ケイ素(Si:0.70重量%以上)、マンガン(Mn:2.00重量%以上)、リン(P:0.025重量%以上)、イオウ(S:0.010重量%以上)、ニッケル(Ni:1.00重量%以上)、クロム(Cr:120重量%以上)、モリブデン(Mo:0.60重量%以上)、ホウ素(B:0.005重量%以上)が添加されたものである。
耐摩耗鋼板の弾性限界点(降伏点)は、1000〜2000N/mmである。1000N/mm未満では、弾性限界点が400N/mm程度の普通鋼と比べて、弾性変形能としてそれほど顕著な差異がない。また、2000N/mmを超えれば硬すぎて、コンテナにスクラップを投入した衝撃等で側壁が破損するおそれがある。耐摩耗鋼板としては、例えば新日鐵住金社製のアブレックス(旧新日鐵社製のウェルハード、旧住友金属社製のスミハード)、JFEスチール社製のエバーハード、スウェーデンスチール社製のハルドックス(スウェーデン鋼)などを使用することができる。
耐摩耗鋼板の耐摩耗性は、ブリネル硬さで300〜700HBWである。300HBW未満では、130HBW前後の普通鋼と比較して、耐摩耗性にそれほど顕著性がない。また、700HBWを超えれば硬すぎて、コンテナにスクラップを投入した衝撃等で側壁が破損するおそれがある。
帯板材である補強リブの幅は任意であって、例えば30〜100mmである。30mm未満では補強リブの幅が短すぎて側壁の補強効果が充分とは言えない。また、100mmを超えれば、不必要に補強リブの幅が長くなり、コスト高を招くとともにコンテナ走行中に受ける風の抵抗が大きくなる可能性がある。
補強リブの上下方向に対する斜め方向への傾斜角度は任意で、例えば10°〜80°である。10°未満では、上下方向(底壁に対して90度)に延びる補強リブとその補強範囲がほとんど変わらず、傾斜した補強リブを採用したメリットである面剛性の向上効果が小さい。また、80°を超えれば、補強リブの傾斜角度が大きすぎて左右方向に延びる補強リブと差異がない。そのため、補強リブの材料費が嵩むにも拘わらず、補強リブによる側壁の高さ方向の中央部の変形を抑える効果がそれほど得られない。
補強リブは側壁と素材が同一であるため、例えば、溶接により両部材を良好に接合することができる。異種素材の溶接の場合には、繰り返し応力を受けた場合に、側壁と補強リブとの間で剥がれが生じ易い。
また、請求項2に記載の発明は、前記後壁は、前記一対の側壁のうちの片方の側壁の後端に、上下方向に延びる回動軸を有したヒンジを介して開閉自在に設けられるとともに、前記片方の側壁の後端に有する前記ヒンジの支持部には、炭素鋼または特殊合金鋼から鍛造されたL字状補強材によって、前記底壁に対して前記片方の側壁を垂直に保持する請求項1に記載のオープントップコンテナである。
請求項2に記載の発明によれば、コンテナの片方の側壁の後端に設けたヒンジの支持部に、炭素鋼または特殊合金鋼の鍛造品からなり、かつ底壁に対して片方の側壁を垂直に保持するL字状補強材を設けたため、片方の側壁の後端の強度(保形性)が高まり、この側壁の後端の反りを原因としたコンテナの後開口(スクラップの排出口)を塞ぐ後壁の閉蓋不能という不具合を防止することができる。すなわち、コンテナの片方の側壁の後端は自由端で、前壁の一側端に固定された側壁前端に比べて強度が低く、片方の側壁の後端には、ヒンジ連結された後壁の重量が作用する。そのため、上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、コンテナの後方の開口(スクラップの排出口)を後壁により閉蓋できなくなるおそれがあった。そこで、このヒンジの支持部を、鍛造によって高強度化したL字状補強材により補強する構成を採用した。
後壁を開閉させるヒンジが後端に設けられた片方の側壁は、車両幅方向の右方の側壁でも左側の側壁でもよい。
ここでいう鍛造品とは、金型などによって炭素鋼または特殊合金鋼に圧力を加えることで、この金属を塑性流動させて成形した物品である。圧力を加えることで鍛流線が連続し、金属の組織が緻密化することによって、鋳造に比べて鋳巣(空洞)が生じにくくなり、高強度の粗形材となる。
ここでいう炭素鋼としては、炭素含有率(質量パーセント)が0.6%以上の高炭素鋼が望ましい。ただし、低炭素鋼(0.25%未満)や中炭素鋼(0.25〜0.6%)であっても鍛造することで強度が向上するため、使用が可能である。
ここでの特殊合金鋼は、低合金鋼、中合金鋼、高合金鋼であっても使用可能である。合金元素としては、Al,B,Co,Cr,Cu,La,Mo,Nb,Ni,Pb,Se,Te,Ti,V,W,Zrを例示することができる。
L字状補強材とは鍛造によって造られたL字状の高強度な金属部材である。L字状補強材は、L字の横側部分がそのコンテナの基台フレームまたは基台フレーム上の底壁に固定され、かつL字の縦側部分がそのコンテナの片方の側壁またはこの片方の側壁の外面に突設された後縁化粧板に固定されている。なお、L字の縦側部分を後縁化粧板に固定した場合は、L字補強材のL字の縦側部分が、後縁化粧板を介して、間接的にコンテナの片方の側壁に固定される。
なお、L字状補強材は、コンテナの片方の側壁の後端だけでなく、両方の側壁の後端に設けてもよい。
請求項1に記載の発明によれば、コンテナの各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、多量のスクラップを投入したときの各側壁の変形を抑制することができる。しかも、スクラップ満載状態でのトレーラ輸送の繰り返しを原因とした各側壁の疲労破壊も防止することができる。
すなわち、コンテナに多量のスクラップを積み込んだ場合には、各側壁の中央部が多量のスクラップにより内方から押されて膨らもうとする。しかしながら、各側壁は、普通鋼より硬い耐摩耗鋼板からなるため、各側壁の中央部の変形は抑制される。しかも、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高い。そのため、搬送先でスクラップを荷降ろしすれば、各側壁への応力が取り除かれ、各側壁は塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、各側壁が多量のスクラップ投入による繰り返し応力を受けても、各側壁の中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁の疲労破壊が抑制される。
また、これらの側壁は、側壁と同一素材の耐摩耗鋼板からなり、かつ上下方向に延びる補強リブよりも補強範囲が広い、傾斜した補強リブによって外から補強されている。その面剛性が高くなったため、各側壁の中央部の変形はさらに抑制される。
さらにまた、このように各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗がしにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップをコンテナに投入した際、スクラップが各側壁の内面に衝突して擦れが生じても、従来品より各側壁の摩耗を低減することができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、コンテナの片方の側壁の後端は自由端で、前壁の一側端に固定された前端に比べて強度が低く、片方の側壁の後端には、ヒンジ連結された後壁の重量が作用している。そのため、片方の側壁の後部は、上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、スクラップの排出口であるコンテナの後方の開口が、後壁によって閉蓋できなくなるおそれがある。そこで、ヒンジの支持部に、炭素鋼または特殊合金鋼の鍛造品からなり、かつ底壁に対して片方の側壁を垂直に保持するL字状補強材を設けるように構成した。これにより、片方の側壁の後端の強度(保形性)が高まり、この側壁の後端の反りを原因とした後壁の閉蓋不能という不具合を防止することができる。
この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの側面図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する側壁の補強リブと傾斜化粧板との溶接状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する後壁の開蓋状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成するL字状補強材のコンテナ後部への溶接状態を示す要部拡大側面図である。 図5のオープントップコンテナのA−A矢示断面図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成するL字状補強材のコンテナ後部へ溶接状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する側壁のスクラップ満載時における外方への膨出状態を示す要部拡大断面図である。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、自走するトラクタに連結された廃棄物搬送用のトレーラに搭載されるオープントップコンテナを例とする。
図1および図2において、10は、この発明の実施例1に係るオープントップコンテナ(以下、コンテナ)である。このコンテナ10は、エンジン搭載のトラクタ(図示せず)に牽引される廃棄物搬送用のトレーラ11に搭載される。コンテナ10は、箱形であって、基台フレーム10aと、この基台フレーム10aの上面に固着された矩形の底壁12と、底壁12の前端に固着された前壁13と、後壁14と、一対の側壁15A,15Bとで構成され、その天井部分が開口してその内部空間aにスクラップSなどを積載する大型のものである。コンテナ10のサイズは、前後方向の長さが12m、左右方向の幅が2.3m、上下方向の高さが1.8mである。
以下、図1〜図7を参照して、これらの構成体を具体的に説明する。
図1および図2に示すように、基台フレーム10aは、コンテナ10の前後方向に長い矩形枠状の部材であって、主にコンテナ10の前縁部および後縁部(短辺部)に配設される一対の角形鋼管10bと、コンテナ10の左右一対の側縁部(長辺部)に配設される一対のチャネル鋼材10cとから構成されている。
底壁12は、基台フレーム10aの上面に敷設されて、箱形のコンテナ10の床部分を構成する板材である。また、前壁13はコンテナ10の前側の(トラクタ側の)壁部分を構成する板材である。
さらに、後壁14はコンテナ10の後面の開口(スクラップ排出口)10dを塞ぐ蓋体で、左方の側壁15Aの後端に、上下方向に延びた回動軸16を有するヒンジ17を介して、開閉自在に取り付けられている。また、右方の側壁15Bの後端には、後壁14の右縁部(先側の辺部)の掛止ストッパHが、上下方向に所定ピッチで5つ配設されている。
後壁14の外面には、補強用の格子状化粧板18が溶接されている。格子状化粧板18は、普通鋼からなり、かつ後壁14との溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを格子状に組んだ枠体である。底壁12、前壁13および後壁14は、何れも左右一対の側壁15A,15Bと同じ後述の耐摩耗鋼板からなる。
