本発明の実施形態について、各図面を参照しながら以下に説明する。但し本発明の内容は、当該実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部構成図である。なお、本図において、引用符のa〜dは対応色の違い(YMCK)を示している。以下の説明にて各色のものを総称する場合には、a〜dの表記を省略する。例えば「画像形成ユニット1」は、画像形成ユニット1a〜1dを総称したものである。
本実施形態の画像形成装置は、中間転写体20に複数の画像形成ユニット1を設けたタンデム型カラー画像形成装置である。画像形成ユニット1では、有機感光体10(像担持体)の周りに、帯電装置11、露光手段12、現像器13、1次転写ローラ14、感光体清掃装置15、および除電装置16が配置されている。
有機感光体10は、帯電装置11にて一様に(例えば−550vに)帯電される。その後、YMCKに色分解されたうちの対応色のデータが露光され、感光体10上に対応色の静電潜像が形成される。さらに、対応色トナーを有する現像器13にて現像され、トナー像が感光体10上に形成される。
現像器13としては、トナーと磁性を有するキャリアを所定比率で混合させた現像剤を内蔵する2成分現像器が用いられる。現像器13内の現像ローラには、Vb=−400vにVpp=1.5kv(5khz)の交流が重畳された現像バイアスが印加されることにより、露光部分にトナーが現像され、感光体上にトナー像が形成される。
感光体10上に形成されたトナー像は、1次転写部で、1次転写ローラ14により押圧された中間転写体20に接触し、1次転写ローラ14に印加された1次転写バイアスにより形成される転写電界により、中間転写体20上に転写される。その後、このトナー像と各画像形成ユニットの1次転写部で重なり合うよう同期を取って、各色トナー像が同様の構成を有する各画像形成ユニットで形成し、順次中間転写体20上に写し重ね合わせられる。
その後、2次転写部22で被転写材に転写され、被転写材は図示しない定着装置で定着された後機外に排出される。一方、感光体10は1次転写後に感光体清掃装置15で、中間転写体20は2次転写後に中間転写体清掃装置21で、それぞれ転写後に残留したトナーが清掃され次の画像形成サイクルに備える。これらの清掃装置は常に圧接されている。
また、除電装置16は、LEDなどからなり感光体長手方向全面に光を照射し、感光体上に残留する電荷を除電することで、感光体を−30V程度の一様な電位に落とし、帯電工程における均一性を高める。通常、清掃工程後・帯電工程前に配置されるが、スペースを有効に利用するためやCL性向上のため、1次転写効率が高い場合には、1次転写残留トナーによる光除電工程への影響は小さく、1次転写後清掃前に配置してもよい。
ここで、中間転写体20(中間転写ベルト)の材料としては、ポリカーボネートやPTFE、あるいはポリイミドを主原料としてカーボンを分散させた半導電性のものが用いられている。感光体10としては、アルミニウム管の上に順次下引き層・電荷発生層・所定の厚みを有する電荷輸送層を積層した積層型有機感光体を用いる。
帯電装置としては、導電性ゴムローラを感光体に接触配置し、感光体の回転駆動に伴い従動回転する接触帯電ローラを用いる。感光体清掃装置15は、ポリウレタンゴムによるクリーニングブレードが感光体に線圧30N/mで当接される。転写後残留したトナーを回収する。
なお、現像器13の現像槽内には、上述した現像ローラの他、現像ローラ上の現像剤搬送量を規制する規制部材と、現像ローラへ現像剤を供給しつつ長手方向へ現像剤を搬送する現像剤供給搬送経路と、現像剤供給搬送経路内に配置する搬送スクリューが設けられる。また更に当該現像槽内には、現像剤撹拌搬送経路(現像剤供給搬送経路に平行に配置され、現像剤搬送方向と反対方向へ攪拌を伴い、現像剤供給搬送経路の長手方向両端部で現像剤を受け渡す経路)と、現像剤撹拌搬送経路内に配置する現像剤攪拌搬送手段なども設けられる。
撹拌供給路の一端にはトナー補給部が設けられ、現像にて減少したトナーが適宜供給される。トナーとキャリアから成る現像剤は、撹拌搬送路・供給搬送路を循環し、この循環経路中で混合撹拌されることで、キャリアとトナーの摩擦帯電により、トナー・キャリアの混合比に基づく所定帯電量にトナーは帯電される。現像剤は供給搬送路にて、対向する現像ローラに磁気力で供給される。
現像ローラは、駆動回転されるスリーブローラと、スリーブローラ内に固定配置された磁石ローラとから構成される。磁石ローラは、スリーブローラの回転方向に沿って5つの磁極を有する。これらの磁極のうち、主磁極は、感光体10と対向する位置に配置されており、また、スリーブローラ上の現像剤を剥離するための反発磁界を発生させる各同極部は、現像槽内部に対向した位置に配置されている。
現像ローラのスリーブローラの回転方向は、感光体10の回転方向と同じ(対向部において互いに反対方向)になるように設定されている。供給搬送路中の一部の現像剤は、現像ローラ上に磁気力により現像ローラに供給する。供給された現像剤については、規制部にて、現像ローラ上の現像剤の量が略一定に規制される。
