特許文献1に記載される画像表示装置は、2枚のLCDパネルの使用に起因するLCDパネル間の距離のため、斜めから見た場合に後側、つまりバックライト側のLCDパネルの画像と前側、つまり画像を観る人間に近い側のLCDパネルの、それぞれの画像の位置がずれて見える。すなわち、2枚のLCDパネル間の物理的視差による画像の位置ずれが発生する。このため、特に輝度差の大きいエッジ等が2重に見えたり、色ずれが生じる問題がある。
特許文献2に関しては、処理に必要な回路の実現が容易でなく、特に、微妙に輝度差のあるディテール部で、特に制御が困難である。
本発明は、前側のLCDパネルと後側のLCDパネルを重ねることにより構成された画像表示装置を用いる、画像表示方法であって、前記前側のLCDパネルに、RGB画像を表示すること、RGB画像に基づく画像の明領域のピーク又はエッジに対して局所的な信号処理を行い、明領域を拡大して明領域拡大画像を生成すること、前記後側のLCDパネルに、前記明領域拡大画像に基づく白黒調整画像を表示すること、を含む、画像表示方法を提供する。
ここで、画像内のある画素について、当該画素の輝度値がある程度以上大きくて、かつ、近傍、周囲の他の画素の輝度値に比べて極大である時、当該画素を「ピーク」と呼称する。また、画像内のある画素について、当該画素の輝度値が隣接する他の画素の輝度値に比べてある程度以上大きい時、つまり急峻な輝度変化がある時、当該画素を「エッジ」と呼称する。
前記信号処理が前記明領域のピークに対して行われる場合、前記明領域は、注目画素を中心とした水平nタップ内の画素に対し、前記注目画素の輝度値が前記水平nタップ内で最大値または極大値である場合に、前記水平nタップ内の各画素の輝度値を前記注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大されてもよい。
前記明領域の拡大は、前記注目画素の輝度値が第1閾値より大きく、及び、前記水平nタップ内の画素の輝度値の最大値と最小値との差分が、第2閾値より大きいときに、行われてもよい。
前記信号処理が前記明領域のエッジに対して行われる場合、前記明領域は、注目画素を中心とした水平nタップ内の画素に対し、前記注目画素の輝度値が前記注目画素の左の画素の輝度値より大きい場合に、前記左の画素の輝度値を前記注目画素の輝度値で置き換え、前記注目画素の輝度値が前記注目画素の右の画素の輝度値より大きい場合に、前記右の画素の輝度値を前記注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大されてもよい。
前記明領域の拡大は、前記注目画素の輝度値が第3閾値より大きく、及び、前記注目画素の輝度値と前記左または右の画素の輝度値との差分が第4閾値より大きいときに、行われてもよい。
前記信号処理が前記明領域のピークに対して行われる場合、前記明領域は、注目画素を中心とした垂直nタップ内の画素に対し、前記注目画素の輝度値が前記垂直nタップ内で最大値または極大値である場合に、前記垂直nタップ内の各画素の輝度値を前記注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大されてもよい。
前記信号処理が前記明領域のエッジに対して行われる場合、前記明領域は、注目画素を中心とした垂直nタップ内の画素に対し、前記注目画素の輝度値が前記注目画素の上の画素の輝度値より大きい場合に、前記上の画素の輝度値を前記注目画素の輝度値で置き換え、前記注目画素の輝度値が前記注目画素の下の画素の輝度値より大きい場合に、前記下の画素の輝度値を前記注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大されてもよい。
RGB画像に基づく前記画像は、RGB画像から色マトリクス変換によって、色マトリクス変換画像を生成すること、前記色マトリクス変換画像に基づく画像の階調を、階調変換前後の輝度値の対応関係が登録されたルックアップテーブルによって階調変換すること、を含む方法によって生成されてもよい。
前記色マトリクス変換画像に基づく前記画像は、前記色マトリクス変換画像の各画素の輝度値をビット拡張すること、を含む方法によって生成されてもよい。
RGB画像に基づく前記画像は、RGB画像から色マトリクス変換によって生成され、前記白黒調整画像は、前記明領域拡大画像の階調を、階調変換前後の輝度値の対応関係が登録されたルックアップテーブルによって階調変換することによって生成されてもよい。
RGB画像に基づく前記画像は、前記色マトリクス変換の実施後に、更に、各画素の輝度値をビット拡張することによって生成されてもよい。
また、本発明は、前側のLCDパネルと後側のLCDパネルを重ねることにより構成された画像表示装置であって、RGB画像を信号処理して前記前側のLCDパネルに供給するLCDコントローラと、RGB画像に基づく画像の明領域のピーク又はエッジに対して局所的な信号処理を行い、明領域を拡大して明領域拡大画像を生成する、明領域拡大部を含み、前記明領域拡大画像に基づく白黒調整画像を前記後側のLCDパネルに供給するLVコントローラと、を含む、画像表示装置を提供する。
前記信号処理が前記明領域のピークに対して行われる場合、前記明領域拡大部は、注目画素を中心とした水平nタップ内のn個の画素の輝度値を格納する画素格納部と、前記画素格納部から前記n個の画素の輝度値を取得し、前記注目画素の輝度値が前記n個の画素の輝度値内で最大値または極大値である場合に、前記n個の画素のそれぞれに対応する選択信号に1を設定する論理回路部と、前記n個の画素のそれぞれに対し、当該画素に対応する前記選択信号が1であれば、前記注目画素の輝度値を、前記画素の輝度値として出力する出力部と、を含んでもよい。
前記論理回路部の処理は、前記注目画素の輝度値が第1閾値より大きく、及び、前記n個の画素の輝度値の最大値と最小値との差分が、第2閾値より大きいときに行われてもよい。
前記信号処理が前記明領域のエッジに対して行われる場合、前記明領域拡大部は、注目画素を中心とした水平nタップ内のn個の画素の輝度値を格納する画素格納部と、前記画素格納部から前記n個の画素の輝度値を取得し、前記注目画素の輝度値が前記n個の画素中の左の画素の輝度値より大きい場合、前記左の画素に対応する選択信号に1を設定し、前記注目画素の輝度値が前記n個の画素中の右の画素の輝度値より大きい場合、前記右の画素に対応する選択信号に1を設定する論理回路部と、前記n個の画素のそれぞれに対し、当該画素に対応する前記選択信号が1であれば、前記注目画素の輝度値を、前記画素の輝度値として出力する出力部と、を含んでもよい。
前記論理回路部の処理は、前記注目画素の輝度値が第3閾値より大きく、及び、前記注目画素の輝度値と前記左または右の画素の輝度値との差分が第4閾値より大きいときに行われてもよい。