図1,図4,図5に示すように、ヒンジ17は、左方の側壁15Aの後述する後縁化粧板19の後縁面に、上下方向に所定ピッチで固定された上下5つのコの字金具20と、後壁14の右縁部に垂直方向(上下方向)に所定ピッチで各元部が固定され、かつ各先端部に軸支筒21aが一体形成された5つの蓋軸支部材21と、各コの字金具20の対峙板片20aの先端部間に配置された各軸支筒21aと各軸孔20bとに一連に(共通して)挿通される回動軸16とを有している。各コの字金具20は、一対の水平な対峙板片20aの元部が連結板片20cによりコの字状に連結された軸支部材である。また、最下部のものを除くコの字金具20の対峙板片20aの元部間には、矩形補強板20dが横架されている。さらに、対配置されたこれら対峙板片20aのうち、下側の対峙板片20aの元部の下面には、後縁化粧板19の後縁面に元部が固定された台形補強板20eの上縁部がそれぞれ固定されている。
また、右方の側壁15Bの後述する後縁化粧板19の後縁面には、4つのコの字金具50が垂直方向に沿って所定ピッチで配設されている。各コの字金具50は、一対の水平な対峙板片50aの元部が連結板片50bによりコの字形状に連結され、かつ、各対峙板片50aの先端部に軸孔50cが形成された軸支部材である。対峙する対峙板片50aの先端部の間には、後壁14の右縁部(先側の辺部)を係止する合計して4個のストッパ爪51の元部がそれぞれ配置されている。各ストッパ爪51の元部には、軸支筒51aが一体形成されている。各軸孔50bと各軸支筒51aとには、縦長な爪操作軸52が挿通されている。これらの軸支筒51aは爪操作軸52に溶接され、また、爪操作軸52の下端部には、L字形状に屈曲したハンドルバー52aが一体形成されている。さらに、ハンドルバー52aを着脱自在に掛止するロック金具53が、後壁の右下角部の外面に設けられている。
後壁閉止(閉蓋)時には、回動軸16を中心にして後壁14を閉蓋方向に回動し、後壁14の右側の端部を、右方の側壁15Bの後縁化粧板19の後縁面に当接する。この状態で、ハンドルバー52aを後壁側に向かって回動し、その先端部をロック金具53によりロックする。後壁14の開蓋(開放)時には、これらとは逆の手順での操作を行う。
図1および図2に示すように、各側壁15A,15Bは、高さが1.8m、長さが6m、厚さ6mmの耐摩耗鋼板(新日鐵住金社製アブレックス)からなる2枚の部分側壁15aを、コンテナ10の長さ方向に突き合わせ溶接したものである。
各側壁15A,15Bの上下の辺部の外面には、それぞれ普通鋼からなる補強用の上縁化粧板22と下縁化粧板23とが溶接されている。上縁化粧板22および下縁化粧板23は、溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを横長に配置した幅狭な枠体である。
また、各側壁15A,15Bの左右の辺部の外面には、それぞれ普通鋼からなる補強用の前縁化粧板24と後縁化粧板19とが溶接されている。これらの前縁化粧板24および後縁化粧板19は、溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを縦長に配置した幅広の枠体である。
各側壁15A,15Bの突き合わせ溶接部25の外面には、この外面から垂直(直角)に突出し、かつ、上下方向に対して15°の角度で傾斜した2本の帯状の補強リブ26が、対応する側壁15A,15Bの上端から下端まで直線状に延びるように平行状態で溶接されている(図2)。各補強リブ26は側壁と同一の素材である耐摩耗鋼板からなり、かつ、それぞれの下端がコンテナ10の前方に向かって徐々に傾斜している。
また、各部分側壁15aを長さ方向に3分割した位置の外面にも、上記と同一の補強リブ26が所定本数(1本または2本ずつ)だけ溶接されて側壁全体を補強している(面剛性を高めている)。具体的には、各部分側壁15aの突き合わせ溶接部側の仮想分割部分に、2本の補強リブ26が平行状態で溶接され、残りの仮想分割部分には1本の補強リブ26が溶接されている。
各側壁15A,15Bの長さ方向の中間一帯で、補強リブ26の本数を増やして補強効果を高めている理由は、各側壁15A,15Bの長さ方向の両端部に比べて、コンテナ10に多量のスクラップを積載した際の変形量(外方への膨出量)が大きく、それを抑制するためである。なお、スクラップは積載時には上方から押圧されて横方向に膨張しようとする力が働く。
また、各突き合わせ溶接部25の外面には、対応する補強リブ26を覆うように、上下方向に対して15°傾斜した補強用の傾斜化粧板27が、各側壁15A,15Bの上端から下端まで直線状に延びるように溶接されている。各傾斜化粧板27は、普通鋼からなり、かつ各側壁15A,15Bとの溶接面が開口面となった断面コの字状であって、収納される補強リブ26の本数に対応して幅が異なる帯状カバーを傾斜配置した枠体である。特に、各側壁15A,15Bの長さ方向の中間部に配置された傾斜化粧板27は、傾斜化粧板27の両端板(コンテナ前後方向の側板)27a、27bと突き合わせ溶接部25とが、コンテナ10の側面方向から視て略N字状となる横長サイズを有している(図3)。これにより、各側壁15A,15Bのうちで、スクラップ投入時の変形量が最大となる、各側壁15A,15Bの中央部に存在する突き合わせ溶接部25の補強効果を高めることができる。
さらに、各傾斜化粧板27のうち、各側壁15A,15Bと平行な表面板27cには、収納した各補強リブ26と対峙する部分に、各補強リブ26の先縁面を等間隔で露出させるスリット27dが、一定ピッチで多数形成されている。各補強リブ26と各傾斜化粧板27とは、これらのスリット27dを通してそれぞれ堅固に溶接されている。そのため、各傾斜化粧板27は、各側壁15A,15Bと異素材の普通鋼からなるものの、スクラップSの積み降ろしを繰り返して各側壁15A,15Bの膨張、復元を繰り返しても、対応する側壁15A,15Bから溶接部分が剥がれにくい(図8)。
さらに、図5〜図7に示すように、左方の側壁15Aのうち、幅広の後縁化粧板19によって被われた後端部は、ヒンジ17の支持部28である。ここには、炭素鋼の鍛造品であるフォークリフトのフォークからなり、かつ底壁12の下面にL字の横側部分29aが溶接されるとともに、後縁化粧板19の下部の内面にL字の縦側部分29bが溶接されることで、底壁12に対して左方の側壁15Aを垂直に保持するL字状補強材29が内蔵されている。L字状補強部材29は、L字の横側部分29aと、先端が丸くなったL字の縦側部分29bとから構成されている。このうち、L字の横側部分29aは、コンテナ10の後縁部側の角形交換10bの左端部のコンテナ内壁面に、角形交換10bの長さ方向に離間した一対の固定ブラケット55を介して溶接されている。底壁12は、一部がL字の横側部分29aを覆うように基台フレーム10aの上面に敷設されている。底壁12のうち、L字の横側部分29aとの溶接部分の一部には所定形状の溶接窓部12aが形成されている。
また、L字の縦側部分29bは、左方の後縁化粧板19の内部空間において、一対のフォーク爪用補強リブ56を介して、左方の側壁15Aに溶接されている。具体的には、左方の側壁15Aのヒンジ17の支持部28の外面には、帯状の耐摩耗鋼板を2枚重ねて厚肉化して形成した一対のフォーク爪用補強リブ56が、左方の側壁15Aの上端から下端まで直線状に延びるように平行状態で溶接されている(図5および図7)。各フォーク爪補強リブ56の先端部間に、L字の縦側部分29bの両側部が溶接されている。したがって、L字の縦側部分29bは、一対のフォーク爪補強リブ56を介して、左方の側壁15Aの後端部に位置するヒンジ17の支持部28を補強していることになる。また、各フォーク爪補強リブ56の溶接側とは反対側の縁面は、左方の後縁化粧板19の表面板19aのうち、コンテナ前後方向の中間部に溶接されている。これにより、左方の後縁化粧板19は、各フォーク爪補強リブ56により補強されることとなる。
さらに、左方の側壁15Aのうち、後縁化粧板19により外面が被われた部分の略下半分には、縦長な矩形状の側壁開口15bが形成されている。この側壁開口15bからは、一対のフォーク爪補強リブ56の下部が露出し、この露出部分が、上部が斜めカットされた側壁補強チャネル30によってコンテナ10の内方から支持されている。具体的には、側壁補強チャネル30の下端面が、前記底壁12の溶接窓部12aから露出したL字の横側部分29aの元部に溶接され、かつ、側壁補強チャネル30の上部の斜めカット面30aが、一対のフォーク爪補強リブ56の側壁開口15bから露出した部分の元側の縁面に溶接されている。
これにより、L字の横側部分29aとL字の縦側部分29bとの連結部分は、側壁補強チャネル30および一対のフォーク爪補強リブ56を介して、左方の側壁15Aのヒンジ17の支持部28が、後壁(後蓋)14の自重によって外方に反らないように補強されている。また、左方の側壁15Aと一対のフォーク爪補強リブ56とは同一素材である耐摩耗鋼板からなるため、左方の側壁15Aに外力が繰り返して作用した場合でも、左方の側壁15Aと各フォーク爪補強リブ56との間では剥がれが生じ難い(異なる素材では外力による弾性変形量が異なるため剥がれが生じ易い)。
また、側壁開口15bは、スクラップSの後縁化粧板19の内部空間aへの侵入を防止するとともに、このヒンジ17の支持部28を各側壁15A,15Bの内面から補強する側壁補強カバー31により塞がれている。この側壁補強カバー31は、耐摩耗鋼板からなり、かつ上方に向かって徐々に先細り化した側面視して台形状として構成してある。
次に、図1〜図8を参照して、この発明の実施例1に係るオープントップコンテナ10の使用方法を説明する。
図1に示すように、スクラップ加工処理工場から排出されたスクラップSを、マグネット付きのラフテレーンクレーンを使用し、自走式のトラクタに連結された廃棄物搬送用のトレーラ11に搭載され、かつ、後壁14が閉蓋されて上方が開口した箱形とされたコンテナ10に、その最大積載量まで投入する。
このとき、コンテナ10の各側壁15A,15Bの素材として耐摩耗鋼板(新日鐵住金(株)製アブレックス400)を使用した。このため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、耐摩耗性が高く、さらに多量のスクラップSを投入したときの各側壁15A,15Bの塑性変形を抑制することができる。すなわち、コンテナ10に多量のスクラップSを積み込んだ場合には、各側壁15A,15Bの高さ方向の中央部が、多量のスクラップSにより内方から外方に向かって押されて膨らもうとする(図8)。しかしながら、各側壁15A,15Bは、普通鋼より硬い耐摩耗鋼板からなるため、各側壁15A,15Bの中央部の変形は抑制される。しかも、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高い。そのため、搬送先でスクラップSを荷降ろしすれば、各側壁15A,15Bへの応力が取り除かれ、各側壁15A,15Bは塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、各側壁15A,15Bが多量のスクラップSの投入による繰り返し応力を受けても、各側壁15A,15Bの中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁15A,15Bの疲労破壊を抑制することができる。
また、側壁15A,15Bは、耐摩耗鋼板(新日鐵住金(株)製アブレックス400)からなり、かつ傾斜した複数の補強リブ26によって外から補強されている。各補強リブ26は傾斜することで、上下方向に延びる図示しない補強リブに比べて補強範囲が広くなる。そのため、各側壁15A,15Bの中央部の変形はさらに抑制される。