この後現像剤は感光体と対抗する領域に搬送され、現像ローラに印加された現像バイアスと感光体上の潜像との電位差により、所定量のトナーが感光体上の所定領域(潜像)に付着されて現像される。現像ニップを通過した現像剤は、同極部に達し現像ローラから剥離され、供給搬送路中に戻され、再び循環される。
以下に、本発明で使用可能な現像剤について説明する。本実施形態において、現像剤は、トナーやトナーを帯電するためのキャリアからなる。トナーとしては特に限定されず、一般に使用されている公知のトナーを使用することができ、バインダー樹脂中に着色剤や必要に応じて、荷電制御材や離型材等を含有させ、外添材を処理したものを使用できる。トナー粒径としてはこれに限定されるものではないが、3〜15μm程度が望ましい。
このようなトナーを製造するにあたっては、一般に使用されている公知の方法で製造することができ、例えば、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等を用いて製造することができる。トナーに使用するバインダー樹脂としては、これに限定されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)やポリエステル樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂単体もしくは複合体により、軟化温度が80〜160℃の範囲のものを、またガラス転移点が50〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
また着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができ、一般に上記のバインダー樹脂100重量部に対して2〜20重量部の割合で用いることが好ましい。
また、上記の荷電制御材としても、公知のものを用いることができ、正帯電性トナー用の荷電制御材としては、例えばニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂などがある。負帯電性トナー用荷電制御材としては、Cr、Co、Al、Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレン化合物などがある。荷電制御材は一般に上記のバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
また、上記の離型材としても、一般に使用されている公知のものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を単独あるいは2種類以上組合せて使用することができ、一般に上記のバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の割合で用いることが好ましい。
また、トナーに外添する粒子としては、一般に使用されている公知のものを使用することができる。流動性や帯電性改善を目的として例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等を使用することができ、特にシランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等で撥水化したものを用いるのが好ましい。そして、このような流動化剤を上記のトナー100重量部に対して0.1〜5重量部の割合で添加させて用いるようにする。外添剤の個数平均一次粒径は10〜100nmであることが好ましい。
キャリアとしては特に限定されず、一般に使用されている公知のキャリアを使用することができ、バインダー型キャリアやコート型キャリアなどが使用できる。キャリア粒径としてはこれに限定されるものではないが、15〜100μmが好ましい。
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させることや、表面コーティング層を設けることもできる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が例示される。
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Mg、Cu等)を一種または二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化鉄を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。
その形状は粒状、球状、針状のいずれであっても良い。特に高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50〜90重量%の量で添加することが適当である。
