JP2016119801A - アクチュエータ素子用電解質及びアクチュエータ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低電圧で駆動でき、空気中又は真空中で安定かつ変位量の大きいアクチュエータ素子を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるイオン液体及び高分子化合物を含むアクチュエータ素子用電解質、及び前記アクチュエータ素子用電解質を複数の電極で挟持してなるアクチュエータ素子。(式中、R1は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は、メチル基又はエチル基を表し、nは、1又は2を表し、X-は、1価のアニオンを表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、アクチュエータ素子用電解質及びアクチュエータ素子に関し、更に詳述すると、特定のイオン液体を含むアクチュエータ素子用電解質、及びこれを用いたアクチュエータ素子に関する。
エレクトロニクスやエネルギー分野の飛躍的な進歩に伴って、小型軽量で柔軟性に富むアクチュエータの必要性が高まっている。特に、高分子アクチュエータ素子は、軽量かつ柔軟で、しかも構成が簡素であることから、カテーテル等の医療用デバイスの導入部や、種々の駆動装置、押圧装置への応用が期待されている。
この高分子アクチュエータ素子は、ポリピロール、ポリアニリン等の電子導電性ポリマーの電解質中におけるレドックス伸縮を利用したもの(電子導電性高分子アクチュエータ)と、イオン交換膜と接合電極とからなり、イオン交換膜の含水状態において、電位差をかけてイオン交換膜に湾曲、変形を生じさせるもの(イオン導電性高分子アクチュエータ)に大別される。
これらの高分子アクチュエータ素子は、いずれも、その動作のために電解質が必要であり、この電解質としては、従来、水溶液が用いられている。特に、イオン導電性高分子アクチュエータは、イオン交換樹脂が水で膨潤した状態でないと十分なイオン伝導性を示さないため、基本的には水中で使用され、空気中でこのアクチュエータを使用するためには、水の蒸発を防ぐ必要がある。
この点に鑑み、高分子アクチュエータ素子を樹脂で被覆し、素子からの水の蒸発を防止する方法が報告されている。しかし、素子を完全に被覆することは困難であるとともに、電極反応によるわずかな気体発生によって被覆が破れるという問題があるうえ、被覆自体が変形応答の抵抗となることから実用化には至っていない。また、水媒体系の高分子アクチュエータ素子では水の凝固点以下での使用が困難となるという問題もある。更に、溶媒の揮発に起因する長期安定性に問題があった。
以上のように、従来の高分子アクチュエータ素子は、主に電解質水溶液中という限られた環境でのみ駆動するため、必然的にその用途も限られる。したがって、空気中や真空中で駆動可能なアクチュエータ素子の開発は、小型アクチュエータの幅広い用途への実用化のために不可欠である。
前記問題を解決するために、最近、イオン液体を高分子アクチュエータ素子の電解質に用いる試みがなされている(特許文献1〜6)。イオン液体は、蒸気圧が無視できるため、揮発による溶媒の乾燥を防ぐことが可能であり、それを高分子アクチュエータ素子の電解質として用いることで、素子の空気中での使用を可能とし、その幅広い用途への適用が可能となることが期待される。しかし、それらのイオン液体も、電位窓が狭いため駆動電圧範囲が狭く、変位が小さいという問題があり、また、耐電圧性、粘度やイオン伝導性等の点でさらなる改良の余地がある。
特開2008−054446号公報 特開2007−204682号公報 特開2006−050780号公報 特開2010−233429号公報 特開2011−050233号公報 特表2004−527902号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低電圧で駆動でき、空気中又は真空中で安定かつ変位量の大きいアクチュエータ素子を与えるアクチュエータ素子用電解質、及びこれを用いたアクチュエータ素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定のピロリジニウムカチオンを有するイオン液体が、安定性や耐電圧性に優れるとともに、低粘度で電気伝導性が良好であることから、アクチュエータ素子用電解質として好適であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記アクチュエータ素子用電解質及びアクチュエータ素子を提供する。
1.下記式(1)で表されるイオン液体及び高分子化合物を含むアクチュエータ素子用電解質。
Figure 2016119801
(式中、R1は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は、メチル基又はエチル基を表し、nは、1又は2を表し、X-は、1価のアニオンを表す。)
2.前記X-が、BF4 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、PF6 -、(CF3SO2)2-又は(FSO2)2-を表す1のアクチュエータ素子用電解質。
3.前記X-が、(CF3SO2)2-を表す1又は2のアクチュエータ素子用電解質。
4.前記R1が、メチル基又はエチル基を表す1〜3のいずれかのアクチュエータ素子用電解質。
5.前記nが1である1〜4のいずれかのアクチュエータ素子用電解質。
6.前記高分子化合物がアクリル系樹脂である1〜5のいずれかのアクチュエータ素子用電解質。
7.前記高分子化合物がウレタン系樹脂である1〜5のいずれかのアクチュエータ素子用電解質。