さらにまた、このように各側壁15A,15Bの素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗しにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップSをコンテナ10に投入した際、スクラップSが各側壁15A,15Bの内面に衝突し、擦れが生じても、従来品より各側壁15A,15Bの摩耗を低減することができる。このような摩耗の低減効果は、コンテナ10の耐摩耗鋼板が採用された底壁12、前壁13および後壁14にも、同様に得られる。
また、ここでは、図5〜図7に示すように、コンテナ10の左方の側壁15Aの後端に設けたヒンジ17の支持部28に、厚肉の鍛造品からなり、かつ底壁12に対して左方の側壁15Aを垂直に保持するL字状補強材29を設けている。コンテナ10の左方の側壁15Aの後端は自由端であり、前壁13の一側端に固定された前端に比べて強度が低く、左方の側壁15Aの後端には、ヒンジ17を介して連結された後壁14の重量が作用する。そのため、ヒンジ17の支持部28は上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、コンテナ10の後面の開口10bを後壁14により閉蓋できなくなるおそれがある。しかしながら、この支持部28にL字状補強材29を設けたため、左方の側壁15Aの後端の強度、保形性が高まり、左方の側壁15Aの後端の反りを原因としたコンテナ10の後面の開口10bを塞ぐ後壁14の閉蓋不能という不具合を防止することができる。
さらに、L字状補強材29の屈曲部を、一対のフォーク爪補強リブ56を介しながら、上部が斜めカットされた側壁補強チャネル30によって、支え棒のように傾斜支持したため、後壁14と側壁補強カバー31との間の狭い空間であるにも拘わらず、L字状補強材29を強固に支持することができる。その結果、ヒンジ17の支持部28の補強効果がさらに高まる。また、側壁補強カバー31を左方の側壁15Aと同じ素材である耐摩耗鋼板からなる立体的な台形カバーとしたため、その素材の特性によって、左方の側壁15Aの支持部28が、後壁14(後蓋)の自重により外方に向かって反ろうとする力を低減している。
また、図1および図4に示すように、後壁14の外面を格子状化粧板18により補強したため、スクラップ満載時における後壁14の外方への膨出量を抑えることができる。これにより、後壁14の外方への膨出を原因とした底壁12の後端面と後壁14の内面との間に隙間が生じることを防ぎ、結果としてこの隙間からのスクラップSの落下を防止することができる。
この発明に係るオープントップコンテナは、産業廃棄物であるスクラップ等を搬送するためのオープントップコンテナとして有用である。
10 コンテナ(オープントップコンテナ)、
12 底壁、
13 前壁、
14 後壁、
15A 左方の側壁、
15B 右方の側壁、
16 回動軸、
17 ヒンジ、
26 補強リブ、
28 支持部、
29 L字状補強材、
S スクラップ。
この発明はオープントップコンテナ、詳しくはトレーラに搭載され、産業廃棄物例えばスクラップを搬送するオープントップコンテナに関する。
廃自動車や建築廃材などを破砕処理するスクラップ加工処理工場からは、多量のスクラップが排出される。これらのスクラップを工場外へ搬出する際には、グラップルまたはマグネット付きのラフテレーンクレーンやスクラップローダーを利用し、スクラップヤードから廃棄物搬送用トレーラのオープントップコンテナに移載される。
従来のオープントップコンテナ(以下、コンテナとも言う)は、例えば特許文献1に示すように、底壁、前壁、後壁、左右一対の側壁を有し、天井部分が開口された箱体で構成されている。
実公昭63−18610号公報
しかしながら、従来のオープントップコンテナの各側壁は、上辺を除く各辺が、これらに当接した底壁、前壁および後壁に固着され、かつ各側壁の素材は、炭素含有量0.6wt%以下の軟らかい普通鋼であった。この結果、コンテナには、スクラップ全体を下方に向けて押圧して積載するため、各側壁の高さ方向の中央部(その長さ方向では中間部)がスクラップにより外方へ向かって押されて膨み、塑性変形が生じ易かった。このような側壁中央部の変形は、トレーラによるスクラップ搬送を長期間行うことで拡大し、その結果、各側壁の中央部の疲労による機械的強度も低下し、疲労破壊が発生していた。すなわち、各側壁の中央部に微小なクラックが発生し、繰り返し応力を受けることで割れ目が徐々に大きくなっていた。
さらに、例えばスクラップローダーを操縦し、廃自動車などの廃材を破砕したスクラップをコンテナに投入した場合において、スクラップが各側壁の内面に擦れ、各側壁の摩耗が激しかった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、各側壁の素材として、従来の普通鋼より弾性限界点が高くて各側壁の疲労破壊を防止でき、スクラップとの接触による各側壁の摩耗も低減可能な耐摩耗鋼板を採用し、また耐摩耗鋼板からなり、かつ上下方向に対して所定角度傾斜して側壁の上端から下端まで直線状に延びた補強リブを、各側壁の外面に対して垂直に突出させれば、上述した問題はすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、従来の普通鋼からなる側壁を有するものに比べて、スクラップ搬送を原因とした各側壁の疲労破壊および各側壁の摩耗を抑制することができるオープントップコンテナを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、底壁、前壁、後壁、一対の側壁を有し、前記後壁は、前記一対の側壁のうちの片方の側壁の後端に、上下方向に延びる回動軸を有するヒンジを介して、開閉自在に設けられ、天井部分が開口してその内部空間にスクラップを積載するオープントップコンテナであって、前記一対の側壁を、その弾性限界点が1000〜2000N/mm で、そのブリネル硬さは300〜700HBWの耐磨耗鋼板で形成するとともに、これと同一材料の帯状板からなる補強リブを、これらの側壁の外面にこの外面から垂直に突出させて固着するとともに、前記補強リブは、対応する側壁の外面にあって上下方向に対して所定角度傾斜してこの側壁の上端から下端まで直線状に延び、前記片方の側壁の後端に設けられた前記ヒンジの支持部には、炭素鋼または特殊合金鋼から鍛造されたL字状補強材が設けられ、このL字状補強材は、L字の横側部分とL字の縦側部分とからなり、L字の横側部分が前記底壁に、L字の縦側部分が前記側壁にそれぞれ溶接されることで、前記底壁に対して前記側壁を垂直に保持するオープントップコンテナである。
請求項1に記載の発明によれば、コンテナの各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、多量のスクラップを投入したときの各側壁の変形を抑制することができる。さらにはスクラップ満載状態でのトレーラ輸送の繰り返しを原因とした各側壁の疲労破壊を防止することができる。
また、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高いため、搬送先でスクラップを荷降ろしすれば、各側壁への応力が取り除かれ、各側壁は塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、多量のスクラップ投入による繰り返し応力を各側壁が受けても、各側壁の中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁の疲労破壊が抑制される。
さらに、各側壁は、側壁と同一素材の耐摩耗鋼板からなり、かつ、傾斜せずに上下方向に延びる補強リブよりも補強範囲が広い、傾斜した補強リブによりそれらの外面から補強されている。そのため、各側壁の中央部の変形量はより小さくなる。また、傾斜した補強リブにより側壁面全体として補強される範囲が広がることとなる(例えば垂直に補強リブを固着した場合に比較してもその側壁の面剛性が高くなっている)。また、側壁とその補強材とを同一素材で固着した構成とすることにより、これらに対して繰り返して外力が作用しても側壁および補強リブは一体として弾性変形を繰り返すこととなり、これらの間でクラックや剥離が生じるおそれを少なくすることができる。
さらにまた、各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗がしにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップをコンテナに投入した際、スクラップが各側壁の内面に衝突して擦れても、従来品より各側壁の摩耗を低減することができる。
ここで、オープントップコンテナは、底壁、前壁、後壁、左右一対の側壁を有し、天井部分が常時開口された金属製の箱体である。底壁、前壁、後壁の素材としては、例えば普通鋼などを採用することができるが、側壁と同一の耐摩耗鋼板で構成することが好ましい。
オープントップコンテナは、自走するトラクタ(牽引車)に連結された廃棄物搬送用のトレーラ(被牽引車)に搭載される。
ここではスクラップの種類は限定されない。例えば、廃自動車や建築廃材などの破砕物を採用することができる。もちろん、オープントップコンテナによって輸送可能な積載物は限定されない。例えば、スクラップを除く他の産業廃棄物でもよい。
側壁および補強リブの素材である耐摩耗鋼板は、鉄を主成分とし、これに炭素(C;0.21重量%以上)、ケイ素(Si:0.70重量%以上)、マンガン(Mn:2.00重量%以上)、リン(P:0.025重量%以上)、イオウ(S:0.010重量%以上)、ニッケル(Ni:1.00重量%以上)、クロム(Cr:120重量%以上)、モリブデン(Mo:0.60重量%以上)、ホウ素(B:0.005重量%以上)が添加されたものである。
耐摩耗鋼板の弾性限界点(降伏点)は、1000〜2000N/mmである。1000N/mm未満では、弾性限界点が400N/mm程度の普通鋼と比べて、弾性変形能としてそれほど顕著な差異がない。また、2000N/mmを超えれば硬すぎて、コンテナにスクラップを投入した衝撃等で側壁が破損するおそれがある。耐摩耗鋼板としては、例えば新日鐵住金社製のアブレックス(旧新日鐵社製のウェルハード、旧住友金属社製のスミハード)、JFEスチール社製のエバーハード、スウェーデンスチール社製のハルドックス(スウェーデン鋼)などを使用することができる。
耐摩耗鋼板の耐摩耗性は、ブリネル硬さで300〜700HBWである。300HBW未満では、130HBW前後の普通鋼と比較して、耐摩耗性にそれほど顕著性がない。また、700HBWを超えれば硬すぎて、コンテナにスクラップを投入した衝撃等で側壁が破損するおそれがある。
帯板材である補強リブの幅は任意であって、例えば30〜100mmである。30mm未満では補強リブの幅が短すぎて側壁の補強効果が充分とは言えない。また、100mmを超えれば、不必要に補強リブの幅が長くなり、コスト高を招くとともにコンテナ走行中に受ける風の抵抗が大きくなる可能性がある。
補強リブの上下方向に対する斜め方向への傾斜角度は任意で、例えば10°〜80°である。10°未満では、上下方向(底壁に対して90度)に延びる補強リブとその補強範囲がほとんど変わらず、傾斜した補強リブを採用したメリットである面剛性の向上効果が小さい。また、80°を超えれば、補強リブの傾斜角度が大きすぎて左右方向に延びる補強リブと差異がない。そのため、補強リブの材料費が嵩むにも拘わらず、補強リブによる側壁の高さ方向の中央部の変形を抑える効果がそれほど得られない。