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、これらの樹脂を表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、帯電付与能力を向上させることができる。
バインダー型キャリア表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれら微粒子を付着させた後、機械的・熱的な衝撃力を与え、微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むようにして固定することにより行われる。この場合、微粒子は磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部を磁性樹脂キャリア表面から突き出すようにして固定される。帯電性微粒子としては、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。
具体的には、有機系としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂およびこれらの架橋物などの有機絶縁性微粒子を用いることができ、帯電レベルおよび極性については、素材、重合触媒、表面処理等により、希望するレベルの帯電及び極性を得ることができる。また、無機系としては、シリカ、二酸化チタン等の負帯電性の無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正帯電性の無機微粒子などが用いられる。
一方、コート型キャリアは磁性体からなるキャリアコア粒子に樹脂コートがなされてなるキャリアであり、コート型キャリアにおいてもバインダー型キャリア同様、キャリア表面に正または負帯電性の帯電性微粒子を固着させたりできる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子により制御することができ、バインダー型キャリアと同様の材料を用いることができる。特にコート樹脂はバインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
逆極性粒子、トナーおよびキャリアの組合せによるトナーおよび逆極性粒子の帯電極性は、それぞれを混合攪拌し現像剤とした後、現像剤からトナーまたは逆極性粒子を分離する為の電界の方向から容易に知ることができる。トナーとキャリアの混合比は所望のトナー帯電量が得られるよう調整されれば良く、トナー比はトナーとキャリアの合計量に対して3〜10重量%が適している。
2成分現像の場合、トナー濃度(トナー重量/現像剤重量)によりトナー帯電量が変化する。低いと帯電量が上昇し、甚だしい場合は画像濃度低下を引き起こす、一方で高い場合は帯電量の低下を引き起こし、甚だしい場合はかぶりや粉煙による機内汚染といった問題を引き起こす。このため、ある程度略一定のたとえば、4〜7重量%といったトナー濃度に収まるようにトナー補給制御を行っている。
トナー濃度の検知法としては、現像剤の透磁率から求める方法、あるいは印字画像画素数を計数しこれに1画素あたりのトナー付着量を乗じてトナー消費量を求める方法、あるいは両者を併用方法が知られている。この結果所定の枚数毎あるいは所定の消費量積算値に達する毎に、あるいは透磁率により検知されたトナー濃度が下回った場合、所定値に回復するまで、所定時間トナーボトルを回転駆動して現像器はトナーを補給している。
ところで、感光体に滑材被膜を形成することで、感光体への付着力を低下させたり、感光体と清掃ブレードの負荷を落としたりすることで、画像ノイズを防止し感光体や清掃ブレードの消耗を抑える方法が知られている。この滑材被膜の形成のためトナーに滑材を外添することで現像器より感光体へ滑材を供給する方法は、特別な機構が不要であるため小型の機械でも用いることができ、塗布量も少量を安定して塗布できるという利点がある。
さらに、感光体に滑材被膜を形成するための、滑材を外添する。滑材としては、ステアリン酸金属塩やPTFEなどのフッ素樹脂が用いられる。特にステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムなどが望ましい。これらの滑材は、前記の流動性や帯電性改善を目的とした外添剤とは異なり、トナーとは分離して感光体に供給され被膜として塗布される必要があるため、トナーとの付着力は小さく設計される。
よって平均粒径は1〜20μmの大径のものが用いられ、重量は0.1〜3重量部の割合で添加される。この添加量は、想定下限かカバレッジに対するトナー消費量に対して、滑材被膜が形成・維持可能な滑材供給量となるように設計される。これらの滑材は正極性に摩擦荷電されることにより、現像ローラの駆動により主として感光体背景部に供給される。供給された滑材は、主に清掃ブレードニップ部ですり切られるように引き伸ばされ、感光体上に被膜化される。