8.前記高分子化合物がフッ素系樹脂である1〜5のいずれかのアクチュエータ素子用電解質。
9.前記高分子化合物がシリコーン系樹脂である1〜5のいずれかのアクチュエータ素子用電解質。
10.1〜9のいずれかのアクチュエータ素子用電解質を複数の電極で挟持してなるアクチュエータ素子。
本発明で用いるイオン液体はピロリジニウム系であり、電位窓が芳香族系イオン液体に比べ広いため、駆動電圧範囲が狭く、その分変位も大きい。また、アンモニウム系イオン液体に比べ粘度が低く、樹脂内の移動性に優れ、応答性が良い。また、本発明で用いるイオン液体は不揮発性であるため、これを用いる本発明のアクチュエータ素子は、空気中でも長期にわたって安定に駆動することができ、また、真空条件下でも作動する。
すなわち、本発明で用いるイオン液体は、安定性や耐電圧性に優れるとともに、低粘度で電気伝導性が良好であることから、これを用いると、安定性及び耐久性に優れ、かつ、応答性の良好なアクチュエータ素子が得られる。
合成例1で得られたMEMP・FSAの1H−NMRスペクトル図である。 合成例3で得られたMMMP・FSAの1H−NMRスペクトル図である。 合成例1及び3で得られた各イオン液体の電位窓測定結果を示す図である。 実施例で作製したアクチュエータの模式図である。
本発明のアクチュエータ素子用電解質は、下記式(1)で表されるイオン液体及び高分子化合物を含む。
Figure 2016119801
式(1)中、R1は、炭素数1〜3のアルキル基を表す。前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基及びc−プロピル基が挙げられるが、直鎖状のアルキル基が好ましく、中でもメチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がより一層好ましい。R2は、メチル基又はエチル基を表すが、メチル基が好ましい。nは、1又は2を表す。
中でもカチオン構造としては、より熱安定性に優れているという点から、下記式(A)で表される構造が好ましく、より低粘度という点から、下記式(B)で表される構造が好ましい。
Figure 2016119801
式(1)中、X-は1価のアニオンであり、イオン液体を形成し得るアニオンであれば特に限定されないが、BF4 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、PF6 -、(C49SO2)2-、(C37SO2)2-、(C25SO2)2-、(C25SO2)(CF3SO2)N-、(CF3SO2)2-、(CF3SO2)(FSO2)N-、(FSO2)2-等が挙げられる。本発明では、主に経済性の観点から、BF4 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、PF6 -、(CF3SO2)2-、(FSO2)2-等が好ましく、熱安定性、耐電圧性、低粘度性等を考慮すると、(CF3SO2)2-、(FSO2)2-がより好ましく、(CF3SO2)2-が更に好ましい。
本発明で用いられるイオン液体は、国際公開第2002/076924号記載の方法や、中国特許出願公開第101747243号明細書等により製造することができ、例えば、定法に従って製造したN−アルコキシアルキル−N−アルキルピロリジニウムハライド(例えば、クロライド、ブロマイド等)と、所望のアニオンのアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)塩とを水や有機溶媒中でアニオン交換反応させて得ることができる。また、陰イオン交換樹脂を用いてハライド塩を水酸化物塩に変換した後、アニオンに対応する酸との中和反応によって合成する等のその他公知の方法でも合成できる。
本発明で好適に用いることができるイオン液体としては以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2016119801
Figure 2016119801
本発明のアクチュエータ素子に用いる前記イオン液体の使用量は、用いるイオン液体の種類と高分子化合物の種類との組み合わせによって最適量が異なり、適宜最適量を求め使用することが好ましいが、例えば、高分子化合物がゲル状である場合、前記イオン液体の使用量は、電解質中、通常60〜99質量%程度が好ましく、65〜95質量%程度がより好ましい。また、例えば、前記高分子化合物がエラストマーである場合、前記イオン液体の使用量は、電解質中、通常0.1〜60質量%程度が好ましく、1〜50質量%程度がより好ましい。
本発明の電解質に含まれる高分子化合物としては、従来高分子アクチュエータ素子用電解質に用いられている高分子化合物、例えば、ゲルを形成するものやエラストマーから適宜選択して用いればよく、導電性材料でも誘電性材料でもよい。このような高分子化合物としては、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等が好ましい。前記高分子化合物は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルアクリレート、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート、ポリヒドロキシアルキルアクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−(メタ)アクリル酸共重合体、フッ化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロスルホン酸モノマー共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ペンタフルオロプロピレン共重合体等が挙げられる。