補強リブは側壁と素材が同一であるため、例えば、溶接により両部材を良好に接合することができる。異種素材の溶接の場合には、繰り返し応力を受けた場合に、側壁と補強リブとの間で剥がれが生じ易い。
また、前記後壁は、前記一対の側壁のうちの片方の側壁の後端に、上下方向に延びる回動軸を有したヒンジを介して開閉自在に設けられている。このヒンジの支持部には、L字状補強材が設けられ、このL字状補強材が前記底壁に対して前記片方の側壁を垂直に保持している。L字状補強材のL字の横側部分が前記低壁に溶接されており、L字の縦側部分が前記側壁に溶接されている。
コンテナの片方の側壁の後端に設けたヒンジの支持部に、炭素鋼または特殊合金鋼の鍛造品からなり、かつ底壁に対して片方の側壁を垂直に保持するL字状補強材を設けたため、片方の側壁の後端の強度(保形性)が高まり、この側壁の後端の反りを原因としたコンテナの後開口(スクラップの排出口)を塞ぐ後壁の閉蓋不能という不具合を防止することができる。すなわち、コンテナの片方の側壁の後端は自由端で、前壁の一側端に固定された側壁前端に比べて強度が低く、片方の側壁の後端には、ヒンジ連結された後壁の重量が作用する。そのため、上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、コンテナの後方の開口(スクラップの排出口)を後壁により閉蓋できなくなるおそれがあった。そこで、このヒンジの支持部を、鍛造によって高強度化したL字状補強材により補強する構成を採用した。
請求項2に記載の発明は、前記L字状補強材の屈曲部は、上端がL字の縦側部分に、下端がL字の横側部分にそれぞれ溶接された側壁補強チャネルにより傾斜支持されている請求項1に記載のオープントップコンテナである。
側壁補強チャネルはL字状補強材の屈曲部を補強して支持するため、当該側壁は底壁に対して垂直に保持されている。
後壁を開閉させるヒンジが後端に設けられた片方の側壁は、車両幅方向の右方の側壁でも左側の側壁でもよい。
ここでいう鍛造品とは、金型などによって炭素鋼または特殊合金鋼に圧力を加えることで、この金属を塑性流動させて成形した物品である。圧力を加えることで鍛流線が連続し、金属の組織が緻密化することによって、鋳造に比べて鋳巣(空洞)が生じにくくなり、高強度の粗形材となる。
ここでいう炭素鋼としては、炭素含有率(質量パーセント)が0.6%以上の高炭素鋼が望ましい。ただし、低炭素鋼(0.25%未満)や中炭素鋼(0.25〜0.6%)であっても鍛造することで強度が向上するため、使用が可能である。
ここでの特殊合金鋼は、低合金鋼、中合金鋼、高合金鋼であっても使用可能である。合金元素としては、Al,B,Co,Cr,Cu,La,Mo,Nb,Ni,Pb,Se,Te,Ti,V,W,Zrを例示することができる。
L字状補強材とは鍛造によって造られたL字状の高強度な金属部材である。L字状補強材は、L字の横側部分がそのコンテナの基台フレームまたは基台フレーム上の底壁に固定され、かつL字の縦側部分がそのコンテナの片方の側壁またはこの片方の側壁の外面に突設された後縁化粧板に固定されている。なお、L字の縦側部分を後縁化粧板に固定した場合は、L字補強材のL字の縦側部分が、後縁化粧板を介して、間接的にコンテナの片方の側壁に固定される。
なお、L字状補強材は、コンテナの片方の側壁の後端だけでなく、両方の側壁の後端に設けてもよい。
請求項1,2に記載の発明によれば、コンテナの各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、多量のスクラップを投入したときの各側壁の変形を抑制することができる。しかも、スクラップ満載状態でのトレーラ輸送の繰り返しを原因とした各側壁の疲労破壊も防止することができる。
すなわち、コンテナに多量のスクラップを積み込んだ場合には、各側壁の中央部が多量のスクラップにより内方から押されて膨らもうとする。しかしながら、各側壁は、普通鋼より硬い耐摩耗鋼板からなるため、各側壁の中央部の変形は抑制される。しかも、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高い。そのため、搬送先でスクラップを荷降ろしすれば、各側壁への応力が取り除かれ、各側壁は塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、各側壁が多量のスクラップ投入による繰り返し応力を受けても、各側壁の中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁の疲労破壊が抑制される。
また、これらの側壁は、側壁と同一素材の耐摩耗鋼板からなり、かつ上下方向に延びる補強リブよりも補強範囲が広い、傾斜した補強リブによって外から補強されている。その面剛性が高くなったため、各側壁の中央部の変形はさらに抑制される。
さらにまた、このように各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗がしにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップをコンテナに投入した際、スクラップが各側壁の内面に衝突して擦れが生じても、従来品より各側壁の摩耗を低減することができる。
特に、コンテナの片方の側壁の後端は自由端で、前壁の一側端に固定された前端に比べて強度が低く、片方の側壁の後端には、ヒンジ連結された後壁の重量が作用している。そのため、片方の側壁の後部は、上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、スクラップの排出口であるコンテナの後方の開口が、後壁によって閉蓋できなくなるおそれがある。そこで、ヒンジの支持部に、炭素鋼または特殊合金鋼の鍛造品からなり、かつ底壁に対して片方の側壁を垂直に保持するL字状補強材を設けるように構成した。これにより、片方の側壁の後端の強度(保形性)が高まり、この側壁の後端の反りを原因とした後壁の閉蓋不能という不具合を防止することができる。
この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの側面図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する側壁の補強リブと傾斜化粧板との溶接状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する後壁の開蓋状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成するL字状補強材のコンテナ後部への溶接状態を示す要部拡大側面図である。 図5のオープントップコンテナのA−A矢示断面図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成するL字状補強材のコンテナ後部へ溶接状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する側壁のスクラップ満載時における外方への膨出状態を示す要部拡大断面図である。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、自走するトラクタに連結された廃棄物搬送用のトレーラに搭載されるオープントップコンテナを例とする。
図1および図2において、10は、この発明の実施例1に係るオープントップコンテナ(以下、コンテナ)である。このコンテナ10は、エンジン搭載のトラクタ(図示せず)に牽引される廃棄物搬送用のトレーラ11に搭載される。コンテナ10は、箱形であって、基台フレーム10aと、この基台フレーム10aの上面に固着された矩形の底壁12と、底壁12の前端に固着された前壁13と、後壁14と、一対の側壁15A,15Bとで構成され、その天井部分が開口してその内部空間aにスクラップSなどを積載する大型のものである。コンテナ10のサイズは、前後方向の長さが12m、左右方向の幅が2.3m、上下方向の高さが1.8mである。
以下、図1〜図7を参照して、これらの構成体を具体的に説明する。
図1および図2に示すように、基台フレーム10aは、コンテナ10の前後方向に長い矩形枠状の部材であって、主にコンテナ10の前縁部および後縁部(短辺部)に配設される一対の角形鋼管10bと、コンテナ10の左右一対の側縁部(長辺部)に配設される一対のチャネル鋼材10cとから構成されている。
底壁12は、基台フレーム10aの上面に敷設されて、箱形のコンテナ10の床部分を構成する板材である。また、前壁13はコンテナ10の前側の(トラクタ側の)壁部分を構成する板材である。
さらに、後壁14はコンテナ10の後面の開口(スクラップ排出口)10dを塞ぐ蓋体で、左方の側壁15Aの後端に、上下方向に延びた回動軸16を有するヒンジ17を介して、開閉自在に取り付けられている。また、右方の側壁15Bの後端には、後壁14の右縁部(先側の辺部)の掛止ストッパHが、上下方向に所定ピッチで5つ配設されている。
後壁14の外面には、補強用の格子状化粧板18が溶接されている。格子状化粧板18は、普通鋼からなり、かつ後壁14との溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを格子状に組んだ枠体である。底壁12、前壁13および後壁14は、何れも左右一対の側壁15A,15Bと同じ後述の耐摩耗鋼板からなる。
図1,図4,図5に示すように、ヒンジ17は、左方の側壁15Aの後述する後縁化粧板19の後縁面に、上下方向に所定ピッチで固定された上下5つのコの字金具20と、後壁14の右縁部に垂直方向(上下方向)に所定ピッチで各元部が固定され、かつ各先端部に軸支筒21aが一体形成された5つの蓋軸支部材21と、各コの字金具20の対峙板片20aの先端部間に配置された各軸支筒21aと各軸孔20bとに一連に(共通して)挿通される回動軸16とを有している。各コの字金具20は、一対の水平な対峙板片20aの元部が連結板片20cによりコの字状に連結された軸支部材である。また、最下部のものを除くコの字金具20の対峙板片20aの元部間には、矩形補強板20dが横架されている。さらに、対配置されたこれら対峙板片20aのうち、下側の対峙板片20aの元部の下面には、後縁化粧板19の後縁面に元部が固定された台形補強板20eの上縁部がそれぞれ固定されている。
また、右方の側壁15Bの後述する後縁化粧板19の後縁面には、4つのコの字金具50が垂直方向に沿って所定ピッチで配設されている。各コの字金具50は、一対の水平な対峙板片50aの元部が連結板片50bによりコの字形状に連結され、かつ、各対峙板片50aの先端部に軸孔50cが形成された軸支部材である。対峙する対峙板片50aの先端部の間には、後壁14の右縁部(先側の辺部)を係止する合計して4個のストッパ爪51の元部がそれぞれ配置されている。各ストッパ爪51の元部には、軸支筒51aが一体形成されている。各軸孔50bと各軸支筒51aとには、縦長な爪操作軸52が挿通されている。これらの軸支筒51aは爪操作軸52に溶接され、また、爪操作軸52の下端部には、L字形状に屈曲したハンドルバー52aが一体形成されている。さらに、ハンドルバー52aを着脱自在に掛止するロック金具53が、後壁の右下角部の外面に設けられている。
後壁閉止(閉蓋)時には、回動軸16を中心にして後壁14を閉蓋方向に回動し、後壁14の右側の端部を、右方の側壁15Bの後縁化粧板19の後縁面に当接する。この状態で、ハンドルバー52aを後壁側に向かって回動し、その先端部をロック金具53によりロックする。後壁14の開蓋(開放)時には、これらとは逆の手順での操作を行う。