この滑材被膜は、帯電部などでの放電により被膜が劣化し、劣化した被膜は現像部での磁気ブラシや清掃部のトナーなどにより研磨される。このように被膜形成と研磨が並行で起きることにより劣化の少ない正常な滑材被膜が常に感光体を覆っている。このことにより、各種のノイズや感光体や清掃ブレードの消耗を抑制するという作用が維持される。
このような方式の場合、感光体への滑材供給量は現像器内の滑材量に依存しており、現像器から感光体へ供給される滑材量(現像器から消費される滑材量)は、現像ローラの駆動時間に応じて現像器内の滑材量に対して一定比率の量の滑材が感光体へ供給される。現像器内の滑材量は、現像器への滑材供給量と現像器からの滑材消費量との差分であり、現像器内への滑材量供給量は、滑材がトナーを介して運ばれるためトナー補給量とトナーへの滑材外添量との積となる。
ところで、一般的な複写機・プリンターにおいて、印字画像の平均カバレッジは5%程度である。このため滑材のトナーへの外添量は平均カバレッジを考慮し、平均カバレッジよりやや低めの、例えば3%、カバレッジに対する平均的なトナー補給量にて滑材被膜が維持できるような外添量に設定される。一方で、通常のトナー補給では、消費したトナー量に見合った量を補給している。
このため、低カバレッジの印字が継続した場合、現像器中の滑材は、画像の背景部に現像ローラの駆動に応じて現像器内の滑材量に対して一定比率の量の滑材が感光体へ供給される。このため通常のトナー補給のように消費したトナー分の補給を行った場合、滑材の供給量が追い付かないため滑材供給量が低下し、感光体上の滑材被膜が維持できず、感光体に異物が付着した画像ノイズが生じたり、清掃ブレード当接部に負荷が生じたりし、ブレード摩耗・感光体摩耗が生じ寿命を短くしてしまう。
この対策として、低カバレッジでの印字が続いた場合、画素数や枚数などをカウントしておき、所定量に達した時、作像を中断し、所定の潜像を形成してトナーを現像することで劣化トナーを含めてトナーを吐き出し、その後吐き出したトナーに見合った量の供給する方策がある。
この場合、図2に示すように印字カバレッジ0%を継続し、滑材被膜を維持するのに必要なカバレッジを3%とし、所定枚数(たとえば300枚)継続した場合、トナーを吐き出したのち強制補給を行う。この時の吐き出し量は3%カバレッジ200枚に相当するトナー補給できる量とすれば平均カバレッジ3%を確保できる。しかしながら図2に示すように、現像器からの滑材供給量は印字とともに低下していくため、平均的なカバレッジの場合必要量を割り込んでしまう場合が生じる。
滑材被膜の維持のためには、吐き出しパッチの頻度を上げればよいが、この場合生産性が落ちるという不具合が生じる。像間を用いて吐き出すという方式もあるが、この場合低印字の分常にトナーを消費してしまう。通常の使用では、しばしば低カバレッジと中・高カバレッジの画像が混在し、平均すると5%程度となる。このため、短期で吐き出した場合は、無駄な消費が増えてしまう。
ところで、カバレッジ0%といえども、かぶりトナーなどの消費もわずかながら生じる。通常の使用においてはこの量は無視できる程度であるが、低カバレッジの印字がある程度長期にわたって継続した場合、図3に示すようかぶりトナーの消費に伴い、トナー濃度が低下していき、いずれはトナー濃度Tcの下限を割り込んでしまう。これを防止するために低カバレッジ印字が継続した枚数が所定値に達した場合、かぶりに伴う見込みの消費量を補給する技術が提案されている。
しかしながら、かぶりトナーによるトナーの減少量は、現像器中の滑材量の減少量に比べて軽微である。滑材の感光体への供給は現像ローラの駆動に伴って行われるため、現像ローラの駆動時間によって、感光体への滑材供給量は大きく異なってくる。
現像ローラの駆動時間は、印字モードの違いにより同じ枚数でも異なり、間欠モードでは作像前後の処理が加わるために連続に比べて増加する。この増加の度合いは、駆動系の構成の影響により大きく異なる。このため、現像器からの滑材供給量は、現像ローラ駆動時間当たりのトナー補給量で求めなくては、正常な滑材被膜が維持できなくなってしまう。
また、図3に示したように低カバレッジ印字が長期に継続した場合、シリカなどの流動性・帯電量調整のための外添剤が撹拌などのストレスにより離脱・埋め込まれ機能が低下し、トナーが劣化していく。この結果、劣化トナーによりかぶりや粉煙が急増する。また、新トナーを補給時、劣化トナーにより新トナーの荷電が損なわれて新トナーがかぶり・粉煙を引き起こす、あるいは流動性低下により現像した画像ががさつくという問題が生じる場合がある。
これらは本来バルク表面に適切に付着するように設計された外添剤が不適切な状態になることによって引き起こされる現象のため、離脱を前提に設計されている滑材とは異なり、時間がかかる現象である。一方で一旦起きてしまうと不可逆なトナー劣化現象であるため、劣化したトナーは吐き出す必要が生じる。一方、外添剤が離脱したトナーでも流動性・荷電性に特に異常がなければ、正規のトナーとして使用可能である。
次に、本実施形態の画像形成装置において行われるトナー補給に関する制御の動作について、図4のフローチャートを参照しながらより詳細に以下に説明する。