ウレタン系樹脂としては、ポリウレタン等が挙げられる。シリコーン系樹脂としては、ポリシロキサン等が挙げられる。
前述したもの以外に使用可能な高分子化合物の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブテン、ポリメチルビニルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリピロール、ポリインドール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリイソチアナフテン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリテルロフェン、ポリチオフェンビニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリカルボン酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルピリジン、デンプン、ポリペプチド、ポリスチレン、パーフルオロポリエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等が挙げられる。
本発明のアクチュエータ素子に用いる高分子化合物がゲル状である場合、その使用量は、電解質中、通常1〜40質量%程度が好ましく、5〜35質量%程度がより好ましい。また、前記高分子化合物がエラストマーである場合、その使用量は、電解質中、通常40〜99.9質量%程度が好ましく、50〜99質量%程度がより好ましい。
本発明のアクチュエータ素子用電解質は、更に導電性フィラーを含んでもよい。前記導電性フィラーとしては、導電性金属ナノ粒子、導電性ナノカーボン材等が挙げられる。前記導電性金属ナノ粒子を構成する金属としては、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、ロジウム、アルミニウム、スズ、亜鉛、鉛、チタン、タンタル、及びこれらの合金等が挙げられる。前記導電性ナノカーボン材としては、フラーレン、カーボンナノボール、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等が挙げられる。これらは、目的や用途に応じて適宜選択すればよい。
前記導電性フィラーの配合量は、電解質中、0.1〜10質量%程度が好ましく、0.5〜5質量%程度がより好ましい。
本発明のアクチュエータ素子は、前記アクチュエータ素子用電解質を複数の電極で挟持してなるものである。電極の材料としては、金属、導電性高分子、カーボン等の公知のものを用いることができる。本発明のアクチュエータ素子は、従来公知の方法で作製することができる。
前記金属としては、例えば、金、白金、アルミニウム、インジウム、酸化インジウム、酸化スズ(IV)、ITO、銀等が挙げられる。金属電極を形成する方法としては、例えば、無電解めっき法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、イオンスパッタ被覆法、真空蒸着法、スクリーン印刷、イオンビームアシスト法、イオン化蒸着法等が挙げられる。また、金属微粒子を一般的に利用される公知のバインダー樹脂に混合し、膜状に成形することで電極を得ることもできる。
前記導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン及びこれらの誘導体等が挙げられる。前記導電性高分子は、ドーパントでドープされたものでもよく、この場合のドーパントとしては、従来公知のもの、例えば、PF6 -、BF4 -、ClO4 -、SbF6 -、SO4 2-等の無機アニオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、アルキルナフタレンスルホン酸イオン等の有機アニオンを用いることができる。
導電性高分子からなる複数の電極間に電解質層を狭持させる方法としては、あらかじめシート状に作製した電解質の両面に、導電性高分子を化学的又は電気化学的に重合して形成させる方法、あらかじめシート状に作製した電極表面に、モノマー、イオン液体及び重合開始剤を塗布し加熱共重合することにより電解質を形成させる方法等が挙げられる。
前記カーボンとしては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、フラーレン、活性炭等が挙げられる。カーボン電極を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、一般的に利用される公知のバインダー樹脂にカーボンを混合し、膜状に成形する方法が挙げられる。このようにして得られたカーボン電極と本発明の電解質とを、従来公知の方法で、例えば、複数のカーボン電極で本発明の電解質を挟み、プレスすることでアクチュエータ素子を製造することができる。
本発明のアクチュエータ素子は、電解質にイオン液体が含有されているため、イオン電導度が高く、溶媒の揮発による電解質層のドライアップが改善され、該電解質を用いた導電性高分子アクチュエータは、低電圧で変位量が大きく、空気中や真空中で長期安定的に作動することができる。
以下、合成例及び実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。なお、使用した分析装置は下記のとおりである。
[1]1H−NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製、AL−400
溶媒:重ジメチルスルホキシド
[2]粘度計
装置:BROOK FIELD社製、プログラマブルレオメーター
[3]電気伝導率
装置:東亜ディーケーケー(株)製 電気伝導率計CM−30R
[4]電位窓