図1および図2に示すように、各側壁15A,15Bは、高さが1.8m、長さが6m、厚さ6mmの耐摩耗鋼板(新日鐵住金社製アブレックス)からなる2枚の部分側壁15aを、コンテナ10の長さ方向に突き合わせ溶接したものである。
各側壁15A,15Bの上下の辺部の外面には、それぞれ普通鋼からなる補強用の上縁化粧板22と下縁化粧板23とが溶接されている。上縁化粧板22および下縁化粧板23は、溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを横長に配置した幅狭な枠体である。
また、各側壁15A,15Bの左右の辺部の外面には、それぞれ普通鋼からなる補強用の前縁化粧板24と後縁化粧板19とが溶接されている。これらの前縁化粧板24および後縁化粧板19は、溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを縦長に配置した幅広の枠体である。
各側壁15A,15Bの突き合わせ溶接部25の外面には、この外面から垂直(直角)に突出し、かつ、上下方向に対して15°の角度で傾斜した2本の帯状の補強リブ26が、対応する側壁15A,15Bの上端から下端まで直線状に延びるように平行状態で溶接されている(図2)。各補強リブ26は側壁と同一の素材である耐摩耗鋼板からなり、かつ、それぞれの下端がコンテナ10の前方に向かって徐々に傾斜している。
また、各部分側壁15aを長さ方向に3分割した位置の外面にも、上記と同一の補強リブ26が所定本数(1本または2本ずつ)だけ溶接されて側壁全体を補強している(面剛性を高めている)。具体的には、各部分側壁15aの突き合わせ溶接部側の仮想分割部分に、2本の補強リブ26が平行状態で溶接され、残りの仮想分割部分には1本の補強リブ26が溶接されている。
各側壁15A,15Bの長さ方向の中間一帯で、補強リブ26の本数を増やして補強効果を高めている理由は、各側壁15A,15Bの長さ方向の両端部に比べて、コンテナ10に多量のスクラップを積載した際の変形量(外方への膨出量)が大きく、それを抑制するためである。なお、スクラップは積載時には上方から押圧されて横方向に膨張しようとする力が働く。
また、各突き合わせ溶接部25の外面には、対応する補強リブ26を覆うように、上下方向に対して15°傾斜した補強用の傾斜化粧板27が、各側壁15A,15Bの上端から下端まで直線状に延びるように溶接されている。各傾斜化粧板27は、普通鋼からなり、かつ各側壁15A,15Bとの溶接面が開口面となった断面コの字状であって、収納される補強リブ26の本数に対応して幅が異なる帯状カバーを傾斜配置した枠体である。特に、各側壁15A,15Bの長さ方向の中間部に配置された傾斜化粧板27は、傾斜化粧板27の両端板(コンテナ前後方向の側板)27a、27bと突き合わせ溶接部25とが、コンテナ10の側面方向から視て略N字状となる横長サイズを有している(図3)。これにより、各側壁15A,15Bのうちで、スクラップ投入時の変形量が最大となる、各側壁15A,15Bの中央部に存在する突き合わせ溶接部25の補強効果を高めることができる。
さらに、各傾斜化粧板27のうち、各側壁15A,15Bと平行な表面板27cには、収納した各補強リブ26と対峙する部分に、各補強リブ26の先縁面を等間隔で露出させるスリット27dが、一定ピッチで多数形成されている。各補強リブ26と各傾斜化粧板27とは、これらのスリット27dを通してそれぞれ堅固に溶接されている。そのため、各傾斜化粧板27は、各側壁15A,15Bと異素材の普通鋼からなるものの、スクラップSの積み降ろしを繰り返して各側壁15A,15Bの膨張、復元を繰り返しても、対応する側壁15A,15Bから溶接部分が剥がれにくい(図8)。
さらに、図5〜図7に示すように、左方の側壁15Aのうち、幅広の後縁化粧板19によって被われた後端部は、ヒンジ17の支持部28である。ここには、炭素鋼の鍛造品であるフォークリフトのフォークからなり、かつ底壁12の下面にL字の横側部分29aが溶接されるとともに、後縁化粧板19の下部の内面にL字の縦側部分29bが溶接されることで、底壁12に対して左方の側壁15Aを垂直に保持するL字状補強材29が内蔵されている。L字状補強部材29は、L字の横側部分29aと、先端が丸くなったL字の縦側部分29bとから構成されている。このうち、L字の横側部分29aは、コンテナ10の後縁部側の角形交換10bの左端部のコンテナ内壁面に、角形交換10bの長さ方向に離間した一対の固定ブラケット55を介して溶接されている。底壁12は、一部がL字の横側部分29aを覆うように基台フレーム10aの上面に敷設されている。底壁12のうち、L字の横側部分29aとの溶接部分の一部には所定形状の溶接窓部12aが形成されている。
また、L字の縦側部分29bは、左方の後縁化粧板19の内部空間において、一対のフォーク爪用補強リブ56を介して、左方の側壁15Aに溶接されている。具体的には、左方の側壁15Aのヒンジ17の支持部28の外面には、帯状の耐摩耗鋼板を2枚重ねて厚肉化して形成した一対のフォーク爪用補強リブ56が、左方の側壁15Aの上端から下端まで直線状に延びるように平行状態で溶接されている(図5および図7)。各フォーク爪補強リブ56の先端部間に、L字の縦側部分29bの両側部が溶接されている。したがって、L字の縦側部分29bは、一対のフォーク爪補強リブ56を介して、左方の側壁15Aの後端部に位置するヒンジ17の支持部28を補強していることになる。また、各フォーク爪補強リブ56の溶接側とは反対側の縁面は、左方の後縁化粧板19の表面板19aのうち、コンテナ前後方向の中間部に溶接されている。これにより、左方の後縁化粧板19は、各フォーク爪補強リブ56により補強されることとなる。
さらに、左方の側壁15Aのうち、後縁化粧板19により外面が被われた部分の略下半分には、縦長な矩形状の側壁開口15bが形成されている。この側壁開口15bからは、一対のフォーク爪補強リブ56の下部が露出し、この露出部分が、上部が斜めカットされた側壁補強チャネル30によってコンテナ10の内方から支持されている。具体的には、側壁補強チャネル30の下端面が、前記底壁12の溶接窓部12aから露出したL字の横側部分29aの元部に溶接され、かつ、側壁補強チャネル30の上部の斜めカット面30aが、一対のフォーク爪補強リブ56の側壁開口15bから露出した部分の元側の縁面に溶接されている。
これにより、L字の横側部分29aとL字の縦側部分29bとの連結部分は、側壁補強チャネル30および一対のフォーク爪補強リブ56を介して、左方の側壁15Aのヒンジ17の支持部28が、後壁(後蓋)14の自重によって外方に反らないように補強されている。また、左方の側壁15Aと一対のフォーク爪補強リブ56とは同一素材である耐摩耗鋼板からなるため、左方の側壁15Aに外力が繰り返して作用した場合でも、左方の側壁15Aと各フォーク爪補強リブ56との間では剥がれが生じ難い(異なる素材では外力による弾性変形量が異なるため剥がれが生じ易い)。
また、側壁開口15bは、スクラップSの後縁化粧板19の内部空間aへの侵入を防止するとともに、このヒンジ17の支持部28を各側壁15A,15Bの内面から補強する側壁補強カバー31により塞がれている。この側壁補強カバー31は、耐摩耗鋼板からなり、かつ上方に向かって徐々に先細り化した側面視して台形状として構成してある。
次に、図1〜図8を参照して、この発明の実施例1に係るオープントップコンテナ10の使用方法を説明する。
図1に示すように、スクラップ加工処理工場から排出されたスクラップSを、マグネット付きのラフテレーンクレーンを使用し、自走式のトラクタに連結された廃棄物搬送用のトレーラ11に搭載され、かつ、後壁14が閉蓋されて上方が開口した箱形とされたコンテナ10に、その最大積載量まで投入する。
このとき、コンテナ10の各側壁15A,15Bの素材として耐摩耗鋼板(新日鐵住金(株)製アブレックス400)を使用した。このため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、耐摩耗性が高く、さらに多量のスクラップSを投入したときの各側壁15A,15Bの塑性変形を抑制することができる。すなわち、コンテナ10に多量のスクラップSを積み込んだ場合には、各側壁15A,15Bの高さ方向の中央部が、多量のスクラップSにより内方から外方に向かって押されて膨らもうとする(図8)。しかしながら、各側壁15A,15Bは、普通鋼より硬い耐摩耗鋼板からなるため、各側壁15A,15Bの中央部の変形は抑制される。しかも、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高い。そのため、搬送先でスクラップSを荷降ろしすれば、各側壁15A,15Bへの応力が取り除かれ、各側壁15A,15Bは塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、各側壁15A,15Bが多量のスクラップSの投入による繰り返し応力を受けても、各側壁15A,15Bの中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁15A,15Bの疲労破壊を抑制することができる。
また、側壁15A,15Bは、耐摩耗鋼板(新日鐵住金(株)製アブレックス400)からなり、かつ傾斜した複数の補強リブ26によって外から補強されている。各補強リブ26は傾斜することで、上下方向に延びる図示しない補強リブに比べて補強範囲が広くなる。そのため、各側壁15A,15Bの中央部の変形はさらに抑制される。
さらにまた、このように各側壁15A,15Bの素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗しにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップSをコンテナ10に投入した際、スクラップSが各側壁15A,15Bの内面に衝突し、擦れが生じても、従来品より各側壁15A,15Bの摩耗を低減することができる。このような摩耗の低減効果は、コンテナ10の耐摩耗鋼板が採用された底壁12、前壁13および後壁14にも、同様に得られる。
また、ここでは、図5〜図7に示すように、コンテナ10の左方の側壁15Aの後端に設けたヒンジ17の支持部28に、厚肉の鍛造品からなり、かつ底壁12に対して左方の側壁15Aを垂直に保持するL字状補強材29を設けている。コンテナ10の左方の側壁15Aの後端は自由端であり、前壁13の一側端に固定された前端に比べて強度が低く、左方の側壁15Aの後端には、ヒンジ17を介して連結された後壁14の重量が作用する。そのため、ヒンジ17の支持部28は上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、コンテナ10の後面の開口10bを後壁14により閉蓋できなくなるおそれがある。しかしながら、この支持部28にL字状補強材29を設けたため、左方の側壁15Aの後端の強度、保形性が高まり、左方の側壁15Aの後端の反りを原因としたコンテナ10の後面の開口10bを塞ぐ後壁14の閉蓋不能という不具合を防止することができる。