画像形成装置は、現像器13内の現像ローラを駆動させる駆動時間(現像ローラ駆動時間)Tを認識し、駆動時間TがT0(例えば連続モードでA4用紙1枚相当の駆動時間に設定される時間であり、一例として3秒程度)に達したか否かを監視する(ステップS1)。駆動時間TがT0に達していない場合は(ステップS1のNo)、ステップS5の処理に進む。この場合、トナー補給モードのフラグMは「0」であるため(ステップS5のNo)、駆動時間Tに増分ΔTを、トナー累積量Aに増分ΔAをそれぞれ加えた上で(ステップS10)、ステップS1の処理に戻る。
一方、駆動時間TがT0に達した場合は(ステップS1のYes)、フラグMを「1」とする(ステップS2)。またトナー消費量(現像器13における現像剤中のトナー濃度に相当)に基づき、トナー補給量Bを決定する(ステップS3)。このトナー補給は、前述したように印字カバレッジに基づくものでよいし、現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に基づき所定のトナー補給量を設定するものであっても良い。また必ずしも毎回補給するものに限る必要はなく、所定枚数毎に補給量を設定するものであっても構わない(この場合は、例えば補給量Bを0とし、次回に持ち越すようにすれば良い)。
一方、画像形成装置は、滑材供給量の算出手段(供給量算出手段)を有しており、この供給量算出手段が滑材供給量の算出を行う(ステップS4)。具体的には、供給量算出手段は、駆動時間Tの間に補給されたトナー累積量Aを格納するためのN個(例えば50個)のレジスタ(X1〜Xn)を有している。
そして供給量算出手段は、まずX1〜Xnのレジスタの値を1ずつシフトする。つまり、Xn−1の値をXnへ、Xn−2の値をXn−1へ、・・・、X1の値をX2へ、というように各値をシフトする。なお、シフト前におけるXnの値(最も古い値)は破棄される。
続いてX1に、最新の駆動時間Tの間に補給されたトナー累積量Aを格納する。次いでシフト後のX1〜Xnまでの総和Xを求めることにより、駆動時間T当たりのトナー補給量の移動平均値を求めることができる。すなわち略この値が、現像器中の滑材量に相当し、現像器からの滑材供給量に相当する量となる。この後、TとAの値はリセットされる。
次いで、画像形成装置は、フラグMが「1」となっているので(ステップS5のYes)、トナー補給量Sを決定するための動作を行う。すなわち画像形成装置は、先述したXの値が第1所定値(連続印字カバレッジ3%相当で、トナー補給量相当値に予め決めておいた値)に満たない場合(ステップS6のNo)、トナー補給量Sを3%に相当する所定量A0にセットする(ステップS7)。一方で、Xの値が第1所定値以上の場合は(ステップS6のYes)、トナー補給量Sをトナー消費量に基づく(トナー濃度に基づく)補給量Bにセットする(ステップS8)。
その後に画像形成装置は、トナー補給量Sに相当するトナー補給モータ駆動指示を行い、フラグMはリセットされる(ステップS9)。これにより、ステップS7またはステップS8の処理で決められたトナー補給量Sの分だけ、トナー補給がなされる。なお、トナー補給量SがA0の場合におけるトナー補給は、主に滑材を現像器13に供給するために行われるものである。
また、トナー累積量Aと駆動時間Tのカウントは、トナー補給量、現像器の駆動に伴い累積される(ステップS10)。また、第1所定値に満たなかった場合のトナー補給量A0の値は、トナー消費に伴うトナー補給量Bの決定の際に考慮される。すなわちトナー補給量BからA0を除いた値が実際のBとして用いる。このような制御を行えば、感光体への滑材供給量について必要最小限の量が維持可能となる。
ところで上記の場合、トナー濃度Tcは徐々に上昇するが、これが許容上限値(以下、第2所定値とする)まで継続される場合には特に問題は無い。この間で高カバレッジの画像が発生した場合、現像器内のトナーを無駄にすることなく有効に利用できる。
但しトナー濃度Tcが第2所定値に達した場合、それ以上になると、かぶりや粉煙による器内汚れといった課題が生じる。そこでトナー補給に関する制御の動作については、図5のフローチャートに示すようにしても良い。なお、図5に示す動作の流れは、ステップS9の処理がステップS11〜S14に置換わった点を除き、基本的に図4に示すものと同様である。
図5に示す動作の場合、ステップS7またはS8の処理が行われた後、トナー濃度Tcが第2所定値より小さい場合には(ステップS11のYes)、ステップS12の処理(先述したステップS9と同等の処理)が行われ、トナー濃度Tcが第2所定値以上である場合には(ステップS11のNo)、ステップS12の処理は省略される。
すなわち、トナー濃度Tcが第2所定値に達した場合には、現像器からのトナー補給は禁止される。この後に印字によりトナーが消費され、トナー濃度Tcが第2所定値を下回った場合は、トナー補給の禁止が解除され、補給が再開される。しかしながら、トナー濃度Tcが第2所定値である状態で低カバレッジ印字が継続した場合、滑材の供給能力が低下していく。