前記信号処理が前記明領域のピークに対して行われる場合、前記明領域拡大部は、注目画素を中心とした垂直nタップ内のn個の画素の輝度値を格納する画素格納部と、前記画素格納部から前記n個の画素の輝度値を取得し、前記注目画素の輝度値が前記n個の画素の輝度値内で最大値または極大値である場合に、前記n個の画素のそれぞれに対応する選択信号に1を設定する論理回路部と、前記n個の画素のそれぞれに対し、当該画素に対応する前記選択信号が1であれば、前記注目画素の輝度値を、前記画素の輝度値として出力する出力部と、を含んでもよい。
前記信号処理が前記明領域のエッジに対して行われる場合、前記明領域拡大部は、注目画素を中心とした垂直nタップ内のn個の画素の輝度値を格納する画素格納部と、前記画素格納部から前記n個の画素の輝度値を取得し、前記注目画素の輝度値が前記n個の画素中の上の画素の輝度値より大きい場合、前記上の画素に対応する選択信号に1を設定し、前記注目画素の輝度値が前記n個の画素中の下の画素の輝度値より大きい場合、前記下の画素に対応する選択信号に1を設定する論理回路部と、前記n個の画素のそれぞれに対し、当該画素に対応する前記選択信号が1であれば、前記注目画素の輝度値を、前記画素の輝度値として出力する出力部と、を含んでもよい。
前記LVコントローラは、RGB画像から色マトリクス変換によって、色マトリクス変換画像を生成する色マトリクス変換部と、階調変換前後の輝度値の対応関係が登録されたルックアップテーブルであって、前記色マトリクス変換画像に基づく画像を階調変換し、RGB画像に基づく前記画像を生成する、前記ルックアップテーブルと、をさらに含んでもよい。
前記LVコントローラは、前記色マトリクス変換画像の各画素の輝度値をビット拡張して前記色マトリクス変換画像に基づく前記画像を生成するビット拡張部を更に含んでもよい。
前記LVコントローラは、RGB画像から色マトリクス変換によって、RGB画像に基づく前記画像を生成する色マトリクス変換部と、階調変換前後の輝度値の対応関係が登録されたルックアップテーブルであって、前記明領域拡大画像を階調変換し、前記白黒調整画像を生成する、前記ルックアップテーブルと、をさらに含んでもよい。
前記LVコントローラは、前記色マトリクス変換部が生成したRGB画像に基づく前記画像に対し、当該画像の各画素の輝度値をビット拡張した画像を生成し、当該画像を明領域拡大部に供給するビット拡張部を更に含んでもよい。
本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
すなわち、複数枚の、例えば2枚のLCDパネルを使用しながらも、表示画像のエッジ部やディテール部において、斜めから見た場合に発生する2重像や色ずれを防止することが可能となる。
好ましい様態では、黒浮きを防止し、コントラスト比を格段に改善することが可能となる。
好ましい様態では、画像表示装置を、安価に製造することが可能となる。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態である画像表示装置の信号処理ブロック図を示す。
図1における画像表示装置1は、画像表示装置本体2とLCDモジュール3を備えている。画像表示装置本体2は、画像処理エンジン4を含む。LCDモジュール3は更に、I/F(インタフェース)5、LCDコントローラ6、RGBパネル7、LV(ライトバルブ)コントローラ8、及びLVパネル9を備えている。
画像表示装置本体2内の画像処理エンジン4は、RGB画像を生成し、LCDモジュール3に送信する。
LCDモジュール3内のI/F5は、画像処理エンジン4が生成したRGB画像を受信し、LCDコントローラ6、及びLVコントローラ8に送信する。
LCDコントローラ6は、I/F5からRGB画像を受信し、受信したRGB画像を信号処理して、RGBパネル7に送信する。
RGBパネル7は、LCDコントローラ6からRGB画像を受信し、表示する。
LVコントローラ8は、I/F5からRGB画像を受信し、受信したRGB画像を信号処理して、白から黒までの明暗だけで表現された、グレースケールの画像を生成し、当該画像の輝度を調整して、LV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)を生成し、LVパネル9に送信する。
LVパネル9は、LVコントローラ8からLV画像を受信し、表示する。
図2は、図1に示される画像表示装置1の一部の実施の形態を示す。図2の画像表示装置1は、図1に記載のRGBパネル7とLVパネル9、及びバックライトユニット10を備える。
RGBパネル7は、カラーフィルタ基板11、TFT基板12、偏光フィルム13、駆動IC14を備えている。カラーフィルタ基板11は、ブラックマトリクスやR、G、Bのカラーフィルタを配列し、共通電極などが形成された基板である。TFT基板12は、液晶側にTFTや電極などを形成した基板である。偏光フィルム13は、後述するバックライトユニット10から照射される光を偏光させる。駆動IC14は、LCDコントローラ6によって処理されたRGB画像を、TFT基板12を駆動させることによってRGBパネル7に表示する。
LVパネル9は、ガラス基板15、TFT基板16、偏光フィルム17、駆動IC18を備えている。ガラス基板15はRGBパネル7におけるカラーフィルタ基板11に対応するものであるが、カラーフィルタ基板11とは異なり、カラーフィルタ基板11の有するブラックマトリクスやカラーフィルタを有さない。これは、LVパネル9が、LV画像、つまり白から黒までの明暗だけで表現された、グレースケールの画像を表示するという、本発明の特徴に基づくものである。TFT基板16、偏光フィルム17は、RGBパネル7のTFT基板12、偏光フィルム13と同様のものである。駆動IC18は、LVコントローラ8によって処理されたLV画像を、TFT基板16を駆動させることによってLVパネル9に表示する。
RGBパネル7とLVパネル9は、正面から見た場合に、対応する画素が重なって表示されるように、互いに重ねて配置される。
バックライトユニット10は、光ガイドパネル19と光源20を備える。光源20は光ガイドパネル19に対し光を照射する。光ガイドパネル19は、光源20から照射された光を屈折させてLVパネル9に照射する。光ガイドパネル19から照射された光は、重ねられたLVパネル9、及びRGBパネル7を順に通過して、画像表示装置1を視聴する人間の眼に届く。
次に、図3を用いて、LVコントローラ8を説明する。
LVコントローラ8は、色マトリクス変換部30、ビット拡張部31、ルックアップテーブル(LUT)32、および明領域拡大部33を備える。
色マトリクス変換部30は、I/F5を介して画像処理エンジン4からRGB画像を受信する。色マトリクス変換部30は受信したRGB画像に対して、色マトリクス変換を行う。色マトリクス変換は、R、G、Bのそれぞれの輝度値を入力とした場合に、例えば次式のような演算を行うことで、グレースケールの輝度値であるYを取得する。c
1、c
2、c
3は所定の定数である。
これにより、色マトリクス変換部30は、入力されたRGB画像から、白から黒までの明暗だけで表現された、グレースケールの色マトリクス変換画像を生成する。色マトリクス変換部30は生成した色マトリクス変換画像をビット拡張部31に送信する。