さらに、L字状補強材29の屈曲部を、一対のフォーク爪補強リブ56を介しながら、上部が斜めカットされた側壁補強チャネル30によって、支え棒のように傾斜支持したため、後壁14と側壁補強カバー31との間の狭い空間であるにも拘わらず、L字状補強材29を強固に支持することができる。その結果、ヒンジ17の支持部28の補強効果がさらに高まる。また、側壁補強カバー31を左方の側壁15Aと同じ素材である耐摩耗鋼板からなる立体的な台形カバーとしたため、その素材の特性によって、左方の側壁15Aの支持部28が、後壁14(後蓋)の自重により外方に向かって反ろうとする力を低減している。
また、図1および図4に示すように、後壁14の外面を格子状化粧板18により補強したため、スクラップ満載時における後壁14の外方への膨出量を抑えることができる。これにより、後壁14の外方への膨出を原因とした底壁12の後端面と後壁14の内面との間に隙間が生じることを防ぎ、結果としてこの隙間からのスクラップSの落下を防止することができる。
この発明に係るオープントップコンテナは、産業廃棄物であるスクラップ等を搬送するためのオープントップコンテナとして有用である。
10 コンテナ(オープントップコンテナ)、
12 底壁、
13 前壁、
14 後壁、
15A 左方の側壁、
15B 右方の側壁、
16 回動軸、
17 ヒンジ、
26 補強リブ、
28 支持部、
29 L字状補強材、
S スクラップ。
この発明はオープントップコンテナ、詳しくはトレーラに搭載され、産業廃棄物例えばスクラップを搬送するオープントップコンテナに関する。
廃自動車や建築廃材などを破砕処理するスクラップ加工処理工場からは、多量のスクラップが排出される。これらのスクラップを工場外へ搬出する際には、グラップルまたはマグネット付きのラフテレーンクレーンやスクラップローダーを利用し、スクラップヤードから廃棄物搬送用トレーラのオープントップコンテナに移載される。
従来のオープントップコンテナ(以下、コンテナとも言う)は、例えば特許文献1に示すように、底壁、前壁、後壁、左右一対の側壁を有し、天井部分が開口された箱体で構成されている。
実公昭63−18610号公報
しかしながら、従来のオープントップコンテナの各側壁は、上辺を除く各辺が、これらに当接した底壁、前壁および後壁に固着され、かつ各側壁の素材は、炭素含有量0.6wt%以下の軟らかい普通鋼であった。この結果、コンテナには、スクラップ全体を下方に向けて押圧して積載するため、各側壁の高さ方向の中央部(その長さ方向では中間部)がスクラップにより外方へ向かって押されて膨み、塑性変形が生じ易かった。このような側壁中央部の変形は、トレーラによるスクラップ搬送を長期間行うことで拡大し、その結果、各側壁の中央部の疲労による機械的強度も低下し、疲労破壊が発生していた。すなわち、各側壁の中央部に微小なクラックが発生し、繰り返し応力を受けることで割れ目が徐々に大きくなっていた。
さらに、例えばスクラップローダーを操縦し、廃自動車などの廃材を破砕したスクラップをコンテナに投入した場合において、スクラップが各側壁の内面に擦れ、各側壁の摩耗が激しかった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、各側壁の素材として、従来の普通鋼より弾性限界点が高くて各側壁の疲労破壊を防止でき、スクラップとの接触による各側壁の摩耗も低減可能な耐摩耗鋼板を採用し、また耐摩耗鋼板からなり、かつ上下方向に対して所定角度傾斜して側壁の上端から下端まで直線状に延びた補強リブを、各側壁の外面に対して垂直に突出させれば、上述した問題はすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
この発明は、従来の普通鋼からなる側壁を有するものに比べて、スクラップ搬送を原因とした各側壁の疲労破壊および各側壁の摩耗を抑制することができるオープントップコンテナを提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、底壁、前壁、後壁、一対の側壁を有し、前記後壁は、前記一対の側壁のうちの片方の側壁の後端に、上下方向に延びる回動軸を有するヒンジを介して、開閉自在に設けられ、天井部分が開口してその内部空間にスクラップを積載するオープントップコンテナであって、前記一対の側壁を、その弾性限界点が1000〜2000N/mmで、そのブリネル硬さは300〜700HBWの耐磨耗鋼板で形成するとともに、これと同一材料の帯状板からなる補強リブを、これらの側壁の外面にこの外面から垂直に突出させて固着するとともに、前記補強リブは、対応する側壁の外面にあって上下方向に対して所定角度傾斜してこの側壁の上端から下端まで直線状に延び、前記片方の側壁の後端に設けられた前記ヒンジの支持部には、炭素鋼または特殊合金鋼から鍛造された鍛造品であるL字状補強材が設けられ、このL字状補強材は、L字の横側部分とL字の縦側部分とからなり、L字の横側部分が前記底壁に、L字の縦側部分が前記側壁にそれぞれ溶接により固着されることで、前記底壁に対して前記側壁を垂直に保持するオープントップコンテナである。
請求項1に記載の発明によれば、コンテナの各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、多量のスクラップを投入したときの各側壁の変形を抑制することができる。さらにはスクラップ満載状態でのトレーラ輸送の繰り返しを原因とした各側壁の疲労破壊を防止することができる。
また、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高いため、搬送先でスクラップを荷降ろしすれば、各側壁への応力が取り除かれ、各側壁は塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、多量のスクラップ投入による繰り返し応力を各側壁が受けても、各側壁の中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁の疲労破壊が抑制される。
さらに、各側壁は、側壁と同一素材の耐摩耗鋼板からなり、かつ、傾斜せずに上下方向に延びる補強リブよりも補強範囲が広い、傾斜した補強リブによりそれらの外面から補強されている。そのため、各側壁の中央部の変形量はより小さくなる。また、傾斜した補強リブにより側壁面全体として補強される範囲が広がることとなる(例えば垂直に補強リブを固着した場合に比較してもその側壁の面剛性が高くなっている)。また、側壁とその補強材とを同一素材で固着した構成とすることにより、これらに対して繰り返して外力が作用しても側壁および補強リブは一体として弾性変形を繰り返すこととなり、これらの間でクラックや剥離が生じるおそれを少なくすることができる。
さらにまた、各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗がしにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップをコンテナに投入した際、スクラップが各側壁の内面に衝突して擦れても、従来品より各側壁の摩耗を低減することができる。
ここで、オープントップコンテナは、底壁、前壁、後壁、左右一対の側壁を有し、天井部分が常時開口された金属製の箱体である。底壁、前壁、後壁の素材としては、例えば普通鋼などを採用することができるが、側壁と同一の耐摩耗鋼板で構成することが好ましい。
オープントップコンテナは、自走するトラクタ(牽引車)に連結された廃棄物搬送用のトレーラ(被牽引車)に搭載される。
ここではスクラップの種類は限定されない。例えば、廃自動車や建築廃材などの破砕物を採用することができる。もちろん、オープントップコンテナによって輸送可能な積載物は限定されない。例えば、スクラップを除く他の産業廃棄物でもよい。
側壁および補強リブの素材である耐摩耗鋼板は、鉄を主成分とし、これに炭素(C;0.21重量%以上)、ケイ素(Si:0.70重量%以上)、マンガン(Mn:2.00重量%以上)、リン(P:0.025重量%以上)、イオウ(S:0.010重量%以上)、ニッケル(Ni:1.00重量%以上)、クロム(Cr:120重量%以上)、モリブデン(Mo:0.60重量%以上)、ホウ素(B:0.005重量%以上)が添加されたものである。
耐摩耗鋼板の弾性限界点(降伏点)は、1000〜2000N/mmである。1000N/mm未満では、弾性限界点が400N/mm程度の普通鋼と比べて、弾性変形能としてそれほど顕著な差異がない。また、2000N/mmを超えれば硬すぎて、コンテナにスクラップを投入した衝撃等で側壁が破損するおそれがある。耐摩耗鋼板としては、例えば新日鐵住金社製のアブレックス(旧新日鐵社製のウェルハード、旧住友金属社製のスミハード)、JFEスチール社製のエバーハード、スウェーデンスチール社製のハルドックス(スウェーデン鋼)などを使用することができる。
耐摩耗鋼板の耐摩耗性は、ブリネル硬さで300〜700HBWである。300HBW未満では、130HBW前後の普通鋼と比較して、耐摩耗性にそれほど顕著性がない。また、700HBWを超えれば硬すぎて、コンテナにスクラップを投入した衝撃等で側壁が破損するおそれがある。
帯板材である補強リブの幅は任意であって、例えば30〜100mmである。30mm未満では補強リブの幅が短すぎて側壁の補強効果が充分とは言えない。また、100mmを超えれば、不必要に補強リブの幅が長くなり、コスト高を招くとともにコンテナ走行中に受ける風の抵抗が大きくなる可能性がある。
補強リブの上下方向に対する斜め方向への傾斜角度は任意で、例えば10°〜80°である。10°未満では、上下方向(底壁に対して90度)に延びる補強リブとその補強範囲がほとんど変わらず、傾斜した補強リブを採用したメリットである面剛性の向上効果が小さい。また、80°を超えれば、補強リブの傾斜角度が大きすぎて左右方向に延びる補強リブと差異がない。そのため、補強リブの材料費が嵩むにも拘わらず、補強リブによる側壁の高さ方向の中央部の変形を抑える効果がそれほど得られない。
補強リブは側壁と素材が同一であるため、例えば、溶接により両部材を良好に接合することができる。異種素材の溶接の場合には、繰り返し応力を受けた場合に、側壁と補強リブとの間で剥がれが生じ易い。
また、前記後壁は、前記一対の側壁のうちの片方の側壁の後端に、上下方向に延びる回動軸を有したヒンジを介して開閉自在に設けられている。このヒンジの支持部には、L字状補強材が設けられ、このL字状補強材が前記底壁に対して前記片方の側壁を垂直に保持している。L字状補強材のL字の横側部分が前記低壁に溶接されており、L字の縦側部分が前記側壁に溶接されている。
コンテナの片方の側壁の後端に設けたヒンジの支持部に、炭素鋼または特殊合金鋼の鍛造品からなり、かつ底壁に対して片方の側壁を垂直に保持するL字状補強材を設けたため、片方の側壁の後端の強度(保形性)が高まり、この側壁の後端の反りを原因としたコンテナの後開口(スクラップの排出口)を塞ぐ後壁の閉蓋不能という不具合を防止することができる。すなわち、コンテナの片方の側壁の後端は自由端で、前壁の一側端に固定された側壁前端に比べて強度が低く、片方の側壁の後端には、ヒンジ連結された後壁の重量が作用する。そのため、上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、コンテナの後方の開口(スクラップの排出口)を後壁により閉蓋できなくなるおそれがあった。そこで、このヒンジの支持部を、鍛造によって高強度化したL字状補強材により補強する構成を採用した。
請求項2に記載の発明は、前記L字状補強材の屈曲部は、上端がL字の縦側部分に、下端がL字の横側部分にそれぞれ溶接により固着された側壁補強チャネルにより傾斜支持されている請求項1に記載のオープントップコンテナである。