このため、先述したXの値が第1所定値より低い第3所定値を下回った場合には(ステップS13のYes)、印字を中断し、トナーの吐き出し処理を行ってフラグMを「0」とする(ステップS14)。すなわちトナー吐き出しのための潜像を形成し、この潜像を現像することで、トナー濃度Tcが第2所定値を下回るようにする。第1所定値については、滑材被膜形成に対し若干のマージンを持って設定するが、これより低い下限レベルに第3所定値を予め設定しておく。なお、ステップS14の処理の後、或いは、Xの値が第3所定値を下回っていない場合には(ステップS13のNo)、ステップS10の処理が実行される。
このような制御を行うことで、最低限の滑材供給量を維持しながら、生産性の低下及び無駄なトナー消費を最低限にすることが可能となる。これにより、図6に示すように必要な滑材供給能力を維持しながらも、かぶりや粉煙による機内汚れといった問題を抑えながら、無駄なトナー消費・生産性の低下を抑えることが可能となる。
また、滑材供給率は、より正確には補給されたばかりのトナーのほうが高い。このため、滑材供給量の算出において実験で求めた係数を付加することにより、正確に滑材供給量を維持できる。そこでステップS4の処理に関してこのような係数の付加がなされるように、本実施形態の画像形成装置を構成してもよい。
この場合に画像形成装置は、前述したように連続1枚相当の駆動時間T0ごとにトナー補給量をメモリーし、これを50枚分保持して平均補給量を算出し、更にこれを第1所定値と比較する。このとき例えば、1〜10枚目について係数1.2、11〜20枚目については係数1、21〜50枚目については係数0.8とする。つまりこの場合の画像形成装置は、重み付け係数を乗じて先述の移動平均を求めるようになっており、当該重み付け係数は、経過枚数あるいは経過時間が増えるにつれて重みが小さくされている。このように各補給量と係数をかけたものを用いて平均化することにより、精度よく滑材供給能力を維持することが可能となる。
以上に説明した本実施形態の画像形成装置は、感光体(像担持体)と、現像ローラを有し、有機感光体に形成された静電潜像を、滑材を外添したトナーで現像する現像器(現像手段)と、現像器により形成されたトナー像を、転写材もしくは中間転写体に転写する転写手段とを備えており、現像器から感光体へ滑材が供給されるものとなっている。
更に当該画像形成装置は、トナーを現像器に補給する手段(トナー補給手段)と、現像器における現像剤中のトナー濃度を検出する手段(濃度検出手段)と、現像器からの滑材供給量を検出する手段(供給量検出手段)と、供給量検出手段の検出結果に応じて、トナー補給手段によるトナー補給量を、トナー濃度に基づく量B(第1補給量)と所定量A0(第2供給量)との何れかに制御する手段(制御手段)とを備えている。
また供給量検出手段は、現像ローラを駆動させる所定の駆動時間あたりのトナー補給量を求めることにより、滑材供給量を検出するようになっている。そのため当該画像形成装置によれば、有機感光体上に安定して滑材被膜を形成維持できる。なお、当該供給量検出手段は、前記駆動時間あたりのトナー補給量を移動平均にて求めるようになっている。
また上記の濃度検出手段は、現像剤の透磁率を検出する手段、および、印字データの画素データを基にトナー消費量を算出する手段の何れか一方、或いは、これらの両方を有すれば良い。なお、本実施形態での制御手段は、供給量検出手段の検出結果が第1所定値を上回っている場合に、トナー補給量をBとし、供給量検出手段の検出結果が第1所定値以下である場合に、トナー補給量をA0とする(ステップS6〜S8を参照)。
なお、図5に示したように、濃度検出手段の検出結果が予め定められた第2所定値に達した場合に、第2制御手段を停止し、濃度検出手段の検出結果が第2所定値を再び下回った場合に、第2制御手段の停止を解除するようにしても良い。また濃度検出手段の検出結果が第2所定値に達したままで、供給量検出手段が第1所定値より低い第3所定値を下回った場合に、現像器より所定量のトナー吐き出しを行うようにしても良い。
本実施形態に係る画像形成装置のように、常に現像器から感光体への滑材供給能力を検知して滑材供給能力が所定値以下にならないように制御を行うことで、カバレッジやプリントモードによらず感光体上に安定して滑材被膜が形成維持できる。そのため、滑材の塗布不良による画像ノイズや感光体や清掃ブレードの消耗を防止できる。さらに無駄なトナー消費を抑えることができるため、トナーボトルや廃トナーボトルの寿命が維持可能となる。さらに滑材供給に伴う印字中断を最小限に抑えることで生産性低下を防止しながら、一方でトナー帯電量低下にもとづくかぶりや粉煙による器内汚れを防止できる。
以上、本発明の実施形態について具体例を挙げて説明したが、本発明はその内容に限定されるものではない。本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において、様々な具体的形態により実施され得る。