ビット拡張部31は、色マトリクス変換部30が生成した色マトリクス変換画像を受信する。ビット拡張部31は、受信した色マトリクス変換画像の、各画素の輝度値をビット拡張する。図4はビット拡張を説明するものである。ここでは、8ビットの画素値に対して2ビット分左シフト演算を行い、LSBの下に2ビットを追加して、10ビットに拡張している。本実施形態においては、8ビットで表される輝度値を10ビットに拡張しているが、輝度値を表現するビット数は8ビットに限られず、また、拡張後のビット数も10ビットに限られない。拡張後のビット数は増加する回路規模とコストとのトレードオフで決定されてよい。
拡張された2ビットに設定する値は、処理対象の画素を注目画素と呼称すると、注目画素の周囲の画素の輝度値を基に設定する。図5(a)に、注目画素X5とその周囲の画素X1〜X4、X6〜X9を例示する。注目画素に対し、周囲の画素は注目画素と似ている、あるいは関連する値を示していることが多い。例えば、注目画素が周囲の画素より大きい輝度値を有する場合、画素の並びを横軸、各画素の輝度値を縦軸としてみたときの関数の形状は凸の形状を有し、注目画素の真の画素値ともいえる画素値のアナログ値は、8ビットに丸められた画素値のデジタル値よりも本来小さいであろうことが推定される。したがって、当該注目画素は実際には周囲の画素に近づけるように、8ビットに丸められた画素値のデジタル値よりも若干小さい輝度値で描画すると、人間の眼に自然に映るように画像を描画できる。逆に、注目画素が周囲の画素より小さい輝度値を有する場合、その注目画素は若干大きい輝度値で描画すると、自然に画像を描画できる。このような値の調整を拡張された2ビットを用いて実施する。
具体的には、拡張された2ビットの値の設定を次のように行う。図5(b)はこの値の設定のプログラム実現例である。変数dcを0で初期化したうえで、注目画素X5の8ビットの輝度値をその周囲の画素X1〜X4、X6〜X9の8ビットの輝度値とそれぞれ比較し、注目画素X5の輝度値が周囲の画素より大きければdcから1を減算し、注目画素X5の輝度値が周囲の画素より小さければdcに1を加算する。ここでは注目画素と比較される周囲の画素の数は8であり、この時点での変数dcの値は−8〜+8の値をとり得る。この変数dcを8で除算することで−1〜1までの値に正規化し、注目画素の8ビットの輝度値に加算することで、小数点以下の2ビットの値が設定される。正規化された変数dcが加算された輝度値を、最終的に2ビット分だけ左シフトすることにより、8ビットの輝度値の10ビットへの拡張が完了する。
前述のように、正規化前の変数dcは−8〜+8の、16段階の値をとることが可能であり、つまり4ビットで表現できる。したがって、上記のビット拡張方法によれば、例えば8ビットの輝度値を最大12ビットまで拡張することが可能であるが、本実施形態ではdcの下位2ビット分は丸められている。拡張するビット数は、後述のLUT32のビット幅にも影響するため、輝度値のビット数と同様、回路規模とコストとのトレードオフで決定されてよい。
ビット拡張部31は、上記のように各注目画素に対し、周囲の画素との大小関係を反映した値が重みとして拡張されたビットに設定されたビット拡張画像を、LUT32に送信する。
LUT32は、ビット拡張画像をビット拡張部31から受信する。LUT32はビット拡張画像を階調変換し、LUT出力画像を生成する。図19を用いて上述したように、画像データの階調が暗くなると、出力輝度値が理想よりも大きくなる。つまり、実際にRGBパネルに表示される画像は、理想とされる輝度値よりも大きく、したがって白っぽく、明るく表示される。
図6(a)は、図19においては対数表現されていたx軸、すなわち入力輝度値を、線形で表現したものである。線61、62は図19の線1901、1902と同様、輝度値の入出力の理想的な関係、及び、LCDパネルを使用した従来の画像表示装置における実際の輝度値の入出力の関係を、それぞれ示す。図6(a)において、線61と線62が特に乖離している、入力輝度値が小さい部位を拡大したものが図6(b)である。図6(b)の線63、64は、輝度値の入出力の理想的な関係、及び、LCDパネルを使用した従来の画像表示装置における実際の輝度値の入出力の関係を、それぞれ示し、図6(a)の線61と線62にそれぞれ対応する。入力画像の画素がある入力輝度値を有していた場合、当該入力輝度値が実際に線64上の対応する出力輝度値で描画されるところを、当該入力輝度値に対応する線63の出力輝度値で描画されるように、出力輝度値が補正されるような階調変換を、LUT32が実施するように、LUT32は設定される。
図7(a)は、実測点に関するLUT32の設定の一形態を示す。ここで実測点とは、出力輝度値の実測値が実験などによって実際に測定された、入力輝度値を指す。実測点は、0から輝度値の最大値までの間の、異なる値を有するものであり、本実施形態において、従来の折れ線によるガンマ近似における変極点に相当する。尚、本実施形態においては、本来8ビットの値を有する輝度値が、ビット拡張部31で10ビットにビット拡張された結果として、入力輝度値の最大値は1023の値を示している。
実測点として、実際には1、15、…等の値が使われる。図7(a)の「入力」列には、これらの値が10ビットに拡張された結果、すなわち、1、60、…、1023の値が格納されている。「実測値%」列は、各実測点に対応する輝度値がLCDパネルに入力された場合に、実際に表示される出力輝度値を、100%で正規化した値を示す。「理想%」列は、各実測点に対応する輝度値がLCDパネルに入力された場合の理想の出力輝度値を、100%で正規化した値を示す。例えばX
nが入力輝度値とした場合に、X
nの理想値は次式により求められてもよい。
上式において、指数「2.2」は、一般的なディスプレイのガンマ値として知られるものであるため本実施形態において使用するものであるが、これに限られず、例えば使用するディスプレイの特性に応じた、他の値であってもいい。
「補正係数」列は、各実測点に対応する「理想%」を「実測値%」で除算した値を示す。「LUT値」列は、各実測点に対応する「補正係数」を、ビット拡張前の輝度値の最大値で正規化した、すなわち、「補正係数」にビット拡張前の輝度値の最大値を乗算して、丸め処理を行った値を示す。「LUT値」は出力輝度値に相当する値である。
このように、入力輝度値が実測点のいずれかに対応する場合は、実測点を入力輝度値とした場合のLCDパネルの出力輝度値の実測値と、実測点を入力輝度値とした場合の出力輝度値の理想値から、補正係数を計算し、当該補正係数を輝度値の最大値で正規化することで、当該実測点に相当する「LUT値」の値が事前に計算され、かつ、当該実測点と「LUT値」が関連づけられた対応関係としてLUT32に登録されている。ビット拡張画像のある画素が実測点に相当する輝度値を有している場合、この対応関係に基づいて、入力輝度値に対応する「LUT値」を取得し、その値を出力輝度値としてLUT出力画像を生成する。