側壁補強チャネルはL字状補強材の屈曲部を補強して支持するため、当該側壁は底壁に対して垂直に保持されている。
後壁を開閉させるヒンジが後端に設けられた片方の側壁は、車両幅方向の右方の側壁でも左側の側壁でもよい。
ここでいう鍛造品とは、金型などによって炭素鋼または特殊合金鋼に圧力を加えることで、この金属を塑性流動させて成形した物品である。圧力を加えることで鍛流線が連続し、金属の組織が緻密化することによって、鋳造に比べて鋳巣(空洞)が生じにくくなり、高強度の粗形材となる。
ここでいう炭素鋼としては、炭素含有率(質量パーセント)が0.6%以上の高炭素鋼が望ましい。ただし、低炭素鋼(0.25%未満)や中炭素鋼(0.25〜0.6%)であっても鍛造することで強度が向上するため、使用が可能である。
ここでの特殊合金鋼は、低合金鋼、中合金鋼、高合金鋼であっても使用可能である。合金元素としては、Al,B,Co,Cr,Cu,La,Mo,Nb,Ni,Pb,Se,Te,Ti,V,W,Zrを例示することができる。
L字状補強材とは鍛造によって造られたL字状の高強度な金属部材である。L字状補強材は、L字の横側部分がそのコンテナの基台フレームまたは基台フレーム上の底壁に固定され、かつL字の縦側部分がそのコンテナの片方の側壁またはこの片方の側壁の外面に突設された後縁化粧板に固定されている。なお、L字の縦側部分を後縁化粧板に固定した場合は、L字補強材のL字の縦側部分が、後縁化粧板を介して、間接的にコンテナの片方の側壁に固定される。
なお、L字状補強材は、コンテナの片方の側壁の後端だけでなく、両方の側壁の後端に設けてもよい。
請求項1,2に記載の発明によれば、コンテナの各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、多量のスクラップを投入したときの各側壁の変形を抑制することができる。しかも、スクラップ満載状態でのトレーラ輸送の繰り返しを原因とした各側壁の疲労破壊も防止することができる。
すなわち、コンテナに多量のスクラップを積み込んだ場合には、各側壁の中央部が多量のスクラップにより内方から押されて膨らもうとする。しかしながら、各側壁は、普通鋼より硬い耐摩耗鋼板からなるため、各側壁の中央部の変形は抑制される。しかも、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高い。そのため、搬送先でスクラップを荷降ろしすれば、各側壁への応力が取り除かれ、各側壁は塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、各側壁が多量のスクラップ投入による繰り返し応力を受けても、各側壁の中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁の疲労破壊が抑制される。
また、これらの側壁は、側壁と同一素材の耐摩耗鋼板からなり、かつ上下方向に延びる補強リブよりも補強範囲が広い、傾斜した補強リブによって外から補強されている。その面剛性が高くなったため、各側壁の中央部の変形はさらに抑制される。
さらにまた、このように各側壁の素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗がしにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップをコンテナに投入した際、スクラップが各側壁の内面に衝突して擦れが生じても、従来品より各側壁の摩耗を低減することができる。
特に、コンテナの片方の側壁の後端は自由端で、前壁の一側端に固定された前端に比べて強度が低く、片方の側壁の後端には、ヒンジ連結された後壁の重量が作用している。そのため、片方の側壁の後部は、上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、スクラップの排出口であるコンテナの後方の開口が、後壁によって閉蓋できなくなるおそれがある。そこで、ヒンジの支持部に、炭素鋼または特殊合金鋼の鍛造品からなり、かつ底壁に対して片方の側壁を垂直に保持するL字状補強材を設けるように構成した。これにより、片方の側壁の後端の強度(保形性)が高まり、この側壁の後端の反りを原因とした後壁の閉蓋不能という不具合を防止することができる。
この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの側面図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する側壁の補強リブと傾斜化粧板との溶接状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する後壁の開蓋状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成するL字状補強材のコンテナ後部への溶接状態を示す要部拡大側面図である。 図5のオープントップコンテナのA−A矢示断面図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成するL字状補強材のコンテナ後部へ溶接状態を示す要部拡大斜視図である。 この発明の実施例1に係るオープントップコンテナの一部を構成する側壁のスクラップ満載時における外方への膨出状態を示す要部拡大断面図である。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。ここでは、自走するトラクタに連結された廃棄物搬送用のトレーラに搭載されるオープントップコンテナを例とする。
図1および図2において、10は、この発明の実施例1に係るオープントップコンテナ(以下、コンテナ)である。このコンテナ10は、エンジン搭載のトラクタ(図示せず)に牽引される廃棄物搬送用のトレーラ11に搭載される。コンテナ10は、箱形であって、基台フレーム10aと、この基台フレーム10aの上面に固着された矩形の底壁12と、底壁12の前端に固着された前壁13と、後壁14と、一対の側壁15A,15Bとで構成され、その天井部分が開口してその内部空間aにスクラップSなどを積載する大型のものである。コンテナ10のサイズは、前後方向の長さが12m、左右方向の幅が2.3m、上下方向の高さが1.8mである。
以下、図1〜図7を参照して、これらの構成体を具体的に説明する。
図1および図2に示すように、基台フレーム10aは、コンテナ10の前後方向に長い矩形枠状の部材であって、主にコンテナ10の前縁部および後縁部(短辺部)に配設される一対の角形鋼管10bと、コンテナ10の左右一対の側縁部(長辺部)に配設される一対のチャネル鋼材10cとから構成されている。
底壁12は、基台フレーム10aの上面に敷設されて、箱形のコンテナ10の床部分を構成する板材である。また、前壁13はコンテナ10の前側の(トラクタ側の)壁部分を構成する板材である。
さらに、後壁14はコンテナ10の後面の開口(スクラップ排出口)10dを塞ぐ蓋体で、左方の側壁15Aの後端に、上下方向に延びた回動軸16を有するヒンジ17を介して、開閉自在に取り付けられている。また、右方の側壁15Bの後端には、後壁14の右縁部(先側の辺部)の掛止ストッパHが、上下方向に所定ピッチで5つ配設されている。
後壁14の外面には、補強用の格子状化粧板18が溶接されている。格子状化粧板18は、普通鋼からなり、かつ後壁14との溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを格子状に組んだ枠体である。底壁12、前壁13および後壁14は、何れも左右一対の側壁15A,15Bと同じ後述の耐摩耗鋼板からなる。
図1,図4,図5に示すように、ヒンジ17は、左方の側壁15Aの後述する後縁化粧板19の後縁面に、上下方向に所定ピッチで固定された上下5つのコの字金具20と、後壁14の右縁部に垂直方向(上下方向)に所定ピッチで各元部が固定され、かつ各先端部に軸支筒21aが一体形成された5つの蓋軸支部材21と、各コの字金具20の対峙板片20aの先端部間に配置された各軸支筒21aと各軸孔20bとに一連に(共通して)挿通される回動軸16とを有している。各コの字金具20は、一対の水平な対峙板片20aの元部が連結板片20cによりコの字状に連結された軸支部材である。また、最下部のものを除くコの字金具20の対峙板片20aの元部間には、矩形補強板20dが横架されている。さらに、対配置されたこれら対峙板片20aのうち、下側の対峙板片20aの元部の下面には、後縁化粧板19の後縁面に元部が固定された台形補強板20eの上縁部がそれぞれ固定されている。
また、右方の側壁15Bの後述する後縁化粧板19の後縁面には、4つのコの字金具50が垂直方向に沿って所定ピッチで配設されている。各コの字金具50は、一対の水平な対峙板片50aの元部が連結板片50bによりコの字形状に連結され、かつ、各対峙板片50aの先端部に軸孔50cが形成された軸支部材である。対峙する対峙板片50aの先端部の間には、後壁14の右縁部(先側の辺部)を係止する合計して4個のストッパ爪51の元部がそれぞれ配置されている。各ストッパ爪51の元部には、軸支筒51aが一体形成されている。各軸孔50bと各軸支筒51aとには、縦長な爪操作軸52が挿通されている。これらの軸支筒51aは爪操作軸52に溶接され、また、爪操作軸52の下端部には、L字形状に屈曲したハンドルバー52aが一体形成されている。さらに、ハンドルバー52aを着脱自在に掛止するロック金具53が、後壁の右下角部の外面に設けられている。
後壁閉止(閉蓋)時には、回動軸16を中心にして後壁14を閉蓋方向に回動し、後壁14の右側の端部を、右方の側壁15Bの後縁化粧板19の後縁面に当接する。この状態で、ハンドルバー52aを後壁側に向かって回動し、その先端部をロック金具53によりロックする。後壁14の開蓋(開放)時には、これらとは逆の手順での操作を行う。
図1および図2に示すように、各側壁15A,15Bは、高さが1.8m、長さが6m、厚さ6mmの耐摩耗鋼板(新日鐵住金社製アブレックス)からなる2枚の部分側壁15aを、コンテナ10の長さ方向に突き合わせ溶接したものである。
各側壁15A,15Bの上下の辺部の外面には、それぞれ普通鋼からなる補強用の上縁化粧板22と下縁化粧板23とが溶接されている。上縁化粧板22および下縁化粧板23は、溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを横長に配置した幅狭な枠体である。
また、各側壁15A,15Bの左右の辺部の外面には、それぞれ普通鋼からなる補強用の前縁化粧板24と後縁化粧板19とが溶接されている。これらの前縁化粧板24および後縁化粧板19は、溶接側が開口面となった断面コの字状の帯状カバーを縦長に配置した幅広の枠体である。
各側壁15A,15Bの突き合わせ溶接部25の外面には、この外面から垂直(直角)に突出し、かつ、上下方向に対して15°の角度で傾斜した2本の帯状の補強リブ26が、対応する側壁15A,15Bの上端から下端まで直線状に延びるように平行状態で溶接されている(図2)。各補強リブ26は側壁と同一の素材である耐摩耗鋼板からなり、かつ、それぞれの下端がコンテナ10の前方に向かって徐々に傾斜している。
また、各部分側壁15aを長さ方向に3分割した位置の外面にも、上記と同一の補強リブ26が所定本数(1本または2本ずつ)だけ溶接されて側壁全体を補強している(面剛性を高めている)。具体的には、各部分側壁15aの突き合わせ溶接部側の仮想分割部分に、2本の補強リブ26が平行状態で溶接され、残りの仮想分割部分には1本の補強リブ26が溶接されている。