装置:北斗電工(株)製 スタンダードボルタンメトリツールHSV−100
[1]イオン液体の合成
[合成例1]MEMP・FSAの合成
Figure 2016119801
ピロリジン(和光純薬工業(株)製)1.51質量部と塩化2−メトキシエチル(関東化学(株)製)1.00質量部とを混合し、還流しながら1時間反応させた。反応後、反応液は2層に分離したが、しばらく放冷すると下層は固化した。デカンテーションにより上層のみ回収し、減圧蒸留により精製し、目的物であるN−2−メトキシエチルピロリジン(沸点76℃/蒸気圧45mmHg)0.96質量部を得た(収率70%)。
得られたN−2−メトキシエチルピロリジン1.00質量部、及びこれに対して2倍容量のトルエン(和光純薬工業(株)製)を混合し、オートクレーブ中に入れ、系内を窒素置換した。密閉系にした後、室温攪拌下で塩化メチルガス(日本特殊化学工業(株)製)約1.00質量部を加えた。塩化メチルガス導入時には温度及び内圧の上昇が見られ、最高時で温度は約53℃、内圧は5.5kgf/cm2(約5.4×105Pa)まで上昇した。そのまま加熱せずに反応させ、2日後に塩化メチルガス約0.75質量部を加えた。更に1日反応させた後、加圧を解除し、系中に生成した結晶を減圧濾過にてろ別し、真空ポンプを用いて乾燥させ、N−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムクロライド1.29質量部を得た(収率92%)。
得られたN−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムクロライド1.00質量部に当倍容量のイオン交換水を加え、攪拌して溶解させた。この溶液を、カリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(関東化学(株)製)1.29質量部を当倍容量のイオン交換水に溶かした溶液に攪拌下で加えた。室温で反応させ、3時間以上経過した後に、2層に分離した反応液を分液し、下層の有機層を2回イオン交換水で洗浄後、真空ポンプを用いて乾燥させ、目的物であるN−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミド(MEMP・FSA)1.50質量部を得た(収率83%)。MEMP・FSAの1H−NMRスペクトルを図1に示す。なお、25℃での粘度は、35cPであった。
[合成例2]MEMP・TFSAの合成
Figure 2016119801
合成例1と同様の合成法で得たN−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムクロライド1.00質量部に当倍容量のイオン交換水を加え、攪拌して溶解させた。この溶液を、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(関東化学(株)製)1.68質量部を当倍容量のイオン交換水に溶かした溶液に攪拌下で加えた。室温で反応させ、3時間以上経過した後に、2層に分離した反応液を分液し、下層の有機層を2回イオン交換水で洗浄後、真空ポンプを用いて乾燥させ、目的物であるN−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(MEMP・TFSA)1.50質量部を得た(収率83%)。なお、25℃での粘度は、50cPであった。
[合成例3]MMMP・FSAの合成
Figure 2016119801
N−メチルピロリジン(和光純薬工業(株)製)14.4質量部をテトラヒドロフラン(和光純薬工業(株)製)200質量部に溶かした溶液を氷冷し、攪拌下、クロロメチルメチルエーテル(東京化成工業(株)製)17.1質量部を加えた。一晩反応させた後、析出した固体を桐山ロートを用い減圧濾過した。得られた白色固体を真空ポンプを用いて乾燥させ、中間体N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムクロライド26.7質量部を得た(収率96%)。
得られたN−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムクロライド8.58質量部をイオン交換水10質量部に溶解させた。この溶液をカリウムビス(フルオロスルホニル)アミド(関東化学(株)製)12.5質量部をイオン交換水5質量部に溶かした溶液に攪拌下加えた。室温で攪拌を一晩継続させた後、2層に分かれた反応液を分液し、下層の有機層イオン交換水で4回洗浄後、真空ポンプを用いて乾燥させ、目的物であるN−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)アミド(MMMP・FSA)10.2質量部を得た(収率63%)。MMMP・FSAの1H−NMRスペクトルを図2に示す。なお、25℃での粘度は、20cPであった。
[合成例4]MMMP・TFSAの合成
Figure 2016119801
N−2−メトキシエチル−N−メチルピロリジニウムクロライドを、合成例3と同様の合成法で得たN−2−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムクロライドにかえた以外は、合成例2と同様の方法で、目的物であるN−2−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(MMMP・TFSA)を得た。なお、25℃での粘度は、42cPであった。
合成例1及び3で得られた各イオン液体について、電気伝導率を測定した。測定は電気伝導率計を用い、25℃の恒温槽内で計測した。結果を表1に示す。
Figure 2016119801