図7(a)は、各実測点に相当する輝度値のみの対応関係が登録されたものであり、この状態では、入力輝度値が離散的になっている、すなわちLUT32の「入力」列に存在しない、例えば2〜59、61〜123などの、実測点間の入力輝度値が存在する。したがって、「入力」列における入力値の刻みが1になるように、LUT32の対応関係を設定する。この設定は、隣接する実測点の間を線形補間し、さらに理想値への補正係数を求めることによって行われる。
具体的には、次のように、実測点間の各入力輝度値に対応する出力輝度値を計算する。まず、X
nが入力輝度値とした場合に、次の線形補間式によって、X
nに対応する、線形補間された実測値Y
nを算出する。
ここで、Xmin、Yminは、入力輝度値Xnを間に値として有する、2つの実測点のうち、値が小さい実測点の入力輝度値、及びそれに対応する実測値を指す。また、Xmax、Ymaxは、入力輝度値Xnを間に値として有する、2つの実測点のうち、値が大きい実測点の入力輝度値、及びそれに対応する実測値を指す。このように、2つの実測点の実測値を案分して入力値の刻み1に対応する増分を計算し、相応する刻み分の増分を実測値に加算することで実測値を線形補間する。
図7(b)は、2つの実測点「X60」「X124」の間の各輝度値に対応する、LUT32の対応関係の設定の一形態を示す。2つの実測点間の各入力輝度値が、「入力」列に示される。また、上記の線形補間式においてXminを60、Xmaxを124としたときに、X61〜X123の各入力輝度値に対して線形補間式によって計算された実測値を、100%で正規化した値が、「実測値%」列に示されている。「理想%」列は、各入力輝度値がLCDパネルに入力された場合の理想の出力輝度値を、100%で正規化した値を示す。この値は、実測点に対応する輝度値の場合と同じ計算式によって求められてもよい。「補正係数」列は、各入力輝度値に対応する「理想%」を「実測値%」で除算した値を示す。「LUT値」列は、各入力輝度値に対応する「補正係数」を、ビット拡張前の輝度値の最大値で正規化した、すなわち、「補正係数」にビット拡張前の輝度値の最大値を乗算して、丸め処理を行った値を示す。LUT値は出力輝度値に相当する値である。
尚、図7(b)において、例えば「入力」が60と64の間については破線で表現されている。本破線は、実際には61〜63の入力輝度値に関する行が存在するところ、これらを省略して表すものである。
このように、入力輝度値が実測点のいずれにも対応しない場合は、当該入力輝度値を間に値として有する、2つの実測点間で、実測点同士の実測値を線形補間して、当該入力輝度値の実測値に対応する値を取得し、当該入力輝度値の実測値に対応する値と当該入力輝度値の理想値から当該入力輝度値の補正係数を計算し、当該補正係数を輝度値の最大値で正規化することで、「LUT値」の値が事前に計算され、当該入力輝度値と「LUT値」が関連づけられた対応関係としてLUT32に登録されている。LUT入力画像のある画素が実測点に相当しない輝度値を有している場合、この対応関係に基づいて、入力輝度値に対応する「LUT値」を取得し、その値を出力輝度値として、LUT出力画像を生成する。
LUT32は、メモリなどに、入力輝度値と出力輝度値の、つまり、階調変換前後の輝度値の対応関係として事前に登録し、別途設置されるCPUなどでLUT32上に登録された対応関係を参照しながら、入力輝度値を出力輝度値に変換するように、実装することが可能である。
LUT32は、上記のように生成されたLUT出力画像を、図3に示すように、明領域拡大部33に送信する。
明領域拡大部33は、LUT出力画像の明領域のピークに対して局所的な信号処理を行い、明領域を拡大して明領域拡大画像を生成する。本処理をピークホールド処理と呼称する。図8に示すように、明領域拡大部33は、画素格納部81、論理回路部82、出力部83を備える。画素格納部81はレジスタX1〜X5を備える。出力部83は、レジスタY1〜Y6及び第1から第5の選択部83a〜83eを備える。尚、本実施形態においては画素格納部81の有するレジスタの数は5個であるが、これに限られない。
画素格納部81は、LUT32からLUT出力画像を受信する。ここでは、LUT出力画像の水平ラインごとに、最も右の画素から左方向に順に一画素ずつ、輝度値を受信する場合を想定する。この場合、画素格納部81は輝度値を受信すると、レジスタX1に格納する。レジスタX1〜X5は、前段のレジスタXiの出力が後段のレジスタXi+1の入力に接続され、これにより、全レジスタが順に接続されており、一画素に関する処理が終了すると、各レジスタは保持する値を一つ後段のレジスタに移動する。すなわち、画素格納部81が次の輝度値を受信すると、レジスタX1の値はレジスタX2に移り、レジスタX1には新規に受信した輝度値が格納される。このようにして、レジスタX1〜X5には、レジスタX3に格納される輝度値に対応する画素を注目画素と呼称すると、注目画素の左右計5画素分の、すなわち、注目画素を中心とした水平5タップ分の画素の輝度値が格納され、処理サイクルが進むと前段のレジスタの値が一つずつ後段のレジスタにシフトする。
出力部83は、画素格納部81と同じタイミングで、LUT出力画像を受信する。つまり、画素格納部81と同様に、全レジスタが順に接続されており、一画素に関する処理が終了すると、各レジスタは保持する値を一つ後段のレジスタに移動する。出力部83の、画素格納部81との差異は、前段のレジスタYiと後段のレジスタYi+1の間に、第1から第5の選択部83a〜83eがそれぞれ挟まれながら、前段のレジスタYiの出力が後段のレジスタYi+1の入力に接続されている点である。第1から第5の選択部83a〜83eのそれぞれの、一方の入力には、前段のレジスタYiの出力が接続されており、他の入力には、後述する論理回路部82が出力する、レジスタX3、つまり注目画素の輝度値が供給される。
また、第1から第5の選択部83a〜83eのそれぞれには、後述する論理回路部82が出力する選択信号S1〜S5が供給される。この構造により、出力部83は、ある注目画素に関する処理が終了すると、論理回路部82が下した判断、すなわち選択信号S1〜S5の値に従って、各レジスタYi+1が次に有すべき値として、注目画素の輝度値X3か、前段のレジスタYiがもともと有していた値のどちらかが選択される。例えば、選択信号S1の値が1であれば、注目画素の輝度値X3が、後段のレジスタY2の次の値として選択される。選択信号S1の値が0であれば、レジスタY1の値が、レジスタY2の次の値として選択される。このようにして、レジスタY1〜Y6の各々は、画素格納部81と同じ入力を供給されながらも、処理が進むにつれ、論理回路部82の判断に応じて、各処理における注目画素の輝度値X3によって更新され続けながら、値を後段のレジスタYi+1へ移していく。