各側壁15A,15Bの長さ方向の中間一帯で、補強リブ26の本数を増やして補強効果を高めている理由は、各側壁15A,15Bの長さ方向の両端部に比べて、コンテナ10に多量のスクラップを積載した際の変形量(外方への膨出量)が大きく、それを抑制するためである。なお、スクラップは積載時には上方から押圧されて横方向に膨張しようとする力が働く。
また、各突き合わせ溶接部25の外面には、対応する補強リブ26を覆うように、上下方向に対して15°傾斜した補強用の傾斜化粧板27が、各側壁15A,15Bの上端から下端まで直線状に延びるように溶接されている。各傾斜化粧板27は、普通鋼からなり、かつ各側壁15A,15Bとの溶接面が開口面となった断面コの字状であって、収納される補強リブ26の本数に対応して幅が異なる帯状カバーを傾斜配置した枠体である。特に、各側壁15A,15Bの長さ方向の中間部に配置された傾斜化粧板27は、傾斜化粧板27の両端板(コンテナ前後方向の側板)27a、27bと突き合わせ溶接部25とが、コンテナ10の側面方向から視て略N字状となる横長サイズを有している(図3)。これにより、各側壁15A,15Bのうちで、スクラップ投入時の変形量が最大となる、各側壁15A,15Bの中央部に存在する突き合わせ溶接部25の補強効果を高めることができる。
さらに、各傾斜化粧板27のうち、各側壁15A,15Bと平行な表面板27cには、収納した各補強リブ26と対峙する部分に、各補強リブ26の先縁面を等間隔で露出させるスリット27dが、一定ピッチで多数形成されている。各補強リブ26と各傾斜化粧板27とは、これらのスリット27dを通してそれぞれ堅固に溶接されている。そのため、各傾斜化粧板27は、各側壁15A,15Bと異素材の普通鋼からなるものの、スクラップSの積み降ろしを繰り返して各側壁15A,15Bの膨張、復元を繰り返しても、対応する側壁15A,15Bから溶接部分が剥がれにくい(図8)。
さらに、図5〜図7に示すように、左方の側壁15Aのうち、幅広の後縁化粧板19によって被われた後端部は、ヒンジ17の支持部28である。ここには、炭素鋼の鍛造品であるフォークリフトのフォークからなり、かつ底壁12の下面にL字の横側部分29aが溶接されるとともに、後縁化粧板19の下部の内面にL字の縦側部分29bが溶接されることで、底壁12に対して左方の側壁15Aを垂直に保持するL字状補強材29が内蔵されている。L字状補強部材29は、L字の横側部分29aと、先端が丸くなったL字の縦側部分29bとから構成されている。このうち、L字の横側部分29aは、コンテナ10の後縁部側の角形交換10bの左端部のコンテナ内壁面に、角形交換10bの長さ方向に離間した一対の固定ブラケット55を介して溶接されている。底壁12は、一部がL字の横側部分29aを覆うように基台フレーム10aの上面に敷設されている。底壁12のうち、L字の横側部分29aとの溶接部分の一部には所定形状の溶接窓部12aが形成されている。
また、L字の縦側部分29bは、左方の後縁化粧板19の内部空間において、一対のフォーク爪用補強リブ56を介して、左方の側壁15Aに溶接されている。具体的には、左方の側壁15Aのヒンジ17の支持部28の外面には、帯状の耐摩耗鋼板を2枚重ねて厚肉化して形成した一対のフォーク爪用補強リブ56が、左方の側壁15Aの上端から下端まで直線状に延びるように平行状態で溶接されている(図5および図7)。各フォーク爪補強リブ56の先端部間に、L字の縦側部分29bの両側部が溶接されている。したがって、L字の縦側部分29bは、一対のフォーク爪補強リブ56を介して、左方の側壁15Aの後端部に位置するヒンジ17の支持部28を補強していることになる。また、各フォーク爪補強リブ56の溶接側とは反対側の縁面は、左方の後縁化粧板19の表面板19aのうち、コンテナ前後方向の中間部に溶接されている。これにより、左方の後縁化粧板19は、各フォーク爪補強リブ56により補強されることとなる。
さらに、左方の側壁15Aのうち、後縁化粧板19により外面が被われた部分の略下半分には、縦長な矩形状の側壁開口15bが形成されている。この側壁開口15bからは、一対のフォーク爪補強リブ56の下部が露出し、この露出部分が、上部が斜めカットされた側壁補強チャネル30によってコンテナ10の内方から支持されている。具体的には、側壁補強チャネル30の下端面が、前記底壁12の溶接窓部12aから露出したL字の横側部分29aの元部に溶接され、かつ、側壁補強チャネル30の上部の斜めカット面30aが、一対のフォーク爪補強リブ56の側壁開口15bから露出した部分の元側の縁面に溶接されている。
これにより、L字の横側部分29aとL字の縦側部分29bとの連結部分は、側壁補強チャネル30および一対のフォーク爪補強リブ56を介して、左方の側壁15Aのヒンジ17の支持部28が、後壁(後蓋)14の自重によって外方に反らないように補強されている。また、左方の側壁15Aと一対のフォーク爪補強リブ56とは同一素材である耐摩耗鋼板からなるため、左方の側壁15Aに外力が繰り返して作用した場合でも、左方の側壁15Aと各フォーク爪補強リブ56との間では剥がれが生じ難い(異なる素材では外力による弾性変形量が異なるため剥がれが生じ易い)。
また、側壁開口15bは、スクラップSの後縁化粧板19の内部空間aへの侵入を防止するとともに、このヒンジ17の支持部28を各側壁15A,15Bの内面から補強する側壁補強カバー31により塞がれている。この側壁補強カバー31は、耐摩耗鋼板からなり、かつ上方に向かって徐々に先細り化した側面視して台形状として構成してある。
次に、図1〜図8を参照して、この発明の実施例1に係るオープントップコンテナ10の使用方法を説明する。
図1に示すように、スクラップ加工処理工場から排出されたスクラップSを、マグネット付きのラフテレーンクレーンを使用し、自走式のトラクタに連結された廃棄物搬送用のトレーラ11に搭載され、かつ、後壁14が閉蓋されて上方が開口した箱形とされたコンテナ10に、その最大積載量まで投入する。
このとき、コンテナ10の各側壁15A,15Bの素材として耐摩耗鋼板(新日鐵住金(株)製アブレックス400)を使用した。このため、従来の普通鋼製の側壁を有するコンテナに比べて、耐摩耗性が高く、さらに多量のスクラップSを投入したときの各側壁15A,15Bの塑性変形を抑制することができる。すなわち、コンテナ10に多量のスクラップSを積み込んだ場合には、各側壁15A,15Bの高さ方向の中央部が、多量のスクラップSにより内方から外方に向かって押されて膨らもうとする(図8)。しかしながら、各側壁15A,15Bは、普通鋼より硬い耐摩耗鋼板からなるため、各側壁15A,15Bの中央部の変形は抑制される。しかも、耐摩耗鋼板は普通鋼に比べて弾性限界点が高い。そのため、搬送先でスクラップSを荷降ろしすれば、各側壁15A,15Bへの応力が取り除かれ、各側壁15A,15Bは塑性変形することなく、元の平坦な壁に復元する。その結果、各側壁15A,15Bが多量のスクラップSの投入による繰り返し応力を受けても、各側壁15A,15Bの中央部の機械的強度はほとんど低下せず、各側壁15A,15Bの疲労破壊を抑制することができる。
また、側壁15A,15Bは、耐摩耗鋼板(新日鐵住金(株)製アブレックス400)からなり、かつ傾斜した複数の補強リブ26によって外から補強されている。各補強リブ26は傾斜することで、上下方向に延びる図示しない補強リブに比べて補強範囲が広くなる。そのため、各側壁15A,15Bの中央部の変形はさらに抑制される。
さらにまた、このように各側壁15A,15Bの素材として耐摩耗鋼板を採用したため、従来の普通鋼製の側壁に比べて摩耗しにくい。その結果、スクラップローダーなどを操縦し、スクラップSをコンテナ10に投入した際、スクラップSが各側壁15A,15Bの内面に衝突し、擦れが生じても、従来品より各側壁15A,15Bの摩耗を低減することができる。このような摩耗の低減効果は、コンテナ10の耐摩耗鋼板が採用された底壁12、前壁13および後壁14にも、同様に得られる。
また、ここでは、図5〜図7に示すように、コンテナ10の左方の側壁15Aの後端に設けたヒンジ17の支持部28に、厚肉の鍛造品からなり、かつ底壁12に対して左方の側壁15Aを垂直に保持するL字状補強材29を設けている。コンテナ10の左方の側壁15Aの後端は自由端であり、前壁13の一側端に固定された前端に比べて強度が低く、左方の側壁15Aの後端には、ヒンジ17を介して連結された後壁14の重量が作用する。そのため、ヒンジ17の支持部28は上方へ向かうほど外方への反りが生じ易く、コンテナ10の後面の開口10bを後壁14により閉蓋できなくなるおそれがある。しかしながら、この支持部28にL字状補強材29を設けたため、左方の側壁15Aの後端の強度、保形性が高まり、左方の側壁15Aの後端の反りを原因としたコンテナ10の後面の開口10bを塞ぐ後壁14の閉蓋不能という不具合を防止することができる。
さらに、L字状補強材29の屈曲部を、一対のフォーク爪補強リブ56を介しながら、上部が斜めカットされた側壁補強チャネル30によって、支え棒のように傾斜支持したため、後壁14と側壁補強カバー31との間の狭い空間であるにも拘わらず、L字状補強材29を強固に支持することができる。その結果、ヒンジ17の支持部28の補強効果がさらに高まる。また、側壁補強カバー31を左方の側壁15Aと同じ素材である耐摩耗鋼板からなる立体的な台形カバーとしたため、その素材の特性によって、左方の側壁15Aの支持部28が、後壁14(後蓋)の自重により外方に向かって反ろうとする力を低減している。
また、図1および図4に示すように、後壁14の外面を格子状化粧板18により補強したため、スクラップ満載時における後壁14の外方への膨出量を抑えることができる。これにより、後壁14の外方への膨出を原因とした底壁12の後端面と後壁14の内面との間に隙間が生じることを防ぎ、結果としてこの隙間からのスクラップSの落下を防止することができる。
この発明に係るオープントップコンテナは、産業廃棄物であるスクラップ等を搬送するためのオープントップコンテナとして有用である。
10 コンテナ(オープントップコンテナ)、
12 底壁、
13 前壁、
14 後壁、
15A 左方の側壁、
15B 右方の側壁、
16 回動軸、
17 ヒンジ、
26 補強リブ、
28 支持部、
29 L字状補強材、
S スクラップ。

Claims (2)

  1. 底壁、前壁、後壁、一対の側壁を有し、天井部分が開口してその内部空間にスクラップを積載するオープントップコンテナであって、
    前記一対の側壁を耐摩耗鋼板により形成するとともに、
    これと同一材料の帯状板からなる補強リブを、これらの側壁の外面にこの外面から垂直に突出させて固着するとともに、
    前記補強リブは、対応する側壁の外面にあって上下方向に対して所定角度傾斜してこの側壁の上端から下端まで直線状に延びたオープントップコンテナ。
  2. 前記後壁は、前記一対の側壁のうちの片方の側壁の後端に、上下方向に延びる回動軸を有するヒンジを介して、開閉自在に設けられるとともに、
    前記片方の側壁の後端に有する前記ヒンジの支持部には、炭素鋼または特殊合金鋼から鍛造されたL字状補強材によって、前記底壁に対して前記片方の側壁を垂直に保持する請求項1に記載のオープントップコンテナ。
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