また、合成例1及び3で得られた各イオン液体について電位窓を測定した。結果を図3に示す。図3に示されるように、いずれのイオン液体とも広い電位窓を有することがわかった。
[2]アクチュエータの作製及び作動試験
[実施例1]
導電性高分子モノマーとしてピロールと、電解質塩としてテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートとをプロピレンカーボネートに溶解して、電解重合液を調製した。
この電解重合液に、絶縁テープにより片面マスキングを施したステンレス板を水平に2枚浸漬し、一方を陽極に、他方を陰極として、0.5mA/cm2の電流密度で4時間、定電流電解を行い、陽極表面に電解重合ポリピロール膜を形成させた。前記ポリピロール膜をステンレス板から剥離し、アセトンで洗浄した後、所定の大きさに裁断して、幅3mm、長さ25mm、厚さ約20μmの板状電極を得た。
前記電極間に電解質層を形成させるために、まず、メチルメタアクリレート20%、架橋剤としてエチレングリコールジメタアクリレート0.5%、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.5%、及びイオン液体としてMEMP・FSA79%の配合比となるように混合し、均一な電解質層形成用溶液を調製した。
前記溶液を、前記板状電極と同じ大きさのセパレータ紙(日本製紙クレシア(株)製、キムワイプ(登録商標)S−200)に充分含浸させ、先に作製した2枚の板状電極間に挟み込んで積層体とし、この積層体をガラス板に挟み込んで、温度90℃、3時間加熱共重合させて、2枚の板状電極間にゲル状電解質を狭持させたアクチュエータ素子を得た。該アクチュエータ素子の厚さは約100μmであった。
[実施例2]
実施例1で用いたイオン液体をMEMP・FSAからMEMP・TFSAにかえた以外は、実施例1と同様の方法でアクチュエータ素子を作製した。
[実施例3]
実施例1で用いたイオン液体をMEMP・FSAからMMMP・FSAにかえた以外は、実施例1と同様の方法でアクチュエータ素子を作製した。
[実施例4]
実施例1で用いたイオン液体をMEMP・FSAからMMMP・TFSAにかえた以外は、実施例1と同様の方法でアクチュエータ素子を作製した。
[比較例1]
実施例1で用いたイオン液体をMEMP・FSAから1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)アミド(EMI・TFSA)にかえた以外は、実施例1と同様の方法でアクチュエータ素子を作製した。
<アクチュエータの作動試験>
実施例及び比較例で作製したアクチュエータ素子を用いて、図4に示す装置を組み立て、電圧印加を1回、10回及び50回繰り返し、素子先端部が5mm変形するまでの到達時間を測定した。
アクチュエータの板状電極への電圧印加条件としては、3Vの電圧をアクチュエータの板状電極間に印加し、アクチュエータが変形を開始して所定の変位量に到達するまでの時間を測定した。測定終了後、2枚の板状電極を短絡させてアクチュエータが変形する前の初期形状に戻し、次に、極性を切り替えて3Vの電圧印加し、所定の変形量に到達するまでの時間を測定した。測定終了後、2枚の板状電極を短絡させてアクチュエータを初期形状に戻した。このようにして、順方向/逆方向で板状電極に電圧印加させる操作を1サイクルとして、このサイクルを1回、10回及び50回繰り返した際の到達時間と変位量を測定した。各サイクル回数の順方向における変位量及び到達時間の測定結果を、表2に示す。
Figure 2016119801
本発明のイオン液体を用いたアクチュエータ素子の方が、従来のイオン液体を用いたものに比べ応答速度が速いことが分かった。
1 正極
2 電解質層
3 負極

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるイオン液体及び高分子化合物を含むアクチュエータ素子用電解質。
    Figure 2016119801
    (式中、R1は、炭素数1〜3のアルキル基を表し、R2は、メチル基又はエチル基を表し、nは、1又は2を表し、X-は、1価のアニオンを表す。)
  2. 前記X-が、BF4 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、PF6 -、(CF3SO2)2-又は(FSO2)2-を表す請求項1記載のアクチュエータ素子用電解質。
  3. 前記X-が、(CF3SO2)2-を表す請求項1又は2記載のアクチュエータ素子用電解質。
  4. 前記R1が、メチル基又はエチル基を表す請求項1〜3のいずれか1項記載のアクチュエータ素子用電解質。
  5. 前記nが1である請求項1〜4のいずれか1項記載のアクチュエータ素子用電解質。
  6. 前記高分子化合物がアクリル系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項記載のアクチュエータ素子用電解質。
  7. 前記高分子化合物がウレタン系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項記載のアクチュエータ素子用電解質。
  8. 前記高分子化合物がフッ素系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項記載のアクチュエータ素子用電解質。
  9. 前記高分子化合物がシリコーン系樹脂である請求項1〜5のいずれか1項記載のアクチュエータ素子用電解質。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項記載のアクチュエータ素子用電解質を複数の電極で挟持してなるアクチュエータ素子。
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