レジスタX1〜X5の出力、及び、レジスタY1〜Y5の出力は、論理回路部82に接続している。論理回路部82は、レジスタX1〜X5から5個分の画素の輝度値を取得すると同時に、レジスタY1〜Y5から5個分の、これまでの処理において更新された、画素の輝度値を取得する。これらの入力を基に、論理回路部82は、レジスタYの各々が注目画素X3の値によって更新されるべきか否かを判断し、その結果を選択信号S1〜S5として、出力部83の第1から第5の選択部83a〜83eの各々に送信する。
本実施形態においては、明領域拡大部33はピークホールド処理を行い、論理回路部82はピークホールド処理に適合するように、選択信号S1〜S5を設定する。ピークホールド処理においては、注目画素の輝度値X3がレジスタX1〜X5に格納された輝度値内で最大値または極大値である場合に、それぞれに対応する選択信号に1を設定する。
図9はピークホールド処理の概要を示す。本図において、横軸はある水平ラインにおいて順次供給される画素を示し、また、縦軸は各画素の輝度値を示している。白い丸は、LUT出力画像における各画素に対応する、明領域拡大部33に入力されたオリジナルの輝度値である。各輝度値を、その前後計5画素の輝度値と比較し、その中で最大値、あるいは極大値をとる場合は、黒い丸として表現している。ピークホールド処理では、注目画素がそれぞれの黒い丸に相当する場合に、その前後計5画素の輝度値を、注目画素すなわち黒い丸に相当する輝度値に、値を更新するように、選択信号S1〜S5が設定される。
論理回路部82の処理は、注目画素の輝度値X3が所定の閾値1より大きく、及び、注目画素の前後計5画素の輝度値の、最大値と最小値との差分が、所定の閾値2より大きいときに行われる。つまり、比較的明るい輝度値を有したピークで、周囲の画素の輝度値との差がある程度有る場合に、処理が行われる。
出力部83の出力は、一画素ずつ出力され、その各々が結合して明領域拡大画像となる。すなわち、明領域拡大部33は、明領域拡大画像、つまりLV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)を生成し、LVパネル9へ送信する。
次に、本実施形態に基づいて、画像を表示する手順について記載する。
まず、図1に示されるように、画像表示装置本体2の画像処理エンジン4が、画像表示装置1に表示すべきRGB画像を生成し、LCDモジュール3に送信する。
LCDモジュール3が、I/F5によりRGB画像を受信し、I/F5は受信したRGB画像をLCDコントローラ6、LVコントローラ8の双方に送信する。
LCDコントローラ6がI/F5からRGB画像を受信し、受信したRGB画像を信号処理してRGBパネル7に送信する。
RGBパネル7がLCDコントローラ6から受信したRGB画像を表示する。
他方、LVコントローラ8もLCDコントローラ6と同様に、I/F5からRGB画像を受信する。
図3に図示される、LVコントローラ8の色マトリクス変換部30が、受信したRGB画像に対し色マトリクス変換を行い、白から黒までの明暗だけで表現された、グレースケールの色マトリクス変換画像を生成し、ビット拡張部31に送信する。
ビット拡張部31は、色マトリクス変換部30から色マトリクス変換画像を受信する。ビット拡張部31は、受信した色マトリクス変換画像の各画素に対して、ビット拡張を行い、ビット拡張画像を生成する。ビット拡張により拡張されたビットに格納される値は、注目画素と、注目画素の近傍の画素との大小関係から算出された重みを基に設定される。ビット拡張部31は、生成したビット拡張画像を、LUT32に送信する。
LUT32が、ビット拡張部31から、ビット拡張画像を受信する。LUT32には階調変換前後の輝度値の対応関係が登録されている。
LUT32は、受信したビット拡張画像の各画素に対して、階調変換を行い、LUT出力画像を生成する。LUT32は生成したLUT出力画像を、明領域拡大部33に送信する。
明領域拡大部33は、RGB画像に基づく画像の明領域のピークに対して局所的な信号処理を行い、明領域を拡大して明領域拡大画像を生成する。すなわち、明領域は、注目画素を中心とした水平nタップ内の画素に対し、注目画素の輝度値が前記水平nタップ内で最大値または極大値である場合に、水平nタップ内の各画素の輝度値を注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大される。
図8に示される明領域拡大部33は、LUT32からLUT出力画像を受信する。受信したLUT出力画像は、一画素分ずつ画素格納部81及び出力部83に入力される。画像格納部81は、一水平ライン上のnタップ分の画素の輝度値を格納する。
図10は、論理回路部82によって行われる処理を詳説したものである。まず、クロックを1進め(ステップS101)、各選択信号S1〜S5を0で初期化し(ステップS102)、画素格納部81のレジスタX1〜X5から5個分の画素の輝度値X1〜X5を取得する(ステップS103)。また、X1〜X5の最大値及び最小値を求め、ダイナミックレンジDR、すなわち最大値と最小値の差分値を計算する(ステップS104)。
次に、X3が所定の閾値1より大きいか否か、DRが所定の閾値2より大きいか否か、及び、X3がX1〜X5の中で最大値であるか否かを、それぞれ判定する(ステップS105、S106、S107)。これらの判定が真である、すなわち、注目画素の輝度値X3が一定以上明るい値を有する明領域に相当する値であり、注目画素の輝度値X3が周囲の画素の輝度値X1〜X5のなかで最大であり、かつ、注目画素の輝度値X3と周囲の画素の輝度値X1〜X5との差が一定以上あって注目画素の輝度値X3により画素の輝度値X1〜X5を上書きすることに明確な効果があると認められる場合に、選択信号S1〜S5の設定処理に移行する。これらの条件判定が一つでも真でなければ、選択信号S1〜S5はステップS102で設定された初期値0を有する状態で出力される。すなわち、第1から第5の選択部83a〜83eはいずれも選択信号として0が与えられ、各レジスタYi+1は前段のレジスタYiの値を引き継ぎ、いずれの値も注目画素の輝度値X3によって上書きされない。
ステップS105、S106、S107のいずれの判定も真である場合、選択信号S1〜S5の設定処理に移行する。まず、変数iを1で初期化する(ステップS108)。そのうえで、レジスタYiの値と注目画素の輝度値X3とが比較され(ステップS109)、注目画素の輝度値X3が大きければ選択信号Siに1が設定される(ステップS110)。基本的には、選択信号S1〜S5のすべてを1に設定することで、レジスタYの各値を注目画素の輝度値X3に更新する。しかし、レジスタYの各々の値は、以前の処理サイクルにおいて、当該処理サイクル中で注目画素とされた画素に関するピークホールド処理がなされた結果、出力部83に入力された初期状態時の輝度値から、既に値が上書きされた可能性がある。したがって、ステップS109の条件判定を実施することによって、レジスタY中の既に更新された可能性がある値より、本クロックサイクルにおける注目画素の輝度値X3の値が小さければ、値を更新しない、すなわちSiを0のままとすることで、当該画素がとり得る最大の輝度値が維持される。
変数iをインクリメント(ステップS111)しながらレジスタY1〜Y5の比較と選択信号S1〜S5の設定処理を行い、終了したら(ステップS112)、設定された選択信号S1〜S5の値を出力部83に出力する(ステップS113)。
このようにして設定された選択信号S1〜S5、注目画素の輝度値X3を出力部83が受信し、レジスタY2〜Y6の値を更新し、ピークホールド処理がなされた結果の輝度値を、一処理サイクルにつき一画素分ずつ、出力する。
明領域拡大部33は、出力部83の出力を明領域拡大画像、つまりLV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)として、LVパネル9へ送信する。
これにより、LV画像において、ピークホールド処理後に輝度値を更新すべきと判断された領域に属する画素には、確実に注目画素の輝度値X3が供給され、当該画素はLVパネル9において、注目画素の輝度値X3によって、本来より明るく表示される。
上記のように、同一のRGB画像が、一方はLCDコントローラ6を介してRGB画像としてRGBパネル7に、他方はLVコントローラ8を介して、白から黒までの明暗だけで表現された、グレースケールのLV画像としてLVパネル9に、同時に表示される。
前側のLCDパネルであるRGBパネル7と、後側のLCDパネルであるLVパネル9は、図2に示されるように重ねられた構造になっているため、光源20からバックライトユニット10を介して照射された光は、同一のRGB画像を基にしたLV画像、RGB画像がそれぞれ表示されたLVパネル9、RGBパネル7を順次通過し、人間の眼に届く。光がLVパネル9、及びRGBパネル7を通過する際に、カラーフィルタ基板11、及びそれぞれが有する図示しない液晶層を通過することによって、色調や輝度が制御される。
輝度の制御はLVパネル9、及びRGBパネル7のそれぞれによって個別に行うことが可能であり、したがって、細やかなコントラストの調整が可能となる。
また、RGBパネル7とLVパネル9を通してバックライトユニット10から光を照射すると、双方のパネルを通して人間の眼に届く光は、それぞれのパネルの透過率を掛け合わせたものとなる。本実施形態において、実際にLUT32に設定される、入力輝度値と出力輝度値の対応の一形態を図11に示す。本図において、入力輝度値が小さい部分に対応する出力輝度値の傾きは図6に示される実測値に比べて急峻な形状となっており、理想に近いものとなっている。LUT32がこのような階調変換を、グレースケールの画像に対して行うことにより、輝度値が小さく暗い部分のLVパネル9の透過率を悪くする。それにより、RGB画像を表示するRGBパネル7の輝度値を変更せずに、LVパネル9の輝度値のみを変更することで、黒浮きを防止することが可能となる。
図11において特に注目すべき点は、実測点、すなわち折れ線によるガンマ近似における変極点に相当する入力輝度値の多くは、対応する出力輝度値が極大点となっている、すなわち、入力輝度値が変極点より大きくなると出力輝度値は一旦減少していることである。これは、実測点間の各入力輝度値における実測値は、上記の線形補間式のように、実測点間の線形補間によって算出しているところが、Xnの理想値を導出するための計算式は右下方向に膨らんだ形状の関数を有することに起因する。図7(b)においては、実際に、入力輝度値が変極点である60の場合よりも、61〜80の場合の方が、小さい出力輝度値(LUT値)を有している。
例えば輝度値が徐々に明るくなるようなグラデーションを画面に表示した場合、通常の折れ線によるガンマ近似であれば折れ線の変極点に相当する輝度値に対応する箇所に関しては人間には色の境界線が見えてしまう。しかし、第1の実施形態は、図11に示されるような形状の入力輝度値と出力輝度値との対応関係を有するLUT32を備えている。つまり、折れ線によるガンマ近似の適用を前提として補正をかける、すなわち、折れ線によるガンマ近似が実装された装置において階調特性を実測し、それを理想の状態に補正する補正曲線が、LUT32に対応関係として登録されている。これにより、変極点より少し明るい輝度値に相当する画素の輝度を小さくして描画することで、境界線を目立たなくすることが可能となり、したがって自然なグラデーションの表示を実現し、人間の眼に自然に映るような階調特性を実現することが可能となる。
また、RGBパネル7とLVパネル9の対応する画素は、本画像表示装置1を正面から見た場合には重なって表示されるように位置される。例えば、画像表示装置1上に幅が1画素である垂直な直線が描画され、当該直線を描画する画素の輝度値が周囲の画素の輝度値よりも大きいためピークと判断され、かつ、当該直線の横に隣接する画素が直線と同じ輝度値によって描画されたものとする。つまり、本来当該画素が有していた輝度値よりも、LVパネル9上では明るく表示される。このため、当該直線を本画像表示装置1の正面からではなく斜め方向から見た場合、RGBパネル7に表示された直線と、直線の近傍の画素であって、LVパネル9上に本来より明るく表示された画素とが重なって見えるため、当該直線を正面から見た場合と同様な輝度で、当該直線が細く表示されることなく、さらに、色ずれが起こることなく正常に当該直線が2重に見えることなく、見ることが可能となる。
上記の一連の処理は、バックライト側の後側のLCDパネルをLVパネル9として構成したために、複雑な構成となってはおらず、実装に要する回路規模が小さくて済む。
また、LUT32の値は製品実装前にオフラインで作成し、回路構成上はメモリを実装するのみですむので、階調特性の変換は容易に実現できる。
更に、図2を用いて示したように、LVパネル9はLVコントローラ8から受信したLV画像を表示する。LV画像はグレースケールの画像を基にしたものであるため、カラーフィルタなどの、通常のLCDパネルが必要とする一部の構成要素を必要としない。
以上の理由により、安価に製品を提供することも可能である。
本実施形態による実験結果を図12、13に示す。
図12(a)はRGB画像、図12(b)はRGB画像に対し色マトリクス変換を行った色マトリクス変換画像、図12(c)はビット拡張、LUT32による階調変換、及びピークホールド処理を実施したLV画像で、図12(a)のRGB画像と図12(c)のLV画像を重ねて表示したものが図12(d)の最終出力画像である。
図13(a)〜(d)は、図12(a)〜(d)の拡大図である。
最終出力画像は黒の階調特性が改善され、高いコントラスト比の画像表示が実現されている。さらにエッジ部での2重像や色ずれも解消されている。
次に、本発明の、前記した実施形態を変形した実施形態を説明する。この変形した実施形態においては、明領域拡大部33において、ピークホールド処理に代わり、エッジホールド処理を行う。すなわち、LUT出力画像の明領域のエッジに対して局所的な信号処理を行い、明領域を拡大して明領域拡大画像を生成する。
変形した実施形態においては、明領域拡大部33が、図8に示されるように、画素格納部81、論理回路部82、出力部83を備え、画素格納部81がレジスタX1〜X5を備え、出力部83が、レジスタY1〜Y6及び第1から第5の選択部83a〜83eを備えるという構成は、前記の実施形態に同じである。
また、画素格納部81の各レジスタX1〜X5の接続や挙動、出力部83の各レジスタY1〜Y6、第1から第5の選択部83a〜83eの接続や挙動に関しても、前記の実施形態に同じである。
本実施形態においては、前記の実施形態から、明領域拡大部33の、論理回路部82で実行される処理内容のみが異なっている。すなわち、明領域拡大部33は前記のようにエッジホールド処理を行い、論理回路部82はエッジホールド処理に適合するように、選択信号S1〜S5を設定する。エッジホールド処理においては、注目画素の輝度値X3がレジスタX1、X2に格納された、すなわち注目画素の左の画素の輝度値より大きい場合、それぞれに対応する選択信号に1を設定する。また、注目画素の輝度値X3がレジスタX4、X5に格納された、すなわち注目画素の右の画素の輝度値より大きい場合、それぞれに対応する選択信号に1を設定する。
図14はエッジホールド処理の概要を示す。本図において、横軸はある水平ラインにおいて順次供給される画素を示し、また、縦軸は各画素の輝度値を示している。白い丸は、LUT出力画像における各画素に対応する、明領域拡大部33に入力されたオリジナルの輝度値である。エッジホールド処理は、注目画素の輝度値をその前後計5画素の輝度値と比較し、左あるいは右の画素の輝度値が注目画素の輝度値よりも小さければ、これらの画素の輝度値を、注目画素の輝度値に、値を更新するように、選択信号S1〜S5が設定される。
論理回路部82の処理は、注目画素の輝度値X3が所定の閾値3より大きく、及び、注目画素の輝度値X3とその左または右の画素の輝度値の差分が、所定の閾値4より大きいときに行われる。つまり、比較的明るい輝度値を有したエッジで、周囲の画素の輝度値との差がある程度有る場合に、処理が行われる。
前述の実施形態と同様に、出力部83の出力は、一画素ずつ出力され、その各々が結合して明領域拡大画像となる。すなわち、明領域拡大部33は、明領域拡大画像、つまりLV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)を生成し、LVパネル9へ送信する。
次に、変形した実施形態に基づいて、画像を表示する手順について記載する。前記の実施形態との相違は論理回路部82の処理内容であるため、関連する箇所のみ説明する。
明領域拡大部33は、RGB画像に基づく画像の明領域のエッジに対して局所的な信号処理を行い、明領域を拡大して明領域拡大画像を生成する。すなわち、明領域は、注目画素の輝度値が注目画素の左の画素の輝度値より大きい場合に、左の画素の輝度値を注目画素の輝度値で置き換え、注目画素の輝度値が注目画素の右の画素の輝度値より大きい場合に、右の画素の輝度値を注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大される。
図8に示される明領域拡大部33は、LUT32からLUT出力画像を受信する。受信したLUT出力画像は、一画素分ずつ画素格納部81及び出力部83に入力される。画像格納部81は、一水平ライン上のnタップ分の画素の輝度値を格納する。
図15は、論理回路部82によって行われるエッジホールド処理を詳説したものである。まず、クロックを1進め(ステップS201)、各選択信号S1〜S5を0で初期化し(ステップS202)、画素格納部81のレジスタX1〜X5から5個分の画素の輝度値X1〜X5を取得する(ステップS203)。
次に、注目画素の輝度値X3が所定の閾値3より大きいか否か、判定する(ステップS204)。この判定が真である、すなわち、注目画素の輝度値X3が一定以上明るい値を有する明領域に相当する値である場合にのみ、処理が続行される。判定が真でなければ、選択信号S1〜S5はステップS202で設定された初期値0を有する状態で出力される。すなわち、第1から第5の選択部83a〜83eはいずれも選択信号として0が与えられ、各レジスタYi+1は前段のレジスタYiの値を引き継ぎ、いずれの値も注目画素の輝度値X3によって上書きされない。
ステップS204の判定処理が真である場合、注目画素の輝度値X3とその左の画素の輝度値X2との差分Leftを算出し(ステップS205)、Leftが所定の閾値4より大きいか否か、判定する(ステップS206)。この判定が真である、すなわち、注目画素の輝度値X3がその左の画素の輝度値X2より閾値4以上大きければ、左の画素の輝度値X2、X1に対してエッジホールド処理を行う。判定が偽であれば、注目画素の輝度値X3とその右の画素の輝度値の比較処理に移行する(ステップS212)。
Leftが所定の閾値4より大きい場合、変数iを1で初期化する(ステップS207)。そのうえで、レジスタYiの値と注目画素の輝度値X3とが比較され(ステップS208)、真であれば選択信号Siに1が設定される(ステップS209)。ステップS208の条件判定は、ピークホールド処理におけるステップS109と同様、より小さな値による上書きを防止するためのものである。
変数iをインクリメント(ステップS210)しながらレジスタY1、Y2に関する比較と、選択信号S1、S2の設定処理を行い、終了したら(ステップS211)、注目画素の輝度値X3とその右の画素の輝度値の比較処理に移行する。
注目画素の輝度値X3とその右の画素の輝度値の比較処理においては、まず、注目画素の輝度値X3とその右の画素の輝度値X4との差分Rightを算出し(ステップS212)、Rightが所定の閾値4より大きいか否か、判定する(ステップS213)。この判定が真である、すなわち、注目画素の輝度値X3がその右の画素の輝度値X4より閾値4以上大きければ、右の画素の輝度値X4、X5に対してエッジホールド処理を行う。判定が偽であれば、その時点で設定されている、すなわち、注目画素の輝度値X3とその左の画素の輝度値の比較処理において設定された、選択信号S1〜S5の値を出力部83に出力する(ステップS219)。
Rightが所定の閾値4より大きい場合、変数iを3で初期化する(ステップS214)。そのうえで、レジスタYiの値と注目画素の輝度値X3とが比較され(ステップS215)、真であれば選択信号Siに1が設定される(ステップS216)。ステップS215の条件判定は、ピークホールド処理におけるステップS109と同様、より小さな値による上書きを防止するためのものである。
変数iをインクリメント(ステップS217)しながらレジスタY3、Y4、Y5の比較と選択信号S3、S4、S5の設定処理を行い、終了したら(ステップS218)、設定された選択信号S1〜S5の値を出力部83に出力する(ステップS219)。
このようにして設定された選択信号S1〜S5、注目画素の輝度値X3を出力部83が受信し、レジスタY2〜Y6の値を更新し、エッジホールド処理がなされた結果の輝度値を、一処理サイクルにつき一画素分ずつ、出力する。
明領域拡大部33は、出力部83の出力を明領域拡大画像、つまりLV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)として、LVパネル9へ送信する。
これにより、LV画像において、エッジホールド処理後に輝度値を更新すべきと判断された領域に属する画素には、確実に注目画素の輝度値X3が供給され、当該画素はLVパネル9において、注目画素の輝度値X3によって、本来より明るく表示される。
本変形形態は、前述の実施形態とは異なる方法ではあるが明領域を拡大するという点では同じであり、したがって、前述の実施形態と同様に、2重像や色ずれを防止するという効果を奏することができる。
原理的に、画像内に一点だけ明るいピークがあるような場合には、ピークホールド処理が効果を発揮する。しかし、ある程度似たような輝度値の画素が集まっている場合においては、ピークホールド処理だけでは十分な処理ができない場合がある。このような場合は、エッジホールド処理を適用すると、効率的に明領域を拡大することが可能となる。ただし、論理回路部82内の回路の実現が、ピークホールド処理に比べるとエッジホールド処理の方が若干複雑である。したがって、ピークホールド処理とエッジホールド処理は、製造コストと性能とのトレードオフを考慮して選択されてもよい。
本変形形態は、前述の実施形態とは、論理回路部82以外においては同一の形態であり、したがって、前述の実施形態と同様に、細やかなコントラストの調整、黒浮きの防止、人間の眼に自然に映るような階調特性の実現、2重像や色ずれの防止、安価な製品の提供といった様々な効果を奏することが可能である。
本実施形態による実験結果を図16、17に示す。
図16(a)はRGB画像、図16(b)はRGB画像に対し色マトリクス変換を行った色マトリクス変換画像、図16(c)はビット拡張、LUT32による階調変換、及びエッジホールド処理を実施したLV画像で、図16(a)のRGB画像と図16(c)のLV画像を重ねて表示したものが図16(d)の最終出力画像である。
図17(a)〜(d)は、図16(a)〜(d)の拡大図である。
最終出力画像は黒の階調特性が改善され、高いコントラスト比の画像表示が実現されている。さらにエッジ部での2重像や色ずれも解消されている。
上記の二つの実施形態において、明領域拡大部33は共に、一水平ラインの画素群を入力としており、したがって、ピークホールド処理、エッジホールド処理は、注目画素に対して、同一水平ライン上に、すなわち、横に存在する画素の輝度値のみを参照している。例えば、同様の回路構成を用いて、垂直方向の処理を追加し、縦方向の画素の輝度値を参照した処理を追加することで、ピークホールド処理、エッジホールド処理を2次元的に広げてもよい。
上記の二つの実施形態においては、ピークホールド、エッジホールド共に、水平方向の画素の輝度値を参照、変更したが、走査方向を変更することで、垂直方向でも同様に実施可能であることはいうまでもない。
すなわち、ピークホールド処理においては、明領域は、注目画素を中心とした垂直nタップ内の画素に対し、注目画素の輝度値が垂直nタップ内で最大値または極大値である場合に、垂直nタップ内の各画素の輝度値を注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大されてもよい。
また、エッジホールド処理においては、明領域は、注目画素を中心とした垂直nタップ内の画素に対し、注目画素の輝度値が注目画素の上の画素の輝度値より大きい場合に、上の画素の輝度値を注目画素の輝度値で置き換え、注目画素の輝度値が注目画素の下の画素の輝度値より大きい場合に、下の画素の輝度値を注目画素の輝度値で置き換えることによって、拡大されてもよい。
上記のように垂直方向に処理を行う場合、上下方向から見た場合の2重線や色ずれの防止も可能である。
上記の二つの実施形態において、明領域拡大部33は共に、LUT32が出力するLUT出力画像を受信し、LUT出力画像に対して処理を行っている。しかし、明領域拡大部33は、ビット拡張部31とLUT32の間におかれてもよい。すなわち、明領域拡大部33は、ビット拡張部31が出力するビット拡張画像を受信し、明領域拡大処理を行い、結果の画像をLUT32に提供し、LUT32が階調変換を行い、LUT出力画像を生成して、それをLV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)として、LVパネル9へ送信してもよい。上記の二つの実施形態において、明領域拡大部33、及びLUT32は共に、グレースケールの画像の処理の輝度調整を行うものであるから、その処理順を変更してもよい。
ただし、上記のように処理順を変更した場合、明領域拡大部33を通過した後のLUT32において、ビット拡張部31でビット拡張された輝度値が、元のビット数に戻される。つまり、明領域拡大部33においては、拡張されたビット数で処理をしなければならないため、回路規模が大きくなる可能性がある。
この場合、ビット拡張部31を省略し、色マトリクス変換部30−明領域拡大部33−LUT32と処理をつなげるようにしてもよい。すなわち、色マトリクス変換部30が出力した色マトリクス変換画像を明領域拡大部33が受信し、明領域拡大部33が明領域拡大処理を行う。明領域拡大部33は、結果の画像をLUT32に提供し、LUT32が階調変換を行い、LUT出力画像を生成して、それをLV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)として、LVパネル9へ送信してもよい。
あるいは、上記の二つの実施形態の、図3に示されるLVコントローラ8の構成から、ビット拡張部31を省略し、色マトリクス変換部30−LUT32−明領域拡大部33と処理をつなげるようにしてもよい。すなわち、色マトリクス変換部30が出力した色マトリクス変換画像をLUT32が受信し、階調変換を行う。LUT32は、LUT出力画像を明領域拡大部33に提供し、明領域拡大部33が明領域拡大処理を行い、明領域拡大画像を生成して、それをLV画像(輝度が調整されたグレースケールの白黒調整画像)として、LVパネル9へ送信してもよい。
詳述した二つの実施形態のLUT32は、拡張されたビット数で表現された入力輝度値を、拡張される前のビット数で表現された出力輝度値に、ビット数を変えながら階調変換するものであった。これに対し、ビット拡張部31を省略した場合においては、LUT32は、ビット数を変えないで、すなわち、入力輝度値も出力輝度値も、輝度値が本来表現されるべきビット数で表現された状態で、階調変換される。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な実施の形態が可能であることが理解できるであろう。
よって、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義される本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形や改良形態も本発明に含まれる。